(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電圧検出部は、サンプリング信号に基づいて前記高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位をサンプリングし、ホールドするサンプルホールド回路を含む、
請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
前記サンプルホールド回路は、前記画像表示期間の開始以降に前記高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位のサンプリングを行い、当該画像表示期間の終了以前に当該電位のホールドを行う、
請求項2に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
前記表示部は、1フレームが前記画像表示期間の異なる複数のサブフィールドに分割され、表示階調に応じて前記複数のサブフィールドから選択するサブフィールド法によって表示を行う、
請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
前記電圧検出部は、前記画像表示期間のうち、全面黒画像を表示する画像表示期間について前記高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位の検出を行わない、
請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
前記電圧調整部は、前記電圧検出部で検出された複数の高電位側の印加電位のうち最小の印加電位と、前記電圧検出部で検出された複数の低電位側の印加電位のうち最大の印加電位との少なくとも一方を選択し、当該選択した印加電位に基づいて前記電源供給部を調整する、
請求項12に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
前記電圧調整部は、前記少なくとも一方の電位差と、前記高電位側の印加電位と基準電位との電位差、及び、前記低電位側の印加電位と基準電位との電位差の少なくとも一方の電位差とが、増加関数の関係となるように、前記電源供給部から出力される前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位を調整する、
請求項15に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
前記電圧検出部は、さらに、前記電源供給部と前記発光画素の高電位側とを接続する電流経路上における高電位側の電位、及び前記電源供給部と前記発光画素の低電位側とを接続する電流経路上における低電位側の電位の少なくとも一方を検出し、
前記電圧調整部は、前記電源供給部と前記発光画素の高電位側とを接続する電流経路上における前記高電位側の電位と、前記少なくとも1つの発光画素に印加される高電位側の印加電位との電位差、及び、前記電源供給部と前記発光画素の低電位側とを接続する電流経路上における前記低電位側の電位と、前記少なくとも一つの発光画素に印加される低電位側の印加電位との電位差の少なくとも一方の電位差に応じて、前記電源供給部から出力される前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する、
請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
前記電圧調整部は、前記少なくとも一方の電位差と、前記高電位側の印加電位と基準電位との電位差、及び、前記低電位側の印加電位と基準電位との電位差の少なくとも一方の電位差とが、増加関数の関係となるように調整する、
請求項17に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
前記第2の電極及び前記第2の電源線は、前記複数の発光画素に共通して設けられた共通電極の一部を構成しており、前記共通電極の周囲から電位が印加されるように、前記電源供給部と電気的に接続されている、
請求項20に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
高電位側の電位及び低電位側の電位を出力する電源供給部と、複数の発光画素が配置され、前記電源供給部から電源供給を受ける表示部とを備えた表示装置の駆動方法であって、
前記表示部内における少なくとも一つの発光画素に印加される高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位を検出する電圧検出ステップと、
前記高電位側の電位と基準電位との電位差、前記低電位側の電位と基準電位との電位差、または、前記高電位側の電位と前記低電位側の電位との電位差のいずれかが所定の電位差となるように、前記電圧検出部の出力に基づき、前記電源供給部から出力される前記高電位側及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する電圧調整ステップとを含み、
前記表示部は、前記複数の発光画素の少なくとも一部で画像表示を行う画像表示期間と、前記複数の発光画素の全てで黒表示を行う黒表示期間とを交互に繰り返し、前記画像表示期間において前記複数の発光画素の少なくとも一部を同時に発光状態とし、前記黒表示期間において前記複数の発光画素の全てを同時に非発光状態とし、
前記画像表示期間の少なくとも一部において前記電圧検出ステップを実行し、前記黒表示期間において前記電圧検出ステップを実行しない、
アクティブマトリクス型表示装置の駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一態様に係る表示装置は、
アクティブマトリクス型の表示装置であり、高電位側の電位及び低電位側の電位を出力する電源供給部と、複数の発光画素が配置され、前記電源供給部から電源供給を受ける表示部と、前記表示部内における少なくとも一つの発光画素に印加される高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位を検出する電圧検出部と、前記高電位側の電位と基準電位との電位差、前記低電位側の電位と基準電位との電位差、または、前記高電位側の電位と前記低電位側の電位との電位差のいずれかが所定の電位差となるように、前記電圧検出部の出力に基づき、前記電源供給部から出力される前記高電位側及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する電圧調整部とを具備し、前記表示部は、前記複数の発光画素の少なくとも一部で画像表示を行う画像表示期間と、前記複数の発光画素の全てで黒表示を行う黒表示期間とを交互に繰り返し、
前記画像表示期間において前記複数の発光画素の少なくとも一部を同時に発光状態とし、前記黒表示期間において前記複数の発光画素の全てを同時に非発光状態とし、前記画像表示期間の少なくとも一部において、前記電圧検出部は前記高電位側の電位及び前記低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位の検出を行い、前記黒表示期間において、前記電圧検出部は前記高電位側の電位及び前記低電位側の電位の検出を行わないことを特徴とする。
【0015】
画像表示期間及び黒表示期間を通じて常に発光画素の電圧検出を行うと、画像表示期間と黒表示期間で発光画素に供給される電圧が大きく変動し、不要輻射によるノイズが発生したり、パネル容量への充放電による電力ロスが発生してしまう問題がある。
【0016】
本発明では、画像表示期間においてのみ発光画素の電圧検出を行い、画像表示期間に検出された電圧に基づいて調整された電圧を、画像表示期間及び黒表示期間にパネルに供給するので、発光画素に供給される電圧が大きく変動することがなく、消費電力低減効果の高い表示装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記電圧検出部は、サンプリング信号に基づいて前記高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位をサンプリングし、ホールドするサンプルホールド回路を含んでもよい。
【0018】
これにより、所定の期間のみ電位をサンプリングしてホールドすることができるので、消費電力効果の高い表示装置を効率よく提供することができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記サンプルホールド回路は、前記画像表示期間の開始以降に前記高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位のサンプリングを行い、当該画像表示期間の終了以前に当該電位のホールドを行ってもよい。
【0020】
これにより、画像表示期間の開始以降であれば、画像表示期間の電圧検出を行うことができる。また、画像表示期間の終了以前に電位のホールドを行うことにより、黒表示期間の電圧検出を行うことがなく、画像表示期間内の電圧検出を確実に行うことができる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記サンプルホールド回路は、前記画像表示期間の開始と同時にサンプリングを行ってもよい。
【0022】
これにより、画像表示期間が短い場合であっても、確実に画像表示期間の電圧検出を行うことができる。
【0023】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記サンプルホールド回路は、前記画像表示期間よりも短い期間、サンプリングを行ってもよい。
【0024】
これにより、黒表示期間に電圧検出を行うことがなく、画像表示期間内の電圧検出を確実に行うことができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記サンプルホールド回路は、一の画像表示期間内において複数回のサンプリングを行ってもよい。
【0026】
これにより、電圧検出中に電圧が変化したとしても、画像表示期間の電圧検出を精度よく行うことができる。
【0027】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記発光画素は、有機EL素子を含んでもよい。
【0028】
これにより、電流駆動型である有機EL素子を利用した表示パネルにおいて、消費電力を低減することができる。
【0029】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記表示部は、前記黒表示期間を介して連続する2つの前記画像表示期間において、右眼用の画像及び左眼用の画像を交互に表示し、前記右眼用の画像及び前記左眼用の画像を順次目視可能とする眼鏡を介して、立体画像として視認させてもよい。
【0030】
これにより、立体表示画像を表示する場合であっても、消費電力低減効果の高い表示装置を提供することができる。
【0031】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記表示部は、1フレームが前記画像表示期間の異なる複数のサブフィールドに分割され、表示階調に応じて前記複数のサブフィールドから選択するサブフィールド法によって表示を行ってもよい。
【0032】
これにより、サブフィールド法により、複数のサブフィールドでの画像表示期間が異なる場合であっても、消費電力低減効果の高い表示装置を提供することができる。
【0033】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記電圧検出部は、前記画像表示期間のうち、全面黒画像を表示する画像表示期間について前記高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位の検出を行わなくてもよい。
【0034】
これにより、画像データの書き込みが行われている黒表示期間のみに限らず、画像表示期間において全面黒い画像が表示される場合であっても、電圧検出を行わないので、より消費電力低減効果の高い表示装置を提供することができる。
【0035】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記表示部は、前記画像表示期間において前記複数の発光画素を同時に発光状態とし、前記黒表示期間において前記複数の発光画素を同時に非発光状態としてもよい。
【0036】
これにより、表示装置に画像データを書き込む間は表示画像を非発光状態とし、画像データの書き込みが終了した後に表示画像を一括して発行することができるので、鮮明な画像を提供するとともに、消費電力を低減することができる。
【0037】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記高電位側の印加電位が検出される前記発光画素と、前記低電位側の印加電位が検出される前記発光画素とが異なる発光画素であってもよい。
【0038】
これにより、高電位側の電源線の電圧降下分布と、低電位側の電源線の電圧降下(上昇)分布とが異なる場合に、異なる発光画素からの電位情報に基づいて電源供給部の高電位側出力電位と低電位側出力電位とを調整できるので、より効果的に消費電力を削減することが可能となる。
【0039】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記高電位側の印加電位が検出される前記発光画素の個数、及び前記低電位側の印加電位が検出される前記発光画素の個数の少なくとも一方は、複数であってもよい。
【0040】
これにより、検出された高電位側の電位または低電位側の電位のうちいずれかが複数であれば、表示装置に供給する電圧調整に最適の電位を選択することができる。よって、電源供給部からの出力電位をより精密に調整することが可能となる。よって、表示部を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。
【0041】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記電圧調整部は、前記電圧検出部で検出された複数の高電位側の印加電位のうち最小の印加電位と、前記電圧検出部で検出された複数の低電位側の印加電位のうち最大の印加電位との少なくとも一方を選択し、当該選択した印加電位に基づいて前記電源供給部を調整してもよい。
【0042】
これにより、複数の検出電位のうち最小または最大の電位を選択することができるため、電源供給部からの出力電位をより精密に調整することが可能となる。よって、表示部を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。
【0043】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、さらに、前記高電位側の印加電位が検出される前記発光画素に一端が接続され、前記電圧調整部に他端が接続された、前記高電位側の印加電位を伝達するための高電位側検出線と、前記低電位側の印加電位が検出される前記発光画素に一端が接続され、前記電圧調整部に他端が接続された、前記低電位側の印加電位を伝達するための低電位側検出線との少なくとも一方を備えてもよい。
【0044】
これにより、電圧検出部は、高電位側検出線を介して少なくとも一つの発光画素に印加される高電位側の電位、及び、低電位側検出線を介して少なくとも一つの発光画素に印加される低電位側の電位、の少なくとも一方を測定できる。
【0045】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記電圧検出部は、さらに、前記電源供給部により出力される、前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を検出し、前記電圧調整部は、前記電源供給部により出力される前記高電位側の出力電位と、前記少なくとも1つの発光画素に印加される高電位側の印加電位との電位差、及び、前記電源供給部により出力される前記低電位側の出力電位と、前記少なくとも一つの発光画素に印加される低電位側の印加電位との電位差の少なくとも一方の電位差に応じて、前記電源供給部から出力される前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整してもよい。
【0046】
これにより、電源供給部から少なくとも一つの発光画素までに発生する電圧降下量に応じて、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整することにより、消費電力を削減することができる。
【0047】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記電圧調整部は、前記少なくとも一方の電位差と、前記高電位側の印加電位と基準電位との電位差、及び、前記低電位側の印加電位と基準電位との電位差の少なくとも一方の電位差とが、増加関数の関係となるように、前記電源供給部から出力される前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位を調整してもよい。
【0048】
これにより、基準電圧に対する電圧変動を検出するため、電源供給部から少なくとも一つの発光画素までに発生する電圧降下量に応じて、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整することにより、消費電力を削減することができる。
【0049】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記電圧検出部は、さらに、前記電源供給部と前記発光画素の高電位側とを接続する電流経路上における高電位側の電位、及び前記電源供給部と前記発光画素の低電位側とを接続する電流経路上における低電位側の電位の少なくとも一方を検出し、前記電圧調整部は、前記電源供給部と前記発光画素の高電位側とを接続する電流経路上における前記高電位側の電位と、前記少なくとも1つの発光画素に印加される高電位側の印加電位との電位差、及び、前記電源供給部と前記発光画素の低電位側とを接続する電流経路上における前記低電位側の電位と、前記少なくとも一つの発光画素に印加される低電位側の印加電位との電位差の少なくとも一方の電位差に応じて、前記電源供給部から出力される前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整してもよい。
【0050】
これにより、発光画素に印加された電圧と、表示領域外の配線経路上における電圧との電位差を検出することにより、表示領域内のみにおける電圧降下量に応じて電源供給部からの出力電圧を調整することが可能となる。
【0051】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記電圧調整部は、前記少なくとも一方の電位差と、前記高電位側の印加電位と基準電位との電位差、及び、前記低電位側の印加電位と基準電位との電位差の少なくとも一方の電位差とが、増加関数の関係となるように調整してもよい。
【0052】
これにより、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位をより適切に調整でき、消費電力を一層削減することができる。
【0053】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記複数の発光画素は、それぞれ、ソース電極及びドレイン電極を有する
駆動トランジスタと、第1の電極及び第2の電極を有する発光素子とを備え、前記第1の電極が前記
駆動トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方に接続され、前記ソース電極及びドレイン電極の他方と前記第2の電極との一方に高電位側の電位が印加され、前記ソース電極及びドレイン電極の他方と前記第2の電極との他方に低電位側の電位が印加されてもよい。
【0054】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記複数の発光画素は、行列状に配列されており、行方向及び列方向の少なくとも一つの方向に隣接する前記発光素子の前記ソース電極及びドレイン電極の他方どうしを接続する第1の電源線と、行方向及び列方向に隣接する前記発光素子の前記第2の電極どうしを接続する第2の電源線とをさらに備え、前記第1の電源線と第2の電源線を介して前記電源供給部からの電源供給を受けてもよい。
【0055】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記第2の電極及び前記第2の電源線は、前記複数の発光画素に共通して設けられた共通電極の一部を構成しており、前記共通電極の周囲から電位が印加されるように、前記電源供給部と電気的に接続されていてもよい。
【0056】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記第2の電極は、金属酸化物からなる透明導電性材料で形成されていてもよい。
【0057】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、
アクティブマトリクス型の表示装置であり、その駆動方法は、前記表示部内における少なくとも一つの発光画素に印加される高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位を検出する電圧検出ステップと、前記高電位側の電位と基準電位との電位差、前記低電位側の電位と基準電位との電位差、または、前記高電位側の電位と前記低電位側の電位との電位差のいずれかが所定の電位差となるように、前記電圧検出部の出力に基づき、前記電源供給部から出力される前記高電位側及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する電圧調整ステップとを含み、前記表示部は、前記複数の発光画素の少なくとも一部で画像表示を行う画像表示期間と、前記複数の発光画素の全てで黒表示を行う黒表示期間とを交互に繰り返し、
前記画像表示期間において前記複数の発光画素の少なくとも一部を同時に発光状態とし、前記黒表示期間において前記複数の発光画素の全てを同時に非発光状態とし、前記画像表示期間の少なくとも一部において前記電圧検出ステップを実行し、前記黒表示期間において前記電圧検出ステップを実行しないことを特徴とする。
【0058】
これにより、画像表示期間においてのみ発光画素の電圧検出を行い、画像表示期間に検出された電圧に基づいて調整された電圧を、画像表示期間及び黒表示期間にパネルに供給するので、発光画素に供給される電圧が大きく変動することがなく、消費電力低減効果の高い表示装置を提供することができる。
【0059】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図に基づき説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0060】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る表示装置は、
アクティブマトリクス型の表示装置であり、高電位側の電位及び低電位側の電位を出力する電源供給部と、複数の発光画素が配置され、前記電源供給部から電源供給を受ける表示部と、前記表示部内における少なくとも一つの発光画素に印加される高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位を検出する電圧検出部と、前記高電位側の電位と基準電位との電位差、前記低電位側の電位と基準電位との電位差、または、前記高電位側の電位と前記低電位側の電位との電位差のいずれかが所定の電位差となるように、前記電源供給部から出力される前記高電位側及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する電圧調整部とを具備し、前記表示部は、前記複数の発光画素の少なくとも一部で画像表示を行う画像表示期間と、前記複数の発光画素の全てで黒表示を行う黒表示期間とを交互に繰り返し、
前記画像表示期間において前記複数の発光画素の少なくとも一部を同時に発光状態とし、前記黒表示期間において前記複数の発光画素の全てを同時に非発光状態とし、前記画像表示期間の少なくとも一部において、前記電圧検出部は前記高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位の検出を行い、前記黒表示期間において、前記電圧検出部は前記高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位の検出を行わないことを特徴とする。
【0061】
これにより、本実施の形態に係る表示装置は、高い消費電力低減効果を実現する。
【0062】
以下、本発明の実施の形態1について、図を用いて具体的に説明する。
【0063】
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0064】
同図に示す表示装置50は、有機EL表示部110と、データ線駆動回路120と、書込走査駆動回路130と、発光制御回路135と、制御回路140と、信号処理回路165と、サンプルホールド回路175と、基準電圧設定部177と、可変電圧源180と、モニタ用配線190とを備える。
【0065】
図2は、実施の形態1に係る有機EL表示部110の構成を模式的に示す斜視図である。なお、図中上方が表示面側である。
【0066】
同図に示すように、有機EL表示部110は、複数の発光画素111と、第1電源配線112と、第2電源配線113とを有する。
【0067】
発光画素111は、第1電源配線112及び第2電源配線113に接続され、当該発光画素111に流れる画素電流ipixに応じた輝度で発光する。複数の発光画素111のうち、予め定められた少なくとも一つの発光画素は、検出点M1でモニタ用配線190に接続されている。以降、モニタ用配線190に直接接続された発光画素111をモニタ用の発光画素111Mと記載する。モニタ用の発光画素111Mは、有機EL表示部110の中央付近に配置されている。なお、中央付近とは、中央とその周縁部とを含む。
【0068】
第1電源配線112は、網目状に形成されている。一方、第2電源配線113は、有機EL表示部110にベタ膜状に形成され、有機EL表示部110の周縁部から可変電圧源180で出力された電位が印加される。
図2においては、第1電源配線112及び第2電源配線113の抵抗成分を示すために、第1電源配線112及び第2電源配線113を模式的にメッシュ状に図示している。なお、第2電源配線113は、例えばグランド線であり、有機EL表示部110の周縁部で表示装置50の共通接地電位に接地されていてもよい。
【0069】
第1電源配線112には、水平方向の第1電源配線抵抗R1hと垂直方向の第1電源配線抵抗R1vが存在する。第2電源配線113には、水平方向の第2電源配線抵抗R2hと垂直方向の第2電源配線抵抗R2vとが存在する。なお、図示されていないが、発光画素111は、書込走査駆動回路130、発光制御回路135及びデータ線駆動回路120に、発光画素111への信号電圧の書き込みを制御するための走査線123と、発光画素111が発光及び消光するタイミングを制御するための発光制御線128と、発光画素111の発光輝度に対応する信号電圧を供給するためのデータ線122とを介して接続されている。
【0070】
図3は、モニタ用の発光画素111Mの具体的な構成の一例を示す回路図である。
【0071】
同図に示す発光画素111は、
駆動トランジスタと発光素子とを含み、
駆動トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極を含み、発光素子は、第1の電極及び第2の電極を含み、当該第1の電極が発光制御トランジスタ127を介して前記
駆動トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方と第2の電極との一方に高電位側の電位が印加され、ソース電極及びドレイン電極の他方と第2の電極との他方に低電位側の電位が印加される。具体的には、発光画素111は、有機EL素子121と、データ線122と、走査線123と、発光制御線128と、スイッチトランジスタ124と、駆動トランジスタ125と、保持容量126と、発光制御トランジスタ127とを有する。この発光画素111は、有機EL表示部110に、例えばマトリクス状に配置されている。
【0072】
有機EL素子121は、本発明の発光素子であって、アノードが発光制御トランジスタ127を介して駆動トランジスタ125のドレインに接続され、カソードが第2電源配線113に接続され、アノードとカソードとの間に流れる電流値に応じた輝度で発光する。この有機EL素子121のカソード側の電極は、複数の発光画素111に共通して設けられた共通電極の一部を構成しており、該共通電極は、その周縁部から電位が印加されるように、可変電圧源180と電気的に接続されている。つまり、共通電極が有機EL表示部110における第2電源配線113として機能する。また、カソード側の電極は、金属酸化物からなる透明導電性材料で形成されている。なお、有機EL素子121のアノード側の電極は本発明の第1の電極であり、有機EL素子121のカソード側の電極は本発明の第2の電極である。
【0073】
データ線122は、データ線駆動回路120と、スイッチトランジスタ124のソース及びドレインの一方に接続され、データ線駆動回路120により映像データに対応する信号電圧が印加される。
【0074】
走査線123は、書込走査駆動回路130と、スイッチトランジスタ124のゲートに接続され、書込走査駆動回路130により印加される電圧に応じて、スイッチトランジスタ124をオン及びオフする。
【0075】
スイッチトランジスタ124は、ソース及びドレインの一方がデータ線122に接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ125のゲート及び保持容量126の一端に接続された、例えば、P型薄膜トランジスタ(TFT)である。
【0076】
駆動トランジスタ125は、本発明の
駆動トランジスタであって、ソースが第1電源配線112に接続され、ドレインが発光制御トランジスタ127を介して有機EL素子121のアノードに接続され、ゲートが保持容量126の一端及びスイッチトランジスタ124のソース及びドレインの他方に接続された、例えば、P型TFTである。これにより、駆動トランジスタ125は、保持容量126に保持された電圧に応じた電流を有機EL素子121に供給する。また、モニタ用の発光画素111Mにおいて、駆動トランジスタ125のソースは、モニタ用配線190と接続されている。
【0077】
保持容量126は、一端がスイッチトランジスタ124のソース及びドレインの他方に接続され、他端が第1電源配線112に接続され、スイッチトランジスタ124がオフされたときの第1電源配線112の電位と駆動トランジスタ125のゲートの電位との電位差を保持する。つまり、信号電圧に対応する電圧を保持する。
【0078】
データ線駆動回路120は、映像データに対応する信号電圧を、データ線122を介して発光画素111に出力する。
【0079】
書込走査駆動回路130は、複数の走査線123に走査信号を出力することで、複数の発光画素111を順に走査する。具体的には、スイッチトランジスタ124を行単位でオン及びオフする。これにより、書込走査駆動回路130により選択されている行の複数の発光画素111に、複数のデータ線122に出力された信号電圧が印加される。よって、発光画素111に信号電圧が書き込まれる。
【0080】
発光制御回路135は、発光制御線128に発光制御信号を出力することで、発光制御トランジスタ127をオンまたはオフし、発光画素111を発光または消光させる。
【0081】
制御回路140は、データ線駆動回路120、書込走査駆動回路130及び発光制御回路135のそれぞれに、駆動タイミングを指示する。
【0082】
信号処理回路165は、入力された映像データに対応する信号電圧をデータ線駆動回路120へ出力する。
【0083】
サンプルホールド回路175は、信号処理回路165からのサンプルパルスに基づいて、サンプルホールド動作をする。サンプルホールド回路175は、信号処理回路165からのサンプルパルスのパルスタイミングにより、検出点M1の電位をサンプルして可変電圧源180に継続して出力する。サンプル期間以外は直前にサンプルした検出点M1の電位をホールドして可変電圧源180に継続して出力する。なお、モニタ用配線190及びサンプルホールド回路175は、本発明における電圧検出部に相当する。
【0084】
基準電圧設定部177は、可変電圧源180に対して、第1基準電圧Vref1を出力する。第1基準電圧Vref1は、有機EL素子121に必要な電圧VELと駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTとの合計VTFT+VELに相当する電圧である。
【0085】
可変電圧源180は、本発明の電圧調整部であって、モニタ用の発光画素111Mの電位を所定の電位にするように調整する。可変電圧源180は、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を、モニタ用配線190及びサンプルホールド回路175を介して測定する。つまり、検出点M1の電位を測定する。そして、測定した検出点M1の電位と、基準電圧設定部177から出力された第1基準電圧Vref1とに応じて、出力電圧Voutを調整する。なお、可変電圧源180は、モニタ用の発光画素111Mに印加される低電位側の電位を測定してもよい。
【0086】
モニタ用配線190は、一端が検出点M1に接続され、他端がサンプルホールド回路175に接続され、検出点M1の電位を可変電圧源180に伝達する。これにより、サンプルパルスが入力されてから次のサンプルパルスが入力されるまで、サンプルホールド回路175にモニタ用の発光画素111Mの電位が保持される。
【0087】
次に、この可変電圧源180の詳細な構成について簡単に説明する。
【0088】
図4は、実施の形態1に係る可変電圧源180の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお、同図には可変電圧源180に接続されている有機EL表示部110、サンプルホールド回路175及び基準電圧設定部177も示されている。
【0089】
同図に示す可変電圧源180は、比較回路181と、PWM(Pulse Width Modulation)回路182と、ドライブ回路183と、スイッチング素子SWと、ダイオードDと、インダクタLと、コンデンサCと、出力端子184とを有し、入力電圧Vinを第1基準電圧Vref1に応じた出力電圧Voutに変換し、出力端子184から出力電圧Voutを出力する。なお、図示していないが、入力電圧Vinが入力される入力端子の前段には、AC−DC変換器が挿入され、例えば、AC100VからDC20Vへの変換が済んでいるものとする。
【0090】
比較回路181は、出力検出部185及び誤差増幅器186を有し、検出点M1の電位と基準電圧設定部177から入力された第1基準電圧Vref1との差分に応じた電圧をPWM回路182に出力する。
【0091】
出力検出部185は、サンプルホールド回路175と、接地電位との間に挿入された2つの抵抗R1及びR2を有し、検出点M1の電位を抵抗R1及びR2の抵抗比に応じて分圧し、分圧された検出点M1の電位を誤差増幅器186へ出力する。
【0092】
誤差増幅器186は、出力検出部185で分圧された検出点M1の電位と、基準電圧設定部177から出力された第1基準電圧Vref1とを比較し、その比較結果に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。具体的には、誤差増幅器186は、オペアンプ187と、抵抗R3及びR4とを有する。オペアンプ187は、反転入力端子が抵抗R3を介して出力検出部185に接続され、非反転入力端子が基準電圧設定部177に接続され、出力端子がPWM回路182と接続されている。また、オペアンプ187の出力端子は、抵抗R4を介して反転入力端子と接続されている。これにより、誤差増幅器186は、出力検出部185から入力された電圧と基準電圧設定部177から入力された第1基準電圧Vref1との電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。言い換えると、検出点M1の電位と第1基準電圧Vref1との電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。
【0093】
ここで、可変電圧源180の出力電位をVoutとし、可変電圧源180の出力端子184から検出点M1までの電圧降下量をΔVとすると、検出点M1の電位はVout−ΔVとなる。つまり、本実施の形態において、比較回路181はVref1とVout−ΔVとを比較している。上述したように、Vref1=VTFT+VELなので、比較回路181はVTFT+VELとVout−ΔVとを比較していると言える。
【0094】
PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧に応じてデューティの異なるパルス波形をドライブ回路183に出力する。具体的には、PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力された電圧が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。言い換えると、検出点M1の電位と第1基準電圧Vref1との電位差が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、検出点M1の電位と第1基準電圧Vref1との電位差が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。なお、パルス波形のオンの期間とは、パルス波形がアクティブの期間である。
【0095】
ドライブ回路183は、PWM回路182から出力されたパルス波形がアクティブの期間にスイッチング素子SWをオンし、PWM回路182から出力されたパルス波形が非アクティブの期間にスイッチング素子SWをオフする。
【0096】
スイッチング素子SWは、ドライブ回路183によりオン及びオフする。スイッチング素子SWがオンの間だけ、入力電圧VinがインダクタL及びコンデンサCを介して、出力端子184に出力電圧Voutとして出力される。よって、出力電圧Voutは0Vから徐々に20V(Vin)に近づいていく。
【0097】
検出点M1の電位が第1基準電圧Vref1に近づくにつれて、PWM回路182に入力される電圧は小さくなり、PWM回路182が出力するパルス信号のオンデューティは短くなる。
【0098】
すると、スイッチング素子SWがオンする時間も短くなり、検出点M1の電位は緩やかに第1基準電圧Vref1に収束してゆく。
【0099】
最終的に、検出点M1の電位=Vref1付近の電位でわずかに電圧変動しながら出力電圧Voutの電位が確定する。
【0100】
このように、基準電圧設定部177から入力された第1基準電圧Vref1により、可変電圧源180は出力電圧Voutを調整し、有機EL表示部110へ供給する。
【0101】
次に、上述した表示装置50の動作について
図5及び
図6を用いて説明する。
【0102】
図5は、本発明の表示装置50の動作を示すフローチャートである。
【0103】
まず、基準電圧設定部177は、予め設定された、最高階調に対応する(VEL+VTFT)電圧をメモリから読み出す(ステップS10)。
【0104】
具体的には、基準電圧設定部177は、各色の最高階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを用いて各色の最高階調に対応するVTFT+VELを決定する。
【0105】
図6は、基準電圧設定部177が参照する必要電圧換算テーブルの一例を示す図である。
【0106】
同図に示すように、必要電圧換算テーブルには最高階調(255階調)に対応するVTFT+VELの必要電圧が格納されている。例えば、Rの最高階調での必要電圧は11.2V、Gの最高階調での必要電圧は12.2V、Bの最高階調での必要電圧は8.4Vとなる。各色の最高階調での必要電圧のうち、最大の電圧はGの12.2Vである。よって、基準電圧設定部177は、VTFT+VELを12.2Vと決定する。
【0107】
また、信号処理回路165からのサンプルパルスに基づいて、検出点M1の電位がモニタ用配線190及びサンプルホールド回路175を介して検出される(ステップS14)。
【0108】
そして、可変電圧源180は、出力電圧Voutを調整して(ステップS18)、有機EL表示部110へ電圧を供給する。なお、ステップS18の電圧調整処理は、本発明の電圧調整ステップに相当する。
【0109】
ここで、信号処理回路165は、画像表示期間の少なくとも一部においては、可変電圧源180にHレベルのサンプルパルスを発生し、黒表示期間においてはサンプルパルスを発生しない。従って、有機EL表示部110に表示される映像データと、パネル印加電圧及びサンプルパルスは、以下のようになる。
【0110】
図7は表示装置50の動作の一例を示す図であり、(a)は有機EL表示部110に表示される映像データを示す図、(b)はパネル印加電圧を示す図、(c)はサンプルパルスを示す図である。
図7は、画像表示期間の少なくとも一部において、モニタ用配線190及びサンプルホールド回路175は高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位の検出を行い、黒表示期間において、モニタ用配線190及びサンプルホールド回路175は高電位側の電位及び低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位の検出を行わないときの表示装置50の動作の一例を示している。詳細には、以下の通りである。
【0111】
図7の(a)は、有機EL表示部110の発光画素111について、有機EL表示部110に表示される映像データの時間的な表示映像の変化を示している。同図の縦軸は、画面垂直方向を示し、横軸は時間を示している。また、t0〜t4が1つのフレーム期間に相当する。すなわち、例えば、時間t=t0〜t1において、有機EL表示部110には映像データは表示されていないが、有機EL表示部110の上側の発光画素111から下側の発光画素111に順に映像データが供給されている。この期間を、黒表示期間という。その後、例えば、時間t=t1〜t4において、有機EL表示部110の上側の発光画素111から下側の発光画素111に供給された映像データが、一斉に有機EL表示部110に表示される。この期間を画像表示期間という。また、同図における時間t=t0〜t4までを第Nフレーム、時間t=t4〜t8までを第N+1フレームとすると、第Nフレームでは白ピーク階調(R:G:B=255:255:255;輝度100%)の映像データが、第N+1フレームではグレー階調(R:G:B=128:128:128;輝度50%)の映像データが供給されていることを示している。なお、黒表示期間に有機EL表示部110に表示される黒表示は、発光制御回路により発光制御トランジスタがオフされることにより実現される表示であり、画像表示期間に黒階調(例えば、R:G:B=0:0:0)の映像データが表示されるものとは異なる表示である。
【0112】
一例として、映像データを120Hzで表示する場合、映像データの書き込み及び表示に要する時間は5.5msであり、黒表示期間は5.5ms、画像表示期間は2.8msである。
【0113】
信号処理回路165は、
図7の(c)に示すように、画像表示期間の少なくとも一部、例えば、時間=t2〜t3において、Hレベルのサンプルパルスを発生する。
【0114】
詳細には、信号処理回路165は、第Nフレームの映像データを発光画素111へ入力する。ここで、時間t=t2〜t3において、信号処理回路165からHレベルのサンプルパルスが発生すると、信号処理回路165は、検出点M1の電位のサンプルを行い、画像表示期間の終了以前にはサンプルホールド回路175にホールドさせる。
【0115】
ここで、第N+1フレームの黒表示期間(t4〜t5)には有機EL表示部110には映像データは表示されないので、発光画素111における表示映像に対応した電圧降下分を補うためのパネル印加電圧を調整する必要はない。つまり、従来は、
図7の(b)の実線に示すように、画像表示期間には画像表示に対応した電圧降下分を補うためのパネル印加電圧(例えば、出力電圧Vout=12V)を、黒表示期間には黒表示に対応した電圧降下分を補うためのパネル印加電圧(例えば、出力電圧Vout=8V)を可変電圧源180から供給していたが、本実施の形態によれば、同図の破線で示すように、黒表示期間には黒表示に対応した電圧降下分のパネル印加電圧(出力電圧Vout=8V)を供給する必要はなく、黒表示期間であっても第Nフレーム画像表示期間の画像表示に対応した電圧降下分を補うためのパネル印加電圧(出力電圧Vout=12V)を供給(ホールド)し続けることができる。
【0116】
具体的には、第N+1フレームの黒表示期間(t4〜t5)には、サンプルホールド回路175にホールドされていた、画像表示に対応した電圧降下分を補うためのパネル印加電圧(出力電圧Vout=12V)が可変電圧源180から有機EL表示部110へ供給される。
【0117】
また、従来は、
図7の(a)に示すように、白階調の画像表示→黒表示→グレー階調の画像表示の順に表示を行う場合、
図7の(b)の実線に示すように、パネル印加電圧(出力電圧Vout)が12V→8V→10Vと変化していたが、本実施の形態では、同図の破線に示すように、パネル印加電圧(出力電圧Vout)が12V→10Vと変化するだけであるので、余分な消費電力(無効電力)を減らし、消費電力を削減することができる。
【0118】
なお、サンプルパルスは、画像表示期間の終了までにLレベルにすればよい。つまり、画像表示期間内において画像表示期間よりも短い期間(例えば1ms)、サンプリングを行っていればよい。
【0119】
このように、本実施の形態に係る表示装置50は、信号処理回路165と、信号処理回路165からのサンプルパルスに基づいてサンプルホールド動作をするサンプルホールド回路175と、可変電圧源180と、基準電圧設定部177とを含む。これにより、表示装置50は、余分な電圧を減らし、消費電力を削減することができる。
【0120】
また、表示装置50は、モニタ用の発光画素111Mが有機EL表示部110の中央付近に配置されていることにより、有機EL表示部110が大型化した場合にも、可変電圧源180の出力電圧Voutを簡便に調整できる。
【0121】
また、消費電力を削減することにより有機EL素子121の発熱が抑えられるので、有機EL素子121の劣化を防止できる。
【0122】
なお、サンプルパルスの印加パターンは、上記した
図7の(c)に示したパターンには限定されず、画像表示期間内において画像表示期間よりも短い期間であればよい。例えば、
図8は信号処理回路165によるサンプルパルスの印加パターンの一例を示す図であり、(a)は有機EL表示部110の映像データを示す図、(b)はパネル印加電圧を示す図、(c)はサンプルパルスを示す図である。
【0123】
例えば、
図8の(c)に示す時間t=t2〜t3に示すように、サンプリングの期間は、可能な限り狭くしてもよい。ここでいう可能な限りとは、サンプルホールド回路175が追随する範囲であり、一例として、100μsである。
【0124】
また、
図8の(c)における時間t=t6〜t7、t8〜t9、t10〜t11に示すように、複数回サンプリングを行ってもよい。
【0125】
また、映像データは、平面表示映像に限らず、立体表示映像データであってもよい。
図9は、有機EL表示部110の映像データの一例を示す図であり、(a)は立体表示映像データを示す図、(b)はサブフィールド表示による立体表示映像データを示す図である。
【0126】
図9の(a)に示すように、右眼用の画像、左眼用の画像図を交互に表示することにより、映像データを立体表示することができる。この場合においても、サンプルホールド回路175は、画像表示期間の少なくとも一部において信号処理回路165から出力されたHレベルのサンプルパルスにより検出点M1の電圧の検出を行い、黒表示期間において検出点M1の電圧を検出行わない構成とすることができる。
【0127】
また、
図9の(b)に示すように、有機EL表示部110を複数の表示領域ごとに駆動して映像を表示するサブフィールド法による表示においても、サンプルホールド回路175は、画像表示期間の少なくとも一部において信号処理回路165から出力されたHレベルのサンプルパルスにより検出点M1の電圧の検出を行い、画面全体の黒表示期間において検出点M1の電圧の検出を行わない。
【0128】
具体的には、
図9の(b)に示すように、有機EL表示部110は、有機EL表示部110の上側半分の表示領域に設けられた発光画素により構成される第1サブフィールド110A、及び、下側半分の表示領域に設けられた発光画素により構成される第2サブフィールド110Bとを備えている。第1サブフィールド110A及び第2サブフィールド110Bは、有機EL表示部110への映像データの書き込みに合わせて、画像表示期間と黒表示期間のタイミングが異なっている。例えば、
図9の(b)に示すサブフィールド法による表示では、第2サブフィールドの黒表示期間は、第1サブフィールドの黒表示期間の開始よりも2.8ms遅れている。これにより、第1サブフィールド及び第2サブフィールドが黒表示期間となる場合、及び、第1サブフィールド及び第2サブフィールドが画像表示期間となる場合が生じる。この表示方法により、画像表示期間を長く設けることができる。
【0129】
ここで、サンプルホールド回路175によるサンプルホールドは、第1サブフィールド及び第2サブフィールドのどちらかが画像表示期間である期間(t2〜t5)に行われる。つまり、第1サブフィールドの画像表示期間の開始と同時または開始後から、第2サブフィールドの画像表示期間の終了よりも早い時間に電圧のサンプリングが行われる。これにより、立体表示映像データの表示であっても、余分な電圧を減らし、消費電力を削減することができる。サンプルパルスのパルス時間は、一例として6.25msである。
【0130】
以上のような構成により、消費電力低減効果の高い表示装置を提供することができる。
【0131】
なお、上記したサブフィールドは、第1のサブフィールドを上側半分の表示領域に設けられた発光画素、第2のサブフィールドを下側半分の表示領域に設けられた発光画素により構成することに限らず、例えば、第1のサブフィールドを奇数ラインに設けられた発光画素、第2のサブフィールドを偶数ラインに設けられた発光画素により構成してもよい。
【0132】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態1に係る表示装置と比較して、可変電圧源へ入力される基準電圧が、入力された映像データからフレームごと検出されたピーク信号に依存して変化する点が異なる。以下、実施の形態1と同じ点は説明を省略し、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と重複する図面については、実施の形態1に適用された図面を用いる。
【0133】
以下、本発明の実施の形態2について、図を用いて具体的に説明する。
【0134】
図10は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0135】
同図に示す表示装置100は、有機EL表示部110と、データ線駆動回路120と、書込走査駆動回路130と、発光制御回路135と、制御回路140と、ピーク信号検出回路150と、信号処理回路160と、サンプルホールド回路175と、可変電圧源180と、モニタ用配線190とを備える。
【0136】
有機EL表示部110の構成については、実施の形態1の
図2、
図3に記載された構成と同様である。
【0137】
同図に示すように、有機EL表示部110は、複数の発光画素111と、第1電源配線112と、第2電源配線113とを有する。
【0138】
ピーク信号検出回路150は、表示装置100に入力された映像データのピーク値を検出し、検出したピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。具体的には、ピーク信号検出回路150は、映像データの中から色毎に最も高階調のデータをピーク値として検出する。高階調のデータとは、有機EL表示部110で明るく表示される画像に対応する。
【0139】
信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク信号から、可変電圧源180に出力する第2基準電圧Vref2の電圧を決定する。具体的には、信号処理回路160は、必要電圧換算テーブルを用いて、有機EL素子121に必要な電圧VELと駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTとの合計VTFT+VELを決定する。そして、決定したVTFT+VELを第2基準電圧Vref2の電圧とする。信号処理回路160が可変電圧源180に出力する第2基準電圧Vref2は、可変電圧源180の出力電圧Voutと検出点M1の電位との電位差ΔVに依存しない電圧である。
【0140】
サンプルホールド回路175は、信号処理回路160からのサンプルパルスに基づいて、サンプルホールド動作をする。サンプルホールド回路175は、信号処理回路160からのサンプルパルスのパルスタイミングにより、検出点M1の電位をサンプルして可変電圧源180に継続して出力する。サンプル期間以外は直前にサンプルした検出点M1の電位をホールドして可変電圧源180に継続して出力する。なお、モニタ用配線190及びサンプルホールド回路175は、本発明における電圧検出部に相当する。
【0141】
また、信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150を介して入力された映像データに対応する信号電圧をデータ線駆動回路120へ出力する。
【0142】
可変電圧源180は、本発明の電圧調整部であって、モニタ用の発光画素111Mの電位を所定の電位にするように調整する。可変電圧源180は、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を、モニタ用配線190及びサンプルホールド回路175を介して測定する。つまり、検出点M1の電位を測定する。そして、測定した検出点M1の電位と、信号処理回路160から出力された第2基準電圧Vref2とに応じて、出力電圧Voutを調整する。なお、可変電圧源180は、モニタ用の発光画素111Mに印加される低電位側の電位を測定してもよい。
【0143】
モニタ用配線190は、一端が検出点M1に接続され、他端がサンプルホールド回路175に接続され、検出点M1の電位を可変電圧源180に伝達する。
【0144】
次に、上述した表示装置100の動作について
図11及び
図12を用いて説明する。
【0145】
図11は、本発明の表示装置100の動作を示すフローチャートである。
【0146】
まず、ピーク信号検出回路150は、表示装置100に入力された1フレーム期間の映像データを取得する(ステップS11)。例えば、ピーク信号検出回路150は、バッファを有し、そのバッファに1フレーム期間の映像データを蓄積する。
【0147】
次に、ピーク信号検出回路150は、取得した映像データのピーク値を検出(ステップS12)し、検出したピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。具体的には、ピーク信号検出回路150は、色ごとに映像データのピーク値を検出する。例えば、映像データが赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれについて0〜255(大きいほど輝度が高い)までの256階調で表されているとする。ここで、有機EL表示部110の一部の映像データがR:G:B=177:124:135、有機EL表示部110の他の一部の映像データがR:G:B=24:177:50、さらに他の一部の映像データがR:G:B=10:70:176の場合、ピーク信号検出回路150はRのピーク値として177、Gのピーク値として177、Bのピーク値として176を検出し、検出した各色のピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。
【0148】
次に、信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク値で有機EL素子121を発光させた場合の駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTと、有機EL素子121に必要な電圧VELとを決定する(ステップS13)。具体的には、信号処理回路160は、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを用いて各色の階調に対応するVTFT+VELを決定する。
【0149】
図12は、信号処理回路160が有する必要電圧換算テーブルの一例を示す図である。
【0150】
同図に示すように、必要電圧換算テーブルには各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧が格納されている。例えば、Rのピーク値177に対応する必要電圧は8.5V、Gのピーク値177に対応する必要電圧は9.9V、Bのピーク値176に対応する必要電圧は6.7Vとなる。各色のピーク値に対応する必要電圧のうち、最大の電圧はGのピーク値に対応する9.9Vである。よって、信号処理回路160は、VTFT+VELを9.9Vと決定する。
【0151】
一方、信号処理回路160からのサンプルパルスに基づいて、検出点M1の電位がモニタ用配線190及びサンプルホールド回路175を介して検出される(ステップS14)。
【0152】
そして、可変電圧源180は、出力電圧Voutを調整して(ステップS18)、有機EL表示部110へ供給する。なお、ステップS18の電圧調整処理は、本発明の電圧調整ステップに相当する。
【0153】
また、信号処理回路160は、画像表示期間の少なくとも一部においては、可変電圧源180にHレベルのサンプルパルスを発生し、黒表示期間においてはサンプルパルスを発生しない。従って、有機EL表示部110に表示される映像データと、パネル印加電圧及びサンプルパルスは、実施の形態1における
図7に示したのと同様になる。
【0154】
このように、本実施の形態に係る表示装置100は、ピーク信号検出回路150と、信号処理回路160と、信号処理回路160からのサンプルパルスに基づいてサンプルホールド動作をするサンプルホールド回路175と、高電位側の電位及び低電位側の電位を出力する可変電圧源180とを含む。
【0155】
これにより、表示装置100は、余分な電圧を減らし、消費電力を削減することができる。
【0156】
また、表示装置100は、モニタ用の発光画素111Mが有機EL表示部110の中央付近に配置されていることにより、有機EL表示部110が大型化した場合にも、可変電圧源180の出力電圧Voutを簡便に調整できる。
【0157】
また、消費電力を削減することにより有機EL素子121の発熱が抑えられるので、有機EL素子121の劣化を防止できる。
【0158】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態2に係る表示装置100と比較して、2以上の発光画素111のそれぞれについて高電位側の電位を測定し、測定した複数の電位のうちの最小の電位と、基準電位とに基づいて可変電圧源180を調整する点が異なる。
【0159】
これにより、可変電圧源180の出力電圧Voutをより適切に調整することが可能となる。よって、有機EL表示部を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。
【0160】
図13は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0161】
同図に示す本実施の形態に係る表示装置300Aは、
図10に示した実施の形態2に係る表示装置100とほぼ同じであるが、表示装置100と比較してさらに電位比較回路370Aを備え、有機EL表示部110に代わり有機EL表示部310を備え、モニタ用配線190に代わりモニタ用配線391〜395を備える点が異なる。なお、
図13においては、発光制御回路135の図示を省略している。
【0162】
有機EL表示部310は、有機EL表示部110とほぼ同じであるが、有機EL表示部110と比較して、検出点M1〜M5と1対1に対応して設けられ、対応する検出点の電位を測定するためのモニタ用配線391〜395が配置されている点が異なる。
【0163】
検出点M1〜M5は、有機EL表示部310内に均等に設けられていることが望ましく、
図13に示すように、例えば、有機EL表示部310の中心と、有機EL表示部310を4分割した各領域の中心とが望ましい。なお、同図には、5つの検出点M1〜M5が図示されているが、検出点は複数であればよく、2つでも、3つでもよい。
【0164】
モニタ用配線391〜395は、それぞれ、対応する検出点M1〜M5と、電位比較回路370Aとに接続され、対応する検出点M1〜M5の電位を伝達する。これにより、電位比較回路370Aは、モニタ用配線391〜395を介して検出点M1〜M5の電位を測定できる。
【0165】
電位比較回路370Aは、モニタ用配線391〜395を介して検出点M1〜M5の電位を測定する。言い換えると、複数のモニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を測定する。さらに、測定した検出点M1〜M5の電位のうち最小の電位を選択する。
【0166】
サンプルホールド回路175は、信号処理回路160からのサンプルパルスに基づいて、前記最小の電位をサンプルホールドするサンプルホールド動作をする。サンプル期間以外は直前にサンプルした前記最小の電位をホールドして可変電圧源180に継続して出力する。なお、モニタ用配線391〜395、電位比較回路370A及びサンプルホールド回路175は、本発明における電圧検出部に相当する。
【0167】
可変電圧源180は、複数のモニタ用の発光画素111Mのうち最小の電位を所定の電位にするように調整した出力電圧Voutを、有機EL表示部310に供給する。
【0168】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置300Aは、電位比較回路370Aが、有機EL表示部310内における複数の発光画素111のそれぞれについて、印加される高電位側の電位を測定し、測定した複数の発光画素111の電位のうち最小の電位を選択する。そして、発光画素111の電位のうち最小の電位と基準電位とに基づいて可変電圧源180は出力電圧を調整する。
【0169】
なお、本実施の形態に係る表示装置300Aにおいて、可変電圧源180は本発明の電源供給部であり、有機EL表示部310は本発明の表示部であり、可変電圧源180は本発明の電圧調整部である。
【0170】
以上、本発明に係る表示装置について実施に形態に基づき説明したが、本発明に係る表示装置は、上述した実施の形態に限定されるものではない。実施の形態1〜3に対して、本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0171】
例えば、有機EL表示部内のモニタ用配線が配置されている発光画素の発光輝度の低下を補償してもよい。
【0172】
また、信号処理回路は、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを有するとしたが、必要電圧換算テーブルに代わり駆動トランジスタ125の電流−電圧特性と有機EL素子121の電流−電圧特性とを有し、2つの電流−電圧特性を用いてVTFT+VELを決定してもよい。
【0173】
図14は、駆動トランジスタの電流−電圧特性と有機EL素子の電流−電圧特性とをあわせて示すグラフである。横軸は、駆動トランジスタのソース電位に対して下がる方向を正方向としている。
【0174】
同図には、2つの異なる階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性及び有機EL素子の電流−電圧特性が示され、低い階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性がVsig1、高い階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性がVsig2で示されている。
【0175】
駆動トランジスタのドレイン−ソース電圧の変動に起因する表示不良の影響を無くすためには、駆動トランジスタを飽和領域で動作させることが必要である。一方、有機EL素子の発光輝度は駆動電流によって決定される。従って、映像データの階調に対応して有機EL素子を正確に発光させるためには、駆動トランジスタのソースと有機EL素子のカソードとの間の電圧から有機EL素子の駆動電流に対応する有機EL素子の駆動電圧(VEL)を差し引き、差し引いた残りの電圧が駆動トランジスタを飽和領域で動作させることが可能な電圧となっていればよい。また、消費電力を低減するためには、駆動トランジスタの駆動電圧(VTFT)が低いことが望ましい。
【0176】
よって、
図14において、駆動トランジスタの線形領域と飽和領域との境界を示す線上で駆動トランジスタの電流−電圧特性と有機EL素子の電流−電圧特性とが交差する点を通る特性により求められるVTFT+VELが、映像データの階調に対応して有機EL素子を正確に発光し、かつ、消費電力が最も低減できる。
【0177】
このように、
図14に示したグラフを用いて、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を換算してもよい。
【0178】
これにより、消費電力を一層削減することができる。
【0179】
また、実施の形態1〜3において、信号処理回路は、フレームごとに第1基準電圧Vref1または第2基準電圧Vref2を変えずに、複数フレーム(例えば、3フレーム)ごとに第1基準電圧Vref1または第2基準電圧Vref2を変えてもよい。
【0180】
これにより、第1基準電圧Vref1または第2基準電圧Vref2の電位が変動するために可変電圧源180で生じる消費電力を低減できる。
【0181】
また、
図5及び
図12に示すフローチャートにおいて、検出点の電位の検出処理(ステップS14)は、複数フレームにわたって実行されてもよい。
【0182】
また、信号処理回路は、高電位側の電位と基準電位との電位差、低電位側の電位と基準電位との電位差、または、高電位側の電位と低電位側の電位との電位差のいずれが所定の電位差となるように、可変電圧源から出力される電圧を調整してもよく、また、可変電圧源から出力される高電位側及び低電位側の出力電位のいずれを調整してもよい。
【0183】
また、印加電圧が検出される発光画素は、1つであってもよいし複数であってもよい。また、印加電圧が検出される発光画素の高電位側の印加電位が検出されてもよいし、低電位側の印加電位が検出されてもよい。また、可変電圧源は、検出された複数の高電位側の印加電位のうち最小の印加電位に基づいて電源供給部を調整してもよいし、検出された複数の低電位側の印加電位のうち最大の印加電位に基づいて電源供給部を調整してもよい。
【0184】
また、基準電圧設定部及び信号処理回路は、有機EL素子121の経年劣化マージンを考慮して、第1基準電圧Vref1及び第2基準電圧Vref2を決定してもよい。例えば、有機EL素子121の経年劣化マージンをVadとすると、信号処理回路165は第1基準電圧Vref1の電圧をVTFT+VEL+Vadとしてもよく、信号処理回路160は第2基準電圧Vref2の電圧をVTFT+VEL+Vadとしてもよい。
【0185】
また、上記実施の形態においては、スイッチトランジスタ124、発光制御トランジスタ127及び駆動トランジスタ125をP型トランジスタとして記載したが、これらをN型トランジスタで構成してもよい。
【0186】
また、スイッチトランジスタ124、発光制御トランジスタ127及び駆動トランジスタ125は、TFTであるとしたが、その他の電界効果トランジスタであってもよい。
【0187】
また、上記実施の形態1〜3に係る表示装置に含まれる処理部は、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。なお、上記表示装置に含まれる処理部の一部を、有機EL表示部と同一の基板上に集積することも可能である。また、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0188】
また、本発明の実施の形態1〜3に係る表示装置に含まれるデータ線駆動回路、書込走査駆動回路、発光制御回路、制御回路、ピーク信号検出回路及び信号処理回路の機能の一部を、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。また、本発明は、上記表示装置が備える各処理部により実現される特徴的なステップを含む表示装置の駆動方法として実現してもよい。
【0189】
また、上記説明では、実施の形態1〜3に係る表示装置がアクティブマトリクス型の有機EL表示装置である場合を例に述べたが、本発明を、アクティブマトリクス型以外の有機EL表示装置に適用してもよいし、電流駆動型の発光素子を用いた有機EL表示装置以外の表示装置、例えば液晶表示装置に適用してもよい。
【0190】
また、例えば、本発明に係る表示装置は、
図15に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る画像表示装置が内蔵されることにより、映像信号を反映した高精度な画像表示が可能な薄型フラットTVが実現される。