(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
架設された幹線を挟持するための厚板状で対を成す第1,第2のコネクタ部と、前記第1,第2のコネクタ部を重ね合せたものを貫通して挿設されるボルトと、このボルトの頭部側でかつ前記ボルトの軸部の中心軸に対して直交する方向に穿設される分岐線挿通用孔と、前記ボルトの端部に螺設されて前記第1,第2のコネクタ部による前記幹線の締め付け状態,並びに,前記ボルトと前記第1のコネクタ部による分岐線の締め付け状態を調節可能にするナットと、を有してなる連結具を保持するための間接活線作業用工具であって、
前記ボルトの前記頭部が配される側の前記第1のコネクタ部の鉛直上下方向を挟持して前記連結具を保定する絶縁性を有する挟持部と、
前記幹線の上面に接触して前記幹線を支持する第1の支持アームと、
前記幹線の下面に接触して前記幹線を支持する第2の支持アームと、
前記挟持部における上挟持部材及び下挟持部材を相互に近接又は離反する方向に相対的に変位駆動させる駆動部と、
前記駆動部に共用操作棒を連結させる椀状連結部と、を有し、
前記挟持部により前記第1のコネクタ部を挟持した場合に、前記第1の支持アーム及び前記第2の支持アームにより支持される領域の前記幹線は直線状であることを特徴とする間接活線作業用工具。
【背景技術】
【0002】
まず、本願発明の保持対象である連結具及び従来技術に係るその支持具(連結具支持具)、並びに、それらの使用方法について
図8,9を参照しながら説明する。
図8は従来技術に係る連結具支持具により連結具を保持した状態を示す正面図であり、
図9は従来技術に係る連結具支持具により連結具を保持しながら連結具の取り外し作業を行う際の様子を示す概念図である。
本願発明の保持対象である連結具14は、幹線22の所望位置において分岐線23を固定するためのものである。また、
図8,9にはその正面側から見た状態しか示されていないが、本願発明の保持対象である連結具14は主に、幹線22を挟持する厚板状で対を成す第1,第2のコネクタ部15,16(
図8,9には第2のコネクタ部16のみを表示、第1のコネクタ部15については後段に示す
図3,4を参照)と、この第1,第2のコネクタ部15,16を重ね合せたものを貫通して挿設されるボルト18と、このボルト18の軸部18bの端部に螺設されるナット19とにより構成されるものである。なお、ボルト18をナット19で固定する際には、必要に応じてワッシャー21や座金20(後段における
図3,4を参照)を用いてもよい。
また、
図8,9には示されていないが、本願発明の保持対象である連結具14では、そのボルト18の軸部18bの頭部側に、この軸部18bの軸方向に対して直交して穿設される分岐線挿通用孔18c(後段における
図3,4を参照)を備えており、この分岐線挿通用孔18cに絶縁カバーを剥離した分岐線23の端部を挿通して、ボルト18の軸部18bの端部をナット19で締め付けることで、ボルト18の頭部18aにより分岐線23を第1のコネクタ部15の外側面上に押し付けて固定する構造になっている。
つまり、連結具14ではボルト18に螺設されるナット19の締め付け状態を調整することで、第1,第2のコネクタ部15,16により挟持される幹線22の締め付け状態、並びに、ボルト18と第1のコネクタ部15とによる分岐線23の締め付け状態を同時に調整できる。
さらに、このような連結具14は、第1,第2のコネクタ部15,16が離散してしまわないようにその下端部にリング17が設けられており、このリング17を利用して連結具14を固定するのが一般的であった。
【0003】
より具体的には、
図8,9に示すような従来技術に係る連結具保持具24を使用して連結具14を保持していた。
この連結具保持具24は、
図8,9に示すように、連結具14のリング17を収容する溝部26を備えたソケット25内に、リング17を挟持するための挟持部材27を備えており、この挟持部材27は、ソケット25をその軸線周りに回動させた際にその回動量に応じて軸線周りに回動するよう構成され、溝部26内に嵌合して収容されるリング17を捩ってリング17並びにそれに連なる第1のコネクタ部15,第2のコネクタ部16を保定することができる。
このような連結具保持具24では、ソケット25並びにリング17をその軸線周りに際限なく回動させることができるので、ソケット25の回動量が大きすぎるとリング17に大きな負荷がかかり、容易にリング17が破損してしまっていた。この場合、連結具14の取り外し作業をスムースに行うことができないだけでなく、新たなリング17の取付け作業を行わなくてはならず作業性を向上し難かった(課題1)。
【0004】
また、従来技術に係る連結具保持具24を使用して連結具14を保持する場合の別の課題としては以下に示すようなものがあった。
図9に示すように、連結具保持具24により連結具14を固定して連結具14の取り外し作業を行う場合は、連結具保持具24の鉛直下方側端部に設けられる菊座アダプタ28に共用操作棒に着脱可能に取設される角度アダプタ29を接続して間接的に連結具保持具24を保持して作業を行っていた。そして、連結具保持具24により保持される連結具14のナット19を、他の間接活線工具に取設されるラチェット(図示せず)を用いて緩める場合は、
図9中に破線で示すように、ラチェットによりナット19に作用するトルクの反作用により、連結具14の左手方向に伸長する幹線22は鉛直上方に跳ね上がるように、また、連結具14の右手方向に伸長する幹線22は鉛直下方に引き下げられるように、連結具14の左右両端部において屈曲してしまっていた。この場合、
図9中の符号P,Qで示す、連結具14と干渉する部分の幹線22が損傷する恐れがあった(課題2)。
このような不具合の発生を防止するためには、連結具14のナット19を緩める作業を行う際に、連結具14の左右方向に伸長する幹線22を、ストレーリンクトングにより固定してやる必要があった。より具体的には、
図9中の符号B,Cで示す箇所の幹線22をストレーリンクトングにより固定しておく必要があった。
通常、間接活線作業は、高所作業車のバケットに乗り込んだ2名の作業員により行われる。そして、従来技術に係る連結具保持具24を使用する場合は、例えば、2名の作業員のうちの1名がストレーリンクトング1本と、角度アダプタ29を操作し、他の1名が他のストレーリンクトング1本と、連結具14のナット19を回動させるためのラチェットを備えた間接活線工具を操作する必要があった。この場合、連結具14のナット19はかなりきつく締めつけられているため、ラチェットを備えた間接活線工具を片手で操作してナット19を緩めることは容易ではなかった。
【0005】
上述のような課題1に対処することを目的とする先行技術としては以下に示すような特許文献1−3が開示されている。
また、本願発明と同様に解決すべき課題として課題1,2の両者を想定して発明されたものは現時点では発見されていないが、課題1,2の両者に対応可能であると考えられる先行技術としては以下に示すような特許文献4−6が開示されている。以下に、それぞれの先行技術文献について説明する。
【0006】
特許文献1には「間接活線作業用工具」という名称で、架設された幹線と、この幹線から電路を分岐する分岐線とを接続する連結具を保持するための間接活線作業用工具に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、本願発明と同じ出願人によるものであり、上述の課題1に対処できると考えられる。
【0007】
特許文献2には「間接活線作業用工具及び間接活線作業用先端工具」という名称で、架設された幹線と該幹線から電路を分岐する分岐線とを連結する連結具を対象に、該連結具を保持する間接活線作業用工具及び間接活線作業用先端工具に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明も本願発明と同じ出願人によるものである。
特許文献2に開示される発明も特許文献1に開示される発明の場合と同様に、上述の課題1に対処できると考えられる。
【0008】
特許文献3には「T型コネクタ用取付工具」という名称で、活線状態の配電線にT型コネクタを介して分岐線を接続する際、そのT型コネクタを保持することのできる、ホットスティック工法に好適なT型コネクタ用取付工具に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示される発明は、T型コネクタ(上述の
図8,9における連結具14に相当)の設置時に使用するものであるため、T型コネクタを取り外す際にも使用できると考えられる。
特許文献3に開示される発明も特許文献1,2に開示される発明の場合と同様に、上述の課題1に対処できると考えられる。
【0009】
特許文献4には「電線絶縁保護管の端末固定具」という名称で、架設電線に被着した電線絶縁保護管の端末を高所作業車等を使用して、電線等に直接手を触れずに固定させる電線絶縁保護管の端末固定具の改良に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示される発明は、本件発明とは異なる目的で使用されるものであるが、電線(幹線)を挟持して保持できる構成を備えているので、電線に代えて上述の
図8,9に示す連結具14を挟持できると考えられる。この結果、上述の課題1に対処できると考えられる。また、特許文献4に開示される発明は、掛止腕片14(特許文献4の
図1を参照)を備えているので、先の
図9に示す連結具14をナット19が設けられる側から見た場合に、紙面(
図9)左方向に伸長する幹線22を鉛直上方側から押圧して支持できると考えられるので、上述の課題2にも対処できる可能性がある。
【0010】
特許文献5には「電線防護管の係止具」という名称で、架空配電線に装着した電線防護管を、風による振動などによって不所望に移動しないように、定位置に係止しておくための係止具に関する発明が開示されている。
特許文献5に開示される発明は、本願発明と同一の出願人によるものである。 特許文献5に開示される発明も、本件発明とは異なる目的で使用されるものであるが、電線(幹線)を挟持して保持できる構成を備えているので、電線に代えて上述の
図8,9に示す連結具14を挟持できると考えられる。この結果、上述の課題1に対処できると考えられる。また、特許文献5に開示される発明は、係止部分40a,40b(特許文献5の
図4,5を参照)を備えているので、先の
図9に示す連結具14をナット19が設けられる側から見た場合の、紙面左側に伸長する幹線22を鉛直上方側から押圧して支持できると考えられ、上述の課題2にも対処できる可能性がある。
【0011】
特許文献6には「電線絶縁保護管の端末固定具」という名称で、架設電線に被着した絶縁保護管の端末を高所作業車(バケット車)等を使用し電線等に直接手を触れずに固定させる電線保護管の端末固定具に関する発明が開示されている。
特許文献6に開示される発明も、本件発明とは異なる目的で使用されるものであるが、電線(幹線)を挟持して保持できる構成を備えているので、電線に代えて上述の
図8,9に示す連結具14を挟持できると考えられる。この結果、上述の課題1に対処できると考えられる。また、特許文献6に開示される発明は、掛止腕片8(特許文献6の
図3を参照)を備えているので、先の
図9に示す連結具14をナット19が設けられる側から見た場合の、紙面(
図9)左方向に伸長する幹線22を鉛直上方側から押圧して支持できると考えられ、上述の課題2にも対処できる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の特許文献1−3に開示される発明の場合はいずれも、冒頭において述べた課題1には対処できると考えられるものの、いずれも先の
図8,9に示す連結具14の左右方向に伸長する幹線22の屈曲を防止するような支持構造を備えるものではないので、上述の課題2には対処できないと考えられる。
【0014】
上述の特許文献4−6に開示される発明の場合はいずれも、上述の課題1のみならず課題2にも対処できるようにも思われる。
このため本願発明者は、特許文献5に開示される発明を本願発明の代用品として使用することを試みた。この結果、以下に示すような課題が見出された。
特許文献4−6に開示される発明の場合はいずれも先の
図8,9に示す連結具14の上端部が挟持部材により被覆されてしまうため、ナット19を緩めて第1のコネクタ部15,16から幹線22を解放した場合でも、連結具14から幹線22を好適に解放させることができないという不具合があった。
また、特許文献4−6に開示される発明はいずれも、先の
図8,9に示す連結具14おいて紙面右手側に伸長する幹線22を支持するための構成を備えていないため、連結具14の右端部(先の
図9中の符号Qで示す位置)において幹線22が屈曲するのを防止することができず、この位置の幹線22が破損する恐れがあった。
【0015】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、先の
図8,9に示すような連結具14においてボルト18の頭部18aが配置される側の第1のコネクタ部15のみを挟持して連結具14を保持することができ、連結具14をナット19が配される側から見た場合に、連結具14の左手方向に伸長する幹線22を鉛直上方側から押圧するように支えるとともに、連結具14の右手方向に伸長する幹線22を鉛直下方側から持ち上げるように支えることができ、しかも、ナット19が緩められた際に第1のコネクタ部15及び第2のコネクタ部16からスムースに幹線22を解放することができる間接活線作業用工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である間接活線作業用工具は、架設された幹線を挟持するための厚板状で対を成す第1,第2のコネクタ部と、第1,第2のコネクタ部を重ね合せたものを貫通して挿設されるボルトと、このボルトの頭部側でかつボルトの軸部の中心軸に対して直交する方向に穿設される分岐線挿通用孔と、ボルトの端部に螺設されて第1,第2のコネクタ部による幹線の締め付け状態,並びに,ボルトと第1のコネクタ部による分岐線の締め付け状態を調節可能にするナットと、を有してなる連結具を保持するための間接活線作業用工具であって、ボルトの頭部が配される側の第1のコネクタ部の鉛直上下方向を挟持して連結具を保定する絶縁性を有する挟持部と、幹線の上面に接触して幹線を支持する第1の支持アームと、幹線の下面に接触して幹線を支持する第2の支持アームと、挟持部における上挟持部材及び下挟持部材を相互に近接又は離反する方向に相対的に変位駆動させる駆動部と、駆動部に共用操作棒を連結させる椀状連結部と、を有し、挟持部により第1のコネクタ部を挟持した場合に、第1の支持アーム及び第2の支持アームにより支持される領域の幹線は直線状であることを特徴とするものである。
上記構成の請求項1記載の発明において、挟持部(上挟持部材及び下挟持部材)は、第1のコネクタ部の鉛直上下方向を挟持して連結具を保定するという作用を有する。そして、請求項1記載の発明では挟持部により第1のコネクタ部のみが挟持されることで、ナットが緩められて第1のコネクタ部及び第2のコネクタ部による幹線の締め付け状態が解除された場合に、連結具から幹線をスムースに解放させるという作用を有する。また、第1の支持アームは連結具のナットにこのナットを緩めるようなトルクを作用させた場合に、第1の支持アーム下に配される幹線が、第1,第2のコネクタ部による挟持端部を基点に鉛直上方側に跳ね上がるように屈曲するのを抑制するという作用を有する。さらに、第2の支持アームは、連結具のナットにこのナットを緩めるようなトルクを作用させた場合に、第2の支持アーム上に配される幹線が、第1,第2のコネクタ部による挟持端部を基点に鉛直下方側に引き下げられるように屈曲するのを抑制するという作用を有する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、連結具を取り外すためにナットにそれを緩めるようなトルクを作用させた場合に、その反作用により幹線が屈曲して連結具の左右両端部において連結具と幹線が干渉し合うのを抑制するという作用を有する。
【0017】
請求項2記載の発明である間接活線作業用工具は、請求項1記載の間接活線作業用工具であって、第1,第2支持アームはいずれも、絶縁カバーにより被覆されている領域の幹線と接触することを特徴とするものである。
上記構成の請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明と同じ作用に加えて、第1,第2支持アームはともに絶縁カバーを介して幹線と接触することで、第1,第2支持アームと幹線とが直接接触しない。これにより、第1,第2支持アームと接触することで幹線が損傷するのを抑制するという作用を有する。
【0018】
請求項3記載の発明である間接活線作業用工具は、請求項1又は請求項2に記載の間接活線作業用工具であって、駆動部は、椀状連結部上に突設されるネジ棒であり、このネジ棒をその軸線周りに回動させることで上挟持部材及び下挟持部材を相互に近接又は離反する方向に相対的に変位させることを特徴とするものである。
上記構成の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ作用を有する。また、請求項3に記載の発明では上挟持部材又は下挟持部材のいずれか一方をネジ棒に螺設するとともに、ネジ棒に螺設されない下挟持部材又は上挟持部材を、ネジ棒をその軸線周りに回動自在にしながらネジ棒に固定することで、ネジ棒をその軸線周りに回動させるだけで上挟持部材及び下挟持部材を相互に近接又は離反する方向に相対的に変位させるという作用を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1によれば、連結具に設けられるリングを使用することなく連結具を保持することができる。このため先に説明した従来技術に係る連結具保持具(連結具保持具24、
図8,9を参照)を用いて連結具(連結具14)を保持する場合に頻発するリング(リング17)の破損を防止することができる。
また、請求項1記載の発明によれば、連結具による挟持状態から解放された幹線を連結具及びそれを保持する請求項1記載の発明からスムースに離間させることができるという効果を有している。
さらに、請求項1記載の発明によれば、挟持部に加えて第1,第2の支持アームを備えることで、連結具のナットにこのナットを緩めるようなトルクを作用させた場合に、その反作用により連結具により挟持される幹線が捩れて屈曲するのを防止できる。この場合、金属製の連結具の左右両端部と裸出状態の幹線とが干渉し合うのを防止できるので、連結具の左右両端部において幹線が損傷するのを防止できる。
すなわち、幹線に取設される連結具を取り外す際に幹線が損傷するのを防止できる。
また、請求項1記載の発明における第1,第2の支持アームのそれぞれは、従来技術に係る連結具保持具を用いて連結具を保持する際に、連結具の左右両側のそれぞれに配設される2本のストレーリンクトングと同等の機能を発揮する。
そして、従来技術に係る連結具保持具と2本のストレーリンクトングとを合わせたものと同等の機能を有する請求項1記載の発明は、1本の共用操作棒で操作することが可能であるため、幹線に取設される連結具を取り外す際に必要な間接活線工具は、請求項1記載の発明を備えた共用操作棒と、ラチェットを備えたホットステックの2つのみとなる。
この場合、2名の作業員で十分なゆとりを持ってこれらの間接活線工具を操作することができる。つまり、幹線から連結具を取り外す作業を簡便にすることができる。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、第1,第2の支持アームがともに幹線に直接接触しないので、第1,第2の支持アームにより幹線を支持する際に、第1,第2の支持アームとの干渉により幹線が損傷するのを防止できる。
よって、請求項2記載の発明によれば、幹線の損傷を確実に防止しながら連結具の取り外し作業を行うことができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ効果に加えて、駆動部をネジ棒とすることで、上挟持部材及び下挟持部材を相互に近接又は離反する方向に相対的に変位させるための構造を極めてシンプルにできる。この結果、請求項3記載の発明の操作性を向上するとともに、請求項3記載の発明の製造コストを廉価にできるというメリットを有する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態に係る間接活線作業用工具について
図1乃至
図7を参照しながら説明する。
【0024】
本発明の実施の形態に係る間接活線作業用工具について
図1乃至
図5を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る間接活線作業用工具の概念図である。また、
図2は本発明の実施の形態に係る間接活線作業用工具により連結具を保持した状態を示す正面図であり、
図3は
図2中の符号Rで示す方向から見た矢視図である。
本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aは、先の
図8,9に示す連結具14を幹線22から取り外する際に使用するものであり、そのナット19を緩める際に連結具14を保持しておくためのものである。
このような間接活線作業用工具1Aは、
図1,3に示すように、連結具14におけるボルト18の頭部18aが配される側の第1のコネクタ部15の鉛直上下方向を挟持して保定する上挟持部材2及び下挟持部材3からなる挟持部4と、連結具14により挟持される幹線22(
図2,3を参照)の上面に接触して幹線22を支持する第1の支持アーム5と、幹線22(
図2を参照)の下面に接触して幹線22を支持する第2の支持アーム6とを有するものである。
また、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aは、挟持部4を構成する上挟持部材2及び下挟持部材3を相互に近接又は離反する方向に相対的に変位駆動させる駆動部(例えば、ネジ棒7)を備えている。なお、この駆動部並びにその作動機構については後段において
図5,6を参照しながら詳細に説明する。
さらに、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aは、上記駆動部(例えば、ネジ棒7)に共用操作棒(後段において説明する
図5を参照)の上端部を連結させるための椀状連結部11が接続されている。
図1に示すように、この椀状連結部11は、その一部を切り欠いて形成される係止溝12を備えており、この係止溝12に共用操作棒の突起を係止させることで、椀状連結部11に連結される駆動部(例えば、ネジ棒7)を共用操作棒により間接的に操作することを可能にするためのものである。
【0025】
本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aにより連結具14を保持するには、
図3に示すように、連結具14のボルト18の頭部18aを間接活線作業用工具1Aの駆動部(例えば、ネジ棒7)側に配し、ボルト18に螺設されるナット19が解放されるように第1のコネクタ部15の上下端部を挟持部4(上挟持部材2及び下挟持部材3)により挟持する。ナット19を解放状態にするのは、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aにより連結具14を挟持した状態で、例えば、ホットステック等の間接活線工具に取設されるラチェットにより連結具14のナット19を回動操作可能にするためである。
図2に示す状態において、連結具14に螺設されるナット19を反時計回り(
図2中の符号Bで示す方向)に回動させることでナット19が緩む。
このように、連結具14のナット19を緩めるようにナット19に対してトルクを作用させると、その反作用により先の
図9に示すように連結具14に対して紙面左方向に伸長する幹線22には幹線22を連結具14の左端部を基点にして鉛直上方に引き上げるような力が、他方、連結具14に対して紙面右方向に伸長する幹線22には連結具14の右端部を基点にして幹線22を引き下げるような力が作用する。
これに対し、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aでは、
図2,3に示すように、鉛直上方に引き上げるような力が作用する幹線22(連結具14の左方向に伸長する幹線22)を鉛直上方側から押えるように第1の支持アーム5が、また、鉛直下方に引き下げるような力が作用する幹線22(連結具14の右方向に伸長する幹線22)を鉛直下方側から支えるように第2の支持アーム6がそれぞれ設けられ、第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6により支持される領域の幹線22が常に直線状を成すよう構成される。
【0026】
つまり、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aにより
図2,3に示すように連結具14を保持して、そのナット19を図示しないラチェットにより反時計回りに回動させて緩めた場合、第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6により支持される領域の幹線22は直線状態(略直線状態の概念も含む)が維持されるので、絶縁カバー30が剥離されて剥き出しになった幹線22と金属製の連結具14の左右両端部(
図9中の符号P,Qで示される位置)が干渉し合うのを防止できる。
この結果、幹線22から連結具14を取り外す際に、連結具14の左右両端に位置する幹線22が連結具14の第1のコネクタ部15及び第2のコネクタ部16と干渉して損傷するのを防止できる。
なお、
図2乃至
図4、及び
図8,9に示す連結具14は通常、
図2,8,9に示す状態において反時計回りにナット19を回動させることで、ナット19を緩めることができる構造に統一されているが、このような連結具14ではナット19を時計回りに回動させることでナット19を緩めるよう構成することもできる。この場合、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aにおいて、
図1,2に示す第2の支持アーム6に代えて第1の支持アーム5を、第1の支持アーム5に代えて第2の支持アーム6を設ける必要があることは言うまでもない。
【0027】
図4は本発明の実施の形態に係る間接活線作業用工具により連結具を保持した状態でナットが緩められた状態を示す側面図である。なお、
図1乃至
図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3に示すように、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aでは、上挟持部材2及び下挟持部材3で連結具14の第1のコネクタ部15を挟持して連結具14を保持している。つまり、連結具14を構成する第2のコネクタ部16の上端部上には何も配置されない状態となっている。
この場合、
図4に示されるように、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aにより第1のコネクタ部15を保持してナット19を緩めた際に、合掌状態の第1のコネクタ部15から第2のコネクタ部16が離間し、これに伴って連結具14の鉛直上方が解放状態となり、第1のコネクタ部15及び第2のコネクタ部16により挟持されていた幹線22を連結具14から容易に離間させることができる。
【0028】
このような本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aによれば、挟持部4を備えることで連結具14のリング17を使用することなしに連結具14を保持することができる。
また、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aで連結具14を保持してナット19を緩める際に、第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6により連結具14の左右方向に伸長する幹線22を支持して保定することができる。これにより、ナット19にそれを緩めるようなトルクを作用させた場合に、その反作用で連結具14の左右両端部において裸出状態の幹線22が屈曲して連結具14と干渉して損傷するのを防止できる。
さらにこの場合、第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6は、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aに一体に設けられるパーツでありながら、従来技術に係る連結具保持具24(
図8,9を参照)を使用して連結具14の取り外す際に必要な2本のストレーリンクトングと同様の機能を発揮するものである。このため、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aのみで、連結具保持具24と2本のストレーリンクトングを併せた機能を発揮させることができる。このことは、幹線22から連結具14の取り外し作業を行う際に、操作が必要な間接活線工具の絶対数を減らせることを意味しており、連結具14の取り外し作業を行う際の作業者の負担を大幅に軽減することができる。
より具体的には、従来技術に係る連結具保持具24(
図8,9を参照)を使用する場合は、連結具保持具24を保持する共用操作棒と、ストレーリンクトング2本と、ラチェットを備えた他の間接活線工具の合計4つの間接活線工具を2名の作業員で操作する必要があった。これに対して、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aを使用する場合は、2名の作業員で操作すべき工具は、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aを保持しつつその駆動部を操作するための共用操作棒1本と、ラチェットを備えた他の間接活線工具の合計2つのみである。
このように本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aを使用する場合は、幹線22から連結具14を取り外す作業を2名の作業員により十分な余裕を持って行うことが可能になる。
【0029】
なお、本実施の形態にかかる間接活線作業用工具1Aにおける第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6は絶縁性を担保するために合成樹脂製であるが、幹線22が第1の支持アーム5又は第2の支持アーム6に直接接触する場合は、幹線22と、第1の支持アーム5又は第2の支持アーム6の接触部分において幹線22が損傷する可能性もある。
このため、第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6と幹線22との接触は、幹線22を被覆する絶縁カバー30を介して間接的になされることが望ましい。
また、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aにおける第1の支持アーム5又は第2の支持アーム6から挟持部4までの距離については特に特定されないが、この距離が過剰に大きいと第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6を同時に幹線22に接触させることが困難になる上、本願発明による独自の効果である幹線22のを直線状に支持する効果が発揮され難くなる。加えて、間接活線作業用工具1Aが大型化して操作性も悪くなる。
したがって、第1の支持アーム5又は第2の支持アーム6から挟持部4までの距離は、挟持部4により連結具14の第1のコネクタ部15を挟持した際に、第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6を、絶縁カバー30が被覆された幹線22に接触させることができる最短距離にしておくとよい。
【0030】
さらに、
図1乃至
図4に示されるように本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aでは、第1の支持アーム5を屈曲した棒体状とし、第1の支持アーム5を平板体により構成しているが、これらの形態は必ずしも図示されるものに特定される必要はない。より具体的には、第1の支持アーム5を平板状のものにより構成してもよいし、第2の支持アーム6を屈曲した棒体状にしてもよい。
すなわち、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aでは、挟持部4で連結具14を保持してナット19を緩める際に、第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6により支持される領域の幹線22を直線状に保持することができるのであれば、第1の支持アーム5及び第2の支持アーム6はどのような形態であってもよい。
【0031】
なお、特に第2の支持アーム6を平板状、又は、幹線22の外形に沿った湾曲板状にすることで、第2の支持アーム6上に幹線22を載置するだけで幹線22と第2の支持アーム6とを接触させることができるというメリットがある。
しかしながら、幹線22は厳密には真っ直ぐではないので、第2の支持アーム6上に幹線22を載置した際に、平板状又は湾曲板状の第2の支持アーム6の上面6aにしっかりと幹線22の下面を接触させることができない場合も想定される。この場合、連結具14のナット19にトルクを作用させた際に、第2の支持アーム6の連結具14から離れる方向に位置する端部により、幹線22の下面の局所に大きな力が作用してしまい、幹線22を損傷させてしまうリスクもある。
このような事態を回避するために、
図1,2に示すように、平板状の第2の支持アーム6の上面6aの幹線22と交差する向きに複数本の突条6bを形成しておき、突条6bの稜線上で幹線22を支えることができるよう構成してもよい。
この場合、幹線22の下面の複数個所において幹線22が支えられるので、ナット19にそれを緩めるようなトルクを作用させた際に、第2の支持アーム6により幹線22の下面の局所に大きな力が作用するのを防止できる。なお、平板状の第2の支持アーム6の上面に突条6bを備えることにより発揮されるメリットは、第1の支持アーム5の形態を平板状とした場合にその接触面に突条を形成しても同様に発揮される。
さらに、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aの第1の支持アーム5は、特許文献4−6に開示されるような防護管を固定するためのパーツのような形態でもよい。
【0032】
以下に、
図5を参照しながら上挟持部材2及び下挟持部材3を相互に近接又は離反する方向に相対的に変位駆動させるための駆動部の例について説明する。
図5は本発明の実施の形態に係る間接活線作業用工具の
図1におけるA−A線矢視断面図である。なお、
図1乃至
図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図5に示すように、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aにおける挟持部4の駆動部の構造としては様々なものが考えられるが、例えば、ネジ棒7を使用することで、間接活線作業用工具1Aの構造をシンプルかつその操作を容易にすることができる。
より具体的には、共用操作棒13を装着するための椀状連結部11の頂部にネジ棒7を突設し、ネジ棒7の側面の一部をその伸長方向に沿って解放する開口部8dを備えたカバー8(カバー本体8a)を、ネジ棒7の上端部近傍において嵌合構造10を形成することで回動自在に固定するとともに、このカバー本体8aに上挟持部材2又は下挟持部材3を一体に固設し、さらに、カバー本体8aに固設されない下挟持部材3又は上挟持部材2を開口部8dからカバー8の外に突出させながらネジ棒7に螺設してもよい。
なお、
図5には上挟持部材2及び第2の支持アーム6を固設したカバー本体8a(カバー8)をネジ棒7の上端部に回動自在に固定し、さらに、下挟持部材3に挿通用孔3aを形成し、この挿通用孔3aの内側面とネジ棒7とで螺合部9を形成して下挟持部材3をネジ棒7に螺設する場合を示している。
また、ネジ棒7へのカバー8(カバー本体8a)の固定方法としては、例えば、ネジ棒7の頭部を階段状に縮径しておき、この縮径部分に噛み合うような突起8bをカバー本体8aの上部内側面に形成しておき、カバー8(カバー本体8a)の中空部内にネジ棒7を挿通して、カバー本体8aの突起8bとネジ棒7の頭部を嵌合させた後に、カバー本体8aの上端部に形成される開口部からネジ棒7の頂部に止めボルト7a(ただし、止めボルト7aの頭部直径はネジ棒7の頭部の直径よりも大きい)を螺設して、カバー8をネジ棒7に回動可能に固定するという方法がある。
この場合、必要に応じてカバー本体8aの頂部にキャップ8cを取り付けてもよい。
【0033】
図5に示すような本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aは以下に示すような手順により連結具14の第1のコネクタ部15(先の
図3,4を参照)挟持部4により挟持して保持することができる。
まず、間接活線作業用工具1Aの椀状連結部11の図示しない係止溝12(
図1乃至
図4を参照)に共用操作棒13の突起13aを嵌合させて、共用操作棒13の先端に間接活線作業用工具1Aを装着する。次に、共用操作棒13を操作して間接活線作業用工具1Aの上挟持部材2を連結具14の第1のコネクタ部15の上端部(
図3を参照)に係止させるとともに、第1の支持アーム5の当接面5aを絶縁カバー30により被覆された幹線22の上面に当接させる。
この後、共用操作棒13をその軸線周りに回動させることで椀状連結部11が共用操作棒13の軸線周りに回動し、これに伴ってネジ棒7もその軸線周りに回動する。
この時、間接活線作業用工具1Aの上挟持部材2及び第1の支持アーム5が第1のコネクタ部15の上端部及び幹線22に係止されていることで、それに一体に固設されるカバー8も固定された状態となる。この状態では下挟持部材3は、カバー8に遮られてネジ棒7とともに供回りすることができないので、挿通用孔3a内に螺設されるネジ棒7のみがその軸線周りに回動することになる。この時、ネジ棒7の回動方向に応じてネジ棒7に螺設される下挟持部材3がカバー8の開口部8dに沿って鉛直上下方向のいずれかにスライド移動する。
上挟持部材3がカバー8の開口部8dに沿って上昇するようにネジ棒7を回動させた場合は、上挟持部材2及び下挟持部材3により連結具14の第1のコネクタ部15が挟持されて連結具14が保持される。また、この逆方向にネジ棒7を回動させた場合は、下挟持部材3をカバー8の開口部8dに沿って下降させることができるので、挟持部4により挟持された連結具14(第1のコネクタ部15)は解放される。
このように、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aの駆動部をネジ棒7にすることで、共用操作棒13をその軸線周りに回動させるだけで、上挟持部材2及び下挟持部材3を相互に近接又は離反する方向に相対的に変位させることができる。このような構造によれば、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aの構造をシンプルにできるというメリットがある。
【0034】
続いて、
図6を参照しながら本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aの変形例について説明する。
図6は本発明の変形例に係る間接活線作業用工具の概念図である。なお、
図1乃至
図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の
図1乃至
図5では、ネジ棒7の回動に伴って下挟持部材3が鉛直上下方向にスライド移動する場合を説明したが、ここでは上挟持部材2が鉛直上下方向にスライド移動する場合の例について
図6を参照しながら説明する。
図6に示すような本発明の変形例に係る間接活線作業用工具1Bによる作用、効果は、上述の間接活線作業用工具1Aによる作用、効果と同じであるため、ここではその詳細な説明については省略する。また、上述の間接活線作業用工具1Aと同じ構造を有する部分の説明について省略する。
図6に示すように、本発明の変形例に係る間接活線作業用工具1Bは、カバー8(カバー本体8a)に上挟持部材2及び第1の支持アーム5(図示せず)が一体に固定される代わりに、下挟持部材3がカバー8(カバー本体8a)の下端に一体に固定されている。さらに、変形例に係る間接活線作業用工具1Bでは、上挟持部材2に挿通用孔2aが穿設され、その内側面とネジ棒7とが螺合部9を形成して、ネジ棒7に上挟持部材2が螺設されている。
また、カバー8(カバー本体8a)に一体に固設される下挟持部材3には挿通用孔3bが穿設されて、ネジ棒7がこの挿通用孔3bに単に挿通されることで、カバー8及び下挟持部材3に対してネジ棒7が回動自在になっている。
なお、
図6には示されていないが、第1の支持アーム5は上挟持部材2に一体に固設されている。
【0035】
このような変形例に係る間接活線作業用工具1Bにおいては、共用操作棒13の先端部に間接活線作業用工具1Bを装着した後、共用操作棒13を操作して間接活線作業用工具1Bの上挟持部材2を第1のコネクタ部15の上端に、第1の支持アーム5を幹線22の上面にそれぞれ係止することで間接活線作業用工具1Bが一時的に固定される。この状態で共用操作棒13をその軸線周りに回動させると、ネジ棒7もその軸線周りに回動する。
この時、上挟持部材2は第1のコネクタ部15の上端及び幹線22に係止されてネジ棒7と共に供回りすることができず、ネジ棒7のみが回動する。そして、ネジ棒7に螺設される上挟持部材2がネジ棒7の回動方向に応じて鉛直上下方向のいずれかにスライド移動することで、連結具14の保持とその解除が可能になる。
【0036】
最後に、
図7を参照しながら本実施の形態に係る間接活線作業用工具1Aの他の変形例について説明する。
図7は本発明の他の変形例に係る間接活線作業用工具の概念図である。なお、
図1乃至
図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本発明の他の変形例に係る間接活線作業用工具1Cは、先の
図1乃至
図5に示す間接活線作業用工具1Aとほぼ同じ構成からなるものであるが、第2の支持アーム6の取付け位置が間接活線作業用工具1Aと異なるものである。
図7に示すように、第2の支持アーム6は、棒状のアーム部6cを介して下挟持部材3に一体に固設されてもよい。
この場合も、上述の間接活線作業用工具1Aと同様の作用、効果を発揮させることができる。
このような変形例に係る間接活線作業用工具1Cでは、第2の支持アーム6を支えるアーム部6cの太さを所望に設定できるので、第2の支持アーム6の強度を大幅に高めることができるというメリットがある。
【0037】
なお、本実施の形態に係る間接活線作業用工具1A及びその変形例に係る間接活線作業用工具1B,1Cでは、下挟持部材3の上面に曲面状の凹部3cを備えているが、この凹部3cは連結具14のナット19が緩められた場合に、第1のコネクタ部15と合掌状態にある第2のコネクタ部16の外れを許容するためのものである(
図4を参照)。
下挟持部材3の上面にこのような凹部3cを形成しておく代わりに、第2のコネクタ部16の真下に配される下挟持部材3を切り取って除去した形態としても同様の効果の発揮が期待できる。