特許第5792216号(P5792216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792216
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 45/02 20060101AFI20150917BHJP
   F16H 48/10 20120101ALI20150917BHJP
   F16F 15/30 20060101ALI20150917BHJP
   F16F 15/134 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   F16H45/02 Y
   F16H48/10
   F16F15/30 Z
   F16F15/134 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-50700(P2013-50700)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-177956(P2014-177956A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2014年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(72)【発明者】
【氏名】村上 守
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−196122(JP,A)
【文献】 特開2011−214635(JP,A)
【文献】 特開平07−208547(JP,A)
【文献】 特開2008−163977(JP,A)
【文献】 特開2012−167754(JP,A)
【文献】 特開2007−320494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 45/02
F16F 15/134
F16F 15/30
F16H 48/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置であって、
前記エンジンに接続される第1入力要素と、前記エンジンに接続される第2入力要素と、前記変速機に接続される出力要素と、を備える差動機構と、
前記エンジンと前記第1入力要素との間に設けられる第1弾性部材と、
前記第1弾性部材と前記第1入力要素との間に設けられる慣性質量体と、
前記変速機と前記出力要素との間に設けられる第2弾性部材と、
を有し、
前記第1弾性部材および前記第2弾性部材はバネ部材であり、前記第2弾性部材のバネ定数は前記第1弾性部材のバネ定数以下に設定される、ダンパ装置。
【請求項2】
請求項1記載のダンパ装置において、
前記差動機構はトルクコンバータ内に収容される、ダンパ装置。
【請求項3】
請求項記載のダンパ装置において、
前記トルクコンバータは、前記エンジンに接続されるポンプインペラと、前記ポンプインペラに対向するタービンランナと、を備え、
前記第2弾性部材は、前記出力要素と前記タービンランナとの間に設けられる、ダンパ装置。
【請求項4】
請求項または記載のダンパ装置において、
前記エンジンと前記第1弾性部材との間にロックアップクラッチが設けられる、ダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから変速機に伝達される捩り振動を低減するため、エンジンと変速機との間にはダンパ装置が設けられている。このようなダンパ装置として、スプリングを介して連結される2つのフライホイールを備えたダンパ装置が提案されている(特許文献1参照)。このように、スプリングを介して2つのフライホイールを連結することにより、エンジンの捩り振動を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/66680号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ダンパ装置においては、ダンパ装置を構成する各部材の質量やバネ定数を調整することにより、エンジン回転数の常用領域からダンパ装置の共振点(固有振動数)を外すように設計される。しかしながら、ダンパ装置の質量やバネ定数を調整するだけでは、低回転域から高回転域までの幅広い領域からダンパ装置の共振点を外すことは困難であった。このため、従来のダンパ装置を用いた場合には、幅広い領域においてエンジンの捩り振動を抑制することが困難となっていた。
【0005】
本発明の目的は、幅広い領域でエンジンの捩り振動を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のダンパ装置は、エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置であって、前記エンジンに接続される第1入力要素と、前記エンジンに接続される第2入力要素と、前記変速機に接続される出力要素と、を備える差動機構と、前記エンジンと前記第1入力要素との間に設けられる第1弾性部材と、前記第1弾性部材と前記第1入力要素との間に設けられる慣性質量体と、前記変速機と前記出力要素との間に設けられる第2弾性部材と、を有し、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材はバネ部材であり、前記第2弾性部材のバネ定数は前記第1弾性部材のバネ定数以下に設定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、変速機と出力要素との間に第2弾性部材を設けたので、質量増加を招く要因となる差動機構を備えたダンパ装置であっても、振動系の質量増加を抑制して共振点を使用領域外に引き下げることが可能となる。これにより、幅広い領域においてエンジンの捩り振動を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両に搭載されるパワーユニットを示す概略図である。
図2】ダンパ装置の構造モデルを示す説明図である。
図3】ダンパ装置を介してエンジンから変速機に伝達されるエンジントルクの伝達状況を示す説明図である。
図4】(a)および(b)は比較例としてのダンパ装置の構造モデルを示す説明図である。
図5】ダンパ装置の減衰特性を示す比較図である。
図6】ダンパ装置の減衰特性を示す比較図である。
図7】ダンパ装置の減衰特性を示す比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は車両に搭載されるパワーユニット10を示す概略図である。図1に示されるパワーユニット10には本発明の一実施の形態であるダンパ装置11が組み付けられている。図1に示すように、パワーユニット10は、内燃機関であるエンジン12と、これにダンパ装置11を介して接続される変速機13とを有している。このように、エンジン12と変速機13との間にはダンパ装置11が設けられており、このダンパ装置11を用いてエンジン12の加振力に起因する捩り振動を減衰させている。なお、エンジン12の捩り振動とは、エンジン12のクランク軸14に作用する燃焼加振力や不平衡慣性力等に起因するトルク変動を意味している。また、変速機13には、図示しないディファレンシャル装置等を介して駆動輪15が接続されている。
【0010】
エンジン12と変速機13との間にはトルクコンバータ20が設けられており、トルクコンバータ20内にはダンパ装置11が収容されている。トルクコンバータ20は、クランク軸14に連結されるフロントカバー21と、フロントカバー21に固定されるポンプシェル22とを備えている。また、トルクコンバータ20は、ポンプシェル22に固定されるポンプインペラ23と、ポンプインペラ23に対向するタービンランナ24とを備えている。タービンランナ24にはタービンハブ25が連結されており、タービンハブ25にはタービン軸26が連結されている。このタービン軸26には変速入力軸27を介して変速機13が接続されている。また、トルクコンバータ20には、締結状態と解放状態とに切り換えられるロックアップクラッチ28が設けられている。ロックアップクラッチ28を解放状態に切り換えることにより、フロントカバー21とタービン軸26とはトルクコンバータ20を介して連結された状態となる。一方、ロックアップクラッチ28を締結状態に切り換えることにより、フロントカバー21とタービン軸26とはダンパ装置11を介して連結された状態となる。すなわち、ロックアップクラッチ28を解放することにより、エンジン12と変速機13とはトルクコンバータ20を介して連結される一方、ロックアップクラッチ28を締結することにより、エンジン12と変速機13とはダンパ装置11を介して連結されることになる。
【0011】
ダンパ装置11は、遊星歯車列によって構成される差動機構30を備えている。差動機構30は、フロントカバー21にロックアップクラッチ28および第1スプリング(第1弾性部材,バネ部材)31介して接続されるリングギヤ(第1入力要素)Rを有している。すなわち、エンジン12のクランク軸14にはリングギヤRが接続されており、クランク軸14とリングギヤRとの間には第1スプリング31が設けられている。第1スプリング31とリングギヤRとの間には、所定の質量を備えるイナーシャ部材(慣性質量体)32が設けられている。また、差動機構30は、クランク軸14に接続されるサンギヤ(第2入力要素)Sと、リングギヤRおよびサンギヤSに噛み合うピニオンギヤPと、ピニオンギヤPを回転自在に支持するキャリア(出力要素)Cとを備えている。キャリアCとタービンハブ25との間には、第2スプリング(第2弾性部材,バネ部材)33が設けられている。第2スプリング33のバネ定数は、第1スプリング31のバネ定数以下に設定されている。
【0012】
図2はダンパ装置11の構造モデルを示す説明図である。なお、図2にはロックアップクラッチ28を締結した状態での構造モデルが示されている。図2において、エンジン側質量体40とは、エンジン12側に連結される回転質量体を意味しており、エンジン側質量体40は、クランク軸14、フロントカバー21およびポンプシェル22等によって構成される。また、トルコン側質量体41とは、トルクコンバータ20の出力側に連結される回転質量体を意味しており、トルコン側質量体41は、タービンランナ24、タービンハブ25およびタービン軸26等によって構成される。また、ミッション側質量体42とは、変速入力軸27に連結される回転質量体を意味しており、ミッション側質量体42は、変速機13内の図示しない回転軸やギヤ等によって構成される。さらに、図3はダンパ装置11を介してエンジン12から変速機13に伝達されるエンジントルクの伝達状況を示す説明図である。
【0013】
図2に示すように、差動機構30には、エンジントルクを入力する2つの入力経路43,44と、エンジントルクを出力する1つの出力経路45とが設けられている。すなわち、差動機構30には、第1スプリング31を介してリングギヤRにエンジントルクを入力する第1入力経路43が設けられており、サンギヤSにエンジントルクを入力する第2入力経路44が設けられている。このように、第1入力経路43に第1スプリング31が設けられるため、エンジン12の捩り振動に応じて第1スプリング31を伸縮させることができ、リングギヤRとサンギヤSとを相対的に回転させることが可能となる。また、差動機構30には、キャリアCから第2スプリング33を介してエンジントルクを出力する出力経路45が設けられている。このように、出力経路45には第2スプリング33が設けられることから、後述するように、トルコン側質量体41からなる振動系50の共振点(固有振動数)が低周波数領域側に引き下げられている。
【0014】
図3に示すように、差動機構30に2つの入力経路43,44が接続されることから、差動機構30には双方の入力経路43,44からエンジントルクT1,T2が入力される。そして、エンジントルクT1,T2は、差動機構30において合成された後に、キャリアCおよび出力経路45を経て変速機13に出力される。ここで、第1入力経路43には、第1スプリング31およびイナーシャ部材32からなる振動系51が設けられている。このため、第1入力経路43を経て伝達されるエンジントルクT1の捩り振動と、第2入力経路44を経て伝達されるエンジントルクT2の捩り振動とでは、捩り振動の位相にずれが生じることになる。すなわち、振動系51の共振点を下回る周波数領域においては、サンギヤSとリングギヤRとが同位相で振動することから、差動機構30において合成された捩り振動は増幅される。一方、振動系51の共振点を上回る周波数領域においては、サンギヤSとリングギヤRとが逆位相で振動することから、差動機構30において合成された捩り振動は減衰される。なお、エンジントルクT2とこれの捩り振動を打ち消すためのエンジントルクT1との分配比は、リングギヤRおよびサンギヤSの歯数に基づき設定される。
【0015】
以下、比較例として挙げるダンパ装置100,200の減衰特性について説明した後に、本発明の一実施の形態であるダンパ装置11の減衰特性について説明する。ここで、図4(a)および(b)は比較例としてのダンパ装置100,200の構造モデルを示す説明図である。なお、図4(a)および(b)において図3に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図5はダンパ装置100,200の減衰特性を示す比較図であり、図6はダンパ装置11,200の減衰特性を示す比較図であり、図7はダンパ装置11,100,200の減衰特性を示す比較図である。図5図7において、横軸は捩り振動の振動数つまり周波数を示しており、縦軸は捩り振動の振動加速度レベルである駆動系感度を示している。なお、図5および図7において、破線で表される特性線Laは、ダンパ装置100によって得られる減衰特性を示している。また、図5図6および図7において、一点鎖線で表される特性線Lbは、ダンパ装置200によって得られる減衰特性を示している。さらに、図6および図7において、実線で表される特性線Lcは、ダンパ装置11によって得られる減衰特性を示している。
【0016】
図4(a)に示すように、ダンパ装置100においては、エンジン側質量体40とトルコン側質量体41とが1つの入力経路101を介して接続され、この入力経路101にはスプリング102が組み込まれている。このダンパ装置100においては、スプリング102のバネ定数を小さく設定して振動系103の共振点を低下させることにより、図5に符号Aで示すように、エンジン使用領域に相当する周波数領域から振動系103の共振点を外している。なお、図5図7に示されるエンジン使用領域とは、エンジン12のアイドリング回転数に対応する下限周波数F1と、許容されるエンジン回転数の上限値に対応する上限周波数F2とによって区画される周波数領域である。
【0017】
図4(b)に示すように、ダンパ装置200は、エンジン側質量体40とトルコン側質量体41との間に差動機構30を備えている。差動機構30は、エンジン側質量体40に第1スプリング31およびイナーシャ部材32を介して接続されるリングギヤRと、エンジン側質量体40に接続されるサンギヤSとを有している。また、差動機構30は、トルコン側質量体41に直結されるキャリアCを有している。すなわち、ダンパ装置200は、ダンパ装置11の出力経路45から第2スプリング33を省いた構造となっている。ダンパ装置200は、差動機構30に接続される2つの入力経路43,44を備えるとともに、第1入力経路43に設けられる振動系51を備えている。これにより、図5に符号B1で示すように、振動系51の共振点を上回る周波数領域においては、サンギヤSとリングギヤRとが逆位相で振動することから、前述したダンパ装置100の減衰性能を超えて捩り振動を大きく減衰させることが可能となる。しかしながら、ダンパ装置200においては、トルコン側質量体41に対して差動機構30やイナーシャ部材32が連結される構造となっている。すなわち、トルコン側質量体41、差動機構30およびイナーシャ部材32等からなる振動系201においては、その質量が増大することから、図5に符号B2で示すように、振動系201の共振点がエンジン使用領域内に低下した状態となっている。
【0018】
前述したように、ダンパ装置200においては、差動機構30やイナーシャ部材32等を組み込むことで、図5に符号B1で示すように、良好な減衰特性を有している。しかしながら、差動機構30等の組み込みに伴って振動系50の質量が増加することから、図5に符号B2で示すように、エンジン使用領域内で捩り振動が増幅されていた。そこで、本発明の一実施の形態であるダンパ装置11においては、エンジン使用領域における捩り振動の増幅を抑制するため、図2に示すように、キャリアCとトルコン側質量体41との間に第2スプリング33を設けている。以下、第2スプリング33によって得られる効果について説明する。
【0019】
図2に示すように、出力経路45に第2スプリング33を設けることにより、トルコン側質量体41等によって構成される振動系50から差動機構30およびイナーシャ部材32を切り離すことが可能となる。すなわち、トルコン側質量体41および第2スプリング33等からなる振動系50に関し、その振動系50の共振点に影響を与える質量を軽くすることができる。これにより、図6に矢印αおよび符号C1で示すように、振動系50の共振点がエンジン使用領域から外れるように、共振点を高周波数領域に引き上げることが可能となる。また、第1スプリング31以下のバネ定数を備える第2スプリング33を出力経路45に設けることにより、図6に矢印βおよび符号C2で示すように、第2スプリング33、差動機構30およびイナーシャ部材32等からなる振動系52の共振点を引き下げることが可能となる。つまり、振動系52に軟らかな第2スプリング33を追加することにより、振動系52の共振点がエンジン12の使用領域外となるように、共振点を低周波数領域に引き下げることが可能となる。
【0020】
これまで説明したように、変速機13とキャリアCとの間に第2スプリング33を設けることにより、エンジン使用領域に現れていたダンパ装置200の共振点B2を、図6に矢印α,βで示すように、高周波数領域側の共振点C1と低周波数領域側の共振点C2とに分けることが可能となる。このようにダンパ装置11を用いることにより、図7に特性線La〜Lcで示すように、エンジン使用領域において、ダンパ装置100,200よりも捩り振動の共振を抑制することができ、振動や騒音を抑えて車両品質を向上させることが可能となる。また、エンジン12の捩り振動を抑制することにより、低車速走行時のこもり音を抑制することができるため、低車速領域からロックアップクラッチ28を締結することができ、車両の燃費性能を向上させることが可能となる。また、エンジン12の捩り振動を抑制することができるため、変速機13に作用する負荷を軽減することができ、変速機13の耐久性を向上させることが可能となる。また、エンジン12の捩り振動を抑制することができるため、エンジン12の気筒数を削減したり、エンジン回転数の使用領域を下げたりすることができ、車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
【0021】
前述の説明では、トルクコンバータ20内にダンパ装置11が収容されている。このように、作動油が供給されるトルクコンバータ20内にダンパ装置11を収容することにより、ダンパ装置11を構成する差動機構30を良好に潤滑することが可能となる。しかしながら、ダンパ装置11の設置箇所としては、トルクコンバータ20内に限られることはなく、ダンパ装置11をトルクコンバータ20とは別個に設置しても良い。また、ダンパ装置11が搭載される車両としては、トルクコンバータ20を備えた車両に限られることはなく、トルクコンバータ20を持たない車両であってもダンパ装置11を有効に適用することが可能である。
【0022】
前述の説明では、第2スプリング33のバネ定数を第1スプリング31のバネ定数以下に設定しているが、これに限られることはない。例えば、差動機構30やイナーシャ部材32等の質量を調整することにより、図6に符号C2で示すように、エンジン使用領域から外れるように振動系52の共振点を引き下げることが可能であれば、第2スプリング33のバネ定数が第1スプリング31のバネ定数よりも大きく設定されていても良い。
【0023】
前述の説明では、リングギヤRを第1入力要素として機能させ、サンギヤSを第2入力要素として機能させているが、これに限られることはない。例えば、サンギヤSまたはキャリアCを第1入力要素として機能させても良く、リングギヤRまたはキャリアCを第2入力要素として機能させても良い。また、キャリアCを出力要素として機能させているが、これに限られることはなく、リングギヤRまたはサンギヤSを出力要素として機能させても良い。
【0024】
前述の説明では、単純遊星歯車列によって差動機構30を構成しているが、これに限られることはなく、複数の単純遊星歯車列を連結した複合遊星歯車列によって差動機構30を構成しても良い。また、前述の説明では、1つのピニオンギヤPを備えた遊星歯車列によって差動機構30を構成しているが、これに限られることはなく、複数のピニオンギヤからなる複合ピニオンギヤを備えた遊星歯車列によって差動機構30を構成しても良い。また、前述の説明では、遊星歯車列によって差動機構30を構成しているが、これに限られることはなく、傘歯車等を用いて差動機構30を構成しても良い。
【0025】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、弾性部材としてスプリング31,33を挙げているが、これに限られることはなく、弾性部材としてゴム部材を採用しても良い。また、変速機13は、手動変速機や無段変速機であっても良く、遊星歯車式や平行軸式の自動変速機であっても良い。さらに、エンジン12は、ガソリンエンジンに限られることはなく、ディーゼルエンジン等であっても良い。
【符号の説明】
【0026】
11 ダンパ装置
12 エンジン
13 変速機
20 トルクコンバータ
23 ポンプインペラ
24 タービンランナ
28 ロックアップクラッチ
30 差動機構
31 第1スプリング(第1弾性部材,バネ部材)
32 イナーシャ部材(慣性質量体)
33 第2スプリング(第2弾性部材,バネ部材)
R リングギヤ(第1入力要素)
S サンギヤ(第2入力要素)
C キャリア(出力要素)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7