【実施例1】
【0018】
図1−6には、本発明の実施の形態にかかるフラットケーブル防水コネクタ構造の実施例が示されている。
図において、本発明の実施の形態にかかるフラットケーブル防水コネクタ構造1は、フレキシブルフラットケーブル2と、複数の端子3と、コネクタハウジング4と、シール部5と保持部6とからなるケーブル保持部7とを有して構成されている。
【0019】
フレキシブルフラットケーブル2は、
図3に示す如く、複数の導体21と、絶縁フィルム22とによって構成されている。
複数の導体21は、銅あるいは銅合金等からなり、可撓性を有しており、本実施例においては、三本の導体21を有してなっている。これら三本の導体21は、端子3の並列間隔に対応して平行に並べられ、この導体21の上に絶縁フィルム22が上下から挟むように被覆されて平板状に形成されている。
なお、本実施例においては、導体21が三本のものが示されているが、導体の本数に関しては、これに限定されるものではない。すなわち、導体21の数は1本以上であればよい。
【0020】
絶縁フィルム22は、例えば、ポリプロピレン等の絶縁材料によって導体21を被覆したものである。
このような、フラットケーブル2は、導体21を間隔をおいて平行に並べ絶縁フィルム22によって上下から挟むように被覆されて平板状に形成されている。フラットケーブル2は、このように平板状に被覆することによって可撓性を備えるように構成されている。
また、このフラットケーブル2の先端端部は、絶縁フィルム22が除去され、導体21が露出されており、この露出された導体21のそれぞれに端子3が接合されている。
【0021】
絶縁フィルム22には、各導体21と各導体21との間に、上下に貫通する穴23が設けられている。この穴23は、本実施例においては、導体21aと導体21bとの間と、導体21bと導体21cとの間の2箇所に設けられている。
また、複数の導体21平行に並べ上から絶縁フィルム22を被覆して形成されるフレキシブルフラットケーブル2の幅方向の両端部には、絶縁フィルム22に凹状又はコ字状のスリット24が設けられている。すなわち、フレキシブルフラットケーブル2の幅方向の両端部は、スリット24によって長手方向中心に向かって凹みが形成された状態となっている。
【0022】
端子3は、導電性を有する金属で形成されており、各導体21に対応して、所定長さを有する長板状に形成されている。この端子3は、フレキシブルフラットケーブル2の各導体21に、超音波溶接、圧着等の方法によって接合され、接合部31が形成されている。
本実施例においては、端子3は雄型端子であり、導体21と接合されいる接合部31が形成されている側の反対側は、接続相手端子と接続されるようになっている。
なお、本実施例においては、フラットケーブル防水コネクタ構造1が、3本の端子3を有するものとなっているが、端子3の本数は、これに限定されるものではなく、端子3の本数は1本以上であればよい。
【0023】
導体21と端子3が接合されいる接合部31と、接合部31より突出する端子3は、コネクタハウジング4内に収納されている。
コネクタハウジング4は、剛性を有する合成樹脂によって形成され、端子3と図示しない接続相手の端子とが接続できるように図示しない接続相手のコネクタと嵌合できるようになっている。
このコネクタハウジング4は、図示しない接続相手のコネクタと嵌合される嵌合部41と、フレキシブルフラットケーブル2を保持するケーブル保持部7とを有している。
【0024】
嵌合部41は、断面外形が長円形状の筒状に形成され、内部に図示しない接続相手のコネクタが嵌入されるようになっている。すなわち、図示しない接続相手のコネクタが嵌合部41が嵌合部41に嵌入されることによって、端子3が接続相手のコネクタに設けられた図示しない接続相手のコネクタの端子と接続されるようになっている。
ケーブル保持部7は、シール部5と保持部6とからなり、フレキシブルフラットケーブル2の導体21と端子3との接合部31を含んでフレキシブルフラットケーブル2を保持する部分である。
【0025】
シール部5は、フレキシブルフラットケーブル2の導体21と、端子3とが接合されている接合部31を含み、接合部31からコネクタハウジング4の嵌合部41側に向かって所定距離の端子3と、接合部31からフレキシブルフラットケーブル2の長手方向に向かって所定距離の導体21に、覆い被さるように、一体成形によって被覆する樹脂である。
すなわち、シール部5は、フレキシブルフラットケーブル2の導体21と、端子3とが接合されている接合部31を含み、端子3と導体21とを包み込むように樹脂を被覆することによって形成されている。
【0026】
シール部5は、密着性が高い樹脂、又は熱可塑性エラストマによって一体成形されて形成されている。この密着性が高い樹脂は、通常の樹脂よりも高い密着性を有する樹脂である。また、熱可塑性エラストマは、スチレン・ブタジエン系,ポリオレフィン系,ウレタン系,ポリエステル系,ポリアミド系,1,2−ポリブタジエン,ポリ塩化ビニル系,アイオノマーなどの熱可塑性エラストマ樹脂で構成されている。
このシール部5は、フレキシブルフラットケーブル2の絶縁フィルム22の形成部位から長手方向に向かって所定距離の導体21を覆い被せるように、一体成形によって被覆してある。このシール部5と絶縁フィルム22とは、シール部5が密着性が高い樹脂、又は熱可塑性エラストマ形成されておれ、絶縁フィルム22がポリプロピレン等の絶縁材料によって形成されているため、接着性があり密着性が高くなっている。
【0027】
したがって、密着性が高い樹脂、又は熱可塑性エラストマによって一体成形によってケーブル保持部7のシール部5を形成すると、シール部5と端子3、シール部5と導体21とは、密着性を良くすることができる。
このため、
図4に示す如く、フレキシブルフラットケーブル2にコネクタハウジング4から引き抜くような外力Aが掛かった場合は、シール部5におけるシール部5と端子3とが密着する密着部51、シール部5と導体21とが密着する密着部52に力がかかる。
しかしながら、密着部51と、密着部52に力がかかっても、フレキシブルフラットケーブル2とシール部5との密着性は、高いため、外力Aによって密着性は低下することなく、充分な密着性を保つことができる。
【0028】
保持部6は、
図6に示す如く、シール部5の外周に、シール部5を覆いフレキシブルフラットケーブ2の穴23及びスリット24に掛かるように一体成形によって被覆する樹脂である。そして、この保持部6は、コネクタハウジング4を構成するケーブル保持部7を構成している。
保持部6は、高剛性樹脂によって一体成形されて形成されている。この高剛性樹脂は、一般的にコネクタハウジングの材料に用いられるポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA) 、液晶ポリマー(LCP)等の熱可塑性樹脂のことで、コネクタハウジング4を形成するに充分な剛性を備えた樹脂によって構成されている。
【0029】
フレキシブルフラットケーブ2の絶縁フィルム22には、穴23が2箇所に設けられている。
シール部5の外周に、シール部5を覆いフレキシブルフラットケーブ2の穴23及びスリット24に掛かるように保持部6を一体成形によって被覆すると、穴23には、絶縁フィルム22の上に保持部6を形成する際に被覆する樹脂が、フレキシブルフラットケーブ2の穴23の両側から入り込む。
したがって、
図4に示す如く、フレキシブルフラットケーブル2にコネクタハウジング4から引き抜くような外力Aが掛かると、穴23に入り込んだ保持部6を形成する樹脂が、フレキシブルフラットケーブル2のコネクタハウジング4から引き抜かれる方向に対してストッパの役目を果たす。
【0030】
このため、フレキシブルフラットケーブル2にコネクタハウジング4から引き抜くような外力Aが掛かっても、フレキシブルフラットケーブル2が保持部6から抜けて外れることがなく、保持部6によってフレキシブルフラットケーブル2を確実に保持することができる。
このようにフレキシブルフラットケーブ2の絶縁フィルム22に2箇所設けられている穴23は、保持部6を形成する樹脂を絶縁フィルム22の上に被覆した際に、保持部6を形成する溶融樹脂が穴23の両側から入り込み、フレキシブルフラットケーブル2に抜き方向の外力が掛かった際に、穴23に入り込んだ保持部6を形成する被覆樹脂によってストッパの役目を果たさせるためのものである。すなわち、この穴23は、穴23に入り込む樹脂によって、外力によってフレキシブルフラットケーブル2が保持部6から抜けて外れることがなく、保持部6によってフレキシブルフラットケーブル2が確実に保持できるようにするためのものである。
【0031】
フレキシブルフラットケーブ2の絶縁フィルム22には、凹状又はコ字状のスリット24がフレキシブルフラットケーブル2の幅方向の両端部に設けられている。
シール部5の外周に、シール部5を覆いフレキシブルフラットケーブ2のスリット24に掛かるように保持部6を一体成形によって被覆すると、スリット24には、絶縁フィルム22の上に保持部6を形成する際に被覆する樹脂が、入り込み、
図6に示す如く、保持部6が形成される。
したがって、フレキシブルフラットケーブル2に、
図4に示す如きコネクタハウジング4から引き抜くような外力Aが掛かると、スリット24に入り込んで扱かした樹脂で構成される保持部6が、フレキシブルフラットケーブル2のコネクタハウジング4から引き抜かれる方向に対してストッパの役目を果たす。
【0032】
このようにフレキシブルフラットケーブ2の絶縁フィルム22にフレキシブルフラットケーブル2の幅方向の両端部に設けられている凹状又はコ字状のスリット24は、保持部6を形成する樹脂を絶縁フィルム22の上に被覆した際に、保持部6を形成する溶融樹脂がスリット24に入り込み、フレキシブルフラットケーブル2に抜き方向の外力が掛かった際に、スリット24に入り込んだ保持部6を形成する被覆樹脂が係合突起の役目を果たさせるためのものである。
すなわち、このスリット24は、スリット24に入り込む樹脂によって、外力によってフレキシブルフラットケーブル2が保持部6から抜け出るのを防いで保持部6によってフレキシブルフラットケーブル2が確実に保持できるようにするためのものである。
このようにフレキシブルフラットケーブル2は、穴23とスリット24との協働によって、フレキシブルフラットケーブル2をより強固に保持部6で保持できるようにしている。
【実施例2】
【0033】
図7には、本発明の実施の形態にかかるフラットケーブル防水コネクタ構造の製造方法の実施例が示されている。
図7は、
図1に示したフラットケーブル防水コネクタ構造1の製造方法を示した図である。
図において、本発明の実施の形態にかかるフラットケーブル防水コネクタ構造は、
図1−6に図示のフラットケーブル防水コネクタ構造1ど同一の構成を有している。
【0034】
まず、フラットケーブル2の端子3との接続側端部の絶縁フィルム22を除去し、各導体21(21a,21b,21c)を露出させる。そして、露出した各導体21と各端子3とを超音波溶接、圧着等の方法によって接合する(
図7(a)参照)。
次に、各導体21(21a,21b,21c)と各端子3の接合部31を覆うように密着性が高い樹脂、又は熱可塑性エラストマによってシール部5を一体成形する(
図7(b)参照)。
そして、密着部51と、密着部52に高い密着性を持たせ、フレキシブルフラットケーブル2に、コネクタハウジング4から引き抜くような外力Aが掛かっても、外力Aによって密着性は低下することなく、充分な密着性を保つことができるよようにする。
【0035】
これによってフレキシブルフラットケーブル2の導体21と、端子3とが接合されている接合部31を含み、接合部31からコネクタハウジング4の嵌合部41側に向かって所定距離の端子3と、接合部31からフレキシブルフラットケーブル2の長手方向に向かって所定距離の導体21が被覆される。
【0036】
しかる後、シール部5の上に、シール部5を覆いフレキシブルフラットケーブ2の穴23を覆い、スリット24に掛かるように保持部6を一体成形によって被覆する(
図7(c)参照)。
これによって、保持部6を形成する樹脂が、穴23とスリット24に入り込み、フレキシブルフラットケーブル2に抜き方向の外力Aが掛かった際に、穴23に入り込んだ保持部6を形成する被覆樹脂がストッパの役目を果たすと共に、スリット24に入り込んだ保持部6を形成する被覆樹脂が係合突起の役目を果たし、保持力を向上させる。
【0037】
このように本発明は、フレキシブルフラットケーブ2の端部を一体成型するケーブル保持部7に、シール性向上を目的としたシール部5を形成する一次成型に密着性が高い樹脂を用い、保持力向上を目的とした保持部6には、高剛性樹脂を二次成型することによって、シール性と保持力を確保する構造を得ることができる。
すなわち、本発明は、フレキシブルフラットケーブ2の端部を一体成型するケーブル保持部7を構成するシール部5に密着性が高い樹脂を用いて一次成型を行い、シール部5におけるシール部5と端子3とが密着する密着部51と、シール部5と導体21とが密着する密着部52の密着性を向上し、ケーブル保持部7を構成する保持部6に高剛性樹脂を用いて二次成型を行うことによって、フレキシブルフラットケーブル2にコネクタハウジング4から引き抜く方向への外力Aが掛かっも、フレキシブルフラットケーブル2がコネクタハウジング4から引き抜かれないような保持力を向上させている。
【0038】
なお、本発明の実施の形態のフラットケーブル防水コネクタ構造1は、端子3が雄端子であるものを例示したがこれに限らず雌端子であってもよい。
【0039】
また、本発明の実施の形態のフラットケーブル防水コネクタ構造1は、コネクタハウジング4が、断面外形が長円形状の筒状の嵌合部41を有してなり、内部に図示しない接続相手のコネクタを嵌入するようになっているものを例示したが、これに限るものではない。すなわち、接続相手のコネクタと嵌合される形状であればその他の形状を用いても構わない。
【0040】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。