(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中実で線状の形材を含む構造部材であって、この中実で線状の形材は、個々のリボンからなる団結されたラミネートから形成された第一の構成要素を含み、ラミネートの各々のリボンは、実質的に縦方向に配向した複数の連続繊維と、1種以上の熱可塑性ポリマーを含むとともに中に連続繊維が埋め込まれている樹脂製のマトリックスとを含み、連続繊維はリボンの40重量%から90重量%を構成していて、熱可塑性ポリマーはリボンの10重量%から60重量%を構成していて、形材の曲げ弾性率は10ギガパスカル以上である、前記構造部材。
熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、請求項1に記載の構造部材。
形材は個々のリボンからなる団結されたラミネートから形成された第二の構成要素を含み、ラミネートの各々のリボンは、実質的に縦方向に配向した複数の連続繊維と、1種以上の熱可塑性ポリマーを含むとともに中に連続繊維が埋め込まれている樹脂製のマトリックスとを含み、そして第二の構成要素の連続繊維は第一の構成要素の連続繊維よりも縦方向において大きな引張り強さを有する、請求項1に記載の構造部材。
熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、請求項15に記載の方法。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一つの態様によれば、中実で線状の形材を含む構造部材が開示される。中実で線状の形材は、リボンからなる団結されたラミネート(積層物)から形成された第一の構成要素を含み、ここで、ラミネートの各々のリボンは、実質的に縦方向に配向した複数の連続繊維と、1種以上の熱可塑性ポリマーを含む樹脂製のマトリックスとを含み、マトリックスの中に連続繊維が埋め込まれている。連続繊維はリボンの約40重量%から約90重量%を構成していて、熱可塑性ポリマーはリボンの約10重量%から約60重量%を構成している。曲げ弾性率は約10ギガパスカル以上である。
【0004】
[0004]本発明の別の態様によれば、中実で線状の形材を形成するための方法が開示され、この方法は複数の個々のリボンを供給することを含む。各々のリボンは、実質的に縦方向に配向した複数の連続繊維と、1種以上の熱可塑性ポリマーを含む樹脂製のマトリックスとを含み、マトリックスの中に連続繊維が埋め込まれていて、連続繊維はリボンの約40重量%から約90重量%を構成していて、熱可塑性ポリマーはリボンの約10重量%から約60重量%を構成している。リボンは樹脂製マトリックスの軟化温度以上の温度まで加熱される。加熱されたリボンは第一のダイを通して引き抜かれ、それによりリボンはともに団結してラミネートが形成され、そして第二のダイに通し、それによりラミネートは付形される。付形されたラミネートは冷却されて、それにより中実の形材が形成される。
【0005】
[0005]本発明のその他の特徴と態様は以下で詳細に説明される。
[0006]当業者にとっての最良の形態を含む本発明の完全かつ授権的な開示は、本明細書の以下の記載において添付図面を参照して詳細に説明される。
これらに限定されるものではないが、本発明は以下の態様の発明を包含する。
[1]中実で線状の形材を含む構造部材であって、この中実で線状の形材は、個々のリボンからなる団結されたラミネートから形成された第一の構成要素を含み、ラミネートの各々のリボンは、実質的に縦方向に配向した複数の連続繊維と、1種以上の熱可塑性ポリマーを含むとともに中に連続繊維が埋め込まれている樹脂製のマトリックスとを含み、連続繊維はリボンの約40重量%から約90重量%を構成していて、熱可塑性ポリマーはリボンの約10重量%から約60重量%を構成していて、形材の曲げ弾性率は約10ギガパスカル以上である、前記構造部材。
[2]連続繊維はガラス繊維、炭素繊維、またはガラス繊維と炭素繊維の組み合わせを含む、[1]に記載の構造部材。
[3]熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、[1]に記載の構造部材。
[4]連続繊維はリボンの約50重量%から約85重量%を構成している、[1]に記載の構造部材。
[5]リボンは約2%以下の気孔率を有する、[1]に記載の構造部材。
[6]ラミネートは10〜30本の個々のリボンから形成されている、[1]に記載の構造部材。
[7]形材は約30〜約60ギガパスカルの曲げ弾性率を有する、[1]に記載の構造部材。
[8]形材は約250メガパスカル以上の曲げ強さを有する、[1]に記載の構造部材。
[9]形材は約300〜約2000メガパスカルの曲げ強さを有する、[1]に記載の構造部材。
[10]形材は約2%以下の気孔率を有する、[1]に記載の構造部材。
[11]形材は個々のリボンからなる団結されたラミネートから形成された第二の構成要素を含み、ラミネートの各々のリボンは、実質的に縦方向に配向した複数の連続繊維と、1種以上の熱可塑性ポリマーを含むとともに中に連続繊維が埋め込まれている樹脂製のマトリックスとを含み、そして第二の構成要素の連続繊維は第一の構成要素の連続繊維よりも縦方向において大きな引張り強さを有する、[1]に記載の構造部材。
[12]第一の構成要素の連続繊維の引張り強さに対する第二の構成要素の連続繊維の引張り強さの比率は、縦方向において約1.2〜約2.5である、請求項11に記載の構造部材。
[13]第二の構成要素は、形材の断面の中心の周りに概ね対称的に配置されている、[11]に記載の構造部材。
[14]第二の構成要素の連続繊維は炭素繊維を含み、第一の構成要素の連続繊維はガラス繊維を含む、[11]に記載の構造部材。
[15]中実で線状の形材を形成するための方法であって、この方法は:
複数の個々のリボンを供給すること、ここで、各々のリボンは、実質的に縦方向に配向した複数の連続繊維と、1種以上の熱可塑性ポリマーを含むとともに中に連続繊維が埋め込まれている樹脂製のマトリックスとを含み、連続繊維はリボンの約40重量%から約90重量%を構成していて、熱可塑性ポリマーはリボンの約10重量%から約60重量%を構成している;
リボンを樹脂製マトリックスの軟化温度以上の温度まで加熱すること;
加熱されたリボンを第一のダイに通して引き抜き、それによりリボンはともに団結してラミネートが形成され、そして第二のダイに通し、それによりラミネートは付形されること;および
付形されたラミネートを冷却し、それにより中実の形材が形成されること;
を含む、前記方法。
[16]連続繊維はガラス繊維、炭素繊維、またはガラス繊維と炭素繊維の組み合わせを含む、[15]に記載の方法。
[17]熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド、フルオロポリマー、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組み合わせが含まれる、[15]に記載の方法。
[18]連続繊維はリボンの約50重量%から約85重量%を構成している、請求項15に記載の方法。
[19]リボンは約2%以下の気孔率を有する、[15]に記載の方法。
[20]ラミネートを形成するために10〜30本の個々のリボンが用いられる、[15]に記載の方法。
[21]リボンは赤外線加熱炉の中で加熱される、[15]に記載の方法。
[22]ラミネートは、第一のダイから出た後であって第二のダイに入る前に冷却される、[15]に記載の方法。
[23]約1℃から約15℃までの温度に維持される水タンクを用いてアニールが行われる、[15]に記載の方法。
[24]リボンの第一の部分はリボンの第二の部分よりも縦方向において大きな引張り強さを有する、[15]に記載の方法。
[25]第一の部分の連続繊維は炭素繊維を含み、第二の部分の連続繊維はガラス繊維を含む、[24]に記載の方法。
[26]形材は約2%以下の気孔率を有する、[15]に記載の方法。
[27]形材は約10ギガパスカル以上の曲げ弾性率と約250メガパスカル以上の曲げ強さを有する、[15]に記載の方法。
【0006】
[0016]本明細書と図面において参照符号を繰り返して用いるとき、それは本発明の同一または類似の特徴点または要素を表示することを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
[0017]ここで用いる場合、「形材(profile)」という用語は一般に、引抜きされた部材を指す。形材は、正方形、長方形、円形、楕円形、三角形、I形、C形、U形、J形、L形など、様々な断面形状を有していてもよい。
【0009】
[0018]ここで用いる場合、「線状の(lineal)」という用語は一般に、断面形状が形材の全長に沿って実質的に同じであることを指す。
[0019]ここで用いる場合、「連続繊維」という用語は一般に、繊維、フィラメント、糸、またはロービング(例えば、繊維の束)であって、約8ミリメートルを超える長さを有するものを指し、ある態様においては約15ミリメートル以上であり、またある態様においては約20ミリメートル以上である。
【0010】
[0020]ここで用いる場合、「不連続繊維」という用語は一般に、繊維、フィラメント、糸、またはロービングであって、連続していないものを指す。そのような繊維は典型的に約8ミリメートル以下の長さを有する。例えば、不連続繊維は短い繊維または長い繊維を含んでいてもよい。「長い繊維」とは典型的に約0.5〜約8ミリメートルの長さを有する繊維であり、ある態様においては約0.8〜約6ミリメートルであり、またある態様においては約1〜約5ミリメートルである。「短い繊維」とは典型的に約0.5ミリメートル以下の長さを有する繊維であり、ある態様においては約0.01〜約0.4ミリメートルであり、またある態様においては約0.05〜約0.3ミリメートルである。
【0011】
詳細な説明
[0021]当業者であれば、ここで検討することは典型的な態様だけについての説明であり、本発明の広い態様を限定することを意図していないことを理解するはずである。
【0012】
[0022]概して言えば、本発明は、窓、扉、壁板、デッキの用材、床張り材などのような様々な用途に用いるための構造部材を対象とする。この構造部材は複数の団結されたリボンから形成された中実で線状の形材を含み、各々のリボンは、熱可塑性ポリマーのマトリックス(母材)の中に埋め込まれて一方向に整列した連続繊維を含む。連続繊維のリボンは引抜きを行う間に共に積層され、それにより極めて高い引張り強さの性質を有する一体で中実の形材が形成される。従来の知識に反して、引抜きプロセスの特定の側面について注意深く制御することによって、引抜き装置に悪影響を及ぼすことなく、そのような高強度の形材を容易に形成することができることを、本発明者らは見いだした。本発明の様々な態様について以下で詳しく説明する。
【0013】
[0023]本発明において用いられる連続繊維は当分野で知られたあらゆる慣用の材料から形成されてもよく、それには例えば、金属繊維、ガラス繊維(例えば、Eガラス、Aガラス、Cガラス、Dガラス、ARガラス、Rガラス、S1ガラス、S2ガラス)、炭素繊維(例えば、黒鉛)ホウ素繊維、セラミック繊維(例えば、アルミナまたはシリカ)、アラミド繊維(例えば、E. I. duPont de Nemours(デラウェア州、ウィルミントン)によって市販されているケブラー(Kevlar)(登録商標))、合成有機繊維(例えば、ポリアミ
ド、ポリエチレン、パラフェニレン、テレフタルアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリフェニレンスルフィド)、および熱可塑性樹脂配合物を強化するものとして知られているその他の様々な天然または合成の無機繊維材料または有機繊維材料がある。ガラス繊維と炭素繊維は連続繊維において用いるのに特に望ましい。このような繊維は約4〜約35マイクロメートルの公称直径を有することが多く、ある態様においては約9〜約35マイクロメートルである。繊維は撚られていても、あるいは真っ直ぐなものであってもよい。所望により、繊維は単一の繊維タイプの繊維または異なるタイプの繊維を含むロービング(例えば、繊維の束)の形態のものであってもよい。異なる繊維が個々のロービングの中に含まれていてもよく、あるいは各々のロービングが異なる繊維タイプを含んでいてもよい。例えば、一つの態様において、特定のロービングが連続炭素繊維を含んでいて、一方、他のロービングがガラス繊維を含んでいてもよい。各々のロービングの中に含まれる繊維の数は一定であっても、あるいはロービングどうしで異なっていてもよい。典型的に、ロービングは約1000本〜約50000本の個々の繊維を含んでいてもよく、ある態様においては約2000本〜約40000本の繊維を含んでいてもよい。
【0014】
[0024]中に連続繊維が埋め込まれる熱可塑性樹脂のマトリックスを形成するために、任意の様々な熱可塑性ポリマーを用いることができる。本発明において用いるのに適当な熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマーなど)、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT))、ポリカーボネート、ポリアミド(例えば、ナイロン(商標))、ポリエーテルケトン(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン(例えば、ポリフェニレンジケトン(PPDK))、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド(例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS))、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルビニルエーテルポリマー、ペルフルオロ−アルコキシアルカンポリマー、ペトラフルオロエチレンポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンポリマーなど)、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー(例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS))などがある。ポリブチレンテレフタレート(PBT)は特に適当な熱可塑性ポリマーである。
【0015】
[0025]本発明の連続繊維リボンは一般に、中に連続繊維が熱可塑性樹脂のマトリックスとともに埋め込まれる押出し装置を用いて形成される。特に、押出し装置は、熱可塑性ポリマーが繊維の表面全体に付与される性能を促進する。得られるリボンは極めて低い気孔率も有し、このことによりリボンの強度が高まる。例えば、気孔率は約3%以下とすることができ、ある態様においては約2%以下、またある態様においては約1%以下である。気孔率は当業者に周知の方法を用いて測定することができる。例えば、気孔率は「樹脂焼き去り」試験を用いて測定することができ、これにおいてサンプルはオーブンの中に(例えば、600℃で3時間)置かれ、それにより樹脂が燃え切るようにする。次いで、残った繊維の質量が測定され、重量と体積分率が計算される。このような「焼き去り」試験はASTMD 2584−08に従って行うことができ、繊維と熱可塑性樹脂マトリックスの重量が決定され、次いで、それらを用いて次の式に基づいて「気孔率」が計算される:
V
f=100×(ρ
t−ρ
c)/ρ
t
ここで、
V
fはパーセントでの気孔率;
ρ
cは複合材料の密度であり、液体比重壜または気体比重壜(例えば、ヘリウム比重壜)を用いるもののような公知の技術を用いて測定される;
ρ
tは複合材料の理論密度であり、次の式によって決定される;
ρ
t=1/[W
f/ρ
f+W
m/ρ
m]
ρ
mは(例えば、適当な結晶化度における)熱可塑性樹脂マトリックスの密度;
ρ
fは繊維の密度;
W
fは繊維の重量分率;そして
W
mは熱可塑性樹脂マトリックスの重量分率である。
【0016】
[0026]あるいは、気孔率はASTM D 3171−09に従って樹脂を化学的に溶解することによって決定してもよい。「焼き去り」法と「溶解」法は、一般に溶融と化学的溶解に対する耐性の高いものであるガラス繊維について特に適当である。しかし、他の場合において、気孔率は、ASTMD 2734−09(方法A)に従って熱可塑性ポリマー、繊維、およびリボンの密度に基づいて間接的に計算してもよく、このとき、密度はASTMD 792−08の方法Aに従って決定される。当然ながら、気孔率は従来の顕微鏡検査装置を用いて見積もることもできる。
【0017】
[0027]
図1を参照すると、例えば、繊維に熱可塑性ポリマーを含浸するのに用いることのできる押出し装置の一態様が示されている。詳細には、装置は、バレル122の内部に取り付けられたスクリューシャフト124を含む押出し機120を有する。ヒーター130(例えば、抵抗加熱ヒーター)がバレル122の外側に取り付けられている。使用する間、熱可塑性ポリマーの供給原料127がホッパー126を通して押出し機120に供給される。熱可塑性ポリマーの供給原料127はバレル122の内部にスクリューシャフト124によって運ばれ、そしてバレル122の内部の摩擦力とヒーター130によって加熱される。加熱されると、供給原料127はバレルフランジ128を通ってバレル122から出て、含浸用ダイ150のダイフランジ132に入る。
【0018】
[0028](単一または複数の)連続繊維のロービング142が、(単一または複数の)リール144からダイ150に供給される。ロービング142は一般に、含浸する前には特定の距離だけ離しておかれ、それは例えば、少なくとも約4ミリメートルであり、ある態様においては少なくとも約5ミリメートルである。供給原料127を、ダイ150の中または周囲に取り付けられたヒーター133によってダイの内部でさらに加熱してもよい。ダイは一般に、熱可塑性ポリマーの溶融と含浸を起こさせるのに十分な温度において操作される。典型的に、ダイの操作温度は熱可塑性ポリマーの溶融温度よりも高く、例えば約200℃から約450℃までの温度である。このようにして加工処理されるとき、連続繊維のロービング142はポリマーマトリックスの中に埋め込まれ、この場合、そのマトリックスは供給原料127から処理された樹脂214(
図2A)であろう。次いで、混合物は含浸用ダイ150から押出され、それにより押出し物152が生成する。
【0019】
[0029]圧力センサー137(
図2A)が含浸用ダイ150の近傍の圧力を感知し、それによりスクリューシャフト124の回転速度、すなわち供給装置の供給量を制御することによって押出し量に制御を加えることが可能になる。すなわち、圧力センサー137は含浸用ダイ150の近傍に配置され、それにより押出し機120を、繊維のロービング142との相互作用を行わせるための樹脂214の正確な量を排出するように操作することができる。含浸用ダイ150から出た後、押出し物152、すなわち含浸された繊維のロービング142は、二つの隣接するロール190の間に形成されるニップ(ロール間隙)に入る前に、任意の予備成形部分または案内部分(図示せず)に入るようにしてもよい。選択的にではあるが、ロール190は押出し物152をリボン(またはテープ)の形状になるように団結するとともに、繊維の含浸を促進し、またあらゆる過剰な気孔を押しつぶすのを補助することができる。ロール190に加えて、他の成形装置(例えばダイ装置)を用いてもよい。得られた団結されたリボン156は、ロールの上に取り付けられた軌道162および164によって引っ張られる。軌道162および164はまた、含浸用ダイ150から押出し物152をロール190を通して引っ張る。所望により、団結されたリボン156を171の部分において巻き取ってもよい。概して言えば、リボンは比較的薄く、典型的に約0.05〜約1ミリメートルの厚さを有し、ある態様においては約0.1〜約0.8ミリメートル、またある態様においては約0.2〜約0.4ミリメートルの厚さ
である。
【0020】
[0030]含浸用ダイの中で、ロービング142を含浸領域250を通して横断させ、それによりロービングにポリマーの樹脂214を含浸させるのが一般に望ましい。含浸領域250において、ポリマーの樹脂を、含浸領域250の中で作り出される剪断応力と圧力によってロービングを概ね横断するようにして強制的に送り出すようにしてもよく、それにより含浸の度合いが著しく高まる。これは、約35%以上の重量分率(Wf)、またある態様においては約40%以上のWfといったような、繊維含有量の高いリボンから複合材料を形成する場合に特に有用である。典型的に、ダイ150は複数の接触面252を有し、例えば、少なくとも2の、少なくとも3の、4〜7の、2〜20の、2〜30の、2〜40の、2〜50の、あるいはそれ以上の数の接触面252を有し、それによりロービング142に対して十分な程度の浸透と圧力が生み出される。それらの特定の形状は一様でなくてもよいが、接触面252は典型的に、曲がった耳たぶ状のもの(lobe)や曲がった棒などのような、曲線状の表面を有する。接触面252はまた、典型的には金属材料からなる。
【0021】
[0031]
図2Aは含浸用ダイ150の断面図を示す。そこで示されているように、含浸用ダイ150はマニホールドアセンブリー220とゲート通路270および含浸領域250を有する。マニホールドアセンブリー220はポリマーの樹脂214を流通させるために設けられる。例えば、マニホールドアセンブリー220は単一または複数の流路222を有していてもよい。含浸用ダイ150に供給される樹脂214は、流路222を通って流れることができる。
【0022】
[0032]
図2Bに示すように、流路222の幾つかの部分は曲線状であってもよく、典型的な態様において、流路222は中心軸224に沿って左右対称の配置を有する。さらに、ある態様においては、流路は複数の枝分れしたランナー222であってもよく、これには第一の枝分れしたランナーの群232、第二の群234、第三の群236、そして所望により、さらに枝分れしたランナーの群を含んでいてもよい。各々の群は、先行する群におけるランナー222から、あるいは最初の流路222から枝分れした、2の、3の、4の、あるいはもっと多いランナー222を含んでいてもよい。
【0023】
[0033]枝分れしたランナー222およびそれらの対称的な配置によって、樹脂214は概ね一様に分配され、それによりマニホールドアセンブリー220を出る樹脂214の流れとロービング142の被覆は、ロービング142の上に実質的に均一に分配される。これにより、ロービング142の概ね均一な含浸が可能になるのが望ましい。
【0024】
[0034]さらに、ある態様においては、マニホールドアセンブリー220は出口領域242を画定していてもよく、この領域は概して流路またはランナー222の少なくとも下流部分を含み、ここから樹脂214が出る。ある態様においては、出口領域242に配置された流路またはランナー222の少なくとも一部は樹脂214の流れの方向244で広がっている領域を有する。この広がっている領域は、樹脂214がマニホールドアセンブリー220を通って流れるときに、樹脂214が拡散して、いっそう分配されるのを可能にし、この領域はさらに、ロービング142の上に樹脂214が実質的に均一に分配されるのを可能にする。
【0025】
[0035]
図2Aと2Bでさらに示されているように、樹脂214はマニホールドアセンブリー220を通って流れた後に、ゲート通路270を通って流れてもよい。ゲート通路270はマニホールドアセンブリー220と含浸領域250の間に配置され、またこれは、樹脂214をマニホールドアセンブリー220から流すことによって樹脂214がロービング142を被覆するようにするために設けられる。従って、そこで示されているように
、マニホールドアセンブリー220から出た樹脂214は、例えば出口領域242を通って、そしてゲート通路270に入り、その中を流れてもよい。
【0026】
[0036]
図2Aに示すように、ダイ150のマニホールドアセンブリー220とゲート通路270を出ると、樹脂214は、ダイ150を通って横断しているロービング142に接触する。上で説明したように、マニホールドアセンブリー220とゲート通路270の中での樹脂214の分配により、樹脂214はロービング142を実質的に均一に被覆するであろう。さらに、ある態様においては、樹脂214は各々のロービング142の上面、または各々のロービング142の下面、または各々のロービング142の上面と下面の両方に衝突してもよい。ロービング142への最初の衝突により、ロービング142への樹脂214の含浸がいっそう行われる。
【0027】
[0037]
図2Aに示すように、被覆されたロービング142は含浸領域250を通って走行方向282へ横断して行くが、その含浸領域はロービング142に樹脂214が含浸するように構成されている。例えば、
図2Aと2Cに示すように、ロービング142は含浸領域における接触面252の上を横断する。接触面252へのロービング142の衝突によって、ロービング142に樹脂214が含浸してロービング142を被覆するのに十分な剪断応力と圧力が生み出される。
【0028】
[0038]ある態様においては、
図2Aに示すように、含浸領域250は間隔のある対面する二つのプレート256および258の間に画定される。第一のプレート256は第一の内面257を画定し、一方、第二のプレート258は第二の内面259を画定している。接触面252は、第一および第二の内面257および259の両者または第一および第二の内面257および259のうちの一つだけの上に画定されているか、あるいはそれらの内面から延びていてもよい。
図2Cは、これらの態様に従って含浸領域250の少なくとも一部を形成する第二のプレート258とその上の様々な接触面を示す。典型的な態様において、
図2Aに示すように、接触面252は第一および第二の面257および259の上に交互に画定されていてもよく、それによりロービングは第一および第二の面257および259の上の接触面252と交互に衝突する。従って、ロービング142は波形、屈曲した形あるいは正弦曲線の形の細い通路の中で接触面252を通過することができ、これにより剪断応力が高まる。
【0029】
[0039]ロービング142が接触面252を横断する位置での角度254は一般に、剪断応力を高めるのに十分なほどに大きくしてもよいが、しかし繊維を破断させるような過大な力を生じさせるほど大きくあってはならない。従って、例えば、角度254は約1°と約30°の間の範囲としてよく、またある態様においては約5°と約25°の間の範囲とする。
【0030】
[0040]代替の態様において、含浸領域250は複数のピン(図示せず)を含んでいてもよく、このとき各々のピンは接触面252を有する。ピンは動かないものであるか、自由に回転するもの、あるいは回転駆動するものであってよい。さらなる代替の態様において、接触面252と含浸領域250は、所望により、あるいは必要に応じて、ロービング142に樹脂214を含浸させるのに適した、いかなる形状および/または構造を有していてもよい。
【0031】
[0041]ロービング142の含浸をさらに容易にするために、含浸用ダイの中にある間、ロービングを張力下においてもよい。例えば、張力は一つのロービング142当り、あるいは繊維のトウ当り、約5〜約300ニュートンの範囲であってよく、ある態様においては約50〜約250ニュートン、またある態様においては約100〜約200ニュートンとする。
【0032】
[0042]
図2Aに示すように、ある態様においては、ロービング142の走行方向282における含浸領域250の下流にランド領域280を配置してもよい。ロービング142は、ダイ150から出る前にランド領域280を通って横断するだろう。
図2Aにさらに示すように、ある態様においては面板290が含浸領域250に隣接していてもよい。面板290は一般に、ロービング142から過剰な樹脂214を計量するように構成される。従って、ロービング142が横断する面板290における開口は、それをロービング142が横断して通過するときに、開口の大きさのために過剰な樹脂214がロービング142から除去されるような大きさにしてもよい。
【0033】
[0043]しかし、ここで示されていて、そして上で説明された含浸用ダイは、本発明において用いることのできる様々な可能な構成のうちの一つである。代替の態様において、例えば、繊維はクロスヘッドダイの中に導入され、このときクロスヘッドダイはポリマーの溶融液の流れの方向に対してある角度で配置される。繊維がクロスヘッドダイの中を移動して、ポリマーが押出し機のバレルから出る位置に達したときに、ポリマーを押出して繊維と接触させる。他のいかなる構成の押出し機(例えば、二軸スクリュー押出し機)も採用することができることを理解するべきである。さらに、繊維を含浸するのを補助するための他の構成要素を選択的に用いてもよい。例えば、特定の態様においては、個々の繊維の束またはトウを均一に広げるのを補助するために「ガスジェット」アセンブリーを用いてもよく、このとき各々のトウは、合わせたトウの全幅にわたって24000本程度までの繊維を含んでいるだろう。これにより、リボンの強度特性の均一な分布が達成され易くなる。そのようなアセンブリーは、出口孔を横切って通過するように移動する繊維のトウに概ね垂直に衝突する圧縮空気またはその他のガスを供給するものであろう。次いで、上で述べたような広げられた繊維の束を、含浸のためにダイの中に導入することができる。
【0034】
[0044]用いられる技術のいかんにかかわらず、連続繊維は縦方向(
図1の装置の機械加工方向「A」)に配向され、それにより引張り強さが向上する。繊維の配向以外に、所望の強度を得るためにリボンの他の特徴点と引抜きプロセスも制御される。例えば、高い強度特性を得るために、リボンにおいて比較的高い割合の連続繊維が用いられる。例えば、連続繊維は典型的にリボンの約40重量%から約90重量%を構成していて、ある態様においては約50重量%から約85重量%、またある態様においては約55重量%から約75重量%を構成している。同様に、熱可塑性ポリマーは典型的にリボンの約10重量%から約60重量%を構成していて、ある態様においては約15重量%から約50重量%、またある態様においては約25重量%から約45重量%を構成している。
【0035】
[0045]さらに、形材は多数の連続繊維リボンの組み合わせから形成されてもよく、このとき、それらのリボンは、所望の厚さを有する強くて一体の構造物を形成するために一緒に積層される。用いられるリボンの数は、形材の所望の厚さと強度およびリボン自体の性質に基づいて異なってもよい。しかし、大部分の場合、リボンの数は5〜40であり、ある態様においては10〜30、またある態様においては15〜25である。
【0036】
[0046]リボンどうしを一体にして、それを成形するための特定の方法も、引抜き装置に悪影響を及ぼすことなく高強度の形材を確実に形成し得るように、注意深く制御される。例えば
図3を参照すると、中実の形材を形成するための装置と方法の一つの特定の態様が示されている。この態様において、最初に複数のリボン12は、クリール20の上に巻き取られたパッケージの中に用意される。クリール20は、それぞれがパッケージを支持している平面上の回転スピンドル22を備えたフレームを有する巻き戻しクリールであってよい。繊維に撚りを生じさせることが特に望ましい場合は、繰り出しクリールも用いてもよい。形材を形成するのとインラインで(直結させて)リボンを形成してもよいことを理解するべきである。例えば、一つの態様において、
図1における含浸用ダイ150から出
た押出し物152を、形材を形成するために用いられる装置に直接供給してもよい。リボン12における張力の度合いを制御するのを助けるために、張力調整装置40も用いてもよい。装置40は、クリール20の回転スピンドル22に平行な垂直面内にある入口プレート30を有していてもよい。張力調整装置40は、ずらした構成で配置された円筒形のバー41を有していてもよく、それによりリボン12はこれらのバーの上下を通過して、波打ったパターンが生じる。バーの高さを調節することによって、波打ったパターンの振幅を修正し、また張力を制御することができる。
【0037】
[0047]リボン12は、団結用ダイに入る前にオーブン45の中で加熱される。加熱は、いかなる公知のタイプのオーブン(赤外線加熱炉、熱対流炉など)を用いて行ってもよい。加熱を行う間、繊維は一方向に配向され、それにより熱への曝露を最適にし、また形材全体にわたる一様な加熱を維持する。リボン12を加熱する温度は一般に、リボンどうしが結合できる程度まで熱可塑性ポリマーを軟化させるのに十分な高さとする。しかし、その温度は材料の一体性が破壊されるほどに高くあってはならない。その温度は、例えば、約80℃から約250℃までの範囲とすることができ、ある態様においては約90℃から約200℃までの範囲、またある態様においては約100℃から約150℃までの範囲とする。一つの特定の態様においては、例えば、ポリマーとしてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)が用いられ、リボンはABSの融点(約105℃)以上まで加熱される。別の態様においては、ポリマーとしてポリブチレンテレフタレート(PBT)が用いられ、リボンはPBTの融点(約224℃)以上まで加熱される。
【0038】
[0048]加熱されたならば、リボン12は、リボンどうしを結合してラミネート14にするために、また整列させるために、そして形材の初期の形状を形成するために、団結用ダイ50へ送られる。例えば、
図4に示すように、リボン12は「A」の方向へ、ダイ50の溝51を通して案内される。溝51は、形材の輪郭を得るための任意の様々な形状および/または大きさを有していてもよい。望ましくは、溝51の大きさ(幅および/または高さ)はラミネート14の大きさよりもわずかに大きくして、それにより加熱する間に熱可塑性ポリマーが膨張することを可能にし、ダイ50の中で材料が渋滞する危険性を最小限にする。例えば、溝51の幅は、ラミネート14の幅よりも約2%以上大きくしてもよく、ある態様においては約5%以上、またある態様においては約10%から約20%まで大きくする。同様に、溝51の高さは、ラミネート14の高さよりも約2%以上大きくしてもよく、ある態様においては約5%以上、またある態様においては約10%から約20%まで大きくする。ダイ50の中で、リボンは一般に、リボンにおいて用いられる熱可塑性樹脂のマトリックスの融点以上の温度に維持され、それにより適切な団結を確実に行わせる。
【0039】
[0049]所望により、ラミネート14を形材のための最終形状に圧縮する第二のダイ60(例えば、規制用ダイ)も用いてもよい。これを用いるとき、ラミネート14を、団結用ダイ50から出た後で、かつ選択的な第二のダイ60に入る前に、一時的に冷却するのが一般に望ましい。これにより、装置を通ってさらに前進する前に、団結されたラミネート14がその初期の形状を保持することが可能になる。このような冷却は、ラミネート14を単に周囲雰囲気(例えば、室温)に晒すか、あるいは当分野で知られた能動的な冷却方法(例えば、水浴または空冷)を使用することによって行ってもよい。例えば、一つの態様において、空気をラミネート14に(例えば、エアリング(空冷環)を用いて)吹き付ける。しかしながら、これらの段階の間での冷却は一般に、ラミネート14がさらに成形されるのに十分な程度に確実に軟らかいままでいるように、短い時間にわたって行われる。例えば、団結用ダイ50から出た後で、かつ第二のダイ60に入る前に、ラミネート14は、わずかに約1〜約20秒にわたって周囲の環境に晒され、またある態様においては約2〜約10秒にわたってこれが行われる。ダイ60の中で、ラミネートは一般に、リボンにおいて用いられる熱可塑性樹脂のマトリックスの融点未満の温度に維持され、それに
より形材の形状を維持することができる。
【0040】
[0050]上では単一のダイとして示したが、ダイ50および60は実際には複数の個別のダイ(例えば、面板ダイ)から形成してもよいことを理解すべきである。
[0051]得られた形材にはキャッピング層を設けてもよく、それにより形材の美的な印象を高め、そして/または形材を環境条件から保護する。例えば、再び
図3を参照すると、そのようなキャッピング層は、キャッピング用ダイ72の中に熱可塑性樹脂を導入するための任意の所望の角度の向きを有する押出し機によって付与してもよい。樹脂は、形材を形成するのに用いられる熱可塑性ポリマーと概ね適合する、当分野で知られた任意の適当な熱可塑性ポリマーを含んでいてもよい。適当なキャッピング用ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ABS、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリウレタンなどがある。キャッピング用樹脂は一般に繊維を含まないが、それでも形材の最終的な性質を改善するための他の添加剤を含んでいてもよい。この段階で用いられる添加材料は、連続繊維または長い繊維層の中に配合するのには適当でないものを含んでいてもよい。例えば、成形された製品の仕上げ作業を軽減するために複合構造物に顔料を添加するのが望ましいかもしれないし、あるいは成形された製品の難燃性を高めるために複合構造物に難燃剤を添加するのが望ましいかもしれない。多くの添加材料は感熱性なので、過剰な加熱はそれらを分解させ、また揮発性ガスを生じさせるかもしれない。従って、感熱性の添加材料を含浸樹脂とともに高い加熱条件の下で押出すと、その結果、添加材料は完全に劣化するかもしれない。添加材料としては、例えば、無機強化剤、潤滑剤、難燃剤、発泡剤、起泡剤、耐紫外線剤、熱安定剤、顔料、およびこれらの組み合わせがある。適当な無機強化剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、雲母、粘度、タルク、ケイ酸カルシウム、黒鉛、アルミナ三水和物、バリウムフェライト、およびこれらの組み合わせがある。
【0041】
[0052]ここでは詳しくは示さないが、キャッピング用ダイ72は、キャッピング層の望ましい付与を行うのを助けるための、当分野で知られた様々な特徴を備えているだろう。例えば、キャッピング用ダイ72は、入ってくる形材を整列させる入口ガイドを有していてもよい。キャッピング用ダイはまた、適切な結合を確実に行うのを助けるために、キャッピング層を付与する前に形材を予備加熱する加熱機構(例えば、加熱されたプレート)を有していてもよい。
【0042】
[0053]選択的に行うキャッピングの後、次いで、成形された部材15は当分野で知られた冷却装置80を用いて最終的に冷却される。冷却装置80は、例えば真空サイジング機であり、これは形材を完全に包囲する一つ以上のブロック(例えば、アルミニウムのブロック)を有し、また同時に、高温の付形物が冷却するときに真空によってブロックの壁に対して付形物を引き抜く。形材を正確な形状に固めるために、空気または水のような冷却媒体をサイジング機に供給してもよい。
【0043】
[0054]真空サイジング機は形材を形成するときに、典型的に用いられる。しかし、真空サイジング機が用いられない場合であっても、形材がキャッピング用ダイから出た後に(あるいは、キャッピングが適用されない場合は、団結用ダイまたは規制用ダイから出た後に)形材を冷却するのが一般に望ましい。冷却は当分野で知られた任意の方法を用いて行うことができ、例えば、真空水タンク、冷気流れまたは冷気ジェット、冷却ジャケット、内部冷却水路、冷却流体循環水路などがある。いずれにしても、材料を冷却する温度は通常、最適な機械的性質、部材寸法の許容度、良好な加工処理、および美的に満足できる複合材料が得られるように制御される。例えば、冷却ステーションの温度が高すぎる場合、材料は成形型の中で膨張し、そして加工処理が中断してしまうだろう。半結晶質材料の場合、温度が低すぎると、同様に材料をあまりに急速に冷却させ、また完全には結晶化させ
ず、それにより複合材料の機械的および化学的耐性を損なう恐れがある。独立した温度制御を行う複数の冷却ダイの部分を用いることにより、加工処理と性能の最適なバランスを付与することができる。例えば、一つの特定の態様において、約0℃から約30℃の温度に保持される真空水タンクが用いられ、ある態様においては約1℃から約20℃の温度、またある態様においては約2℃から約15℃の温度が用いられる。
【0044】
[0055]認識できることと思うが、本発明の装置のいずれかの部分を進行するときの形材の温度は、最適な生産性と望ましい最終の複合材料特性が得られるように制御することができる。アセンブリー区画のいずれかの部分またはそれらの全ては、電気カートリッジヒーター、循環流体冷却、あるいは当業者に知られたその他の任意の温度制御装置を用いて温度制御することができる。
【0045】
[0056]再び
図3を参照すると、仕上げられた形材16を複合材料の最終のサイジングのための装置を通して引き取るための引取り装置82が、冷却装置80よりも下流に配置されている。引取り装置82は、その処理装置を通して形材を所望の速度で引き取ることのできる、いかなる装置であってもよい。典型的な引取り装置としては、例えば、カタピラ式引取り装置および往復式引取り装置がある。所望により、一つ以上のサイジングブロック(図示せず)も用いてもよい。そのようなブロックは、最初の過大なサイズから最終の形材の形状まで段階的に正確な形材の形状になるように形が整えられた開口を有する。形材がそこを通過するとき、形材を動かすか、あるいは弛ませる作用が打ち消され、そして形材は(繰り返し)後ろへ押し返されて、正確な形状になる。寸法が整えられたならば、横断面の切断を行うことのできる切断のこを用いるもののような切断位置(図示せず)において、形材を所望の長さに切断してもよい。
【0046】
[0057]上で述べた様々なパラメーターの制御によって、極めて高い強度を有する形材を形成することができる。例えば、形材は比較的高い曲げ弾性率を示すだろう。「曲げ弾性率」という用語は一般に、曲げ変形における応力とひずみとの比(単位は面積当りの力)、あるいは材料が曲がる傾向をいう。それは「三点曲げ」試験(例えば、ASTMD790−10、手順AまたはISO 178)によって得られる応力−ひずみ曲線の勾配から決定される。例えば、本発明の形材は約10ギガパスカル(GPa)以上の曲げ弾性率を示し、ある態様においては約10〜約80GPa、ある態様においては約20〜約70GPa、またある態様においては約30〜約60GPaの曲げ弾性率を示す。さらに、最大曲げ強さ(これは破壊係数または曲げ強さとしても知られている)は約250メガパスカル(MPa)以上であり、ある態様においては約300〜約1000MPa、またある態様においては約325〜約700MPaである。「最大曲げ強さ」という用語は一般に、室温における「三点曲げ」試験(例えば、ASTMD790−10、手順AまたはISO
178)によって得られる応力−ひずみ曲線上で達する最大応力をいう。それは、材料が破壊するまでに加えられた応力に耐える能力を表す。
【0047】
[0058]形材は極めて低い気孔率を有していてもよく、例えば、約3%以下、ある態様においては約2%以下、またある態様においては約1%以下の気孔率を有する。気孔率は、前述した方法、例えばASTMD 2584−08に従う「樹脂焼き去り」試験を用いて決定することができる。
【0048】
[0059]上で説明した方法から形成された形材の一つの態様を、
図5において要素516として詳細に示す。そこで示されているように、形材516は概ね長方形の形状を有し、複数の積層されたリボンから形成された連続繊維要素514から形成されている。キャッピング層519も連続繊維要素514の周囲に延びていて、形材516の外表面を画定している。連続繊維要素514の断面の厚さ(T)は、形材の特定の強度を達成するのに役立つように計画的に選択することができる。例えば、連続繊維要素514は約0.5〜約
40ミリメートルの厚さを有していてもよく、ある態様においては約1〜約20ミリメートル、またある態様においては約4〜約10ミリメートルの厚さを有する。同様に、断面の幅(W)は約1〜約50ミリメートルの範囲としてもよく、ある態様においては約4〜約40ミリメートル、またある態様においては約5〜約30ミリメートルである。キャッピング層519の厚さはその部材の意図される機能に依存するが、しかし典型的に約0.01〜約5ミリメートル、またある態様においては約0.02〜約1.5ミリメートルである。形材516の全体の断面の厚さまたは高さも、約0.5〜約45ミリメートルの範囲としてもよく、ある態様においては約1〜約25ミリメートル、またある態様においては約4〜約15ミリメートルである。
【0049】
[0060]認識できることと思うが、上で説明した特定の形材の態様は、本発明によって成しうる多数の構成の単なる典型例である。様々な可能性のある形材の構成の中で、上で説明したものに加えて、追加の材料の層を用いてもよいことを理解すべきである。例えば、特定の態様において、一つの構成要素が高強度の材料から形成されていて、もう一つの構成要素が低強度の材料から形成されている、複数の構成要素の形材を形成するのが望ましいかもしれない。このような複数要素の形材は、形材の全体について高価な高強度の材料を必要とすることなく全体的な強度を増大させるのに特に有用であろう。低強度および/または高強度の構成要素は、熱可塑性樹脂マトリックスの中に埋め込まれた連続繊維を含むリボンから形成することができる。高強度の材料を形成するのに用いられる繊維と低強度の材料を形成するのに用いられる繊維の(室温における)極限引張り強さの比は、約1.0から約3.0であり、ある態様においては約1.2から約2.5、またある態様においては約1.4から約2.0である。このような強度の差を有する材料を用いる場合、形材の断面の中心の周りに概ね対称的に高強度の材料を配置させるのが望ましいことが多い。このような対称的な配置は、材料の強度の差のために引抜きを行う間に生じるかもしれない座屈やその他の機械的な問題を防ぐのに役立つ。
【0050】
[0061]例えば、
図6を参照すると、中実で複数構成要素の形材600の一つの態様が示されていて、これは第一の「高強度」構成要素620と第二の「低強度」構成要素640を含む。この態様において、各々の構成要素は、熱可塑性ポリマーのマトリックスの中に埋め込まれた連続繊維を含む複数のリボンから形成されている。低強度構成要素640の連続繊維は、例えばガラス繊維(例えばEガラス)とすることができて、一方、高強度構成要素の連続繊維は炭素繊維とすることができる。
図6に示されているように、高強度構成要素620は、これが低強度構成要素の上面と下面に隣接するように配置されていて、従って、形材600の断面中心「C」の周りに対称的に配置されている。このような形材600は当業者に知られた技術を用いて形成することができる。例えば、クリール20(
図3)から巻き出された上方のリボンと下方のリボンを炭素繊維のリボンとしてよく、一方、中央のリボンをガラス繊維のリボンとしてよい。その後、全てのリボンを積層し、そしてここで示されて説明されているようにして、所望の形状に引き抜くことができる。
【0051】
[0062]
図7は複数構成要素の形材700の別の態様を示していて、これは高強度構成要素720と低強度構成要素740を含む。この特定の態様において、高強度構成要素(例えば、炭素繊維のリボン)は形材700の中心領域の中に配置されていて、そして中心「C」の周りに配置されている。低強度構成要素740(例えば、ガラス繊維のリボン)は同様に、高強度構成要素720の周囲に配置されている。
【0052】
[0063]本発明は上で説明した態様には決して限定されないことを、理解すべきである。例えば、所望の用途に応じて、形材は他の様々な構成要素を含んでいてもよい。その追加の構成要素は、ここで述べているような連続繊維のリボンと他のタイプの材料から形成されていてもよい。例えば、一つの態様において、形材は、その曲げ強さを改善するために不連続繊維(例えば、短い繊維、長い繊維など)の層を含んでいてもよい。その不連続繊
維は、それらの繊維の少なくとも一部が、連続繊維が延びている方向に対してある角度で配置されるように配向されていてもよい。
【0053】
[0064]上で示したように、本発明の形材は様々な用途のための構造部材として用いることができ、そのような用途としては、窓、デッキ厚板、手すり、手すり子、かわら、羽目、装飾板、パイプ、フェンス、標柱、照明柱、道路標識、道路標柱などがある。例えば、窓において、本発明の線状の形材を含む一つ以上の構造部材を用いることができる。例えば、窓は、米国特許6260251号(Guhl)に記載されているような枠、サッシおよび窓ガラスを有するだろう。この特許は、その全ての目的について、その内容の全てが参考文献としてここに取り込まれる。枠は4つの個々の枠部材から製造することができて、一方、サッシは4つの個々のサッシ部材から製造することができる。所望により、窓のあらゆる構成要素において本発明の形材を用いてもよいが、しかし枠部材および/またはサッシ部材の全部または一部を形成するのに用いるのが特に望ましいだろう。
【実施例】
【0054】
[0065]以下の実施例を参照することによって、本開示はさらによく理解されるだろう。
実施例1
[0066]最初に21本の連続繊維のリボンを、実質的に上で説明し、そして
図1および2に示す押出し装置を用いて形成した。この連続繊維についてガラス繊維のロービング(Eガラス、2200テックス)を用い、各々の個々のリボンは3本の繊維ロービングを含んでいた。繊維に含浸するために用いられた熱可塑性ポリマーはポリブチレンテレフタレートであり、これは約224℃の融点を有する。各々のリボンは65.6重量%のガラス繊維と34.4重量%のPBTを含んでいた。得られたリボンは0.2〜0.4ミリメートルの厚さと1%未満の気孔率を有していた。
【0055】
[0067]形成された後、次いで、21本のリボンを15フィート/分の速度で運転される引抜きラインに供給した。団結を行う前に、リボンを赤外線加熱炉(445の出力設定)の中で加熱した。次いで、加熱されたリボンを、上で説明し、そして
図3に示すような団結用ダイに供給した。ダイはリボンを受け入れる長方形の溝を有し、そしてリボンをともに団結して、それにより形材の初期の形状を形成した。ダイの中でリボンを約227℃の温度に保持したが、これはポリブチレンテレフタレートのマトリックスの融点の直上の温度である。団結を行った後、次いで、得られたラミネートを、周囲空気を8.5psiの圧力で供給するエアリングまたはトンネル装置を用いて一時的に冷却した。次いで、二つのロールの間に形成されるニップ(ロール間隙)にラミネートを通し、次いで、規制用ダイに通して最終形状とした。規制用ダイの中でラミネートを約177℃の温度に保持した。次いで、得られた部材を数個のサイジングブロック(またはダイ)に供給し、それにより最終的な中実で長方形の形状を付与し、そして水タンクを用いて約7℃の温度で冷却した。形材は5.87ミリメートルの厚さと19.94ミリメートルの幅を有していた。
【0056】
[0068]形材の強度特性を測定するために、ASTM D790−10の手順Aに従って三点曲げ試験を行なった。支点とノーズの半径は5ミリメートル、支点間の距離は3.68インチ、試料の深さは16X、そして試験速度は0.1インチ/分であった。得られた曲げ弾性率は34.6ギガパスカルで、曲げ強さは546.8メガパスカルであった。部材の密度は1.917g/cm
3であり、気孔の含有量は0.51%であった。さらに、灰分は66.5%であった。
【0057】
実施例2
[0069]最初に18本の連続ガラス繊維のリボンと6本の炭素繊維のリボンを、実質的に上で説明し、そして
図1および2に示す押出し装置を用いて形成した。これらの連続繊維についてガラス繊維のロービング(Eガラス、2200テックス)と炭素繊維のロービン
グを用い、各々の個々のリボンは3本の繊維ロービングを含んでいた。繊維に含浸するために用いられた熱可塑性ポリマーはポリブチレンテレフタレートであり、これは約224℃の融点を有する。各々のリボンは65.6重量%のガラス繊維と34.4重量%のPBTあるいは50重量%の炭素繊維と50重量%のPBTを含んでいた。得られたリボンは0.2〜0.4ミリメートルの厚さと1%未満の気孔率を有していた。
【0058】
[0070]形成された後、次いで、リボンを15フィート/分の速度で運転される引抜きラインに供給した。団結を行う前に、リボンを赤外線加熱炉(445の出力設定)の中で加熱した。次いで、加熱されたリボンを、上で説明し、そして
図3に示すような団結用ダイに供給した。ダイはリボンを受け入れる長方形の溝を有し、そしてリボンをともに団結して、それにより形材の初期の形状を形成した。ダイの中でリボンを約227℃の温度に保持したが、これはポリブチレンテレフタレートのマトリックスの融点の直上の温度である。団結を行った後、次いで、得られたラミネートを、周囲空気を5psiの圧力で供給するエアリングまたはトンネル装置を用いて一時的に冷却した。次いで、二つのロールの間に形成されるニップ(ロール間隙)にラミネートを通し、次いで、規制用ダイに通して最終形状とした。規制用ダイの中でラミネートを約177℃の温度に保持した。次いで、得られた部材を数個のサイジングブロック(またはダイ)に供給し、それにより最終的な中実で長方形の形状を付与し、そして水タンクを用いて約7℃の温度で冷却した。形材は5.87ミリメートルの厚さと19.94ミリメートルの幅を有していた。
【0059】
[0071]形材の強度特性を測定するために、ASTM D790−10の手順Aに従って三点曲げ試験を行なった。支点とノーズの半径は5ミリメートル、支点間の距離は3.68インチ、試料の深さは16X、そして試験速度は0.1インチ/分であった。得られた曲げ弾性率は48ギガパスカルで、曲げ強さは350メガパスカルであった。
【0060】
[0072]本発明の以上のものとその他のものの変形と修正は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、当業者によって実施できるであろう。さらに、様々な態様の様相は、全てまたは一部を交換してもよいことを理解すべきである。さらに、当業者であれば、以上の説明は例としてのみ用いられたものであり、添付した特許請求の範囲に記載された本発明を限定することを意図してはいないことを認識するであろう。