【課題を解決するための手段】
【0006】
これを達成するために、本発明の光源は、380nm〜680nmの範囲の少なくとも一部についてのスペクトルエミッタンスをもつ光を生成するために以下の特徴をもち、前記光は、波長λの関数としてスペクトルパワー分布E(λ)をもち、前記光源は、照明制御要素と少なくとも1つの追加の照明制御要素とを有し、前記照明制御要素及び前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、600nm≦λ≦680nmの第1の範囲、505nm≦λ≦600nmの第2の範囲、及び、380nm≦λ≦505nmの第3の範囲に渡るパワー分布をもつ生成光を得るように設定され、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第1の範囲に渡る積分パワー分布の第1の比率は、式
により与えられ、ここで、0.65≦P
1≦0.95であり、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第2の範囲に渡る積分パワー分布の第2の比率は、式
により与えられ、ここで、P
m≧0.08であり、380nm≦λ≦680nmの範囲に対する前記第3の範囲に渡る積分パワー分布の第3の比率は、式
により与えられ、ここで、P
s≧0.03又はP
1≧0.75の場合にはP
S≧0.015であり、前記第1の範囲、前記第2の範囲及び前記第3の範囲のそれぞれは、少なくとも10%の前記照明制御要素及び前記少なくとも1つの追加の照明制御要素によるスペクトル範囲を有する。可視放射線の680nm〜780nmの波長範囲において、スペクトルパワーの放射は、ランプを効果的なものにするために、比較的低くなるべきであり、即ち、380nm〜780nmから放射されたスペクトルパワーに対して25%又はそれ以下になるべきである。好ましくは、前記放射は、ランプ効率に対する将来の環境的欲求を見込むために、380nm〜780nmで放射されたスペクトルパワーに対して10%よりも多くなってはならない。最も好ましくは、680nm〜780nmの範囲内の放射されたスペクトルパワーは、ほとんどなく、例えば、380nm〜780nmで放射されたスペクトルパワーに対して2%又はそれ以下である。
【0007】
スペクトル範囲は、照明制御要素が放射する特定の範囲のほんの一部として理解されるべきである。照明制御要素は、特定の波長で測定された強度が、光源がオフにされたときに測定された波長におけるバックグラウンドノイズ信号の量の少なくとも10倍になる場合に、前記特定の波長で放射するものと見なされる。本発明は、安全な態様でタスクを実行するために人に対して十分なレベルの視覚を提供するように放射光を制御し、短波長に敏感な動物に対して比較的ほんの少しの乱れしか同時にもたらさない光源を提供する。人に関して、照明は、特定の質を効果的にする必要がある。色を認識する能力は、仕事の安全性において、例えば、安全及び警告標識を認識することについて、安全設備を配置することについて、チューブ及び製品ラベルを認識することについて、及び、プロセスを観察するために、非常に重要である。これに加えて、十分なレベルのカラーレンダリングは、人を認識することを補助し、体全体の快適感及び安全の双方に寄与するが、緊急事態においては特に重要である、空間的方向性を向上させる。白色光又は少なくとも黒体放射線(black body line)に比較的近いカラーポイントをもち、良好なカラーレンダリングに対して中程度である光に関して、CIEは、カラーレンダリング品質(CRI又はRa)に対する尺度を規定した。Raを規定することについて、白熱ランプは、100のRaをもつものとして規定され、恐らく今では時代遅れの"暖白色"ハロりん酸カルシウム蛍光ランプは、50のRaをもつように規定された。CIEは、"特定条件に対する基準発光体に基づく色外観(color appearance)と比較したオブジェクトの色外観に対する光源の効果"として光源の"カラーレンダリング特性"を規定する(CIE-Publikation Nr. 13.3, 1995, Method of Measuring and Specifying Colour- rendering Properties of Light Sources)。これは、多くの場合において実際に重要であり美的価値があるが、多くのアプリケーションにおいて、類似の色の異なる影の間を比較又は区別する必要なく、人が特定の色を識別及び認識するのに十分である。これに関する人による十分なレベルの色認識は、光源により照射されたオブジェクトの基本色を認識し、これらの間を区別するための人の能力を意味する。例えば、第3の範囲のスペクトル範囲が、前述した少なくとも10%から少なくとも20%の範囲まで増大した場合には、カラーレンダリングRaは、約20ポイントまで増大し、人に対する安全性が増大する。基本色は、概ね、例えば黒、グレー、白、ピンク、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫、茶及び群青色を有する色カテゴリとして見られる。スペクトルパワー分布における特定の分布は、各色を可視にするとともにメタメリズム(metamerism)を解消するのに好ましいが、良好な色認識を提供するために、スペクトルは、完全な範囲の光波長に渡って完全に満たされる必要はない。ランプの放射スペクトルにおいて、第2の比P
mに関する最小値は、少なくとも0.08であり、第3の比P
sは、第1の比P
1に依存して、少なくとも0.015又は0.03である。これらの最小値は、十分な照射が、中間、即ち505nm〜600nm(緑〜オレンジ)の波長にあり、短波長、即ち380nm〜505nm(藍色〜緑)の波長が、特定された最小スペクトル範囲値と組み合わせて、色認識の可能性を実現することを保証する。P
s及びP
1の双方の比率が小さすぎる場合には、中間波長範囲P
mが支配的になり過ぎて、色認識と矛盾する。それ故、短波長範囲P
sにおける放射量の下限は、動物に対する色認識及び乱れに関して、中間波長範囲P
mにおける放射と、及び、長波長範囲P
1における放射と、バランスを保つべきである。これは、P
1≧0.65に対するP
s≧0.03からP
1≧0.75に対するP
s≧0.015への基準のシフトにより実現される。R
a8として表されるCRIに関して、これは、少なくとも35の値を保証する。P
mが支配的になり過ぎるのを解消するために、光源は、好ましくは、P
m≦0.32、より好ましくはP
m≦0.25、さらにより好ましくはP
m≦0.20で特徴付けられる。380nm≦λ≦680nm(人にとって可視の波長範囲)の範囲に対する600nm≦λ≦680nm(オレンジ〜赤の範囲)の第1の範囲に渡る積分パワー分布の第1の比P
1が0.9よりも高いランプの放射スペクトルは、色認識の不十分な可能性をもたらすだろう。
【0008】
光源の一実施形態は、0.65≦P
1≦0.85、好ましくは0.70≦P
1≦0.85で特徴付けられる。昆虫に対する人工光の魅力に関するスペクトルパワー分布の影響への我々の現在の見識に基づいて、600〜680nmの放射された光のパワーのP
1≦0.65は、0.20〜0.40のP
1を伴う、最も一般的に用いられる白色光源と比較して、50%まで昆虫引き付け力の削減をもたらすだろう。長波長照射P
1≧0.70の更なる増大は、10%未満に昆虫引き付け力を減少させるだろう。ホオヒゲコウモリ種のような、あまり一般的ではない、より光に敏感なコウモリに関して、P
1≧0.70は、スペクトルパワー分布を公式化するのを可能にし、これは、我々の現在の見識に基づいて、大きな混乱をもたらさないが、より低い光レベルクラスS5,S6,A2,A3に対応する外灯照明レベルに達するのを可能にする。ここに記載されたスペクトルパワー分布に関する他の要件を考慮すると、P
1≧0.80により、スペクトルが取得され、これは、同等のフラックスレベルと比較して、60よりも大きいカラーレンダリングインデックスをさらにもつ、単色低圧ナトリウムランプよりも、昆虫に対してあまり魅力的ではない。
【0009】
光源の他の実施形態は、光源の全フラックスは、少なくとも100lm、好ましくは少なくとも250lm、より好ましくは少なくとも750lmである。100lmのルーメンパッケージは、専門的な環境における照明特定ポイント、例えば警告標識、入口又は障害物に適している。250lm以上に関して、斯様な光源は、公共又は個人庭園における照明に対して用いられ得る。例えば100000lmのオーダーまでの、750lmよりも高いフラックスでは、斯様な光源/照明器具は、道路及びエリア照明に対して適用され得る。
【0010】
一実施形態において、光源は、第1の照明制御要素として複数のLEDを有し、前記第1の照明制御要素は、赤色−オレンジ色LED及び赤色LEDからなるグループから選択され、前記光源は、少なくとも1つの追加の照明制御要素として追加の複数のLEDを有し、前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、青色LED、緑色LED及びアンバー色LEDからなるグループから選択されることを特徴とする。LEDは、多種多様の放射色において利用可能な小さな照明要素である。光源のスペクトル放射は、異なるLED及びその適切な数により放射された種々の色の選択により容易に選択され得る。光源は、前記光源が、前記第1の照明制御要素又は前記追加の照明制御要素のグループから選択されない少なくとも1つのLEDからなる少なくとも1つの更なる追加の照明制御要素を有することを特徴とする。より異なって着色されたLEDを選択することにより、380〜680nmのスペクトルのより広い範囲が達成可能であり、それ故、CRI及び/又は色認識の向上が達成可能である。代わりに、光源は、前記光源が前記第1の照明制御要素として複数のLEDを有し、前記第1の照明制御要素は、赤色−オレンジ色LED及び赤色LEDからなるグループから選択され、前記光源は、少なくとも1つの追加の照明制御要素として追加の複数のLEDを有し、前記少なくとも1つの追加の照明制御要素は、冷白色LED(CW)及び暖白色LEDからなるグループから選択されることを特徴とする。代わりに、これは、他の白色、例えば昼白色によっても達成可能である。
【0011】
より広い範囲のスペクトルを得るための代替手法は、第1、第2及び第3の波長範囲のそれぞれにおける少なくとも1つの顕著な放射ピークの増大した半値全幅(FWHM)をもつ照明制御要素を用いることによるものである。これに関して、顕著は、前記ピークでの測定されたスペクトル強度が、測定されたバックグラウンドノイズ信号の少なくとも100倍であることを意味する。FWHMに関する12nmの最小開始値が受け入れられるが、しかしながら、好ましくはFWHMは少なくとも20nmである。好ましくは、照射線は、色認識の可能性を増大させるように、如何なる認識可能なピークを伴うことなく、全範囲に渡って均等に分配されるように放射されるべきである。
【0012】
光源の一実施形態は、前記光源が放電容器を有する低圧水銀放電ランプであり、前記放電容器が、ガス密の態様で、不活性ガス及び水銀が供給された放電空間を囲むとともに、前記放電空間において放電を維持するための放電手段を有し、前記放電容器の壁の少なくとも一部は、前記第1の照明制御要素としての赤色放射蛍光体と、前記1つの追加の照明制御要素及び更なる追加の照明制御要素としての、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体、アンバー色発光蛍光体及び赤色−オレンジ色発光蛍光体から選択された少なくとも2つの蛍光体との混合を有する発光層を備えることを特徴とする。青色蛍光体は、好ましくは、BaMgAl
10O
17:Eu (BAM),Sr
5(PO
4)
3Cl:Eu (SCAP)及び/又はSr
4Al
14O
25:Eu (SAE)であり、緑色蛍光体は、好ましくは、LaPO
4:Ce,Tb (LAP),Sr
4Al
14O
25:Eu及び/又はBaMg
2Al
16O
27:Eu,Mn (BAM-green)であり、アンバー蛍光体は、好ましくは、Sr
10(PO
4)
6F
2:Sb (SHS)であり、赤色−オレンジ色蛍光体は、好ましくは、Y
2O
3:Eu(YOX)であり、赤色蛍光体は、好ましくは、YVO
4:Eu (YVO
4)及び/又はMg
4GeO
6:Mn (MGM)である。これらの蛍光体は、安価で、良く知られたものであり、蛍光ランプにおいて広く適用されている。現在、蛍光灯は、LEDを備えた光源に対する安価な代用品である。
【0013】
光源の一実施形態は、前記光源が、380nm≦λ≦600nmの範囲内の波長λ及び590〜610nmの範囲内のカットオフ波長をもつ光を少なくとも部分的に(全体的ではなく)反射又は吸収し、これにより、少なくとも部分的に、前記の範囲内の光が光源の包囲するのを阻止する干渉フィルタを少なくとも1つの追加の照明制御要素として備えた、照明制御要素としての高圧セラミックハライドランプであり、前記干渉フィルタは、好ましくは、前記ランプ容器の外側面の少なくとも一部に設けられたFe
2O
3/SiO
2及びSiO
2の交代層を有する。
【0014】
General Electric Lighting Systemsは、ウミガメに対する混乱効果を低減させるために高圧ナトリウム(HPS;High Pressure Sodium)ランプと一緒に用いられるべき2つのフィルタを発表した。双方は、530nm(フィルタタイプ#2422)又は570nm(フィルタタイプNLW)のカットオフをもつ、ハイパスフィルタであった。520nm又は560nm未満では、それぞれ、これらのフィルタは、650nmで約90%の透過率を達成する全ての光を完全にブロックした。研究は、HPSランプを伴う斯様なフィルタの適用がウミガメに対する所望の効果を完全には得ないことを示した。本発明は、GEのランプにおいて用いられたカットオフ波長が、ウミガメに対する所望の効果及び人に対する安全性の効果の双方をもたらすために、短すぎであり、約600nm又はそれよりも若干高いものであるべきであることを示す。同様のフィルタを備えたハロゲンランプが、米国特許第5,578,892号明細書にGEにより開示された。しかしながら、これらのランプにより放射されたスペクトルは、約0.36のみのP
1の値により特徴付けられる。一見したところこれらのランプが必要とされる生物学的効果を得なかったことに加えて、大量のエネルギが、光(強度)の人の知覚にあまり寄与しない、680nm〜780nmの波長で放射され、これらのランプを、ここに開示された光源よりも非常に小さなエネルギ効率のものにする。好ましくはエネルギ効率に関する将来の要求を満たすために、全放射スペクトルパワーの10%だけが680nmと780nmとの間で放射されるべきである。この境界条件を示すために、最新の蛍光ランプ又はLED照明のような、典型的なエネルギ効率のランプは、この要求を満たすのに対し、典型的な白熱又はハロゲンランプは、非常に高く、不適切な値をもつ。
【0015】
本発明は、人間可視スペクトル及び屋外生活エリアを照射することについて効果的な範囲内において、赤ちゃん及び大人のウミガメ、昆虫、コウモリ又は齧歯動物及び他の小さな哺乳動物のような、短波長に敏感な動物にとってほとんど見えないか、又はこれらの動物の自然行動に少なくともあまり影響しない、予め決められた、特定のより長い波長の光を主に放射する光源を提供する。しかしながら、光源及び照明器具の比較的単純で安価な構造を維持するために、このスペクトルは、好ましくは、例えば1つの取付ポイント、例えばソケット、街灯、取付ブラケット又はスタンディングフット、並びに、1つの電源接続をもつ単一のシステムにより放射されるべきである。この目的は、例えば仕事、読書、運転、検査、スポーツ等のための機能照明を提供することにある。それ故、光源の使用は、装飾的、祝祭的な、季節的な又は建築的/町の美化的な照明のような、美的効果を実現することを目的とした照明に対してあまり設計されていない。光源/照明器具は、前記のタイプのスペクトルを放射するように設計又は設定されるべきであるが、これは、例えば、生態学的かく乱よりも優先するときに、又は、特定の時間に若しくは特定の期間において、(例えば影響された種の冬眠の間において)このかく乱の危険性がない場合に、光を人の安全のためにより白くするために、白色光、若しくは、短及び中間波長範囲の光を追加することにより、又は、長波長範囲の光を調光することにより、異なるスペクトルに変更するためのオプションであってもよい。
【0016】
米国特許第2005/0168982号明細書は、野生生物を保護するために589nmの単色線放射をもつ、低圧ナトリウム放電ランプを開示している。このランプは、如何なる色認識も提供しない、不快な光を生成する、単色光源の動作の間において人の安全性に対して比較的低い範囲に寄与する、加えて、放射された波長が前述した動物に対する効果を十分に制限するほど短すぎる、という良く知られた欠点を有する。それ故、その光を他の光源の光と混合することが一般的に提案されており、他の光と混合された低圧ナトリウム光において色の視覚が可能となることを示す。しかしながら、周囲の生態系に対する最も小さな起こり得る追加のかく乱を伴う色認識の十分なレベルに達するために、どの波長に追加するのか、及び、どのような割合であるのか、のような必要な情報は与えられない。また、幾つかの動物に関して、例えば、リスアマガエル(Squirrel Treefrog(Hyla squirella))に関して、夜行性の色の視覚は、配偶者選択及びオス同士の競争において重要である。明らかに、標準の低圧ナトリウムランプが所望レベルの色認識を提供するかどうかについて少なくとも疑わしい。
【0017】
本発明は、例及び概略図によってより詳細に説明されるだろう。