【課題を解決するための手段】
【0006】
開示される実施形態により、補修パッチ、並びにメカニカルファスナーを必要とせずに結合式補修パッチを使用して複合構造を補修する方法が提供される。この補修パッチは、補修された領域の状態を長時間にわたって目視検査することが可能で、将来的な接着継手の変化を確実に予測することができるという特徴を有している。補修領域の状態が目視検査可能であり、且つ未来の結合状態に関する予測が可能であるため、本結合式補修パッチ及び目視検査技術は航空機認可機関による補修の認可を可能にするものである。
【0007】
開示される一実施形態によれば、複合構造の不整合領域を補修するためのパッチが提供される。本パッチは、不整合領域を覆う複合積層パッチと、積層パッチを複合構造に結合する接着層とを含んでいる。積層パッチは、テーパの付いた断面を有し、それぞれ異なる破壊靭性を有する第1及び第2の領域を含む複数の複合プライを含んでいる。パッチの第1及び第2の領域は、第1組及び第2組のプライによって画定され、各組のプライの縁がテーパの付いた断面を形成している。一実施形態では、積層パッチは、第1及び第2の領域の破壊靭性とは異なる破壊靱性を有する第3の領域を含んでいる。第1の領域と第2の領域とは、互いに実質的に隣接し、且つ同心に配置されている。接着層の厚さは、層の外縁から中心領域に向かって次第に薄くなっていてよい。
【0008】
別の実施形態によれば、複合積層パッチと、複合構造に積層パッチを結合する接着層とを含む、複合構造の不整合領域の補修用パッチが提供される。積層パッチは、異なる積層内破壊靭性を有する第1及び第2の領域をそれぞれ画定する少なくとも第1組及び第2組の複合積層プライを含んでいる。第1組のプライの幅は第2組のプライの幅より大きく、プライの各組はテーパの付いた縁を有することができる。第1組及び第2組それぞれのプライは、異なる成層配向シーケンス及び/又は異なるプライ数を有することができる。
【0009】
また別の実施形態によれば、複合構造の不整合領域の補修は、不整合領域を囲む複合構造上のテーパ付きの縁、及び不整合領域を覆うテーパ付きの複合パッチを含む。構造上のテーパ付きの縁は、それぞれ第1及び第2のスカーフ角度を有する第1及び第2のテーパ付き表面を含んでいる。パッチは、複合構造の第1及び第2のテーパ付き表面にそれぞれ結合される第1及び第2のテーパ付き部分を有するナッジ部を含んでいる。一実施形態では、複合構造のテーパの付いた縁は、第3のスカーフ角度を有する第3のテーパ付き表面を含み、テーパ付きパッチの縁は、複合構造の縁の第3のテーパ付き表面に結合される第3の部分を含む。複合パッチは、異なる積層内破壊靭性を有する第1及び第2の領域をそれぞれ画定する少なくとも第1組及び第2組の複合積層プライを含んでいる。
【0010】
開示される方法の一実施形態によれば、複合構造内の、不整合を含む一の領域が補修される。本方法は、不整合な領域を囲む構造の縁にテーパを付けることを含み、縁に少なくとも第1及び第2のスカーフ角度を形成することを含む。テーパの付いた縁を有する複合パッチが形成される。結合されるスカーフ継手は、パッチのテーパの付いた縁と、複合構造のテーパの付いた縁との間に形成される。複合パッチの形成は、構造の縁に位置する第1及び第2のスカーフ角度にそれぞれ対応する、パッチの縁に位置する第1及び第2のテーパ角度を含むことができる。
【0011】
開示される実施形態は、補修状態を目視により監視することができ、接着継手のあらゆる変化を目視検査に基づいて予測できる、複合材料の不整合領域の補修を可能にする方法と結合式複合材補修パッチとに対する需要を満たす。
【0012】
10.複合構造の不整合領域を補修するためのパッチであって、
少なくとも第1組及び第2組の複合積層プライを含む、不整合領域を覆う複合積層パッチであって、第1組及び第2組の複合積層プライが、異なる積層内破壊靭性を有する第1及び第2の領域をそれぞれ画定し、第1組のプライが第1の幅を有し、第2組のプライが、第1の幅とは異なる第2の幅を有する複合積層パッチと、
複合構造に積層パッチを結合する接着層と
を含むパッチ。
【0013】
11.第1の幅が第2の幅より狭く、
第1組のプライが第1の面を有し、
第2組のプライが、第1の面とは反対方向を向き、接着層により複合構造に結合される第2の面を有する、
請求項10に記載のパッチ。
【0014】
12.第1組及び第2組それぞれのプライがテーパの付いた縁を含んでいる、請求項10に記載のパッチ。
【0015】
13.第1組及び第2組それぞれのプライが、ファイバ配向及び成層配向のシーケンスを有する補強ファイバを含んでおり、
第1組のプライの成層シーケンスが、第2組のプライの成層シーケンスとは異なっている、
請求項10に記載のパッチ。
【0016】
14.第1組のプライの数が第2組のプライの数とは異なっている、請求項10に記載のパッチ。
【0017】
15.第1組のプライの厚さが第2組のプライの厚さとは異なっている、請求項10に記載のパッチ。
【0018】
16.接着層の厚さが、層の外縁から層の中央に向かって次第に薄くなっている、請求項10に記載のパッチ。
【0019】
17.複合構造の不整合領域の補修が、
不整合領域を囲む複合構造のテーパ付きの縁であって、それぞれ第1及び第2のスカーフ角度を有する第1及び第2のテーパ付き表面を含むテーパ付きの縁と、
不整合領域を覆うテーパ付き複合積層パッチであって、複合構造の縁の第1及び第2のテーパ付き表面にそれぞれ結合された第1及び第2のテーパ付き部分を有する縁を含み、複合構造とテーパ付き複合積層パッチとの間にスカーフ継手を形成するテーパ付き複合積層パッチと
を含む補修。
【0020】
18.複合構造上のテーパ付きの縁が、第3のスカーフ角度を有する第3のテーパ付き表面を含み、
テーパ付きパッチの縁が、複合構造の縁の第3のテーパ付き表面に結合される第3の部分を含む、
請求項17に記載の補修。
【0021】
19.テーパ付き積層パッチが、異なる積層内破壊靭性を有する第1及び第2の領域をそれぞれ画定する少なくとも第1組及び第2組の複合積層プライを含む、
請求項17に記載の補修。
【0022】
24.航空機の複合構造の不整合領域を補修するためのパッチであって、
破壊靱性の異なる第1、第2、及び第3の領域をそれぞれ画定する第1組、第2組、及び第3組の積み重ねられた複合プライを含み、不整合領域を覆う複合積層パッチと、
それぞれ第1、第2、及び第3の角度にテーパを付けた縁を有する第1組、第2組、及び第3組のプライと、
不整合領域を囲む複合構造の縁に形成されて、第1、第2、及び第3の角度と概ね一致するスカーフ角度をそれぞれ有する第1、第2、及び第3の表面と、
複合構造の縁の第1、第2及び第3の表面にプライの縁を結合する接着層と
を含むパッチ。
【0023】
25.航空機の複合構造の、不整合性を有する一領域を補修する方法であって、
不整合な領域を囲む複合構造の縁にテーパを付けることであって、第1のスカーフ角度を有する第1のテーパ付き表面を形成すること、第2のスカーフ角度を有する第2のテーパ付き表面を形成すること、及び第3のスカーフ角度を有する第3のテーパ付き表面を形成することを含むことと、
テーパの付いた複合積層パッチを形成することであって、
第1組、第2組、及び第3組の複合プライを積み重ねること、
各組のプライに異なる複合材料を使用することにより、それぞれ異なる積層内破壊靭性を有する第1、第2、及び第3の領域を積層パッチ内に形成すること、並びに
各組のプライの縁に、第1、第2、及び第3のスカーフ角度にそれぞれ対応する角度でテーパを付けること
を含むことと、
航空機の複合構造の該当領域を覆うようにパッチを配置することと、
プライの組の縁と、航空機の複合構造の第1、第2、及び第3の面との間に接着層を導入することと、
接着層を使用して、テーパの付いたパッチのプライの組の縁を、航空機の複合構造の縁に結合することと
を含む方法。