(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、ドリルリグ10について、ケーシング穴12を地中14に削孔しているところが示されている。一般に、ドリルリグ10には、移動可能な車両50に取り付けた削孔装置20を備える。車両50を所望する削孔箇所の地表15に止め、削孔装置20を所望の削孔位置にする。ドリルパイプ22を、削孔装置20に動作可能に連結する。ドリルパイプ22の近位端部23を、削孔装置20に螺結する。ドリルパイプ22の遠位端部24を、ドリルパイプ22と同心のリングビット26と連結する。ドリルパイプ22とリングビット26とを組合せて、開放端のドリルストリング30を形成する。ドリルストリング30によって画定する、キャビティ又は内部空間35を存在させる。回収可能なセンタービット28を、ドリルストリング30にリングビット26のところで着脱可能に連結する。
【0011】
本実施例では、削孔装置20を、超音波ドリルの形の回転振動装置とする。超音波ドリルは、当該技術分野で周知であり、超音波ドリルの例は、本発明者の以前の特許文献1〜2に記載されており、これらの全開示を、参照として本明細書に組込むものとする。従って、削孔装置20については、本明細書では更に詳細に記載しない。削孔装置20は、地中14へとドリルストリング30を回転及び振動させる。ホース42でポンプ装置40を削孔装置20と油圧的に連結する。削孔工程中、加圧流体をポンプ装置40によってホース42に沿って、削孔装置20を介して、矢印44で示すように、ドリルストリング30の内部空間35に、圧送する。
【0012】
図2で最もよく示されるように、加圧流体は、回収可能なドリルビット28にある通路27及び29を通り、矢印45及び46で示すように、流れる。
図1で示したホース42の直径を、内部空間35の直径以下とし、それにより加圧流体が、高圧力スパイクに応じて、ホースを通り押し戻されないようにする。振動するドリルストリング30により、流体柱内で圧力を発生させて、ドリルストリングが振動するのと同じ周波数で振動させる。このようにして発生させた圧力スパイク38a、38b、38cにより、流体柱を水撃と同様に機能させ、それにより更なる削孔力を加える。
【0013】
少なくとも、十分な加圧流体を内部空間35に圧送して、流体柱37を形成する。そうすることで、地盤材が回収可能なドリルビット28の通路27及び29を通り内部空間35内に侵入するのを妨害する。しかしながら、切削物をドリルストリング30と地中14との間の環周部13から地表15にまで運び上げるために、更なる加圧流体を内部空間35内に、圧送してもよい。これについては、
図2で説明している。矢印44で、加圧流体がドリルストリング30の内部空間35を通り地中14に流入する流れ方向を示している。矢印45及び46で示すように、余分な加圧流体は、回収可能なドリルビット28の下及び周りへと押出され、環周部13内を上昇して地表へと向かう。加圧流体は、切削流体として機能し、環周部13を上昇しながら切削物を地表15へと運び、地表15で矢印47及び48で示すように、加圧流体と切削物を、ケーシング穴12から排出する。この実施例では、加圧流体を水とするが、重合体又は粘土といった付加的要素を有する水も使用できる。加圧流体の圧力範囲を、100psi〜5000psiとするが、好適な圧力範囲を500psi〜2000psiとする。
【0014】
更なるドリルパイプ(図示せず)を、続けてドリルストリング30に追加してもよい。各更なるドリルパイプには、第1端部と第2端部を有する。更なるドリルパイプを中空とし、両端部を開口させる。更なるドリルパイプの第1端部を、削孔装置20に螺結させ、更なるドリルパイプの第2端部を、ドリルストリング30に螺結させる。次に、更なるドリルパイプを地中に回転振動させ、ケーシング穴12を更に深くしてもよい。更なるドリルパイプは、手動又は自動化したドリルパイプ操作装置で、追加できる。
【0015】
次に
図3を参照すると、リングビット26と回収可能なドリルビット28について一層詳しく示している。リングビット26は、ドリルパイプ22に螺結し、環状内壁41を有する。環状凹部43と環状肩部49は、リングビット26の環状内壁41周りに延在する。環状凹部43と環状肩部49とを、略平行とし、互いに離間させる。回収可能なドリルビット28を、リングビット26内に配置し、リングビット26に着脱可能に連結する。回収可能なドリルビット28には、リングビット26の肩部49に載置するスリーブ部51を含む。突出部が、スリーブ部51から長手方向外側に延在しており、その突出部により、回収可能なドリルビット28のボタンビット部53を画定する。通路27及び29は、ボタンビット部53を通り延在しており、上述したように、流体が回収可能なドリルビット28から流出可能にする。複数のドッグ、
図3では54aと54bの2つだけ示しているが、これらドッグを、回収可能なドリルビット28のスリーブ部51の対応する径方向開口部55a及び55bに往復動可能に延在させる。環状バネ65により、ドッグ54a及び54bの少なくとも一部を、開口部55a及び55b内で保持し、回収可能なドリルビット28のスリーブ部51と連絡状態にする。
【0016】
円錐形のデテント56を、回収可能なドリルビット28のスリーブ部51内に配置する。フランジ57をデテント56のテーパ端部付近に存在させる。
図3で最もよく示されるように、回収可能なドリルビット28をリングビット26に着脱可能に連結すると、デテント56がドッグ54a及び54bを、回収可能なドリルビット28のスリーブ部51の径方向外側に付勢し、リングビット26の内壁41の環状凹部43に嵌入させる。遠位端にツマミ59を有するシャフト58を、デテント56から延伸させる。当業者は、シャフト58を引いて、デテント56を
図3に示した位置から上方に動かせるものと、理解するであろう。デテント56を
図3で示した位置から上方に移動させると、デテント56の円錐形がドッグ54a及び54bをリングビット26の凹部43に嵌入しなくなる。その結果、バネ65がドッグ54a及び54bを、径方向開口部55a及び55bを通り回収可能なドリルビット28のスリーブ部51に入るよう付勢する。
【0017】
図4〜6で示すように、ケーシング穴12を所望の深さに削孔したら、ドリルストリング30を削孔装置20から外す。
図4で示すように、綱63に繋いだ回収ツール61を、ドリルストリング30内に降下させる。回収ツール61には、シャフト58の遠位端にあるツマミ59と係合するためのラッチ(図示せず)を含み、シャフト58は、回収可能なドリルビット28のスリーブ部51内に配置したデテント56から延伸している。
図5で示すように、回収ツール61がツマミ59とシャフト58の遠位端で係合した後に、上向きの力を綱63に付与して、デテント56を上方に移動させ、ドッグ54a及び54bをリングビット26の凹部43と係合させないようにできる。その結果、バネ65がドッグ54a及び54bを、径方向開口部55a及び55bを通り、回収可能なドリル28のスリーブ部51に入るよう付勢する。
図6で示すように、ケーシング穴12を残して、回収可能なドリルビット28を地中14から取出してもよい。
【0018】
当業者は、上述した回収可能なドリルビットは、本明細書で開示した方法による地熱伝達装置を設置するのに使用できるドリルビットの1実施例に過ぎないと、理解するであろう。また、他の適当な種類のドリルビットも使用できる。例えば、
図7で示すように、除去可能なドリルビット128を使用してもよい。この実施例では、除去可能なドリルビット128を、溶接部130a及び130bで示したように、ドリルストリング30にステッチ溶接した犠牲的なビットとする。しかしながら、除去可能なドリルビット128をドリルストリング30に結合する他の手段、例えば、ロールピンを、使用してもよい。通路127及び129を、回収可能なドリルビット28に関して前述したように、除去可能なドリルビット128を通して流体を流動可能にするように、除去可能なドリルビット128を通して延在させる。
図7で示したように、ケーシング穴12を所望の深さに削孔したら、除去ツール161を、その穴に落下させる。除去ツール161で、除去可能なドリルビット128をドリルストリング30から外に叩き出し、ドリルストリング30を地中14から取り出す際に、除去可能なドリルビット128を地中14に残す。好適には、除去ツール161を金属棒とし、実施例によっては、除去ツール161を回収可能にするよう繋いでもよい。
【0019】
更に、本明細書に開示した方法の範囲から逸脱することなく、削孔工程を変更してもよい。例えば、
図15で示すように、岩盤114により削孔工程が妨害された状況では、ダウンザホールドリルビット装置99を付けたダウンザホールハンマー装置98を使用して、穴12を所望の深さまで削孔するために、岩盤114に打ち込んでもよい。
【0020】
穴を削孔したら、地中14に及び地中14から熱を伝達できる地熱伝達装置を、ドリルストリング30の内部空間35に、即ちケーシング穴12に、降下させる。地熱伝達装置を、
図9で示すように、地熱伝達ループ70としてもよい。好適には、地熱伝達ループ70を流体で充填した後で、ケーシング穴12に降下させる。この実施例では、地熱伝達ループ70を、水を充填した高密度ポリエチレンチューブとする。流体により、地熱伝達ループ70が加重され、地熱伝達ループ70がケーシング穴12に残存する可能性がある流体柱で破壊されなくなる。
【0021】
また、錘75を地熱伝達ループ70に取着して、容易に地熱伝達ループ70がケーシング穴12に降下できるようにしてもよい。地熱伝達ループ70の先頭部分71を更に真直ぐにして、容易に地熱伝達ループ70を降下できるようにし、地熱伝達ループ70を、ドリルストリング30のグラウチング工程及び引上げ中に、ケーシング穴12の底部に保持するのに役立ててもよい。この実施例では、錘75を、地熱伝達ループ70の先頭部分71にワイヤ76で取着する細長い棒鋼片とする。この棒鋼は、錘と、地熱伝達ループ70の先頭部分71を真直ぐにする手段という2つの機能を果たす。地熱伝達ループ70を完全にケーシング穴12に降下させたら、穴12をグラウチングする。ドリルストリング30を地中14に入れたまま、又はドリルストリング30を地中から取出した後に、穴12をグラウチングしてもよい。
【0022】
本発明者による同時係属中の特許文献3で開示したような地熱交換システムにおける地熱伝達ループを使用することは既知であり、その出願の完全な開示を本明細書に参照として組み込むものとし、その出願では、地熱伝達ループをヒートポンプに結合する。従って、本方法では、地熱伝達ループを設置する改良した手段を提供する。
【0023】
或は、地熱伝達装置を、
図10及び
図11に示すような同軸地熱伝達装置77としてもよい。
図10及び
図11に示した同軸地熱伝達装置77は、キッドウェル(Kidwell)氏他へ付与された特許文献4で開示された種類のものと同様であり、その特許の完全な開示を、本明細書に参照として組込むものとする。
図11で示すように、同軸地熱伝達装置77には、外側の伝熱導管112と、外側導管112内に配置する内側導管114とを含む。内側導管114には、複数の連結したフィン116a、116b、116cを有し、そのフィンにより内側導管114と外側導管112との間に螺旋環状流路を形成する。運転中、流体を地面から内側導管114の下側へと圧送し、その流体は矢印111及び113で示したように、内側導管114の遠位端で排出される。次に、流体は、矢印115及び117で示すように、環状流路に沿って地面へと還流する。流体を循環させることで、地面と周囲環境との間で熱伝達が可能になる。
【0024】
同軸流の地熱伝達装置を地熱交換システムで使用することは、キッドウェル(Kidwell)氏他への特許文献5及びその継続出願で開示されたように、既知であり、それらの全開示を本明細書に参照として組み込むものとし、同軸地熱伝達装置をヒートポンプと結合させる。従って、本方法では、同軸流の地熱伝達装置を設置する改良した手段を提供する。
【0025】
他の実施例では、地熱伝達装置を、クー(Qu)氏へ付与された特許文献6〜7に開示された種類と同様な超伝導性熱伝達装置としてもよく、それらの全開示を、本明細書に参照として組込むものとする。超伝導性熱伝達装置により、地面への及び地面からの双方向熱伝達が可能である。クー氏が開示した超伝導性熱伝達装置には、通常基材を導管の形で含み、導管に超伝導性熱伝達媒体を担持する。超熱伝導媒体を、導管の内面に、3層の基本層で塗布し、最初の2層を溶液から作製し、第3層を粉末から作製する。
【0026】
超熱伝導媒体の第1層は、過酸化ナトリウム、酸化ナトリウム、酸化ベリリウム、三酸化二マンガン、重クロム酸アルミニウム、重クロム酸カルシウム、酸化ホウ素、及び重クロム酸ラジカルから成る群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。超熱伝導媒体の第1層を、導管の内面に吸収させ、導管の内面がエッチングされるのを防ぐ耐食層とする。また、理論上、第1層により、導管を構成する材料である原子装置を、熱を一層容易に吸収できるように、再整列させる。第1層の更なる機能は、導管内面の酸化により熱抵抗が起きるため、導管内面で酸化物を生成させないようにすることである。
【0027】
超熱伝導媒体の第2層には、酸化コバルト、三酸化二マンガン、酸化ベリリウム、クロム酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、酸化ロジウム、酸化第二銅、ベータチタニウム、重クロム酸カリウム、酸化ホウ素、重クロム酸カルシウム、重クロム酸マンガン、重クロム酸アルミニウム、重クロム酸ラジカルから成る群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。超熱伝導媒体の第2層は、水素元素と酸素元素の生成を防ぎ、その結果、酸素原子と導管を構成する材料の原子との間での酸化を抑制する。理論上、第2層は導管内面全体で熱を伝導する。第2層の更なる機能は、伝導用熱通路を提供するように、超熱伝導媒体の第3層と関連する分子振動及び分子摩擦の加速を助けることである。
【0028】
超熱伝導媒体の第3層には、変性酸化ロジウム、重クロム酸カリウム、変性酸化ラジウム、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸銀、単結晶シリコン、酸化ベリリウム、クロム酸ストロンチウム、酸化ホウ素、過酸化ナトリウム、ベータチタニウム、重クロム酸金属塩から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。超熱伝導媒体の第3層は、超熱伝導媒体を最低活性化温度に曝すと、熱を発生すると考えられる。活性化すると、超熱伝導媒体の第3層の原子は、超熱伝導媒体の第1層と第2層の原子と共に振動し始める。実験で、そうした超熱伝導媒体を基材上に正確に配置すると、通常、銀の熱伝導率より2万倍高い熱伝導率となることが分かった。
【0029】
地熱交換システムで、熱超伝導媒体を含む地熱伝達装置を使用することは、ミューラー(Mueller)氏他へ付与された同時係属中の特許文献8で開示されたように、既知であり、その全開示を本明細書に参照として組み込むものとし、熱超伝導媒体を含む地熱伝達装置をヒートポンプと結合させる。従って、本方法ではまた、熱超伝導媒体を含み、地熱交換システムで使用する、地熱伝達装置を設置する改良した手段も提供する。
【0030】
次に、
図12及び
図13を参照すると、地熱伝達ループ70を完全にドリルストリング30内に降下させたら、穴12をグラウチングしてもよい。穴12を、ドリルストリング30を地中14に残したまま、又はドリルストリング30を地中14から取出した後に、グラウチングしてもよい。この実施例では、グラウチングをトレミー管工法で完成する。トレミー管ホース80を穴12内に降下させる。トレミー管ホースは、遠位端の鋼管部分82と近位端の可撓管部分81から成る。鋼管部分82を、穴12に降下させたトレミー管ホース80の先頭端部とする。ポンプ86により、熱伝導性グラウト材120をタンク88からトレミー管ホース80に沿って穴12の底部まで圧送する。グラウト材120で地熱伝達ループ70を包囲する。穴12を下から充填するにつれ、トレミー管ホースのリール87で、トレミー管ホース80の先頭端部をグラウト材120より低く保つようにして、トレミー管ホース80を穴12から引出す。この工程を、穴12をグラウト材120で充填し、
図14及び
図16で示すように、地熱伝達ループ70の地表15より下にある部分をグラウト材で取り囲むまで、続ける。
【0031】
他の実施例では、グラウチングを、加圧グラウチング工法で完成してもよい。加圧グラウチングを、ドリルストリングの先端にグラウトラインを取着して完成してもよい、又はグラウトラインを、ドリルヘッドのスイベルに取着することもできる。ドリルストリングを地中から取出しながら、同時にグラウト材を、ドリルストリングの内部空間に圧送する。ケーシングを取出したら、グラウチングを仕上げる。場合によっては、例えば、ドリルストリングを取り出すと地熱ループ周りが崩壊してしまうシルト質土又は砂質土では、グラウチングは不要かも知れない。
【0032】
図17に示すように、グラウチング工程を、トレミー管工法又は圧力グラウチング工法で完了したら、地熱伝達ループ70を、建物101又は他の周囲環境を収容する構造物内に配置するヒートポンプ100に動作可能に連結して、地熱交換システムを形成する。また、地熱伝達ループ70も、地表15下の更なる地熱伝達装置に、連続的に、地表15下で動作可能に連結してもよい。その後一連の地熱伝達装置を、共用のヒートポンプに連結する。
【0033】
或は、
図18に示すように、地熱伝達ループ70をヒートポンプ103に動作可能に連結し、そのヒートポンプ103を次に地熱エネルギー収集装置105に結合させ、地下熱エネルギー貯蔵システムを形成してもよい。
図18で示した実施例では、地熱エネルギー収集装置105を、道路107に配置した太陽エネルギー収集装置とする。道路107の路面への太陽放射からの熱を、夏の間熱エネルギー収集装置105で集熱する。その熱をヒートポンプ103で、蓄熱する地中14へと圧送する。蓄熱をその後使用して、冬の間、道路107の路面の雪又は氷を溶かしてもよい。別の実施例では、地中からの熱を使用して、冬の間、冷気を暖めてもよい。そうすることで、地中温度が低下する。こうして低下した地中温度をその後夏の間使用して、周囲環境を冷却してもよい。従って、冷熱両方を、地下熱エネルギー貯蔵システムに蓄積できる。
【0034】
次に
図19及び
図20を参照すると、別の用途で、地熱伝達装置を、地熱伝達ループ70.1の形で、補強鋼構造体92に取付けて、本方法により削孔したケーシング穴12.1内に降下させる。
図19及び
図20では、同じ構造体及び環境には、
図12でと同じ参照番号に、追加の数字表示「.1」を付している。この実施例では、地熱伝達装置を地熱伝達ループ70.1としている。しかしながら、当業者は、熱を地面へ及び地面から伝達可能な如何なる地熱伝達装置を使用してもよいと、理解するであろう。この実施例では、地熱伝達ループ70.1と補強鋼構造体92との組合せを、穴12.1内に降下させたら、その穴12.1を、コンクリート車91によってコンクリート93で、本明細書で既に記載したトレミー管工法を用いて、充填して、
図21で示したエネルギー杭94を形成してもよい。他の実施例では、穴12を、グラウト又は他の適当な物質で、充填してもよい。
【0035】
図21では、同じ構造体及び環境には、
図17でと同じ参照番号に、追加の数字表示「.1」を付している。エネルギー杭94により、建物101.1に基礎支柱を提供し、またエネルギー杭94を、建物101.1内に配置したヒートポンプ100.1に動作可能に連結して、地熱交換システムを形成する。従って、エネルギー杭は、基礎杭が必要な地盤状態で地熱交換システムを設置する費用対効果に優れた方法である。現在、こうしたエネルギー杭は、セメンテーション・ファンデーションズ・スカンスカ(Cementation Foundations Skanska)社(メイプルクロスハウス、デンハムウェイ、メイプルクロス、リックマンズワース、ハートフォードシャー、英国、WD3 9SW(Maple Cross House, Denham Way, Maple Cross, Rickmansworth,Herts,United Kingdom,WD3 9SW))により、設置されている。
【0036】
次に、
図22及び
図23を参照すると、更に別の用途では、本方法により削孔したケーシング穴12.2を、場所打ちコンクリート杭を設置するためにコンクリートで充填してもよい。
図22及び
図23では、同じ構造体及び環境には、
図12及び
図17でと同じ参照番号に、夫々追加の数字表示「.2」を付している。伝統的な木杭と比べて、場所打ちコンクリート杭を使用すると多くの利点がある。例えば、場所打ちコンクリート杭は、腐敗せず、昆虫や海洋穿孔虫から攻撃されない。また、コンクリートの耐荷重は木の耐荷重より大きい。
図22に示すように、ケーシング穴12.2を上述した方法により所望の深さに削孔したら、補強鋼構造体92を穴12.2内に降下させる。次にコンクリートミキサー車91により、コンクリート93をケーシング穴12.2内に、本明細書で前述したトレミー管工法を用いて注入する。穴12.2をコンクリートで満たすと、ドリルストリング30.2をその穴の外から振動させる。ドリルストリング30.2を穴12.2の外から振動させるにつれ、コンクリート93が強制的に、ドリルストリング30で作った空間に流入して、周囲の土粒子と混ぜられ、コンクリート93が硬化した後に極めて強力な結合体となる。こうして得た場所打ちコンクリート杭95a、95b、95cを、
図23に示すが、これら杭を使用して、建物101.2の基礎支柱を提供してもよい。
【0037】
次に
図24及び
図25を参照すると、更にまた別の用途において、本方法により削孔したケーシング穴12.3を使用して、マイクロパイル又はミニパイルを設置する。
図24及び
図25では、同じ構造体及び環境には、
図12及び
図17でと同じ参照番号に、夫々追加の数字表示「.3」を付している。マイクロパイルは、軸荷重及び/又は横荷重に耐えられる小径の杭である。コンクリートパイルと比べて、マイクロパイルを使用すると多くの利点がある。例えば、コンクリートパイルでは、耐荷重の大部分は鉄筋コンクリートによって提供される。そのため、耐荷重を大きくするには、現場打ちコンクリートパイルの断面積や表面積を大きくすることになる。対照的に、マイクロパイルは、高耐荷重の鉄骨要素に、耐荷重について依存するため、小口径で済み、制限された環境でも設置できる。
【0038】
更にまた、インターナショナル・アソシエーション・オブ・ファンデーション・ドリリング(International Association of Foundation Drilling:ADSC)が提供した、トム・エイ(Tom A)氏、アーマー・ピー・イー(Armour P.E.)氏による「土留め及び斜面安定化用マイクロパイル(Micropiles for Earth Retention and Slope Stabilization)」で報告されたように、及び本明細書に参照として組込んだ全開示により、マイクロパイルを設置することで、グラウト/地盤の界面に沿ってグラウト/地盤の結合値を高くできる。グラウトが、地盤アンカーと同様な方法で、荷重を摩擦によって、マイクロパイル結合領域の地盤に伝達する。その結果、マイクロパイルが小口径のためもあり、マイクロパイルについて先端支持力への影響は、殆どの場合無視できる。これにより、支持構造体に優れたアンダーピニングを提供できる。
【0039】
図24で示したように、上述した方法によりケーシング穴12.3を所望の深さに削孔したら、マイクロパイル97を、ケーシング穴12.3内に降下させる。その後、ポンプ86.3により、グラウト材120.3をタンク88.3から、本明細書で前述した、トレミー管工法を用いて、圧送する。穴12.3をグラウト材120.3で満たすと、ドリルストリング30.3を、その穴の外から振動させる。ドリルストリング30.3を穴12.3の外から振動させながら、グラウト材120.3を強制的に、ドリルストリング30.3が作った空間内に流入させ、周囲の土粒子と混ぜて、極めて強力な結合体を作製する。また、グラウト材120.3はマイクロパイル97とも固着する。
【0040】
その結果得られたマイクロパイル97a、97b、97cを
図25に示し、マイクロパイルを使用して建物の基礎支柱(図示せず)を提供してもよい。この実施例では、マイクロパイル97aの1本について示したように、各マイクロパイルには、弾性スペーサ130と、高耐荷重の鉄骨要素140と、トルクを与えるアンカープレート150と、を含み、そのマイクロパイルは、デイビダーク-システムズ・インターナショナル・リミテッド(DYWIDAG-Systems International Limited)社(ノースフィールドロード、ソウザン、ウォリックシャー、英国、CV47 OFG(Northfield Road, Southam, Warwickshire, United Kingdom, CV47 OFG))が提供するGEWI(登録商標)パイルと同様である。このGEWIパイルは、マイクロパイルとアンカーの両方として機能する。
【0041】
或は、
図26に示すように、エル.ビー.フォスター(L.B.Foster)社(6500 ラングフィールドロード、ヒューストン、テキサス、米国、77092(6500 Langfield Road, Houston, Texas, United States of America 77092))が提供するタイプと同様な、従来のマイクロパイル109a、109c、109cを、本明細書に開示した方法を用いて、設置して建物101.4を支持してもよい。
図26では、同じ構造体及び環境には、
図12でと同じ参照番号に、追加の数字表示「.4」を付している。
【0042】
当業者は、以上で述べた詳細の多くは、ほんの一例として挙げただけで、以下の請求項に記載する本発明の範囲から逸脱せずに、変更又は削除できることを、理解するであろう。