(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、
図1並びに
図2を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医療用観察システム100全体の構成を示す図である。医療用観察システム100の観察装置1は、その先端に配置された不図示の観察光学系、CCDなどの撮像素子を内蔵しており、キャスター付の移動可能な保持装置2によって保持されている。観察装置1は、手術台3の上に寝かせられた患者4の術部を確認できる位置に配置される。
【0016】
観察装置1は、内蔵された撮像素子により光電変換された電気信号を伝送するケーブル5によって、撮像素子を駆動するコントローラであるビデオプロセッサ6と接続されている。ビデオプロセッサ6は、ケーブル5によって伝送された電気信号を映像信号に変換して、術者の見やすい位置に置かれたモニタ7に出力する。術者は、モニタ7に映し出された患者4の術部の映像を観察しながら、手術を行う。
【0017】
また、観察装置1は、ライトガイド8によって光源装置9と接続されている。ライトガイド8は、光源装置9からの照明を患者4の術部に導く。
【0018】
ビデオプロセッサ6及び光源装置9は、キャスター付の移動可能なトロリー10に積載されている。保持装置2とトロリー10とは、医療用観察システムの接続装置11によって接続されている。
【0019】
図2は、医療用観察システムの接続装置11(以下、接続装置11と称する)全体の詳細な構成を示す図である。以下では、
図2に示すようにx軸、y軸及びz軸を取って説明する。接続装置11は、第1の接続部11aと、第2の接続部11bと、硬質部11cと、スライド軸11dと、板部材11e−1、11e−2とを有している。これらは、大別すると、第1の接続部11aからなる保持装置2側の部材と、第2の接続部11b、硬質部11c、スライド軸11d及び板部材11e−1、11e−2からなるトロリー10側の部材とにより構成されている。
【0020】
第1の接続部11aは、保持装置2の支柱部分と一体になっており、保持装置2の支柱部分から径方向に突出した逆U字型の鉤部(フック受け部)である。第2の接続部11bには、切り欠き部分11f(フック部)が設けられており、この切り欠き部分11fが逆U字型の第1の接続部11aに対して着脱可能な着脱部となっている。つまり、第1の接続部11aに第2の接続部11bの切り欠き部分11fを引っ掛けることにより、第1の接続部11aと第2の接続部11bとが互いに接続される。
【0021】
第2の接続部11bは、細長い棒状の硬質部11cと一体となっている。硬質部11cは、連結部材を介してスライド軸11dに対して略直交方向に連結されている。これにより、硬質部11cは、スライド軸11dに沿ってy軸方向に動き、かつ、スライド軸11dを軸としてxz平面内で回転することができる。この回転は、矢印Aで示す双方向に行われる。スライド軸11dは、トロリー10から張り出された2つの板部材11e―1、11e−2によって回動可能に挟持されて取り付けられている。
【0022】
なお、第1の接続部11aがトロリー10と一体化して、第2の接続部11b、硬質部11c、スライド軸11d及び板部材11e−1、11e−2が保持装置2に取り付けられている構成であってもよい。
【0023】
また、保持装置2は、手術室内で使用されるため、清潔に保つ必要がある。このため、
図1に示すように、カバー部材としての滅菌ドレープ12で保持装置2全体を覆うことにより、保持装置2を清潔に保つ。
【0024】
次に、医療用観察システム100を用いた手術時の作業手順を説明する。
まず、手術開始前に、術者等(清潔域にいる者)は、観察装置1を保持している保持装置2を清潔域とするため、観察装置1及び保持装置2を、接続装置11近傍まで滅菌ドレープ12を用いて覆う。
【0025】
そして、硬質部11cがトロリー10に対して立てかけられた状態(
図2に破線で示す状態)で、手術スタッフ(不潔域にいる者)が、保持装置2にトロリー10を一定の距離まで近づけて、硬質部11cを保持装置2に対して近づける矢印Aの方向に倒す。かくして、第2の接続部11bを第1の接続部11aに接続することにより、保持装置2とトロリー10とが一定の距離に保たれる。即ち、硬質部11cにより、保持装置2とトロリー10との間の距離を一定に保つことができる。
【0026】
さらに、ケーブル5及びライトガイド8をそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9に接続する。この状態でシステム全体の電源を投入して、手術準備が整った患者4の近傍まで近づける。
【0027】
清潔域の術者等が本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく清潔域である保持装置2を引き寄せる。不潔域であるトロリー10は保持装置2と一体化されているため、保持装置2と連動して移動されるので、清潔域の術者等が不潔域に触れることなく、システム全体を移動又は運搬することができる。逆に、不潔域の手術スタッフが本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を押し進める。清潔域である保持装置2はトロリー10と一体化されているため、トロリー10と連動して移動されるので、不潔域の手術スタッフが清潔域に触れることなく、システム全体を移動又は運搬することができる。
【0028】
こうして、本システムを患者4近傍まで移動し、観察装置1で術部を観察する。そして、モニタ7に術部の映像が映し出され、術者がモニタ7を見て術部を確認しながら手術を行う。手術が終了した後、システム全体の電源を落とし、本システムを患者4から遠ざける。
【0029】
清潔域の術者等が本システムを患者から遠ざける場合は、同じく清潔域である保持装置2を押し進める。不潔域であるトロリー10も保持装置2と連動して一体的に移動されるので、清潔域の術者等が不潔域に触れることなく、システム全体を移動又は運搬することができる。逆に、不潔域の手術スタッフが本システムを患者4から遠ざける場合は、同じ不潔域であるトロリー10を引き寄せる。清潔域である保持装置2もトロリー10と連動して一体的に移動されるので、不潔域の手術スタッフが清潔域に触れることなく、システム全体を移動又は運搬することができる。
【0030】
そして、ケーブル5及びライトガイド8をそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9から取り外す。さらに、第1の接続部11aと第2の接続部11bとの接続を取り外し、スライド軸11dを軸として硬質部11cを第1の接続部11aから遠ざかる矢印Aの方向に回転させて、トロリー10に対して立てかけて収納する。滅菌ドレープ12は、観察装置1及び保持装置2から取り外して、廃棄する。
【0031】
新たに手術を行う場合は、新品の滅菌ドレープ12を用意して本説明の作業を最初から行う。
【0032】
本実施形態によれば、清潔域である保持装置と不潔域であるトロリーとが医療用観察システムの接続装置の硬質部によって一定の距離に保たれることで、手術中に清潔域が不潔域に触れてしまうことに気を遣う必要がない。
【0033】
また、ケーブル及びライトガイドがビデオプロセッサ及び光源装置にそれぞれ接続されている状態であっても、ケーブル及びライトガイドに負荷が掛からず、接続が外れることがなく、1人で保持装置及びトロリーの配置運搬作業を行うことができる。
【0034】
以下、第2乃至第6の実施形態について説明する。以下の説明では、第1の実施形態と共通の構成要素には同じ参照符号を与え、その説明は省略する。また、医療用観察システムを用いた手術時の作業手順も、第1の実施の形態と同様の作業は、その説明を省略する。
【0035】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、
図3乃至
図5を参照して説明する。
【0036】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る医療用観察システム200全体の構成を示す図である。
図4は、医療用観察システム200全体の構成を示す上面図である。医療用観察システムの接続装置13は、第1の接続部13aと、第2の接続部13bと、硬質部13cと、スライド軸13dと、板部材13e−1、13e−2とを有している。これらは、大別すると、第1の接続部13aからなる保持装置2側の部材と、第2の接続部13b、硬質部13c、スライド軸13d及び板部材13e−1、13e−2とからなるトロリー10側の部材とにより構成されている。
【0037】
図5は、第1の接続部13aを詳細に示す図である。第1の接続部13aは、保持装置2の支柱部分に嵌合される円筒状の回転部13a−1と、回転部13a−1から径方向に突出した逆U字型の鉤部である逆U字部13a―2と、回転部13a−1を保持装置2に固定する固定部13a−3とを有している。回転部13a−1は、保持装置2に対して矢印Bの方向に回転し、固定部13a−3によって固定される。
【0038】
第2の接続部13bには、切り欠き部分13fが設けられており、この切り欠き部分13fが逆U字部13a−2に対して着脱可能である。
【0039】
第2の接続部13bは、細長い棒状の硬質部13cと一体になっている。硬質部13cは、連結部材を介してスライド軸13dに対して略直交方向に連結されている。これにより、硬質部13aは、スライド軸13dに沿ってy軸方向に動き、かつ、スライド軸13dを軸としてxy平面内で回転する。この回転は、矢印Cで示す双方向に行われる。スライド軸13dは、トロリー10から張り出された2つの板部材13e−1と13e−2によって回動可能に挟持されて取り付けられている。
【0040】
次に、医療用観察システム110を用いた手術時の作業手順を説明する。
まず、手術開始前に、術者等は、観察装置1を保持している保持装置2を清潔域とするため、観察装置1及び保持装置2を、接続装置13近傍まで滅菌ドレープ12を用いて覆う。
【0041】
そして、硬質部13cがトロリー10に対して立てかけられた状態(
図3に破線で示す状態)で、不潔域の手術スタッフが、保持装置2にトロリー10を一定の距離まで近づけて、硬質部13cを保持装置2に対して近づける矢印Aの方向に倒す。かくして、第2の接続部13bを第1の接続部13aに接続する。第1の接続部13aを矢印Aの方向に回転させることで、トロリー10も矢印Aの方向に回転するので、トロリー10の配置が決まる。トロリー10の配置が決まったら、固定部13a−3を用いて第1の接続部13aを保持装置2に固定する。これにより、保持装置2とトロリー10とが一定の距離に保たれる。
【0042】
さらに、ケーブル5及びライトガイド8をそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9に接続する。この状態でシステム全体の電源を投入して、手術準備が整った患者4の近傍まで近づける。
【0043】
清潔域の術者等が本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく清潔域である保持装置2を引き寄せる。不潔域であるトロリー10も、保持装置2に連動して移動又は運搬される。不潔域の手術スタッフが本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を押し進める。清潔域である保持装置2も、トロリー10に連動して移動又は運搬される。
【0044】
さらに、手術中に他の機器との干渉を避ける等の目的でトロリー10の配置を変えたい場合は、固定部13a−3を緩めて回転部13a−1の固定を解除し、第1の接続部13aを矢印Aの方向に回転させる。これにより、トロリー10も符号Aの方向に回転し、保持装置2の位置はそのままでトロリー10の配置を変える。
【0045】
こうして、本システムを患者4近傍まで引き寄せて、観察装置1で術部を観察する。そして、モニタ7に術部の映像が映し出され、術者がモニタ7を見て術部を観察しながら手術を行う。手術が終了した後、システム全体の電源を落とし、患者4から遠ざける。
【0046】
本実施形態においても、清潔域の術者等が本システムを患者4から遠ざける場合は、同じく清潔域である保持装置2を押し進めれば、不潔域であるトロリー10は保持装置2と一体化されており連動して移動又は運搬される。逆に、不潔域の手術スタッフが本システムを患者4から遠ざける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を引き寄せれば、清潔域である保持装置2はトロリー10と一体化されており連動して移動又は運搬される。
【0047】
そして、ケーブル5及びライトガイド8をそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9から取り外す。さらに、第1の接続部13aと第2の接続部13bとの接続を取り外し、スライド軸13dを軸として硬質部13cを第1の接続部13aから遠ざかる矢印Aの方向に回転させて、トロリー10に対して立てかけて収納する。
【0048】
本実施形態によれば、接続部が保持装置に対して回転することにより、接続装置によって保持装置と接続されたトロリーも保持装置を中心に回転することができ、これらの配置を変えることができる。
【0049】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、
図6乃至
図9を参照して説明する。
【0050】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る医療用観察システム300全体の構成を示す図である。
【0051】
医療用観察システムの接続装置14は、第1の接続部14aと、第2の接続部14bと、硬質部14cと、スライド軸14dと、板部材14e−1、14e−2とを有している。これらは、大別すると、第1の接続部14aからなるトロリー10側の部材と、第2の接続部14b、硬質部14c、スライド軸14d及び板部材14e−1、14e−2とからなる保持装置2側の部材とにより構成されている。
【0052】
第1の接続部14aは、トロリー10と一体になっており、トロリー10から突出した逆U字型の鉤部である。第2の接続部14bには切り欠き部分14fが設けられており、この切り欠き部分14fが逆U字型の第1の接続部14aに対して着脱可能である。
【0053】
第2の接続部14bは、細長い棒状の硬質部14cと一体になっている。硬質部14cは、連結部材を介してスライド軸14dに沿って略直交方向に動き、かつ、スライド軸14dを軸としてxz平面内で回転することができる。この回転は、矢印Dで示す双方向に行われる。スライド軸14dは、2つの板部材14e−1、14e−2によって挟持されて固定されており、板部材14e−1、14e−2は保持装置2に固定されている。
【0054】
また、硬質部14cには、
図7に示すように、穴14gが開いており、ケーブル5及びライトガイド8がこの穴14gを貫通している。第2の接続部14b及び硬質部14cは、
図9に示すように、内部に空洞14hを有している。この空洞14hの中にケーブル5及びライトガイド8が内蔵され、第2の接続部14bの先端に開けられた孔14iからケーブル5及びライトガイド8の着脱部であるコネクタが出ており、それぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9に接続されている。
【0055】
次に、医療用観察システム300を用いた手術時の作業手順を説明する。
まず、硬質部14cが保持装置2に対して立てかけられた状態(
図7に破線で示す状態)で、不潔域の手術スタッフが保持装置2にトロリー10を一定の距離まで近づけて、硬質部14cをトロリー10に対して矢印Aの方向に倒す。かくして、第2の接続部14bを第1の接続部14aに接続することにより、保持装置2とトロリー10が一定の距離に保たれる。そして、第2の接続部14aの先端から出ているケーブル5及びライトガイド8のコネクタをそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9に接続する。
【0056】
次に、手術開始前に、術者は、観察装置1を保持している保持装置2を清潔域とするため、観察装置1及び保持装置2を、接続装置14近傍まで滅菌ドレープ12を用いて覆う。この状態でシステム全体の電源を投入して、手術準備が整った患者4の近傍まで近づける。
【0057】
清潔域の術者等が本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく清潔域である保持装置2を引き寄せる。不潔域であるトロリー10も、保持装置2に連動して移動又は運搬される。不潔域の手術スタッフが本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を押し進める。清潔域である保持装置2も、トロリー10に連動して移動又は運搬される。
【0058】
こうして、本システムを患者4近傍まで移動させて、観察装置1で術部を観察する。そして、モニタ7に術部の映像が映し出され、術者等がモニタ7を見て術部を確認しながら手術を行う。手術が終了した後、システム全体の電源を落とし、患者4から遠ざける。
【0059】
清潔域の術者等が本システムを患者4から遠ざける場合は、同じく清潔域である保持装置2を押し進める。不潔域であるトロリー10も、保持装置2に連動して移動又は運搬される。不潔域の手術スタッフが本システムを患者4から遠ざける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を引き寄せる。清潔域である保持装置2も、トロリー10に連動して移動又は運搬される。
【0060】
そして、ドレープ12を観察装置1及び保持装置2から取り外して、廃棄する。さらに、ケーブル5及びライトガイド8をそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9から取り外す。また、第1の接続部14aと第2の接続部14bの接続を取り外し、スライド軸14dを軸に硬質部14cを第1の接続部14aから遠ざかる矢印Aの方向に回転させて、保持装置2に対して立てかけて収納する。
【0061】
本実施形態によれば、ケーブル及びライトガイドが医療用観察システムの接続装置に内蔵されていることによって、医療用観察システムの接続装置が保持装置とトロリーを接続する際に、ケーブル及びライトガイドを保持装置とトロリーとの間に同時に渡すことができ、配置作業時の手間を省くことができる。
【0062】
また、ケーブル類が医療用観察システムの接続装置に内蔵されるので、外部の力から保護される。
【0063】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について、
図10乃至
図13を参照して説明する。
【0064】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る医療用観察システム400全体の構成を示す図である。
【0065】
医療用観察システムの接続装置15は、第1の接続部15aと、第2の接続部15bと、硬質部15cと、スライド軸15dと、板部材15e−1、15e−2とを有している。
【0066】
図11は、医療用観察システムの接続装置15を示す図である。第1の接続部15aは、ケーブル5のメスコネクタ5−1とライトガイド8のメスコネクタ8−1とを含むメスコネクタ部15fと一体となっている。メスコネクタ部15fは、ケーブルによって観察装置1と接続されている。
【0067】
第2の接続部15bは、ケーブル5のオスコネクタ5−2とライトガイド8のオスコネクタ8−2とを含むオスコネクタ部15gと一体となっている。オスコネクタ部15gは、ケーブル5のメスコネクタ5−1及びライトガイド8のメスコネクタ8−1によってそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9に接続されている。第1の接続部15aには雌ねじ15hが形成されており、また、第2の接続部15bには雌ねじ15hに対応した雄ねじ15iが形成されている。
【0068】
第2の接続部15bは、細長い棒状の硬質部15cと一体になっている。硬質部15cは、連結部材を介してスライド軸15dに沿って略直交方向に動き、かつ、スライド軸15dを軸としてxz平面内で矢印A方向に回転する。スライド軸15dは、2つの板部材15e−1、15e−2によって挟持されて固定されており、板部材15e−1、15e−2はトロリー10に固定されている。
【0069】
なお、第1の接続部15aがトロリー10と一体化して、第2の接続部15b、硬質部15c、スライド軸15d、板部材15e−1、15e−2が保持装置2に取り付けられている構成であってもよい。
【0070】
次に、医療用観察システム400を用いた手術時の作業手順を説明する。
まず、手術開始前に、術者は、観察装置1を保持している保持装置2を清潔域とするため、観察装置1及び保持装置2を、接続装置15近傍まで滅菌ドレープ12を用いて覆う。
【0071】
そして、硬質部15cがトロリー10に対して立てかけられた状態(
図10に破線で示す状態)で、不潔域の手術スタッフが、保持装置2にトロリー10を一定の距離まで近づけて、硬質部15cを保持装置2に対して近づける矢印Aの方向に倒す。かくして、第2の接続部15bを第1の接続部15aに接続する。この際、メスコネクタ部15fのメスコネクタ5−1、8−1とオスコネクタ部15gのオスコネクタ5−2、8−2とをそれぞれ繋げ、雄ねじ15iを雌ねじ15hに差し込んで固定する。これにより、保持装置2とトロリー10が一定の距離に保たれる。この状態でシステム全体の電源を投入して、手術準備が整った患者4の近傍まで近づける。
【0072】
清潔域の術者等が本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく清潔域である保持装置2を引き寄せる。不潔域であるトロリー10も、保持装置2に連動して移動又は運搬される。不潔域の手術スタッフが本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を押し進める。清潔域である保持装置2も、トロリー10に連動して移動又は運搬される。
【0073】
こうして、本システムを患者4近傍まで運搬し、観察装置1で術部を観察する。そして、モニタ7に術部の映像が映し出され、術者がモニタ7を見て術部を観察しながら手術を行う。手術が終わったら、システム全体の電源を落とし、患者4から遠ざける。
【0074】
清潔域の術者等が本システムを患者4から遠ざける場合は、同じく清潔域である保持装置2を押し進めれば、不潔域であるトロリー10は保持装置2と一体化されており連動して運搬される。逆に、不潔域の手術スタッフが本システムを患者4から遠ざける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を引き寄せれば、清潔域である保持装置2は、トロリー10と一体化されており連動して運搬される。
【0075】
そして、ケーブル5及びライトガイド8をそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9から取り外す。さらに、第1の接続部15aと第2の接続部15bとの接続を取り外し、スライド軸15dを軸を中心として硬質部15cを第1の接続部15aから遠ざかる矢印Aの方向に回転させてトロリー10に対して立てかけて収納する。滅菌ドレープ12は、保持装置2から取り外して、廃棄する。
【0076】
本実施形態によれば、2つの接続部を接続する際に、同時に、ケーブル及びライトガイドをビデオプロセッサ及び光源装置に接続することができるので、配置作業手順を簡略化し、より素早く配置作業を完了することができる。
【0077】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について、
図14乃至
図16を参照して説明する。
【0078】
図14は、本発明の第5の実施形態に係る医療用観察システム500を示す図である。本実施形態では、保持装置2には、保持装置2を床面に固定するための電動ブレーキ16を備えた移動機構が設けられている。また、保持装置2には、電動ブレーキ16を制御する制御部17が内蔵されている。また、トロリー10には、制御部17に電気信号を入力する第1のスイッチ18が内蔵されており、保持装置2には、制御部17に電気信号を入力する第2のスイッチ19が内蔵されている。第2のスイッチ19の位置は、保持装置2をドレープ12で覆ったときにその内側になる位置であればどこでもよい。
【0079】
接続装置20は、第1の接続部20aと、第2の接続部20bと、硬質部20cと、スライド軸20dと、板部材20e−1、20e−2とを有している。
【0080】
第1の接続部20aは、保持装置2の支柱部分と一体になっている。さらに、第1の接続部20aは、メスコネクタ部20fと一体化しており、第2の接続部20bは、ケーブル5及びライトガイド8のオスコネクタ部20gと一体化している。第1の接続部20a及び第2の接続部20bのこれらコネクタ部20f、20gは、第1のスイッチ18及び制御部17をそれぞれ電気的に接続している。第1の接続部20aには雌ねじ20hが設けられ、また、第2の接続部20bには、雌ねじ20hに対応した雄ねじ20iが設けられている。
【0081】
第2の接続部20bは、細長い棒状の硬質部20cと一体になっている。硬質部20cは、連結部材を介してスライド軸20dに沿って略直交方向に動き、かつ、スライド軸20dを軸としてxz平面内で矢印A方向に回転することができる。スライド軸20dは、2つの板部材20e−1、20e−2によって挟持されて固定されており、板部材20e−2、20e−2はトロリー10に固定されている。
【0082】
なお、第1の接続部20aがトロリー10と一体化して、第2の接続部20b、硬質部20c、スライド軸20d、板部材20e−1、20e−2が保持装置2に取り付けられている構成であってもよい。また、保持装置2の電動ブレーキは、トロリー10に設けられていても、保持装置2とトロリー10との両方に設けられていてもよい。
【0083】
次に、医療用観察システム500を用いた手術時の作業手順を説明する。
まず、手術開始前に、術者は、観察装置1を保持している保持装置2を清潔域とするため、観察装置1及び保持装置2を、接続装置20近傍まで滅菌ドレープ12を用いて覆う。
【0084】
そして、不潔域の手術スタッフが、硬質部20cがトロリー10に対して立てかけられた状態(
図14に破線で示す状態)で、保持装置2にトロリー10を一定の距離まで近づけて、硬質部20cを保持装置2に対して近づける矢印Aの方向に倒す。かくして、第2の接続部20bを第1の接続部20aに接続する。この際、互いのコネクタ部20f、20gを繋げ、雄ねじ20iを第1の接続部20aの雌ねじ20hに差し込んで固定する。これにより、保持装置2とトロリー10とが一定の距離に保たれる。
【0085】
さらに、ケーブル5及びライトガイド8をそれぞれビデオプロセッサ6及び光源装置9に接続する。この状態でシステム全体の電源を投入して、手術準備が整った患者4の近傍まで近づける。
【0086】
清潔域の術者等が本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく清潔域である保持装置2を引き寄せる。不潔域であるトロリー10も、保持装置2に連動して移動又は運搬される。不潔域の手術スタッフが本システムを患者4の近傍まで近づける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を挿進する。清潔域である保持装置2も、トロリー10に連動して移動又は運搬される。
【0087】
こうして、本システムを患者4近傍まで移動させる。不潔域の手術スタッフの場合は、不潔域であるトロリー10側にある第1のスイッチ18を押す。これにより、電気信号が制御部17を経て電動ブレーキ16に伝送され、電動ブレーキ16がONになり、清潔域の保持装置2が固定される。清潔域の術者等の場合は、清潔域である保持装置2にある第2のスイッチ19を押す。これにより、電気信号が制御部17を経て電動ブレーキ16に伝送され、電動ブレーキ16がONになり、清潔域の保持装置2が固定される。
【0088】
手術が終わったら、不潔域の手術スタッフの場合は第1のスイッチ18を押す。これにより、電気信号が制御部17を経て電動ブレーキ16に伝送され、電動ブレーキ16がOFFになり、保持装置2の固定が解除される。清潔域の術者等の場合は、第2のスイッチ19を押す。これにより、電気信号が制御部17を経て電動ブレーキ16に伝送され、電動ブレーキ16がOFFになり、保持装置2の固定が解除される。そして、システム全体の電源を落とし、患者4から遠ざける。
【0089】
清潔域の術者等が本システムを患者4から遠ざける場合は、同じく清潔域である保持装置2を押し進める。不潔域であるトロリー10は、保持装置2に連動して移動又は運搬される。不潔域の手術スタッフが本システムを患者4から遠ざける場合は、同じく不潔域であるトロリー10を引き寄せる。清潔域である保持装置2は、トロリー10に連動して移動又は運搬される。
【0090】
そして、ケーブル5とライトガイド8をそれぞれビデオプロセッサ6と光源装置9から取り外す。さらに、第1の接続部20aと第2の接続部20bとの接続を外し、スライド軸20dを軸に硬質部20cを第1の接続部20aから遠ざかる矢印Aの方向に回転させて、トロリーに対して立てかけて収納する。滅菌ドレープ12は、保持装置2から取り外して、廃棄する。
【0091】
本実施形態によれば、不潔域に第1のスイッチを、及び清潔域に第2のスイッチを設けたことにより、清潔域と不潔域との両方の人がブレーキ操作を容易に行うことができる。
【0092】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態について、
図17並びに
図18を参照して説明する。
【0093】
図17は、本発明の第6の実施形態に係る医療用観察システム600を示す図である。本実施形態では、保持装置2には、第1の電動ブレーキ21を備えた第1の移動機構が設けられている。また、保持装置2には、第1の制御部22と、第1のスイッチ23とが内蔵されている。さらに、トロリー10には、第2の電動ブレーキ24を備えた第2の移動機構が設けられている。トロリー10には、第2の制御部25と、第2のスイッチ26とが内蔵されている。
【0094】
接続装置29は、第5の実施形態の接続装置20と同様の形態であるため、その説明は省略する。
【0095】
図18は、第1及び第2のスイッチ23、26、第1及び第2の制御部22、25並びに第1及び第2の電動ブレーキ21、24の関係を示すブロック図である。接続装置29の電気的接続がされていない場合、第1のスイッチ23は、第1の制御部22を通して第1の電動ブレーキ21を作動させ、第2のスイッチ26は、第2の制御部25を通して第2の電動ブレーキ24を作動させる。一方、接続装置29の電気的接続がされている場合、第1のスイッチ23は、第1の制御部22を通して第1及び第2の電動ブレーキ21、24を作動させ、第2のスイッチ26は、第2の制御部25を通して第1及び第2の電動ブレーキ21、24を作動させる。
【0096】
第1及び第2のスイッチ24、26は、保持装置2及びトロリー10のキャスターに設けられ足で操作する形態であってもよいし、保持装置2のドレープ12の内側となる位置やトロリー10の上部の位置などにあり手で押すことができる形態であってもよい。
【0097】
本実施形態によれば、清潔域である保持装置と不潔域であるトロリーとのスイッチのどちらからでも両方の電動ブレーキのON、OFFを切り替えることができる。従って、清潔域の術者は、保持装置側の第1のスイッチを入れることで保持装置とトロリーとの両方の電動ブレーキを作動することができる。また、不潔域の看護師等の補助者は、トロリー側の第2のスイッチを入れることで、保持装置とトロリーとの両方の電動ブレーキを作動することができる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態並びに変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でさまざまな改良及び変更が可能であることが当業者に明らかである。