(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1配管ダクトの略長方形断面の接続口部と第2配管ダクトの略長方形断面の接続口部とを互いに約90°ひねった状態で所定の接続方向に連通接続するダクト継手であって、
前記第1配管ダクトの前記接続口部に対応する略長方形断面筒状の第1接続口部と、前記第2配管ダクトの前記接続口部に対応する略長方形断面筒状の第2接続口部とが、互いに約90°ひねられた状態で前記所定の接続方向に連結されて段付き筒状に形成された継手本体を有し、
この継手本体は、前記第1接続口部および前記第2接続口部が、それぞれ、前記所定の接続方向に沿って所定の長さにわたってほぼ同一の断面形状で筒状に形成された接続口部本体を有することにより、4つの側面が略平面状または略平面を組み合わせた形状を呈するとともに、前記所定の接続方向から見て前記第1接続口部と前記第2接続口部とを重ね合わせた外形の範囲内に収まるように構成されていることを特徴とするダクト継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなT字状のダクト継手では、互いに交差する2つの被取付面(例えば、天井の仕上げ面および壁の仕上げ面)に跨って2つの配管ダクトを連通接続する場合に、2つの第2接続開口のうち使用しない第2接続開口を防塵などの目的で閉塞しなければならないため、施工に手間がかかるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、互いに交差する2つの被取付面に跨って2つの配管ダクトを連通接続する場合に、短時間で簡単に施工することが可能なダクト継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1配管ダクトの略長方形断面の接続口部と第2配管ダクトの略長方形断面の接続口部とを互いに約90°ひねった状態で所定の接続方向に連通接続するダクト継手であって、前記第1配管ダクトの前記接続口部に対応する略長方形断面筒状の第1接続口部と、前記第2配管ダクトの前記接続口部に対応する略長方形断面筒状の第2接続口部とが、互いに約90°ひねられた状態で前記所定の接続方向に連結されて段付き筒状に形成された継手本体を有し、
この継手本体は、前記第1接続口部および前記第2接続口部
が、それぞれ、前記所定の接続方向に沿って所定の長さにわたってほぼ同一の断面形状で
筒状に形成された接続口部本体を有
することにより、4つの側面が略平面状または略平面を組み合わせた形状を呈するとともに、前記所定の接続方向から見て
前記第1接続口部と前記第2接続口部とを重ね合わせた外形の範囲内に収まるように構成されているダクト継手としたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記継手本体は、前記第1接続口部が、前記所定の接続方向に沿って前記第2接続口部側に張り出した入組部を有していると同時に、前記第2接続口部が、前記所定の接続方向に沿って前記第1接続口部側に張り出した入組部を有していることを特徴とする。
【0007】
また、請求項
3に記載の発明は、請求項
1または2に記載の構成に加え、前記第1接続口部および前記第2接続口部の少なくとも一方には、前記第1接続口部の内周面と前記第2接続口部の内周面とをつなぐ傾斜面部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項
4に記載の発明は、請求項
1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記継手本体の4つの側面のうち、いずれか1つの側面は、前記第1配管ダクトおよび前記第2配管ダクトのいずれか一方が取り付けられる第1被取付面に接触する取付面部であるとともに、別の1つの側面は、前記第1配管ダクトおよび前記第2配管ダクトの他方が取り付けられる第2被取付面に沿う対向面部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜
4に記載の発明によれば、ダクト継手は、第1配管ダクトの接続口部に対応する略長方形断面筒状の第1接続口部と、第2配管ダクトの接続口部に対応する略長方形断面筒状の第2接続口部とが、互いに約90°ひねられた状態で所定の接続方向に連結されて段付き筒状に形成された継手本体を有しているので、互いに交差する2つの被取付面に跨って2つの配管ダクト(第1配管ダクト、第2配管ダクト)を連通接続する場合に、短時間で簡単に施工することが可能となる。
【0010】
これに加えて、
継手本体は、前記第1接続口部および前記第2接続口部が、それぞれ、前記所定の接続方向に沿って所定の長さにわたってほぼ同一の断面形状で
筒状に形成された接続口部本体を有
することにより、4つの側面が略平面状または略平面を組み合わせた形状を呈するとともに、所定の接続方向から見て
第1接続口部と第2接続口部とを重ね合わせた外形の範囲内に収ま
るように構成されているので、ダクト継手の形状が3次元的に単純なものになる。したがって、高度な製造技術や高価な製造設備がなくても、このダクト継手を汎用の金型で容易に製造することが可能となる。
【0011】
さらに、請求項
3に記載の発明によれば、第1接続口部および第2接続口部の少なくとも一方に、第1接続口部の内周面と第2接続口部の内周面とをつなぐ傾斜面部が形成されているので、ダクト継手に対する配管の挿通性を確保して施工を円滑に実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1乃至
図6には、本発明の実施の形態1を示す。
【0014】
実施の形態1に係るダクト継手1は、
図3〜
図6に示すように、第1配管ダクト20の略横長長方形断面の接続口部23と第2配管ダクト30の略縦長長方形断面の接続口部33とを互いに約90°ひねった状態で所定の接続方向(矢印A、B方向)に連通接続する際に用いられるものである。
【0015】
このダクト継手1は、
図1、
図2および
図4に示すように、第1配管ダクト20の接続口部23に対応する略横長長方形断面筒状の第1接続口部53と、第2配管ダクト30の接続口部33に対応する略縦長長方形断面筒状の第2接続口部54とが、互いに約90°ひねられた状態で所定の接続方向(矢印A、B方向)に連結されて段付き筒状に形成された継手本体5を有している。この継手本体5は、二つ割タイプのものであり、天井2の仕上げ面(第1被取付面)2aにねじ10で固定される略コ字断面形状の取付ベース6と、この取付ベース6に爪係止方式で着脱自在に取り付けられる略コ字断面形状のカバー片7とから構成されている。すなわち、取付ベース6に一対の係止爪6aが形成されているとともに、カバー片7に一対の係止孔7aが形成されており、一対の係止爪6aが一対の係止孔7aに係合することにより、取付ベース6とカバー片7とが互いに連結された状態になるとともに、一対の係止孔7aに対する一対の係止爪6aの係合が解除されることにより、取付ベース6とカバー片7との連結が解除された状態になる。
【0016】
そして、この継手本体5は、取付ベース6にカバー片7が取り付けられて段付き筒状に一体化された状態では、
図1〜
図3に示すように、その4つの側面のうち、1つの側面(
図2(b)上側の側面)が天井2の仕上げ面2aに接触する略平面状の取付面部51であるとともに、別の1つの側面(
図2(b)右側の側面)が壁3の仕上げ面(第2被取付面)3aに沿う略平面状の対向面部52である。また、残りの2つの側面(
図2(b)左側および下側の側面)は、それぞれ、略平面が組み合わされた形状になっている。なお、取付面部51は、その全部が取付ベース6に形成されている。対向面部52は、その一部が取付ベース6に形成されているとともに、残部がカバー片7に形成されている。
【0017】
また、継手本体5は、
図1(a)に示すように、第1接続口部53と第2接続口部54とが所定の接続方向(矢印A、B方向)に互いに入り組んだ形状を呈している。すなわち、第1接続口部53は、この接続方向に沿って第2接続口部54側(矢印Aの向き)に張り出した入組部53dを有していると同時に、第2接続口部54は、この接続方向に沿って第1接続口部53側(矢印Bの向き)に張り出した入組部54dを有している。
【0018】
ここで、第1接続口部53は、
図2(e)に示すように、所定の接続方向(矢印A、B方向)に沿って所定の長さD1(例えば、D1=18mm)にわたってほぼ同一の断面形状(略横長長方形)で形成された接続口部本体53cを有している。第1接続口部53の入組部53dには、
図2(a)、(b)に示すように、継手本体5の対向面部52に対向する側面に、第1接続口部53の内周面と第2接続口部54の内周面とをつなぐ略平面状の傾斜面部53aが、所定の向き(所定の接続方向(矢印A、B方向)に沿って第2接続口部54に近付くほど第1接続口部53の断面積が小さくなる向き)に傾斜するように形成されている。この傾斜面部53aは、一端が第1接続口部53の接続口部本体53cに連続して形成されているとともに、他端が第2接続口部54の接続口部本体54cに連続して形成されている。
【0019】
また、第2接続口部54は、
図2(a)に示すように、所定の接続方向(矢印A、B方向)に沿って所定の長さD2(例えば、D2=28mm)にわたってほぼ同一の断面形状(略縦長長方形)で形成された接続口部本体54cを有している。第2接続口部54の入組部54dには、
図2(c)、(g)に示すように、継手本体5の取付面部51に対向する側面に、第1接続口部53の内周面と第2接続口部54の内周面とをつなぐ略平面状の傾斜面部54aが、所定の向き(所定の接続方向(矢印A、B方向)に沿って第1接続口部53に近付くほど第2接続口部54の断面積が小さくなる向き)に傾斜するように形成されている。この傾斜面部54aは、一端が第2接続口部54の接続口部本体54cに連続して形成されているとともに、他端が第1接続口部53の接続口部本体53cに連続して形成されている。
【0020】
そして、継手本体5は、
図2(b)、(c)に示すように、所定の接続方向(矢印A、B方向)から見て第1接続口部53または第2接続口部54の外形
(換言すれば、第1接続口部53と第2接続口部54とを重ね合わせた外形)の範囲内に収まるように構成されている。なお、第1接続口部53は、その一部が取付ベース6に形成されているとともに、残部がカバー片7に形成されている。第2接続口部54は、その一部が取付ベース6に形成されているとともに、残部がカバー片7に形成されている。
【0021】
さらに、第1接続口部53の接続口部本体53cの内周面には、
図1、
図2に示すように、第1配管ダクト20の接続口部23に嵌合する嵌合段差部53bが設けられている。また、第2接続口部54の接続口部本体54cの外周面には、第2配管ダクト30の接続口部33に嵌合する嵌合段差部54bが設けられている。
【0022】
また、第1接続口部53は、
図5および
図6に示すように、対向面部52に第1段差部52aが設けられることにより、壁3の仕上げ面3aから所定の距離L1(例えば、L1=3.5mm)だけ離間している。したがって、この第1接続口部53に第1配管ダクト20等を嵌着して接続するときに、第1配管ダクト20と壁3の仕上げ面3aとの間に所定の隙間が形成される。そのため、後述するように、ダクト継手1に対する第1配管ダクト20等の接続が容易になる。
【0023】
一方、第2接続口部54は、
図4に示すように、取付面部51に第2段差部51aが設けられることにより、天井2の仕上げ面2aから所定の距離L2(例えば、L2=3.5mm)だけ離間している。したがって、この第2接続口部54に第2配管ダクト30を嵌着して接続するときに、第2配管ダクト30と天井2の仕上げ面2aとの間に所定の隙間が形成される。そのため、後述するように、第2配管ダクト30の取付ベース31に対するカバー片32の取付が容易になる。
【0024】
さらに、取付ベース6には、
図1に示すように、取付面部51のほぼ中央部に、ねじ止め部6bが形成されているとともに、第1接続口部53に、第1配管ダクト20を所定の位置に位置決めするための位置決め片6cが形成されている。
【0025】
また、第1配管ダクト20は、
図3〜
図6に示すように、二つ割タイプの直管型のダクトで、天井2の仕上げ面2aにねじ11で固定される略コ字断面形状の取付ベース21と、この取付ベース21に爪係止方式で着脱自在に取り付けられる略コ字断面形状のカバー片22とから構成されている。すなわち、取付ベース21に一対の係止溝21aが形成されているとともに、カバー片22に一対の係止爪22aが形成されており、一対の係止爪22aが一対の係止溝21aに係合することにより、取付ベース21とカバー片22とが互いに連結された状態になるとともに、一対の係止溝21aに対する一対の係止爪22aの係合が解除されることにより、取付ベース21とカバー片22との連結が解除された状態になる。
【0026】
そして、この第1配管ダクト20は、取付ベース21にカバー片22が取り付けられて角筒状に一体化されると、
図4〜
図6に示すように、その両方の開放端に2つの接続口部23、24が形成された状態となる。なお、取付ベース21の接続口部23近傍には、
図4に示すように、ねじ止め部21bが形成されている。
【0027】
また、第2配管ダクト30は、
図3〜
図6に示すように、二つ割タイプのエルボ形のダクトで、壁3の仕上げ面3aにねじ12で固定される略正方形板状の取付ベース31と、この取付ベース31に爪係止方式で着脱自在に取り付けられる略直方体箱形状のカバー片32とから構成されている。すなわち、取付ベース31に3つの係止孔31aが形成されているとともに、カバー片32に3つの係止爪32aが形成されており、3つの係止爪32aが3つの係止孔31aに係合することにより、取付ベース31とカバー片32とが互いに連結された状態になるとともに、3つの係止孔31aに対する3つの係止爪32aの係合が解除されることにより、取付ベース31とカバー片32との連結が解除された状態になる。
【0028】
そして、この配管ダクト30は、取付ベース31にカバー片32が取り付けられてエルボ形に一体化されると、
図3(a)および
図4に示すように、その両方の開放端に2つの接続口部33、34が形成された状態となる。なお、取付ベース31のほぼ中央部には、
図4に示すように、ねじ止め部31bが形成されている。
【0029】
さらに、第2配管ダクト30の下側に連通接続される配管ダクト40は、
図3〜
図6に示すように、二つ割タイプの直管型のダクトで、壁3の仕上げ面3aにねじ13で固定される略コ字断面形状の取付ベース41と、この取付ベース41に爪係止方式で着脱自在に取り付けられる略コ字断面形状のカバー片42とから構成されている。すなわち、取付ベース41に一対の係止溝41aが形成されているとともに、カバー片42に一対の係止爪42aが形成されており、一対の係止爪42aが一対の係止溝41aに係合することにより、取付ベース41とカバー片42とが互いに連結された状態になるとともに、一対の係止溝41aに対する一対の係止爪42aの係合が解除されることにより、取付ベース41とカバー片42との連結が解除された状態になる。
【0030】
そして、この配管ダクト40は、取付ベース41にカバー片42が取り付けられて角筒状に一体化されると、
図4〜
図6に示すように、その両方の開放端に2つの接続口部43、44が形成された状態となる。なお、取付ベース41の接続口部43近傍には、
図4に示すように、ねじ止め部41bが形成されている。
【0031】
ダクト継手1、第1配管ダクト20、第2配管ダクト30および配管ダクト40は以上のような構成を有するので、天井2の仕上げ面2aおよび壁3の仕上げ面3aに跨って配管(図示せず)を施工する場合には、次の手順による。
【0032】
まず、第1ベース取付工程で、天井2の仕上げ面2a上の所定の位置にダクト継手1の取付ベース6をねじ10で固定する。それには、取付ベース6の取付面部51を天井2の仕上げ面2aに宛い、この状態で、取付ベース6のねじ止め部6bに、ねじ10を挿通して天井2にねじ込む。
【0033】
次に、第2ベース取付工程に移行し、このダクト継手1の第1接続口部53の一部(取付ベース6に形成された部分)の内側に第1配管ダクト20の接続口部23の一部(取付ベース21に形成された部分)を嵌着して連結し、この状態で、この取付ベース21を天井2の仕上げ面2aにねじ11で固定する。それには、取付ベース21を天井2の仕上げ面2aに宛った状態で、取付ベース21のねじ止め部21bに、ねじ11を挿通して天井2にねじ込む。
【0034】
このとき、ダクト継手1の第1接続口部53には、上述したとおり、第1配管ダクト20の接続口部23に嵌合する嵌合段差部53bが設けられているので、ダクト継手1に対する第1配管ダクト20の連結作業を迅速に行うことができ、施工性を一層高めることが可能となる。
【0035】
その後、第3ベース取付工程に移行し、ダクト継手1の第2接続口部54の一部(取付ベース6に形成された部分)の外側に第2配管ダクト30の接続口部33の一部(取付ベース31に形成された部分)を嵌着して連結し、この状態で、この取付ベース31を壁3の仕上げ面3aにねじ12で固定する。それには、取付ベース31を壁3の仕上げ面3aに宛った状態で、取付ベース31のねじ止め部31bに、ねじ12を挿通して壁3にねじ込む。
【0036】
このとき、ダクト継手1の第2接続口部54には、上述したとおり、第2配管ダクト30の接続口部33に嵌合する嵌合段差部54bが設けられているので、ダクト継手1に対する第2配管ダクト30の連結作業を迅速に行うことができ、施工性を一層高めることが可能となる。
【0037】
次に、第4ベース取付工程に移行し、この第2配管ダクト30の接続口部34の一部(取付ベース31に形成された部分)の内側に配管ダクト40の接続口部43の一部(取付ベース41に形成された部分)を嵌着して連結し、この状態で、この取付ベース41を壁3の仕上げ面3aにねじ13で固定する。それには、取付ベース41を壁3の仕上げ面3aに宛った状態で、取付ベース41のねじ止め部41bに、ねじ13を挿通して壁3にねじ込む。
【0038】
こうして、ダクト継手1の取付ベース6および第1配管ダクト20の取付ベース21が天井2の仕上げ面2aに固定されるとともに、第2配管ダクト30の取付ベース31および配管ダクト40の取付ベース41が壁3の仕上げ面3aに固定されたところで、配管工程に移行し、これらの取付ベース6、21、31、41に沿って配管(図示せず)を配設する。
【0039】
このとき、ダクト継手1の継手本体5には、上述したとおり、第1接続口部53の入組部53dに傾斜面部53aが所定の向きに傾斜するように形成されているとともに、第2接続口部54の入組部54dに傾斜面部54aが所定の向きに傾斜するように形成されているため、配管を配設する際に、その配管をあまり曲げなくて済む。その結果、ダクト継手1の取付ベース6に対する配管の挿通性を確保して施工を円滑に実施することができる。
【0040】
その後、第1カバー取付工程に移行し、この配管の一部(第1配管ダクト20の取付ベース21に沿う部分)を覆うように、第1配管ダクト20のカバー片22を取付ベース21に取り付ける。
【0041】
このとき、ダクト継手1の第1接続口部53は、上述したとおり、壁3の仕上げ面3aから所定の距離L1だけ離間しているので、第1配管ダクト20を内側に嵌着して接続するときに、第1配管ダクト20と壁3の仕上げ面3aとの間に距離L1の隙間が形成される。そのため、
図6に示すように、第1配管ダクト20の接続口部24にダクト継手60を介して直管ダクト61を接続するとき、そのダクト継手60が爪係止方式のもの(つまり、取付ベースの係止孔にカバー片の係止爪が係合することにより、取付ベースとカバー片とが互いに連結されるもの)であっても、このカバー片の係止爪が開くスペースを壁3の仕上げ面3aとの間に確保することができるため、ダクト継手60を第1配管ダクト20の接続口部24に容易に嵌着することが可能となる。
【0042】
次に、第2カバー取付工程に移行し、この配管の一部(配管ダクト40の取付ベース41に沿う部分)を覆うように、配管ダクト40のカバー片42を取付ベース41に取り付ける。
【0043】
その後、第3カバー取付工程に移行し、この配管の一部(ダクト継手1の取付ベース6に沿う部分)を覆うように、ダクト継手1のカバー片7を第1配管ダクト20に連結する形で取付ベース6に取り付ける。
【0044】
このとき、ダクト継手1の第1接続口部53には、上述したとおり、第1配管ダクト20の接続口部23に嵌合する嵌合段差部53bが設けられているので、ダクト継手1に対する第1配管ダクト20の連結作業を迅速に行うことができ、施工性を一層高めることが可能となる。
【0045】
最後に、第4カバー取付工程に移行し、この配管の一部(第2配管ダクト30の取付ベース31に沿う部分)を覆うように、第2配管ダクト30のカバー片32をダクト継手1および配管ダクト40に連結する形で取付ベース31に取り付ける。それには、カバー片32の3つの係止爪32aを外向きに少し開いて取付ベース31の3つの係止孔31aに引っ掛けて係合する。
【0046】
このとき、ダクト継手1の第2接続口部54には、上述したとおり、第2配管ダクト30の接続口部33に嵌合する嵌合段差部54bが設けられているので、ダクト継手1に対する第2配管ダクト30の連結作業を迅速に行うことができ、施工性を一層高めることが可能となる。
【0047】
また、取付ベース31が嵌着されたダクト継手1の第2接続口部54は、上述したとおり、天井2の仕上げ面2aから所定の距離L2だけ離間している。したがって、カバー片32と天井2の仕上げ面2aとの間に所定の隙間が形成され、カバー片32の係止爪32aが開くスペースを天井2の仕上げ面2aとの間に確保することができるため、取付ベース31に対するカバー片32の取付作業を円滑に行うことができる。
【0048】
これで、配管がダクト継手1、第1配管ダクト20、第2配管ダクト30および配管ダクト40に覆われて保護された状態となり、ここで配管の施工が終了する。
【0049】
このように、ダクト継手1は、第1配管ダクト20の接続口部23に対応する略横長長方形断面筒状の第1接続口部53と、第2配管ダクト30の接続口部33に対応する略縦長長方形断面筒状の第2接続口部54とが、互いに約90°ひねられた状態で所定の接続方向(矢印A、B方向)に連結されて段付き筒状に形成された継手本体5を有しているので、天井2の仕上げ面2aおよび壁3の仕上げ面3aに跨って2つの配管ダクト(第1配管ダクト20、第2配管ダクト30)を連通接続する場合に、従来のT字状のダクト継手に比べて、短時間で簡単に施工することが可能となる。
【0050】
また、ダクト継手1は、上述したとおり、第1接続口部53および第2接続口部54が、それぞれ、所定の接続方向(矢印A、B方向)に沿って所定の長さにわたってほぼ同一の断面形状で形成された接続口部本体53c、54cを有しているとともに、継手本体5が、所定の接続方向から見て
第1接続口部53と第2接続口部54とを重ね合わせた外形の範囲内に収まっているので、ダクト継手1の形状が3次元的に単純なものになる。したがって、1つの第1接続開口に対して2つの第2接続開口をひねりの位置に設けた従来のT字状のダクト継手などと異なり、高度な製造技術や高価な製造設備がなくても、このダクト継手1を汎用の金型(図示せず)で容易に製造することが可能となる。
【0051】
さらに、ダクト継手1の継手本体5は、上述したとおり、その4つの側面が略平面状または略平面を組み合わせた形状であるため、複雑な曲面状のものに比べて成形が容易となる。
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、天井2の仕上げ面2aおよび壁3の仕上げ面3aに跨って配管を施工する場合に用いるダクト継手1について説明した。しかし、2つの配管ダクト(第1配管ダクト20、第2配管ダクト30)を互いに約90°ひねった状態で連通接続する際に用いるダクト継手1であれば、本発明を同様に適用することができる。
【0052】
また、上述した実施の形態1では、継手本体5の第1接続口部53と第2接続口部54の両方に傾斜面部53a、54aが形成されているダクト継手1について説明した。しかし、第1接続口部53と第2接続口部54のいずれか一方にのみ傾斜面部53a、54aを形成するようにしても構わない。
【0053】
また、上述した実施の形態1では、ダクト継手1の第1接続口部53の内側に第1配管ダクト20の接続口部23を嵌着するとともに、ダクト継手1の第2接続口部54の外側に第2配管ダクト30の接続口部33を嵌着する場合について説明した。しかし、ダクト継手1の第1接続口部53の外側に第1配管ダクト20の接続口部23を嵌着する場合や、ダクト継手1の第2接続口部54の内側に第2配管ダクト30の接続口部33を嵌着する場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0054】
さらに、上述した実施の形態1では、ダクト継手1の第1接続口部53に直管型の第1配管ダクト20を嵌着して接続するとともに、ダクト継手1の第2接続口部54にエルボ形の第2配管ダクト30を嵌着して接続する場合について説明したが、第1配管ダクト20および第2配管ダクト30の形状は特に限定されない。例えば、直管型の第1配管ダクト20と直管型の第2配管ダクト30とを互いに連通接続する場合や、エルボ形の第1配管ダクト20とエルボ形の第2配管ダクト30とを互いに連通接続する場合にも、本発明を同様に適用することが可能である。