(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
上記の携帯形の切断機は、電動モータにより回転する円形の鋸刃を備えた切断機本体と、切断材の上面に重ね合わせてこの切断機本体を切断材に対して支持するベースを備えるもので、使用者がこれを手に持って切断材上を移動させることによりベース下面側に突き出した鋸刃を切断材に切り込ませて切断作業を行うことができる。
この種の切断機を用いて切断加工を行う際には、鋸刃の回転により切断粉が吹き上げられる。このため、鋸刃のベース上面側は、ブレードケースに覆われて切断粉の飛散が防止され、またブレードケースには吹き上げられた粉塵を集塵するための集塵袋が接続され、あるいはホースを介して集塵機が接続される。
一方、ベースの下面側において鋸刃は、切断材に切り込まれた部位を除いて開閉可能な可動カバーでその周囲を覆われている。この可動カバーは、その先端側を切断材の切り込み側端面に当接させ、この当接状態で当該切断機が切断進行方向に移動されることにより相対的に徐々に開かれて一定距離切断が進行した段階で全開状態となる。
この可動カバーによれば、ベース下面側において鋸刃の周囲の一部が覆われるため、ベースの上面側で集塵し切れず、鋸刃の回転によってベース下面側へ吹き流された粉塵をこの可動カバーで受けて飛散を防止することができ、この点で当該可動カバーに一定の集塵機能を持たせることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したように可動カバーは、切断の進行に伴って徐々に開かれて鋸刃の露出範囲が大きくなっていくため、十分な集塵機能を持たせることが困難であった。従来、ベース下面側(切断材下面側)における集塵をするための技術として、例えば上記の特許文献に開示された技術があった。この特許文献には、切断機本体を案内する定規に上板と下板を取り付けて、両板間に切断材を挟んだ状態で切断加工を行う集塵定規が開示されている。下板の上面には複数のリブが設けられて切断材下面との間に僅かな隙間が発生するようになっており、この隙間を利用して切断材下面側の切断粉を集塵することができる。ところが、この集塵定規は、切断機とは別の機器として用いるものであったので、取り扱いに不便であった。また、切断刃に対して片側(右側又は左側)において上板と下板で切断材を挟んだ状態で用いるものであることから、切断刃の反対側で発生する切断粉を集塵することが困難であった。
本発明は、係る従来の問題に鑑みなされたもので、切断機に装備して一体として取り扱うことができるアタッチメント形式の集塵装置を提供して、その主として取り扱いの利便性を高めるとともに、ベース下面側において切断刃の両側に発生する切断粉を効率よく集塵できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、以下の発明により解決される。
第1の発明は、切断材に載置するベースと、ベースの上面に支持され、ベースの下面側に突き出す円形の切断刃を備えて、ベースと一体で切断進行方向に移動させて切断材の切断加工を行う切断機本体を備えた切断機に装備された集塵装置であって、ベース若しくは切断機本体に支持されて、切断刃の下方に保持される粉塵受けを備えた集塵装置である。
第1の発明によれば、粉塵受けがベース若しくは切断機本体に支持されていることから、これを切断機と一体のものとして取り扱うことができ、これにより当該集塵装置の取り扱いの利便性を高めることができる。
また、切断刃の下方に粉塵受けが保持されることから、切断刃の下方両側に発生する切断粉を受けることができるので切断材の下面側において切断刃の左右両側における集塵を効率よく行うことができるようになる。
第2の発明は、第1の発明において、粉塵受けは、ベース若しくは切断機本体に対して着脱可能に支持された集塵装置である。
第2の発明によれば、不必要時には取り外すことができるので、切断機の取り扱い性の利便性を一層高めることができる。
第3の発明は、第2の発明において、粉塵受けは、ベースに着脱可能に支持された集塵装置である。
第3の発明によれば、切断材により接近した部位に対して粉塵受けを支持することができるので、その支持構造を簡素化することができる。
第4の発明は、第3の発明において、ベースに、切断刃を切断材に対して案内するための平行定規を取り付けるための定規取り付け部が設けられており、この定規取り付け部を利用して取り付けた支持アームを介して粉塵受けを支持する構成とした集塵装置である。
第4の発明によれば、既存の定規取り付け部を利用して粉塵受けを支持することができるので、特別の取り付け部位を新たに設定する場合に比して低コストで当該集塵装置を実現することができるとともに、当該集塵装置の後付けを容易に行うことができるようになる。
第5の発明は、第2の発明において、粉塵受けは、上下に傾動可能に支持された集塵装置である。
第5の発明によれば、切断により切断材本体側から切り離された切り落とし側が粉塵受けに乗り掛かってしまうことを未然に防止することができる。切断材の切り落とし側が粉塵受けに乗り掛かってしまうと、切断材本体側(切り落とされない側)から十分な距離だけ離れずに切断刃付近に留まる状態となりやすい。一方、ベースの下面側に突き出された切断刃の周囲は、通常その周方向に開閉可能に設けられた可動カバーによって覆われる。このため、切断加工後において切断材の切り落とし側が粉塵受けに乗り掛かってしまうと、切断加工中全開状態であった可動カバーがこの切り落とし側に干渉してその閉じ動作が阻害される。
しかしながら、
第5の発明によれば、粉塵受けが切断材の切り落とし側の重さによって下方へ傾動することから、当該切り落とし側が粉塵受けに乗り掛かった状態に留まらずスムーズに滑り落ちる。このため、可動カバーが切り落とし側に干渉することがなく、その結果当該可動カバーがスムーズに閉じられる。
第6の発明は、第5の発明において、粉塵受けは、集塵ホース接続用の集塵ノズルを備えており、この集塵ノズルに対して上下に傾動可能に支持された集塵装置である。
第6の発明によれば、集塵ノズルに接続した集塵ホースを介して粉塵受けに例えば集塵機を接続することにより、当該粉塵受けに集塵した粉塵をこの集塵機で集塵(回収)することができる。
また、粉塵受けが集塵ノズルに対して上下に傾動可能に支持されている。このため、集塵ホースを捩ることなく粉塵受けを上下にスムーズに傾動させることができ、これにより前記切断材の切り落とし側が可動カバーの閉じ動作について邪魔になることがないので当該可動カバーの動作不良を未然に防止することができる。
第7の発明は、第1〜6のいずれか1つの発明に係る集塵装置を備えた切断機である。
第7の発明によれば、下面側集塵用の集塵装置について上記の作用効果を得ることができ、これにより当該切断機の集塵機能及び取り扱い性等の付加価値を一層高めることができる。
第8の発明は、第1の発明に係る集塵装置を備えた切断機であって、粉塵受けは、集塵ホース接続用の下側集塵口を備え、ベースの上面側において切断刃の周囲が本体ケースで覆われており、本体ケースに集塵ホース接続用の上側集塵口を備えた切断機である。
第8の発明によれば、切断材の上面側と下面側の双方において発生する切断粉の集塵を行うことができるので、切断作業の迅速化及び作業環境の改善を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
図1〜
図5は、本実施形態に係る集塵装置20を備えた携帯形の切断機1の全体を示している。集塵装置20を除く切断機1自体の構成は従来公知のものであり、本実施形態において特に変更を要するものではないので簡単に説明する。
なお、
図1において使用者は切断機1の後ろ側に位置している。以下の説明では、前後、左右及び上下の各方向について使用者を基準としている。各方向については図中に示されている。
切断機1は、切断材Wの上面に乗せ掛ける矩形平板形のベース2と、このベース2の上面に支持された切断機本体3を備えている。切断機本体3は、駆動源としての電動モータ4とこれにより回転する円形の切断刃5を備えている。切断刃5の周囲は本体ケース6で覆われている。切断刃5は、本体ケース6に支持したスピンドル12に取り付けられている。切断刃5は、本体ケース6に表示した矢印6aに示すように反時計回り方向に回転する。
本体ケース6の背面側(左側面側)に電動モータ4が取り付けられている。電動モータ4の上面には、ループ形のハンドル部7が設けられている。
図2に示すようにこのハンドル部7の内周側に使用者が指先で引き操作するトリガ形式のスイッチレバー8が配置されている。このスイッチレバー8を引き操作すると電動モータ4が起動して切断刃5が回転する。このスイッチレバー8の前側近傍であってハンドル部7の前側右側面には、同じく使用者が指先でオンオフ操作する押しボタン形式の照明スイッチ9が配置されている。この照明スイッチ9をオン操作すると、本体ケース6の前部に設けた照明具10が点灯する。照明具10には発光ダイオード(LED)が用いられている。この照明具10が点灯すると、ベース2の前端部に設けたスミ線合わせ用のゲージ部11付近が明るく照らされる。この照明具10でゲージ部11付近が明るく照らされることによって、暗所での切断材Wの位置決め(スミ線合わせ)作業を効率よく行うことができ、これにより精確な切断作業を迅速に行うことができる。
【0008】
本体ケース6の前部には、集塵口14が設けられている。この集塵口14は、切断刃5の切断材Wに対する切り込み部位(切断部位C)の上方に設けられている。切断部位Cで発生した粉塵が切断刃5の回転によって本体ケース6内の上方へ吹き上げられて集塵口14内に流入する。この集塵口14には、ノズル15aを介して集塵ホース15が接続され、さらにこの集塵ホース15を介して集塵機(図示省略)が接続される。この集塵機によって切断部位Cで発生する粉塵の大部分が集塵される。集塵口14に集塵されずに本体ケース6内に残った粉塵は僅かではあるが、切断刃5の回転によって本体ケース6内を後方へ吹き飛ばされる。本体ケース6側の集塵口14が、
第8の発明に記載した上側集塵口に相当する。
切断刃5の下部は、ベース2に設けた窓部2aを経て下面側へ突き出されている。ベース2の下面側へ突き出された切断刃5の下部は、可動カバー13で覆われる。可動カバー13は、切断刃5の周囲に沿って回動可能に支持されている。
図2において、可動カバー13は、時計回り方向に回動して開かれると、切断刃5の刃先が露出される。一方、この可動カバー13は閉じ方向にばね付勢されている。可動カバー13は、その先端部を切断材Wの切り込み側端面に当接させた状態で、切断機1を切断進行方向前側(
図2において右側)へ移動させて切断材Wの切断加工が進行することによって徐々にばね付勢力に抗して開かれていく。本実施形態の集塵装置20は、この可動カバー13の下方に粉塵受け21を配置した構成となっている。
なお、切断機本体3は、ベース2に対して上下に傾動可能に支持されて切断刃5の切断材Wに対する切り込み深さ(ベース2の下面からの突き出し量)を調整可能であるとともに、左右へも傾動可能に支持されて切断材Wをいわゆる斜め切り可能に支持されている。この点については従来公知の技術であるのでその説明を省略する。
【0009】
本実施形態の集塵装置20は、粉塵受け21とこれをベース2に対して支持する支持アーム22を備えている。粉塵受け21は、底板部21aと左右の側壁部21b,21cと前壁部21dを有する概ね上方開放の箱体形状を有している。
支持アーム22は、比較的幅狭の帯鋼板をコ字形に屈曲したもので、ベース2の前部よりから右側方へ張り出す状態に固定されている。この支持アーム22は、その上板部22aをベース2の前部寄りの左側部に設けた挿通孔2bに挿通し、さらにその先端部22bを同じくベース2の前部寄りの右側部付近に設けたねじ締め込み式の固定レバー16で固定することによって、切断進行方向(前後方向)に対して直交する状態に固定されている。固定レバー16をねじ緩み方向に回転させると、先端部22bの固定状態が解除されるため、上板部22aを左側へ抜き出すことができ、これにより当該集塵装置20をベース2から取り外すことができる。
ベース2の挿通孔2bと固定レバー16は、当該切断機1ひいては切断刃5を切断材Wの端面に対して一定の間隔を保って平行に案内するための定規を取り付けるために設けられたもので、本実施形態では、この定規取り付け用の挿通孔2bと固定レバー16(定規取り付け部)を利用して、粉塵受け21を簡単な操作で切断機1側に取り付け、取り外し可能としたアタッチメント形式の集塵装置20とされている点に特徴を有している。
支持アーム22の上板部22aの右端部からは縦板部22cが下方へ延びている。縦板部22cの下端部から下板部22dが右側へ延びている。下板部22dは、上板部22aに対して平行に延びている。この上板部22aと下板部22dの間に切断材Wが進入する。このため、縦板部22cの下方への長さ寸法(上板部22aと下板部22d間の間隔)は、想定される切断材Wの板厚に対応させて十分に大きな寸法に設定されている。
【0010】
また、上板部22aの右側方への張り出し寸法(ベース2の右端部からの張り出し寸法)であって、切断刃5と縦板部22cとの間隔についても、切断加工により切り落とされる切断材の切り落とし側の想定される幅に対応させて十分に大きな寸法に設定されている。
下板部22dの先端部(右端部)には、L字形のブラケット23を介して筒体形の円筒支持部材24が取り付けられている。この円筒支持部材24は、ブラケット23に対して軸方向へは変位不能である一方、その軸回りには回転自在に支持されている。
図6に示すように円筒支持部材24の左端部(
図6において右端部)には、フランジ部24aが設けられている。このフランジ部24aとブラケット23との間に回動支持部24bが設けられている。この回動支持部24bに、粉塵受け21の右側壁部21cに一体に設けたボス部21eが回転可能に支持されている。ボス部21eは、フランジ部24aとブラケット23との間に挟まれて軸方向へは変位不能に支持されている。
ボス部21eが回動支持部24bに回動可能に支持されることによって、粉塵受け21が支持アーム22に対して上下に傾動可能に支持されている。このように、ブラケット23に対して円筒支持部材24が回転自在に支持され、この円筒支持部材24の円筒支持部24bに粉塵受け21のボス部21eが回転自在に支持されて、円筒支持部材24と粉塵受け21は同一軸線を中心にして相互に独立して回転可能な状態で支持アーム22に支持されている。
図2に示すように粉塵受け21の傾動中心(ボス部21eと回動支持部24bの中心軸線)は、切断部位Cよりも前側に位置するように円筒支持部材24の前後方向の位置ひいてはブラケット23の形状が設定されている。
【0011】
また、ブラケット23は、このボス部21eと止め輪25との間に挟まれて相対的に軸方向変位不能に結合されている。円筒支持部材24の右端部にはノズル27aを介して集塵ホース27が接続されている。この円筒支持部材24の内周孔を経て集塵ホース27が粉塵受け21の内部に連通されている。この円筒支持部材24の内周孔が、
第8の発明に記載した下側集塵口に相当する。
集塵ホース27には図示省略した集塵機が接続される。集塵ホース27と円筒支持部材24の内周孔を経て粉塵受け21内の粉塵が集塵機によって強制的に集塵される。
前記したように、円筒支持部材24はブラケット23に対して回転不能に固定されている。この円筒支持部材24に対して粉塵受け21が上下に傾動可能に支持されている。粉塵受け21の右側壁部21cとブラケット23との間には引っ張りばね26が介装されている。この引っ張りばね26によって、粉塵受け21はその傾動先端側を上方へ変位させる方向に付勢されている。
図2に示すように粉塵受け21の右側壁部21cには、ストッパブロック28が取り付けられている。このストッパブロック28がブラケット23に当接して当該粉塵受け21が上方の受け位置に保持される。ストッパブロック28で規制された粉塵受け21の受け位置は、
図2に示すようにその前壁部21dをほぼ直立させ、その底板部21aを水平位置から後ろ側へ緩やかに下る方向に傾斜させた位置に設定されている。
粉塵受け21は、上方の受け位置からその後部側を下方へ変位させる方向(
図2中白抜きの矢印で示す方向。以下、排出方向という。)に傾動可能となっている。この粉塵受け21は、引っ張りばね26に抗して排出方向に傾動する。また、この粉塵受け21は、そのボス部21eの軸線(円筒支持部材24の軸線)を中心にして上下に傾動する。
【0012】
図6に示すように粉塵受け21は切断刃5の下方に保持されている。このため、切断刃5を含む切断面Sに対して左側に左側壁部21bが位置し、右側に右側壁部21cが位置している。このように十分に大きな間隔で左右の側壁部21b,21cが配置され、その下端部間に底板部21aが配置されて切断材Wの下方へ飛散する粉塵が効率よく受けられる。
ここで、切断刃5の後端部側(切断材Wと切断刃5の刃先との前後2箇所の交差部のうち後ろ側の交差部(前側の交差部は切断部位Cに相当する))では、切断刃5の刃先が切断材Wの切断口に接触する等して僅かではあるが粉塵が切断材Wの下面側へ吹き飛ばされる。また、前記したように切断部位Cから上方へ吹き上げられた粉塵の多くは本体ケース6の集塵口14を経て集塵ホース15に集塵され、集塵仕切れなかった残余の粉塵についても、切断刃5の回転により本体ケース6内を後ろ側へ吹き飛ばされた後に切断材Wの下面側に吹き飛ばされる。切断材Wの下面側へ吹き飛ばされた粉塵は、そのまま開き途中若しくは全開状態の可動カバー13の内部を経てその先端部から下方へ吹き出される。切断作業が進行して可動カバー13が全開状態では、粉塵はベース2の下面と切断刃5との後ろ側交差部(可動カバー13の先端部位置)から
図2中軸線Jで示す接線方向に沿って下方へ吹き飛ばされる。
このように可動カバー13の全開閉領域について、その先端部の下方に粉塵受け21の底板部21a及び左右の側壁部21b,21cが位置するようそれらの前後方向の長さが設定されている。このため、切断刃5の後部側から切断材Wの下面側に吹き飛ばされた粉塵についても、この粉塵受け21によって確実に集塵される。
図2に示すように粉塵受け21の左右の側壁部21b,21cの上部は、それぞれ後ろ側へ下る方向に湾曲する円弧形状に形成されている。また、前記したように粉塵受け21は円筒支持部材24の軸線を中心にして上下に傾動可能に支持されている。このため、切断加工が完了して切断材本体側から切り離された切り落とし側が左右の側壁部21b,21cに乗り掛かるとその重量によって当該粉塵受け21が引っ張りばね26の付勢力に抗して
図2中白抜きの矢印で示す排出方向へ傾動する。特に、粉塵受け21の左右の側壁部21b,21cの上部が後ろ側へ下る方向の円弧形状に形成されている。このため、左右の側壁部21b,21cに乗り掛かった切断材の切り落とし側は粉塵受け21の排出方向への傾動に伴って当該左右の側壁部21b,21c上をスムーズに滑り落ちる。
こうして切断材の切り落とし側が粉塵受け21から確実に滑り落ちて乗り掛かった状態に保持されることがないので、切断加工完了後に当該切り落とし側が切断材本体側から十分な距離だけ切り離され、その結果可動カバー13の全閉側への戻し動作について当該切り落とし側が邪魔になることがなく、当該可動カバー13はそのばね付勢力によってスムーズに全閉位置に戻される。
【0013】
以上のように構成した本実施形態の集塵装置20によれば、切断材Wの下面側に発生若しくは飛散する粉塵を切断刃5のほぼ真下で粉塵受け21によって集塵することができ、これにより当該切断機1の集塵機能を高めることができ、ひいては作業環境の改善を一層図ることができる。特に、本体ケース6側の集塵機能(集塵口14、集塵ホース15等)と併用することによって、当該切断機1の集塵機能を一層高めることができる。
また、本実施形態の集塵装置20によれば、粉塵受け21が支持アーム22を介してベース2に支持されていることから、これを切断機1と一体のものとして取り扱うことができ、これにより当該集塵装置20の取り扱いの利便性を従来よりも高めることができる。
さらに、ベース2の固定レバー16を緩めれば、支持アーム22の上板部22aを挿通孔2bから抜き出して当該集塵装置20を切断機1から取り外すことができる。このことから、集塵装置20を不必要時には取り外して切断機1を単体で使用することができるので、当該切断機1の単体としての取り扱い性を確保することができる。
また、本実施形態の集塵装置20は、ベース2の定規取り付け部(挿通孔2bとねじ締め込み式の固定レバー16)を利用して取り付ける構成であるので、特別の取り付け部位を新たに設定する場合に比して低コストで当該集塵装置20を実現することができるとともに、当該集塵装置20の後付けを容易に行うことができるようになる。
また、例示した集塵装置20によれば、粉塵受け21が上下に傾動可能に設けられ、かつその左右の側壁部21b,21cの上部が下方へ下る方向に湾曲した円弧形状に形成されていることから、切断材の切り落とし側が粉塵受け21に乗り掛かった状態に留まることなく確実に下方へ滑り落ちるようになっている。このため、可動カバー13の全閉側への戻し動作について切断材の切り落とし側が邪魔になることがなく、当該可動カバーはばね付勢力によってスムーズかつ確実に全閉位置に戻される。
また、粉塵受け21は、集塵ホース27を接続した円筒支持部材24に対して上下に傾動可能に支持されている。このため、集塵ホース27を捩ることなく粉塵受け21を上下にスムーズに傾動させることができので、切断材の切り落とし側を粉塵受け21から確実に滑り落とすことができ、また粉塵受け21を引っ張りばね26によって確実に受け位置に戻すことができ、この点で粉塵受け21の動作の確実性を確保することができる。
【0014】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、支持アーム22について、上板部22aと下板部22dの位置を変更可能若しくは長さを変更可能とすることによって粉塵受け21の切断刃5に対する水平方向の位置については変更することなく、縦板部22cの水平方向の位置を変更可能な構成とすることができる。縦板部22cを水平位置を変更可能とすることにより、当該支持アーム22のコンパクト化を図りつつ切断材の切り落とし側の幅寸法の変化に容易に対応できるようになる。
また、支持アーム22の縦板部22cの長さを調整可能な構成とすることにより、切断刃5に対する粉塵受け21の上下方向の位置を調整することができるとともに、切断材Wの板厚の変更に合わせて上板部22aと下板部22dの間隔を変更することができるようになる。
本体ケース6側に接続した集塵ホース15と、粉塵受け21側に接続した集塵ホース27については、相互に接続して1台の集塵機に接続する構成とすることができる。
粉塵受け21に対する集塵ホース27及び集塵機の接続は省略してもよい。この場合には、粉塵受け21で受けた粉塵を使用者が適宜タイミングで排出処理することにより切断材下面側の集塵について同様の作用効果を得ることができる。
また、ベース2の定規取り付け部(挿通孔2bと固定レバー16)を利用して取り付ける構成を例示したが、ベース2若しくは切断機本体3のその他の部位に特別の取り付け手段を新設して集塵装置を取り付ける構成としてもよい。
さらに、集塵装置20をベース2から完全に取り外し可能な構成を例示したが、取り外すのではなく例えば支持アームに上下回動機能を付加して粉塵受けを上方へ退避可能な構成としてもよい。