(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冬季における冷熱や夏季における温熱は、外壁やこの外壁に取り付けられた窓等から部屋に入ってくるが、上記従来の冷暖房システムでは、冷暖房パネルを、例えばリビングルームと階段スペースとを仕切る位置やリビングルームと食堂とを仕切る位置等に配置しているので、部屋の冷暖房を効果的に行い難いという問題がある。
一方、冷暖房パネルを外壁の内壁面に沿って配置すると、外壁や窓等から部屋に入ってくる冷熱や温熱をある程度暖めたり、冷やしたりできるが、部屋の中央部の冷暖房を効果的に行い難いという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、部屋全体を効果的に冷暖房できる冷暖房システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図4に示すように、内部に高温あるいは低温の流体を流通させる管部材22を備え、ほぼ鉛直に配置される冷暖房パネル12と、
内部に高温あるいは低温の流体を流通させる管部材26を備え、床材の下に配置される床冷暖房装置25とを備えた冷暖房システムであって、
前記冷暖房パネル12は、建物内の部屋2を形成する壁面のうち、建物1の外壁1a〜1cの前記部屋2側を向く壁面2a〜2dに沿って配置され、
前記床冷暖房装置25は、前記部屋2の床面積の60%以上の領域S1,S2に配置されて
おり、
さらに、前記冷暖房パネル12および前記床冷暖房装置25は、
暖房時において、前記冷暖房パネル12の温度が、前記床冷暖房装置25の温度より高くなるように、
冷房時において、前記冷暖房パネル12の温度が、前記床冷暖房装置25の温度より低くなるように温度制御されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、冷暖房パネル12が、建物1の外壁1a〜1cの部屋2側を向く壁面2a〜2dに沿って配置されているので、外壁1a〜1cやこの外壁1a〜1cに設けられた窓等から部屋2に入ってくる冷熱または温熱を効果的に暖めまたは冷やすことができるともに部屋2の内側に向けて熱放射でき、さらに、床冷暖房装置25が、部屋2の床面積の60%以上の領域S1,S2に配置されているので、部屋全体を効果的に冷暖房できる。
また、冷暖房パネル12および床冷暖房装置25の双方とも管部材22,26に高温あるいは低温の流体を流通させる構成となっているので、流体供給装置30を共通化できるという利点もある。
そして、暖房時において、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25の温度より高くなるので、外壁の内側や窓の近傍の暖房を効果的に行える。
また、冷房時において、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25の温度より低くなるので、外壁の内側や窓の近傍の冷房を効果的に行えるとともに、床が結露し難くなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の冷暖房システムにおいて、
前記床冷暖房装置25が配置された領域S1,S2の外側に、前記冷暖房パネル12が配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、床冷暖房装置25が配置された領域S1,S2の外側に、冷暖房パネル12が配置されているので、床冷暖房装置25の領域S1,S2の外側を冷暖房パネル12によって効果的に冷暖房できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の冷暖房システムにおいて、
複数の前記冷暖房パネル12は、それらの放熱面12aが対向しないようにして、配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、複数の冷暖房パネル12が、それらの放熱面12aが対向しないようにして、配置されているので、冷暖房パネル12の放熱面12aからの放射熱を部屋2に満遍なく行き渡らせることができる。
【0014】
請求項
4に記載の発明は、請求項1〜
3のいずれか一項に記載の冷暖房システムにおいて、
前記部屋2に隣接して、玄関7が配置されており、この玄関7の玄関土間7bの下に別の床冷暖房装置27が配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項
4に記載の発明によれば、玄関土間7bの下に別の床冷暖房装置27が配置されているので、玄関7の温度が、部屋2の温度と外部の温度との間の値になり易く、その結果、外部、玄関7、部屋2を行き来する住人等に与えるヒートショックを小さくできる。
また、雪が付いた靴で帰宅した場合でも、玄関土間7bで靴を早期に乾燥させることができるという利点がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、冷暖房パネルが、建物の外壁の部屋側を向く壁面に沿って配置されているので、外壁やこの外壁に設けられた窓等から部屋に入ってくる冷熱または温熱を効果的に暖めまたは冷やすことができるともに部屋の内側に向けて熱放射でき、さらに、床冷暖房装置が、部屋の床面積の60%以上の領域に配置されているので、部屋全体を効果的に冷暖房できる。
そして、暖房時において、冷暖房パネルの温度が、床冷暖房装置の温度より高くなるので、外壁の内側や窓の近傍の暖房を効果的に行える。
また、冷房時において、冷暖房パネルの温度が、床冷暖房装置の温度より低くなるので、外壁の内側や窓の近傍の冷房を効果的に行えるとともに、床が結露し難くなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る冷暖房システムの実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る冷房システムが設けられた建物1の1階の平面図である。この建物1は住宅であり、その1階には、リビングとしての部屋2、キッチン3、洗面室4、浴室5、トイレ6、玄関7が配置されている。
玄関7は部屋2に隣接して配置されており、玄関ホール7a、玄関土間7b、玄関ポーチ7cを備えている。玄関ホール7aと玄関土間7bは建物内にあり、玄関ポーチ7cは外部に位置している。
なお、キッチン3と洗面室4との間には、階段室が配置されており、この階段室に階段8と階段下収納9が設けられている。
また、階段室と部屋2との間には階段ホール10が配置されており、この階段ホール10と部屋2を仕切る壁11に、部屋2への出入口が形成されている。
【0019】
前記部屋2を形成する壁面のうち、建物の外壁の部屋2側を向く壁面2a〜2dに沿って冷暖房パネル12がそれぞれ配置されている。
壁面2aは建物の西側の外壁1aの部屋2側を向く壁面であり、冷暖房パネル12はこの壁面2aとほぼ平行にかつ壁面2aとの間に所定の隙間をもって配置されている。
壁面2b,2cは建物の南側の外壁1bの部屋2側を向く壁面であり、冷暖房パネル12,12は壁面2b,2cとほぼ平行にかつ壁面2b,2cとの間に所定の隙間をもって配置されている。
壁面2dは建物の東側の外壁でかつ玄関ポーチ7cに面する外壁1cの部屋2側を向く壁面であり、冷暖房パネル12はこの壁面2dとほぼ平行にかつ壁面2dとの間に所定の隙間をもって配置されている。
【0020】
前記複数の冷暖房パネル12は、それらの放熱面12aが対向しないようにして、配置されている。つまり、壁面2aに沿って配置された冷暖房パネル12の放熱面12aの前方には、他の壁面2b,2c,2dに沿ってそれぞれ配置された冷暖房パネル12の放熱面12aは存在せず、壁面2bに沿って配置された冷暖房パネル12の放熱面12aの前方には、他の壁面2a,2c,2dに沿ってそれぞれ配置された冷暖房パネル12の放熱面12aは存在していない。同様に、壁面2cに沿って配置された冷暖房パネル12の放熱面12aの前方には、他の壁面2a,2b,2dに沿ってそれぞれ配置された冷暖房パネル12の放熱面12aは存在せず、壁面2dに沿って配置された冷暖房パネル12の放熱面12aの前方には、他の壁面2a,2b,2cに沿ってそれぞれ配置された冷暖房パネル12の放熱面12aは存在していない。
また、トイレ6にも、冷暖房パネル12が、トイレ6を形成する内壁面に沿って平行に、かつ内壁面と所定の間隔をもって配置されている。
【0021】
前記冷暖房パネル12は熱放射型のパネルであり、
図2および
図3に示すように、部屋2の床面から天井付近までの高さを有しているものや、それ以外にも、床面から窓の下辺部付近までの高さを有しているもの等、高さは適宜設定され、幅は前記壁面2a〜2dの幅に応じて適宜設定されている。
また、冷暖房パネル12の下端部は、下端固定部材20によって部屋2の床面に固定され、上端部は部屋2の天井付近の壁面に上端固定部材21によって固定されている。
前記冷暖房パネル12は、多数の管部材22と、これら管部材22の上端部に設けられた上部ヘッダ23と、管部材22の下端部に設けられた下部ヘッダ24と備えている。
多数の管部材22は、それぞれ、例えばアルミニウムなどの熱伝導性材料にて押出し成形によって形成されており、軸直交方向における断面形状が長方形状とされ、その両端部は開口している。
上部ヘッダ23は管部材22の並列方向に長尺な管状のものであり、この上部ヘッダ23の左右両端部は閉塞されている。そして、この上部ヘッダ23の下面に管部材22の上端開口部が左右方向に所定間隔で接続され、これによって、管部材22と上部ヘッダ23とは連通している。
【0022】
下部ヘッダ24は、上部ヘッダ23と平行に設けられており、この下部ヘッダ24の左右両端部は閉塞されている。また、下部ヘッダ24の長さ方向中央部には、隔壁24aが形成されており、隔壁24aより左側が左ヘッダ24b、隔壁24aより右側が右ヘッダ24cとなっている。
左ヘッダ24bの上面には、左半分に配置された管部材22の下端開口部が左右方向に所定間隔で接続され、これによって、左半分の管部材22と左ヘッダ24bとは連通している。また、右ヘッダ24cの上面には、右半分に配置された管部材22の下端開口部が左右方向に所定間隔で接続され、これによって、右半分の管部材22と右ヘッダ24cとは連通している。左ヘッダ24bには冷水や温水を供給する供給管24dが接続され、右ヘッダ24bには排出管24eが接続されている。
なお、下部ヘッダ24の下方には、冷房時に冷暖房パネル12の表面に結露する水を受けるとともに外部に排出する図示しないドレンパンが下部ヘッダ24の長手方向に沿って設けられている。
【0023】
また、
図1に示すように、前記部屋2の平面視における中央部には、床冷暖房装置25が床材の下に配置されている。すなわち、床材の裏面(底面)には、図示しない溝が蛇行して形成されており、この溝に、内部に高温あるいは低温の流体を流通させる管部材26がはめ込まれている。
そして、管部材26の一方の端部開口から温水、熱水または冷水が流入して、管部材26を流れたうえで、他方の端部開口から流出するようになっている。
また、床冷暖房装置25は部屋2の中央部でかつ、当該部屋2の床面積の60%以上の領域S1に配置されている。すなわち、
図1において、二点鎖線で囲んだ平面視矩形状の領域S1は、矩形状の部屋2の床面積の60%の面積を有し、かつ、その領域S1の平面視における中央部は部屋2の中央部と一致している。したがって、領域S1は部屋2の中央部で、かつ、当該部屋2の床面積の60%の面積を有している。
そして、このような領域S1に前記床冷暖房装置25の管部材26が蛇行して配置されている。
また、床冷暖房装置25が配置された領域S1の外側に、全ての冷暖房パネル12が配置されている。
【0024】
なお、床冷暖房装置25は部屋2の中央部に、当該部屋2の床面積の少なくとも60%以上の領域に配置されていればよく、好ましくは部屋2の床面積の80%の領域S2に配置されているのが望ましい。例えば
図1において、二点鎖線で囲んだ平面視矩形状の領域S2は、矩形状の部屋2の床面積の80%の面積を有するので、この領域S2全体に床冷暖房装置25の管部材26を配置するのが望ましい。
このように、床冷暖房装置25は、部屋2の床面積の60%〜80%の領域に配置するのが望ましく、さらには、この領域は部屋2の中央部に配置されるのが望ましいが、建物の南面から日差し等がよく差し込む部屋では、領域を若干北側にずらしてもよい。
【0025】
また、前記玄関7の玄関土間7bの下には、別の床冷暖房装置27が配置されている。この床冷暖房装置27は、前記床冷暖房装置25と同様の構成であり、管部材28を玄関土間7bの仕上板の下面に形成された溝に蛇行してはめ込むことによって構成されている。なお、このような床冷暖房装置27は、玄関土間7bの床面積の60%〜80%の領域S3に配置するのが望ましい。
図1において、二点鎖線で囲んだ平面視矩形状の領域S3は、矩形状の玄関土間7bの床面積の60%〜80%の面積を有しているので、この領域S3に床冷暖房装置27を配置するのが望ましい。
【0026】
前記建物1の外側には、
図1に示すように、流体供給装置30が西側の外壁1aの近傍に設けられている。この流体供給装置30は、冷暖房パネル12および床冷暖房装置25,27の内部に高温あるいは低温の水を流通させる装置であり、
図4に示すように、配管31と、ポンプP1,P2と、三方弁34,35と、燃料ボイラ36と、ヒートポンプ37とを備えて構成されている。
【0027】
配管31は、冷暖房パネル12のそれぞれの供給管24dに接続された配管31aと、冷暖房パネル12のそれぞれの排出管24eに接続された配管31bと、床冷暖房装置25,27の一方の端部に接続された供給管に接続された配管32aと、床冷暖房装置25,27の他方の端部に接続された排出管に接続された配管32bとを備えている。配管31b,32bの基端部は三方弁34に接続されており、この三方弁34は接続管31c,31dを介して燃料ボイラ36およびヒートポンプ37に接続されている。
一方、配管31a,32aの基端部は三方弁35に接続されており、この三方弁35は接続管31e,31fを介して燃料ボイラ36およびヒートポンプ37に接続されている。また、配管31aには流量制御弁41が取り付けられており、配管32aには流量制御弁42が取り付けられている。したがって、この流量制御弁41,42によって、冷暖房パネル12と床冷暖房装置25,27に供給する水の流量を制御できるようになっている。
このような配管31、多数の管部材22、上部ヘッダ23、下部ヘッダ24によって、燃料ボイラ36を経由する第1の閉経路38と、ヒートポンプ37を経由する第2の閉経路39とが形成されている。
【0028】
ポンプP1は、接続管31c上に設けられており、燃料ボイラ36を使用する場合に駆動する。ポンプP2は、接続管31f上に設けられており、ヒートポンプ37を使用する場合に駆動する。
燃料ボイラ36は、灯油等の燃料を燃焼させることにより配管31内の水を加熱する装置である。この燃料ボイラ36は、外気温度がヒートポンプ37が十分に能力を発揮する所定温度未満、すなわち例えば0℃未満の場合に駆動する。
ヒートポンプ37は、圧縮器、膨張弁および熱交換器を備えており、圧縮器にて冷媒を圧縮した際の発熱現象、および膨張弁にて冷媒を膨張させた際の吸熱現象を利用して、熱交換器を介して配管31内の水を加熱・冷却する装置である。
このようなヒートポンプ37は、外気温度がヒートポンプ37が十分に能力を発揮する所定温度以上である場合に駆動する。すなわち、例えば外気温度が0〜25℃の場合には配管31内の水を加熱し、外気温度が25℃を超える場合には配管31内の水を冷却するように駆動する。なお、ヒートポンプ37中の冷媒には代替フロンやCO
2ガス等を使用することができる。また、ヒートポンプ37が十分に能力を発揮する所定温度は、0℃に限定されるものではなく、冷暖房パネルの大きさや設置場所、ヒートポンプ37の能力等に応じて適宜設定されるものである。
【0029】
上記のような流体供給装置30は、夏季には冷暖房パネル12および床冷暖房装置25の内部に冷水を流通させる。すなわち、三方弁34を配管31b,32bと接続管31dとを接続する状態に開き、三方弁35を配管31a,32aと接続管31fとを接続する状態に開く。つまり、ヒートポンプ37を経由する第2の閉経路39を形成する。そして、ヒートポンプ37により配管31内の水を冷却させると共に、図中矢印Aで示す流れが形成されるようにポンプP2を駆動する。これにより、冷水は配管31aを通って供給管24dから下部ヘッダ24の左ヘッダ24bを経由して、冷暖房パネル12の多数の管部材22のうち、左半分の管部材22の内部を下から上へ向けて流通し、さらに、上部ヘッダ23を経由して、右半分の管部材22の内部を上から下へ向けて流通し、これによって部屋2が冷却される。
また、冷水は供給管から配管32aを通って床冷暖房装置25の管部材26を一方の端部から他方の端部へ向けて流通し、これによって、部屋2の床が冷却される。この際、前記流量制御弁41,42によって冷水の流量が制御され、これによって、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25の温度より低くなるように温度制御される。例えば、冷房時には、冷暖房パネル12の温度が5℃〜10℃〜25℃となるように制御される一方で、床冷暖房装置25の温度が22℃〜25℃〜28℃となるように制御される。
【0030】
一方、冬季には、上記と同様にして、第2の閉経路39を形成し、ヒートポンプ37により配管31内の水を加熱させると共に、図中矢印Aで示す流れが形成されるようにポンプP2を駆動する。これにより、温水は冷水の場合と同様にして流通し、これによって部屋2と部屋2の床が暖められる。
この際、前記流量制御弁41,42によって温水の流量が制御され、これによって、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25,27の温度より高くなるように温度制御される。例えば、暖房時には、冷暖房パネル12の温度が30℃〜35℃〜40℃となるように制御される一方で、床冷暖房装置25の温度が25℃〜30℃〜35℃となり、床冷暖房装置27の温度が20℃〜25℃〜30℃となるように制御される。
【0031】
また、冬季のうち外気温度が例えば0℃未満となる厳寒期には、冷暖房パネル12および床冷暖房装置25,27の内部に熱水を流通させる。すなわち、三方弁34を配管31b,32bと接続管31cとを接続する状態に開き、三方弁35を配管31a,32aと接続管31eとを接続する状態に開く。つまり、燃料ボイラ36を経由する第1の閉経路38を形成する。そして、燃料ボイラ36により配管31内の水を加熱させると共に、図中矢印Bで示す流れが形成されるようにポンプP1を駆動する。これにより、熱水は配管31aを通って供給管24dから下部ヘッダ24の左ヘッダ24bを経由して、冷暖房パネル12の多数の管部材22のうち、左半分の管部材22の内部を下から上へ向けて流通し、さらに、上部ヘッダ23を経由して、右半分の管部材22の内部を上から下へ向けて流通し、これによって部屋2がさらに高い温度で暖められるようになる。
また、熱水は供給管から配管32aを通って床冷暖房装置25,27の管部材26を一方の端部から他方の端部へ向けて流通し、これによって、部屋2の床がさらに高い温度で暖められるようになる。
この場合も、前記流量制御弁41,42によって温水の流量が制御され、これによって、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25,27の温度より高くなるように温度制御される。例えば、暖房時には、冷暖房パネル12の温度が30℃〜35℃〜40℃となるように制御される一方で、床冷暖房装置25の温度が25℃〜30℃〜35℃となり、床冷暖房装置27の温度が20℃〜25℃〜30℃となるように制御される。
【0032】
なお、前記流体供給装置30は、燃料ボイラ36と、ヒートポンプ37とを備えているが、燃料ボイラ36を備えず、ヒートポンプ37のみを備える構成としてもよい。
この流体供給装置30は、
図5に示すように、配管31と、ポンプP2と、ヒートポンプ37とを備えて構成されている。
【0033】
配管31は、冷暖房パネル12のそれぞれの供給管24dに接続された配管31aと、冷暖房パネル12のそれぞれの排出管24eに接続された配管31bと、床冷暖房装置25,27の一方の端部に接続された供給管に接続された配管32aと、床冷暖房装置25,27の他方の端部に接続された排出管に接続された配管32bとを備えている。配管31b,32bの基端部および配管31a,31bの基端部はヒートポンプ37に接続されている。
また、配管31aには流量制御弁41が取り付けられており、配管32aには流量制御弁42が取り付けられている。したがって、この流量制御弁41,42によって、冷暖房パネル12と床冷暖房装置25,27に供給する水の流量を制御できるようになっている。
【0034】
上記のような流体供給装置30は、夏季には冷暖房パネル12および床冷暖房装置25の内部に冷水を流通させる。すなわち、ヒートポンプ37により配管31内の水を冷却させると共に、図中矢印Aで示す流れが形成されるようにポンプP2を駆動する。これにより、冷水は配管31aを通って供給管24dから下部ヘッダ24の左ヘッダ24bを経由して、冷暖房パネル12の多数の管部材22のうち、左半分の管部材22の内部を下から上へ向けて流通し、さらに、上部ヘッダ23を経由して、右半分の管部材22の内部を上から下へ向けて流通し、これによって部屋2が冷却される。
また、冷水は供給管から配管32aを通って床冷暖房装置25の管部材26を一方の端部から他方の端部へ向けて流通し、これによって、部屋2の床が冷却される。この際、前記流量制御弁41,42によって冷水の流量が制御され、これによって、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25の温度より低くなるように温度制御される。例えば、冷房時には、冷暖房パネル12の温度が5℃〜10℃〜25℃となるように制御される一方で、床冷暖房装置25の温度が22℃〜25℃〜28℃となるように制御される。
【0035】
一方、冬季には、ヒートポンプ37により配管31内の水を加熱させると共に、図中矢印Aで示す流れが形成されるようにポンプP2を駆動する。これにより、温水は冷水の場合と同様にして流通し、これによって部屋2と部屋2の床が暖められる。
この際、前記流量制御弁41,42によって温水の流量が制御され、これによって、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25,27の温度より高くなるように温度制御される。例えば、暖房時には、冷暖房パネル12の温度が30℃〜35℃〜40℃となるように制御される一方で、床冷暖房装置25の温度が25℃〜30℃〜35℃となり、床冷暖房装置27の温度が20℃〜25℃〜30℃となるように制御される。
【0036】
本実施の形態によれば、冷暖房パネル12が、建物1の外壁1a〜1cの部屋2側を向く壁面2a〜2dに沿って配置されているので、外壁1a〜1cやこの外壁1a〜1cに設けられた窓等から部屋2に入ってくる冷熱または温熱を効果的に暖めまたは冷やすことができるともに部屋2の内側に向けて熱放射でき、さらに、床冷暖房装置25が、部屋2の床面積の60%以上の領域S1,S2に配置されているので、部屋全体を効果的に冷暖房できる。
また、冷暖房パネル12および床冷暖房装置25の双方とも管部材22,26に高温あるいは低温の流体を流通させる構成となっているので、流体供給装置30を共通化できるという利点もある。
さらに、床冷暖房装置25が配置された領域S1,S2の外側に、冷暖房パネル12が配置されているので、床冷暖房装置25の領域S1,S2の外側を冷暖房パネル12によって効果的に冷暖房できる。
【0037】
加えて、複数の冷暖房パネル12は、それらの放熱面12aが対向しないようにして、配置されているので、冷暖房パネル12の放熱面12aからの放射熱を部屋2に満遍なく行き渡らせることができる。
また、冷暖房パネル12および床冷暖房装置25,27は、暖房時において、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25,27の温度より高くなるように、冷房時において、冷暖房パネル12の温度が、床冷暖房装置25,27の温度より低くなるように温度制御されているので、暖房時において、冷暖房パネルの温度が、床冷暖房装置の温度より高くなって、外壁1a〜1cの内側や窓の近傍の暖房を効果的に行える。
また、冷房時において、冷暖房パネルの温度が、床冷暖房装置の温度より低くなるので、外壁1a〜1cの内側や窓の近傍の冷房を効果的に行えるとともに、床が結露し難くなる。
また、玄関土間7bの下に別の床冷暖房装置27が配置されているので、玄関7の温度が、部屋2の温度と外部の温度との間の値になり易く、その結果、外部、玄関7、部屋2を行き来する住人等に与えるヒートショックを小さくできる。