特許第5792046号(P5792046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792046
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20150917BHJP
   H04N 5/357 20110101ALI20150917BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   H04N5/232 Z
   H04N5/335 570
   H04N5/225 F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-268103(P2011-268103)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-121069(P2013-121069A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(72)【発明者】
【氏名】岡部 将志
【審査官】 榎 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−121386(JP,A)
【文献】 特開平4−351189(JP,A)
【文献】 特開2002−44442(JP,A)
【文献】 特開2001−292369(JP,A)
【文献】 特開2004−272077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222〜257
H04N 5/357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段のγ特性を記憶するγ特性記憶部と、
前記撮像手段によって取得されたシェーディングパターンと、該シェーディングパターンを取得した際の第1の露出時間とを記憶するシェーディングデータ記憶部と、
前記撮像手段によって取得された画像データと、該画像データを取得した際の第2の露出時間とを記憶する画像情報記憶部と、
前記シェーディングデータ記憶部に記憶されているシェーディングパターンを前記γ特性記憶部に記憶されているγ特性に基づいて、γ補正前のシェーディングパターンである補正前パターンを算出する補正前パターン算出部と、
該補正前パターン算出部により算出された補正前パターンに、前記第1の露出時間に対する前記第2の露出時間の比率を乗算した後にγ補正を施して、修正パターンを算出する修正パターン算出部と、
該修正パターン算出部により算出された修正パターンを用いて前記画像情報記憶部に記憶されている画像データにシェーディング補正を施すシェーディング補正部とを備える画像処理装置。
【請求項2】
撮像手段のγ特性を記憶するγ特性記憶部と、
前記撮像手段によって取得されたシェーディングパターンと前記γ特性記憶部に記憶されているγ特性とに基づいて、γ補正前のシェーディングパターンである補正前パターンを算出する補正前パターン算出部と、
該補正前パターン算出部により算出された補正前パターンと、前記シェーディングパターンを取得した際の第1の露出時間とを記憶するシェーディングデータ記憶部と、
前記撮像手段によって取得された画像データと、該画像データを取得した際の第2の露出時間とを記憶する画像情報記憶部と、
該シェーディングデータ記憶部に記憶されている補正前パターンに、前記第1の露出時間に対する前記第2の露出時間の比率を乗算した後にγ補正を施して、修正パターンを算出する修正パターン算出部と、
該修正パターン算出部により算出された修正パターンを用いて前記画像情報記憶部に記憶されている画像データにシェーディング補正を施すシェーディング補正部とを備える画像処理装置。
【請求項3】
前記撮像手段のγ特性を取得するγ特性取得部を備え、
前記γ特性記憶部が、前記γ特性取得部により取得されたγ特性を記憶する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
操作者に前記撮像手段のγ特性を選択させるγ特性選択部を備え、
前記γ特性記憶部が、前記γ特性選択部により選択されたγ特性を記憶する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮像手段の露出時間を切り替えて得られた複数の画像の輝度値に基づいて露出時間と輝度値との関係から該撮像手段のγ特性を推定するγ特性推定部を備え、
前記γ特性記憶部が、前記γ特性推定部により推定されたγ特性を記憶する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、標本の像を撮影する前にシェーディングパターンを取得しておき、撮影により取得された標本の画像を、取得しておいたシェーディングパターンによってシェーディング補正する顕微鏡装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−186917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の顕微鏡装置による標本の撮影に際しては、標本や照明の状態に応じて異なる露出時間が採用されるため、シェーディングパターンを取得した際の露出時間に対して、標本の撮影時の露出時間が大きく異なる場合には、十分なシェーディング補正を行うことができないという不都合がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、露出時間が異なっても適正なシェーディング補正を行うことができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、撮像手段のγ特性を記憶するγ特性記憶部と、前記撮像手段によって取得されたシェーディングパターンと該シェーディングパターンを取得した際の第1の露出時間とを記憶するシェーディングデータ記憶部と、前記撮像手段によって取得された画像データと、該画像データを取得した際の第2の露出時間とを記憶する画像情報記憶部と、前記シェーディングデータ記憶部に記憶されているシェーディングパターンと前記γ特性記憶部に記憶されているγ特性とに基づいて、γ補正前のシェーディングパターンである補正前パターンを算出する補正前パターン算出部と、該補正前パターン算出部により算出された補正前パターンに、前記第1の露出時間に対する前記第2の露出時間の比率を乗算した後にγ補正を施して、修正パターンを算出する修正パターン算出部と、該修正パターン算出部により算出された修正パターンを用いて前記画像情報記憶部に記憶されている画像データにシェーディング補正を施すシェーディング補正部とを備える画像処理装置を提供する。
【0007】
本態様によれば、撮像手段によって取得された画像データおよび第2の露出時間が画像情報記憶部に記憶されると、補正前パターン算出部によって、シェーディングデータ記憶部に記憶されているシェーディングパターンとγ特性記憶部に記憶されているγ特性とに基づいて、補正前パターンが算出される。撮像手段により取得されたシェーディングパターンは自動的にγ補正がかけられているので、補正前パターン算出部においては、撮像手段により取得されたシェーディングパターンからγ補正されていない補正前パターンを算出する。
【0008】
そして、修正パターン算出部において、補正前パターンに第1の露出時間に対する第2の露出時間の比率が乗算されて、修正パターンが算出され、シェーディング補正部において、画像情報記憶部に記憶されている画像データに、修正パターンを用いたシェーディング補正が施される。撮像手段により取得された画像データもγ補正が自動的にかけられているが、これをシェーディング補正するためのシェーディングパターンとして修正パターンを用いているので、第1の露出時間と第2の露出時間とが異なっていても適正なシェーディング補正を施すことができる。
【0009】
また、本発明の他の態様は、撮像手段のγ特性を記憶するγ特性記憶部と、前記撮像手段によって取得されたシェーディングパターンと前記γ特性記憶部に記憶されているγ特性とに基づいて、γ補正前のシェーディングパターンである補正前パターンを算出する補正前パターン算出部と、該補正前パターン算出部により算出された補正前パターンと、前記シェーディングパターンを取得した際の第1の露出時間とを記憶するシェーディングデータ記憶部と、前記撮像手段によって取得された画像データと、該画像データを取得した際の第2の露出時間とを記憶する画像情報記憶部と、該シェーディングデータ記憶部に記憶されている補正前パターンに、前記第1の露出時間に対する前記第2の露出時間の比率を乗算した後にγ補正を施して、修正パターンを算出する修正パターン算出部と、該修正パターン算出部により算出された修正パターンを用いて前記画像情報記憶部に記憶されている画像データにシェーディング補正を施すシェーディング補正部とを備える画像処理装置を提供する。
【0010】
本態様によれば、撮像手段によって取得された画像データおよび第2の露出時間が画像情報記憶部に記憶されると、補正前パターン算出部によって、撮像手段によって取得されたシェーディングパターンとγ特性記憶部に記憶されているγ特性とに基づいて、補正前パターンが算出される。撮像手段により取得されたシェーディングパターンは自動的にγ補正がかけられているので、補正前パターン算出部において、撮像手段により取得されたシェーディングパターンからγ補正されていない補正前パターンが算出され、第1の露出時間とともにシェーディングデータ記憶部に記憶される。
【0011】
そして、修正パターン算出部において、補正前パターンに第1の露出時間に対する第2の露出時間の比率が乗算されて、修正パターンが算出され、シェーディング補正部において、画像情報記憶部に記憶されている画像データに、修正パターンを用いたシェーディング補正が施される。撮像手段により取得された画像データもγ補正が自動的にかけられているが、これをシェーディング補正するためのシェーディングパターンとして修正パターンを用いているので、第1の露出時間と第2の露出時間とが異なっていても適正なシェーディング補正を施すことができる。
【0012】
上記態様においては、前記撮像手段のγ特性を取得するγ特性取得部を備え、前記γ特性記憶部が、前記γ特性取得部により取得されたγ特性を記憶してもよい。
このようにすることで、撮像手段として、異なるγ特性を有するものが使用された場合においても、γ特性取得部によって撮像手段のγ特性が取得され、取得されたγ特性を用いて修正パターンが算出されるので種々のγ特性を有する撮像手段が使用されても適正なシェーディング補正を施すことができる。
【0013】
また、上記態様においては、操作者に前記撮像手段のγ特性を選択させるγ特性選択部を備え、前記γ特性記憶部が、前記γ特性選択部により選択されたγ特性を記憶してもよい。
このようにすることで、撮像手段のγ特性が、γ特性選択部を用いて操作者により選択されるので、種々のγ特性を有する撮像手段が使用されても、該撮像手段に適合したγ特性を操作者が選択して、適正なシェーディング補正を施すことができる。γ特性の選択方法としては、操作者がγ特性自体を入力してもよいし、複数のγ特性を記憶していて、操作者が記憶されているγ特性の中から適当なγ特性を特定することにしてもよい。
【0014】
また、上記態様においては、前記撮像手段の露出時間を切り替えて得られた複数の画像の輝度値に基づいて露出時間と輝度値との関係から該撮像手段のγ特性を推定するγ特性推定部を備え、前記γ特性記憶部が、前記γ特性推定部により推定されたγ特性を記憶してもよい。
このようにすることで、撮像手段によって、露出時間を切り替えて取得された複数の画像の輝度と露出時間との関係から、γ特性推定部がγ特性を推定するので、撮像手段のγ特性が不明な場合であっても適正なシェーディング補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、露出時間が異なっても適正なシェーディング補正を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置をブロック図である。
図2図1の画像処理装置によりシェーディングパターンの取得方法を説明するフローチャートである。
図3図1の画像処理装置による画像処理を説明するフローチャートである。
図4図1の画像処理装置の修正パターン作成手順を説明する図である。
図5図1の画像処理装置の第1の変形例を示すブロック図である。
図6図1の画像処理装置の第2の変形例を示すブロック図である。
図7図1の画像処理装置の第3の変形例を示すブロック図である。
図8図7の画像処理装置によるγカーブの推定方法を説明する図である。
図9図1の画像処理装置の第4の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る画像処理装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る画像処理装置1は、図1に示されるように、顕微鏡2に着脱自在に取り付けられているカメラ(撮像手段)のγカーブ(γ特性)を記憶するγ特性記憶部3と、顕微鏡2のカメラから送られてくるシェーディングパターン、該シェーディングパターン取得時の露出時間、画像データおよび該画像データの取得時の露出時間をそれぞれ記憶するシェーディングパターン記憶部4、シェーディング露出時間記憶部5、画像データ記憶部6および露出時間記憶部7を備えている。
【0018】
本実施形態においては、画像処理装置1としてPC(パーソナルコンピュータ)を用い、顕微鏡2のカメラとしてCCDカメラを用いている。なお、本実施形態においては、顕微鏡2のカメラとしてCCDカメラを用いているが、これに限らず、CMOSカメラ、ビデオカメラまたは光増倍管等を用いても良い。
【0019】
シェーディングパターン記憶部4とシェーディング露出時間記憶部5によりシェーディングデータ記憶部が構成されている。また、画像データ記憶部6と露出時間記憶部7とにより画像情報記憶部が構成されている。
【0020】
シェーディングパターンは、顕微鏡2のステージに標本を配置せずに、照明光のみで顕微鏡のカメラによって撮影することにより取得されるようになっている。
画像データは、実際の観察対象である標本を顕微鏡2のステージに配置して顕微鏡2のカメラによって撮影することにより取得されるようになっている。
【0021】
また、本実施形態に係る画像処理装置1は、さらに、補正前パターン算出部8と、修正パターン算出部9と、シェーディング補正部10とを備えている。
補正前パターン算出部8は、γ特性記憶部3に記憶されているγカーブ(図4、符号B)と、シェーディングパターン記憶部4に記憶されているシェーディングパターン(図4、符号A)とに基づいて、γ補正前のシェーディングパターンである補正前パターン(図4、符号C)を算出するようになっている。
【0022】
すなわち、顕微鏡2のカメラによって、顕微鏡2のステージに標本を配置せずに照明光のみで撮影されたときには、カメラの有するγカーブによって自動的にγ補正されたシェーディングパターンが取得されている。したがって、シェーディングパターン記憶部4に記憶されているシェーディングパターンは、γ補正が行われたシェーディングパターンである。
【0023】
図4に示されるシェーディングパターンは、例えば、顕微鏡2のステージに標本を配置せずに照明光のみで撮影して得られた画像の対角線に沿う輝度分布を示している。これに限定されることなく、画像の縦横の中心線のいずれかに沿う輝度分布であってもよいし、3次元的な輝度分布であってもよい。
【0024】
補正前パターン算出部8では、γ補正されたシェーディングパターンに対してγカーブを逆方向に適用して、γ補正されていないシェーディングパターンである補正前パターンを算出するようになっている。
また、修正パターン算出部9は、補正前パターン算出部8により算出された補正前パターンと、シェーディング露出時間記憶部5に記憶されているシェーディングパターン取得時の露出時間(第1の露出時間t1)と、露出時間記憶部7に記憶されている画像データ取得時の露出時間(第2の露出時間t2)と、γ特性記憶部3に記憶されているカメラのγカーブとに基づいて、修正パターン(図4、符号E)を算出するようになっている。
【0025】
具体的には、修正パターン算出部9は、シェーディング露出時間t1に対する露出時間t2の比率t2/t1を補正前パターンに乗算し、得られたシェーディングパターン(図4、符号D)にγカーブを適用してγ補正を施すことにより、修正パターン(図4、符号E)を算出するようになっている。
シェーディング補正部10は、修正パターン算出部9により算出された修正パターンを用いて、画像データ記憶部6に記憶されている画像データをシェーディング補正するようになっている。
【0026】
このように構成された本実施形態に係る画像処理装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る画像処理装置1を用いて画像データを処理するには、処理に先立って、図2に示されるように、顕微鏡2のカメラによって、顕微鏡2のステージに標本を配置せずに照明光のみで撮影を行ってシェーディングパターンを取得し(ステップS1)、取得されたシェーディングパターンをシェーディングパターン記憶部4に記憶し(ステップS2)、シェーディングパターンの撮影時における露出時間をシェーディング露出時間記憶部5に記憶する(ステップS3)。これにより、画像処理前の準備が終了する。
【0027】
次に、観察対象の標本を顕微鏡2のステージに配置して、図3に示されるように、標本の撮影を行い(ステップS10)、取得された標本の画像データを画像データ記憶部6に記憶する(ステップS11)とともに、その撮影時における露出時間を露出時間記憶部7に記憶する(ステップS12)。
この状態で、シェーディングパターン記憶部4からシェーディングパターンを読み出し(ステップS13)、γ特性記憶部3からγカーブを読み出す(ステップS14)。
【0028】
そして、補正前パターン算出部8において、図4に示されるように、シェーディングパターン記憶部4から読み出したシェーディングパターン(符号A)にγ特性記憶部から読み出したγカーブ(符号B)を適用して、γ補正前のシェーディングパターンである補正前パターン(符号C)を算出する(ステップS15)。
次に、シェーディング露出時間記憶部5および露出時間記憶部7に記憶されている2つの露出時間を読み出す(ステップS16)。
【0029】
この後に、修正パターン算出部8において、第1の露出時間t1に対する第2の露出時間t2の比率t2/t1を補正前パターンに乗算することにより、補正前修正パターン(符号D)を算出し(ステップS17)、得られた補正前修正パターンにγカーブ(符号B)を適用してγ補正を施すことにより、修正パターン(符号E)を算出する(ステップS18)。
そして、画像データ記憶部6に記憶されている画像データが読み出され(ステップS19)、シェーディング補正部10により、修正パターン算出部9により算出された修正パターンを用いて、画像データがシェーディング補正される(ステップS20)。
【0030】
このように、本実施形態に係る画像処理装置1によれば、観察対象となる標本の撮影時の露出時間に応じてシェーディングパターンを修正するので、撮影時の露出時間t2がシェーディングパターンの取得時の露出時間t1に対して大きく異なっていても、画像データに対して適正なシェーディング補正を施すことができるという利点がある。また、露出時間毎のシェーディングパターンを用意しておく必要がないという利点もある。
【0031】
本実施形態においては、シェーディングパターンを記憶しておき、画像データの補正の都度に、補正前パターンを算出することとしたが、図5に示されるように、これに代えて、シェーディングパターン自体を記憶することなく、顕微鏡2のカメラから入力されたシェーディングパターンにγカーブを適用して算出した補正前パターンをシェーディングパターン記憶部4に記憶しておいてもよい。
このようにすることで、画像データの補正の都度に補正前パターンを算出せずに済み、処理の高速化を図ることができる。
【0032】
また、本実施形態においては、顕微鏡2のカメラのγカーブを予めγ特性記憶部3に記憶しておくこととしたが、これに代えて、図6に示されるように、カメラからγカーブを取得するγ特性取得部11を備え、γ特性記憶部3が、γ特性取得部11によってカメラから取得されたγカーブを記憶することとしてもよい。
【0033】
また、図7に示されるように、顕微鏡2のカメラによって、顕微鏡2のステージに標本を配置しない照明光のみでの撮影を露出時間を切り替えながら複数回繰り返し、取得された画像データと露出時間とからγカーブを推定するγ特性推定部12を備えていてもよい。
【0034】
γ特性推定部12は、図8(b)〜(d)に示されるように、複数のγカーブを記憶しており、図8(a)に示されるように、露出時間を切り替えて作成した露出時間と画像の中央画素の輝度値との関係を示すグラフと最も類似するγカーブ(図8では(b)のγカーブ1)を選択することによりγカーブを推定するようになっている。
このようにすることで、カメラのγカーブが明確ではない場合であっても、適正なシェーディング補正を行うことができる。
【0035】
また、図9に示されるように、操作者に入力させる入力部と、該入力部13への入力に基づいてγカーブを選択するγ特性選択部14とを備えていてもよい。γ特性選択部14は、例えば、複数のγカーブとその識別情報とを対応付けて記憶しており、操作者は、入力部13から識別情報を入力することによりγカーブを選択することができる。
【0036】
本実施形態においては、入力部13としてキーボード、マウスおよびジョイスティック等を用いている。この入力部13は、顕微鏡2のカメラによって標準サンプルの撮影を行ってシェーディングパターンを取得するシェーディングパターン取得の指示や、シェーディングパターン記憶部4からシェーディングパターンを読み出すシェーディング補正の実施の指示に用いても良い。
【0037】
本実施形態においては、シェーディングパターンは、顕微鏡2のステージに標本を配置せずに、照明光のみで顕微鏡のカメラによって撮影することにより取得していたが、これに限らず、例えば均一な白色の標準サンプルを顕微鏡2のステージに配置して、顕微鏡のカメラによって撮影することにより取得しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 画像処理装置
3 γ特性記憶部
4 シェーディングパターン記憶部(シェーディングデータ記憶部)
5 シェーディング露出時間記憶部(シェーディングデータ記憶部)
6 画像データ記憶部(画像情報記憶部)
7 露出時間記憶部(画像情報記憶部)
8 補正前パターン算出部
9 修正パターン算出部
10 シェーディング補正部
11 γ特性取得部
12 γ特性推定部
14 γ特性選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9