(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792161
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】情報処理端末、端末操作方法および端末操作プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20150917BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
G06F3/033 432
G06F3/041 600
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-514689(P2012-514689)
(86)(22)【出願日】2011年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2011001758
(87)【国際公開番号】WO2011142075
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年2月13日
(31)【優先権主張番号】特願2010-110008(P2010-110008)
(32)【優先日】2010年5月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 崇文
【審査官】
松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0250377(US,A1)
【文献】
特開2005−063150(JP,A)
【文献】
特開2003−015796(JP,A)
【文献】
特開2003−323259(JP,A)
【文献】
特開2002−182847(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0027547(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0206202(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01691263(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/033
G06F 3/0354
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末本体の上面にディスプレイを少なくとも備えた情報処理端末において、前記ディスプレイの背面と前記情報処理端末本体の上面との間および前記ディスプレイの各側面と前記情報処理端末本体の対向する各側壁面との間を、それぞれ、弾性体によって、前記ディスプレイを移動可能とするスペースを介して接続し、ユーザの指により前記ディスプレイの押下操作を行うことにより、前記ディスプレイの表示画面上のカーソルの移動や表示画面の移動を行う方向キーとしての機能と、前記ディスプレイの表示画面上の選択を確定する確定キーとしての機能と、のいずれかを少なくとも実行する情報処理端末であって、
前記ユーザの指により前記ディスプレイの表面を押下操作して、前記ディスプレイの背面が前記情報処理端末本体の上面側に移動したことを検知する押圧検知手段を、前記情報処理端末本体の上面または前記ディスプレイの背面に備え、かつ、ユーザの指により前記ディスプレイの表面を斜め方向に押下操作して、前記ディスプレイが前記情報処理端末本体の上面に沿って前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向にスライド移動したことを検知する移動検知手段を、前記情報処理端末本体の側壁面または前記情報処理端末本体の上面または前記ディスプレイの側面または前記ディスプレイの背面のいずれかに備え、前記押圧検知手段が前記ディスプレイの前記情報処理端末本体の上面側への移動を検知し、かつ、前記移動検知手段が前記ディスプレイの前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向へのスライド移動を検知した際に、前記移動検知手段が検知した移動距離があらかじめ定めた移動閾値を超えていた場合、前記方向キーとしての機能を実行し、前記移動検知手段が検知した移動距離が前記移動閾値以内であった場合、前記確定キーとしての機能を実行することを特徴とする情報処理端末。
【請求項2】
ユーザの指により前記ディスプレイの表面を斜め方向に押下操作して、前記ディスプレイが前記情報処理端末本体の上面に沿って前記情報処理端末本体の側壁面の方向にスライド移動させる移動方向として、前記情報処理端末本体の側壁面への上下方向、左右方向、斜め方向を含め、全ての方向にスライド移動させることが可能であり、前記移動検知手段は、前記ディスプレイがスライド移動した移動方向、移動距離、移動速度を検知することができることを特徴とする請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
前記移動検知手段は、圧電素子、光センサ、磁気センサのいずれかからなっていることを特徴とする請求項2に記載の情報処理端末。
【請求項4】
前記押圧検知手段は、メタルドーム、圧電素子、光センサ、磁気センサのいずれかからなっていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の情報処理端末。
【請求項5】
情報処理端末本体の上面にディスプレイを少なくとも備えた情報処理端末における端末操作方法であって、前記ディスプレイの背面と前記情報処理端末本体の上面との間および前記ディスプレイの各側面と前記情報処理端末本体の対向する各側壁面との間にスペースを設けて、前記ディスプレイが移動可能な状態に配置し、ユーザの指により前記ディスプレイの押下操作を行うことにより、前記ディスプレイの表示画面上のカーソルの移動や表示画面の移動を行う方向キーとしての機能と、前記ディスプレイの表示画面上の選択を確定する確定キーとしての機能と、のいずれかを少なくとも実行させる端末操作方法であって、前記ユーザの指による前記ディスプレイへの押下操作により、前記ディスプレイの背面が前記情報処理端末本体の上面側に移動したことを検知させ、かつ、前記ディスプレイが前記情報処理端末本体の上面に沿って前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向にスライド移動したことを検知させた際に、前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向にスライド移動した移動距離があらかじめ定めた移動閾値を超えていた場合、前記方向キーとしての機能を実行し、前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向にスライド移動した移動距離が前記移動閾値以内であった場合、前記確定キーとしての機能を実行させることを特徴とする端末操作方法。
【請求項6】
請求項5に記載の端末操作方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする端末操作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理端末、端末操作方法およびコンピュータ可読媒体に関し、特に、携帯型の情報処理端末において好適に適用可能な入力操作方法を実現する情報処理端末、端末操作方法およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理端末、特に、携帯型の情報処理端末においては、様々な状況や状態における利用が想定されるようになってきている。かかる情報処理端末の操作性を考慮した一例として、キーボードやマウスのみならず、例えば、ディスプレイをタッチパネル付きのディスプレイにしたり、トラックボールやトラックパッドやタブレットやペンポイント等のポインティングデバイスを導入したり、あるいは、バーコードリーダやカメラ等の読取装置を用いたりする情報処理端末も登場してきている。
【0003】
さらには、例えば、特許文献1の特開2001−189792号公報「携帯移動通信機器」においては、様々な状況や状態の一つとして、ユーザが片手でも操作することができるように、情報処理端末の筐体の背面側にポインティングデバイスを設けて、ユーザが指で該ポインティングデバイスを操作することによって、情報処理端末の筐体の表面側に配置しているディスプレイ上のポインタを移動させたり、ディスプレイ上の表示項目のいずれかを選択して確定させたりすることを可能とする技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−189792号公報(第2−3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の情報処理端末、特に携帯型の情報処理端末においては、前述のように、様々な状況や状態で使用されており、操作のし易さが求められている。
【0006】
様々な状況や状態の具体的な例として、例えば、ユーザが情報処理端末に対して繊細な動きの操作ができない状況下にある場合の利用シーンや、ユーザが片手でしか情報処理端末を操作することができない場合や、ユーザが素手ではない状態で情報処理端末を操作する場合等も含まれており、多種多様な操作方法を搭載し、操作性に富む情報処理端末の開発、販売がより一層強く望まれるようになってきている。また、情報処理端末の小型化が求められる一方で、ディスプレイの表示の見易さ等の観点から限られたスペースで最大限の画面エリアの確保が求められており、そのためには、入力用の操作キーや操作ボタンの大きさや個数も、可能な限り、小さく、かつ、少なくする必要がある。
【0007】
かかる問題を解決する従来の情報処理端末における入力/操作方法として、前述したように、タッチパネルやポインティングデバイスを導入したりする動きがあった。しかしながら、手袋をはめた状態や指が大きい人あるいは繊細な動きを苦手とする人あるいは細かな動きができない人にとっては、相変らず、操作がし難い、操作ができないという問題が解決できていないし、あるいは、誤動作も増加している。
【0008】
また、タッチパネルに関しては、手袋を嵌めた手で操作しようとしても反応しない、あるいは、体質によっては動きが悪くなるとか、誤動作してしまうといった問題も抱えている。
【0009】
あるいは、タッチパネル付きディスプレイとして方向キーと連動したポインティングデバイスを用いて、地図などを表示したり、表示位置を移動したりする技術も登場してきている。しかし、かかる技術は、地図の表示位置を移動しようとするときに、移動方向を指示するようにポインティングデバイスを移動操作するのではなく、地図が表示されている画面上の移動しようとする方向の或る地点を押さえるだけであって、操作の動作と表示画面の動きとが一致しておらず、操作方法が理解し難く、より直感的に扱える操作性の高い情報処理端末の開発が望まれている。
【0010】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、最大限の画面エリアを確保しつつ、小型化・軽量化・薄型化を妨げることなく、ユーザにとってより直感的な操作性を有し、様々な状況や状態においても、操作し易く、かつ、誤動作を防止することが可能な情報処理端末、端末操作方法およびコンピュータ可読媒体を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため、本発明による情報処理端末、端末操作方法およびコンピュータ可読媒体は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0012】
(1)本発明による情報処理端末は、情報処理端末本体の上面にディスプレイを少なくとも備えた情報処理端末において、前記ディスプレイの背面と前記情報処理端末本体の上面との間および前記ディスプレイの各側面と前記情報処理端末本体の対向する各側壁面との間を、それぞれ、弾性体によって、前記ディスプレイを移動可能とするスペースを介して接続し、ユーザの指により前記ディスプレイの押下操作を行うことにより、前記ディスプレイの表示画面上のカーソルの移動や表示画面の移動を行う方向キーとしての機能と、前記ディスプレイの表示画面上の選択を確定する確定キーとしての機能と、のいずれかを少なくとも実行する
情報処理端末であって、前記ユーザの指により前記ディスプレイの表面を押下操作して、前記ディスプレイの背面が前記情報処理端末本体の上面側に移動したことを検知する押圧検知手段を、前記情報処理端末本体の上面または前記ディスプレイの背面に備え、かつ、ユーザの指により前記ディスプレイの表面を斜め方向に押下操作して、前記ディスプレイが前記情報処理端末本体の上面に沿って前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向にスライド移動したことを検知する移動検知手段を、前記情報処理端末本体の側壁面または前記情報処理端末本体の上面または前記ディスプレイの側面または前記ディスプレイの背面のいずれかに備え、前記押圧検知手段が前記ディスプレイの前記情報処理端末本体の上面側への移動を検知し、かつ、前記移動検知手段が前記ディスプレイの前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向へのスライド移動を検知した際に、前記移動検知手段が検知した移動距離があらかじめ定めた移動閾値を超えていた場合、前記方向キーとしての機能を実行し、前記移動検知手段が検知した移動距離が前記移動閾値以内であった場合、前記確定キーとしての機能を実行することを特徴とする。
【0013】
(2)本発明による端末操作方法は、情報処理端末本体の上面にディスプレイを少なくとも備えた情報処理端末における端末操作方法であって、前記ディスプレイの背面と前記情報処理端末本体の上面との間および前記ディスプレイの各側面と前記情報処理端末本体の対向する各側壁面との間にスペースを設けて、前記ディスプレイが移動可能な状態に配置し、ユーザの指により前記ディスプレイの押下操作を行うことにより、前記ディスプレイの表示画面上のカーソルの移動や表示画面の移動を行う方向キーとしての機能と、前記ディスプレイの表示画面上の選択を確定する確定キーとしての機能と、のいずれかを少なくとも実行させ
る端末操作方法であって、前記ユーザの指による前記ディスプレイへの押下操作により、前記ディスプレイの背面が前記情報処理端末本体の上面側に移動したことを検知させ、かつ、前記ディスプレイが前記情報処理端末本体の上面に沿って前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向にスライド移動したことを検知させた際に、前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向にスライド移動した移動距離があらかじめ定めた移動閾値を超えていた場合、前記方向キーとしての機能を実行し、前記情報処理端末本体の側壁面のいずれかの方向にスライド移動した移動距離が前記移動閾値以内であった場合、前記確定キーとしての機能を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の情報処理端末、端末操作方法およびコンピュータ可読媒体によれば、ディスプレイ自体に、表示画面上のカーソル位置等を移動するための方向キーの機能と選択した項目を確定するための確定キーの機能とを付与しているので、以下のような効果を奏することができる。
【0015】
情報処理端末本体の表面上に配置するディスプレイとして最大限の表示画面エリアを確保しつつ、小型化・軽量化・薄型化を妨げることなく、ユーザにとってより直感的な操作性を有し、様々な状況や状態においても、操作し易く、かつ、誤動作を防止することを可能にしている。
【0016】
また、ディスプレイそのものに方向キーおよび確定キーの役割を付与することにより、ディスプレイ上の指の物理的な動きによって、移動方向や移動位置や選択項目の確定等を行うことを可能としているので、手袋を嵌めた場合のように素手以外の手で操作しようとする状態であっても、操作することができ、また、ユーザにとって操作が直感的であり、判り易く、操作性に富むユーザインタフェースを実現することができる。
【0017】
さらに、ディスプレイ全体を方向キーおよび確定キーとして利用しているので、従来の情報処理端末における操作ボタンや操作キーとは異なり、ユーザが操作する操作対象は小さくなく、細かい動きによる操作が不要になり、指の大きい人や細かい動きができないまたは苦手な人に発生していた誤動作や操作のし難さなどといった従来の問題点を同時に解決することができ、ユニバーサルデザインという側面からの効果も期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】本発明に係る情報処理端末の構成の一例を示す正面図である。
【
図1B】本発明に係る情報処理端末の構成の一例を示す断面図である。
【
図1C】本発明に係る情報処理端末の構成の一例を示す断面図である。
【
図2A】
図1に示す情報処理端末のディスプレイの表面側の中央付近を指で押下操作する場合の動作を説明するための正面図である。
【
図2B】
図1に示す情報処理端末のディスプレイの表面側の中央付近を指で押下操作する場合の動作を説明するための断面図である。
【
図3A】
図1に示す情報処理端末のディスプレイの表面側の中央付近を指で斜め方向に押下操作して、ディスプレイを上方向に移動させた場合の動作を説明するための正面図である。
【
図3B】
図1に示す情報処理端末のディスプレイの表面側の中央付近を指で斜め方向に押下操作して、ディスプレイを上方向に移動させた場合の動作を説明するための斜視図である。
【
図3C】
図1に示す情報処理端末のディスプレイの表面側の中央付近を指で斜め方向に押下操作して、ディスプレイを上方向に移動させた場合の動作を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による情報処理端末、端末操作方法およびコンピュータ可読媒体の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による情報処理端末および端末操作方法について説明するが、かかる端末操作方法をコンピュータにより実行可能な端末操作プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、端末操作プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体(コンピュータ可読媒体)に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0020】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、ディスプレイ自体に、表示画面上のカーソル位置等を移動するための方向キーの機能と選択した項目を確定するための確定キーの機能とを付与していることを主要な特徴としている。ここで、ディスプレイの情報処理端末の上面に沿った任意の水平方向へのスライド移動に応じて、方向キーは、表示画面上の、左右上下、斜めのいずれの方向にも全方向に亘って移動させることを可能にしている。
【0021】
かくのごとき機能を備えることにより、情報処理端末本体の表面上に配置するディスプレイとして最大限の表示画面エリアを確保しつつ、小型化・軽量化・薄型化を妨げることなく、ユーザにとってより直感的な操作性を有し、様々な状況や状態においても、操作し易く、かつ、誤動作を防止することが可能な情報処理端末、端末操作方法およびコンピュータ可読媒体を実現している。
【0022】
また、ディスプレイそのものに方向キーおよび確定キーの役割に付与することにより、ディスプレイを押下するユーザの指の物理的な動きによって、移動方向や移動位置や選択項目の確定等を行うことを可能としているので、手袋を嵌めた場合のように素手以外の手で操作しようとする状態であっても、操作することができ、また、ユーザにとって操作が直感的で判り易い。
【0023】
さらに、ディスプレイ全体を方向キーおよび確定キーとして利用しているので、従来の情報処理端末における操作ボタンや操作キーとは異なり、ユーザが操作する操作対象は小さくなく、細かい動きによる操作が不要になり、指の大きい人や細かい動きができないまたは苦手な人に発生していた誤動作や操作のし難さなどといった従来の問題点を同時に解決することができ、ユニバーサルデザインという側面からの効果も期待することができる。
【0024】
(実施形態の構成例)
次に、本発明に係る情報処理端末の構成について、その一例を説明する。
図1は、本発明に係る情報処理端末の構成の一例を示す模式図であり、携帯型の情報処理端末を例に取って示している。ここで、
図1Aは、情報処理端末の正面図を示し、
図1Bは、
図1Aの情報処理端末の側面と平行なIB−IBラインにおける断面構造を示す断面図であり、
図1Cは、
図1Aの情報処理端末の底面と平行なIC−ICラインにおける断面構造を示す断面図である。
【0025】
図1Aの正面図に示すように、本発明に係る情報処理端末は、情報処理端末本体2の筐体上の上面側の略全域を覆うようにディスプレイ1の表示画面が配置されている。また、
図1Bの断面図、
図1Cの断面図に示すように、ディスプレイ1の各側面それぞれに対向する情報処理端末本体2の側壁面側には、ディスプレイ1の移動距離や移動方向や移動速度を検知するためのセンサ3が配置されている。ここで、センサ3が検知するディスプレイ1の移動距離や移動方向や移動速度は、情報処理端末本体2に対する相対的な移動距離や移動方向や移動速度を検知するものであり、該センサ3は、例えば、圧電素子、光センサや磁気センサ等のいずれかを用いて構成されている。
【0026】
なお、
図1B、
図1Cの断面図においては、前述のように、センサ3を、ディスプレイ1の側面に対向する情報処理端末本体2の側壁面側に配置する例を示したが、ディスプレイ1の側面側や、ディスプレイ1の背面側、あるいは、ディスプレイ1の背面に対向する情報処理端末本体2の上面側に配置するようにしても良い。
【0027】
また、
図1Aの正面図、
図1B、
図1Cの断面図に示すように、ディスプレイ1を情報処理端末本体2の上面に沿って情報処理端末本体2の側壁面に向かって上下左右方向や斜め方向等、任意の水平方向へのスライド移動が可能なように、および、ディスプレイ1の情報処理端末本体2の上面側への垂直方向の移動が可能なように、ディスプレイ1の側面(上下左右の各側面)と情報処理端末本体2の側壁面との間、および、ディスプレイ1の背面と情報処理端末本体2の上面との間には、それぞれ、スペース6を設けている。ここで、該スペース6のうち、ディスプレイ1の上下左右の各側面に設けたスペース6については、ディスプレイ1に対する外力が加わっていない通常の状態においては、ディスプレイ1が中心位置に留まり、いずれの水平方向へのスライド移動についても、スライド移動距離の最大値が略等しくなるように、情報処理端末本体2の側壁面との間に均一の幅の空隙が得られるようにしている。
【0028】
さらに、
図1B、
図1Cの断面図に示すように、水平方向にスライド移動させたディスプレイ1を情報処理端末本体2内の元の中心位置に戻すためのバネやゴムなどからなる弾性体4によって、ディスプレイ1の側面(上下左右の各側面)と情報処理端末本体2の側壁面との間が接続されている。つまり、ディスプレイ1に対して情報処理端末本体2の上面に沿って水平方向にスライド移動させるような外力が加えられていない場合には、弾性体4によって、ディスプレイ1が、元の位置、つまり、ディスプレイ1の上下左右の各側面で情報処理端末本体2の側壁面との間に均一の幅の空隙が得られる中心位置を保つようにしている。
【0029】
なお、
図1B、
図1Cの断面図においては、弾性体4をディスプレイ1の上下左右の各側面に備えている例を示しているが、情報処理端末本体2の上面側に向かってディスプレイ1を垂直方向へ移動させるような外力が加えられていない場合には、ディスプレイ1が元の状態に復帰するように、ディスプレイ1の背面側にも備えるようにしても良い。
【0030】
また、
図1B、
図1Cの断面図に示すように、ディスプレイ1の背面側の中央付近に対向する情報処理端末本体2の上面の位置には、ディスプレイの表面側からの押圧を検知するための押圧検知器5が取り付けられている。押圧検知器5は、例えば、メタルドーム(Metal Dome:金属性皿バネ)を備えた基板からなり、ディスプレイ1の表面側から加えられる押圧により、ディスプレイ1の背面側が押し付けられた状態を検知するものである。なお、かかる押圧を検知することができるものであれば、押圧検知器5は、メタルドームに限るものではなく、圧電素子や光センサ、磁気センサ等のその他の各種センサであっても良い。また、押圧検知器5は、情報処理端末本体2の上面側ではなく、ディスプレイ1の背面側の中央付近に配置するようにしても良い。
【0031】
ユーザが、指でディスプレイ1の表面側の中央付近を斜めに押下操作して、ディスプレイ1の表面を適当な押圧力で垂直方向に押しながら、上下左右あるいは斜めのいずれか任意の水平方向にも、任意の押圧力で、スペース6の空隙を狭めるようにディスプレイ1をスライド移動させると、押圧検知器5およびセンサ3は、垂直方向および水平方向の該押圧を検知して、情報処理端末として方向キーの機能を実行して、ディスプレイ1の水平方向の移動距離、移動方向、移動速度に基づいて、ディスプレイ1の表示画面内のカーソル位置の移動や表示画面の移動や表示画面内のアイコンの選択位置の移動等を行う。ここで、ディスプレイ1の水平方向の移動距離が殆どない状態で、ディスプレイ1に対する垂直方向の押圧力が検知された場合には、情報処理端末として確定キーの機能を実行して、現在のカーソルの表示位置における選択項目等の選択を確定させる。なお、ディスプレイ1の表面の指による押下操作は、素手でなくても手袋を嵌めていても構わない。
【0032】
(実施形態の動作の説明)
次に、
図1に示した情報処理端末の動作について、その一例を、
図2、
図3の模式図を用いて説明する。
図2は、
図1に示す情報処理端末のディスプレイ1の表面側の中央付近を指で押下操作する場合の動作を説明するための模式図であり、
図2Aは、ユーザがディスプレイ1の表面側の中央付近を指で押しながら、上下左右、斜め方向のいずれの水平方向にも、情報処理端末本体2の上面に沿ってスライド移動させることが可能な様子を示し、
図2Bは、ユーザがディスプレイ1の表面側の中央付近を指で押した際の垂直方向の押圧を押圧検知器5にて検知する様子を示している。なお、ここでは、
図2Aに示すように、ディスプレイ1の移動方向は、情報処理端末本体2の上面に沿って、ディスプレイ1を水平方向にスライド移動する際の情報処理端末本体2の左側面方向をX軸、情報処理端末本体2の上側面方向をY軸、ディスプレイ1を情報処理端末本体2の上面側に向かって垂直方向に移動する際の情報処理端末本体2の上面方向をZ軸と仮定する。
【0033】
図3は、
図1に示す情報処理端末のディスプレイ1の表面側の中央付近を指で斜め方向に押下操作して、ディスプレイ1を上方向に移動させた場合の動作を説明するための模式図である。ここで、
図3Aは、ディスプレイ1への押力が加わっていない初期状態を示し、
図3Bは、ユーザがディスプレイ1の表面側の中央付近を指で斜め方向に押下操作する様子を示し、
図3Cは、
図3Bの押下操作結果として、ディスプレイ1が、情報処理端末本体2の上側壁面方向に移動して、ディスプレイ1上側面と情報処理端末本体2の上側壁面との間のスペース6がなくなっている状態を示している。
【0034】
通常の状態、すなわち、情報処理端末のディスプレイ1への押力が加わっていない初期状態にある場合は、
図3Aに示すように、ディスプレイ1は、弾性体4の応力によって、ディスプレイ1の上下左右の各側面で情報処理端末本体2の各側壁面との間にスペース6として均一の幅の空隙が得られるような中心位置を保っている。
【0035】
ここで、ユーザが、
図2Aに示すように、親指でディスプレイ1の表面側の中央付近を、適当な押圧力で情報処理端末本体2の下面(背面)方向つまり垂直方向(Z軸方向)に押して、ディスプレイ1の背面を情報処理端末本体2の上面に押し付けながら、上下方向(Y軸方向)、左右方向(X軸方向)あるいは斜め方向のいずれか任意の水平方向に、任意の押圧力で、ディスプレイ1の側面側のスペース6の空隙を狭めるように、ディスプレイ1をスライド移動させると、情報処理端末本体2の上面に備えられた押圧検知器5によって、ディスプレイ1のZ軸方向の押圧が検知され、さらには、情報処理端末本体2の側壁面に備えられたセンサ3によって、ディスプレイ1のX軸方向、Y軸方向の移動距離、移動方向、移動速度が検知される。
【0036】
押圧検知器5によって検知されたZ軸方向の押圧と、センサ3によって検知されたディスプレイ1の水平方向(X軸、Y軸方向)の移動距離、移動方向、移動速度との通知を受け取ることによって、情報処理端末本体2の制御部(図示していない)は、情報処理端末として方向キーの機能を実行して、センサ3によって検知されたディスプレイ1の移動距離、移動方向、移動速度に基づいて、ディスプレイ1の表示画面内のカーソル位置の移動や表示画面の移動や表示画面内のアイコンの選択位置の移動等の動きに変換し、ディスプレイ1の表示画面の制御を行う。
【0037】
なお、押圧検知器5によって検知されたZ軸方向の押圧と、センサ3によって検知されたディスプレイ1の水平方向(X軸、Y軸方向)の移動距離、移動方向、移動速度との通知を受け取った際に、情報処理端末本体2の制御部は、センサ3によって検知されたディスプレイ1の移動距離が、有意なスライド移動操作を判別するための移動距離としてあらかじめ定めた移動閾値以内であって、ディスプレイ1のX軸方向、Y軸方向へのスライド移動の意思がユーザにはなかったものと判別した場合には、
図2Bに示すように、ディスプレイ1の表面に対する垂直方向つまりZ軸方向の押圧のみを検知したものとして、情報処理端末として確定キーの機能を実行して、アイコンの選択確定や選択したアプリケーションの起動等といった確定実行動作を行うことになる。
【0038】
ユーザが、ディスプレイ1の表面側の押圧操作を止めて、ディスプレイ1の表面から指を離すと、
図3Aに示すように、ディスプレイ1は、弾性体4の応力によって、ディスプレイ1の上下左右の各側面で情報処理端末本体2の各側壁面との間にスペース6として均一の幅の空隙が得られるような中心位置へと復帰する。かくのごとく、ユーザが、ディスプレイ1の表面から指を離し、X軸方向、Y軸方向のみならず、Z軸方向の押圧も解除すると、押圧検知器5による押圧の検知もなく、かつ、センサ3によるスライド移動の検知も完全になくなるので、ディスプレイ1の表示画面の制御動作も連動してストップする。
【0039】
図3において、例えば、ディスプレイ1の表示画面内の上側に位置しているアイコンを選択して確定し、該アイコンが示すアプリケーションを実行させたい場合には、
図3Bに示すように、ユーザがディスプレイ1の表面側の中央付近を指で押下しながら、ディスプレイ1を、任意の押下力で、情報処理端末本体2の上方向つまりY軸方向に情報処理端末本体2の上面に沿ってスライドさせる。この結果、
図3Cに示すように、ディスプレイ1が、情報処理端末本体2の上方向つまりY軸方向に移動して、ディスプレイ1上側面と情報処理端末本体2の上側壁面との間のスペース6がなくなる。
【0040】
かかるユーザの押下操作に応じて、情報処理端末本体2の上面に備えられた押圧検知器5によりZ軸方向の押下が検知されるとともに、情報処理端末本体2の側壁面に備えられたセンサ3により、ディスプレイ1の上方向への移動とその移動距離とその移動速度とが検出され、制御部においては、センサ3により検知された水平方向の移動距離があらかじめ定めた移動閾値を超えていると判定した場合には、ディスプレイ1の表示画面内のカーソルを上方向つまりY軸方向に移動させるように制御する。かくのごとき情報処理端末本体2の上方向つまりY軸方向へのディスプレイ1のスライド操作が継続している限り、制御部においては、ディスプレイ1の表示画面内のカーソルを上方向つまりY軸方向に継続して移動させるように制御する。
【0041】
情報処理端末本体2の上方向つまりY軸方向へのディスプレイ1のスライド操作結果として、選択したいアイコン上までカーソルが移動した時点で、ユーザが、ディスプレイ1への斜め方向への押圧操作から垂直方向への押圧操作に切り替えて、ディスプレイ1のスライド移動を止め、ディスプレイ1を情報処理端末本体2の垂直方向つまりZ軸方向のみへの押下操作を行うことにより、センサ3によるディスプレイ1の水平方向の移動距離が前記移動閾値以内になり、かつ、押圧検知器5によりZ軸方向の押下が検知されることになって、制御部においては、カーソルによって現在選択されている表示画面のアイコンの選択が確定して、当該アイコンが示すアプリケーションを起動することになる。
【0042】
なお、上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。 また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0043】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【0044】
この出願は、2010年5月12日に出願された日本出願特願2010−110008を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0045】
1 ディスプレイ
2 情報処理端末本体
3 センサ
4 弾性体
5 押圧検知器
6 スペース