(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切断コマがラベル連続体を切断する際に、前記移送ベルトが前記位置決め部材に向けて押圧されて前記移送ベルトの内歯が前記位置決め部材の凹凸部に係合することによって前記移送ベルトが位置決めされ、その後、前記切断コマが元の位置に戻る際に、前記移送ベルトが前記位置決め部材から離反することによって長手方向に移動可能となる、請求項1記載の携帯式ラベル貼付け機。
前記操作レバーが第1の位置から第2の位置に回転したときに前記移送ベルト上のラベルに印字を行う印字機構をさらに具備する、請求項1〜3のいずれか1項記載の携帯式ラベル貼付け機。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯式ラベル貼付け機は、台紙上に複数枚のラベルが仮着されたラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持し、ロール体からラベル連続体を繰り出して、ラベル剥離部で台紙を転向させ、個々のラベルを台紙から剥離して被貼付け体に貼り付け可能としている(特許文献1参照)。従って、ラベルの貼り付け後には、台紙は不要となって廃棄されるので、資源の無駄が生じていた。
【0003】
そこで、特許文献2に記載されているように、台紙のないラベル連続体を使用することができる携帯式ラベル貼付け機が要請されるに至った。台紙のないラベル連続体を使用すれば、資源を無駄にすることがなく、環境に配慮した携帯式ラベル貼付け機を実現することができる。
【0004】
台紙のないラベル連続体は、例えば、帯状のラベル基材に所定の間隔で幅方向にミシン目やスリット等の切断部を形成することによって個々のラベルを分離可能とし、ラベル基材の裏面の左右両側縁部に粘着剤層を細帯状に設け、ラベル基材の表面の相当部分に剥離剤層(シリコーンオイル層等)を細帯状に設けたものであり、ラベル基材の表面における左右の剥離剤層の間の領域を印字領域としている。以下においては、ラベル連続体に、切断部としてミシン目が形成されている場合について説明する。また、ラベル連続体を正確に移送するために、ラベル連続体の切断部には、例えば、長円形状を有する1つ又は複数の移送用スリットが形成されていても良い。
【0005】
携帯式ラベル貼付け機には、筐体に設けられたグリップに対して所定の角度範囲内で回転可能な操作レバーが設けられており、操作レバーの回転に伴って、搬送機構がラベル連続体を搬送し、ラベル連続体が停止した際に、ラベル切断機構(バースター機構又はカッター機構ともいう)がラベル連続体を切断して個々のラベルに分離する。
【0006】
例えば、搬送機構は、移送ローラーと移送ベルトとを含んでいる。移送ローラーには、ラベル基材に形成された移送用スリットに係脱可能な複数の移送用爪が一定の角度間隔で設けられており、移送ローラーが回転することにより、ラベル連続体を移送ベルト上に移送する。移送ベルトは、ラベル連続体の裏面(粘着剤層)に当接してラベル連続体を所定の方向に移送する。
【0007】
ラベル切断機構は、移送ベルト及びラベル連続体の幅方向に移動する切断コマを含み、切断コマが移送ベルト上のラベル連続体を横断して移動することにより、ラベル連続体をミシン目に沿って切断し、ラベル連続体から単葉のラベルを分離する。
【0008】
ラベル連続体の切断を容易にするために、移送ベルトの外周面には、幅方向に延在するガイド溝が長手方向に所定のピッチで形成されている。従って、ラベル切断機構によってラベル連続体を良好に切断するためには、移送ベルトのガイド溝とラベル連続体のミシン目と切断コマの円周先端部とが一直線上に並ぶように、移送ベルト及びラベル連続体を停止させる必要がある。
【0009】
しかしながら、移送ベルト又は他の部品の寸法精度又は取付精度によっては、移送ベルトのガイド溝の停止位置が切断コマの円周先端部の位置からずれてしまう場合がある。そのような場合には、移送ベルトのガイド溝とガイド溝との間の凸部に切断コマが乗り上げたり、ラベル連続体のミシン目の位置に対応するガイド溝に隣接するガイド溝に切断コマが入り込んでしまったりすることがある。その結果、ラベル連続体をミシン目に沿って切断できなくなり、動作不良が発生するという問題が生じている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯式ラベル貼付け機の一方の側板を取り除いた状態を示す側面図である。携帯式ラベル貼付け機1は、帯状のラベル連続体3がロール状に巻回されたロール体からラベル連続体3を引き出して個々のラベル3aに分離し、必要に応じてラベル3aに印字を行い、ラベル3aを被貼付け体(図示せず)に貼り付けるために用いられるものであり、特に、台紙(剥離紙)のないラベル連続体に適応可能である。
【0016】
図1に示すように、携帯式ラベル貼付け機1は、筐体を構成する左右1対の側板2(
図1においては、一方の側板のみを示す)と、ラベル連続体3がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構4と、操作レバー5と、プラテンユニット6と、印字器7と、ラベル切断機構8と、貼付けローラー9とを含んでいる。
【0017】
保持機構4は、側板2に設けられたホルダー軸13の回りに回転することにより側板2に対して開閉可能に取り付けられたホルダーカバー14と、このホルダーカバー14の内部に設けられたラベル保持軸15とを含み、ラベル連続体3がロール状に巻回されたロール体をラベル保持軸15に装填保持することが可能である。
【0018】
左右1対の側板2には、操作者が握持可能なグリップ10が一体的に設けられている。操作レバー5は、このグリップ10に対して、レバー軸11の回りに所定の角度範囲内で回転可能に取り付けられている。操作レバー5とグリップ10との間には、任意の付勢部材、例えば、コイルスプリング12が設けられており、グリップ10に対して操作レバー5を
図1に示すような解放時離反状態に付勢可能としている。
【0019】
操作者は、コイルスプリング12の付勢力に抗してグリップ10と共に操作レバー5を握持及び解放することにより、プラテンユニット6、印字器7、及び、ラベル切断機構8を駆動し、その後、貼付けローラー9を用いて、ラベル連続体3から分離された単葉のラベル3aを被貼付け体に貼り付ける操作を行うことになる。
【0020】
プラテンユニット6は、操作レバー5の回転に伴ってラベル連続体3を貼付けローラー9の方向に搬送する搬送機構であり、先端部(図中左端)からラベル3aを送り出し、貼付けローラー9によりラベル3aを被貼付け体に貼り付け可能とする。
【0021】
図2は、
図1に示すプラテンユニットの分解斜視図である。プラテンユニット6は、プラテンフレーム18と、移送ローラー19と、押付けエレメント20とを含み、移送ローラー19と押付けエレメント20との間は互いに接離可能となっている。
【0022】
プラテンフレーム18は、プラテン開閉軸21の回りに回転することにより筐体に対して開閉可能となるように筐体に取り付けられる。プラテンフレーム18の先端側の左右には、1対の係脱ローラー26が突出するように形成されており、開閉用つまみ49(
図1)に連結された開閉用係脱片と係脱可能になっている。開閉用つまみ49を操作してプラテンユニット6全体を筐体に対して開閉することにより、
図1に示すラベル連続体3をプラテンフレーム18と移送ローラー19との間に挿通して装填することが可能となる。
【0023】
移送ローラー19は、プラテンフレーム18に形成された開口に、ローラー軸27の回りに回転可能に取り付けられ、ラベル連続体3の表面(剥離剤層)に当接して回転することにより、保持機構4(
図1)に保持されたロール体からラベル連続体3を引き出して移送する。
【0024】
ラベル連続体3の切断部に1つ又は複数の移送用スリットが形成されている場合には、移送ローラー19に、1列又は複数列の移送用爪33が所定のピッチで設けられても良い。それらの移送用爪33は、ラベル連続体3の移送用スリットに係脱可能となっている。
図2に示す例においては、2列の移送用爪33が設けられた円周部の間に中央円周溝32が形成され、それらの円周部の両側には、左右1対の外側円周溝34が形成されている。
【0025】
図3は、
図1に示す操作レバー及びプラテンユニットの要部斜視図である。操作レバー5は、その先端側に二股形状のヨーク部5aを有し、このヨーク部5aに印字器7(
図1)が取り付けられる。また、操作レバー5においてレバー軸11の下方に延びる連結アーム28の連結軸29には、移送回転用爪30が往復動可能に取り付けられている。この移送回転用爪30は、図中上方に付勢され、移送ローラー19においてローラーギア25の側面に放射状に設けられた複数の移送用突起31の各々に係脱可能となって、移送ローラー19を回転させる。操作レバー5及び連結アーム28〜移送用突起31は、
図1に示すグリップ10〜コイルスプリング12と共に、操作レバー5の回転に伴ってプラテンユニット6等を駆動する操作機構を構成する。
【0026】
また、プラテンユニット6は、操作機構によって駆動される少なくとも1つのギアを含む複数のギア又はローラー(図中においては、駆動ギア22及び従動ギア23を示す)と、それらのギア又はローラーの回りに掛け回された移送用無端ベルト(移送ベルト)24とを含んでいる。
【0027】
移送用無端ベルト24は、駆動ギア22に係合する内歯が長手方向に所定のピッチで形成された内周面と、幅方向に延在するガイド溝(横断凹部)が長手方向に該所定のピッチで形成された外周面とを有し、移送ローラー19によってロール体から引き出されたラベル連続体を移送する。
【0028】
移送用無端ベルト24のガイド溝は、ラベル切断機構8(
図1)の切断コマ(バースターコロ)によるラベル連続体の切断を容易にするために形成されている。また、移送用無端ベルト24において、内周面の内歯の凹部と外周面のガイド溝とは、対応する位置に(同位相で)形成されていることが望ましい。
【0029】
駆動ギア22〜移送用無端ベルト24は、移送ローラー19から供給されるラベル連続体3を所定の方向に移送する移送機構を構成する。駆動ギア22が移送ローラー19のローラーギア25に係合することにより、移送ローラー19の回転に伴って移送用無端ベルト24が駆動される。移送用無端ベルト24は、ラベル連続体の裏面(粘着剤層)に当接してラベル連続体を移送する。なお、従動ギア23の替わりに、円柱状ローラーを用いるようにしても良い。
【0030】
ここで、操作者がグリップ10(
図1)と共に操作レバー5を握持することにより、操作レバー5が第1の位置(図中下側)から第2の位置(図中上側)に回転する。これにより、連結アーム28に連結軸29を介して連結された移送回転用爪30が、それまで係合していた1つの移送用突起31の図中左側に隣接するもう1つの移送用突起31に係合するようになる。
【0031】
また、操作レバー5の回転に伴って、ラベル切断機構8(
図1)が、移送用無端ベルト24上のラベル連続体をミシン目(マイクロミシン目)に沿って切断し、ラベル連続体から単葉のラベルを分離する。さらに、ヨーク部5aに取り付けられた印字器7(
図1)が、ラベル連続体から分離された単葉のラベルに押印を行う。
【0032】
一方、操作者がグリップから操作レバー5を解放することにより、操作レバー5が第2の位置から第1の位置に回転して、連結アーム28に連結軸29を介して連結された移送回転用爪30が、係合している移送用突起31を押し込む。これにより、移送ローラー19がローラー軸27の回りに所定の角度だけ回転して、保持機構4(
図1)に保持されたロール体からラベル連続体を引き出して移送する。また、ローラーギア25を介して駆動ギア22が回転するので、移送用無端ベルト24が所定の距離だけ駆動され、移送ローラー19から供給されるラベル連続体を所定の方向に移送する。
【0033】
移送用無端ベルト24の表面には、移送されるラベル連続体の裏面(粘着剤層)が接触するので、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材で移送用無端ベルト24を作製するか、又は、移送用無端ベルト24の表面に剥離剤等を塗布しておくことが望ましい。また、移送用無端ベルト24は、印字器7によるラベル連続体への押印動作の受け台ともなるので、プラテンフレーム18(
図2)において、印字器7に対向する移送用無端ベルト24の内側に、受圧用プレートが配置されても良い。
【0034】
再び
図2を参照すると、押付けエレメント20は、エレメントフレーム35と、上下左右2対のバックアップローラー36と、バックアップローラー36の内側に位置する左右1対のバックアップリング37と、ねじりコイルバネ38と、左右1対の板バネ39とを含んでいる。
【0035】
エレメントフレーム35は、移送ローラー19の円周部に対向する左右1対の支持フレーム41と、支持フレーム41から外側に跨るように突出する左右1対の拡幅フレーム42と、支持フレーム41に設けられてバックアップローラー36及びバックアップリング37を取り付けるための上下1対の回転軸43とを含んでいる。ねじりコイルバネ38は、押付けエレメント20から移送ローラー19を離反させ、それらの間にラベル連続体を挿通可能とする間隙を形成可能とする。
【0036】
図4は、プラテンユニットが筐体に対して閉じられた状態を示す側面図である。プラテンユニット6が筐体に対して閉じられると、移送ローラー19と押付けエレメント20とが互いに押し付けられた状態になる。その際に、バックアップローラー36及びバックアップリング37(
図2)が、ラベル連続体を移送ローラー19側に押し付ける。
【0037】
ここで、バックアップローラー36及びバックアップリング37は、ラベル連続体の裏面(粘着剤層)に線接触するので、粘着剤層との粘着力を極力小さくすることができると共に、左右1対の板バネ39によって、所定のバネ弾性をもった押付けが可能である。なお、バックアップローラー36及びバックアップリング37は、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材で作製するか、又は、表面に剥離剤等を塗布しておくことが望ましい。
【0038】
バックアップリング37が、移送ローラー19に形成された外側円周溝34に沿って回転することにより、移送ローラー19と押付けエレメント20との間にラベル連続体が挟持される。また、移送ローラー19の移送用爪33(
図2)がラベル連続体の表面側から移送用スリットに係合し、移送ローラー19の回転によってラベル連続体が移送用無端ベルト24上に送り出される。
【0039】
図5は、プラテンユニットが筐体に対して開かれた状態を示す側面図である。プラテンユニット6が筐体に対して開かれると、移送ローラー19が押付けエレメント20から離間して、それらの間にラベル連続体3を導入するための間隙40が形成される。
【0040】
支持フレーム41に固定された拡幅フレーム42は、プラテンフレーム18の外壁面に設けられたエレメント軸47の回りに回動可能に取り付けられており、プラテンフレーム18を押付けエレメント20に対して相対的に回動可能としている。
【0041】
ねじりコイルバネ38は、一方の支持フレーム41の外壁面に設けられたバネ取付け軸44に回動可能に支持されており、プラテンフレーム18の内壁面に設けられた第1のバネ受け45と、上記一方の支持フレーム41に設けられた第2のバネ受け46とに両端が当接することにより、プラテンフレーム18を押付けエレメント20に対して解放状態(
図5)となる方向に付勢する。
【0042】
板バネ39は、移送ローラー19とは反対側の支持フレーム41の背面に取り付けられており、操作レバーのレバー軸11(
図3)の部分に当接することにより、ねじりコイルバネ38と協動して、プラテンフレーム18を筐体に対して解放状態(
図5)となる方向に付勢する。
【0043】
図6は、
図1に示す操作レバー及びラベル切断機構の斜視図である。
図7は、
図6に示すラベル切断機構の分解斜視図である。
図8は、
図7に示すラベル切断機構の組立図である。ラベル切断機構8は、
図7に示すように、切断コマ51と、連動機構52とを含んでおり、操作レバー5の回転に伴って、移送用無端ベルト24(
図2)の外周面上のラベル連続体に切断コマ51を押圧し、移送用無端ベルト24のガイド溝に沿って切断コマ51を移動させることにより、ラベル連続体をマイクロミシン目に沿って切断して単葉のラベルに分離する。
【0044】
切断コマ51の材料としては、所定の剛性及び非粘着性を有することが望ましく、例えば、ポリアセタール(POM)等の樹脂や、必要に応じてシリコーンやフッ素系のコーティング剤(剥離剤)等が塗布されたポリカーボネート(PC)やアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の樹脂を採用しても良い。
【0045】
図6〜
図8に示すように、連動機構52は、縦レール部材(第1のレール部材)53と、連結プレート54と、リンクバー55と、バースターブラケット56と、横レール部材(第2のレール部材)57とを含んでいる。
【0046】
縦レール部材53は、一方の側板2(
図1)の内壁面に固定されており、その中央部に縦ガイド溝58が形成され、この縦ガイド溝58内に連結プレート54が上下往復動可能に組み付けられている。連結プレート54は、
図6に示す操作レバー5の一方のヨーク部5aに形成されたヨーク連結孔59に嵌め込まれる連結ピン60を有しており、操作レバー5に連動して縦レール部材53に沿って往復動する。また、連結プレート54には、リンク連結孔61が形成されており、このリンク連結孔61にリンクバー55の連結ピン62が嵌め込まれて、操作レバー5(ヨーク部5a)からの駆動力がリンクバー55に伝達される。
【0047】
リンクバー55には、連結ピン62と反対側の端部に、左右1対のブラケット連結ピン63が設けられている。リンクバー55は、連結プレート54とバースターブラケット56との間に連結されて、縦レール部材53及び横レール部材57に対して傾斜した姿勢の状態で、連結プレート54の往復動に応じてバースターブラケット56を往復動させる。
【0048】
バースターブラケット56は、ブラケット本体64と、左右1対の支点ピン65と、左右1対の姿勢規制ピン66と、左右1対の弾性突起67とを含み、移送用無端ベルト24(
図2)の幅方向に沿って往復動可能である。バースターブラケット56には、切断コマ51が回転自在に取り付けられている。
【0049】
図7に示すブラケット本体64には、バー連結孔68が形成されており、このバー連結孔68にリンクバー55のブラケット連結ピン63が嵌め込まれて、ブラケット本体64にリンクバー55が連結される。従って、リンクバー55を縦レール部材53及び横レール部材57に対して傾斜した状態で移動させることにより、バースターブラケット56と共に切断コマ51をラベル連続体の幅方向に往復運動させることができる。
【0050】
横レール部材57は、移送用無端ベルト24(
図2)の上部に位置するように、移送用無端ベルト24の幅方向に沿って、縦レール部材53に対して直角に配置される。横レール部材57には、バースターブラケット56の支点ピン65及び姿勢規制ピン66が案内されるガイド窓69が、その左右側の壁面に形成されている。
【0051】
ガイド窓69は、バースターブラケット56をラベル連続体の幅方向にガイドすると共に、その動作範囲を規制する。支点ピン65及び姿勢規制ピン66は、横レール部材57に形成されたガイド窓69に沿って移動可能である。姿勢規制ピン66は、ガイド窓69の上方内壁面69a又は下方内壁面69bに接離して、バースターブラケット56の姿勢、即ち、切断コマ51のラベル連続体に対する接離態勢(押付け及び離反)を規制する。また、
図8に示すように、横レール部材57の底面部には、移送用無端ベルト24(
図2)の幅方向に沿って姿勢制御窓70が形成されている。
【0052】
図1に示すグリップ10と共に操作レバー5を握持することにより、ラベル切断機構8によるラベル連続体3の切断が行われる。ラベル連続体3の切断を容易にするために、
図9に示すように、移送用無端ベルト24の外周面(図中上側)には、移送用無端ベルト24の幅方向に延在するガイド溝24aが、移送用無端ベルト24の長手方向に所定のピッチで形成されている。なお、
図9〜
図11においては、移送用無端ベルト24の背後に受圧用プレート16が配置される場合が示されている。
【0053】
ラベル切断機構によってラベル連続体3を良好に切断するためには、
図9に示すように、移送用無端ベルト24のガイド溝24aと、ラベル連続体3のマイクロミシン目3bと、切断コマ51の円周先端部51aとが一直線上に並ぶように、移送用無端ベルト24及びラベル連続体3を停止させる必要がある。
【0054】
しかしながら、移送用無端ベルト24又は他の部品の寸法精度又は取付精度によっては、
図10に示すように、移送用無端ベルト24のガイド溝24aの停止位置が切断コマ51の円周先端部51aの位置から右側(
図10(A))又は左側(
図10(B))にずれてしまう場合がある。そのような場合には、移送用無端ベルト24のガイド溝とガイド溝との間の凸部に切断コマ51が乗り上げて、ラベル連続体3の切断が良好に行われないことがある。
【0055】
また、移送用無端ベルト24の停止位置がさらにずれると、
図11に示すように、ラベル連続体3のマイクロミシン目3bの位置に対応するガイド溝24aに隣接するガイド溝に切断コマ51が入り込んでしまう場合がある。そのような場合には、ラベル連続体3をマイクロミシン目3bに沿って切断できなくなる。
【0056】
そこで、本実施形態においては、
図9〜
図11に示す受圧用プレート16に替えて、
図12に示す位置決め部材17が、移送用無端ベルト24の背後に配置される。
図12は、移送用無端ベルトと位置決め部材との位置関係を示す一部断面図であり、
図12(A)は、切断コマがラベル連続体を切断する状態を示し、
図12(B)は、切断コマが元の位置に戻る状態を示している。
【0057】
位置決め部材17は、プラテンフレーム18に設けることが好ましく、移送用無端ベルト24の内周面(図中下側)に対向して配置される。位置決め部材17は、移送用無端ベルト24の内歯に係合する凹凸部17aを含んでおり、切断コマ51がラベル連続体3を切断する際に、移送用無端ベルト24のガイド溝24aの位置が切断コマ51の円周先端部51aの位置に対応するように移送用無端ベルト24を位置決めする。
【0058】
切断コマ51がラベル連続体3を切断する際には、
図12(A)に示すように、移送用無端ベルト24が切断コマ51によって位置決め部材17に向けて押圧され、移送用無端ベルト24の内歯が位置決め部材の凹凸部17aに係合することによって、移送用無端ベルト24が位置決めされる。その後、切断コマ51が元の位置に戻る際には、
図12(B)に示すように、移送用無端ベルト24が位置決め部材17から離反することによって長手方向に移動可能となる。
【0059】
図13は、移送用無端ベルトの停止位置のずれを補正する動作を示す一部断面図であり、
図13(A)は、補正前の状態を示し、
図13(B)は、補正された状態を示している。
図13(A)に示すように、移送用無端ベルト24のガイド溝24aの停止位置が切断コマ51の円周先端部51aの位置からある程度ずれたとしても、移送用無端ベルト24が切断コマ51によって位置決め部材17に向けて押圧され、移送用無端ベルト24の内歯が位置決め部材の凹凸部17aに係合することによって、
図13(B)に示すように、移送用無端ベルト24の停止位置が補正される。その結果、移送用無端ベルト24のガイド溝24aと、ラベル連続体3のマイクロミシン目3bと、切断コマ51の円周先端部51aとが、一直線上に並ぶことになる。
【0060】
図14は、操作レバーの解放状態における切断コマ及び連動機構の側面図であり、
図15は、操作レバーが握持されてラベル連続体の切断が開始される状態における切断コマ及び連動機構の側面図である。また、
図16は、切断コマ及び連動機構の切断動作を説明するための要部側面図であり、
図17は、切断コマ及び連動機構の復帰動作を説明するための要部側面図である。
【0061】
図1に示すグリップ10から操作レバー5を解放した状態では、コイルスプリング12がヨーク部5aを引き上げる力によって、
図14に示す連動機構52において、連結プレート54が縦レール部材53の縦ガイド溝58(
図7)内で最上位に位置している。従って、連結プレート54にリンクバー55を介して連結されたバースターブラケット56が、支点ピン65の回りに反時計方向に僅かに回転し、姿勢規制ピン66が横レール部材57のガイド窓69の上方内壁面69aに当接して、切断コマ51がラベル連続体3の表面から僅かに上方に離反している状態にある。
【0062】
グリップ10と共に操作レバー5が握持されると、
図15に示すように、ヨーク部5aからの駆動力(矢印A1)が連結プレート54からリンクバー55に伝達される。これにより、姿勢規制ピン66が支点ピン65の回りに時計方向に僅かに回転して(矢印A2)、下方内壁面69bに当接する。従って、切断コマ51が、移送用無端ベルト上のラベル連続体3より下方に入り込むことができるレベル位置に下がる。
【0063】
このとき、
図15に示すように、切断コマ51は、ラベル連続体3の図中左端縁部よりも僅かに左方に位置している。操作レバー5のさらなる握持により、切断コマ51がこの状態から右方に移動するので、切断コマ51がラベル連続体3の側面部に切り込んで行くことになる。
【0064】
操作レバー5がさらに握持されると、操作レバー5からの駆動力の伝達によって連結プレート54がさらに下降し、リンクバー55を介してバースターブラケット56に駆動力が伝達する。これにより、
図16に示すように、バースターブラケット56が横レール部材57のガイド窓69の右端に向けて移動し、
図12(A)に示すように、切断コマ51が、移送用無端ベルト24のガイド溝24aに沿って移動する。
【0065】
切断コマの円周先端部51aは、ラベル連続体3の端縁部分に所定の押圧力を印加しながら移送用無端ベルト24のガイド溝24a内に入り込み、ラベル連続体3の端縁部分に延在しているマイクロミシン目3bに沿ってラベル連続体3を破断させて行く。その結果、ラベル連続体3を比較的小さな力で切断して、ラベル連続体3を単葉のラベルに分離することができる。
【0066】
操作レバー5を完全に握りきった状態で、切断コマ51がラベル連続体3の切断を完了する。次に、操作レバー5が解放されると、コイルスプリング12(
図1)が連結プレート54に作用する引き上げ力により、リンクバー55が連結プレート54によって引き上げられて行く。これにより、切断コマ51がラベル連続体3から離反し始める。
【0067】
図17に示すように、バースターブラケット56が支点ピン65の回りに反時計方向に回転し、姿勢規制ピン66がガイド窓69の上方内壁面69aに当接して、
図12(B)に示すように、切断コマ51がラベル連続体3の表面から浮き上がった状態となる。操作レバー5の解放に伴い、連結プレート54及びリンクバー55が上方に復帰し、バースターブラケット56が元の位置に復帰する。
【0068】
操作レバー5が解放される過程において、
図2に示す移送ローラー19によってラベル連続体3が所定の角度だけ移送されると共に、移送用無端ベルト24によってラベル連続体3が所定の距離だけ移送される。従って、ラベル連続体3の移動中においては、切断コマ51がラベル連続体3と接触又は干渉せず、ラベル連続体3の移送に支障がないようにしている。
【0069】
ただし、操作レバー5の握持及び解放によるラベル連続体3の切断動作及び移送動作の僅かなタイミング差によって、切断コマ51がラベル連続体3又は移送用無端ベルトのガイド溝24aに係合している状態のままでラベル連続体3が移送されたとしても、切断コマの円周先端部51aのテーパー形状と、移送用無端ベルトのガイド溝24aのテーパー形状とは、ほぼ同一の傾斜面となるように形成されているので(
図12を参照)、ラベル連続体3の移送を停止させてしまうことなく、切断コマ51が移送用無端ベルトのガイド溝24aから上方へ離反することができる。
【0070】
再び
図1を参照すると、印字器7は、操作レバー5における二股形状のヨーク部5aの先端部側に取り付けられており、操作者がグリップ10と共に操作レバー5を握持すると、印字器7も回転する。それにより、インキローラー48によって印字器7の活字部7aにインキが塗布され、移送用無端ベルト24の上面に付着して移送されて来るラベル3aに活字部7aが当接することにより、ラベル3aに所定の情報が印字される。ここで、印字器7及びインキローラー48は、移送用無端ベルト24上のラベル3aに印字を行う印字機構を構成している。なお、既に印字が行われているラベル連続体3を用いる場合には、ラベル3aに印字を行う必要がないので、印字器7を取り外す等によって、印字を省略することができる。
【0071】
貼付けローラー9は、携帯式ラベル貼付け機1の筐体の先端下方部(
図1における左端下方部)に位置すると共に、その円周の一部が筐体の外部に露出しており、移送用無端ベルト24によってプラテンユニット6の先端部分に搬送されて来たラベル3aに当接する。操作者が、貼付けローラー9上のラベル3aを被貼付け体に押し付ける貼付け操作を行うことにより、ラベル3aが貼付けローラー9によって被貼付け体に圧着されて貼り付けられる。