(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部が空洞とされたバレルと、当該バレル内に挿入される左右一対の混練ロータと、当該混練ロータを回転させる駆動部とを備え、前記混練ロータを回転自在に支持するフレーム部材が当該混練ロータの軸方向に少なくとも3個備えられた2軸混練押出機において、
前記少なくとも3個のフレーム部材のうち、2個のフレーム部材が駆動部側に配備され、且つ前記2個のフレーム部材には、前記混練ロータの回転で発生する加振力による振動を低減させる振動低減部材が設けられており、
前記振動低減部材は、前記2個のフレーム部材の上部を掛け渡すように、且つ互いに交差するように締結されている
ことを特徴とする2軸混練押出機。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る2軸混練押出機1の実施形態について、図を基に説明する。
図1に示すように、2軸混練押出機1(以降、混練機1とも呼ぶ。)は、水平方向に沿って内部が空洞とされたバレル2と、このバレル2内に挿入可能な左右一対の混練ロータ3(混練スクリュ)と、この混練ロータ3を回転駆動させる駆動部4とから構成されている。
【0015】
このバレル2の一方側(
図1で右側)には、第1フレーム部材5が設置されており、バレル2の一方側の面と第1フレーム部材5の他方側の面とが密着するように連結されている。
第1フレーム部材5の一方側、すなわちバレル2から離れる側には、第1フレーム部材5から水平方向に所定の距離を空けて第2フレーム部材6が設置されている。
【0016】
第1フレーム部材5と第2フレーム部材6との間には、内部に混練スクリュの軸部が貫通する空孔が形成された連結部材7が配備され、この連結部材7を介することで、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6とが一体的に連結されるようになっている。
さらに、第2フレーム部材6の一方側(
図1で右側であってバレル2から最も離れた場所)には、混練ロータ3を回転駆動させるための駆動部4が設けられ、駆動部4と混練ロータ3とが直接連結されている。この駆動部4で発生した回転駆動力を混練ロータ3に伝達し、この混練ロータ3を回転駆動させている。このように混練機1は、左右一対の混練ロータ3を回転駆動させることで、PEやPPなどの樹脂材料を溶融しながら混練するようになっている。
【0017】
一方、バレル2の他方側(
図1で左側であって第1フレーム部材5の反対側)には、第3フレーム部材8が設置されており、第3フレーム部材8の一方側の面とバレル2の他方側の面とが密着するように連結されている。また、第3フレーム部材8には、混練ロータ3の温度を調整するための冷却水を導入する冷却水供給部9が設けられている。上述した3つのフレーム部材は、水平面を有した基礎土台Mの上に起立して設置されている。
【0018】
このように、バレル2内に挿入された2本の混練ロータ3を複数のフレーム部材(本実施形態では3つ)に分けて支持すれば、フレーム部材の間に空間が形成される。そのため、混練機1の重量を軽量化することができ、且つ混練機1の低コスト化に貢献することができる。
以降、2軸混練押出機1の構成を詳しく説明する。
【0019】
なお、説明にあたっては、
図1の紙面の右側(一方側)を混練機1を説明する際のドライブエンド側(DE側)とし、紙面の左側(他方側)をウォータエンド側(WE側)とする。また、混練ロータ3の回転軸に沿った方向(紙面の左右に沿った方向)を混練機1を説明する際の軸心方向と呼び、紙面の前後に沿った方向を混練機1を説明する際の左右方向と呼ぶ。さらに、
図1の紙面の上側及び下側を混練機1を説明する際の上側及び下側と呼ぶ。
【0020】
まず、バレル2は、長筒状の形状を呈しており、内部にめがね孔状の空洞(左右一対の円形状の空孔)がその軸心を水平方向を向けて形成されている。本実施形態のバレル2は、水平方向に対して3つの筒状部材が連結されて構成されている。詳しくは、挿入された材料を送り出す第1スクリュ室10を構成する筒部材と、材料を溶融して混練する混練室11を構成する筒部材と、混練された材料を外部へ排出する第2スクリュ室12を構成する筒部材とで構成されている。これらの3つの筒部材を連結することで、一体的なバレル2となっている。
【0021】
第1スクリュ室10の上部には、ホッパ13(じょうご型の口)が備えられている。このホッパ13から挿入された樹脂などの材料は、後述する混練ロータ3の第1スクリュ翼部14の回転によって第1スクリュ室10を通過して、混練室11に送り出されるようになっている。
混練室11の中途部には、バレル2支持部材が下方に向けて突出するように形成されている。このバレル2支持部材は、下端側がフランジ状に形成され、直接コンクリートの基礎土台Mに対してアンカーボルトや逆L字型のレール状固定具などの締結具Sで固定されている。混練室11のウォータエンド側(他方側)には、混練室11の内周面と混練ロータ3との間に形成される材料の流路を開閉して、材料の混練度を調整するゲート式の混練度調整部17が設けられている。この空洞部に一対の混練ロータ3が回転自在に備えられている。
【0022】
上記したバレル2に挿入される混練ロータ3は、バレル2の内部を軸心方向に貫通するように左右方向に一対設けられている。それぞれの混練ロータ3は、軸方向の中途部に混練翼部18(ロータ部)と、第1スクリュ翼部14と、第2スクリュ翼部15とを有している。
混練翼部18は、バレル2の混練室11に相当する位置に配備されている。混練翼部18は、材料を混ぜ合わせるのに適した翼を有しており、混練室11内で材料を混練する構成となっている。
【0023】
また、第1スクリュ翼部14は、第1スクリュ室10に相当する位置に配備されている。第2スクリュ翼部15は、第2スクリュ室12に相当する位置に配備されている。即ち、第1スクリュ翼部14と第2スクリュ翼部15は、混練翼部18を挟むような位置で配備されている。それぞれのスクリュ翼部は、材料をウォータエンド側に向かって送り出せるように軸心方向に沿って、ねじれた翼が形成されている。
【0024】
混練ロータ3は、第1スクリュ翼部14を用いて混練室11に材料を送り、混練翼部18を用いて混練室11で混練し、第2スクリュ翼部15を用いて混練された材料をウォータエンド側に送る構成となっている。
混練ロータ3におけるドライブエンド側の端部には、混練ロータ3を回転駆動させる駆動部4が配備されている。この駆動部4の内部には、図示は省略するが、回転駆動力を発生させる駆動モータと、この駆動モータで発生した回転駆動力を減速しつつ一対の混練ロータ3に向けて分配する減速機とで構成されている。駆動部4は、内部で回転駆動力を分配し、分配された回転駆動力を2本の動力伝達軸19から出力する構成となっている。動力伝達軸19と混練ロータ3との間には、回転駆動力を伝達するカップリング20がそれぞれ設けられている。
【0025】
第1スクリュ翼部14よりドライブエンド側の混練ロータ3は、ストレート円筒状の軸部として形成されている。この円筒状の軸部には、混練ロータ3を回転自在に支持する複数の軸受部21(本実施形態では2箇所)が設けられている。
また、第2スクリュ翼部15よりウォータエンド側の混練ロータ3は、ストレート円筒状の軸部として形成されている。この円筒状の軸部には、混練ロータ3を回転自在に支持する軸受部21が設けられている。混練ロータ3のウォータエンド側の端部には、混練ロータ3の内部に冷却水を送る冷却水供給部9が備えられている。この冷却水供給部9から混練ロータ3の内部に冷却水を供給することで、混練ロータ3の温度を調整できるようになっている。
【0026】
一対の混練ロータ3が挿入されたバレル2は、複数のフレーム部材に連結されると共に支持されている。
このバレル2のドライブエンド(DE)側には、第1フレーム部材5(DE1)と第2フレーム部材6(DE2)とが連結部材7を介して一体的に連結されており、バレル2のウォータエンド(WE)側には、第3フレーム部材8(WE3)が連結されている。第1フレーム部材5は、バレル2のドライブエンド側端面に直接連結されており、第2フレーム部材6は、第1フレーム部材5から少し隔てた位置(例えば、1〜1.5m程度の間隔)に配置されている。なお、第2フレーム部材6と、第1フレーム部材5との間隔は、2軸混練押出機1の寸法によって異なる。
【0027】
第1フレーム部材5と第2フレーム部材6との間には、連結部材7が設けられている。連結部材7は、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6とを軸心方向に一体的に連結するようになっている。この連結部材7は、筒状に形成されており、筒内部に混練ロータ3を挿入することができるようになっている。連結部材7のドライブエンド側の端面には、第2フレーム部材6が連結され、また連結部材7のウォータエンド側の端面には、第1フレーム部材5が連結されている。
【0028】
これら第1フレーム部材5及び第2フレーム部材6の上部側には、水平(軸心)方向に沿って軸孔が形成され、混練ロータ3のストレート筒状部を挿入できるようになっている。また、この軸孔の内周面には、それぞれ混練ロータ3を回転自在に支持する軸受部21が備えられている。
第1フレーム部材5及び第2フレーム部材6の下端側には、混練ロータ3側(上側)から基礎土台M側(下側)に向かって脚部が備えられている。この脚部の下端は、フランジ状に形成され、複数の締結具S(例えば、アンカーボルト)を用いて基礎土台Mに固定できるようになっている。
【0029】
一方、第3フレーム部材8は、バレル2のウォーターエンド側端面に直接連結されている。
この第3フレーム部材8の上端側には、水平(軸心)方向に沿って軸孔が形成され、混練ロータ3のストレート筒状部を挿入できるようになっている。また、この軸孔の内周面には、それぞれ混練ロータ3を回転自在に支持する軸受部21が備えられている。
【0030】
以上述べた第1フレーム部材5〜第3フレーム部材8は、いずれも水平な基礎土台Mの
上に起立状に配備されており、直接コンクリートの基礎土台Mに対してアンカーボルトや逆L字型のレール状固定具などの締結具Sで固定されている。第1フレーム部材5〜第3フレーム部材8は、混練ロータ3やバレル2に加わる静荷重及び動的荷重を基礎土台Mに対して支持するものである。また、第2フレーム部材6〜第3フレーム部材8との間、即ち、本実施形態の2軸混練押出機1の全体の長さ(全長)は、約7mである。なお、2軸混練押出機1の全体の長さ(全長)は、当業者が通常実施する2軸混練押出機の範囲であれば、いずれの長さでもよい。例えば、約10m程度の長さであってもよい。
【0031】
図1に示すように、混練ロータ3及びバレル2に加わる静荷重及び動的荷重を複数のフレーム部材(第1フレーム部材5〜第3フレーム部材8)に分けて支持すれば、フレーム部材の間に空間が形成され、フレーム部材の重量及び混練機1の重量を軽減させることができる。
ところが、近年では、生産コスト削減を目的とした装置の大型化や、多様化する樹脂材料の混練性能を確保するための最適スクリュ形状の開発に伴い、これまでにない大きな加振力(2軸混練押出機1に対して作用する振動力)が発生するケースも出てきている。このような大きな加振力は、2軸混練押出機1の装置寿命に影響してしまうという問題がある。特に、ドライブエンド側のフレーム部材(第1フレーム部材5,第2フレーム部材6)は、軽量化のため小型化されており、混練ロータ3の振動による影響を受け易くなっている。その結果、ドライブエンド側のフレーム部材5,6が撓んでしまい、軸受部21などの各部材に大きな負荷がかかる虞がある。
【0032】
係る問題への対応を探るため、本願発明者らは、コンピュータシュミレーションを通じて、混練ロータ3の振動の数値解析をした。
図2は、混練ロータ3が回転している際の振動をコンピュータシュミレーションで解析して、得られた結果を示した図である。
図2に示すように、2軸混練押出機1の振動状態については、第3フレーム部材8(WE3)と第1フレーム部材5(DE1)との間の振動が大きく、それぞれの混練ロータ3は、軸心方向のいずれの位置であっても同位相で振動する。各部位ごとで見ると、第3フレーム部材8(WE3)と第1フレーム部材5(DE1)との間では同位相で振動し、第1フレーム部材5(DE1)と第2フレーム部材6(DE2)との間では逆位相で振動することが知見された。
【0033】
図3に示すように、2軸の混練ロータ3が樹脂を混練する際に、混練ロータ3の反力が軸受部21を介してフレーム部材に伝達する。そのため、軸受の特定の位置(
図3では矢印が示す位置)に力が作用する。フレーム部材は、下部が基礎土台Mに対して固定され、片持ち状態となっているため、フレーム部材の上端側(上部)の振動変位が大きいことも確認された。
【0034】
また、表1に示すように、混練ロータ3の振動は、既設の2軸混練押出機1(実機)の振動を測定した結果からも、水平方向の振動が上下方向の振動に比べて大きいこと(RMS振動速度比>1)も確認された。表1において、DE1は第1フレーム部材5を示し、DE2は第2フレーム部材6を示している。WEは第3フレーム部材8を示している。
【0036】
このような振動を抑制するためには、第3フレーム部材8の場合、第3フレーム部材8自身を強化したり、動吸振器(アブソーバ、ダンパ)などを用いたりすることが一般的な振動対策である。しかし、第1フレーム部材5及び第2フレーム部材6の場合、逆位相で振動する状態である。そのため、上述した一般的な振動対策は、高コストであったり、メンテナンス性に問題があったりするため現実的に適用することが困難である。例えば、DE側の2つのフレーム5,6にそれぞれの動吸振器が必要となる。
【0037】
そこで、本願発明者らは、鋭意研究を重ね、フレーム部材の最大変位となる位置、即ち、第1フレーム部材5の上部及び第2フレーム部材6の上部を振動低減部材22,23で連結することが最良の振動対策であることを見出した。
本発明の2軸混練押出機1では、第1フレーム部材5と、第2フレームとの間に振動低減部材22,23を連結することで、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6とが一体化され剛性が増し、混練ロータ3の振動を抑制することができる。
【0038】
次に、第1ドライブエンドフレーム部材及び第2ドライブエンドフレーム部材を振動低減部材22,23で連結した場合の効果を、幾つかの事例を用いてさらに詳しく説明する。
実施例及び比較例に用いられる混練機1は、上述のように第1フレーム部材5、第2フレーム部材6、バレル2支持部材、第3フレーム部材8の4つを備えており、これらで混練機1による荷重を支持するように構成されている2軸混練押出機1である。
[事例1]
図4に示すように、振動低減部材22,23は、2本の長尺の部材であり、第1フレーム部材5の上部と第2フレーム部材6の上部を掛け渡すように締結されている。この2本の振動低減部材22,23は、それぞれ第1フレーム部材5の上面の角側から第2フレーム部材6の上面の対面しない角側に向けて交差するように固定されている。このように、振動低減部材22,23は、フレーム部材の上方を交差するように連結されるため、それぞれの振動低減部材22,23の形状が異なっている。
【0039】
まず、2本の振動低減部材22,23のうち、下側に配置される振動低減部材22は、短冊状の直方体で形成され(断面形状:70mm×100mm)、両端部には円筒状の孔が複数設けられており、ボルトなどの締結具Sが貫通可能となっている。
図4に例示した下側に配置される振動低減部材22は、第1フレーム部材5の上面右端から第2フレーム部材6の上面左端へと架け渡されている。
【0040】
次に、上側に配置される振動低減部材23は、下側に配置される振動低減部材22と同様に、短冊状の直方体で形成され、両端部には円筒状の孔が複数設けられおり、ボルトなどの締結具Sが貫通可能となっている。また、この振動低減部材23の両端部は、下側に配置される振動低減部材との干渉を回避するための突出部が形成されている。この突出部が下方に向かって形成されることで、上側に配置される振動低減部材23が下側に配置される振動低減部材22の上部を通過するような配置となり、振動低減部材22,23同士の干渉を回避している。
図4に例示した上側に配置される振動低減部材23は、第1フレーム部材5の上面左端から第2フレーム部材6の上面右端へと架け渡されている。
【0041】
これらの振動低減部材22,23は、両端部にある円筒状の孔を貫通した締結具Sによって、第1フレーム部材5の上面及び第2フレーム部材6の上面と連結される。
[事例2]
図5に示す振動低減部材24は、
図4に示すような2本からなる短冊状(断面形状:70mm×100mm)の振動低減部材22が十字形状で交差するように一体的に成形されたものである。即ち、この振動低減部材24は、振動低減部材24の中央から4つの梁部が略同じ長さで水平方向に突出するように形成されている。この振動低減部材24を十字形状に一体的に成形することで、振動低減部材24の剛性をさらに上げることができ、且つ2本からなる振動低減部材24同士の干渉することもなくなる。
【0042】
図5に示すように、十字状に成形された振動低減部材24は、第1フレーム部材5の上面右側から第2フレーム部材6の上面左側に掛け渡されると共に、第1フレーム部材5の
上面左側から第2フレーム部材6の上面右側に掛け渡される。
図5に示す振動低減部材24の両端部には、
図4に示す振動低減部材22,23と同様に、円筒状の孔が複数設けられおり、ボルトなどの締結具Sが貫通可能となっている。十字状に成形された振動低減部材24は、円筒状の孔を貫通した締結具Sによって、第1フレーム部材5の上面及び第2フレーム部材6の上面に固定される。
[事例3]
図6に示す振動低減部材25は、2本の長尺の部材であり、第1フレーム部材5の側面と第2フレーム部材6の側面を繋ぐように締結されている。
【0043】
例えば、一方の振動低減部材25は、第1フレーム部材5の左側面(紙面手前側)から第2フレーム部材6の右側面(紙面奥側)に向かって繋ぐように締結されている。また、他方の振動低減部材25は、第1フレーム部材5の右側面(紙面奥側)から第2フレーム部材6の左側面(紙面手前側)に向かって繋ぐように締結されている。つまり、事例3の2本の振動低減部材25は、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6との間を交差するように繋げられている。このように、2本の振動低減部材25が水平方向に対して交差するように繋げられるため、それぞれの振動低減部材25を上下方向にずらして配置している。
【0044】
事例3の振動低減部材25は、短冊状の直方体(断面形状:70mm×100mm)で形成された梁部26と、この梁部26とフレーム部材の側面とを連結する連結部27とで構成されている。梁部26は、対角線上にあるそれぞれフレーム部材(DE1,DE2)5,6の角同士を結ぶように配置されている。即ち、梁部26は、フレーム部材(DE1,DE2)5,6の角同士に対して、襷掛けをするような状態で配置される。梁部26の両端部には、フレーム部材の側面と梁部とを連結する連結部27が突出するように形成されている。
【0045】
連結部27は、フレーム部材(DE1,DE2)5,6の側面に沿うようになっており、フレーム部材(DE1,DE2)5,6の側面と接触するように配置される。この連結部27には、ボルトなどの締結具Sが貫通可能な円筒状の孔が複数設けられおり、円筒状の孔を貫通した締結具Sによって、フレーム部材(DE1,DE2)5,6と振動低減部材25が連結される。
【0046】
上記した事例1〜事例3の振動低減部材22〜25の幅及び厚みは、混練機1で発生する振動の大きさや振動の速度を抑制可能なものとされる。また、これらの振動低減部材22〜25は、鋼などの金属で形成されることが望ましい。
一方、図示はしないが、振動を抑制する方法として、短冊状の直方体(断面形状:70mm×100mm)で形成された振動低減部材22を第1フレーム部材5の上面の角側から第2フレーム部材6の上面の対面する角側に向けて、非交差状に掛け渡すように固定する方法がある。即ち、2本の振動低減部材22が平行状態で配置されつつ、それぞれの2本の振動低減部材22が固定されている方法である。この方法も、振動を抑制する方法の一つとして挙げられる。
【0047】
以下、上述した振動低減部材22,23を用いて、混練ロータ3の振動を抑制した解析シュミレーションの例について、述べる。
コンピュータシュミレーションを通じて、混練ロータ3を加振したときのDE側の軸受部21にかかる荷重の数値解析を行った。
図7は、DE側の軸受部21の位置での水平方向振動速度の結果をまとめたものである。
【0048】
まず、
図7に示されている「補強なし」について、述べる。
「補強なし」とは、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6との間に、振動低減部材22,23を用いないことであり、即ち、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6とがそれぞれ独立した状態のことである。
このような状態で混練ロータ3が回転すると、DE側の軸受部21にかかる荷重が最も大きい。
図3に示すように、2軸の混練ロータ3が回転する際の反力が軸受部21を介してフレーム部材に伝達し、軸受の特定の位置に荷重がかかる。そのため、フレーム部材(
DE1,DE2)5,6は片持ち状態となり、フレーム部材(DE1,DE2)5,6の上端側(上部)の振動変位が大きくなる。「補強なし」の解析結果を振動速度100%とし、後述する振動低減部材22,23を用いた場合の解析結果と比較するときの基準とする。
【0049】
次に、
図7に示されている「平行梁」について、述べる。
「平行梁」とは、第1フレーム部材5の上面左(右)側と、第2フレーム部材6の上面左(右)側との間に、短冊状の振動低減部材22を直線上に架ける状態のことであり、即ち、第1フレーム部材5と、第2フレーム部材6とに架けられた2本の振動低減部材22が軸心方向に沿った状態のことである。
【0050】
「平行梁」は、「補強なし」に比べて、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6とが一体となって連結されており、補強の効果があると予想される。しかし、「平行梁」は、振動低減部材22が軸心方向に沿って繋がっているものの、梁部の曲げ剛性が不十分であるため、第1フレーム部材5(DE1)と第2フレーム部材6(DE2)との間で起こる逆位相の振動を抑制する働きが弱い。その結果、フレーム部材に対しての補強効果がほとんどなく、振動の抑制に寄与しない。
図7に示すように、「平行梁」では、振動速度が「補強なし」に対して数%の減少に留まり、フレーム部材に対しての振動抑制効果が現れていない。
【0051】
ここで、
図7に示されている「クロス梁」について述べる。
図7の「クロス梁」とは、振動低減部材22,23が、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6の上部を掛け渡すように締結されているもの(事例1)をいい、本願発明に係る振動低減部材22,23のことである。
「クロス梁」は、「平行梁」と異なり、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6との間に連結されている振動低減部材22,23が交差するように掛け渡されており、逆位相の加振力に伴うせん断力を振動低減部材の伸縮剛性で受けることができる。それ故、2つのフレーム部材(DE1,DE2)5,6が水平方向で互いに逆方向に変形することを防止することができる。
【0052】
ところで、「クロス梁」などの振動低減部材22,23の連結形状をパラメータとして、コンピュータシュミレーションで数値解析をすると、目標の振動速度にするために必要な振動低減部材22,23の太さや幅などの部材形状を決定することができ、最小限の補強でより効率的な振動抑制効果が得られる。
このように、第1フレーム部材5(DE1)の上部と、第2フレーム部材6(DE2)の上部との間を振動低減部材22,23で交差するように連結することで、駆動部4側(DE側)に設置されたフレーム部材(DE1,DE2)5,6及びそれに支持される混練ロータ3の振動を抑制することができる。この振動低減部材22,23は、鋼などの金属製の角材で製作されており、製作するコストを低くすることができる。また、振動低減部材22,23はボルトなどの締結具Sで固定されているため、脱着が容易であり、フレーム部材5,6に備えられた軸受けを交換することなどのメンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0053】
さらに、フレーム部材5,6の振動を抑制する方法として、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6との間に十字状に連結された振動低減部材(事例1)を設置した上で、上述した「平行梁」(事例2)を設けるようにしてもよい。このようにすると、第1フレーム部材5と第2フレーム部材6との間が4本の振動低減部材で固定されることとなり、フレーム部材5,6に起こる回転変形を抑えることができ、2軸混練押出機1に対して作用する振動力を抑制する効果が高まる。
【0054】
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する領域を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。