(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792150
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】車両室内用の透明/半透明の可撓性要素
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-260989(P2012-260989)
(22)【出願日】2012年11月29日
(62)【分割の表示】特願2010-235370(P2010-235370)の分割
【原出願日】2010年10月20日
(65)【公開番号】特開2013-100092(P2013-100092A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2013年10月18日
(31)【優先権主張番号】12/582,878
(32)【優先日】2009年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エム. ヒプシャー
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/064210(WO,A2)
【文献】
特開2003−260987(JP,A)
【文献】
実開平05−044693(JP,U)
【文献】
特開2007−203959(JP,A)
【文献】
特開2008−074262(JP,A)
【文献】
特開2009−196397(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/113014(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの前部座席の間に設置されるフロアコンソールの収納領域を選択的に開放及び閉鎖するスライド可能なドアに使用される車両用のトリム要素であって、
複数のスレート片及び前記複数のスレート片を結合する基板を有する可撓性要素を備え、
前記可撓性要素の少なくとも一部が、ポリマーを含み、
前記ポリマーは、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC/ABS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、及び熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも1つを含み、
前記複数のスレート片の各スレート片は不透明であり、前記基板の少なくとも一部が半透明であり、
前記フロアコンソールは、前記基板の半透明の部分を通過するように前記基板の背後に光を向けて前記基板を通して見ることができるように配置される光源を有し、
前記光が前記複数のスレート片同士の間を介して前記基板を透過することよって前記基板の前面が可視となることを特徴とする、車両用のトリム要素。
【請求項2】
前記基板の少なくとも一部が、前記半透明の部分を取り囲む又は前記半透明の部分に隣接する不透明の部分を有することを特徴とする、請求項1に記載のトリム要素。
【請求項3】
前記スレート片は、ポリプロピレン(PP)及びポリカーボネート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC/ABS)の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のトリム要素。
【請求項4】
前記基板が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)及び熱可塑性エラストマー(TPE)の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のトリム要素。
【請求項5】
前記基板は、半透明であることを特徴とする、請求項1に記載のトリム要素。
【請求項6】
前記可撓性要素は、可撓性層、インク層、及び上部層の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1に記載のトリム要素。
【請求項7】
前記可撓性層、前記インク層、又は前記上部層の少なくとも一部が半透明であることを特徴とする、請求項6に記載のトリム要素。
【請求項8】
前記可撓性要素は、関節式ドアであることを特徴とする、請求項1に記載のトリム要素。
【請求項9】
前記可撓性要素は、ステアリングコラムのクローズアウト又はギアシフトのクローズアウトであることを特徴とする、請求項1に記載のトリム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のトリム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車両のパッセンジャコンパートメントは、典型的に、車両の前部座席の間に中央コンソールを有する。コンソールは、収納領域及び/又は肘掛領域として構成され得る。同様に、車両の室内の他の場所に他の収納構造が設けられ得る。例えば、車両の座席に又はその周囲に地図ポケット及びドアポケットが設けられ得、且つ/又はオーバヘッドコンソール、中央スタック、ダッシュボード、及び/若しくは計器パネル等に収納構造が設けられ得る。このようなコンソール及び収納構造は、コンソール又は収納構造内に設けられる収納領域を選択的に閉鎖するドアをさらに有し得る。例えば、当技術分野でタンブールドアとして知られる関節式又は可撓性ドアが、収納領域の開口を閉鎖するためにコンソール又は収納構造において使用され得る。
【0003】
タンブールドアは、開口の非線形の外形に従う軌道又はレールの上に乗ることが可能なので、非線形の外形を有する開口を閉鎖するのに特に便利である。典型的に、タンブールドアは、軌道又はレールに嵌り且つ上に乗る複数のスレート片又は切片を有する。タンブールドアは、例えばステアリングコラムのクローズアウト(closeout)又はギアシフトのクローズアウト等の他の車両トリム用途に使用されてもよい。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、可撓性要素を有する車両用のトリム要素を提供する。可撓性要素の少なくとも一部は半透明である。可撓性要素の半透明部分は光がその中を通過することを可能にし、それによって、車両の乗客が夜間に可撓性要素を見つけるのに役立つ。可撓性要素の半透明部分は透明であってもよく、それは車両の乗客が可撓性要素の反対側にある物を明瞭に見ることを可能にする。さらに、本発明は、車両のパッセンジャコンパートメントの審美的外観に影響を与える。可撓性要素は、例えばパッセンジャコンパートメントの収納領域を選択的に開放及び閉鎖するドアのような、車両用の構成要素として使用されてもよい。可撓性要素は、例えばステアリングコラムのクローズアウト又はギアシフトのクローズアウト等の別のトリム要素として使用されてもよい。
【0005】
この特許又は出願ファイルは、カラーで作成された3つの写真を含んでいる。カラー写真を含むこの特許又は特許出願公開の複写は、要求及び必要な費用の支払いに応じて事務局により提供されるであろう。添付の図面と共に検討されると、以下の詳細な説明を参照することによりさらに本発明は理解されるので、本発明の他の利点は容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】閉鎖形態のドアである可撓性要素を示す車両用のコンソールの等角図である。
【
図2】開放形態のドアを示す
図1のコンソールの等角図である。
【
図3】例示の実施形態による関節式タンブールドアの等角図である。
【
図4】線4−4に沿って取られた
図3のドアの断面図である。
【
図5】第1の照明設定のドアを示す例示の実施形態による3つのタンブールドアの写真である。
【
図6】第2の照明設定のドアを示す例示の実施形態による3つのタンブールドアの写真である。
【
図7】ドアの背後に光源を有する例示の実施形態によるタンブールドアの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明による可撓性要素200の多様な例示の実施形態の以下の開示は、フロアコンソールのタンブールドアを対象としている。しかし、可撓性要素200は、例えばステアリングコラムのクローズアウト、ギアシフトのクローズアウト、又は別の収納領域へのドア等の車両用の他のトリム要素に適用され得ることが理解されるべきである。
【0008】
図1及び2は、車両10用のコンソール100の例示の実施形態を示す。コンソール100は、2つの座席14の間又は任意の他の適切な場所で車両フロア12に結合され得る。この例示の実施形態によれば、コンソール100は、座席14の一方又は両方の乗員に収納領域及び肘掛を提供するように構成される。コンソール100は、前壁102、後壁104、2つの対向するほぼ対照的な側壁106及び上面108を有するほぼプリズム状の構造であり得る。
【0009】
また、コンソール100は、2つの側部パネル110を有してもよい。側部パネル110は、コンソール100の本体を形成し得る。この場合、各側部パネル110は、コンソール100の側壁106の一方、ならびに後壁104、前壁102及び上面108の一部を提供する。各側壁106が前壁102に隣接するよりも実質的に高い位置で後壁104に隣接するように、側壁106は、凸部及び凹部の両方を有する複合曲線である上部外形を有し得る。側部パネル110の上端部112は、湾曲した上面108を形成する。上面108は、ユーザがコンソール100の内部空間122にアクセスすることを可能にする開口120を有する。少なくとも1つの内部隔壁又は挿入物124が、コンソール100の内部空間122に提供され得、且つ隔壁、ビン及び/又は裏張り等のそれぞれの1つ以上を有し得る。また、コンソール100は、後方パネル114を有し得る。後方パネル114は、後壁104及び/又は上面108の一部を形成し得る。
【0010】
コンソール100は、例えばコンソール100の開口120を閉鎖するように構成されるドア等の可撓性要素200を有する。可撓性要素200は、例えばコンソール100の開口120等の所定の領域の上及びその中を選択的に移動させられてもよい。上面108の湾曲性のために、可撓性要素200は、好ましくは、可撓性又は関節式のドアである。例示の実施形態によれば、可撓性要素200は、タンブールドアであり、1組の軌道又はレール130の上に乗る。軌道又はレール130は、例えば、C字上の断面を有し得、且つ側部パネル110に結合され又は側部パネル110内に一体的に形成されてもよい。
【0011】
図3及び4は、コンソール100とは別に可撓性要素200を示す。
図3及び4に示されるように、可撓性要素200は、複数の狭い切片、要素又はスレート片210を有し、
図1及び2に示されるように、側壁106の上部外形に従い得る経路上で軌道又はレール130に従うように構成される。
図3に最も良く示されるように、可撓性要素200は、スレート片210を共に結合し且つ支持し並びに外面を提供する可撓性基板220を有する。また、基板220は、可撓性要素200の内面を提供してもよい。
【0012】
上述のように、可撓性要素200は、所定の領域の上及びその中を選択的に移動させられてもよく、それはコンソール100における使用に加えて、可撓性要素200を他の車両トリム用途において有用にする。例えば、可撓性要素200は、ステアリングコラムのクローズアウトに使用されてもよく、その場合、可撓性要素200は、ステアリングコラムに隣接する所定の領域内を選択的に移動させられる。また、可撓性要素200は、ギアシフトのクローズアウトに使用されてもよく、その場合、可撓性要素200は、ギアシフトに隣接する所定の領域内を選択的に移動させられる。また、可撓性要素200は、車両室内の様々な他の収納領域又は空間に対するカバー又はドアとして使用されてもよい。可撓性要素200は、単一の要素、追加の要素、又は複数の他の要素を有してもよい。それにより、スレート片210及び基板220の代わりに又は加えて、車両室内の所定の領域の上及びその中で可撓性要素200の移動が可能になる。
【0013】
さらに、可撓性要素200の少なくとも一部は半透明であり、それにより光がその中を通過することが可能になる。可撓性要素200の半透明部分は透明であってもよい。それにより、透明部分の他方の側にある物が見られ得るように、少ない歪みで又は全く歪みなしで光がその中を通過することが可能になる。例示の実施形態では、可撓性要素200は、スレート片210及び基板220を有しており、少なくともスレート片210の1片の一部又は基板220の一部が半透明である。可撓性要素200の残りの部分は、不透明であってもよい。例えば、様々な例示の実施形態において、スレート片210のそれぞれは半透明であり、一方で、基板220の一部が不透明である。他の様々な例示の実施形態では、スレート片210のそれぞれが不透明であり、一方で、基板220は半透明である。他の例示の実施形態では、スレート片210のそれぞれ及び基板220は共に半透明である。別の例示の実施形態では、基板220の一部が不透明であり、基板220の別の部分が半透明である。さらに、スレート片210の1片以上の部分集合が半透明であってもよく、一方で、任意の残りのスレート片210が不透明であってもよい。さらに、スレート片210の一片の一部が半透明であってもよく、一方で、同じスレート片210の別の部分が不透明である。可撓性要素200の不透明部分は、半透明部分を通過するように光を指向するために又は光が通過して輝く審美的なデザインを提供するために、半透明部分に隣接し又は半透明部分を取り囲んでもよい。
【0014】
可撓性要素200は、限定されないが、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC/ABS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び他の熱可塑性ポリマーを含む様々な材料から形成され又は含んでもよい。また、可撓性要素200は、任意の他の適切な周知の又は後発の材料から形成されてもよい。さらに、可撓性要素200は、単一の材料又は複数の異なる材料から形成されてもよい。例えば、スレート片210は、PP又はPC/ABS材料から形成されてもよく、基板220は、TPU又はTPE材料から形成されてもよい。一実施形態では、スレート片210は、PPから形成され、基板220は、TPEから形成される。別の実施形態では、スレート片210は、PC/ABSから形成され、基板220は、TPUから形成される。しかし、スレート片210及び基板220は、共通の材料、すなわち、同じ材料から形成されてもよい。
【0015】
可撓性要素200は、例えば、
図4に示されるように、可撓性層248等の追加の層を有してもよい。また、可撓性要素200は、組み込まれた米国出願第11/943,283号に概説されるように、インク層、及び/又は上部被覆層を有してもよい。このような追加の層は、半透明及び/又は不透明であってもよく、且つ基板220又は可撓性要素200の他の要素の外観を変更してもよい。例えば、可撓性要素200は、不透明のデザインをそれ以外の半透明の可撓性要素200の上部に提供するインク層を有してもよい。また、可撓性要素200は、ユーザが可撓性要素200をより容易に把持及び操作することを可能にするハンドル又は突出部202を一端に有してもよい。他の例示の実施形態によれば、可撓性要素200は、ユーザが可撓性要素200をより容易に把持及び操作することを可能にするために、窪み、凹部又は開口を有してもよい。
【0016】
図5−7は、可撓性要素200の半透明性を示す。
図5及ぶ6は、本発明による3つの別個の例示の実施形態の可撓性要素200を示す。
図5及び6に示されるように、可撓性要素200は、各可撓性要素200の少なくとも一部が半透明である任意の様々な色彩及びデザインであり得る。
図5−7に、不透明スレート片210及び半透明基板220と共に可撓性要素200’の例示の実施形態が示されており、一方で完全に半透明の他の可撓性要素200が
図5及び6に示される。少なくとも部分的に半透明であることで、可撓性要素200及び200’は、
図5及び6に示される異なる照明設定において異なる外観を有する。
【0017】
図7に示されるように、可撓性要素200’の基板220の半透明性によって、可撓性要素200’の基板220を通して光源254を見ることが出来る。光源254は、可撓性要素200の半透明部分を通過するように光を指向する。光源254の例は、限定されないが、発光ダイオード、高輝度放電光(high intensity discharge light)、及び蛍光灯を含む。また、光源254は、光案内部を有し得る。
【0018】
上述のように、
図5及び6の可撓性要素200は完全に半透明であるように示されるが、様々な例示の実施形態では、可撓性要素200は、部分的に不透明であってもよく且つ/又は可撓性要素200の表面を部分的に覆う不透明層を有してもよいことが理解されるべきである。
【0019】
本発明は、上述の例示の実施形態と共に説明されてきたが、様々な変形、修正、変化、改良、及び/又は実質的な均等物が、周知であるか又は現在予想され得るかにかかわらず、少なくとも当業者には明らかとなり得る。従って、上記の説明のように、本発明の例示の実施形態は、限定するものではなく、例示目的であることが意図されている。本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよい。従って、本発明は、全ての周知の又は先発の変形、修正、変化、改良、及び/又は実質的な均等物を包含することが意図されている。