特許第5792288号(P5792288)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792288
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】光源
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150917BHJP
   H01J 1/63 20060101ALI20150917BHJP
   H01J 61/42 20060101ALI20150917BHJP
   H01J 61/40 20060101ALI20150917BHJP
   F21W 131/10 20060101ALN20150917BHJP
   F21Y 101/00 20060101ALN20150917BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
   F21S2/00 100
   H01J1/63
   H01J61/42 L
   H01J61/40
   F21W131:10
   F21Y101:00 300
   F21Y101:02
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-508590(P2013-508590)
(86)(22)【出願日】2011年4月26日
(65)【公表番号】特表2013-534690(P2013-534690A)
(43)【公表日】2013年9月5日
(86)【国際出願番号】IB2011051804
(87)【国際公開番号】WO2011138707
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2014年4月18日
(31)【優先権主張番号】10162113.4
(32)【優先日】2010年5月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163810
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 広和
(72)【発明者】
【氏名】ドネルス マウリス アレクサンデル ヒューゴ
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05578892(US,A)
【文献】 特表2010−501104(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/072279(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/035175(WO,A1)
【文献】 特表2005−504411(JP,A)
【文献】 特開平10−021714(JP,A)
【文献】 特開2003−098066(JP,A)
【文献】 特開平08−136739(JP,A)
【文献】 特表2012−503289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
H01J 1/63
H01J 61/40
H01J 61/42
F21W 131/10
F21Y 101/00
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
380nm〜680nmの範囲の少なくとも一部についてのスペクトルエミッタンスをもつ光を生成するための光源であって、
前記光は、波長λの関数としてスペクトルパワー分布E(λ)をもち、
前記光源は、照明制御要素と少なくとも1つの追加の照明制御要素とを有し、前記照明制御要素及び前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、600nm≦λ≦680nmの第1の範囲、505nm≦λ≦600nmの第2の範囲、及び、380nm≦λ≦505nmの第3の範囲に渡るパワー分布をもつ生成光を得るように設定され、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第1の範囲に渡る積分パワー分布の第1の比率は、式
【数1】
により与えられ、ここで、0.70≦P≦0.95であり、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第2の範囲に渡る積分パワー分布の第2の比率は、式
【数2】
により与えられ、ここで、P≧0.08であり、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第3の範囲に渡る積分パワー分布の第3の比率は、式
【数3】
により与えられ、ここで、P≧0.03又はP≧0.75の場合にはP≧0.015であり、前記第1の範囲、前記第2の範囲及び前記第3の範囲のそれぞれは、少なくとも10%の前記照明制御要素及び前記少なくとも1つの追加の照明制御要素によるスペクトル範囲を有する、光源。
【請求項2】
0.70≦P0.90であることを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項3】
各範囲のスペクトル範囲は、少なくとも20%であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光源。
【請求項4】
各範囲に関して、少なくとも1つの顕著な放射ピークは、FWHM≧12nm、好ましくはFWHM≧20nmを有することを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項5】
当該光源の全フラックスは、少なくとも100lm、好ましくは少なくとも250lm、より好ましくは少なくとも750lmであることを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項6】
前記第1の照明制御要素として複数のLEDを有し、前記第1の照明制御要素は、赤色−オレンジ色LED及び赤色LEDからなるグループから選択され、前記光源は、少なくとも1つの追加の照明制御要素として追加の複数のLEDを有し、前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、青色LED、緑色LED及びアンバー色LEDからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項7】
当該光源が前記第1の照明制御要素として複数のLEDを有し、前記第1の照明制御要素は、赤色−オレンジ色LED及び赤色LEDからなるグループから選択され、前記光源は、少なくとも1つの追加の照明制御要素として追加の複数のLEDを有し、前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、冷白色LED(CW)及び暖白色LEDからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項8】
当該光源が、前記第1の照明制御要素又は前記追加の照明制御要素のグループから選択されない少なくとも1つのLEDからなる少なくとも1つの更なる追加の照明制御要素を有することを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の光源。
【請求項9】
当該光源が放電容器を有する低圧水銀放電ランプであり、
前記放電容器が、ガス密の態様で、不活性ガス及び水銀が供給された放電空間を囲むとともに、前記放電空間において放電を維持するための放電手段を有し、
前記放電容器の壁の少なくとも一部は、前記第1の照明制御要素としての赤色放射蛍光体と、前記1つの追加の照明制御要素及び更なる追加の照明制御要素としての、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体、アンバー色発光蛍光体及び赤色−オレンジ色発光蛍光体から選択された少なくとも2つの蛍光体との混合を有する発光層を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項10】
当該光源が、380nm≦λ≦600nmの範囲内の波長λ及び590〜610nmの範囲内のカットオフ波長をもつ光を少なくとも部分的に(全体的ではなく)反射又は吸収し、これにより、少なくとも部分的に、前記の範囲内の光が当該光源の包囲するのを阻止する干渉フィルタを前記少なくとも1つの追加の照明制御要素として備えた、前記照明制御要素としての高圧セラミックハライドランプであり、前記干渉フィルタは、好ましくは、前記ランプ容器の外側面の少なくとも一部に設けられたFe2O3/SiO2及びSiO2の交代層を有する、請求項1に記載の光源。
【請求項11】
機能照明のための、請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の光源の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能照明のための光源及び前記光源の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年にわたって、人工的な夜用照明が、動物、詳細には夕暮れから夜明けまでの間にアクティブになる動物に対して悪影響を及ぼし得ることがより一層明らかになってきた。勿論、異なる種は、光の異なるスペクトルに対して異なった反応をする。しかしながら、スペクトル光分布に対するこれらの反応の依存性は、動物種の大部分に対しては知られていないが、特定のグループ又は傾向を判別することは可能である。多くの種は、短波長光によってより多く阻害される。これは、動物及び人間の双方の体内時計に影響を及ぼし得るか、光若しくは暗闇に対する目の適応に影響を及ぼし得るか、又は、行動に影響を与え得る。昆虫は、例えば、より長い波長の光よりも、短い波長の光によってより引き付けられる。コウモリは、長波長光のより低い回避を示し、齧歯動物は、長波長光を暗闇として知覚するものと思われる。
【0003】
その他に、良く知られた例は、ウミガメである。メスは多くの短波長光を伴う海辺では卵を離さないだろう。卵から姿を出している子ガメは、海に向かってはって行く代わりに陸からの短波長光に引き付けられる。ウミガメに対する海辺付近の光の負の効果は、都市が海辺付近の光を制限又は禁止する条例を作り出すことを促している。これらの条例は、照明器具が幾つかの状況においてオフにされることを要求し得る。実際には、保護された生息地において又はその近くにおいて、動物に対する全ての種類の起こり得る乱れは、最小限に維持されるべきである。事故の起こり得る影響が、起こり得る環境的影響を上回る、人命、及び、化学物質流出、火災等に通じる交通事故又は工業用災難のような、直接的な影響を含んでいるときには、必要な予防措置が取られるべきである。取り得る予防措置の一つは、仕事及び輸送の安全性に対して十分な照明を有することである。
【0004】
動物に対して乱れがないか又はほとんどないという欲求と人間に対する安全性の欲求との双方を適合させるために、国際公開第2005/107336号は、2つの光源を備えた照明器具を開示している。この照明器具は、ウミガメに対して混乱を起こさせず、590〜650nmの波長範囲の光を放射する、おおよそ単色光源(例えば、約585nmで開始する波長の光を照射するネオンランプ)、又は、ウミガメに対して混乱を起こさせるが、人間に対して快適であり安全性を与える光を放射する白熱/蛍光光源のいずれかを選択的に動作可能である。既知の光源/照明器具の欠点は、かなり高価であり比較的複雑な構造であることである。既知の光源/照明器具の他の欠点は、照明器具が前記単色光源を動作させるときに人間の安全に対して比較的低い範囲にしか寄与しない不快な光を生成することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、前述した欠点の少なくとも1つを解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これを達成するために、本発明の光源は、380nm〜680nmの範囲の少なくとも一部についてのスペクトルエミッタンスをもつ光を生成するために以下の特徴をもち、前記光は、波長λの関数としてスペクトルパワー分布E(λ)をもち、前記光源は、照明制御要素と少なくとも1つの追加の照明制御要素とを有し、前記照明制御要素及び前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、600nm≦λ≦680nmの第1の範囲、505nm≦λ≦600nmの第2の範囲、及び、380nm≦λ≦505nmの第3の範囲に渡るパワー分布をもつ生成光を得るように設定され、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第1の範囲に渡る積分パワー分布の第1の比率は、式
により与えられ、ここで、0.65≦P≦0.95であり、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第2の範囲に渡る積分パワー分布の第2の比率は、式
により与えられ、ここで、P≧0.08であり、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第3の範囲に渡る積分パワー分布の第3の比率は、式
により与えられ、ここで、P≧0.03又はP≧0.75の場合にはP≧0.015であり、前記第1の範囲、前記第2の範囲及び前記第3の範囲のそれぞれは、少なくとも10%の前記照明制御要素及び前記少なくとも1つの追加の照明制御要素によるスペクトル範囲を有する。可視放射線の680nm〜780nmの波長範囲において、スペクトルパワーの放射は、ランプを効果的なものにするために、比較的低くなるべきであり、即ち、380nm〜780nmから放射されたスペクトルパワーに対して25%又はそれ以下になるべきである。好ましくは、前記放射は、ランプ効率に対する将来の環境的欲求を見込むために、380nm〜780nmで放射されたスペクトルパワーに対して10%よりも多くなってはならない。最も好ましくは、680nm〜780nmの範囲内の放射されたスペクトルパワーは、ほとんどなく、例えば、380nm〜780nmで放射されたスペクトルパワーに対して2%又はそれ以下である。
【0007】
スペクトル範囲は、照明制御要素が放射する特定の範囲のほんの一部として理解されるべきである。照明制御要素は、特定の波長で測定された強度が、光源がオフにされたときに測定された波長におけるバックグラウンドノイズ信号の量の少なくとも10倍になる場合に、前記特定の波長で放射するものと見なされる。本発明は、安全な態様でタスクを実行するために人に対して十分なレベルの視覚を提供するように放射光を制御し、短波長に敏感な動物に対して比較的ほんの少しの乱れしか同時にもたらさない光源を提供する。人に関して、照明は、特定の質を効果的にする必要がある。色を認識する能力は、仕事の安全性において、例えば、安全及び警告標識を認識することについて、安全設備を配置することについて、チューブ及び製品ラベルを認識することについて、及び、プロセスを観察するために、非常に重要である。これに加えて、十分なレベルのカラーレンダリングは、人を認識することを補助し、体全体の快適感及び安全の双方に寄与するが、緊急事態においては特に重要である、空間的方向性を向上させる。白色光又は少なくとも黒体放射線(black body line)に比較的近いカラーポイントをもち、良好なカラーレンダリングに対して中程度である光に関して、CIEは、カラーレンダリング品質(CRI又はRa)に対する尺度を規定した。Raを規定することについて、白熱ランプは、100のRaをもつものとして規定され、恐らく今では時代遅れの"暖白色"ハロりん酸カルシウム蛍光ランプは、50のRaをもつように規定された。CIEは、"特定条件に対する基準発光体に基づく色外観(color appearance)と比較したオブジェクトの色外観に対する光源の効果"として光源の"カラーレンダリング特性"を規定する(CIE-Publikation Nr. 13.3, 1995, Method of Measuring and Specifying Colour- rendering Properties of Light Sources)。これは、多くの場合において実際に重要であり美的価値があるが、多くのアプリケーションにおいて、類似の色の異なる影の間を比較又は区別する必要なく、人が特定の色を識別及び認識するのに十分である。これに関する人による十分なレベルの色認識は、光源により照射されたオブジェクトの基本色を認識し、これらの間を区別するための人の能力を意味する。例えば、第3の範囲のスペクトル範囲が、前述した少なくとも10%から少なくとも20%の範囲まで増大した場合には、カラーレンダリングRaは、約20ポイントまで増大し、人に対する安全性が増大する。基本色は、概ね、例えば黒、グレー、白、ピンク、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫、茶及び群青色を有する色カテゴリとして見られる。スペクトルパワー分布における特定の分布は、各色を可視にするとともにメタメリズム(metamerism)を解消するのに好ましいが、良好な色認識を提供するために、スペクトルは、完全な範囲の光波長に渡って完全に満たされる必要はない。ランプの放射スペクトルにおいて、第2の比Pに関する最小値は、少なくとも0.08であり、第3の比Pは、第1の比Pに依存して、少なくとも0.015又は0.03である。これらの最小値は、十分な照射が、中間、即ち505nm〜600nm(緑〜オレンジ)の波長にあり、短波長、即ち380nm〜505nm(藍色〜緑)の波長が、特定された最小スペクトル範囲値と組み合わせて、色認識の可能性を実現することを保証する。P及びPの双方の比率が小さすぎる場合には、中間波長範囲Pが支配的になり過ぎて、色認識と矛盾する。それ故、短波長範囲Pにおける放射量の下限は、動物に対する色認識及び乱れに関して、中間波長範囲Pにおける放射と、及び、長波長範囲Pにおける放射と、バランスを保つべきである。これは、P≧0.65に対するP≧0.03からP≧0.75に対するP≧0.015への基準のシフトにより実現される。Ra8として表されるCRIに関して、これは、少なくとも35の値を保証する。Pが支配的になり過ぎるのを解消するために、光源は、好ましくは、P≦0.32、より好ましくはP≦0.25、さらにより好ましくはP≦0.20で特徴付けられる。380nm≦λ≦680nm(人にとって可視の波長範囲)の範囲に対する600nm≦λ≦680nm(オレンジ〜赤の範囲)の第1の範囲に渡る積分パワー分布の第1の比Pが0.9よりも高いランプの放射スペクトルは、色認識の不十分な可能性をもたらすだろう。
【0008】
光源の一実施形態は、0.65≦P≦0.85、好ましくは0.70≦P≦0.85で特徴付けられる。昆虫に対する人工光の魅力に関するスペクトルパワー分布の影響への我々の現在の見識に基づいて、600〜680nmの放射された光のパワーのP≦0.65は、0.20〜0.40のPを伴う、最も一般的に用いられる白色光源と比較して、50%まで昆虫引き付け力の削減をもたらすだろう。長波長照射P≧0.70の更なる増大は、10%未満に昆虫引き付け力を減少させるだろう。ホオヒゲコウモリ種のような、あまり一般的ではない、より光に敏感なコウモリに関して、P≧0.70は、スペクトルパワー分布を公式化するのを可能にし、これは、我々の現在の見識に基づいて、大きな混乱をもたらさないが、より低い光レベルクラスS5,S6,A2,A3に対応する外灯照明レベルに達するのを可能にする。ここに記載されたスペクトルパワー分布に関する他の要件を考慮すると、P≧0.80により、スペクトルが取得され、これは、同等のフラックスレベルと比較して、60よりも大きいカラーレンダリングインデックスをさらにもつ、単色低圧ナトリウムランプよりも、昆虫に対してあまり魅力的ではない。
【0009】
光源の他の実施形態は、光源の全フラックスは、少なくとも100lm、好ましくは少なくとも250lm、より好ましくは少なくとも750lmである。100lmのルーメンパッケージは、専門的な環境における照明特定ポイント、例えば警告標識、入口又は障害物に適している。250lm以上に関して、斯様な光源は、公共又は個人庭園における照明に対して用いられ得る。例えば100000lmのオーダーまでの、750lmよりも高いフラックスでは、斯様な光源/照明器具は、道路及びエリア照明に対して適用され得る。
【0010】
一実施形態において、光源は、第1の照明制御要素として複数のLEDを有し、前記第1の照明制御要素は、赤色−オレンジ色LED及び赤色LEDからなるグループから選択され、前記光源は、少なくとも1つの追加の照明制御要素として追加の複数のLEDを有し、前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、青色LED、緑色LED及びアンバー色LEDからなるグループから選択されることを特徴とする。LEDは、多種多様の放射色において利用可能な小さな照明要素である。光源のスペクトル放射は、異なるLED及びその適切な数により放射された種々の色の選択により容易に選択され得る。光源は、前記光源が、前記第1の照明制御要素又は前記追加の照明制御要素のグループから選択されない少なくとも1つのLEDからなる少なくとも1つの更なる追加の照明制御要素を有することを特徴とする。より異なって着色されたLEDを選択することにより、380〜680nmのスペクトルのより広い範囲が達成可能であり、それ故、CRI及び/又は色認識の向上が達成可能である。代わりに、光源は、前記光源が前記第1の照明制御要素として複数のLEDを有し、前記第1の照明制御要素は、赤色−オレンジ色LED及び赤色LEDからなるグループから選択され、前記光源は、少なくとも1つの追加の照明制御要素として追加の複数のLEDを有し、前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、冷白色LED(CW)及び暖白色LEDからなるグループから選択されることを特徴とする。代わりに、これは、他の白色、例えば昼白色によっても達成可能である。
【0011】
より広い範囲のスペクトルを得るための代替手法は、第1、第2及び第3の波長範囲のそれぞれにおける少なくとも1つの顕著な放射ピークの増大した半値全幅(FWHM)をもつ照明制御要素を用いることによるものである。これに関して、顕著は、前記ピークでの測定されたスペクトル強度が、測定されたバックグラウンドノイズ信号の少なくとも100倍であることを意味する。FWHMに関する12nmの最小開始値が受け入れられるが、しかしながら、好ましくはFWHMは少なくとも20nmである。好ましくは、照射線は、色認識の可能性を増大させるように、如何なる認識可能なピークを伴うことなく、全範囲に渡って均等に分配されるように放射されるべきである。
【0012】
光源の一実施形態は、前記光源が放電容器を有する低圧水銀放電ランプであり、前記放電容器が、ガス密の態様で、不活性ガス及び水銀が供給された放電空間を囲むとともに、前記放電空間において放電を維持するための放電手段を有し、前記放電容器の壁の少なくとも一部は、前記第1の照明制御要素としての赤色放射蛍光体と、前記1つの追加の照明制御要素及び更なる追加の照明制御要素としての、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体、アンバー色発光蛍光体及び赤色−オレンジ色発光蛍光体から選択された少なくとも2つの蛍光体との混合を有する発光層を備えることを特徴とする。青色蛍光体は、好ましくは、BaMgAl10O17:Eu (BAM),Sr5(PO4)3Cl:Eu (SCAP)及び/又はSr4Al14O25:Eu (SAE)であり、緑色蛍光体は、好ましくは、LaPO4:Ce,Tb (LAP),Sr4Al14O25:Eu及び/又はBaMg2Al16O27:Eu,Mn (BAM-green)であり、アンバー蛍光体は、好ましくは、Sr10(PO4)6F2:Sb (SHS)であり、赤色−オレンジ色蛍光体は、好ましくは、Y2O3:Eu(YOX)であり、赤色蛍光体は、好ましくは、YVO4:Eu (YVO4)及び/又はMg4GeO6:Mn (MGM)である。これらの蛍光体は、安価で、良く知られたものであり、蛍光ランプにおいて広く適用されている。現在、蛍光灯は、LEDを備えた光源に対する安価な代用品である。
【0013】
光源の一実施形態は、前記光源が、380nm≦λ≦600nmの範囲内の波長λ及び590〜610nmの範囲内のカットオフ波長をもつ光を少なくとも部分的に(全体的ではなく)反射又は吸収し、これにより、少なくとも部分的に、前記の範囲内の光が光源の包囲するのを阻止する干渉フィルタを少なくとも1つの追加の照明制御要素として備えた、照明制御要素としての高圧セラミックハライドランプであり、前記干渉フィルタは、好ましくは、前記ランプ容器の外側面の少なくとも一部に設けられたFe2O3/SiO2及びSiO2の交代層を有する。
【0014】
General Electric Lighting Systemsは、ウミガメに対する混乱効果を低減させるために高圧ナトリウム(HPS;High Pressure Sodium)ランプと一緒に用いられるべき2つのフィルタを発表した。双方は、530nm(フィルタタイプ#2422)又は570nm(フィルタタイプNLW)のカットオフをもつ、ハイパスフィルタであった。520nm又は560nm未満では、それぞれ、これらのフィルタは、650nmで約90%の透過率を達成する全ての光を完全にブロックした。研究は、HPSランプを伴う斯様なフィルタの適用がウミガメに対する所望の効果を完全には得ないことを示した。本発明は、GEのランプにおいて用いられたカットオフ波長が、ウミガメに対する所望の効果及び人に対する安全性の効果の双方をもたらすために、短すぎであり、約600nm又はそれよりも若干高いものであるべきであることを示す。同様のフィルタを備えたハロゲンランプが、米国特許第5,578,892号明細書にGEにより開示された。しかしながら、これらのランプにより放射されたスペクトルは、約0.36のみのPの値により特徴付けられる。一見したところこれらのランプが必要とされる生物学的効果を得なかったことに加えて、大量のエネルギが、光(強度)の人の知覚にあまり寄与しない、680nm〜780nmの波長で放射され、これらのランプを、ここに開示された光源よりも非常に小さなエネルギ効率のものにする。好ましくはエネルギ効率に関する将来の要求を満たすために、全放射スペクトルパワーの10%だけが680nmと780nmとの間で放射されるべきである。この境界条件を示すために、最新の蛍光ランプ又はLED照明のような、典型的なエネルギ効率のランプは、この要求を満たすのに対し、典型的な白熱又はハロゲンランプは、非常に高く、不適切な値をもつ。
【0015】
本発明は、人間可視スペクトル及び屋外生活エリアを照射することについて効果的な範囲内において、赤ちゃん及び大人のウミガメ、昆虫、コウモリ又は齧歯動物及び他の小さな哺乳動物のような、短波長に敏感な動物にとってほとんど見えないか、又はこれらの動物の自然行動に少なくともあまり影響しない、予め決められた、特定のより長い波長の光を主に放射する光源を提供する。しかしながら、光源及び照明器具の比較的単純で安価な構造を維持するために、このスペクトルは、好ましくは、例えば1つの取付ポイント、例えばソケット、街灯、取付ブラケット又はスタンディングフット、並びに、1つの電源接続をもつ単一のシステムにより放射されるべきである。この目的は、例えば仕事、読書、運転、検査、スポーツ等のための機能照明を提供することにある。それ故、光源の使用は、装飾的、祝祭的な、季節的な又は建築的/町の美化的な照明のような、美的効果を実現することを目的とした照明に対してあまり設計されていない。光源/照明器具は、前記のタイプのスペクトルを放射するように設計又は設定されるべきであるが、これは、例えば、生態学的かく乱よりも優先するときに、又は、特定の時間に若しくは特定の期間において、(例えば影響された種の冬眠の間において)このかく乱の危険性がない場合に、光を人の安全のためにより白くするために、白色光、若しくは、短及び中間波長範囲の光を追加することにより、又は、長波長範囲の光を調光することにより、異なるスペクトルに変更するためのオプションであってもよい。
【0016】
米国特許第2005/0168982号明細書は、野生生物を保護するために589nmの単色線放射をもつ、低圧ナトリウム放電ランプを開示している。このランプは、如何なる色認識も提供しない、不快な光を生成する、単色光源の動作の間において人の安全性に対して比較的低い範囲に寄与する、加えて、放射された波長が前述した動物に対する効果を十分に制限するほど短すぎる、という良く知られた欠点を有する。それ故、その光を他の光源の光と混合することが一般的に提案されており、他の光と混合された低圧ナトリウム光において色の視覚が可能となることを示す。しかしながら、周囲の生態系に対する最も小さな起こり得る追加のかく乱を伴う色認識の十分なレベルに達するために、どの波長に追加するのか、及び、どのような割合であるのか、のような必要な情報は与えられない。また、幾つかの動物に関して、例えば、リスアマガエル(Squirrel Treefrog(Hyla squirella))に関して、夜行性の色の視覚は、配偶者選択及びオス同士の競争において重要である。明らかに、標準の低圧ナトリウムランプが所望レベルの色認識を提供するかどうかについて少なくとも疑わしい。
【0017】
本発明は、例及び概略図によってより詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本発明の光源の第1の実施形態の断面図を示す。
図1B】蛍光変換を伴わないLED及び蛍光変換されたLEDをそれぞれ用いることにより作られた放射スペクトルを示す。
図1C】蛍光変換を伴わないLED及び蛍光変換されたLEDをそれぞれ用いることにより作られた放射スペクトルを示す。
図2】本発明の光源の第2の実施形態の断面図を示す。
図3A】本発明の光源の第3の実施形態の断面図を示す。
図3B】5層干渉フィルタ及び7層干渉フィルタの透過曲線を示す。
図3C図3Bに示された透過曲線のうち一方をもつ、前記層の一方を備えた、図3Aのランプの放射スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1Aは、本発明の光源40の第1の実施形態を概略的に示している。光源は、一例として1個の青色発光ダイオード(LED)41、12個の赤色LED42、及び、2つの緑色LED43を有する、複数のLEDを有する。この例において、全てのLEDは、Philips Lumileds Lighting CompanyからのLuxeon I LEDである。代替実施形態において、異なるLED、例えばCREE XPE若しくはXRE LED又はLuxeon Rebelsが用いられてもよい。LED41、複数のLED42及び複数のLED43は、好ましくは、各LEDの光出力を調節するために調光され得る。光源40は、LEDの発光面と対向する光透過出口窓(図示省略)と、LEDの発光面から外側を向く背面(図示省略)とをもつ。背面は、好ましくは、出口窓と対向する面上に反射面をもつ。LED41,42,43により生成された光が光源40の内部で一様に混合され、出口窓を介して放射される。放射された光は、約30のカラーレンダリングインデックスR及びPをもち、380nm≦λ≦680nmの全範囲に対する600nm≦λ≦680nmの第1の範囲に渡る積分スペクトルパワー分布の比率が0.72である。表2〜4は、赤色、赤色−オレンジ色、アンバー色、緑色及び青色のLEDの数(#)の割合、光源の光束、カラーレンダリングインデックスR、並びに、光源により生成された光のパラメータP,P及びPについての光源40の代替実施形態を示す。光源40におけるLEDの正確な全数は、要求される光出力及び個々のLEDの光出力に依存する。光源40に各色に関するLEDの数が与えられた場合には、これは、ランプ特性、例えばスペクトルパワー分布、光束、有効性、一般的なカラーレンダリングインデックスR及びパラメータPを計算し得る。表1は、前記の計算において用いられる種々のLEDの特性を与える。光源40を設計するときには、光源40により生成された光のパラメータPの最大値及び一般的なカラーレンダリングインデックスRの最小値が選択される。加えて、電力使用の最小値は、その光出力に対して光源40のコストを釣り合わせるために選択される。それぞれ個々のLEDに対してスペクトルパワー分布が与えられた場合には、特に着色されたLEDの必要数が反復手順を介して決定される。図1Bは、生ずるスペクトルパワー分布、即ち、生成された光のnmについての波長λに対するWnm−1についての出力パワーを示しており、これは、"直接的な"LED、即ちP=82%をもつ、蛍光変換を伴わないLEDを用いて作られる。光源は、表1において特定されるように、青色、緑色及び赤色LEDの数について1:5:38の比率をもつ。光源は、約1870lmの特定の光束をもつ光を放射する。一般的なカラーレンダリングインデックスRは44である。光源により生成されたスペクトルは、約62%の第1の範囲のスペクトル範囲、事実上100%の第2の範囲のスペクトル範囲、及び、約40%の第3の範囲のスペクトル範囲をもつ。図1Cは、生ずるスペクトルパワー分布、即ち、生成された光のnmについての波長λに対するWnm−1についての出力パワーを示しており、これは、蛍光変換されたLED、即ち、PL=81%を伴う、Y3Al5O12:Eu蛍光体(=YAG)をもつ青色LEDを用いて作られる。光源は、表5に示されるように、暖白色及び赤色−オレンジ色のLEDの数について4:18の比率をもつ。光源は、約100lmの特定の光束をもつ光を放射する。一般的なカラーレンダリングインデックスRは76である。光源により生成されたスペクトルは、約67%の第1の範囲のスペクトル範囲、事実上100%の第2の範囲のスペクトル範囲、及び、約57%の第3の範囲のスペクトル範囲をもつ。680nmより高い波長は、カラーレンダリングインデックスRaにあまり寄与しない。それ故、680nmよりも長い波長のスペクトル範囲は、この場合において不適切と見なされる。
[表1]
計算及び実験で用いられたLEDの特性
[表2]
0.65<P<0.70を伴う実施形態
[表3]
0.70<P<0.80を伴う実施形態
[表4]
0.80<P<0.95を伴う実施形態
【0020】
代わりに、長波長を放射するLED及び白色(蛍光変換された)LEDの組み合わせが用いられてもよい(例えば、表1に記載された冷白色(CW)及び暖白色(WW)LED)。蛍光変換されたLEDを含む計算が表5において与えられる。
[表5]
直接及び蛍光変換されたLEDを用いた実施形態
【0021】
そして、光源は、第1の照明制御要素として複数のLEDを有し、第1の照明制御要素は、赤色−オレンジ色LED及び赤色LEDのからなるグループから選択され、光源は、少なくとも1つの追加の照明制御要素として追加の複数のLEDを有し、少なくとも1つの追加の照明制御要素は、冷白色LED(CW)及び暖白色LED(WW)からなるグループから選択される。
【0022】
図2において、本発明の光源の第2の実施形態の一部が示され、少なくとも1つの追加の照明制御要素として蛍光層を備えた照明制御要素として低圧水銀放電ランプを有する。図2は、実際には光源10の一端部のみを示している。即ち、光源10は、2つの互いに反対側にある同一の端部を有し、それぞれは、長尺放電容器12の一端を封止する。光源10は、ガス密の態様で放電空間14を囲む光透過型放電容器12を有する低圧ガス放電ランプである。放電空間14は、水銀及び緩衝ガス、例えばアルゴン又はキセノンのガス充填物を有する。低圧ガス放電ランプ10は、更に、放電空間14において放電を維持するための放電手段18を更に有する。放電手段18は、例えば、容量結合、誘導結合、マイクロ波結合を介して、又は、電極を介して、放電空間14にエネルギを結合する。放電空間14のガス充填物における電子及びイオンは、ガス充填物において水銀混合物と衝突する。この衝突により、水銀原子が励起され、光、主に約254nmの波長の紫外線を実質的に放射する。低圧ガス放電ランプ10は、紫外線を吸収する発光材料の発光層16を有し、後に、吸収された紫外線を可視光に変換する。
【0023】
本発明のランプに関する適切なスペクトルは、発光層における蛍光体の適切な組み合わせを用いて、蛍光ランプにより達せられ得る。光源10において特定の色を放射する各蛍光体のための重量%の蛍光材料の量が与えられた場合に、これは、ランプ特性、例えば、スペクトルパワー分布、光束、有効性、一般的なカラーレンダリングインデックスR及びパラメータPを計算し得る。光源10を設計するときには、光源10により生成された光のパラメータPの最大値及び一般的なカラーレンダリングインデックスRの最小値が選択される。蛍光体の取り得る組み合わせが表6において与えられる。
[表6]
低圧水銀放電ランプ(蛍光ランプ)に関する蛍光体の組み合わせの例
【0024】
図3Aにおいて、本発明の光源の第3の実施形態は、高圧ナトリウムランプ、この場合においては、Philips 70 W color 828 CDOランプを照明制御要素として有する。(HPS)ランプは、例えば半透明でガス密のアルミナ(TGA)から作られた、セラミック材料から作られたランプ容器21の内側に設けられた電極22の対を有し、ランプ容器は、ランプベース27を備えた硬質ガラス外側電球24により囲まれる。ランプ容器21の(外側)表面26は、少なくとも1つの追加の照明制御要素として干渉フィルタ25を備え、外側電球24のガラス表面上の、Fe2O3/SiO2の層で開始する、Fe2O3/SiO2及びSiO2の交代層を有する。図3Aで示されたランプは、5層又は例えば7層の干渉フィルタによるディップコーティングを介して提供される。フィルタの取り得る組み合わせは、表7及び表8に示されており、5層フィルタ及び7層フィルタ双方の透過スペクトルは図3Bに示されている。前記のフィルタの双方は、380nm≦λ≦600nmの範囲内の波長λをもつ光に対して比較的高い反射率(低透過率)をもち、これらのカットオフ波長は、約600nmである。非常に適切なフィルタは、590nm〜610nmの範囲内のカットオフ波長をもつ。一見したところ、7層フィルタは、5層フィルタよりも波長範囲380nm≦λ≦600nmにおいて多少透過的である。
[表7]
5層干渉フィルタの組成
【0025】
代替の7層干渉フィルタの組成が表8に示されている。
[表8]
7層干渉フィルタの組成
【0026】
図3Cは、7層干渉フィルタとの組み合わせにおいて図3Aの高圧ナトリウムランプの放射スペクトルを示す。表9は、図3Cに示された放射スペクトルのスペクトル特性のサマリを示している。
[表9]
図3C〜3Eのランプの放射スペクトルの特性
【0027】
代替実施形態において、干渉フィルタは、硬質ガラス外側電球24の内側又は外側表面に配置される。他の代替実施形態において、干渉フィルタは、例えば照明器具の前部ガラス上の、又は、光源と照明器具の前部ガラスとの間における、光源周りの透明被覆物上の、光源から離れた位置に設けられる。
【0028】
前述された実施形態は、本発明を限定するよりもむしろ例示するものであり、当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計することが可能であることが留意されるべきである。請求項において、括弧内の任意の参照符号は、請求項を限定するものとして考慮されるべきではない。"有する"という動詞の使用及びその活用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素の単数表記は、斯様な要素の複数の存在を除外するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアにより実装されてもよい。幾つかの手段を列挙する装置に係る請求項において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの全く同一のアイテムにより具現されてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に用いられ得ないことを示すものではない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C