特許第5792258号(P5792258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5792258船舶のための有効な汚れ防止システムおよびプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792258
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】船舶のための有効な汚れ防止システムおよびプロセス
(51)【国際特許分類】
   B63B 59/04 20060101AFI20150917BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20150917BHJP
   C11D 3/39 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   B63B59/04 Z
   B63B35/44 B
   B63B35/44 C
   C11D3/39
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-222817(P2013-222817)
(22)【出願日】2013年10月25日
(62)【分割の表示】特願2008-547711(P2008-547711)の分割
【原出願日】2006年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-54983(P2014-54983A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2013年11月25日
(31)【優先権主張番号】11/311,955
(32)【優先日】2005年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591011421
【氏名又は名称】コノコフィリップス カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エー.・レバイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ピー.・マッデン
(72)【発明者】
【氏名】エー.・ステファン・バーン
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・リーア−アンデルセン
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−103090(JP,A)
【文献】 実開昭56−097192(JP,U)
【文献】 特開平05−202510(JP,A)
【文献】 特開2002−145184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 59/04
B63B 35/44
C11D 3/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶船体の船首から後部に延びている第1の軸と、前記船舶船体の右舷からポート側に延びている第2の軸と、前記船舶船体の水位から底に延びている第3の軸とを有し、係留されているフローティング貯蔵船(FSO)またはフローティング生産船(FPSO)の水中表面に汚れ防止溶液を供給するプロセスであって:
前記第1の軸の少なくとも一部に沿って延びている少なくとも1つの第1の管部材に沿って、第1の管部材に配置された複数の開口から前記水中表面に汚れ防止溶液を供給することを具備し、
前記汚れ防止溶液は、また、前記船舶船体の前記第2の軸の少なくとも一部に沿って延びている少なくとも1つの第2の管部材に沿って、第2の管部材に配置された複数の開口と、前記第3の軸の少なくとも一部に沿って延びている少なくとも1つの第3の管部材に沿って、第3の管部材に配置された複数の開口との少なくとも一方を介して前記水中表面に供給され、
このプロセスは、前記供給される汚れ防止溶液の量を表す信号を生成するように、前記船舶船体が位置する海流の向きと、海流速度と、の少なくとも一方のパラメータを表す信号により制御され、
前記汚れ防止溶液は、前記水中表面に前記水中表面の表面積の少なくとも60%に効果的な汚れ防止溶液の投与量で少なくとも2分間、汚れ防止組成物を供給することを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1ないし第3の管部材は、水中表面積の約0.006m/mから水中表面積の0.06m/mまでの組み合わされた長手方向の寸法を有する複数の管部材を含む請求項1のプロセス。
【請求項3】
前記汚れ防止溶液は、次亜塩素酸ナトリウムまたは水と次亜塩素酸ナトリウムとの反応生成物を含んでいる請求項1または2のプロセス。
【請求項4】
前記水中表面は、前記船舶船体の水中の表面であり、
前記汚れ防止溶液は、船舶船体で生成される請求項1ないし3のいずれか1のプロセス。
【請求項5】
前記汚れ防止溶液の前記投与量は、前記船舶船体の水中表面の表面積の少なくとも75%に、少なくとも60分間、供給される請求項4のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年12月19日に出願の米国出願シリアル番号第11/311,955号に基づいて優先権を主張する。
【0002】
連邦によって支持されたリサーチ記載(FEDERALLY SPONSORED RESEARCH STATEMENT)は適用不可(Not applicable)である。
【0003】
マイクロフィッシュの補遺に対する参照(REFERENCE TO MICROFICHE APPENDIX)は適用不可(Not applicable)である。
【0004】
この開示は、固定されたおよび/または停泊する船、例えばフローティング貯蔵船(floating storage vessels:FSO)、および、フローティング生産船(floating production vessels:FPSOs))、同じく固定された構造物を含む船舶の船体(hull)の汚れの制御、および、防止のためのシステム、および、プロセスに関する。特には、ここで記載されているシステム、および、プロセスは、船舶の船体または構造物に隣接する分散管を介して汚れ防止の組成物の制御された放出によって船舶の船体、および、構造物の汚れを防止することに関する。
【背景技術】
【0005】
海上環境における船舶の船体、および、他の構造物の汚れは、常に深刻な問題であった。フジツボ(barnacles)、尾索類の動物(tunicates)の外皮の形成、および、汚染有機体の様なものが船の重量を増加させ、このことにより利用できる貯蔵空間を減少させ、進行中の船をゆっくりさせ、その燃料消費量を増加させ、扱いを困難なものとし、したがって、船の性能、および、効率を低下させる。固定された構造物上の汚れは、重量を、および、したがって、構造的な負荷(loading)を増加させる。汚れも船舶船体のベース塗料に損害を与え、そして、このことにより船体を腐食に曝すこととなる。
【0006】
船が定位置で(in place)、または乾ドックで(in dry−dock)、機械的なおよび/または化学的な手段を使用して、船舶の船体汚損(hull fouling)は除去されることができる。しかしながら、これらの選択肢は、しばしば利用できないか、または、長い待ちの後にだけ、利用できる。船舶の船体または構造物が定位置でクリーニングされるとき、それはダイバーを使用することを共通の慣例とするが、しかしながら、ダイバーが水に侵入するときはいつでも、本来の危険性が存在する。加えて、ダイバーが船体または構造物を掃除するときはいつでも、ダメージは発生しうる。船舶の船体は、乾ドックにおいてクリーニングされるとき、最も近い利用できる乾ドックにて船は運転を休止ししなければならない。そして、それは通常、必要な作業に対してのみならず、雇用以外の時間に対しても、そのコストによって実質的な悪い財政的な帰結をもたらす。さらに、ドックでの海洋有機体の外皮の除去は、重要な規制、および、環境懸念を起こし得る。クリーニング現場から固定された構造物を除去することは、非実用的である。
【0007】
以前に試みられた改善策は、例えば銅またはスズの塩類のような海洋成長防止剤をゆっくり放出する有毒塗料を使用すること、または非常に滑らかで、汚れ有機体が船舶船体の表面に付着するのが困難となるシリコーンベースの塗料を使用することを含む。防止剤が塗料から浸出するまで、これらの方法は効果的であり、すなわち、塗料がダメージを受けると、汚れは再び生じる。そして、船のドライドッキングが汚れ材料を除去し、および、船体をリペイントすることを必要とする。また、これらの汚れ防止薬品は、長い期間海上環境の中に残る。それゆえに、汚れ防止コーティングでもっとも有毒性のものは、世界的に禁止され、より少ない有毒性のものによって置き換えられているが、しかし、効果的なコーティングもより少ない。長い期間、海上環境にて操作されることが予定される構造物、および、船舶、例えばFSOまたはFPSOsにとって、汚れは、さらにより大きな問題である。
【0008】
海洋の汚れを制御し、および防止する別のアプローチは、船の竜骨(keel)の対向側に位置する一対の電極と、電極に電流を供給する手段とを含む汚れ防止システムを使用することを有する。海水の電気分解は、例えばフジツボ、藻、菌類、および、他の海洋生物を除去する塩素、および、次亜塩素酸ナトリウムのような有毒な薬品を船体に隣接して生成する。
【0009】
しかしながら、このようなシステムは、船体に供給される汚れ防止組成物の濃度の予測可能な制御を提供しない。加えて、電極は通常のメンテナンスを必要とし、それは、電極が竜骨に隣接する船体の外側に位置するという理由から、困難となりうる。
【発明の概要】
【0010】
フローティング貯蔵(FSO)、および、生産(FPSOs)のために使用する船を含む船舶船体、および、構造物の汚れの防止のためのシステム、および、プロセスは、船または構造物を水から出す必要性がないことを開示する。プロセスは、汚れ防止組成物と水位下の船または構造物の表面積(surface area)と、汚れを防止する十分な時間接触するように、水位下に放出される汚れ防止組成物の制御された放出を含む。説明を簡単にするため、水位下にある船舶船体または構造物の表面積の部分は、時々、以下で「船舶船体または構造物の表面(surface)」、または、「船舶船体または構造物の表面積(surface area)」として称し、しかしながら、これらのフレーズは、水位下にある船舶船体または構造物の表面積の部分を意味するものと理解されるべきである。
【0011】
一態様において、本発明の実施形態は、汚れ防止組成物を供給するプロセスを提供し、このプロセスは、汚れ防止組成物を水中表面に供給することを含み、特に、船舶船体の水中表面で、特に水中表面の表面積の少なくとも60%に、少なくとも2分間の汚れ防止投薬量が効果的であり、汚れ防止組成物は、長手方向の寸法、および、横寸法を有する少なくとも1つの管部材(tubing member)に沿って配置されている複数の開口を介して水中表面に供給される。いくつかの実施形態において、特に構造物が船または他の船舶であるところで、プロセスは、船上構造物で汚れ防止組成物を生成することを更に含む。ここで記載されているプロセスのいくつかの実施形態は、ここで記載されている構造物によって、最適に実行されることができる。
【0012】
したがって、別の態様においては、本発明の実施形態は、水中表面と;縦軸、および、管部材の縦軸に沿って配置された複数の開口を有する少なくとも1つの管部材であって水中表面に隣接して配置されている管部材と;および、管部材を介して表面に汚れ防止組成物を供給するための手段とを含む構造物を提供する。具体例において、水中表面は、船舶船体の少なくとも一部の水中表面である。
【0013】
ある実施形態では、構造物の水中表面は、船舶船体の一部の水中表面である。構造物が水中表面を有する船舶または別の構造物であるかどうかに関係なく、いくつかの実施形態は、汚れ防止組成物を作成するための手段を更に備える。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、水中表面積の約0.006m/mから、水中表面積の0.06m/mまで、組み合わされた長手方向の寸法を有する複数の管部材を含む。他の実施の形態において、管部材は、処理される水中表面の表面積の1平方メートルにつき約0.0915の開口から、表面積の1平方メートルにつき約0.197の開口を有する。このような管または開口構成を有する具体例が、船舶船体の水中部分に使われる。
【0015】
長手方向の寸法に独立して、本発明のいくつかの実施形態は、システムが水中表面の表面積の少なくとも60%まで効果的投薬量で汚れ防止組成物を少なくとも2分の期間、供給することが可能であるように、複数の開口が構成される複数の管部材を含む。他の実施の形態において、管部材は、汚れ防止組成物の効果的適用量を少なくとも60分の期間、水中の表面積の少なくとも75%から90%に供給するように構成される。一般的に、表面積の割合は、計算流体力学モデルを使用して決定されるが、しかし、他のいかなる適切な方法も用いられることができる。いくつかの管部材は、1平方メートルにつき約0.0915の開口から1平方メートルにつき約0.197の開口までを範囲としている「孔密度(hole density)」(水中表面の表面積の1平方メートルあたりの穴の数)を有する。
【0016】
いかなる汚れ防止組成物も、用いられることができる。1つの適切な汚れ防止組成物は次亜塩素酸ナトリウム、または水と次亜塩素酸ナトリウムの反応生成物を備えている。そういった汚れ防止組成物は、水中表面に少なくとも0.2ppmの有効塩素を提供することが可能な次亜塩素酸ナトリウムの溶液を含む。
【0017】
別の態様においては、本発明の実施形態は、汚れ防止組成物を供給するシステムを提供する。このようなシステムの実施形態は、汚れ防止組成物を海洋構造物または船舶の水中表面に隣接して配置される少なくとも1つの管部材に供給する手段を含む。一般的に、少なくとも1つの管部材が汚れ防止組成物の効果的適用量を水中表面の少なくとも60%に供給することが可能であるように、少なくとも1つの管部材は、適切なサイズの、および、適切な位置に複数の開口を具備する。いくつかの実施形態において、水中表面積の約0.006m/mから水中表面積の0.06m/mまで組み合わさられた長手方向の寸法を有する管部材は特に適切であり、とりわけ、そこで、それらが水中表面に少なくとも0.2ppmの有効塩素を提供することが可能な次亜塩素酸ナトリウム溶液を提供するために構成される。
【0018】
さらに別の態様において、本発明の実施形態は、船舶船体の水中表面に供給される汚れ防止組成物の適切な量を決定する方法を提供する。具体例において、方法は、船舶が位置する水の海流(current)の流れの向きを表わす第1の信号を生成すること;船舶が位置する水の海流の流れ速度を表わす第2信号を生成すること;船舶が位置する水の温度を表わす第3の信号を生成すること;および、放出される汚れ防止組成物のボリュームを表わす第4の信号を生成するために第1の信号、第2信号、および、第3の信号を使用することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法は、船舶船体の水中表面の表面積の少なくとも60%に対する効果的投薬量の汚れ防止組成物を提供する送出システムから放出される汚れ防止組成物のボリュームを決定する。いくつかの実施形態において、方法は、分散されるべきである少なくとも0.2ppmの有効塩素を提供することが可能な次亜塩素酸ナトリウム溶液のボリュームを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ここで記載されているシステムの実施形態に係る分散管のセクションの図である。
図2】ここで記載されているシステムの実施形態に係る分散管のセクションの断面図である。
図3】ここで記載されているシステムの実施形態の概略図である。
図4】汚れ防止組成物放出システムの実施形態を記載したものである。
図5】汚れ防止組成物放出システムの実施形態を記載したものである。
図6】汚れ防止組成物放出システムの実施形態を記載したものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
システム、および、プロセスは、フローティング貯蔵(FSO)、および、生産(FPSOs)のために使用される船舶を含む船舶船体、および、固定構造物の汚れを、船舶または構造物を水から出す必要なしで、防止し、および/または制御するために開示される。
【0022】
システム、および、プロセスは、船舶船体または構造物の表面まわりの汚れ防止組成物の放出に関する。船舶船体のまわりの汚れ防止組成物の放出の慎重な制御によって、船舶または構造物の運転を休止することなく、表面上の海洋有機体の成長を防止し、または制御することは可能であることが見いだされた。ここで記載されているシステム、および、プロセスは、船舶が係留されるかまたは停泊するか、または船舶が進行中に、船舶船体の汚れを防止し、または制御するために使用される。ここで記載されているシステム、および、プロセスは、汚れの除去が一旦発生したならば必要とされるような、ダイバーの使用、および/または水中の補助装置(汚れ防止溶液のための分散手段以外)の配置を必要としない。
【0023】
上記のように、ここで記載されているシステム、および、プロセスは、船舶船体または固定された構造物の表面のまわりの汚れ防止組成物を分散させる。システムは、汚れ防止溶液を作成しおよび/または貯蔵する生産および/または貯蔵手段と、生産および/または貯蔵手段から溶液を分散手段へ移送する移送手段と、および、複数の開口を有する分散管部材のような船舶船体または構造物の表面に汚れ防止組成物を分散させる分散手段とを含むことができる。
【0024】
A.汚れ防止溶液
汚れ防止組成物は、船舶船体または構造物の表面上の汚れを防止、および/または制御することができるいかなる溶液でもよい。次亜塩素酸ナトリウム溶液は、汚れ防止溶液の1つの実施例である。次亜塩素酸ナトリウム溶液の汚れ防止効果は「有効塩素(available chlorine)」による。そして、次亜塩素酸ナトリウムの酸化容量の基準(a measure of oxidizing capacity)が塩素に関して表される(expressed in terms of chlorine)。「有効塩素」は、次亜塩素酸ナトリウムの分子量(molecular weight)に対する塩素の分子量の比率によって次亜塩素酸ナトリウム濃度を倍加させること(すなわち比率70.9/74.5によって倍加させること)によって算出されることができる。
【0025】
たとえば、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の2000ppmの溶液の有効塩素(Cl)濃度は、以下の通りに算出されることができる:
2000ppm NaOCl×(70.9/74.5)=1903ppm 有効Cl
海洋汚れを防止するために必要とされる次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、低い。いかなる望ましい濃度も、使われることができる。低い濃度は、使用されることができるが、次亜塩素酸ナトリウムを含むような汚れ防止組成物の効果的な濃度は、一般的に汚れの防止または制御のために船舶船体または構造物表面を取り囲んでいる水中に少なくとも約0.2ppmの有効塩素を提供する。当然、低い濃度が、効果的ものとならないことがある。特定の実施形態において、船舶船体または構造物表面を取り囲んでいる水中に少なくとも約0.4ppmの有効塩素濃度を提供する次亜塩素酸ナトリウム溶液は、使用されることができる。さらに他の実施形態において、船舶船体または構造物表面を取り囲んでいる水中に少なくとも約0.6ppmの有効塩素濃度を提供する次亜塩素酸ナトリウム溶液は、使用されることができる。次亜塩素酸ナトリウムのより高濃度が使われることができるが、それは必要なものとはなり得ず、環境懸念を起こすこととなり得る。
【0026】
次亜塩素酸ナトリウム以外の汚れ防止薬品を備えている組成物は、ここで記載されているシステム、および、プロセスによって使用することができ、たとえば、溶液中に次亜ハロゲン酸を作成することが可能な化合物含むものが使用できる。
【0027】
いくつかの実施形態において、発明の汚れ防止組成物は、現場で生成されることができる。たとえば、次亜塩素酸ナトリウムを備えている汚れ防止組成物を使用している実施形態で、海水中の塩化ナトリウムの電気分解の変換は、次亜塩素酸ナトリウムを生成するために実行されることができる。次亜塩素酸ナトリウムの現場生産は、有害化学物質の輸送、および、貯蔵を伴う費用、および、他の問題を減らすかまたは取り除く。次亜塩素酸ナトリウムが閉じられた管路系において扱われることができるという理由から、それは、また、バルク腐食性材料のハンドリングを減らすかまたは取り除く。船舶または構造物上の人員は、次亜塩素酸ナトリウム生成システムを操作し、維持するために容易に訓練されることができる。更に、次亜塩素酸ナトリウムが低い濃度で海洋汚れを防止するのに効果的であるので、それは環境懸念を減らしまたは取り除き、それは短時間内で塩類、および、水に戻り、それは残留物を環境に有害なままにしない。
【0028】
B.汚れ防止溶液の貯蔵/生産
ここで記載されているプロセスおよびシステムで使用する汚れ防止組成物の適切な量を貯蔵することができるいかなる船舶も、用いられることができる。理想的には、汚れ防止溶液によって接触する場合に、貯蔵船は腐食に耐える。当業者は、汚れ防止組成物の性質を考慮にいれた適切な貯蔵船を容易に選ぶことができる。
【0029】
汚れ防止組成物が次亜塩素酸ナトリウムを含む実施形態において、貯蔵船は、また、適切な電気分解の装置、たとえば、銅または他の適切な電極、および、電極に電流を供給する手段を含むことができる。次亜塩素酸塩濃度は、当業者にとって周知の技術を使用して測定されることができる。
【0030】
C.移送、および、ポンプ手段
汚れ防止組成物によって腐食しない移送手段の任意のタイプ、例えばパイプ、および、ポンプの任意のタイプは、生産または貯蔵ユニットから、最後に、船舶船体または構造物の表面に供給する分散手段まで、汚れ防止組成物を移送するのに使用される。パイプに用いられる典型的な材料は、ステンレス鋼、チタン、繊維ガラス、PVC、および、他のプラスチック材料、並びに、他の防腐配管材料の種々を含む。
【0031】
D.分散手段
汚れ防止組成物は、何らかの種々の分散手段を使用して、船舶船体または構造物の表面に分散させることができる。分散手段は、適切な部分に汚れ防止組成物を、汚れが防止され、および/または制御されるように船舶船体または構造物の表面に一般に少なくとも約60%で、提供することが可能でなければならない。
【0032】
1つの実施形態において、分散手段は、複数の開口を有する少なくとも1つの管部材を具備する。ここで、開口を介した汚れ防止組成物の通路は、溶液を船舶船体または構造物の表面に供給する。
【0033】
管部材は、種々の材料から作られることができる。典型的な材料は、繊維ガラス、PVC、ステンレス鋼、チタン、および、種々の他の防腐配管材料である。管部材の材料の厚さは、約0.05mmから約12mmまでの範囲である。管部材の直径は、最高200mmであることができる。ある種の実施形態では、管部材の直径は、約25mmから約50mmまである。他の実施の形態において、管部材の直径は、約50mmから約100mmまである。さらに他の実施形態において、管部材の直径は、約100mmから約150mmまである。管部材の断面は、種々の形状であることができる。ある種の実施形態では、断面は、円形である。他の実施の形態において、断面は、半分円である。これらの実施形態の特定のものにおいて、断面が半分円であるときに、管部材の平坦な側は、船舶船体の表面に配置されていることができる。他の実施の形態において、管部材の断面は、楕円である。
【0034】
ある種の実施形態では、汚れ防止組成物は、船舶船体または構造物の表面エリアに隣接して位置する少なくとも1つの管部材の複数の開口を介して放出され、複数の開口に存在する静圧より上の約1.5kPaから約280kPaまでの圧力で放出される。当然、複数の開口の静圧は、個々の開口で水深によって異なることは、理解される。他の実施の形態において、汚れ防止組成物は、複数の開口に存在する静圧より上の約2kPaから約100kPaまでの圧力で、複数の開口を介して放出される。付加的な実施形態において、汚れ防止組成物は、複数の開口で存在する静圧より上の約5kPaから約75kPaまでの圧力で、少なくとも1つの管部材の複数の開口を介して放出される。
【0035】
明らかなように、船舶船体、および、固定された構造物の多くの異なるサイズ、および、形状がある。この場合、ここで記載されているシステムは、汚れ防止溶液の効果的投薬量を確実に送出するような種々の構成にて提供されることができることは明瞭である。システムは、縦軸、および、横軸を有する少なくとも1つの管部材を理想的に含み、このような各々の管部材は、管部材の縦軸に沿って配置された複数の開口を有する。このような各々の管部材の少なくとも一部は、水位下で、船舶船体または構造物の表面に隣接して位置される。管部材の開口の間隔、サイズ、および、形状は、カバーされる船舶船体または構造物の表面積、および、管部材から放出される所望の汚れ防止組成物のボリュームによって変化する。
【0036】
図1は、開口3が管部材の縦軸に沿って離間する典型的な管部材1のセクションを記載する。管部材1は、水位下で配置されていて、および、船舶船体または構造物5の表面と隣接している。図2は、図1において記載される同じ実施形態の図の断面図を提供する。水位下で、および、構造物または船舶船体の表面に隣接して配置されるときに、管部材1は、船舶船体または構造物表面と接触して配置されることができ、または、構造物または船舶船体の表面から最高12mmの位置に配置されることができる。例えば海流の中の係留船(moored ship)のように、もし船体が可動であるか、または、船体を取り囲んでいる水が船体に対して可動であるならば、通常、汚れ防止組成物が船舶船体または構造物の表面に沿って存在する水の境界層に放出されるように、管部材を配置することは、望ましい。境界層は、船体または構造物の表面を過ぎる水流として作成される船舶船体または構造物と隣接する乱流の範囲である。境界層に汚れ防止組成物を放出することは、船舶船体または構造物から離れていく汚れ防止組成物の傾向を減らし、船舶船体の表面と接触して汚れ防止組成物を保つのを助ける。
【0037】
図1、および、図2において記載される実施形態において、開口3からの汚れ防止組成物のフローが船舶船体または構造物の表面に平行であるように、開口3は配置される。一般に汚れ防止組成物が管部材の後流下流(wake downstream)において供給されないように、すなわち、汚れ防止組成物が後流エリアの外に(outside of the wake area)供給されるように、解放穴の軸(開口)を配置することは、望ましいが、しかしながら、管部材の開口が、船舶船体の表面に対してさまざまな角度で位置されることができることは、理解される。
【0038】
1つの実施形態において、開口は、通常、円形形状であり、約2mm〜約15mmの直径を有し、および、開口のセンターの少なくとも80%が20cm〜約50cmの間隔で離間されている。別の実施形態において、開口は約3mm〜約10mmの直径を有し、および、開口のセンターの少なくとも80%は、約25cm〜約40cm間隔で離間されている。他の実施の形態において、開口は約4mm〜約8mmの直径を有し、および、開口のセンターの少なくとも80%は約30cm〜約40cm間隔で離間されている。ここで目的とする計算流体力(「Computational Fluid Dynamics:CFD」)モデルのために、実際には、強度の考慮を理由に、実施例3〜5においてモデル化されたような一連の穴またはスロットがたぶん利用されるのに反して、連続する開口またはスロットが実施例1、および、2に対する放出をモデルに使用される。
【0039】
E.分散手段のアレイ
船舶船体、および、固定された構造物の複雑なジオメトリのため、船舶船体または構造物の表面に汚れ防止組成物の効果的適用量の送出を達成することは、一般的に、分散手段、例えば管部材のアレイ(または複数の分散手段)を提供するのに必要である。図3は、管部材のアレイが提供されるこの開示に係るシステムの概略表現を提供する。図3において記載されるシステムは、汚れ防止溶液を作成する装置を含む。特に、シーチェスト(sea chest)7が、次亜塩素酸ナトリウム発生器9に汲み出される海水のソースとして使われる。次亜塩素酸ナトリウム溶液は、それで、次亜塩素酸ナトリウム溶液が前述したように一連の開口(図示せず)を介して放出される管部材11のアレイを介してそこから汲み出される。貯蔵タンクは、ジェネレータが一定速度で動き、投薬することが変化する時間間隔で管理されることができるように、次亜塩素酸ナトリウムの蓄積を可能とする。
【0040】
ある種の実施形態では、ここで記載されているシステム、および、プロセスは、分散手段を介して、船舶船体または構造物の表面積の少なくとも約60%まで効果的投薬量で汚れ防止組成物を供給することが可能である。他の実施の形態において、ここで記載されているシステム、および、プロセスは、汚れ防止組成物の効果的適用量を船舶船体または構造物の表面積の少なくとも約75%に供給することが可能である。さらに他の実施形態において、ここで記載されているシステム、および、プロセスは、汚れ防止組成物の効果的適用量を船舶船体または構造物の表面積の少なくとも90%に供給することが可能である。
【0041】
ある実施形態において、汚れ防止組成物の効果的適用量は、汚れ防止結果を提供するために24時間の期間に少なくとも2分間の少なくとも1つの連続した期間、供給される。他の実施の形態において、汚れ防止組成物の効果的適用量は、汚れ防止結果を提供するために24時間の期間に少なくとも30分間の少なくとも1つの連続した期間、供給される。付加的な実施形態において、汚れ防止組成物の効果的適用量は、汚れ防止結果を提供するために24時間の期間に少なくとも60分間の少なくとも1つの連続した期間、供給される。
【0042】
汚れ防止組成物の所望の濃度を船舶船体または構造物の表面に供給するのに必要な管部材のアレイの構成は、当然、アレイがインストールされる船舶船体または構造物のサイズ、および、ジオメトリに依存している。アレイの構成は、また、構造物または船舶のサービスに依存している。ほとんどの船舶への導入に対して、管部材の縦軸が船舶船体の長さに沿って、すなわち、船首から船舶の後部まで延びている軸に沿って、向きを定められる少なくとも1つの管部材を含むことを必要とされる。加えて、ほとんどの船舶で、管部材の縦軸が船舶船体の幅に沿って、すなわち、右舷の側から船舶のポート側まで延びている横軸に沿って、通常、向きを定められる少なくとも1つの管部材を含むことは、望ましい。多くの実施形態において、両方の軸に沿って向きを定められる複数の管部材は、望ましい。船舶船体の長さか幅に沿って延びるように管部材の縦軸の方位が記載されているが、管部材がそれらの軸に角度を有して配置されることができることは理解される。通常、少なくとも1つの管部材が、船首から船舶船体の後部まで延びている軸の少なくとも一部に沿って延びること、および、少なくとも1つの管部材が、右舷から船舶船体のポート側まで延びている軸の少なくとも一部に沿って延びることを目的とする。管部材は、また、船舶の船体の長さに沿って異なるポイントで配置されることができ、および/または、船舶船体の垂直軸に沿って、すなわち、水位から船舶船体の底まで延びている軸に沿って、配置されることができる。
【0043】
管部材のアレイ内の管部材間の間隔は、船舶船体の表面での汚れ防止組成物の所望の濃度に、および、船体の周辺の海流の流れのような他のファクタに依存して変化することができる。1つの実施形態において、管部材の縦軸は、約5mから約150m間隔で離間される。別の実施形態において、管部材の縦軸は、約5mから約100m間隔で離間される。第3の実施態様において、管部材の縦軸は、約10mから約30m間隔で離間される。
【0044】
F.船舶船体に対する分散手段のアタッチメント
分散手段、例えば管部材は、種々の方法のいずれかで、船舶船体に隣接して取り付けることができる。管部材を取り付けるための手段は、同様に他の分散手段に適用されることができる。たとえば、管部材は、船体表面に直接、または船体に溶接スタッド(welded studs)を取り付けて、そのスタッドに管部材を締めつけることによって取り付けられることができる。別の形態として、管支持装置(pipe hangers)は、船体に溶接され、管部材が、それで、ハンガーに管部材を固定することによって取り付けられることができる。管を固定する他の共通化方式が、また、使われることができる。
【0045】
議論されるように、管部材の間隔は変えることができる。汚れ防止組成物で船舶船体の効果的なカバーを提供する1つの方法は、長手方向、および、横断方向の管部材の組合せのアレイによって達成されることができる。特定のサービス、および、水の条件下の個々の船体または構造物の最も効果的なアレイは、CFD数理モデル化技術を使用して決定されることができる。このようなアレイの管部材を配置することによって、通常、組み合わされた長さ寸法(linear dimensions)の間の、言い換えれば、アレイの管部材の組み合わされた長手方向の寸法と、船舶船体の表面積との間の最適であるか好適な関係があることが分かる。ある種の実施形態では、船舶船体または構造物の表面積に対する管部材の組み合わされた長さ寸法の関係は、水中表面積の約0.006m/mから水中表面積の0.06m/mまである。他の実施の形態において、船舶船体または構造物の表面積に対する管部材の組み合わされた長さ寸法の関係は、表面積の約0.008m/mから表面積の約0.08m/mまである。付加的な実施形態において、船舶船体または構造物の表面積に対する管部材の組み合わされた長さ寸法の関係は、表面積の約0.01m/mから水中表面積の0.1m/mまである。
【0046】
ある種の実施形態では、システムの管部材の全ての開口の総数と、船舶または船体の表面積との間の最適であるか好適な関係も、また存在する。ある種の実施形態では、表面積の平方メートルあたりの全開口の数は、表面積の1平方メートルあたり約0.0915開口から表面積の1平方メートルあたり約0.197開口までの範囲とする。他の実施の形態において、表面積の平方メートルあたりの全開口の数は、表面積の1平方メートルあたり約0.05開口から表面積の1平方メートルあたり約0.40開口までの範囲とする。さらに他の実施形態において、表面積の平方メートルあたりの全開口の数は、表面積の1平方メートルあたり約0.025開口から表面積の1平方メートルあたり約0.80開口までの範囲とする。
【0047】
G.汚れ防止溶液の効果的投薬量の選択
上記のように、管部材からの汚れ防止組成物の効果的適用量の放出の提供において作用する多くの変数が、存在する。構造物または船舶船体のサイズ、および、ジオメトリに加えて、速度のような流動条件、および、構造物または船舶船体の表面周りの水の運動の方向は、汚れ防止溶液の効果的投薬量の送出を達成する際に考慮されるファクタである。水流の速度、および、方向は、海流(currents)、風、潮流(tides)、および、船舶動きの累積的な効果である。加えて、温度、および、船舶船体ドラフトのような条件も、また、ファクタである。
【0048】
これらのさまざまな条件の一部または全ては、船舶船体または構造物の表面積に汚れ防止組成物の送出を制御する際に考慮される。上で記載されているいくつかの又は全部の条件を考慮するプロセスコントロールシステムは、提供されることができる。プロセス制御方法は、汚れ防止組成物の所望の濃度を船舶船体の表面に供給するために、汚れ防止組成物送出システムから放出される汚れ防止組成物のボリュームを表す信号を生成するように、船舶船体が位置する海流流れの向き、海流速度のような1つ以上のパラメータを表す信号を生成するステップを含む。たとえば、システム、および、プロセスは、スタンドアロンまたは集積化されたプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)を使用して、制御されることができる。PLCは、汚れ防止溶液の放出を調整するために、選択されたパラメータをモニタし、最後に信号をバルブ、モーター、モータースターターなどに送信するために使用される。
【0049】
多種多様な入力パラメータは、ここで記載されるシステム、および、プロセスを制御するのに使用されることができる。考慮されることができるパラメータの多数は、上で議論される。考慮されることができる付加パラメータは、水混濁度、水塩分、構造物または船舶船体の表面の周りの水中の汚れ防止組成物濃度の直接測定、汚れ防止組成物の濃度、海流の方向および速度、圧力、並びに、潮流を含む。
【0050】
ある種の実施形態では、汚れ防止組成物の放出の制御は、一連の信号を生成することによって、以下の通りにフィードバック制御機構を提供するように制御される:
(i) 船舶が位置する水の海流流れの向きを表す第1の信号を生成すること;
(ii) 船舶が位置する水の海流流れの速度を表す第2の信号を生成すること;
(iii) 船舶が位置する水の温度を表す第3の信号を生成すること;
(iv) 汚れ防止組成物を供給するシステムから、効果的濃度で、例えば次亜塩素酸ナトリウムに対して約0.2ppmから約2ppmまでの濃度で、船舶船体の表面積の少なくとも60%につき少なくとも1分間、放出されるのに必要な汚れ防止組成物のボリュームを表す第4の信号を生成するために第1の信号、第2の信号、および、第3の信号を用いること。
【0051】
本発明は、次の限定されない実施例を参照してよりよく理解される。
【0052】
実験的なエバリュエーション
この開示に係るさまざまなシステム、および、プロセスの実験的なエバリュエーションは、CFDモデリングを使用してSSPAスウェーデン社(SSPA Sweden AB)によって実施された。次のものは、ここで記載されるシステム、および、プロセスの典型的な実施形態であり、汚れ防止組成物の有効量を船舶船体の表面積の少なくとも60%に供給することが可能なCFDモデリングによって決定される。より高いカバレージ、すなわち表面積の100%近くのカバレージは、実施例3〜5において得られる。これらの例示的実施形態の船舶船体の表面で汚れ防止組成物の有効量を提供するのに必要とされる汚れ防止組成物の表面積カバレージ、および、放出速度は、いずれの場合においてもCFDモデリング使用して算出された。
【0053】
以下に記載する実施形態の全てにおいて、CFDモデリングは、258mの長さ、52mの幅、および、18.25mの最大ドラフトを有する船舶に基づく。最大ドラフトでの水位下の船舶船体の表面積は、約22,800mであると算出される。
【0054】
以下に記載される実施形態に示される全ての算出は、海水中の次亜塩素酸ナトリウムの汚れ防止組成物のモデル化された放出に基づく。CFD算出は、次亜塩素酸ナトリウム溶液放出が少なくとも1分間の期間、連続的であることを仮定する。次の実施形態の全ての条件は、最適化され、完全に水位下に船舶船体の表面の少なくとも60%に渡って、少なくとも2ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度を供給する。
【0055】
実施例1〜2
実施例1、および、2において、モデリングは、船舶がタレット係留によって停泊し、水のフ流れの角度が常に船舶船体の中心線に沿ってあるために、船舶が海流、および、風によって回転することが可能であるという仮定によって実行された。実施例1、および、2において、更に、モデリングは、放出された汚れ防止組成物が0.00200kg次亜塩素酸ナトリウム/kg海水の次亜塩素酸ナトリウムの濃度を有するという仮定によって実行された。
【0056】
実施例1は、2.5m/sの水の海流速度、および、14.5mの船体ドラフトの典型的な汚れ防止システムの性能を記載する。モデル化されたシステムにおいて、船舶船体20は、図4にて図示するように、1つの中心線の管部材22、および、3つの横断方向の管部材24、26、および、28で提供される。この例では、中心線管部材22は、船首と隣接し、船首から、9.2mポイント(x=9.2m)に船体の中心線(船体の座標系のx軸によって同一直線上の)に沿って続いている。横断方向の管部材24は、船首から、20メートル離れたところ(x=20m)にy軸によって平行の船体を横断する。横断方向の管部材26は、船首から、110m離れたところ(x=110m)にy軸によって平行の船体を横断する。横断方向の管部材28は、船首から、200m離れたところ(x=200m)にy軸によって平行の船体を横断する。この例では、管部材は0.05mの半径を有するように構成される。そして、半円筒によって規定される。横断方向の管部材24、26、および、28は、0.007854mの幅、および、0.3406599mのエリアを有する。中心線管部材は、0.189304mのエリアを有するように構成される。管部材の特定の寸法の位置、および、ジオメトリは、図4にて提供される。実施例1、および、2に関して報告された全てのモデリングに対して、管部材内の連通孔(continuous holes)(またはスロット)は、汚れ防止溶液の放出をモデル化するのに使用された。構築される実施形態に対して、複数の開口または穴を有する管部材は、連通孔またはスロットよりむしろ、選択のデザインとして考慮される。各々の管部材から汚れ防止組成物の放出速度、および、ボリューム放出速度は、また、表1において提供される。
【0057】
上記のように、図4に示す管構成、および、汚れ防止組成物ボリューム放出速度は、水位下にある船舶船体の表面の少なくとも60%に渡って、少なくとも2ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度を供給する。放出された必要な0.00200kg次亜塩素酸ナトリウム/kg海水の溶液に関して、CFDモデリングの結果は、図4に記載された分散管構成、および、実施例1に対して明示された仮定に基づいて、2.8m/sの汚れ防止組成物ボリューム放出速度が望ましいことを証明する。
【表1】
【0058】
実施例2は、0.41m/sの水の海流速度、および、9.0mの船体ドラフトに対する典型的な汚れ防止システムの性能を記載する。図5にて図示するように、このモデル化されたシステムにおいて、船舶船体30は、船体の船首部分で、2つの一般に縦型中心線管部材32、および、34を提供する。付加的な船首部管部材36は、また、提供された。最後に、横断方向の管部材は、提供される。この例では、全ての管部材は0.05mの半径を有する。そして、一片によって(by a strip)シミュレーションされた船首の中心線と共に平行の管部材32以外は、半円筒によって規定される。中心線管部材は、管部材32、および、32’に分けられる。管部材32は、z−寸法(z−dimension)が−5m(エリア=0.03886m)未満であり、管部材32’は、z−寸法が−5m(エリア=0.04155m)より大きい。図5にて図示するように、船首にて構成される管部材34、および、36は、エリア=0.1818mを有する。図5において記載されるように、横断方向の管部材は、管部材38、40、および、40’に分けられる。管部材38は、x=20mのところで使用され、yは、17m(エリア=0.1333m)未満であり、管部材40、および、40’は、×=20mのところで使用され、yは17m(エリア=0.1347m)より大きい。
【0059】
各々の管部材からの汚れ防止組成物の放出速度、および、ボリューム放出速度は、表2において提供される。
【0060】
図5に示す管構成、および、放出速度は、水位下の船体の少なくとも60%の表面に渡って、少なくとも2ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度を供給する。放出された必要な0.00200kg次亜塩素酸ナトリウム/kg海水の溶液に関して、図5に記載される管構成、および、実施例2に明示された仮定に基づくCFDモデリングの結果は、0.1961m/sの溶液ボリューム放出速度が望ましいことを証明する。それゆえに、仮定された条件に対して、モデリングは、図5に記載された放出管構成が船舶船体の表面で2ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度を達成することで、図4において記載される構成より効果的なことを示す。
【表2】
【0061】
実施例3〜5
実施例3〜5のモデル化は、船舶が広げられた係留によって停泊するという仮定によって実行された。そして、それは、海流流れ、および、風で船舶が回転するのを禁止する。それで船舶船体を過ぎた所の海流流れの角度が変化する。実施例3〜5において、管部材のより広範囲なアレイは、実施例1、および、2においてモデル化された構成と比較して提供される。実施例3〜5において、更に、モデリングは、放出される汚れ防止組成物が0.02kg次亜塩素酸ナトリウム/kg海水の次亜塩素酸ナトリウムの濃度を有するという仮定によって実行された。実施例3〜5において使用された管のより広範囲なアレイは、−45度から+45度までの範囲としている海流流れオフセット角の状態下で、効率的に汚れ防止組成物の所望の濃度を船体の全てのエリアに分配するために設計されている。海流流れのオフセット角に従い、異なるアレイのチューブから異なる放出速度が必要である。
【0062】
実施例3〜5において使用される分散管構成は、図6に記載される。図6に記載されたシステムにおいて、船舶船体50は、船首の中心線で、縦型管部材52が提供される。中心線の右舷(starboard)、および、ポート側(port side)に、縦型管部材54S、および、54Pが提供される。5つの一般的な縦型管部材56S〜64Sは船舶船体の右舷側に沿って提供され、5つの一般的な縦型管部材56P〜64Pは船舶船体のポート側に沿って提供される。横断方向の管部材66は、船首に沿って提供される。最後に水平管部材68S、および、68Pは、それぞれ船体の右舷、および、ポート後ろの側に沿って提供される。
【0063】
管部材の特定の寸法の位置、および、ジオメトリは、図6に記載される。管部材の直径、管部材の開口の直径、開口間の間隔、および、各々の管部材の開口の総数は、表9に提供される。管部材の直径は、半円によって規定される。管部材56S〜64S、および、56P〜64Pは、縦方向から20度回転される。
【0064】
中心線に対して0度の海流オフセット角に対して、高い放出速度が、横断方向の管部材66で使われる。縦型管部材は、使用されるが、しかし、水平管部材68P、および、68Sからの放出は、これらの位置の汚れ防止組成物放出が有益でないという理由から、使用されない。0度以外の海流オフセット角に対して、右舷、および、ポートの縦型管部材は、用いられる。しかしながら、水平管部材68Pまたは68Sの一つだけが、使われる。もし海流がポート側から来ているならば、水平管部材68P、縦型管部材、および、管部材66だけが用いられる。水平管部材68Sは、用いられない。
【0065】
実施例3は、0度の海流オフセット角、および、0.53m/sの海流速度に対する典型的な汚れ防止システムの性能を記載する。各々の管部材からの汚れ防止組成物の放出速度、および、ボリューム放出速度は、表3に提供される。
【0066】
実施例3の条件で、CFDモデリングは、放出された必要な0.02kg次亜塩素酸ナトリウム/kg海水の溶液のボリュームに関して、水位下の船体の表面に渡って少なくとも2ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度を提供するために0.0776m/sの溶液放出速度は望ましいことを証明する。
【0067】
実施例4は、22.5度の海流オフセット角、および、0.53m/sの海流速度の対する典型的な汚れ防止システムの性能を記載する。各々の管部材からの汚れ防止組成物の放出速度、および、ボリューム放出速度は、表4に提供される。
【表3】
【表4】
【0068】
実施例4の条件で、CFDモデリングは、放出された必要な0.02kg次亜塩素酸ナトリウム/kg海水の溶液に関して、水位下の船体の表面に渡って少なくとも2ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度を提供するために、0.0471のm/sの溶液放出速度が望ましいことを証明する。
【0069】
実施例5は、45度の海流オフセット角、および、0.53m/sの海流速度に対する典型的な汚れ防止システムの性能を記載する。各々の管部材からの汚れ防止組成物の放出速度、および、ボリューム放出速度は、表5に示される。
【表5】
【0070】
実施例5の条件で、CFDモデリングは、放出された必要な0.02kg次亜塩素酸ナトリウム/kg海水の溶液に関して、水位下の船体の表面に渡って、少なくとも2ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度を提供するために、0.0490のm/sの溶液ボリューム放出速度は望ましいことを証明する。
【0071】
実施例3〜5に対して、少なくとも2ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液によってカバーされる表面積の比率、カバレージを達成することを必要とする全溶液ボリューム放出速度、および、各々の管からの溶液ボリューム放出速度は、表6において示される。表3の管部材長と接続して、ユニット管長あたりの流量は、算出され、ブラケットに示される。
【0072】
表6〜9は、海流オフセット角が船首の中心線から逸外れるように、さまざまな管部材からの汚れ防止組成物の放出が汚れ防止組成物の所望のカバレージを提供するように調整されることができることを証明する。表も、汚れ防止組成物の有効ボリューム放出速度を維持している間、管部材の直径が変化したことを証明する。
【表6】
【0073】
表3、および、表6に基づいて、表7は、管部材の各々の開口からの流量を提供する。
【表7】
【0074】
開口の間の間隔を20cmに仮定して、1メートルあたり5つの開口は、必要である。管部材の各々の開口は、表7に示すのにほぼ等しい速度で汚れ防止組成物の放出が可能であるべきである。しかし、海流はいずれの右舷またはポートのいずれかからアプローチすることができるために、上記の表は、表8に提供される結果に凝縮されることができる。
【表8】
【0075】
管部材66、68S、および、68Pは、より均一な放出速度を提供するために、管部材の長さの中央で、それらの汚れ防止組成物インレットを有する。
【0076】
一般に、より短い管部材長、および、より小さい管部材直径が必要なポンプヘッドを増加させると結論されることができる。しかし、開口でのボリューム放出速度は、より一定になる。開口の間の距離を減少させることは必要なヘッドを減少させる。しかし、開口のボリューム放出速度はより少ない定数になる。
【0077】
次の目的を念頭において、典型的な管部材直径、開口直径、および、開口の間の間隔は、上記の結論を使用して選ばれた:(i)より小さい管部材直径、(ii)より低いヘッド圧力、(iii)より短い開口間の距離、および、(iv)開口でのボリューム放出速度ができるだけ一定に。結果のまとめは、次の表9に示される。
【0078】
水平管部材は残りの管部材と異なる。それらが管部材の中央でポンプからのインレットが管部材の流量を減少させることを必要とするようにするためである。それゆえに、開口の数は、対応する管部材の半分からなる。
【表9】
【0079】
ここで説明されたさまざまな範囲に関して、詳述されたいかなる上限は、選択された部分範囲に対するいかなる下限とも組み合わされることができる。ここで記載されているシステム、および、プロセスは詳述されたが、さまざまな変化、置換、および、変更が請求項に記載の本発明の精神と範囲から逸脱することなく、実施されることができることは理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6