特許第5792190号(P5792190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792190
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】使い捨てポンプシステム及び結合器
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/02 20060101AFI20150917BHJP
   F04B 53/10 20060101ALI20150917BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   F04B9/02 A
   F04B53/10 C
   F04B53/10 B
   F04B53/10 J
   A61B17/32
   F04B53/10 Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-546194(P2012-546194)
(86)(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公表番号】特表2013-515210(P2013-515210A)
(43)【公表日】2013年5月2日
(86)【国際出願番号】US2010061775
(87)【国際公開番号】WO2011087838
(87)【国際公開日】20110721
【審査請求日】2013年12月11日
(31)【優先権主張番号】12/644,391
(32)【優先日】2009年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397071355
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト・エー・ディオン
(72)【発明者】
【氏名】エド・マクリーン
(72)【発明者】
【氏名】フレッド・ブッス
(72)【発明者】
【氏名】マニー・ジェー・サリーナス
(72)【発明者】
【氏名】シーン・ジェー・アルバート
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−007566(JP,U)
【文献】 特表2006−507437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/02
A61B 17/32
F04B 53/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プッシュロッドを受容するための結合システムであって、
内部チャネルを形成しているハウジングと、
前記内部チャネル内部に受容されているピストンと、
を備えている前記結合システムにおいて、
前記ピストンが、前記プッシュロッドに係合するように壁によって作用されるために、前記内部チャネルの内部に配置されている少なくとも1つの部材を含んでおり、
前記少なくとも1つの部材が、可撓性部材を備えており、
前記内部チャネルの前記壁が、傾斜しており、
傾斜している前記壁が、少なくとも1つの前記可撓性部材を前記プッシュロッドと係合するように撓ませるために、前記ピストンの少なくとも1つの前記可撓性部材に作用することを特徴とする結合システム。
【請求項2】
前記可撓性部材が、外方に付勢されていることを特徴とする請求項に記載の結合システム。
【請求項3】
前記内部チャネルが、前記ピストンが流体を送出するために往復運動する領域を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の結合システム。
【請求項4】
前記内部チャネルが、ファンネル状とされることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の結合システム。
【請求項5】
前記ピストンを前記内部チャネルの内部に維持するために前記内部チャネルの内部に突出している、拘束部材を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の結合システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの部材が、前記プッシュロッドと結合及び結合解除するように構成されており、
前記プッシュロッドを結合するために必要な外部力が、第1の方向において前記ピストンに作用する軸線力のみであり、
前記プッシュロッドを結合解除するために必要な外部力が、前記第1の方向の反対方向である第2の方向において前記ピストンに作用する軸線力のみであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の結合システム。
【請求項7】
結合システムのピストンがプッシュロッドと接触するように、前記結合システムを軸線方向において前進させるステップであって、前記ピストンが前記結合システムのチャネル内部に受容されており、前記チャネルが壁を有している、前記ステップと、
前記壁が、前記プッシュロッドと係合するために前記ピストンの少なくとも1つの部材に作用するように、前記結合システムを前記軸線方向においてさらに前進させるステップと、
を備えており、
前記少なくとも1つの部材が、可撓性部材を備えており、
前記チャネルの前記壁が、傾斜しており、
傾斜している前記壁が、少なくとも1つの前記可撓性部材を前記プッシュロッドと係合するように撓ませるために、前記ピストンの少なくとも1つの前記可撓性部材に作用することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記ピストンと前記プッシュロッドとを結合するために必要な外部力が、前記ピストンが前記プッシュロッドと係合するように移動するように前記プッシュロッドによって前記ピストンに作用される軸線方向力のみであり、
前記ピストンと前記プッシュロッドとを結合解除するために必要な外部力が、前記ピストンが前記プッシュロッドから結合解除されるように前記プッシュロッドによって前記ピストンに作用される軸線方向力のみであることを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生理的食塩水の高圧噴流は、外傷性創傷、緩性創傷、及び他の組織障害を創面切除するために利用される一方、健常な組織を保護し、治癒過程を促進するために利用される。創傷の創面を切除するシステムは、使い捨てハンドセットに給電するコンソールを含んでいる。ハンドセットは、流体供給配管と、流体を加圧するためのピストン組立体と、高圧流体をハンドセットのハンドピースに供給する高圧出口ホースと、を有しているポンプ組立体を含んでいる。ポンプ組立体は、直線的な往復行程によって給電される。コンソールは、最大600W(0.8HP)の電力及び最大2000lbsを発生させ、ポンプは、流体を最大17300psiまで加圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0125660号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0234380号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0264808号明細書
【特許文献4】国際公報第2008/083278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一の実施態様では、例えば駆動コンソールのプッシュロッドを受容するための、例えば使い捨てポンプシステムの結合システムは、傾斜壁を有している内部チャネルを形成しているハウジングと、内部チャネルの内部に受容されているピストンとを含んでいる。ピストンは、プッシュロッドに係合するために傾斜壁によって作用されるように内部チャネルの内部に配置されている、少なくとも1つの可撓性部材を含んでいる。
【0004】
他の実施態様では、プッシュロッドを受容するための結合システムは、内部チャネルを形成しいているハウジングと、内部チャネルの内部に受容されているピストンとを含んでいる。ピストンは、プッシュロッドに係合するために壁によって作用されるように内部チャネルの内部に配置されている、少なくとも1つの部材を含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これら実施態様及び他の実施態様は、以下の特徴のうち1つ以上の特徴を含んでいる。可撓性部材は外方に付勢されている。多数の可撓性部材は、プッシュロッドに正確に係合するために傾斜壁によって作用されるように、内部チャネルの内部に配置されている。多数の可撓性部材それぞれが外方に付勢されている。内部チャネルは、ピストンが流体を送出するために往復運動する領域を含んでいる。内部チャネルは、ファンネル状とされ、傾斜壁領域と拘束された直径領域とを有している。内部チャネルの内部にピストンを維持する拘束部材が、内部チャネルの内部に突出している。
【0006】
他の実施態様では、プッシュロッドを受容するための結合システムが、内部チャネルを形成しているハウジングと、内部チャネルの内部に受容されているピストンとを含んでいる。
【0007】
当該実施態様及び他の実施態様は、以下の特徴のうち1つ以上の特徴を含んでいる。ピストンは、プッシュロッドと結合及び結合解除するように構成されている、少なくとも1つの部材を含んでいる。プッシュロッドに結合するために必要な外部力は、第1の方向においてピストンに作用する軸線方向力のみである。プッシュロッドとの結合を解除するために必要な外部力は、第1の方向の反対方向である第2の方向においてピストンに作用する軸線方向力のみである。
【0008】
他の実施態様では、方法は、結合システムのピストンがプッシュロッドと接触するように、結合システムを軸線方向において前進させるステップを含んでいる。ピストンは、結合システムのチャネル内部に受容されている。
【0009】
当該実施態様及び他の実施態様は、以下の特徴のうち1つ以上の特徴を含んでいる。チャネルが傾斜壁を有している。当該方法は、傾斜壁がプッシュロッドと係合するように可撓性部材を撓ませるためにピストンの少なくとも1つの可撓性部材に作用するように、結合システムを軸線方向においてさらに前進させるステップを含んでいる。
【0010】
他の実施態様では、方法は、ピストンとプッシュロッドとを結合するステップを含んでいる。結合するために必要な外部力が、ピストンがプッシュロッドと係合するように移動するようにプッシュロッドによってピストンに作用する軸線方向力のみである。
【0011】
当該実施態様及び他の実施態様は、以下の特徴のうち1つ以上の特徴を含んでいる。当該方法は、ピストンとプッシュロッドとの結合を解除するステップを含んでいる。結合解除するために必要な外部力が、ピストンがプッシュロッドと結合解除するようにプッシュロッドによってピストンに作用する軸線方向力のみである。
【0012】
他の実施態様では、流体ポンプは、流入室を形成している流入部分と流出室を形成している流出部分とを有しているハウジングと、流入室内に配置されているボールを含んでいる流入ボール弁と、流出室内に配置されているボールを含んでいる流出ボール弁と、流入部分及び流出部分と流通している内部チャネルを形成しているハウジングと、内部チャネルの内部に配置されているピストンとを備えている。ピストンは、流入部分から内部チャネル内部に、及び内部チャネルから流出部分内部に流体を送出するように構成されている。
【0013】
当該実施態様及び他の実施態様は、以下の特徴のうち1つ以上の特徴を含んでいる。流入室の直径に対する、流入ボール弁に内蔵されているボールの直径の比は、1:1.088とされる。ピストンの行程に対する、流入ボール弁に内蔵されているボールの直径の比は、1:2.160とされる。流入ボール弁に内蔵されているボールの直径に対する、内部チャネルの直径の比は、1:1.1786とされる。内部チャネルを形成しているハウジングの直径に対する、流入室の直径の比は、1:3.857とされる。
【0014】
当該実施態様及び他の実施態様は、以下の特徴のうち1つ以上の特徴を含んでいる。流入ボール弁と流出ボール弁とが、約0.015インチの行程を有している。
【0015】
他の実施態様では、流体ポンプは、傾斜壁を有している内部チャネルを形成しているハウジングと、内部チャネルと流通しているハウジング内に形成された第1の流体室及び第2の流体室と、第1の流体室内に配置されているボールを含んでいる第1のボール弁と、第2の流体室内に配置されているボールを含んでいる第2のボール弁と、ハウジング内部に受容されているピストンとを含んでいる。ピストンが、プッシュロッドと共に移動するためにプッシュロッドに結合するように傾斜壁によって作用されるように構成されている。ピストンが往復運動することによって、流体が、第1の流体室を通じて流入し、第2の流体室を通じて流出する。
【0016】
当該実施態様及び他の実施態様は、以下の特徴のうち1つ以上の特徴を含んでいる。ピストンが、傾斜壁によって作用されると共に外方に付勢されている、複数の部材を備えている。内部チャネルが、ファンネル状とされる。
【0017】
他の実施態様では、ポンプシステムは、回転可能なスリーブを含んでいる共に流体ポンプを受容するインタフェースを含んでいるコンソールであって、往復運動をするプッシュロッドを含んでいるコンソールと、プッシュロッドによって駆動されるように構成されているピストンを有している流体ポンプであって、流体ポンプをコンソールに対してロック及びロック解除するために、回転力が結合機構に作用した場合に回転可能なスリーブを回転させるように構成されている、結合機構を含んでいる流体ポンプとを備えている。
【0018】
当該実施態様及び他の実施態様は、ロック位置において回転可能なスリーブを保持するための磁石を有しているコンソールを含んでいる。
【0019】
本願における1つ以上の実施形態の詳細については、添付図面及び以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴及び実施態様は、発明の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】駆動コンソール及び使い捨てポンプの斜視図である。
図2】駆動コンソールが取り外された状態における、駆動コンソール及び使い捨てポンプの上面図である。
図3図2の断面3−3における、駆動コンソールのインタフェースの端面図である。
図4】使い捨てポンプの側面図である。
図5】開位置における、駆動コンソールのインタフェース及び使い捨てポンプの断面図である。
図5A】閉位置における、駆動コンソールのインタフェース及び使い捨てポンプの断面図である。
図5B】駆動コンソールのインタフェースの回転可能なスリーブの斜視図である。
図5C】駆動コンソールのインタフェースの端面図である。
図6】使い捨てポンプの分解図である。
図7】使い捨てポンプの断面図である。
図8】使い捨てポンプのプッシュロッドを含んでいる駆動コンソールの一部分の断面図である。
図9】使い捨てポンプのピストンが駆動コンソールのプッシュロッドと結合されている状態を表わす。
図10】使い捨てポンプのピストンが駆動コンソールのプッシュロッドと結合されている状態を表わす。
図11】使い捨てポンプのピストンが駆動コンソールのプッシュロッドと結合されている状態を表わす。
図12】使い捨てポンプ内部に収容されているポンプの構成部品の断面図である。
図13】開位置における、駆動コンソールのインタフェースのロック機構を表わす。
図13A】ロック位置における、駆動コンソールのインタフェースのロック機構を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び図2を参照すると、例えば例えば創傷床手術装置のような医療機器への流体の送出を調整するためのポンプシステム10は、駆動コンソール12を含んでいる。特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4に開示されるように、駆動コンソール12は、電気機械式ドライブトレインであり、この電気機械式ドライブトレインは、モータ14と、回路を含んでいる配電盤15と、プッシュロッド18(図8参照)を駆動するためのトランスミッション16とを収容している。これら特許文献はすべて、参照により本願に組み込まれている。ポンプシステム10は、以下においてさらに説明するように、バルブポンプ構成部品を収容している使い捨てポンプ20を含んでいる。使い捨てポンプ20は、プッシュロッド18が、入口配管24から使い捨てポンプ20内部に流体を引き込み、加圧された流体を出口配管26を通じて送出させ、これにより流体を医療機器に運搬するために使い捨てポンプ20のポンプ構成部品に作用するように、駆動コンソール12のインタフェース22と取り外し可能に結合している。
【0022】
図3図5を参照すると、駆動コンソールのインタフェース22が、最も外側の楕円状ボア32が貫通して延在している表面30を有している、ハウジング23を含んでいる。シェルフ33が、楕円状ボア32と円筒状ボア34とが接触する地点(intersection)に形成されるように、楕円状ボア32の後方では、ハウジング23は、楕円状ボア32の長径より大きな直径を有している円筒状ボア34を含んでいる。円筒状ボア34は、ハウジング23に対して相対的に回転可能なスリーブ115を受容しており、スリーブ115の回転を実現するために、ベアリング125を含んでいる。シェルフ38が、楕円状ボア35と楕円状ボア35の長径より小さな直径を有している円筒状ボア37とが接触する地点に形成されるように(図5B及び図5C参照)、スリーブ115は、楕円状ボア35及び円筒状ボア37を形成している。スリーブ115は、さらなる円筒状ボア36を形成している。
【0023】
使い捨てポンプ20は、円筒状インサート部分42と中央カップリング部分44とハンドル46とを備えている、ポンプハウジング40を有している。円筒状インサート部分42は、ハウジング23の円筒状ボア36内部に受容されており、中央カップリング部分44は、使い捨てポンプ20を駆動コンソール12にロックするために、楕円状ボア32,35及び円筒状ボア37の内部に受容されている。中央カップリング部分44は、結合インサート部分42の直径D2より大きな直径D1を有している円筒状部分48を含んでいる。例えば楕円状フランジ50のような結合機構が、円筒状部分48から外方に延在しており、駆動コンソールのインタフェース22の楕円状ボア35内部に受容される大きさとされる。
【0024】
作業者は、使い捨てポンプ20を駆動コンソール12に堅固に取り付けるために、使い捨てポンプ20の楕円状フランジ50がハウジング23の楕円状ボア32を通じてスリーブ115の楕円状ボア35内部に受容されるように位置決めされた状態において、楕円状ボア32を通じて円筒状ボア36内部に円筒状インサート部分42を挿入する。使い捨てポンプが、使い捨てポンプの楕円状フランジ50が駆動コンソールのインタフェースのシェルフ38に当接している位置に挿入された場合には、作業者は、使い捨てポンプのハンドル46を90°回転させることによって、シェルフ33,38の間において楕円状フランジ50をロックする(図5A参照)。スリーブ115は使い捨てポンプ20と共に回転するので、楕円状フランジ50がシェルフ33,38同士の間においてロックされる。作業者は、使い捨てポンプの楕円状フランジ50と楕円状ボア32とを位置合わせするために、ハンドル46を反対方向に回転させ、使い捨てポンプを駆動コンソールから引っ張ることによって、使い捨てポンプ20を駆動コンソール12から解放する。回転可能なスリーブ115をロック位置に保持するための磁石118(図13参照)を含んでいるプレート116が、駆動コンソールのインタフェース22のスリーブ115の裏面に取り付けられている。
【0025】
図5及び図6を参照すると、使い捨てポンプ20は、中央カップリング部分44及び円筒状インサート部分42内部に受容されているボール弁組立体52と、円筒状インサート部分42内部に受容されているプッシュロッド−ピストン結合システム54とを含んでいる。ボール弁組立体52は、入口流路67と入口弁室69とを形成している流入部材66を含んでいる。ボール80は、入口弁室69内部に収納されており、Oリングシール78は、流入部材66の外面に形成された溝71内部に配置されている。弁座70が、入口流路67と入口弁室69とが接続している地点に形成されている。また、ボール弁組立体52が、出口弁室73及び出口流路75を形成している流出部材68を含んでいる。ボール80は、出口弁室73内部に収納されており、Oリングシール78は、流出部材68の外面に形成された溝71内部に配置されている。また、スクリーン82及びスクリーン保持器82aが、出口弁室73内部に配置されている。
【0026】
中央カップリング部分44が、流入部材66及び流出部材68それぞれを受容するボア60,62を形成しており、円筒状インサート部分42は、流入部材66及び流出部材68それぞれを受容するボア60a,62aを形成している。円筒状インサート部材42は、中央カップリング部分44に形成された皿穴77内部に受容されており、ピン84によって中央カップリング部分44に固定されている。使い捨てポンプのハンドル46は、入口流路67と流通しているボア56と、出口流路75と流通しているボア58とを形成している。入口配管24及び出口配管26は、ボア56,58それぞれの内部に受容されている。
【0027】
さらに、円筒状インサート部分42は、流入流路85及び流出流路87と流体室89とを形成している。弁座72が、流出流路87と出口弁室73とが接続している地点に形成されている。さらに以下に説明するように、動作中において、流体は、入口配管24を通じて入口流路67及び弁室69の内部に送出され、入口流路85を通じて流体室89内部に送出される。そして、流体は、流出流路87を通じて弁室73内部に送出された後に、出口流路75を通じて出口配管26に送出される。
【0028】
また、図7を参照すると、プッシュロッド−ピストン結合システム54は、円筒状インサート部分42内部に形成されている内部チャネル94を含んでいる。内部チャネル94は、流体室89を形成している円筒状ボア部分91と、内部チャネル94がファンネル状となるように外側に傾斜している壁を有している傾斜壁部分96とを有している。内部チャネル94は、プッシュロッド18を受容するための開端部99を有している。以下に説明するように、ピストン86が、駆動コンソールのプッシュロッド18に接続している4つの可撓性部材88を含んでおり、円筒状ボア部分91及び傾斜壁部分96の内部に滑動可能に受容されている。また、例えば止め輪のような拘束部材90が、ピストンが円筒状インサート部分42から滑脱することを防止するために内部チャネル94内部に突出しており、傾斜壁部分96内部に配置されている。
【0029】
図8に表わすように、動作中において、ピストン86は使い捨てポンプ20をプッシュロッド18に結合している。モータ14及びトランスミッション16によって、プッシュロッド18が往復運動することができるので、順番に、ピストン86が往復運動し、ポンプ室89に対して流体を導入すること及び送出することができる。図9を参照すると、ピストン86の可撓性部材88は外方に付勢されているので、使い捨てポンプ20を駆動コンソール内部に挿入すること、及び、使い捨てポンプ20を駆動コンソールから取り外すことによって、ピストン86の可撓性部材88は、容易にプッシュロッド18に接続すること、及び、プッシュロッド18から接続解除することができる。使い捨てポンプ20が駆動コンソール内部に挿入されている場合には、プッシュロッド18が開端部99を通じて傾斜壁部分96に入り、最初にピストン86がプッシュロッド18に係合する。使い捨てポンプ20を矢印Aの向きにさらに進めると、プッシュロッド18は、矢印Aの反対向きである共に円筒状ボア部分91に向いている矢印Bの向きにおいて、ピストン86を傾斜壁部分96の下方に押圧する。傾斜壁部分96は、可撓性部材88のフック部材100がプッシュロッド18の溝101内部に受容され、ピストン86をプッシュロッド18に結合するまで、可撓性部材88を圧縮するように作用する(図10参照)。従って、プッシュロッド18とピストン86とを結合するために必要な外部力は、プッシュロッド18が矢印Bの向きにおいてピストン86に作用させる軸線方向力のみである。このようにして、ピストン86は、軸線方向に進んでプッシュロッド18と接触した場合に、最初にプッシュロッド18に係合し、使い捨てポンプ20がさらに軸線方向に進んだ場合には、プッシュロッド18と結合する。使い捨てポンプ20が所定位置でロックされると、ピストン86が、図10に表わす位置と図11に表わす位置との間において往復運動する。
【0030】
プッシュロッド18とピストン86との結合を解除するために、上述のように、使い捨てポンプ20が駆動コンソールから引き抜かれる。使い捨てポンプ20を軸線方向において矢印Bの向きに引き抜くことによって、ピストン86が、矢印Aの方向において傾斜壁部分96に向かって移動する。可撓性部材88が傾斜壁部分96に入った場合には、可撓性部材88は、自身が外方に付勢されていることに起因して外方に撓むので、使い捨てポンプ20が完全に取り外し可能なように、プッシュロッド18が解放される。従って、プッシュロッド18とピストン86との結合を解除するために必要な外部力は、プッシュロッド18が矢印Aの方向においてピストン86に作用させる軸線方向力のみである。
【0031】
動作中において、プッシュロッド18とピストン86とが結合している場合には、図11に表わす位置から図10に表わす位置にピストン86を移動させることによって、流体が入口配管24から流体室89内部に引き込まれる。そして、図11に表わす位置から図10に表わす位置にピストン86を移動させることによって、加圧流体が流体室89から押し出され、出口配管26に送られる。プッシュロッド18がピストン86を往復運動させることによって、流体が連続的に送出される。
【0032】
図12を参照すると、プッシュロッド18が周期的な運動をすることによって、ピストン86が上死点(図11参照)から下死点(図12参照)に移動する場合には、流入室のボール80が弁座70から離隔するように押され、これにより流体が入口配管24からキャビティ89内部に吸入され、流出室のボール80が弁座72と係合するように押される。ピストン86が反対方向に移動した場合には、流入室のボール80が流入室の弁座70と係合するように押され、流入室のボール80が弁座72から離隔するように押され、これにより流体が出口配管26を通じて流出する。
【0033】
使い捨てポンプ20に入った流体の圧力は、駆動コンソールに対する液体供給バッグの高さに依存するが、例えば大気圧から大気圧より2psi高い圧力の範囲とされる。利用者が調整した設定に依存して、使い捨てポンプによって発生し、取り付けられたハンドピースのノズルを通じて伝播される流体の圧力は、例えば1882psi〜15214psiの範囲とされる。
【0034】
ボール弁組立体52の構成部品は、正確な流量及び液圧を得るために選定される。流入室及び流出室のボール80それぞれの直径は、例えば0.125インチ±0.0011インチとされる。ボール80それぞれが、耐摩耗性を有しているステンレス鋼のボールであり、その重量は0.0046オンスである。流入室66及び流出室68はそれぞれ、直径0.063インチ±0.003インチの円環状断面を有している。流入室の弁の行程と流出室の弁の行程とはそれぞれ、0.015インチとされる。流入室の弁座の角度と流出室の弁座の角度とはそれぞれ、118°±2°とされる。室の直径に対するボールの直径の比は、1:1.088とされる。ピストンの行程に対するボールの直径の比は、1:2.160とされる。流入室の直径と内部チャネル94内の空洞との比は、1:2.19とされる。ボールの直径に対する内部チャネルの直径の比は、1:1.1786とされ、ボアの直径に対する流入室の直径の比は、1:3.857とされる。内部チャネル94がその内部に形成されている円筒状インサート部分42の長さは、1.2イントとされ、傾斜壁96を有している内部チャネルの領域の長さは、0.45インチとされる。傾斜壁96の傾斜角は8°とされる。流入部分74及び流出部分76に取り付けられている円筒状インサート部分42の端部は、内部チャネル806内において90°のテーパ状とされ、0.312インチの外径を有している。ハウジング804の外径は、0.358インチ±0.002インチとされる。これら寸法を有している流体ポンプは、0psi〜18000psiの範囲の圧力で動作し、0ml/min.〜400ml/min.の範囲の流量で流体を送出する。
【0035】
他の実施例であっても特許請求の範囲に属する。例えば、使い素手ポンプ20及び駆動コンソール12の断面形状が円環状及び楕円状でなくても、断面形状が四角状、矩形状、又はこれら形状の組み合わせであれば良い。ピストン86が4つの可撓性部材88を含んでいなくても、ピストンが1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の可撓性部材を有していれば良い。
【符号の説明】
【0036】
10 ポンプシステム
12 駆動コンソール
14 モータ
15 配電盤
16 トランスミッション
18 プッシュロッド
20 使い捨てポンプ
22 インタフェース
23 ハウジング
24 入口配管
26 出口配管
32 楕円状ボア
33 シェルフ
34 円筒状ボア
35 楕円状ボア
36 円筒状ボア
37 円筒状ボア
38 シェルフ
40 ポンプハウジング
42 円筒状インサート部分
44 中央カップリング部分
46 ハンドル
48 円筒状部分
50 楕円状フランジ
52 ボール弁組立体
54 プッシュロッド−ピストン結合システム
56 ボア
58 ボア
60 ボア
60a ボア
62 ボア
62a ボア
66 流入部材(流入室)
67 入口流路
68 流出部材(流出室)
69 入口弁室
70 弁座
71 溝
72 弁座
73 出口弁室
74 流入部分
75 出口流路
76 流出部分
78 Oリングシール
80 ボール
82 スクリーン
82a スクリーン保持器
85 流出流路
86 ピストン
87 流出流路
88 可撓性部材
89 流体室
90 拘束部材
91 円筒状ボア部分
94 内部チャネル
96 傾斜壁部分
99 開端部
100 フック部材
101 溝
115 スリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13A