特許第5792107号(P5792107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792107
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/04 20060101AFI20150917BHJP
   A01G 31/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   A01G31/04 B
   A01G31/00 601B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-77206(P2012-77206)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-202017(P2013-202017A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116573
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 幸司
(72)【発明者】
【氏名】須藤 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】村上 光平
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−83501(JP,A)
【文献】 特開昭63−296625(JP,A)
【文献】 実開平4−129755(JP,U)
【文献】 特表平4−503459(JP,A)
【文献】 実開昭53−121350(JP,U)
【文献】 米国特許第3667157(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00 − 31/06
A01G 9/00 − 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端が空中に支えられて並べて設置された培養液が流れる複数の樋の上に列置され、前記樋に沿って植物を栽培する複数の栽培板のうち、前記空中に支えられた部分の上の端に載置された搬送対象栽培板を、前記樋の下側の空間から持ち上げて搬送する搬送装置であって、
隣接する第1樋及び第2樋の高さよりも高く、先端の幅が前記第1樋と前記第2樋との間隔よりも小さい突起部と、
前記突起部を支持する支持台と、
隣接する栽培板から独立させて前記搬送対象栽培板を掛止する掛止部を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記支持台は、傾斜しており、前記栽培板及び/又は前記樋から流れ出た前記支持台上の培養液を移動させる、請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
少なくとも一端が空中に支えられて培養液が流れる樋の上に列置され、前記樋に沿って植物を栽培する複数の栽培板のうち、前記空中に支えられた部分の上の端に載置された搬送対象栽培板を、前記樋の下側の空間から持ち上げて搬送する搬送装置であって、
前記樋の高さよりも高い第1突起部と、
前記樋の高さよりも高く、前記第1突起部との間隔が前記樋の幅よりも大きい第2突起部と、
前記第1突起部及び前記第2突起部を支持する支持台と、
隣接する栽培板から独立させて前記搬送対象栽培板を掛止する掛止部を備えることを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、搬送装置に関し、特に、少なくとも一端が空中に支えられ、培養液が流れる樋の上に列置され、前記樋に沿って植物を栽培する複数の栽培板のうち、前記空中に支えられた部分の上に端に載置された搬送対象栽培板を搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、野菜等の植物は、植物工場などの育成システムにおいて、理想的な環境の下で栽培されるようになった(特許文献1〜3など参照)。従来、このような植物を搬送する場合には、例えば、植物を、培養液と共に培養容器に入れ、搬送装置で、培養容器ごと搬送していた(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245554号公報
【特許文献2】特開2008−118957号公報
【特許文献3】特開2004−344023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1及び2に多段式の植物工場が記載されているように、従来の研究・開発は、主に植物の育成に着目してなされてきた。
【0005】
また、特許文献3にあるように、培養液と共に搬送することにより、育成環境を保ったまま搬送することができる。しかしながら、育成完了後に搬送する場合には、育成環境そのものを保つ必要はない。培養液と共に搬送するため、搬送に必要なエネルギーが増加してしまうこととなっていた。
【0006】
そこで、本願発明は、育成システムから育成完了後の植物を取り出すことに適した搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の観点は、少なくとも一端が空中に支えられて並べて設置された培養液が流れる複数の樋の上に列置され、前記樋に沿って植物を栽培する複数の栽培板のうち、前記空中に支えられた部分の上の端に載置された搬送対象栽培板を、前記樋の下側の空間から持ち上げて搬送する搬送装置であって、隣接する第1樋及び第2樋の高さよりも高く、先端の幅が前記第1樋と前記第2樋との間隔よりも小さい突起部と、前記突起部を支持する支持台と、隣接する栽培板から独立させて前記搬送対象栽培板を掛止する掛止部を備えることを特徴とするものである。
【0008】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の搬送装置であって、前記支持台は、傾斜しており、前記栽培板及び/又は前記樋から流れ出た前記支持台上の培養液を移動させるものである。
【0009】
本願発明の第3の観点は、少なくとも一端が空中に支えられて培養液が流れる樋の上に列置され、前記樋に沿って植物を栽培する複数の栽培板のうち、前記空中に支えられた部分の上の端に載置された搬送対象栽培板を、前記樋の下側の空間から持ち上げて搬送する搬送装置であって、前記樋の高さよりも高い第1突起部と、前記樋の高さよりも高く、前記第1突起部との間隔が前記樋の幅よりも大きい第2突起部と、前記第1突起部及び前記第2突起部を支持する支持台と、隣接する栽培板から独立させて前記搬送対象栽培板を掛止する掛止部を備えることにより、前記搬送対象栽培板の植物の根と前記隣接する栽培板の植物の根とが絡まっている場合に、前記掛止部が前記搬送対象栽培板を掛止して前記搬送対象栽培板の植物を搬送させ、絡まった根を切って前記隣接する栽培板の植物とは独立に搬送することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の育成システムでは、樋が設置されている。樋には、培養液が流れている。樋の上には、複数の栽培板が列置されている。各栽培板では、樋に流れる培養液を使って、樋に沿って植物が栽培されている。列置されている栽培板は、新規のものが一方の端から入れられ、順に他方の端側に移送され、生育完了したものが、他方の端から取り出される。樋は、少なくとも栽培板が取り出される方の端が、空中に支えられている。
【0011】
本願発明の各観点によれば、この空中に支えられた部分に載せられた搬送対象栽培板を、突起部により、下方の空間から持ち上げることができる。ただし、樋に沿って根が張り、搬送対象栽培板は、隣接する栽培板との関係で、取り出しが困難になることが予想される。植物の成長は、収穫前に、ほぼ安定した状態になり、一日に数回でも出荷できる程度になる。よって、掛止部により、搬送対象栽培板を、隣接する栽培板から独立して固定することにより、根が張っていても、それを切って、取り出すことが可能になる。隣接する栽培板は、育成システム側で固定すればよい。特に、本願発明は、樋に沿って搬送対象栽培板を取り出すものであり、掛止部は、その方向に固定すれば足りる。そのため、樋があっても、その下方から固定することが可能である。特に、本願発明の第1の観点によれば、育成システムにおいて、複数の樋を使って植物を並行して作成するようにしつつ、搬送装置は、樋の間隔を利用して、培養液とは独立して搬送対象栽培板を容易に取り出すことが可能になる。
【0012】
さらに、培養液とは独立に搬送することから、支持台には、培養液が滴ることとなる。本願発明の第2の観点によれば、支持台を傾斜させることにより、この培養液を集めることができる。特に、取り出す等の移動に伴い、支持台には力がかかるため、緩斜するだけでも培養液を集めることが可能になる。
【0013】
さらに、本願発明の第3の観点によれば、樋の両側から第1及び第2突起部により支えて搬送することが可能になり、搬送対象栽培板を安定して取り出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願発明の実施の形態に係る搬送装置の一例の概要を示す図である。
図2】(a)本願発明の実施の形態に係る搬送装置の他の一例と、(b)移動手段291及び292を含めた全体像を示す図である。
図3図2の搬送装置21を樋の下方に位置させた時点での(a)側面図と、(b)正面図である。
図4図2の搬送装置21を使って搬送対象栽培板37を持ち上げた時点での(a)側面図と、(b)正面図である。
図5】搬送対象栽培板37が、突起部25に載った時点において、図2の掛止部27の位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明の実施の形態は、本実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は、本願発明の実施の形態に係る搬送装置の一例の概要を示す図である。
【0017】
育成システム1は、複数の樋31及び32(本願請求項の「樋」の一例)と、複数の栽培板51及び52(本願請求項の「栽培板」の一例であり、栽培板52が「搬出対象栽培板」の一例である。)と、移送手段9を備える。
【0018】
搬送装置11(本願請求項の「搬送装置」の一例)は、支持台13(本願請求項の「支持台」の一例)と、複数の突起部151、152及び153(本願請求項の「突起部」の一例)と、複数の掛止部171、172及び173(本願請求項の「掛止部」の一例)と、移動手段19を備える。
【0019】
樋31及び32は、例えば特許文献1、2などに記載されているように、多段式の植物工場の一つの段に設けられているものであり、並べて設置されている。樋31及び32には、培養液が流れている。複数の栽培板51及び52は、樋31及び32の上に、樋31及び32が延びる方向に沿って列置されている。栽培板51及び52では、樋31に沿って植物71及び72が育成され、樋32に沿って植物73及び74が育成されている。栽培板52の植物72及び74は、育成完了したものである。栽培板51の植物71及び73は、育成中のものである。
【0020】
樋31及び32は、少なくとも、栽培板52が載置されている部分の下に空間が形成されて支持されている(すなわち、少なくとも一端が空中に支えられている。)。移動手段19は、支持台13を移動させる。移動手段19は、まず、栽培板52の下に形成された空間で、突起部151を樋31の外側に位置させ、突起部152を樋31と樋32の間に挟入し、突起部153を樋32の外側に位置させて、支持台13を上昇させて栽培板52を持ち上げる。そして、樋31及び32が延びる方向で、栽培板51とは反対の向きに引き出す。これにより、栽培板52を搬出する。移動手段19は、例えばクレーンやフォークリフト等であり、既存の移動手段を用いることができる。移送手段9は、栽培板52の搬出中は栽培板51を固定し、栽培板52の搬出後、栽培板51を、栽培板52があった位置に移送する。これにより、列置された栽培板は、植物の育成に伴い、順に移送される。
【0021】
突起部151、152及び153は、支持台13に突設されたものである。支持台13は、突起部151、152及び153を支持する。樋31及び32の下方から栽培板52を持ち上げるため、突起部151及び152は、樋31の高さよりも高く、かつ、突起部152及び153は、樋32の高さよりも高い。さらに、突起部151と152との間隔は、樋31の幅よりも広く、かつ、突起部152と153との間隔は、樋32の幅よりも広い。この構成により、搬送装置11は、栽培板52の下に形成された空間を上昇して、樋31及び32の隙間に突起部151、152及び153を入れて、栽培板52を持ち上げることができる。
【0022】
栽培板52の植物72及び74は、それぞれ、樋31及び32の培養液を使って育成される。そのため、栽培板52の植物72及び74の根は、それぞれ、樋31及び32に沿って成長し、隣接する栽培板51の植物71及び73の根と絡むことが予想される。そのため、単純に栽培板52を引き出した場合、絡まった根が原因となり、隣接する栽培板51と一体となり、栽培板51も併せて引き出す可能性がある。そのため、育成システム1の移送手段9が栽培板51を固定することにより、栽培板52と共に栽培板51が引き出されないようにする。他方、栽培板51を固定してしまうと、栽培板52の引き出しに失敗したりする可能性がある。掛止部171、172及び173は、移動手段19の動作に伴い、栽培板52に掛かって、栽培板52を搬送装置11に固定する。これにより、栽培板52の植物72及び植物74の根が、栽培板51の植物71及び73の根と絡まっていても、栽培板52のみの引き出しを可能にする。
【実施例2】
【0023】
図2乃至図6を参照して、本願発明の他の実施例について、より具体的に説明する。
【0024】
図2は、(a)搬送装置21の概略と、(b)移動手段291及び292を含めた全体像を示す図である。
【0025】
まず、図2(a)を参照して、本実施例の搬送装置21の構成について説明する。搬送装置21は、図1の搬送装置11と同様に、支持台23(本願請求項の「支持台」の一例)と、複数の突起部251、252及び253(本願請求項の「突起部」の一例)と、複数の掛止部271、272及び273(本願請求項の「掛止部」の一例)を備える。搬送装置21は、図1の搬送装置11と同様の構成であり、同様に動作して、搬送対象栽培板37を搬送する。
【0026】
すなわち、図2(b)にあるように、支持台23は、搬送台28に載せられている。移動手段291及び292は、支持台23を、搬送対象栽培板37が載置される樋の下方に移動する。図3は、樋の下方に位置させた時点での(a)側面図と、(b)正面図である。
【0027】
移動手段291及び292は、支持台23を上昇させ、樋の隙間から突起部25を挟入して搬送対象栽培板37を持ち上げる。図4は、搬送対象栽培板37を持ち上げた時点での(a)側面図と、(b)正面図である。
【0028】
そして、必要であれば掛止部27により掛止して、搬送対象栽培板37を引き出す。図5は、搬送対象栽培板37が、突起部25に載った時点において、掛止部27の位置の一例を示す図である。搬送対象栽培板37を突起部25に確実に載せるため、掛止部27は、突起部25において搬送対象栽培板37が載る部分よりも外側に形成されている。そして、図5の左向きに引き出された際、搬送対象栽培板37が右側に隣接する栽培板の植物と根が絡まっていると、搬送対象栽培板37は、搬送装置21に対して相対的に右に移動する。そのため、掛止部27が搬送対象栽培板37を掛止して、搬送対象栽培板37を、隣接する栽培板とは独立して移動させる。なお、仮に、例えば搬送対象栽培板37の植物の根が右側に隣接する栽培板の植物の根と絡まっていないなど、搬送対象栽培板37が、隣接する栽培板とは独立して動作するのであれば、搬送対象栽培板37は、掛止部27によって掛止されていなくてもよい。
【0029】
移動手段291及び292は、搬送対象栽培板37の下方に樋がない状態まで移動する。通常は、棚状に栽培されていることから、下方に移動する。図2(b)は、移動後の搬送対象栽培板37と、搬送装置21と、移動手段291及び292を示す。
【0030】
搬送装置21は、背景技術と異なり、搬送対象栽培板を、培養液とは別に搬送する。そのため、搬送対象栽培板を搬送するとき、搬送板及び/又は樋から流れ出た培養液が支持台23に流出する。図2(a)の支持台23には、突起部253側から突起部251側にかけて、緩斜部31が形成されており、培養液は、突起部251側に集まるようになっている。特に、支持台23は、移動に伴いさまざまな力がかかるため、その力に伴い、培養液は、緩斜に従い、突起部251側に集まる。そして、支持台23は、突起部251側に、排水部33(例えば、排水用ノズル)を備える。
【0031】
搬送対象栽培板37を育成システムから引き出した後、図2(b)にあるように、排水部33は、排水機能が付いたキャレッジウォーターパン35に接続され、集まった培養液を排水する。
【符号の説明】
【0032】
1 育成システム、31,32 樋、51,52複数の栽培板、71,72,73,74 植物、9 移送手段、11,21 搬送装置、13,23 支持台、151,152,153,25,251、252,253 突起部、171、172,173,27,271、272,273 掛止部、19,29 移動手段、28 搬送台、31 緩斜部、33 排水部、35 キャレッジウォーターパン
図1
図2
図3
図4
図5