(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】誤差のない回転軸2軸を有するテーブル回転形5軸加工機を説明する図である。
【
図2A】C軸を任意位置に固定し、A軸を0度とした時のA軸の並進誤差および回転誤差を説明する図である。
【
図2B】C軸を任意位置に固定し、A軸を45度とした時のA軸の並進誤差および回転誤差を説明する図である。
【
図2C】C軸を任意位置に固定し、A軸を90度とした時のA軸の並進誤差および回転誤差を説明する図である。
【
図3A】回転軸2軸による2次元座標系空間を各軸方向に等間隔または不等間隔に分割した各位置を示す図である。
【
図3B】
図3Aに示されるように分割した各位置におけるA軸の並進誤差および回転誤差を説明する図である。
【
図4A】C軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=0度,C=0度)。
【
図4B】C軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=0度,C=45度)。
【
図4C】C軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=0度,C=90度)。
【
図4D】C軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=45度,C=0度)。
【
図4E】C軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=90度,C=0度)。
【
図6】C軸を任意角度(c)に固定してA軸を0度にした時、C軸依存の並進誤差(EXC
0,c,EYC
0,c,EZC
0,c)および回転誤差(EAC
0,c,EBC
0,c,ECC
0,c)があることを説明する図である。
【
図7】機械座標系XYZで定義されたC軸依存の並進誤差(EXC
0,c,EYC
0,c,EZC
0,c)および回転誤差(EAC
0,c,EBC
0,c,ECC
0,c)をA軸座標系に変換した場合を説明する図である。
【
図8】C軸を任意角度(c)に固定してA軸を0度以外(a)に変化させた場合を説明する図である。
【
図9】
図3(a)に示すような分割した各位置におけるA軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差を説明する図である。
【
図10】A軸依存の並進誤差および回転誤差はC軸位置によって変わらず、A軸位置aのみによって変化するので、縦列におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差(破線枠内)が同じとなることを説明する図である。
【
図11A】本発明において誤差を測定する各位置を説明する図である。
【
図11B】誤差を測定する位置におけるA,C軸に対する測定データを説明する図である。
【
図12】回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量の少なくとも一方を求めるため、座標系と正方向の回転方向を定義する図である。
【
図13A】レファレンス座標系X
rY
rZ
rを変換することにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wが得られることを説明する図である(その1)。
【
図13B】レファレンス座標系X
rY
rZ
rを変換することにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wが得られることを説明する図である(その2)。
【
図13C】レファレンス座標系X
rY
rZ
rを変換することにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wが得られることを説明する図である(その3)。
【
図13D】レファレンス座標系X
rY
rZ
rを変換することにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wが得られることを説明する図である(その4)。
【
図13E】レファレンス座標系X
rY
rZ
rを変換することにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wが得られることを説明する図である(その5)。
【
図13F】レファレンス座標系X
rY
rZ
rを変換することにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wが得られることを説明する図である(その6)。
【
図13G】レファレンス座標系X
rY
rZ
rを変換することにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wが得られることを説明する図である(その7)。
【
図13H】レファレンス座標系X
rY
rZ
rを変換することにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wが得られることを説明する図である(その8)。
【
図14A】並進誤差補正量と回転誤差補正量の誤差補正テーブルを説明する図である。
【
図14B】
図14Aに示される各格子点における並進誤差補正量と回転誤差補正量を説明する図である。
【
図15】(ai,cj)における並進誤差補正量(△X
ai,cj,△Y
ai,cj,△Z
ai,cj)および回転誤差補正量(△I
ai,cj,△J
ai,cj,△K
ai,cj)の少なくとも一方を求め、数値制御装置に出力して設定できることを説明する図である。
【
図16】並進回転誤差補正量作成装置が数値制御装置内に含まれる構成を説明する図である。
【
図17】第1実施形態における演算用測定データ入力部、並進回転誤差補正量演算部と並進回転誤差補正量出力部の処理を説明するフローチャートである。
【
図18】誤差のない回転軸2軸を有する工具ヘッド回転形5軸加工機を示す図である。
【
図19】回転軸2軸に誤差がなく、かつA=0度の時、工具ヘッドの工具方向をZ軸方向とすることを説明する図である。
【
図20】C軸の並進誤差および回転誤差を示す図である。
【
図22A】C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差(A軸を任意角度(a)に固定してC軸を0度に変化させた時)を説明する図である。
【
図22B】C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差(A軸を任意角度(a)に固定してC軸を0度以外(c)に変化させた時)を説明する図である。
【
図23A】回転軸2軸による2次元座標系空間を各軸方向に等間隔または不等間隔に分割した各位置を示す図である。
【
図23B】分割した各位置におけるC軸依存の並進誤差および回転誤差、C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差を組み合わせた場合を説明する図である。
【
図24A】誤差を測定する各位置を説明する図である。
【
図24B】誤差を測定する各位置におけるC,A軸に対する測定データを説明する図である。
【
図25】回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量の少なくとも一方を求めるための、座標系と正方向の回転方向の定義を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
◎第1実施形態
<1>対象機械と誤差について
図1に誤差のない回転軸2軸を有するテーブル回転形5軸加工機を示す。テーブルがA,C軸で回転し、さらにX軸で移動する。工具を装着した工具ヘッドがY,Z軸で移動する。なお、テーブルが回転軸2軸で回転する加工機であれば他の軸構成であってもよい。
【0015】
回転軸2軸に誤差がなくかつA=0度の時、回転テーブルは
図1のように水平となる。本来のA軸回転中心線N
A_Tと本来のC軸回転中心線N
C_Tは交点N
O_Tで直交する。ここで「N」は「Nominal」の意味であり、後出のM
A_T(ずれたA軸回転中心線)などの「M」は「Misalignment」の意味である。また、「
_T」はテーブルの誤差を構成するデータであることを意味する。回転軸A,Cに対する位置指令を(a,c)とする。
【0016】
移動指令に従って回転軸C軸を実際に移動した時、誤差が生じる。「JIS B6190−7
図1 b) 回転軸の誤差運動」に、C軸の誤差が、「EXC:X方向の半径方向運動」、「EYC:Y方向の半径方向運動」、「EZC:軸方向運動」、「EAC:X軸周りの傾斜運動」、「EBC:Y軸周りの傾斜運動」、「ECC:角度位置決め誤差」で表されている。本発明においては、「EXC:X方向の半径方向運動」、「EYC:Y方向の半径方向運動」、「EZC:軸方向運動」を並進誤差と呼び、「EAC:X軸周りの傾斜運動」、「EBC:Y軸周りの傾斜運動」、「ECC:角度位置決め誤差」を回転誤差と呼ぶ。
【0017】
A軸にも同様に、A軸の並進誤差「EXA:X方向の半径方向運動」、「EYA:Y方向の半径方向運動」、「EZA:軸方向運動」およびA軸の回転誤差「EAA:X軸周りの傾斜運動」、「EBA:Y軸周りの傾斜運動」、「ECA:角度位置決め誤差」が存在する。
【0018】
<2>A軸の並進誤差および回転誤差について
図2に、A軸の並進誤差および回転誤差を示す。
図2Aは、C軸を任意位置に固定し、A軸を0度とした時のA軸の並進誤差および回転誤差を説明する図である。
図2Bは、C軸を任意位置に固定し、A軸を45度とした時のA軸の並進誤差および回転誤差を説明する図である。
図2Cは、C軸を任意位置に固定し、A軸を90度とした時のA軸の並進誤差および回転誤差を説明する図である。実際の誤差は小さいが
図2は誤差を誇張して描いている。A軸の並進誤差および回転誤差は機械座標系XYZで定義される。そして、A軸の並進誤差は、本来のA,C軸回転中心線の交点であるN
O_TにおけるN
A_TからM
A_Tへの距離のX,Y,Z各成分である。また、A軸の回転誤差は、M
A_TのN
A_Tに対するX,Y,Z軸回りの傾きである。
【0019】
図2A,
図2B,
図2Cに示すように、C軸を任意角度に固定してA軸を0度,45度,90度にそれぞれ変化させた時、M
A_TはA軸位置aのみによって変化することがあるため、A軸の並進誤差および回転誤差はA軸位置aによって変化する。本発明では、A軸の並進誤差および回転誤差は、A軸位置aによって変化する
「EXA(a):A=aの時、N
A_TからM
A_Tへの距離のX成分」、
「EYA(a):A=aの時、N
A_TからM
A_Tへの距離のY成分」、
「EZA(a):A=aの時、N
A_TからM
A_Tへの距離のZ成分」、
「EAA(a):A=aの時、M
A_TのN
A_Tに対するX軸回りの傾き」、
「EBA(a):A=aの時、M
A_TのN
A_Tに対するY軸回りの傾き」、
「ECA(a):A=aの時、M
A_TのN
A_Tに対するZ軸回りの傾き」
とする。
【0020】
以下、簡単に表記するために、A軸の並進誤差および回転誤差「EXA(a)」,「EYA(a)」,「EZA(a)」,「EAA(a)」,「EBA(a)」,「ECA(a)」は「EXA
a」,「EYA
a」,「EZA
a」,「EAA
a」,「EBA
a」,「ECA
a」として表す。
【0021】
図3Aに、回転軸2軸による2次元座標系空間を各軸方向に等間隔または不等間隔に分割した各位置を示す。等間隔の場合の間隔は、誤差間隔用パラメータに設定される誤差用間隔であってもよいし、プログラムで指令される誤差用間隔であってもよい。不等間隔の場合は、A軸、C軸位置に対応して変化する間隔として、複数の誤差間隔用パラメータに設定される誤差用間隔であってもよいし、プログラムで指令される誤差用間隔であってもよい。
【0022】
分割した各位置におけるA軸の並進誤差および回転誤差は
図3Bのようになる。縦列(破線枠内)には、A軸位置が同じである各位置におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差を示す。A軸の並進誤差および回転誤差はA軸位置aのみによって変化するので、縦列におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差は同じとなる。
【0023】
<3>C軸の並進誤差および回転誤差について
図4に、C軸の並進誤差および回転誤差を示す。そして、
図4AはC軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=0度,C=0度)。
図4BはC軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=0度,C=45度)。
図4CはC軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=0度,C=90度)。
図4DはC軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=45度,C=0度)。
図4EはC軸の並進誤差および回転誤差を示す図である(A=90度,C=0度)である。なお、実際の誤差は小さいが
図4は誤差を誇張して描いている。C軸の並進誤差および回転誤差は機械座標系XYZで定義される。C軸の並進誤差は、本来のA,C軸回転中心線の交点であるN
O_TにおけるN
C_TからM
C_Tへの距離のX,Y,Z各成分である。C軸の回転誤差は、M
C_TのN
C_Tに対するX,Y,Z軸回りの傾きである。
【0024】
図4A〜
図4Cに示すように、A軸を0度に固定してC軸を0度,45度,90度にそれぞれ変化させた時、M
C_TはC軸位置cによって変化することがある。そのため、C軸の並進誤差および回転誤差はC軸位置cによって変化する。さらに、
図4D,
図4Eに示すように、C軸位置を0度に固定してA軸位置を45度,90度にそれぞれ変化させた時、M
C_TはA軸位置aによって変化することもある。そのため、C軸の並進誤差および回転誤差もA軸位置aによって変化する。
【0025】
このように、C軸の並進誤差および回転誤差はA軸位置a,C軸位置cによって変化するので、本発明では、C軸の並進誤差および回転誤差はA軸位置a,C軸位置cによって変化する
「EXC(a,c):A=a,C=cの時、N
C_TからM
C_Tへの距離のX成分」、「EYC(a,c):A=a,C=cの時、N
C_TからM
C_Tへの距離のY成分」、「EZC(a,c):A=a,C=cの時、N
C_TからM
C_Tへの距離のZ成分」、「EAC(a,c):A=a,C=cの時、M
C_TのN
C_Tに対するX軸回りの傾き」、
「EBC(a,c):A=a,C=cの時、M
C_TのN
C_Tに対するY軸回りの傾き」、
「ECC(a,c):A=a,C=cの時、M
C_TのN
C_Tに対するZ軸回りの傾き」
とする。
以下、簡単に表記するために、C軸の並進誤差および回転誤差「EXC(a,c)」,「EYC(a,c)」,「EZC(a,c)」,「EAC(a,c)」,「EBC(a,c)」,「ECC(a,c)」は「EXC
a,c」,「EYC
a,c」,「EZC
a,c」,「EAC
a,c」,「EBC
a,c」,「ECC
a,c」として表す。
【0026】
上述したように、A,C軸の並進誤差および回転誤差はA,C軸位置a,cに依って変化するので、本発明では、それらの回転軸位置(角度)によって変化する並進誤差および回転誤差を回転軸依存の並進誤差および回転誤差と言い、それらの誤差を補正する補正量を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量と言う。
【0027】
<4>A軸座標系について
図5Aに示すように、回転軸2軸に誤差がなく、かつA=0度,C=0度の時、原点が本来のA,C軸回転中心線の交点N
O_Tで、X,Y,Zの方向が機械座標系と同じである座標系X
aY
aZ
aをA軸座標系とする。
【0028】
A軸座標系が回転軸A軸に固定される。
図5Bに、A軸依存の並進誤差および回転誤差があり、かつA=0度,C=0度の時、A軸座標系は並進回転誤差を持った回転軸A軸上に存在することを示す。
【0029】
<5>A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差について
C軸を任意角度(c)に固定してA軸を0度にした時、A軸依存の並進誤差(EXA
0,EYA
0,EZA
0)および回転誤差(EAA
0,EBA
0,ECA
0)があるため、A軸座標系はA軸上に存在し、
図6に示すようになる。
【0030】
図6に示すように、C軸を任意角度(c)に固定してA軸を0度にした時、C軸依存の並進誤差(EXC
0,c,EYC
0,c,EZC
0,c)および回転誤差(EAC
0,c,EBC
0,c,ECC
0,c)がある。これらの誤差はすべて機械座標系XYZで定義される。
【0031】
図7に示すように、機械座標系XYZで定義されたC軸依存の並進誤差(EXC
0,c,EYC
0,c,EZC
0,c)および回転誤差(EAC
0,c,EBC
0,c,ECC
0,c)をA軸座標系に変換すると、A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差は、
「EXC
0,c−EXA
0:A=0,C=cの時、A軸座標系X
aY
aZ
aにおけるZ
aからM
C_Tへの距離のX
a成分」、
「EYC
0,c−EYA
0:A=0,C=cの時、A軸座標系X
aY
aZ
aにおけるZ
aからM
C_Tへの距離のY
a成分」、
「EZC
0,c−EZA
0:A=0,C=cの時、A軸座標系X
aY
aZ
aにおけるZ
aからM
C_Tへの距離のZ
a成分」、
「EAC
0,c−EAA
0:A=0,C=cの時、A軸座標系X
aY
aZ
aにおけるM
C_TのZ
aに対するX
a軸回りの傾き」、
「EBC
0,c−EBA
0:A=0,C=cの時、A軸座標系X
aY
aZ
aにおけるM
C_TのZ
aに対するY
a軸回りの傾き」、
「ECC
0,c−ECA
0:A=0,C=cの時、A軸座標系X
aY
aZ
aにおけるM
C_TのZ
aに対するZ
a軸回りの傾き」
となる。
【0032】
次に、
図8に示すように、C軸を任意角度(c)に固定してA軸を0度以外の角度(a)に変化させた。A軸座標系X
aY
aZ
aが回転軸A軸に固定されたので、A軸座標系はA軸とともに運動する。C軸回転テーブルが回転軸A上に乗っており、かつC軸を任意角度(c)に固定するため、A軸を0度以外の角度(a)に変化させた時、A=0,C=cの時のずれたC軸回転中心線M
C_T(
図7)もA軸とともに運動する。
【0033】
C軸を任意角度(c)に固定してA軸を0度以外の角度(a)に変化させた時、A軸座標系X
aY
aZ
aとA=0(度),C=c(度)の時のずれたC軸回転中心線M
C_Tは、A軸とともに同時に運動する。これによって、A軸を0度以外(a)に変化させても、A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差はA=0,C=cの時と同じである。したがって、A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差は、「EXC
0,c−EXA
0」,「EYC
0,c−EYA
0」,「EZC
0,c−EZA
0」,「EAC
0,c−EAA
0」,「EBC
0,c−EBA
0」,「ECC
0,c−ECA
0」となる。
【0034】
図3Aに示すような分割した各位置におけるA軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差は
図9のようになる。横列(二点鎖線枠内)にはC軸位置が同じである各位置におけるA軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差を示す。A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差はC軸位置cのみによって変化するので、横列におけるA軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差が同じとなる。
【0035】
<6>必要な測定データについて
図3、
図9により、
図3Aに示すような分割した各位置におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差、A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差を組み合わせると、
図10のようになる。縦列(A軸位置が同じである各位置)に、A軸位置が同じである各位置におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差、A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差を示し、横列(C軸位置が同じである各位置)に、C軸位置が同じである各位置におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差、A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差を示す。
【0036】
A軸依存の並進誤差および回転誤差はC軸位置によって変わらず、A軸位置aのみによって変化するので、
図10の中の縦列におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差(破線枠内)が同じとなる。したがって、
図3Aに示すように分割した各位置におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差を測定することが必要ではなくなる。
【0037】
C軸を任意角度に固定して、A軸上の分割した各位置におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差のみを測定することが必要となる。本発明では、C軸を0度に固定する。したがって、
図3Aに示すような分割した各位置の中で、C=0,A=aの各位置(
図11A破線枠内)におけるA軸依存の並進誤差(EXA
a,EYA
a,EZA
a)および回転誤差(EAA
a,EBA
a,ECA
a)(
図11B破線枠内)を測定することが必要となる。
【0038】
A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差はA軸位置によって変わらず、C軸位置cのみによって変化するので、
図10の中の横列のA軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差(二点鎖線枠内)が同じとなる。A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差を求めるために、C軸依存の並進誤差(EXC
0,c,EYC
0,c,EZC
0,c)および回転誤差(EAC
0,c,EBC
0,c,ECC
0,c)のみが必要となる。
【0039】
したがって、
図11Aに示すように、
図3Aに示すような分割した各位置の中で、A=0,C=cの各位置(点線枠内)におけるC軸依存の並進誤差(EXC
0,c,EYC
0,c,EZC
0,c)および回転誤差(EAC
0,c,EBC
0,c,ECC
0,c)(
図11B点線枠内)のみを測定することが必要となる。演算用測定データ入力部21(
図15参照)はこれらの必要な測定データを入力する。なお、
図11A,
図11Bに示される各格子点における並進誤差および回転誤差の測定は、例えば特許文献1の段落「0109」〜「0114」に記載されている方法を用いて行うことができる。
【0040】
<7>回転軸依存の並進誤差補正量と回転誤差補正量について
図11に示すように、少ない測定データから、回転軸2軸による2次元座標系空間を各軸方向に等間隔または不等間隔に分割した各位置におけるA軸依存の並進誤差および回転誤差、A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差(
図10)を計算できる。すでに述べたように、ここで、等間隔の場合の間隔は、誤差間隔用パラメータに設定される誤差用間隔であってもよいし、プログラムで指令される誤差用間隔であってもよい。不等間隔の場合は、A軸、C軸位置に対応して変化する間隔として、複数の誤差間隔用パラメータに設定される誤差用間隔であってもよいし、プログラムで指令される誤差用間隔であってもよい。
【0041】
A軸依存の並進誤差および回転誤差、A軸座標系から見たC軸依存の並進誤差および回転誤差から、回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量の少なくとも一方を求めれば、少ない測定データから、回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量の少なくとも一方を求めることを実現できる。誤差補正量演算部23(
図15参照)がこの計算を行う。誤差補正量計算において誤差補正量の2乗項は無視する。また、誤差について、誤差をeとすると|e|<<1であるので、sin(e)=e,cos(e)=1と近似する。これは以降の実施形態においても同様である。
【0042】
回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量の少なくとも一方を求めるため、
図12のように、以下の座標系と正方向の回転方向を定義する。原点が本来のA,C軸回転中心線の交点で、X,Y,Zの方向が機械座標系と同じであるレファレンス座標系X
rY
rZ
r(静止座標系)を定義する。A軸座標系の定義と同じように、回転軸Cに固定されるワーク座標系X
wY
wZ
w(運動座標系)を定義する。回転座標軸の終端側からみて反時計方向への回転が回転軸の正方向の回転方向とする。
【0043】
図13に示すように、レファレンス座標系X
rY
rZ
rに、次の変換[1]〜[6]を順に行うことにより、回転軸A軸をaに、回転軸C軸をcに変化させた時のワーク座標系X
wY
wZ
wを得る。
[1]レファレンス座標系X
rY
rZ
rを基準座標系として、X
r,Y
r,Z
r軸周りにEAA
a,EBA
a,ECA
aの回転
[2]レファレンス座標系X
rY
rZ
rを基準座標系として、X
r,Y
r,Z
r軸に沿ってEXA
a,EYA
a,EZA
aの並進(座標系X
1Y
1Z
1になる(
図13B))
[3]座標系X
1Y
1Z
1を基準座標系として、X
1軸周りにaの回転(A軸座標系X
aY
aZ
aになる(
図13C,
図13D))
[4]A軸座標系X
aY
aZ
aを基準座標系として、X
a,Y
a,Z
a軸周りにEAC
0,c−EAA
0,EBC
0,c−EBA
0,ECC
0,c−ECA
0の回転
[5]A軸座標系X
aY
aZ
aを基準座標系として、X
a,Y
a,Z
a軸に沿ってEXC
0,c−EXA
0,EYC
0,c−EYA
0,EZC
0,c−EZA
0の並進(座標系X
2Y
2Z
2になる(
図13F))
[6]座標系X
2Y
2Z
2を基準座標系として、Z
2軸周りにcの回転(ワーク座標系X
wY
wZ
wになる(
図13G,
図13H))
上記の変換により、レファレンス座標系X
rY
rZ
rからワーク座標系X
wY
wZ
wへの同次座標変換行列
rT
wは数1式により求められる。
【0045】
A,C軸依存の並進誤差および回転誤差を考慮すると、レファレンス座標系X
rY
rZ
rでテーブルの実際位置は数2式のようになる。
【0047】
一方、回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量「△X2
a,c:A=a, C=cの時、回転軸の移動による並進誤差補正量のX成分」、「△Y2
a,c:A=a, C=cの時、回転軸の移動による並進誤差補正量のY成分」、「△Z2
a,c:A=a, C=cの時、回転軸の移動による並進誤差補正量のZ成分」、「△I2
a,c:A=a, C=cの時、回転軸の移動による回転誤差補正量のX軸回りの傾き」、「△J2
a,c:A=a,C=cの時、回転軸の移動による回転誤差補正量のY軸回りの傾き」、「△K2
a,c:A=a,C=cの時、回転軸の移動による回転誤差補正量のZ軸回りの傾き」が十分小さい時、これらの補正量による変換行列は数3式となる。
【0049】
数2式の変換行列と数3式が等しいとすると、数4式を得る。
【0051】
なお、数4式では、回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量を同時に求めるが、回転軸依存の並進誤差補正量と回転軸依存の回転誤差補正量のうち、一方だけでもよい。つもり、回転軸依存の並進誤差補正量または回転軸依存の回転誤差補正量のどちらか一方だけを上記計算で得ることにしてもよい。
【0052】
<8>並進誤差補正量、回転誤差補正量の入力について
背景技術で説明した特許文献1のように、装置内に
図14に示すような並進誤差補正量と回転誤差補正量の誤差補正テーブルを持つ数値制御装置がある。誤差補正テーブルは、
図3Aの分割方法と同様の方法で、回転軸2軸による2次元座標系空間を各軸方向に等間隔または不等間隔の格子状領域に分割する(
図14A)。そして、各格子点(ai,cj)(i=1,2...m、 j=1,2...n)に対応する並進誤差補正量(△X
ai,cj,△Y
ai,cj,△Z
ai,cj)および回転誤差補正量(△I
ai,cj,△J
ai,cj,△K
ai,cj)の少なくとも一方(
図14B)を数値制御装置に設定するようになっている。
【0053】
ここで、等間隔の場合の間隔は、補正間隔用パラメータに設定される補正用間隔であってもよいし、プログラムで指令される補正用間隔であってもよい。不等間隔の場合は、A軸、C軸位置に対応して変化する間隔として、複数の補正間隔用パラメータに設定される補正用間隔であってもよいし、プログラムで指令される補正用間隔であってもよい。
【0054】
これに対して、本発明は、数4式によって(ai,cj)における並進誤差補正量(△X
ai,cj,△Y
ai,cj,△Z
ai,cj)および回転誤差補正量(△I
ai,cj,△J
ai,cj,△K
ai,cj)の少なくとも一方を求め、数値制御装置に出力して設定できる。この場合、ブロック図としては
図15のようになる。誤差補正量作成装置20においては、演算用測定データ入力部によって測定機10から演算用測定データが入力され、誤差補正量演算部23がこれらの測定データによって、回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量の少なくとも一方を演算し、誤差補正量出力部25がそれらの並進誤差補正量および回転誤差補正量の少なくとも一方を数値制御装置30に出力する。また、ここで
図16のように並進回転誤差補正量作成装置20は数値制御装置30内に存在する構成としてもよい。
【0055】
図17は第1実施形態における演算用測定データ入力部、並進回転誤差補正量演算部と並進回転誤差補正量出力部のフローチャートを示す図である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップST01]測定機10から演算用測定データ(EXA
ai,EYA
ai,EZA
ai,EAA
ai,EBA
ai,ECA
ai),(EXC
0,cj,EYC
0,cj,EZC
0,cj,EAC
0,cj,EBC
0,cj,ECC
0,cj)を入力する。
●[ステップST02]式4によって、並進誤差補正量(△X
ai,cj,△Y
ai,cj,△Z
ai,cj)および回転誤差補正量(△I
ai,cj,△J
ai,cj,△K
ai,cj)の少なくとも一方を演算する。
●[ステップST03]並進誤差補正量(△X
ai,cj,△Y
ai,cj,△Z
ai,cj)および回転誤差補正量(△I
ai,cj,△J
ai,cj,△K
ai,cj)の少なくとも一方を数値制御装置30に出力し、処理を終了する。
ここで、ステップST01は演算用測定データ入力部21、ステップST02は誤差補正量演算部23、ステップST03は誤差補正量出力部25に対応する。
【0056】
◎第2実施形態
<1>対象機械と誤差について
図18に誤差のない回転軸2軸を有する工具ヘッド回転形5軸加工機を示す。工具ヘッドがC,A軸で回転し、さらにX,Z軸で移動する。テーブルがY軸で移動する。工具ヘッドが回転軸2軸で回転する加工機であれば他の軸構成であってもよい。
【0057】
回転軸2軸に誤差がなく、かつA=0(度)の時、工具ヘッドの工具方向は
図19のようにZ軸方向とする。本来のA軸回転中心線N
A_Hと本来のC軸回転中心線N
C_Hは交点N
O_Hで直交する。「
_H」は工具ヘッドの誤差を構成するデータであることを意味する。回転軸C,Aに対する位置指令を(c,a)とする。
【0058】
C軸の並進誤差「EXC:X方向の半径方向運動」、「EYC:Y方向の半径方向運動」、「EZC:軸方向運動」およびC軸の回転誤差「EAC:X軸周りの傾斜運動」、「EBC:Y軸周りの傾斜運動」、「ECC:角度位置決め誤差」が存在し、A軸の並進誤差「EXA:X方向の半径方向運動」、「EYA:Y方向の半径方向運動」、「EZA:軸方向運動」およびA軸の回転誤差「EAA:X軸周りの傾斜運動」、「EBA:Y軸周りの傾斜運動」、「ECA:角度位置決め誤差」が存在する。
【0059】
<2>C軸の並進誤差および回転誤差について
図20に、C軸の並進誤差および回転誤差を示す。実際の誤差は小さいが
図20では誤差を誇張して描いている。C軸の並進誤差および回転誤差は機械座標系XYZで定義される。C軸の並進誤差は、本来のC,A軸回転中心線の交点であるN
O_HにおけるN
C_HからM
C_Hへの距離のX,Y,Z各成分である。C軸の回転誤差は、M
C_HのN
C_Hに対するX,Y,Z軸回りの傾きである。
【0060】
C軸の並進誤差および回転誤差はC軸位置cによって変化するので、本発明では、C軸の並進誤差および回転誤差はC軸位置cによって変化する
「EXC(c):C=cの時、N
C_HからM
C_Hへの距離のX成分」、
「EYC(c):C=cの時、N
C_HからM
C_Hへの距離のY成分」、
「EZC(c):C=cの時、N
C_HからM
C_Hへの距離のZ成分」、
「EAC(c):C=cの時、M
C_HのN
C_Hに対するX軸回りの傾き」、
「EBC(c):C=cの時、M
C_HのN
C_Hに対するY軸回りの傾き」、
「ECC(c):C=cの時、M
C_HのN
C_Hに対するZ軸回りの傾き」
とする。
【0061】
以下、簡単に表記するため、C軸の並進誤差および回転誤差「EXC(c)」,「EYC(c)」,「EZC(c)」,「EAC(c)」,「EBC(c)」,「ECC(c)」は「EXC
c」,「EYC
c」,「EZC
c」,「EAC
c」,「EBC
c」,「ECC
c」として表す。
【0062】
<3>A軸の並進誤差および回転誤差について
図20に、A軸の並進誤差および回転誤差を示す。実際の誤差は小さいが
図20では誤差を誇張して描いている。A軸の並進誤差および回転誤差は機械座標系XYZで定義される。A軸の並進誤差は、本来のC,A軸回転中心線の交点であるN
O_HにおけるN
A_HからM
A_Hへの距離のX,Y,Z各成分である。A軸の回転誤差は、M
A_HのN
A_Hに対するX,Y,Z軸回りの傾きである。
【0063】
A軸の並進誤差および回転誤差はC軸位置c、A軸位置aによって変化するので、本発明では、A軸の並進誤差および回転誤差はc,aによって変化する
「EXA(c,a):C=c,A=aの時、N
A_HからM
A_Hへの距離のX成分」、「EYA(c,a):C=c,A=aの時、N
A_HからM
A_Hへの距離のY成分」、「EZA(c,a):C=c,A=aの時、N
A_HからM
A_Hへの距離のZ成分」、「EAA(c,a):C=c, A=aの時、M
A_HのN
A_Hに対するX軸回りの傾き」、「EBA(c,a):C=c, A=aの時、M
A_HのN
A_Hに対するY軸回りの傾き」、「ECA(c,a):C=c, A=aの時、M
A_HのN
A_Hに対するZ軸回りの傾き」
とする。
【0064】
以下、簡単に表記するため、A軸の並進誤差および回転誤差「EXA(c,a)」,「EYA(c,a)」,「EZA(c,a)」,「EAA(c,a)」,「EBA(c,a)」,「ECA(c,a)」は「EXA
c,a」,「EYA
c,a」,「EZA
c,a」,「EAA
c,a」,「EBA
c,a」,「ECA
c,a」として表す。
【0065】
<4>C軸座標系について
図21Aに示すように、回転軸2軸に誤差がなく、かつC=0,A=0の時、原点が本来のC,A軸回転中心線の交点N
O_Hで、X,Y,Zの方向が機械座標系と同じである座標系X
cY
cZ
cをC軸座標系とする。
【0066】
C軸座標系が回転軸C軸に固定される。
図21Bに、C軸依存の並進誤差および回転誤差があり、かつC=0,A=0の時、並進回転誤差を持った回転軸C軸上に存在することを示す。
【0067】
<5>C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差について
図22Aに示すように、A軸を任意角度(a)に固定してC軸を0度にした時、機械座標系XYZで定義されたA軸依存の並進誤差(EXA
0,a,EYA
0,a,EZA
0,a)および回転誤差(EAA
0,a,EBA
0,a,ECA
0,a)をC軸座標系に変換すると、C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差は、
「EXA
0,a−EXC
0:C=0,A=aの時、C軸座標系X
cY
cZ
cにおけるZ
cからM
A_Hへの距離のX
c成分」、
「EYA
0,a−EYC
0:C=0,A=aの時、C軸座標系X
cY
cZ
cにおけるZ
cからM
A_Hへの距離のY
c成分」、
「EZA
0,a−EZC
0:C=0,A=aの時、C軸座標系X
cY
cZ
cにおけるZ
cからM
A_Hへの距離のZ
c成分」、
「EAA
0,a−EAC
0:C=0,A=aの時、C軸座標系X
cY
cZ
cにおけるM
A_TのZ
cに対するX
c軸回りの傾き」、
「EBA
0,a−EBC
0:C=0,A=aの時、C軸座標系X
cY
cZ
cにおけるM
A_TのZ
cに対するY
c軸回りの傾き」、
「ECA
0,a−ECC
0:C=0,A=aの時、C軸座標系X
cY
cZ
cにおけるM
A_TのZ
cに対するZ
c軸回りの傾き」
となる。
【0068】
図22Bに示すように、A軸を任意角度(a)に固定してC軸を0度以外(c)に変化させた時、C軸座標系X
cY
cZ
cとC=0,A=aの時のずれたA軸回転中心線M
A_Hは同時にC軸とともに運動するので、C軸を0度以外(c)に変化させても、C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差はC=0,A=aの時と同じで、「EXA
0,a−EXC
0」,「EYA
0,a−EYC
0」,「EZA
0,a−EZC
0」,「EAA
0,a−EAC
0」,「EBA
0,a−EBC
0」,「ECA
0,a−ECC
0」となる。
【0069】
<6>必要な測定データについて
図23Aに、回転軸2軸による2次元座標系空間を各軸方向に等間隔または不等間隔に分割した各位置を示す。分割した各位置におけるC軸依存の並進誤差および回転誤差、C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差を組み合わせると、
図23Bのようになる。縦列(C軸位置が同じである各位置)に、C軸位置が同じである各位置におけるC軸依存の並進誤差および回転誤差、C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差を示し、横列(A軸位置が同じである各位置)に、A軸位置が同じである各位置におけるC軸依存の並進誤差および回転誤差、C軸座標系から見たA軸依存の並進誤差および回転誤差を示す。
【0070】
図23A,
図23Bにより、
図24A,
図24Bに示すような必要な測定データを得る。
図23Aに示すような分割した各位置の中で、A=0,C=cの各位置(
図24Aの破線枠内)におけるC軸依存の並進誤差(EXC
c,EYC
c,EZC
c)および回転誤差(EAC
c,EBC
c,ECC
c)(
図24Bの破線枠内)を測定することが必要となり、C=0,A=aの各位置(
図24Aの点線枠内)におけるA軸依存の並進誤差(EXA
0,a,EYA
0,a,EZA
0,a)および回転誤差(EAA
0,a,EBA
0,a,ECA
0,a)(
図24Bの点線枠内)を測定することが必要となる。演算用測定データ入力部21(
図15参照)がこれらの必要な測定データの入力を行う。
【0071】
<7>回転軸依存の並進誤差補正量と回転誤差補正量について
回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量の少なくとも一方を求めるため、
図25のように、以下の座標系と正方向の回転方向を定義する。原点が本来のA,C軸回転中心線の交点で、X,Y,Zの方向が機械座標系と同じであるレファレンス座標系X
rY
rZ
r(静止座標系)を定義する。C軸座標系の定義と同じように、回転軸Aに固定される工具座標系X
tY
tZ
t(運動座標系)を定義する。回転座標軸の終端側からみて反時計方向への回転が回転軸の正方向の回転方向とする。
【0072】
レファレンス座標系X
rY
rZ
rに、次の変換[1]〜[6]を順に行うことにより、回転軸C軸をcに、回転軸A軸をaに変化させた時の工具座標系X
tY
tZ
tを得る。
[1]レファレンス座標系X
rY
rZ
rを基準座標系として、X
r,Y
r,Z
r軸周りにEAC
c,EBC
c,ECC
cの回転
[2]レファレンス座標系X
rY
rZ
rを基準座標系として、X
r,Y
r,Z
r軸に沿ってEXC
c,EYC
c,EZC
cの並進(座標系X
1Y
1Z
1になる)
[3]座標系X
1Y
1Z
1を基準座標系として、Z
1周りにcの回転(C軸座標系X
cY
cZ
cになる)
[4]C軸座標系X
cY
cZ
cを基準座標系として、X
c,Y
c,Z
c軸周りにEAA
0,a−EAC
0,EBA
0,a−EBC
0,ECA
0,a−ECC
0の回転
[5]C軸座標系X
cY
cZ
cを基準座標系として、X
c,Y
c,Z
c軸に沿ってEXA
0,a−EXC
0,EYA
0,a−EYC
0,EZA
0,a−EZC
0の並進(座標系X
2Y
2Z
2になる)
[6]座標系X
2Y
2Z
2を基準座標系として、X
2軸周りにaの回転(工具座標系X
tY
tZ
tになる)
上記の変換により、レファレンス座標系X
rY
rZ
rから工具座標系X
tY
tZ
tへの同次座標変換行列
rT
tは数5式で求められる。
【0074】
C,A軸依存の並進誤差および回転誤差を考慮すると、レファレンス座標系X
rY
rZ
rで工具の実際位置は数6式のようになる。
【0076】
一方、回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量「△X2
c,a:C=c,A=aの時、回転軸の移動による並進誤差補正量のX成分」、「△Y2
c,a:C=c,A=aの時、回転軸の移動による並進誤差補正量のY成分」、「△Z2
c,a:C=c,A=aの時、回転軸の移動による並進誤差補正量のZ成分」、「△I2
c,a:C=c,A=aの時、回転軸の移動による回転誤差補正量のX軸回りの傾き」、「△J2
c,a:C=c,A=aの時、回転軸の移動による回転誤差補正量のY軸回りの傾き」、「△K2
c,a:C=c,A=aの時、回転軸の移動による回転誤差補正量のZ軸回りの傾き」が十分小さい時、これらの補正量による変換行列は数7式となる。
【0078】
数6式の変換行列と数7式が等しいとすると、数8式を得る。
【0080】
なお、工具ヘッドにおける誤差に対してそれを引き戻すように補正を行うので、式8によって、工具ヘッドにおける誤差を符号反転した値が補正量となる(数9式参照)。
【0082】
数9式では、回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量を同時に求めるが、回転軸依存の並進誤差補正量と回転軸依存の回転誤差補正量のうち、一方だけでもよい。つまり、回転軸依存の並進誤差補正量または回転軸依存の回転誤差補正量のどちらか一方だけを上記計算で得ることにしてもよい。
【0083】
「<8>並進誤差補正量、回転誤差補正量の入力」以降は第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。