(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792068
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ロールスタンドの軸方向に移動可能なワークロールのための曲げ及びバランス取り装置
(51)【国際特許分類】
B21B 31/32 20060101AFI20150917BHJP
B21B 13/14 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
B21B31/32 B
B21B13/14 G
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-536906(P2011-536906)
(86)(22)【出願日】2010年1月22日
(65)【公表番号】特表2012-509768(P2012-509768A)
(43)【公表日】2012年4月26日
(86)【国際出願番号】EP2010000384
(87)【国際公開番号】WO2010084011
(87)【国際公開日】20100729
【審査請求日】2011年5月24日
【審判番号】不服2014-9900(P2014-9900/J1)
【審判請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】102009005964.4
(32)【優先日】2009年1月23日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102009058876.0
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】フクス・ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ローレダー・ディートマー
【合議体】
【審判長】
池渕 立
【審判官】
鈴木 正紀
【審判官】
河本 充雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−153505(JP,A)
【文献】
特開昭60−68103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 13/14, 29/00, 31/02, 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ハウジング(1)の窓内の両側で、ワークロールチョック(3,3’)の高さ領域に、ガイドブロック(2)が設けられ、曲げ及びバランス取りシリンダ(5)から、軸方向と垂直方向に移動可能にガイドされたワークロールチョックに、力が伝達可能である、4ロールスタンドの、軸方向に移動可能なワークロール(10,10’)のための曲げ及びバランス取り装置において、
ガイドブロックが、それぞれ、上及び下のガイドブロック(2,2’)に分割されていること、上のガイドブロック(2)が、ハウジング(1)の窓内で垂直方向に移動可能に支承されていること、下のガイドブロック(2’)が、ハウジング(1)の窓内で、不動に支承されているか、垂直方向に移動可能に支承されていること、対をなす上及び下のガイドブロック(2,2’)のそれぞれに、これらガイドブロックによってガイドされた曲げ及びバランス取りシリンダ(5)が配設されており、この曲げ及びバランス取りシリンダが、上及び下のワークロールチョック(3,3’)と係合していること、曲げ及びバランス取りシリンダ(5)は、そのシリンダハウジングが、上及び下のガイドブロック(2,2’)の垂直な同軸の孔内にガイドされていることを特徴とする曲げ及びバランス取り装置。
【請求項2】
上及び下のガイドブロックに、ワークロールロック装置(9)を有する、ワークロールチョック(3,3’)を軸方向に移動させるための移動装置(6)が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の曲げ及びバランス取り装置。
【請求項3】
曲げ及びバランス取りシリンダ(5)からワークロールチョックへの力の伝達が、ワークロールチョックに当接する圧力カバー(4,4’,7)もしくはガイドブロックを介して行なわれることを特徴とする請求項1又は2に記載の曲げ及びバランス取り装置。
【請求項4】
圧力カバー(4,4’)もしくは圧力カバー拡大部(7)が、ワークロールチョックイヤーを噛合い係合式に狭持するか、ガイドブロック(2,2’)が、ワークロールチョック(3,3’)の突出部を狭持することを特徴とする請求項3に記載の曲げ及びバランス取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各ハウジングの窓内の両側で、ワークロールチョックの高さ領域に、ガイドブロックが設けられ、曲げ及びバランス取りシリンダから、軸方向と垂直方向に移動可能にガイドされたワークロールチョックに、力が伝達可能である、ロールスタンドの、特に4ロールスタンドの、軸方向に移動可能なワークロールのための曲げ及びバランス取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなロールスタンドは、熱間及び冷間圧延機、ステッケル圧延機及び粗板圧延機に存在し得る。
【0003】
前記方式の曲げ及びバランス取り装置は、例えば特許文献1から公知である。
【0004】
曲げ/バランス取りシリンダのこれまでのストロークは、ワークロール上昇が大きい場合にワークロールチョックの十分なガイドを保証するために、制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 256 408号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ワークロールチョックのガイドが一定もしくは最大である場合でも、本質的に大きいワークロール上昇を保証する、曲げ及びバランス取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、各ハウジングの窓内の両側で、ワークロールチョックの高さ領域に、ガイドブロックが設けられ、曲げ及びバランス取りシリンダから、軸方向と垂直方向に移動可能にガイドされたワークロールチョックに、力が伝達可能である、4ロールスタンドの、軸方向に移動可能なワークロールのための曲げ及びバランス取り装置において、ガイドブロックが、それぞれ、上及び下のガイドブロックに分割されていること、上のガイドブロックが、ハウジングの窓内で垂直方向に移動可能に支承されていること、下のガイドブロックが、ハウジングの窓内で、不動に支承されているか、垂直方向に移動可能に支承されていること、対をなす上及び下のガイドブロックのそれぞれに、これらガイドブロックによってガイドされた曲げ及びバランス取りシリンダが配設されており、この曲げ及びバランス取りシリンダが、上及び下のワークロールチョックと係合していること
、曲げ及びバランス取りシリンダは、そのシリンダハウジングが、上及び下のガイドブロックの垂直な同軸の孔内にガイドされていることによって、解決される。
【0008】
特に、曲げ及びバランス取りシリンダからワークロールチョックへの力の伝達が、ワークロールチョックに当接する圧力カバーを介して行なわれる。
【0009】
特別な形成では、圧力カバーが、ワークロールチョックイヤーを噛合い係合式に狭持するか、ガイドブロックが、ワークロールチョックの突出部を狭持する。
【0010】
従って、固定式及び軸方向に移動可能なワークロールのためのバランス取り機能を有するネガティブ曲げ及び/又はポジティブ曲げを行なう可動の曲げ装置は、上昇が大きい場合に特に適している。
【0011】
本発明による解決策の核心思想は、これまで一部材の不動のガイドブロックが、可動の上のガイドブロックと、不動又は可動の下のガイドブロックに分割されることにある。
【0012】
上又は下のガイドブロックに配設され、これらガイドブロックと結合されているのが、曲げ及びバランス取りシリンダであり、この曲げ及びバランス取りシリンダは、同時に、上及び下のワークロールに作用し、この場合、それぞれ他方のガイドブロックにガイドされている。
【0013】
両ガイドブロックには、ワークロールロック装置を有する、軸方向に移動させるための移動装置を取り付けることができる。
【0014】
可動の上のガイドブロック又は可動の両ガイドブロックは、ハウジング内に案内される。
【0015】
加えて、ワークロールのネガティブ曲げは、圧力カバーがワークロールチョックイヤーを狭持するか、ガイドブロックがワークロールチョックの突出部を狭持することによって、実現することができる。
【0016】
本発明により、今の曲げ及びバランス取り装置の構成の高い信頼性が、ロールギャップの拡大に対する高い柔軟性と結び付けられる。
【0017】
別の利点は、本発明により、下及び上のワークロールに同時に作用を加えることによって、最小の数の、ポジティブ曲げ及びネガティブ曲げをするための曲げ及びバランス取りシリンダで足りることにある。
【0018】
本発明は、特別なプロセス要求のため、例えば−ストリップ/パス内の圧延荷重の変動が大きい−ステッケルプロセスのため、に必要もしくは望まれる(ポジティブ及びネガティブの)ワークロール曲げの大きい調整領域を可能にする。
【0019】
本発明を、以下で図面に関係させて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】曲げ及びバランス取り装置の垂直断面を示す。
【
図3】構成を変更した
図1と同様の垂直断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ハウジング1の窓内に、上及び下のワークロール10もしくは10’のためのワークロールチョック3及び3’が図示されている。
【0022】
本発明により分割されたガイドブロックは、窓に固定され、上のガイドブロック2は、可動に配設され、下のガイドブロック2’は、同様に可動に配設されるか、不動に配設される。
【0023】
ワークロールチョック3及び3’は、移動装置6及び6’によってワークロールの軸方向に移動可能である。
【0024】
垂直方向に、曲げ及びバランス取りシリンダ5による位置変更が行なわれる。
【0025】
この曲げ及びバランス取りシリンダ5は、圧力カバー4もしくは4’を介して、ワークロールチョック、正しくはワークロールチョックイヤー、に係合しており、本発明にとっては、ただ1つの曲げ及びバランス取りシリンダ5によって、上のワークロールチョック3と下のワークロールチョック3’の結合を同時に形成することが、重要である。
【0026】
図3による構成の場合、
図1による構成とは違って、ピストン装置だけが交換されている。
【0027】
ワークロールチョックのネガティブ又はポジティブの調整は、
図4に図示された構成によって得られる。
【0028】
この場合、ガイドブロック2が、ワークロールチョック3の突出部を狭持するか、圧力カバー拡大部7が、ワークロールチョック3もしくは3’のイヤー部分を狭持するので、曲げ及びバランス取りシリンダの曲げは、両方向に直接伝達可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ハウジング
2 上のガイドブロック
2’ 下のガイドブロック
3 上のワークロールチョック
3’ 下のワークロールチョック
4 圧力カバー
4’ 圧力カバー
5 曲げ及びバランス取りシリンダ
6 移動装置
6’ 移動装置
7 圧力カバー拡大部
10 上のワークロール
10’ 下のワークロール