(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792197
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】多段流体制御駆動
(51)【国際特許分類】
B64C 23/00 20060101AFI20150917BHJP
F15D 1/12 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
B64C23/00
F15D1/12
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-551158(P2012-551158)
(86)(22)【出願日】2010年12月17日
(65)【公表番号】特表2013-517992(P2013-517992A)
(43)【公表日】2013年5月20日
(86)【国際出願番号】US2010061145
(87)【国際公開番号】WO2011093957
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2013年11月18日
(31)【優先権主張番号】12/696,529
(32)【優先日】2010年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】クリングマン, ダン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, エドワード アンドリュー
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−103778(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0190165(US,A1)
【文献】
特開平06−147104(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0195526(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0185822(US,A1)
【文献】
特開2000−080984(JP,A)
【文献】
実開昭59−133787(JP,U)
【文献】
特開昭62−276276(JP,A)
【文献】
特表2002−532655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 23/00
B64C 21/00 − 21/08
F04B 9/00 − 15/08
F04B 43/00 − 45/10
F15D 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体駆動システムであって、
少なくとも第1ダイヤフラム(206A)及び第1プレナム(112A)を備え、第1ダイヤフラム(206A)は、第1プレナム(112A)から出口開口部(116)を通って流体を放出する内部駆動機構(202)と、
第2ダイヤフラム(206B)と、第1プレナム(112A)に流体接続される第2プレナム(112B)を取り囲む第3ダイヤフラム(206C)とを備える周辺駆動機構(204)であって、第2ダイヤフラム(206B)及び第3ダイヤフラム(206C)が、流体を第2プレナム(112B)から第1プレナム(112A)に放出し、内部駆動機構(202)に、第1ダイヤフラム(206A)、第2ダイヤフラム(206B)、及び第3ダイヤフラム(206C)が軸に沿って略位置合わせされるように接続される周辺駆動機構(204)とを備え、
第1ダイヤフラム(206A)、第2ダイヤフラム(206B)、及び第3ダイヤフラム(206C)はそれぞれ圧電ディスクを備え、
内部駆動機構(202)は更に、第1ダイヤフラム(206A)を収容するサイズに形成される第1ディスク開口部(214A)を有する第1ディスクプレート(212A)を備え、
周辺駆動機構(204)は更に、第2ダイヤフラム(206B)を収容するサイズに形成される第2ディスク開口部(214B)を有する第2ディスクプレート(212B)と、第3ダイヤフラム(206C)を収容するサイズに形成される第3ディスク開口部(214C)を有する第3ディスクプレート(212C)とを備え、
さらにパネルを備え、前記パネル(205)、内部駆動機構(202)、及び周辺駆動機構(204)は、積層構造に配置されて、第1ディスクプレート(212A)がパネル(205)に当接して、第1プレナム(112A)をパネル(205)の第2面と第1ダイヤフラム(206A)との間に画定し、第2ディスクプレート(212B)が第1ディスクプレート(212A)に当接し、第3ディスクプレート(212C)が第2ディスクプレート(212B)に当接して、第2プレナム(112B)を第2ダイヤフラム(206B)と第3ダイヤフラム(206C)との間に画定し、
更に、第1ディスクプレート(212A)と第2ディスクプレート(212B)との間に、第1圧電ディスク(206A)と第2圧電ディスク(206B)との間の空間が常に周囲雰囲気に暴露されるように設けられた通気部(224)を、有する流体駆動システム。
【請求項2】
流体は空気を含み、出口開口部(116)が航空機の外板の開口部を備えることにより、流体駆動システムは航空機外板の開口部から周囲空気流に空気を放出する、請求項1に記載の流体駆動システム。
【請求項3】
更に、作用対象の流体流に対向する第1面と、内部駆動機構(202)に対向する第2面とを有するパネル(205)を備え、パネル(205)の第2面が、第1プレナムの1つの面を形成しており、パネル(205)が出口開口部(116)を備えることにより、流体が、パネル(205)の第2面に隣接する第1プレナム(112A)からパネル(205)の第1面に至る出口開口部(116)を通って作用対象の流体流に向けて放出される、請求項1または2に記載の流体駆動システム。
【請求項4】
第1ディスクプレート(212A)は更に、流体を第2プレナム(112B)から第1プレナム(112A)に移送するように構成された第1流体移送開口部(216A)を含み、
第2ディスクプレート(212B)は更に、流体を第2プレナム(112B)から第1流体移送開口部に移送する第2流体移送開口部(216B)を備える、
請求項1に記載の流体駆動システム。
【請求項5】
作動流体流を供給する方法であって、
第1プレナム(112A)を、第1ダイヤフラム(206A)を介して交互に圧縮し、膨張させるステップと、
第2プレナム(112B)を、第2ダイヤフラム(206B)及び第3ダイヤフラム(206C)を介して、第1プレナム(112A)の圧縮及び膨張と連動して交互に圧縮し、膨張させるステップと、
流体流を、第2プレナム(112B)と第1プレナム(112A)との間で移送するステップと、
流体を第1プレナム(112A)から出口開口部(116)を通って放出して、作動流体流を供給するステップと
を含み、
第1ダイヤフラム(206A)、第2ダイヤフラム(206B)、及び第3ダイヤフラム(206C)はそれぞれ圧電ディスクを含み、第1プレナム(112A)を交互に圧縮し、膨張させるステップは、電気入力を第1圧電ディスクに供給して、第1圧電ディスクを移動させることにより、第1プレナム(112A)を交互に圧縮し、そして膨張させるステップを含み、第2プレナム(112B)を交互に圧縮し、膨張させるステップは、電気入力を第2及び第3圧電ディスクに供給して、第2及び第3圧電ディスクを移動させることにより、第2プレナム(112B)を交互に圧縮し、そして膨張させるステップを含み、
更に、
第1圧電ディスク(206A)を第1ディスクプレート(212A)の第1のディスク開口部(214A)の内部に取り付けるステップと、
第1ディスクプレート(212A)を出口開口部(116)を有するパネル(205)に接着させて、第1プレナム(212A)を第1圧電ディスクとパネル(205)の出口開口部(116)との間に形成するステップと、
第2圧電ディスク(206B)を第2ディスクプレート(212B)の第2ディスク開口部(214B)の内部に取り付けるステップと、
第2ディスクプレートを第1ディスクプレートに、第1圧電ディスク及び第2圧電ディスクが略位置合わせされるように接着させるステップと、
第3圧電ディスク(206C)を第3ディスクプレート(212C)のディスク開口部(214C)の内部に取り付けるステップと、
第3ディスクプレート(212C)を第2ディスクプレート(212B)に、第2圧電ディスク及び第3圧電ディスク(206C)が略位置合わせされ、かつ第2プレナム(112B)が、第2圧電ディスクと第3圧電ディスクとの間に形成されるように接着させるステップと
を含み、
更に、通気部(224)を、第1ディスクプレート(212A)と第2ディスクプレート(212B)との間に設けて、第1圧電ディスク(206A)と第2圧電ディスク(206B)との間の空間が常に周囲雰囲気に暴露されるステップを含む、方法。
【請求項6】
電気入力を第2(206B)及び第3圧電ディスク(206C)に供給して、第2プレナム(112B)を交互に圧縮し、膨張させるように第2及び第3圧電ディスクを移動させるステップは、電気入力を供給して、第2及び第3圧電ディスクの位相が互いに180度ずれて、各ディスクが同時に第2プレナム(112B)に向かって内側に移動して第2プレナム(112B)を圧縮し、そして第2プレナム(112B)から離れるように外側に移動して第2プレナム(112B)を膨張させるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
流体流を第2プレナム(112B)と第1プレナム(112A)との間で移送するステップは、
位置合わせされた流体移送開口部(216A、216B)を第1(212A)及び第2ディスクプレート(212B)の各ディスクプレート内に設けるステップと、
第2プレナム(112B)からの流出口を、第2ディスクプレートと第3ディスクプレート(212C)との間に設けるステップであって、流出口が、第2プレナム(112B)を、位置合わせされる流体移送開口部に流体接続するステップと、
第1プレナム(112A)への流入口(218)をパネル(205)と第1ディスクプレートとの間に設けるステップであって、流入口が、位置合わせされた流体移送開口部を第1プレナム(112A)に流体接続するステップと
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
更に、
第4圧電ディスク(206D)を第4ディスクプレート(212D)の第4ディスク開口部(214D)の内部に取り付けるステップと、
第5圧電ディスク(206E)を第5ディスクプレート(212E)の第5ディスク開口部(214E)の内部に取り付けるステップと、
第4圧電ディスク及び第5圧電ディスクが略位置合わせされ、かつ第3プレナム(112C)が第4圧電ディスクと第5圧電ディスクとの間に形成されるように、第5ディスクプレートを第4ディスクプレートに接着させるステップと、
第1プレナム(112A)及び第2プレナム(112B)の圧縮及び膨張と連動して、第3プレナムを、第4圧電ディスク及び第5圧電ディスクで、交互に圧縮し、膨張させるステップと、
流体流を、第3プレナムと第1プレナム(112A)との間で移送するステップとを含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
流体制御アクチュエータは、気流または他の流体流の流動特性を制御するために広く使用されている。例えば、航空翼に沿って流れる空気流は、流体制御アクチュエータを使用して操作することにより、航空翼上の流れのはく離位置を変化させることができる。空気流の或る特性を制御するために使用される非常に多くの種類の既存の流体制御アクチュエータがある。多くの用途では、空気流を制御する好適な機構は、シンセティックジェットアクチュエータを使用して、気流または空気パルスを空気流に、制御された速度、周波数、量、及び位置で放出する。シンセティックジェットアクチュエータは多くの場合、圧電ディスクまたは他の機構を使用して交互に、空気をプレナムまたは空気チャンバに吸引し、そして空気をプレナムまたは空気チャンバから周囲空気流に放出する。
【0002】
しかしながら、既存の圧電ディスクの材料特性に限界があるので、周囲空気流に放出される空気の速度は低く制限され、これにより、圧電ディスクを使用するシンセティックジェットアクチュエータの有効性が、操作対象の空気流の速度が速くなるときに抑制されてしまう。詳細には、1つの圧電ディスクまたは2つの対向する圧電ディスクを有する既存のアクチュエータ構造を使用する代表的な圧電シンセティックジェットアクチュエータからの出力速度を速くするためには、制御性能を極めて高めた(very high authority)アクチュエータが必要になる。制御性能を極めて高めたこれらのアクチュエータは、アクチュエータの設置面積を極めて大きくする大型圧電ディスクを必要とする。これらの構成にした場合でも、単一のシンセティックジェットアクチュエータ内の1つ、または2つの圧電ディスクは多くの場合、所望の作動流体特性を実現して周囲空気流を満足の行くように操作するためには十分ではない。
【0003】
これらの考察事項及び他の考察事項を考慮して、本明細書で為される本開示が提示される。
【発明の概要】
【0004】
この概要は、以下の詳細な説明において更に詳細に記載されるコンセプト群の選択部分を簡略化して紹介するために提示されることを理解されたい。この概要は、請求される主題の範囲を限定するために使用されてはならない。
【0005】
本明細書において記載されるコンセプト群及び技術は、高速で流れる周囲流体流を制御するために適する作動流体を生成する多段シンセティックジェットアクチュエータを実現する。本明細書において提供される本開示の1つの態様によれば、流体駆動システムは、内部駆動機構及び周辺駆動機構を含む。内部駆動機構は、第1ダイヤフラム及び第1プレナムを含むのに対し、周辺駆動機構は、第2プレナムを取り囲む第2及び第3ダイヤフラムを含む。これらの2つのプレナムは流体接続されて、これらのダイヤフラムにより生成される作動流体が、これらのプレナムの間を流れ、そして第1プレナムから出口開口部を通って流出することができる。周辺駆動機構は内部駆動機構に、第1、第2、及び第3ダイヤフラムが略位置合わせされるように接続される。
【0006】
別の態様によれば、作動流体流を供給する方法は、第1プレナムを、第1ダイヤフラムを介して交互に圧縮し、膨張させるステップを含む。第2プレナムは、第2ダイヤフラム及び第3ダイヤフラムを介して、第1プレナムの圧縮及び膨張と連動して交互に圧縮し、膨張させる。第2プレナムを交互に圧縮し、膨張させることにより生成される流体流は、第1プレナムに移送され、そして第1プレナムから出口開口部を通って放出される。
【0007】
本開示の更に別の態様によれば、流体駆動システムは、多数の段を含み、これらの段の各段は、プレナムと、そしてプレナムを交互に圧縮し、膨張させる少なくとも1つの圧電ディスクと、を含む。これらの段は、各圧電ディスク及びプレナムが中心軸に沿って位置合わせされた状態で積層構造に配置される。流体通路は、これらのプレナムを接続し、そして出口開口部から、各プレナムの圧縮及び膨張によって生成される作動流体を放出する。
【0008】
説明してきた特徴、機能、及び利点は、本開示の種々の実施形態において個別に実現することができる、または更に他の実施形態において組み合わせることができ、これらの実施形態に関する更なる詳細は、以下の説明及び図面を参照して理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、本明細書において提示される種々の実施形態による作動流体を周囲空気流に供給する流体駆動システムの側面図である。
【
図1B】
図1Bは、本明細書において提示される種々の実施形態による多段シンセティックジェットアクチュエータの模式図を示している。
【
図2】
図2は、本明細書において提示される種々の実施形態による2つの駆動機構を有する流体駆動システムの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本明細書において提示される種々の実施形態による3つの駆動機構を有する流体駆動システムの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の切断線4−4に沿って切断したときのダイヤフラムプレートの断面図であり、この断面図は、本明細書において提示される種々の実施形態による通気機構を示している。
【
図5】
図5は、
図3の切断線5−5に沿って切断したときの通気プレートの断面図であり、この断面図は、本明細書において提示される種々の実施形態による通気機構を示している。
【
図6】
図6は、本明細書において提示される種々の実施形態による多段シンセティックジェットアクチュエータを設ける方法を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、本明細書において提示される種々の実施形態による作動流体流を、多段シンセティックジェットアクチュエータを利用して供給する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、作動流体流を、多段構造を有するシンセティックジェットアクチュエータを利用して供給するシステム及び方法に関する。上に説明したように、従来のシンセティックジェットアクチュエータは、高速空気流を、最小の設置面積を維持しながら満足に操作することができる作動流体を供給することができない。従来のシンセティックジェットアクチュエータは多くの場合、単一の圧電ドライバを利用して、プレナムを圧縮し、そして膨張させ、これにより、プレナム内の空気を穴またはスリットから外部気流に向けて放出して当該外部気流に作用させる。シンセティックジェットアクチュエータによって生成される作動流体の速度を速くするために、2つの圧電ドライバをプレナムの両側に設けることにより、流体出力を大きくすることができる。しかしながら、従来のアクチュエータ構成及び圧電材料特性が与えられる場合に、アクチュエータ設置面積を最小に維持しながら流体出力を更に大きくすることはこれまでは可能ではなかった。
【0011】
本明細書において説明されるコンセプト及び技術を利用すると、多段シンセティックジェットアクチュエータ構成によって、2つよりも多くの圧電ディスクを積層することができ、そしてアクチュエータの出力が、従来のアクチュエータよりも、アクチュエータ設置面積を増やすことなく大幅に大きくなるように連動させることができる。本開示の種々の実施形態は、作動空気流を生成して、周囲空気流に注入することにより、当該周囲空気流の或る形態を制御する方法に関連して説明されることを理解されたい。この実施形態は、航空翼に沿って流れる空気流を制御する方法に関連して有用である。しかしながら、本明細書において提示されるコンセプトは、従来のシンセティックジェットアクチュエータからの流体の出力、または流体の出力速度を大きくすることが望ましい全ての用途に等しく適用することができる。作動流体及び/又は周囲流体は、アクチュエータの特定の用途に応じて、本開示の範囲から逸脱しない範囲で、空気、水、または他の何れかの流体とすることができる。
【0012】
以下の詳細な説明では、詳細な説明の一部を構成し、かつ例示、特定の実施形態または例として示される添付の図面を参照する。同様の参照番号は、同様の構成要素を幾つかの図を通じて表わしている。次に、
図1Aを参照するに、例示的な流体駆動機構100が描かれている。1つの実施形態によれば、流体駆動機構100は、構造104の表面に沿って流れる周囲空気流102を含む。構造104は、航空機、ロケット、ミサイル、または他の輸送手段の外板とすることができる。以下に記載される種々の実施形態による多段シンセティックジェットアクチュエータ106は、構造104の露出表面の下に配置され、そして作動流体108を周囲空気流102に放出し、そして周囲空気流102から取り出すように作用する。
【0013】
図1Bは、多段シンセティックジェットアクチュエータ106の簡易模式図を示すことにより、
図2〜5に関連して以下に詳細に説明されるコンセプトを示している。
図1Bに示すように、多段シンセティックジェットアクチュエータ106は、何れかの数のアクチュエータ段110を含むことができ、これらのアクチュエータ段110は、軸に沿って位置合わせされ、かつ互いの上に積層される。各段110はプレナム112を含み、このプレナム112は、1つ、または2つのダイヤフラム(
図1Bには示されず)を使用して膨張させ、そして収縮させる。これらのプレナム112の膨張及び収縮によって、これらのプレナム112の間を、流体通路114を通って流れ、そして出口開口部116を通って多段シンセティックジェットアクチュエータ106に流入し、そしてシンセティックジェットアクチュエータ106から流出する作動流体108が生成される。複数段110の多段積層構成によって、各段110の作動流体108を集めることができるので、作動流体108を生成することができ、この作動流体108の作動流速は上昇するので、本明細書において記載される実施形態は、高流速用途において有効となり得る。本明細書において記載される多段シンセティックジェットアクチュエータ106のこれらのダイヤフラムはそれぞれ、圧電ディスクであるとして開示されている、またはこれらのダイヤフラムは圧電ディスクによって駆動され、この圧電ディスクは、電気入力に反応して直線振動を発生し、これにより、対応するプレナム112を膨張させ、そして収縮させる。十分大きな振動運動を発生して、対応するダイヤフラム112に適正に作用する他の何れかのダイヤフラムまたは機構を使用しても良い。
ダイヤフラム及び圧電ディスクの用語はお互いに交換可能であるが、圧電ディスクは一つのタイプのダイヤフラムにすぎず、ダイヤフラムの意図された実施例すべてが圧電ディスクであるというわけではないと解釈される。
【0014】
図2は、1つの実施形態による多段シンセティックジェットアクチュエータ106の拡大分解図を示している。この実施形態によれば、多段シンセティックジェットアクチュエータ106は、
図1Bに示す2積層段110を構成する内部駆動機構202及び周辺駆動機構204を含み、これらの機構が、一体的に作用して作動流体108を供給する。内部駆動機構202は
ダイヤフラムまたは圧電ディスク206Aを含み、この圧電ディスク206Aが電気入力に反応して、第1プレナム112Aを圧電ディスク206Aとパネル205との間で圧縮し、膨張させる。パネル205は、構造104自体とすることができる、または何れかの適切な材料から成るプレートとすることができ、このプレートを次に、構造104の内側表面に取り付ける、接着させる、またはそれ以外には、配置することができる。
【0015】
図2及び3に示す実施形態による多段シンセティックジェットアクチュエータ106について説明する場合、これらの構成要素は、概略説明される場合の番号のみの参照記号を使用して説明され、そしてこれらの図に示す特定の構成要素を指すための番号及び文字の組み合わせを使用して説明される。例えば、
図2を参照するに、「圧電ディスク206」は、206A,206B,及び206Cを含む、これらの図における参照番号「206」を有する全ての圧電ディスクを指す。これとは異なり、「圧電ディスク206A」は、内部駆動機構202内に示される特定の圧電ディスク206Aのみを指している。
【0016】
図2から分かるように、圧電ディスク206Aは、ディスクプレート212Aのディスク開口部214Aの内部に取り付けられる。本明細書において記載されるディスクプレート群212は、何れかの適切な材料により製造することができ、そして圧電ディスク206をディスク開口部214の内部に収容するようにサイズ決定され、かつ構成される。ディスクプレート212を隣接するディスクプレート212またはパネル205に接着させることにより、気密シール状態を2つの接着部品の間に形成して、空気または他の注入流体が、以下に説明するように、所望の流体移送部または通気部を除く部品群の間を通り抜ける、または移動するのを防止する。隣接するディスクプレート212を駆動機構内で接着させると、作動流体108の一部を生成するプレナムが形成されるのに対し、ディスクプレート群212を隣接するディスクプレート212の間で接着させると、通気が行なわれて、圧電ディスク群206の効率を最大にすることを理解できるであろう。
【0017】
ディスク開口部214Aによって、圧電ディスク206Aの振動運動を可能にしながら、気密シール状態をディスクプレート212Aとパネル205との間に形成することができる。空気チャンバまたは第1プレナム112Aは、パネル205と圧電ディスク206Aとの間に形成される。第1プレナム112Aは、パネル205に食い込む凹部であるとして図示されているが、ディスクプレート212Aは、圧電ディスク206Aを当該プレート内の凹部に収容して、第1プレナム112Aを形成することができる厚さを有するように構成することができることを理解されたい。作動流体108は、第1プレナム112Aからパネル205の出口開口部116を通って押し出される。出口開口部116は、特性を最適化した作動流体108を放出する所望の寸法及び特性を有するスリットまたは他の何れかの開口部として構成することができる。出口開口部116の正確な特徴だけでなく、多段シンセティックジェットアクチュエータ106の他の構成部品群の正確な寸法及び特徴は、出力される所望の作動流体108に応じて当業者が行なうことができる設計上の選択である。
【0018】
パネル205は、第1プレナム112Aへの流入口218を有するものとして図示されている。流入口218は、周辺駆動機構204から流入する作動流体108の一部が第1プレナム112Aに流入する通路に通じる。第1プレナム112Aの構成について上に説明したように、流入口218は別の構成として、パネル205内に形成するのではなく、ディスクプレート212Aの上面側(図示せず)の窪み部分、または凹部を通るように形成することができる。流体移送開口部216Aは、ディスクプレート212Aを貫通して周辺駆動機構204から内部駆動機構202の流入口218に達する流体通路に通じる。
【0019】
作動流体108の流速を大きくするために、多段シンセティックジェットアクチュエータ106は周辺駆動機構204を含み、この周辺駆動機構204は、内部駆動機構202の上に積層されるアクチュエータの第2段110として構成される。
図3に関連する以下の記載から分かり、そして説明されるように、何れかの数の追加中間駆動機構群を
図2に示す内部駆動機構と周辺駆動機構との間に設けて、作動流体108の速度を更に大きくすることができる。周辺駆動機構204は、ディスクプレート212B及びディスクプレート212Cを含み、これらのプレートは、プレート内にそれぞれ取り付けられる
ダイヤフラムまたは圧電ディスク206B及び206Cを有する。
【0020】
ディスクプレート212Cをディスクプレート212Bに接着させると、第2プレナム112Bを圧電ディスク206Bと圧電ディスク206Cとの間に形成することができる。1つの実施形態によれば、第2プレナム112Bのサイズは、圧電ディスク206B及び/又は206Cのうちの一方、または両方が、それぞれディスクプレート212B及び/又は212C内の凹部に収容されるような量に応じて設定することができる。作動流体108は、第2プレナム112Bから流体移送開口部216Bに流出口220を介して移送される。流出口220は、流入口218と同様に構成することができ、そしてディスクプレート212C内に、または別の構成として、ディスクプレート212B内に形成することができる。流出口220、流体移送開口部216A及び216B、及び流入口218は一体となって、作動流体108の通路に通じることにより、作動流体108を第2プレナム112Bと第1プレナム112Aとの間で移動させることができる。多段シンセティックジェットアクチュエータ106内のこれらのプレナムの間の流体通路の構成は、
図2または3に示す流出口220、流体移送開口部216A及び216B、または流入口218の形状、サイズ、または位置に限定されないことを理解されたい。
【0021】
ディスクプレート212Aをディスクプレート212Bに、内部駆動機構202及び周辺駆動機構204を積層する際に接着させることにより、隣接するディスクプレート212の間の通常の気密シール状態から真空空間及び/又は加圧空間が、圧電ディスク206Aと圧電ディスク206Bとの間に形成される可能性がある。圧電ディスク206A及び206Bは、互いの方に向かって、そして互いから離れる方向に直線振動するので、真空になると、または加圧されると必ず、この運動が妨害され、これによって、多段シンセティックジェットアクチュエータ106の効率または性能が低下してしまう。この問題を防止するために、通気部224をディスクプレート212Aと212Bとの間に設ける。
【0022】
通気部224は、窪みまたは溝をディスクプレート212A内に含み、窪みまたは溝は、圧電ディスク206Aと206Bとの間の空間から外部に向かってこれらのプレートの辺縁にまで延びている。この溝の種々の構成だけでなく、通気部224の別の形態について
図3〜5を参照して以下に示し、そして説明する。通気部224を利用することにより、これらのプレートの間の空間を周囲雰囲気に暴露し、これにより、圧電ディスク206A及び206Bを妨害されることなく作動させることができる。通気部224は別の構成として、図示のディスクプレート212A内に形成する他に、またはディスクプレート212A内に形成するのではなく、ディスクプレート212Bの上面側(図示せず)に形成することができる。圧電ディスク206A及び206Bが互いの方に向かって、そして互いから離れる方向に直線変位するので、そして通気部224が、2つのディスクの間の空間の流出口に通じて、空気が2つのプレートの間を自由に移動することができるので、通気部224への空気流の流入、及び通気部224からの空気流の流出が生じる。図示していないが、本開示により、この通気流を、多段シンセティックジェットアクチュエータ106の他の段110の雄雌嵌合部からの全ての通気流と合流させることができ、そして第2出口開口部に移送して、周囲空気流102に更に作用させることができる構成を想到することができる。
【0023】
動作状態では、1つの実施形態によれば、1つの段110の内部の圧電ディスク群206は、位相が互いに180度ずれる。このように180度ずれるためには、これらのディスクの間のプレナム112の両側を構成する圧電ディスク群206は、同時に内側に向かって移動してプレナム112を圧縮し、そして同時に外側に向かって移動してプレナム112を膨張させる。プレナム112をこのように交互に圧縮し、膨張させると、作動流体108が生成される。これらの振動の周波数は、圧電ディスク群206の特徴、及び/又はこれらのディスクに供給される電気入力に応じて制御することができるので、作動流体108の所望の流動特性を実現することができる。種々の段110の圧電ディスク群206の間の位相差は、これらの段110の間の流体通路の長さによって異なることを理解されたい。
【0024】
次に、
図3を参照しながら、多段シンセティックジェットアクチュエータ106がアクチュエータ機構群から成る3つの段110を含む構成の別の実施形態について説明する。この実施形態によれば、多段シンセティックジェットアクチュエータ106は、
図2に関連して上に説明した内部駆動機構202及び周辺駆動機構204を含む。しかしながら、多段シンセティックジェットアクチュエータ106は更に、内部駆動機構202と周辺駆動機構204との間に配置される中間駆動機構302を含む。この中間駆動機構は、第3段110を多段シンセティックジェットアクチュエータ106に付与し、これによって、作動流体108の流速を更に大きくする。3つの段110しかこれらの図に示していないが、何れの数の中間駆動機構でも駆動機構積層体に付与することができ、作動流体108の特性を必要に応じて更に変更することができることを理解されたい。
【0025】
周辺駆動機構204と同様に、中間駆動機構302は、
ダイヤフラムまたは圧電ディスク206D及び206Eをそれぞれ収容するディスク開口部214D及び214Eを有する2つのディスクプレート212D及び212Eを含む。ディスクプレート212D及び212Eを雄雌嵌合すると、第3プレナム112Cが形成される。流体移送開口部216Dは、作動流体108が、第3プレナム112Cと第1プレナム112Aとの間を移動するための通路に通じるのに対し、流体移送開口部216Eは、第2プレナム112Bからの作動流体108のための通路に通じる。流出口304は、第3プレナム112Cから流体移送開口部216Dに達する通路に通じて、第1プレナム112Aと第3プレナム112Cとの間の開口移送部を完成させる。流入口218及び流出口220について上に説明したように、流入口304は
図3に示す構成に限定されず、そしてディスクプレート212D、212Eに含めることができる、またはディスクプレート212D及び212Eの両方の内部に部分的に含めることができる。
【0026】
図3〜5は更に、多段シンセティックジェットアクチュエータ106のこれらの段110の間の通気部224に対応する2つの別の実施形態を示している。ディスクプレート212Aから分かるように、そして
図2に関連して前に説明したように、通気部224は、隣接する段110に接する何れかのディスクプレート212A(または、両方のディスクプレート)の内部に形成される窪み、または溝とすることができる。
図4は、ディスクプレート212Aの断面図を示すことにより、1つの実施形態による通気溝402を更に詳細に示している。
【0027】
通気部224に対応する第2の実施形態では、中間駆動機構302を周辺駆動機構204から分離するものとして
図3に示される通気プレート312を使用する。通気プレート312は、ディスクプレート群212と同様の個別プレートであるが、対応する圧電ディスク206はプレート内に取り付けられない。通気プレート312は、移送開口部316を含むことにより、作動流体108がこれらの段の間を流れることができるようになっている。通気プレート312は更に、通気開口部314を含むことにより、隣接する圧電ディスク206E及び206Bの移動を妨害しないようにすることができる。
図5に示す通気プレート312の断面図に示すように、通気開口部314から周囲雰囲気に、通気プレート312の両面側の通気溝502を使用して排気される。
【0028】
通気プレート312は別の構成として、単一の通気溝502を通気プレート312の何れかの側に、
図4に示す通気部224と同様に含むことができることを理解されたい。更に、通気プレート312は、隣接する段110に接する一方のディスクプレート212または両方のディスクプレート212に含まれる通気溝402の利用に代わるものであることを理解されたい。例えば、通気プレート312を
図3に示す実施形態において利用するのではなく、ディスクプレート212E及び212Bのうちの何れかが、または両方が、ディスクプレート212Aと同様に通気溝402を含むことができる。同様に、ディスクプレート212Aが図示のように通気溝402を含むのではなく、通気プレート312をディスクプレート212Aと212Dとの間に使用して、内部駆動機構202と中間駆動機構302との間の空間から排気することができる。
【0029】
最後に、更に別の実施形態によれば、隣接する段110の間の隣接するディスクプレート212は、隣接する圧電ディスク206を取り付ける取り付け先のディスクプレート212を1枚しか含まないようにすることができる。例えば、
図4を参照するに、圧電ディスク206Aをディスクプレート212Dに取り付けることにより、ディスクプレート212Aを無くすことができる構成が想到される。この構成にするために、ディスク開口部214Dから排気して、圧力が圧電ディスク206Aと206Dとの間に全く発生しないようにする。
【0030】
次に、
図6を参照して、多段シンセティックジェットアクチュエータ106を設ける例示的なルーチン600について詳細に説明する。
図6及び7に関連して本明細書において記載される論理操作は、(1)コンピューティングシステム上で実行される一連のコンピュータ操作またはプログラムモジュールとして、そして/または(2)コンピューティングシステム内の相互接続機械論理回路群または回路モジュール群として行なうことができることを理解されたい。当該実施形態は、コンピューティングシステムの性能及び他の要部構成によって異なる選択事項である。従って、本明細書において記載されるこれらの論理操作は、state operations(状態操作)、structural devices(構造デバイス)、acts(作用)、またはmodules(モジュール)と種々表記される。これらの操作、構造デバイス、作用、及びモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、特殊用途デジタルロジック、及びこれらの何れかの組み合わせで実現することができる。また、これらの図に示され、そして本明細書において記載される数よりも多くの数の、または少ない数の操作を行なうことができることを理解されたい。これらの操作はまた、本明細書において記載される順番とは異なる順番で行なうことができる。
【0031】
ルーチン600は操作602から始まり、操作602では、ディスクプレート群212を、ディスク開口部214を設けて作製する。操作604では、圧電ディスク群206を、これらのディスクプレート212の対応するディスク開口部214の内部に取り付ける。流体通路114を操作606において設けることにより、種々のプレナム112を流体接続する。上に説明したように、これらの流体通路114は、流体移送開口部216だけでなく、流入口218と、そして2段アクチュエータの流出口220、及び3段アクチュエータの流出口220及び304のような各段110に対応する流出口と、を含むことができる。操作606から、ルーチン600は操作608に進み、操作608では、通気手段を多段シンセティックジェットアクチュエータ106の複数の段110の間に設ける。例えば、通気溝群402を複数の段110の間の隣接するディスクプレート212のうちの一方または両方において使用することができる、または通気プレート群312を複数の段110の間に使用することができる。操作610では、ディスクプレート群212を接着させて合体させることにより、各段110のアクチュエータ機構群に対応するプレナム112を形成する。ルーチン600は操作612に進み、操作612では、各段を表わすこれらの駆動機構を積層し、そして接着させて合体させることにより、多段シンセティックジェットアクチュエータ106を完成させ、そしてルーチン600が終了する。
【0032】
次に、
図7を参照して、作動流体108を、多段シンセティックジェットアクチュエータ106を利用して供給する例示的なルーチン700について詳細に説明する。ルーチン700は操作702から始まり、操作702では、電気入力を圧電ディスク群206に供給する。電気入力に応答して、操作704において、圧電ディスク群206が振動して、多段シンセティックジェットアクチュエータ106の各段110のプレナム群112を交互に圧縮し、膨張させる。上に説明したように、単一段の内部の対向する圧電ディスク206は、位相が互いに180度ずれて振動することにより、プレナム112をこれらのディスクの間で同時に、かつ交互に圧縮し、膨張させる。これらのプレナム112を圧縮し、膨張させると、作動流体108が生成され、この作動流体108は、操作706において、これらのプレナムの間を、流体通路114を通って移送される。操作708では、作動流体108を第1プレナム112Aから周囲空気流102に出口開口部116を通って放出し、そしてルーチン700が終了する。
【0033】
これまでの説明から、多段シンセティックジェットアクチュエータを設ける技術が、本明細書において開示されていることを理解されたい。添付の請求項において規定される本発明は、本明細書において記載される特定の特徴、構成、作用、または媒体に必ずしも限定されないことを理解されたい。限定されるのではなく、特定の特徴、構成、作用、及び媒体は、請求項を実施する例示的な形態として開示される。
【0034】
上に説明した主題は、例示として与えられ、限定的に解釈されるべきではない。種々の変形及び変更は、本明細書において記載される主題に、例示され、かつ説明される例示的な実施形態及びアプリケーションに従うことなく、かつ以下の請求項に記載される本開示の真の思想及び範囲から逸脱しない範囲で加えることができる。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
流体駆動システムであって、
少なくとも第1ダイヤフラム及び第1プレナムを備え、第1ダイヤフラムは、第1プレナムから出口開口部を通って流体を放出する内部駆動機構と、
第2ダイヤフラムと、第1プレナムに流体接続される第2プレナムを取り囲む第3ダイヤフラムとを備える周辺駆動機構であって、第2ダイヤフラム及び第3ダイヤフラムが、流体を第2プレナムから第1プレナムに放出し、内部駆動機構に、第1ダイヤフラム、第2ダイヤフラム、及び第3ダイヤフラムが軸に沿って略位置合わせされるように接続される周辺駆動機構と
を備える流体駆動システム。
(態様2)
第1ダイヤフラム、第2ダイヤフラム、及び第3ダイヤフラムはそれぞれ圧電ディスクを備える、態様1に記載の流体駆動システム。
(態様3)
流体は空気を含み、出口開口部が航空機外板の開口部を備えることにより、流体駆動システムは航空機外板の開口部から周囲空気流に空気を放出する、態様2に記載の流体駆動システム。
(態様4)
更に、作用対象の流体流に対向する第1面と、内部駆動機構に対向する第2面とを有するパネルを備え、パネルの第2面が、第1プレナムの1つの面を形成しており、パネルが出口開口部を備えることにより、流体が、パネルの第2面に隣接する第1プレナムからパネルの第1面に至る出口開口部を通って作用対象の流体流に向けて放出される、態様1に記載の流体駆動システム。
(態様5)
内部駆動機構は更に、第1ダイヤフラムを収容するサイズに形成される第1ダイヤフラム開口部を有する第1ダイヤフラムプレートを備え、
周辺駆動機構は更に、第2ダイヤフラムを収容するサイズに形成される第2ダイヤフラム開口部を有する第2ダイヤフラムプレートと、第3ダイヤフラムを収容するサイズに形成される第3ダイヤフラム開口部を有する第3ダイヤフラムプレートとを備え、
パネル、内部駆動機構、及び周辺駆動機構は、積層構造に配置されて、第1ダイヤフラムプレートがパネルに当接して、第1プレナムをパネルの第2面と第1ダイヤフラムとの間に画定し、第2ダイヤフラムプレートが第1ダイヤフラムプレートに当接し、第3ダイヤフラムプレートが第2ダイヤフラムプレートに当接して、第2プレナムを第2ダイヤフラムと第3ダイヤフラムとの間に画定する、態様4に記載の流体駆動システム。
(態様6)
第1ダイヤフラムプレートは更に、流体を第2プレナムから第1プレナムに移送する第1流体移送開口部を含み、
第2ダイヤフラムプレートは更に、流体を第2プレナムから第1流体移送開口部に移送する第2流体移送開口部を備える、
態様5に記載の流体駆動システム。
(態様7)
更に、内部駆動機構と周辺駆動機構との間に配置される中間駆動機構を備え、中間駆動機構は、第4ダイヤフラムと、第1プレナムに流体接続される第3プレナムを取り囲む第5ダイヤフラムとを備え、第4ダイヤフラム及び第5ダイヤフラムは流体を第3プレナムから第1プレナムに向けて放出する、態様1に記載の流体駆動システム。
(態様8)
更に、内部駆動機構と中間駆動機構との間に配置される第1通気部と、中間駆動機構と周辺駆動機構との間に配置される第2通気部とを備え、第1及び第2通気部の各通気部は、隣接するダイヤフラムの間の空間を常に減圧する、態様7に記載の流体駆動システム。
(態様9)
第1及び第2通気部のうちの少なくとも1つの通気部は、隣接するダイヤフラムプレートに当接し、かつダイヤフラム開口部を有する通気プレートを備え、ダイヤフラム開口部は、隣接するダイヤフラムの間の空間を周囲雰囲気に暴露する、態様8に記載の流体駆動システム。
(態様10)
作動流体流を供給する方法であって、
第1プレナムを、第1ダイヤフラムを介して交互に圧縮し、膨張させるステップと、
第2プレナムを、第2ダイヤフラム及び第3ダイヤフラムを介して、第1プレナムの圧縮及び膨張と連動して交互に圧縮し、膨張させるステップと、
流体流を、第2プレナムと第1プレナムとの間で移送するステップと、
流体を第1プレナムから出口開口部を通って放出して、作動流体流を供給するステップと
を含む方法。
(態様11)
第1ダイヤフラム、第2ダイヤフラム、及び第3ダイヤフラムはそれぞれ圧電ディスクを含み、第1プレナムを交互に圧縮し、膨張させるステップは、電気入力を第1圧電ディスクに供給して、第1圧電ディスクを移動させることにより、第1プレナムを交互に圧縮し、そして膨張させるステップを含み、第2プレナムを交互に圧縮し、膨張させるステップは、電気入力を第2及び第3圧電ディスクに供給して、第2及び第3圧電ディスクを移動させることにより、第2プレナムを交互に圧縮し、そして膨張させるステップを含む、態様10に記載の方法。
(態様12)
電気入力を第2及び第3圧電ディスクに供給して、第2及び第3圧電ディスクを移動させることにより、第2プレナムを交互に圧縮し、膨張させるステップは、電気入力を供給して、第2及び第3圧電ディスクの位相が互いに180度ずれて、各ディスクが同時に第2プレナムに向かって内側に移動して第2プレナムを圧縮し、そして第2プレナムから離れるように外側に移動して第2プレナムを膨張させるステップを含む、態様11に記載の方法。
(態様13)
更に、
第1圧電ディスクを第1ディスクプレートのディスク開口部の内部に取り付けるステップと、
第1ディスクプレートを出口開口部を有するパネルに接着させて、第1プレナムを第1圧電ディスクとパネルの出口開口部との間に形成するステップと、
第2圧電ディスクを第2ディスクプレートのディスク開口部の内部に取り付けるステップと、
第2ディスクプレートを第1ディスクプレートに、第1圧電ディスク及び第2圧電ディスクが略位置合わせされるように接着させるステップと、
第3圧電ディスクを第3ディスクプレートのディスク開口部の内部に取り付けるステップと、
第3ディスクプレートを第2ディスクプレートに、第2圧電ディスク及び第3圧電ディスクが略位置合わせされ、かつ第2プレナムが、第2圧電ディスクと第3圧電ディスクとの間に形成されるように接着させるステップと
を含む、態様11に記載の方法。
(態様14)
流体流を第2プレナムと第1プレナムとの間で移送するステップは、
位置合わせされる流体移送開口部を第1及び第2ディスクプレートの各ディスクプレート内に設けるステップと、
第2プレナムからの流出口を、第2圧電ディスクプレートと第3圧電ディスクプレートとの間に設けるステップであって、流出口が、第2プレナムを、位置合わせされる流体移送開口部に流体接続するステップと、
第1プレナムへの流入口をパネルと第1ディスクプレートとの間に設けるステップであって、流入口が、位置合わせされる流体移送開口部を第1プレナムに流体接続するステップと
を含む、態様13に記載の方法。
(態様15)
更に、通気部を、第1ディスクプレートと第2ディスクプレートとの間に設けて、第1圧電ディスクと第2圧電ディスクとの間の空間が常に周囲雰囲気に暴露されるステップを含む、態様13に記載の方法。
(態様16)
更に、
第4圧電ディスクを第4ディスクプレートのディスク開口部の内部に取り付けるステップと、
第4ディスクプレートを第3ディスクプレートに接着させるステップと、
第5圧電ディスクを第5ディスクプレートのディスク開口部の内部に取り付けるステップと、
第4圧電ディスク及び第5圧電ディスクが略位置合わせされ、かつ第3プレナムが第4圧電ディスクと第5圧電ディスクとの間に形成されるように、第5ディスクプレートを第4ディスクプレートに接着させるステップと、
第1プレナム及び第2プレナムの圧縮及び膨張と連動して、第3プレナムを、第4圧電ディスク及び第5圧電ディスクで、交互に圧縮し、膨張させるステップと、
流体流を、第3プレナムと第1プレナムとの間で移送するステップと
を含む、態様13に記載の方法。
(態様17)
流体駆動システムであって、
複数の段を備え、各段は、
プレナムと、
プレナムを交互に圧縮し、膨張させる少なくとも1つの圧電ディスクと
を備え、
複数の段は、各圧電ディスク及びプレナムが中心軸に沿って位置合わせされた状態で積層構造に配置され、流体駆動システムは更に、
各プレナムを流体接続する流体通路と、
各プレナムの圧縮及び膨張によって生成される作動流体を放出する出口開口部と
を備える、流体駆動システム。
(態様18)
複数の段は、第1プレナム及び第1圧電ディスクを有する第1段と、第2圧電ディスク及び第3圧電ディスクによって、これらのディスクの対向する面で画定される第2プレナムを有する第2段とを備え、出口開口部は、第1プレナム内に配置される、態様17に記載の流体駆動システム。
(態様19)
更に、複数の段の各段の間に配置される通気部を備え、通気部は、隣接する段の間の空間を周囲雰囲気に暴露する、態様17に記載の流体駆動システム。
(態様20)
流体駆動システムは、航空翼の内部に配置されて、作動流体が、航空翼に沿って流れる周囲空気流に向けて放出される、態様17に記載の流体駆動システム。