(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両用灯具の多機能化が図られており、灯具ユニットは大型化や搭載数増加の傾向にある。一方で、車両用灯具には小型化の要求もある。すなわち、灯具ユニットの大型化や搭載数増加と、この灯具ユニットを搭載する車両用灯具の小型化との両立が求められている。これに対し、上述した従来の車両用灯具には、灯具ユニットの大型化や搭載数増加と、車両用灯具の小型化との両立を図る上で改善の余地があった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、灯具ユニットの大型化や搭載数増加と、車両用灯具の小型化との両立を図るための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、灯具正面から見て鉛直方向長さが水平方向長さよりも長い第1投影レンズを有し、ロービーム用配光パターンを形成するための第1灯具ユニットと、灯具正面から見て水平方向長さが鉛直方向長さよりも長い第2投影レンズを有し、ロービーム用配光パターンを形成するための第2灯具ユニットと、を備える。前記第1灯具ユニット及び前記第2灯具ユニットは、前記第1投影レンズの一端と前記第2投影レンズの一端とが隣接するように配置される。
【0007】
この態様によれば、従来の車両用灯具に比べて灯具ユニットの設置により発生するデッドスペースを小さくすることができる。そのため、灯具ユニットの大型化や搭載数増加と、車両用灯具の小型化との両立を図ることができる。
【0008】
上記態様において、前記第1投影レンズは、灯具正面から見て前記鉛直方向長さが前記第2投影レンズの前記鉛直方向長さよりも長く、前記第2投影レンズは、灯具正面から見て前記水平方向長さが前記第1投影レンズの前記水平方向長さよりも長くてもよい。これによれば、灯具ユニットの配置自由度の向上を図ることができる。また、上記いずれかの態様において、前記第1灯具ユニットは、前記ロービーム用配光パターンの一部を構成する第1パターンを形成し、前記第2灯具ユニットは、前記ロービーム用配光パターンの他の一部を構成し、前記第1パターンよりも拡散した形状を有する第2パターンを形成してもよい。これによれば、各灯具ユニットにおける光源光の利用効率を高めることができる。
【0009】
上記いずれかの態様において、前記第1灯具ユニット及び前記第2灯具ユニットは、前記第1投影レンズと前記第2投影レンズとで略L字形状となるように配置されてもよい。これによれば、デッドスペースをより縮小することができる。また、上記態様において、灯具正面から見て第1灯具ユニットと水平方向に並び、且つ第2灯具ユニットと鉛直方向に並ぶように配置される第3灯具ユニットをさらに備えてもよい。これによれば、車両用灯具の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、灯具ユニットの大型化や搭載数増加と、車両用灯具の小型化との両立を図るための技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
まず、実施の形態を具体的に説明する前に、基礎となった知見を説明する。灯具ユニットの大型化や搭載数増加と、この灯具ユニットを搭載する車両用灯具の小型化との両立を図るためには、車両用灯具の灯室内に灯具ユニットの大型化や複数設置を許容するスペースを捻出することが考えられる。そして、このようなスペースを捻出する方法としては、既存の灯具ユニットの設置により発生する、他の灯具ユニットやその他の部材の設置に利用し難いデッドスペースを小さくすることが考えられる。これに対し、本発明者らは鋭意検討した結果、上述した従来の車両用灯具では第1ユニットの各サブユニットが正面から見て略真円形状の投影レンズを備えていたため、デッドスペースを小さくする上で改善の余地があることを見出し、本実施の形態に係る車両用灯具を完成させるに至った。
【0014】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具の概略構造を示す正面図である。
図2は、
図1のA−A線に沿った断面図である。
図3は、
図1のB−B線に沿った断面図である。
図4は、
図1のC−C線に沿った断面図である。
図3では第3灯具ユニット60の図示を、
図4では第2灯具ユニット40の図示をそれぞれ省略している。また、本実施の形態に係る車両用灯具1は、車両前方の左右に配置される一対の前照灯ユニットを有する車両用前照灯装置である。一対の前照灯ユニットは左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、
図1には車両用灯具1として一方の前照灯ユニットの構造を示す。
【0015】
図1〜
図4に示すように、車両用灯具1は、車両前方側に開口部を有するランプボディ2と、ランプボディ2の開口部を覆うように取り付けられた透光カバー4とを備える。透光カバー4は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成されている。ランプボディ2と透光カバー4とにより形成される灯室3内には、3つの前照灯サブユニット10a,10b,10cが収容されている。前照灯サブユニット10a〜10cはそれぞれ、第1灯具ユニット20、第2灯具ユニット40及び第3灯具ユニット60を有する。前照灯サブユニット10a〜10cのそれぞれが有する第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60の構造は、形成する配光パターンの形状の違いにともなってリフレクタの反射面や投影レンズの形状等が若干異なる点を除いて、実質的に同一である。そのため、以下では前照灯サブユニット10aが有する第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60を例にとって、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60の構造について詳細に説明する。
【0016】
灯室3内において、第1灯具ユニット20、第2灯具ユニット40及び第3灯具ユニット60はそれぞれ、ブラケット6により支持されている。ブラケット6は、略平板状であり、その主表面が灯具前後方向を向くように配置されている。ブラケット6の背面の上部には、ジョイント受け部8が灯具後方に突出するように設けられており、ランプボディ2の壁面から灯具前方に延出するシャフト12がジョイント受け部8に連結されている。シャフト12の先端にはボールジョイント用球部12aが形成され、ジョイント受け部8にはボールジョイント用球部12aの形状に沿った球形空間が形成されている。ジョイント受け部8とシャフト12は、ボールジョイント用球部12aがジョイント受け部8の球形空間に収容されることで連結される。
【0017】
ブラケット6の下部には螺孔が設けられており、灯具前後方向に延在するスクリュー14がこの螺孔に螺合している。スクリュー14の灯具後方側の先端は、ランプボディ2の壁面に支持されたアクチュエータ16に接続されている。車両用灯具1は、スクリュー14及びアクチュエータ16により、ボールジョイント用球部12a及びジョイント受け部8の連結部を支点として、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60の光軸を上下左右に調整可能である。第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60のブラケット6は互いに分離しており、各灯具ユニットの光軸は独立に調整可能である。なお、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60の支持構造は特にこれに限定されない。
【0018】
図2に示すように、第1灯具ユニット20は、反射型の灯具ユニットであり、第1光源搭載部22と、第1光源24と、第1リフレクタ26と、第1シェード部材28と、第1投影レンズ30とを有する。第1光源搭載部22は、ブラケット6の灯具前方側の主表面から灯具前方に突出しており、その上面に第1光源24が搭載されている。本実施の形態では、第1光源搭載部22とブラケット6とは一体成形されている。第1光源24は、例えば白色発光ダイオード(白色LED)であり、発光素子と、これを支持する基板とを有する。基板は、セラミックなどで形成された熱伝導性絶縁基板である。基板には、発光素子に電力を伝達する電極(図示せず)が形成されている。
【0019】
第1リフレクタ26は、略ドーム状であり、第1光源24を覆うようにして第1光源搭載部22に固定されている。第1リフレクタ26は、反射面26aが内側に形成されている。反射面26aは、回転楕円面の一部で構成された反射面であり、焦点F1aと、焦点F1aよりも灯具前方側に位置する焦点F1bとを有する。第1シェード部材28は、略水平に配置された平面部28aと、平面部28aよりも灯具前方で下方に凹状に湾曲した湾曲部28bとを有する。第1リフレクタ26は、反射面26aの焦点F1aが第1光源24の近傍に位置し、焦点F1bが第1シェード部材28の平面部28aと湾曲部28bとが為す稜線28cの近傍に位置するように配置されている。
【0020】
第1投影レンズ30は、前方側表面及び後方側表面が凸面である両凸レンズで構成されている。第1投影レンズ30は、その後方焦点を含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。第1投影レンズ30は、後方焦点が焦点F1bと重なるように配置され、第1シェード部材28の先端に固定されている。
【0021】
第1灯具ユニット20は、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットである。第1シェード部材28の稜線28cは、第1灯具ユニット20により形成される配光パターンが有するカットオフラインに対応した形状を有する。第1光源24から照射された光は、反射面26aにより焦点F1bに向けて反射され、その一部が第1シェード部材28により選択的にカットされて、残りが第1投影レンズ30に入射する。第1投影レンズ30に入射した光は、第1投影レンズ30から灯具前方に照射される。
【0022】
図3に示すように、第2灯具ユニット40は、反射型の灯具ユニットであり、第2光源搭載部42と、第2光源44と、第2リフレクタ46と、第2シェード部材48と、第2投影レンズ50とを有する。第2光源搭載部42は、ブラケット6の灯具前方側の主表面から灯具前方に突出しており、その上面に第2光源44が搭載されている。本実施の形態では、第2光源搭載部42とブラケット6とは一体成形されている。第2光源44は、第1光源24と同様の構成を備える。
【0023】
第2リフレクタ46は、略ドーム状であり、第2光源44を覆うようにして第2光源搭載部42に固定されている。第2リフレクタ46は、反射面46aが内側に形成されている。反射面46aは、回転楕円面の一部で構成された反射面であり、焦点F2aと、焦点F2aよりも灯具前方側に位置する焦点F2bとを有する。第2シェード部材48は、略水平に配置された平面部48aと、平面部48aよりも灯具前方で下方に凹状に湾曲した湾曲部48bとを有する。第2リフレクタ46は、反射面46aの焦点F2aが第2光源44の近傍に位置し、焦点F2bが第2シェード部材48の平面部48aと湾曲部48bとが為す稜線48cの近傍に位置するように配置されている。
【0024】
第2投影レンズ50は、前方側表面及び後方側表面が凸面である両凸レンズで構成されている。第2投影レンズ50は、その後方焦点を含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。第2投影レンズ50は、後方焦点が焦点F2bと重なるように配置され、第2シェード部材48の先端に固定されている。
【0025】
第2灯具ユニット40は、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットである。第2シェード部材48の稜線48cは、第2灯具ユニット40により形成される配光パターンが有するカットオフラインに対応した形状を有する。第2光源44から照射された光は、反射面46aにより焦点F2bに向けて反射され、その一部が第2シェード部材48により選択的にカットされて、残りが第2投影レンズ50に入射する。第2投影レンズ50に入射した光は、第2投影レンズ50から灯具前方に照射される。
【0026】
図4に示すように、第3灯具ユニット60は、直射型の灯具ユニットであり、第3光源搭載部62と、第3光源64と、レンズホルダ部68と、第3投影レンズ70とを有する。第3光源搭載部62は、ブラケット6の灯具前方側の主表面から灯具前方に突出しており、その灯具前方側を向く面に第3光源64が搭載されている。本実施の形態では、第3光源搭載部62とブラケット6とは一体成形されている。第3光源64は、第1光源24と同様の構成を備える。
【0027】
レンズホルダ部68は、第3光源搭載部62から灯具前方に向かって突出している。本実施の形態では、レンズホルダ部68と第3光源搭載部62とは一体成形されている。レンズホルダ部68の先端には、第3投影レンズ70が固定されている。第3投影レンズ70は、前方側表面及び後方側表面が凸面である両凸レンズで構成されている。第3投影レンズ70は、その後方焦点を含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。第3投影レンズ70は、後方焦点F3が第3光源64の近傍に位置するように配置されている。
【0028】
第3灯具ユニット60は、ハイビーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットである。第3光源64から照射された光は、直接第3投影レンズ70に入射する。第3投影レンズ70に入射した光は、第3投影レンズ70から灯具前方に照射される。なお、第3灯具ユニット60は、他の配光パターンを形成するものであってもよい。
【0029】
続いて、各灯具ユニットの投影レンズの形状及び配置について詳細に説明する。
図5は、実施の形態に係る車両用灯具における前照灯サブユニットの概略構造を示す正面図である。上述のように、前照灯サブユニット10a〜10cの構造は実質的に同一であるため、以下では前照灯サブユニット10aを例にとって各灯具ユニットの投影レンズの形状及び配置について説明する。
【0030】
第1灯具ユニット20の第1投影レンズ30は、灯具正面から見て略四角形状であり、鉛直方向長さLv1すなわち高さ寸法が、水平方向長さLh1すなわち幅寸法よりも長い(Lv1>Lh1)。また、第2灯具ユニット40の第2投影レンズ50は、灯具正面から見て略四角形状であり、水平方向長さLh2が鉛直方向長さLv2よりも長い(Lh2>Lv2)。そして、第1灯具ユニット20及び第2灯具ユニット40は、第1投影レンズ30の一端と第2投影レンズ50の一端とが隣接するように配置されている。
【0031】
あるいは、第1投影レンズ30は、第1方向の寸法D1と、当該第1方向と直交する第2方向の寸法D2とについて、第1方向の寸法D1が第2方向の寸法D2よりも大きい、細長い形状を有する。同様に、第2投影レンズ50は、第3方向の寸法D3と、当該第3方向と直交する第4方向の寸法D4とについて、第3方向の寸法D3が第4方向の寸法D4よりも大きい、細長い形状を有する。そして、第1投影レンズ30及び第2投影レンズ50は、第1方向と第3方向とが交わるように姿勢が定められて、両者の一端同士が隣接するように配置されている。例えば、第1方向は、第1投影レンズ30における最長の辺30cに対して平行な方向であり、第3方向は、第2投影レンズ50における最長の辺50cに対して平行な方向である。
【0032】
このように、第1投影レンズ30を縦長の形状とし、第2投影レンズ50を横長の形状とするとともに、両者の一端を隣接させることで、灯具正面から見て略真円形状の投影レンズを有する灯具ユニットを複数配列する場合に比べて、デッドスペースを小さくすることができる。また、灯具ユニットの配置自由度を高めることができる。また、ロービーム用配光パターンを形成するための2つの灯具ユニットの一体感を高めて、連続する1つの発光体に見せることができる。また、車両用灯具1の意匠を斬新なものとすることができる。
【0033】
また、本実施の形態では、第1投影レンズ30は、灯具正面から見て鉛直方向長さLv1が第2投影レンズ50の鉛直方向長さLv2よりも長い(Lv1>Lv2)。また、第2投影レンズ50は、灯具正面から見て水平方向長さLh2が第1投影レンズ30の水平方向長さLh1よりも長い(Lh2>Lh1)。これにより、灯具ユニットの設置自由度を高めることができる。また、デットスペースの縮小に寄与し得る。さらに、第1灯具ユニット20及び第2灯具ユニット40は、第1投影レンズ30と第2投影レンズ50とで略L字形状となるように配置されている。これにより、デッドスペースをより縮小することができる。また、灯具ユニットの配置自由度の向上に寄与し得る。
【0034】
そして、第3灯具ユニット60は、灯具正面から見て第1灯具ユニット20と水平方向に並び、且つ第2灯具ユニット40と鉛直方向に並ぶように配置されている。すなわち、第1投影レンズ30よりも第2投影レンズ50の延在方向側に位置し、且つ第2投影レンズ50よりも第1投影レンズ30の延在方向側に位置する空間に、第3灯具ユニット60が配置されている。このように、第1投影レンズ30及び第2投影レンズ50で囲まれた空間に第3灯具ユニット60の少なくとも一部が収容されるように配置することで、前照灯サブユニット10a〜10cを小型化することができ、ひいては車両用灯具1を小型化することができる。なお、本実施の形態では、第1投影レンズ30の他端(第2投影レンズ50に隣接する側とは反対側の端部)の辺30aの延長線と、第2投影レンズ50の他端(第1投影レンズ30に隣接する側とは反対側の端部)の辺50aの延長線とで囲まれる空間内に、第3投影レンズ70全体が収まっている。そのため、前照灯サブユニット10a〜10cの設置に要するスペースをより小さくすることができる。
【0035】
また、第3灯具ユニット60の第3投影レンズ70は、略四角形状であり、第1投影レンズ30に隣接する第1の辺70aは、第1投影レンズ30の第3灯具ユニット60に隣接する辺30bに対して平行に延び、第2投影レンズ50に隣接する第2の辺70bは、第2投影レンズ50の第3灯具ユニット60に隣接する辺50bに対して平行に延びている。さらに、第1の辺70aに対向する第3の辺70cは、第2投影レンズ50の辺50aの延長線に対して平行に延び、第2の辺70bに対向する第4の辺70dは、第1投影レンズ30の辺30aの延長線に対して平行に延びている。これにより、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60の一体感を高めることができる。また、車両用灯具1の意匠を斬新なものとすることができる。
【0036】
続いて、車両用灯具1により形成される配光パターンについて説明する。
図6(A)は、第1灯具ユニット及び第2灯具ユニットが形成する配光パターンを説明するための模式図である。
図6(B)は、第3灯具ユニットが形成する配光パターンを説明するための模式図である。なお、
図6(A)及び
図6(B)では、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンを示している。
【0037】
図6(A)に示すように、第1灯具ユニット20は、ロービーム用配光パターンLoの一部を構成する第1パターンPaを形成する。また、第2灯具ユニット40は、ロービーム用配光パターンLoの他の一部を構成する第2パターンPbを形成する。第1パターンPaは、第2パターンPbよりも集光した形状を有し、第2パターンPbは、第1パターンPaよりも略水平方向に光が拡散した形状を有する。本実施の形態では、第2パターンPbは、鉛直方向についても第1パターンPaよりも拡散した形状を有する。第1パターンPaが第2パターンPbの中心領域に重畳されて、ロービーム用配光パターンLoが形成される。ロービーム用配光パターンLoの形状は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0038】
車両用灯具1は、縦長の第1投影レンズ30を有する第1灯具ユニット20により集光パターンを形成し、横長の第2投影レンズ50を有する第2灯具ユニット40により略水平方向に延在する拡散パターンを形成している。すなわち、各投影レンズの形状に適した形状の配光パターンを形成しているため、各光源から照射される光の利用効率を高めることができる。
【0039】
また、本実施の形態では、前照灯サブユニット10aの第1灯具ユニット20によって第1パターンPa1が形成され、前照灯サブユニット10bの第1灯具ユニット20によって第1パターンPa1よりも拡散した第1パターンPa2が形成され、前照灯サブユニット10cの第1灯具ユニット20によって第1パターンPa2よりも拡散した第1パターンPa3が形成される。また、前照灯サブユニット10aの第2灯具ユニット40によって第2パターンPb1が形成され、前照灯サブユニット10bの第2灯具ユニット40によって第2パターンPb1よりも拡散した第2パターンPb2が形成され、前照灯サブユニット10cの第2灯具ユニット40によって第2パターンPb2よりも拡散した第2パターンPb3が形成される。したがって、本実施の形態では、6つの異なる配光パターンが合成されてロービーム用配光パターンLoが形成される。なお、各第1パターンにおける形状の違い、及び各第2パターンにおける形状の違いは、反射面26a,46a、稜線28c,48c、第1投影レンズ30、第2投影レンズ50等の形状を調整することで実現することができ、その方法は公知であるため詳細な説明は省略する。
【0040】
図6(B)に示すように、第3灯具ユニット60は、ハイビーム用配光パターンHiを形成する。ハイビーム用配光パターンHiは、ロービーム用配光パターンLoに付加的に形成される。ハイビーム用配光パターンHiの形状は公知であるため、その詳細な説明は省略する。本実施の形態では、前照灯サブユニット10aの第3灯具ユニット60によって第1ハイビーム用配光パターンHi1が形成され、前照灯サブユニット10bの第3灯具ユニット60によって第1ハイビーム用配光パターンHi1よりも拡散した第2ハイビーム用配光パターンHi2が形成され、前照灯サブユニット10cの第3灯具ユニット60によって第2ハイビーム用配光パターンHi2よりも拡散した第3ハイビーム用配光パターンHi3が形成される。したがって、本実施の形態では、3つの異なる配光パターンが合成されてハイビーム用配光パターンHiが形成される。なお、第1ハイビーム用配光パターンHi1〜第3ハイビーム用配光パターンHi3における形状の違いは、第3投影レンズ70等の形状を調整することで実現することができ、その方法は公知であるためその詳細な説明は省略する。
【0041】
このように、複数の前照灯サブユニット10a〜10cそれぞれの第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60が形成する配光パターンを異ならせることで、車両用灯具1が形成可能な配光パターンの形状や照度分布の自由度を向上させることができる。なお、各前照灯ユニットの第1灯具ユニット20は、同一形状の配光パターンを形成してもよい。第2灯具ユニット40及び第3灯具ユニット60についても同様である。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具1は、灯具正面から見て鉛直方向長さが水平方向長さよりも長い第1投影レンズ30と、灯具正面から見て水平方向長さが鉛直方向長さよりも長い第2投影レンズ50とを有する。そして、第1投影レンズ30及び第2投影レンズ50は、第1投影レンズ30の一端と第2投影レンズ50の一端とが隣接するように配置されている。これにより、灯具正面から見て略真円形状の投影レンズを備える従来の車両用灯具に比べて、灯具ユニットの設置により発生するデッドスペースを小さくすることができる。その結果、車両用灯具1の灯室3内に灯具ユニットの大型化や複数設置を許容するスペースを生み出すことができるため、灯具ユニットの大型化や搭載数増加と車両用灯具の小型化との両立を図ることができる。また、車両用灯具の見栄えを斬新なものとすることができ、車両用灯具の意匠性を高めることができる。
【0043】
第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60は、いわゆるプロジェクタ光学系である。そのため、いわゆるパラボラ光学系に比べて光利用率を高めることができる。これにより、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60を、灯具正面から見て細長い形状にし易くすることができる。また、第1投影レンズ30、第2投影レンズ50及び第3投影レンズ70は、両凸レンズである。そのため、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸レンズを各投影レンズに採用する場合に比べて、前方側表面の突出を抑えることができる。その結果、隣接する灯具ユニット同士の一体感をより高めることができる。
【0044】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることが可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態に変形が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0045】
第1光源24、第2光源44及び第3光源64は、白熱灯や放電灯等のLED以外の光源であってもよい。また、車両用灯具1は、3つの前照灯サブユニット10a〜10cを有するが、前照灯サブユニットの数は特に限定されず、1つ又は2つの前照灯サブユニットが設けられてもよいし、4つ以上の前照灯サブユニットが設けられてもよい。また、3つの前照灯サブユニット10a〜10cは、略水平方向に配列されているが、その配置は特に限定されず、例えば3つの前照灯サブユニット10a〜10cが略鉛直方向に配列されてもよいし、任意の多角形の頂点位置に重なるように配置されてもよい。第1灯具ユニット20及び第2灯具ユニット40は直射型の灯具ユニットであってもよく、第3灯具ユニット60は反射型の灯具ユニットであってもよい。