(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1引戸上にワイヤーを往復回動可能に巻装し、そのワイヤーの通路開口に対して内側の直線索条部を隣接した第2引戸に連結する一方、ワイヤーの外側の直線索条部をワイヤー高さ調整手段により上枠のまぐさ位置に連結し、第1引戸が開閉方向に走行すると、第2引戸が連動して走行するワイヤー連動式引戸装置において、
前記ワイヤー高さ調整手段は、ワイヤーの両端を連結した接続媒体と該接続媒体を保持するワイヤーホルダを備え、
該ワイヤーホルダは、前記上枠のまぐさ位置に固定する固定ブロックと前記接続媒体を抱持するホルダ部とで形成し、
該ホルダ部は、前記接続媒体の長さ方向左右と厚さ方向前後の動きを規制する規制部位を有する一方、幅方向上下には可動に前記接続媒体を抱持する形状をなすことを特徴とする、ワイヤー連動式引戸装置。
前記ホルダ部は、前記規制部位を、前記固定ブロックから下向きに延びる規制板部と、該規制板部を間に挟んだ両側で屈曲して延びる一対の規制アームとで形成し、それら規制アームを、前記接続媒体の長さに合わせて間隔を置いて設け、前記規制板部より一段厚肉に形成し、該規制板部と前記規制アームの間に前記接続媒体の長さ方向左右の動きを規制する段差を形成し、厚さ方向前後の動きを前記規制板部と他部材とで挟んで規制することを特徴とする、請求項1に記載のワイヤー連動式引戸装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一例であるワイヤー連動式引戸装置を搭載した連動引戸を、引戸レールを省略した全開状態において示す斜視図である。
【
図2】
図1と向きを変えて同じ連動引戸を、引戸レールを省略した連動引戸の全開状態において示す斜視図である。
【
図3】ワイヤー連動式引戸装置を搭載した連動引戸を、引戸レールを省略した全閉状態において示す斜視図である。
【
図4】
図3と向きを変えて同じ連動引戸を、引戸レールに吊り込んだ全閉状態において示す斜視図である。
【
図5】ワイヤー連動式引戸装置を搭載した連動引戸を引戸レールの吊り込み状態において示す部分拡大縦断面図である。
【
図6】連動引戸に搭載したワイヤー連動式引戸装置を示す部分拡大斜視図である。
【
図7】第2引戸に搭載したワイヤー連動式引戸装置を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】ワイヤー連動式引戸装置の係着手段を示す分解斜視図である。
【
図13】係着手段の昇降操作部による係着具の昇降動作を示す側面図である。
【
図14】ワイヤージョイント手段を示す分解斜視図である。
【
図15】
図14と向きを変えてワイヤージョイント手段を示す分解斜視図である。
【
図16】ワイヤージョイント手段の動作を示す横断面図である。
【
図17】ワイヤー高さ調整手段を示す分解斜視図である。
【
図18】
図17と向きを変えてワイヤー高さ調整手段を示す分解斜視図である。
【
図19】係着手段による引戸の吊り込み動作を段階的に示す側面図である。
【
図20】ワイヤージョイント手段によりワイヤーを第2引戸の取付吊金具に連結する動作を段階的に示す横断面図である。
【
図21】ワイヤー高さ調整手段によりワイヤーを上枠のまぐさ位置に固定した引戸の上側を引戸レールを省略して示す斜視図である。
【
図22】ワイヤー高さ調整手段によりワイヤーを上枠のまぐさ位置に固定した引戸の上側を引戸レールを省略せずに示す斜視図である。
【
図23】係着手段の昇降操作部による係着具の昇降動作を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1〜
図4に連動引戸に搭載した本発明の一例であるワイヤー連動式引戸装置を示す。図示例のワイヤー連動式引戸装置は、それぞれパネル状の第1引戸Aと第2引戸Bの2枚の連動引戸を連動して通路開口Sを開閉する2連片引型吊戸装置である。連動引戸A・Bは、天井側の上枠Fと、片側の戸袋壁Wと、他側の立枠Cとで矩形に通路開口Sを枠付し、上枠Fに固定した引戸レールLに吊り込む。
【0015】
図示例のワイヤー連動式引戸装置は、第1引戸A上の戸先と戸尻の両端に同一構造の吊戸車体xを搭載し、第2引戸B上の戸先と戸尻の両端には同一構造の吊戸車体yを搭載する。
【0016】
第1引戸Aの吊戸車体xは、それぞれ下部側の取付吊金具aと上部側の戸車ユニットbとで構成する。取付吊金具aは、第1引戸Aの上端面に固定する細長い取付プレート10を備える。
【0017】
取付プレート10は、
図5および
図6に示すように、先端部10aをL板状に曲げ起こし、中央部に略長方形の取付穴12を設け、先端部10a近くにおいて滑車13を、車軸を長穴に係合して長さ方向に移動可能に可動板14上に載せて回転自在に軸着する。可動板14は、端部をL状に曲げ起こした軸受片部14aを形成し、軸受片部14aに、取付プレート10の先端部10aの通穴を挿通した調整ボルト31の先端を固着する。調整ボルト31は、基端に調整ナット16を螺着し、調整ナット16と取付プレート10の先端部10a間に巻装した圧縮コイルばね17を挟んで先端を軸受片部14aに固着する。従って、調整ナット16を回動して調整ボルト31に対する捩じ込み量を調節すると、滑車13を可動板14を介して移動し、滑車13間に巻き回すワイヤーwの張り具合が調整される。
【0018】
他方、戸車ユニットbは、戸車ブラケット18の一対の側板部18a間に車軸19を懸架して一対の戸車17を回転自在に支持し、戸車ブラケット18の上で回転自在に枢支する一方、戸車ブラケット18の底板部の中央に、基端に有するねじ部をカシメて固着した吊軸15を垂下する。底板部には、長手方向両端から直角に屈曲させて吊軸15と平行に延びる操作片18cを有する。
【0019】
第2引戸Bの吊戸車体yは、
図7に示すように、それぞれ下部側の取付吊金具mと、第1引戸Aと同じ構造の上部側の戸車ユニットbとで構成する。取付吊金具mは、第2引戸Bの上端面に固定する細長い取付プレート20を備える。取付プレート20は、調節穴21を有する先端部20aをL板状に屈曲し、中央部に略長方形の取付穴22を設ける。
【0020】
吊戸車体x・yにおいて、下部側の取付吊金具a・mは、
図5、
図6および
図7に示すように、それぞれ第1引戸Aと第2引戸B上の戸先と戸尻の両端に、取付プレート10・20の先端部10a・20aが互いに離隔する逆向きに取り付ける。一方、上部側の4台の戸車ユニットbは引戸レールL内に装架する。
【0021】
引戸レールLは、
図4および
図5に示すように、上枠Fに下向きに固定する一対の固定レール24・25からなる。固定レール24・25は、それぞれ図中下面の長さ方向に逃げ溝23を切ったチャネル形状に押出し成形し、逃げ溝23の両側に戸車17を係合する走行路26を形成する。
【0022】
そこで、連動引戸A・Bを上枠Fに吊り込む場合は、予め戸車ユニットbを2台ずつ固定レール24・25内に、それぞれ走行路26に戸車17を係合させて装架する。一方、第1引戸Aの上には、
図1および
図2に示すように、ワイヤーwを滑車13間にループ状に巻き掛けてから、両引戸A・Bの上の両端にそれぞれ取り付けた取付吊金具a・mを、固定レール24・25内に装架した戸車ユニットbに、係着手段Tにより連結して両引戸A・Bを吊持し、通路開口Sに対して内側のワイヤーwの直線索条部w1を、ワイヤージョイント手段Jにより第2引戸B上の戸尻側の取付吊金具mに連結する。他方、ワイヤーwの外側の直線索条部w2は、ワイヤー高さ調整手段Kにより上枠Fの所定まぐさ位置に連結してワイヤーwを往復回動可能に巻装し、両引戸A・Bを連動して往復移動可能に連結する構造になっている
【0023】
係着手段Tは、
図8、
図9および
図10に示すように、その構成に戸車ユニットbに垂下した吊軸15を含み、連動引戸A・Bの上端面の戸先と戸尻両端にそれぞれ掘り込む掘込ケース27と、掘込ケース27に収納して吊軸15を係脱可能に係着する係着具28と、係着具28を昇降させて高さ位置を調節する昇降操作部29を備える。
【0024】
吊軸15は、細い円柱状で、先端部15a近傍の外周に係止溝15bを凹設する。掘込ケース27は、両引戸A・Bの戸厚より狭幅な長尺箱状をなし、長さ方向基端側には、取付プレート10・20の取付穴12・22に対応し、仕切壁27aで仕切って上側開口の収納室30を形成する。
【0025】
係着具28は、収納室30に内装する支持ブラケット32と、支持ブラケット32で回動自在に支持する係着アーム33と、係着アーム33を一方向に回動付勢するねじりコイルばねの付勢ばね34を備える。
【0026】
支持ブラケット32は、金属板を折り曲げて、間に係着アーム33の回動領域を形成する一対の支持板部32aと、それら支持板部の一端上縁を結ぶ直角な軸受板部32bを有する。支持板部32aには、それぞれ上縁中央部を円弧形に切り欠いて係着アーム33の動作を見せる視認窓36を形成し、視認窓36の一側の軸受板部32bには、視認窓36側の端縁に係止凹部35を形成する。係止凹部35は、戸車ユニットbに垂下した吊軸15の先端部15aにおける軸径より小さい半径の半円状に切り欠いてなる。視認窓36の他側のヒンジ板部32cは、係止凹部35を有する軸受板部32bより高く形成し、軸受板部32と略同じ高さ位置にそれぞれピン穴37を設ける。
【0027】
係着アーム33は、樹脂製で、吊軸15の先端部15aを押し当てる滑り台39と、滑り台39の長さ方向基端に枢軸ピン38を枢着する枢着部33aを形成する一方、先端に滑り台39の摺動面39aより一段低い押当段部33bを形成する。押当段部33bは、摺動面39aとの段差部分を吊軸15の細い円柱形状に対応して湾曲面で形成する。枢着部33aは、間にばね収納空間41を挟んで一対の支持片33cを突設し、それら支持片にピン穴42を設ける。
【0028】
そこで、係着手段Tは、
図9および
図10に示すように、係着アーム33のばね収納空間41に付勢ばね34のコイル部34aを配し、ヒンジ板部32c間においてピン穴42を同一軸線上に揃えて枢軸38を挿通し、係着アーム33を支持板部33a間で回動可能に支持ブラケット32で支持し、付勢ばね34の一端34bを係着アーム33の底部に掛け止めて係着具28を組み立てる。
【0029】
係着具28は、支持ブラケット32の係止凹部35を基端側にして掘込ケース27の収納室30内で鉛直方向上下にのみ昇降自在に嵌着する。そのとき、係着具28は、一端34bを係着アーム33の底部に掛け止めた付勢ばね34の他端34cを、掘込ケース27の仕切壁27aに掛け止め、係着アーム33を、付勢ばね34のばね付勢力により先端の押当段部33bが押し上がる方向に回動付勢し、押当段部33bを、係止凹部35と重なる位置で支持ブラケット32の軸受板部32bに押し当て、係着アーム33を、滑り台39の先端側に向かうに従い次第に摺動面39aが低くなる傾き角度位置で保持する。
【0030】
昇降操作部29は、
図9〜
図12に示すように、係着具28を昇降する主たる手段のねじ軸45と、ねじ軸45に装着するスライダ46とを備え、掘込ケース27の戸先側の端板部27bに操作穴44を設け、収納室30のある対向側板部27cに回転規制穴47を設け、支持ブラケット32の支持板部32aにスライダ46の両端46aが係合するガイド穴48を設ける。回転規制穴47は、対向側板部27cの長さ方向に沿って横に長く係着具28の昇降ストロークに対応する所定長さの長穴により形成する。ガイド穴48は、回転規制穴47と同じ長さ範囲において、係着具28の高さ位置が上昇する方向にスライダ46が直線移動すると、それに従い次第に下向きに傾斜した長穴により形成する。スライダ46は、掘込ケース27の回転規制穴47に両端46aを係合可能な長さの短軸状で、中心に雌ねじ穴が横断的に貫通する。
【0031】
そこで、昇降操作部29は、戸先側の端板部27bに開いた操作穴44から掘込ケース27内にねじ軸45を挿入し、予め両端46aをガイド穴48および回転規制穴47に横架したスライダ46の雌ねじ穴に螺合し、ねじ頭部45aを操作穴44に嵌め込む一方、戸尻側の端板部27dを貫挿したねじ先端部45bに軸受ナット51を螺着することにより両端板部27b・27d間で正逆回転可能に軸支する。
【0032】
従って、昇降操作部29では、
図13(a)に示すように、ねじ軸45を回転すると、スライダ46は、両端46aがそれぞれ固定の回転規制穴47・47に係合するゆえに回転を規制されてねじ軸45上を回転規制穴47の長さ範囲にわたり正逆の回転方向に応じて直線往復移動する一方、直線往復移動するとき、スライダ46は、両端46aを係着具28のガイド穴48にも係合するから、
図13(b)に示すように、スライダ46が直線移動する間その傾斜方向に従い上下して係着具28を昇降させることにより高さ位置が調整される構造になっている。
【0033】
ワイヤージョイント手段Jは、
図14、
図15および
図16に示すように、ワイヤーwに固着した磁性体からなる円筒状連結管52と、連結管52を磁着する矩形板状のマグネットMと、磁着した連結管52を固持するマグネットキャッチ50を備え、取付吊金具mの取付プレート20には、中央部において曲げ起こし先端部20aに向けて長さ方向に¬状に切起こして押え片20bを形成し、先端部20aに調節穴21を設ける。
【0034】
即ち、ワイヤージョイント手段Jは、取付プレート20の先端部20aにマグネットキャッチ50を固定する止めねじ11を通す調節穴21を設け、調節穴21は、第1引戸Aの戸厚サイズに応じて止めねじ11を通す位置を調整可能な戸厚方向に横長な穴、例えばダルマ穴からなる。
【0035】
連結管52は、ワイヤーwの両端部を圧着して繋ぐことによりエンドレスに形成する。マグネットキャッチ50は、取付プレート20上にねじ止めする本体ブロック55と、本体ブロック55の側面片側から張り出して設けるワイヤー吸着部56とを樹脂で一体成形する。本体ブロック55は、これを搭載する引戸の戸厚に対応した幅サイズの略矩形な角塊状をなし、長さ方向一側の端面に幅方向に掛け止め凹溝55aを形成し、他側の端面に雌ねじ穴57を螺設する。
【0036】
ワイヤー吸着部56は、側面に連結管52の円筒形状に合わせて半円筒状の嵌め込み穴59を凹設する。嵌め込み穴59には、その穴底にマグネットMを装着する段付き凹部59aを形成する。そこで、マグネットキャッチ50は、嵌め込み穴59の段付き凹部59aにマグネットMを差し込んで装着する。
【0037】
嵌め込み穴59は、本体ブロック55を取付プレート20上に固定したとき、マグネットMをワイヤーwの片側の前記直線索条部w1に向けて開口し、ワイヤーwが中心を貫挿した連結管52が嵌め込まれたとき、連結管52の動きを拘束する深さに穿設する。従って、マグネットキャッチ50は、ワイヤーwが中心を貫挿した連結管52が嵌め込み穴59内に嵌め込まれたとき、磁着した連結管52を嵌め込み穴59内に機械的に抱き込んで固持する構成になっている。
【0038】
ワイヤージョイント手段Jは、第2引戸B上の戸尻側に組み付ける取付プレート20上にマグネットキャッチ50を取り付ける。マグネットキャッチ50は、第2引戸Bを吊り込むときに、隣接する第1引戸A上で滑車13間に巻装するワイヤーwの内側の直線索条部w1とマグネットMが対向する側にワイヤー吸着部56に向けて、本体ブロック55を取付プレート20上に載せて掛け止め凹溝55aに押え片20bを掛け止め、長さ方向他側の端面を止めねじ11で先端部20aにねじ止めする。
【0039】
そこで、図示ワイヤー連動式引戸装置は、
図1〜
図5に示すように、吊戸車体xにおいて、下部側の取付吊金具aは、係着手段Tを、昇降操作部29に備えるねじ軸45のねじ頭部45aが第1引戸Aの縦框から覗く逆向きにして、上端面の両端に掘り込みし、次いで、取付プレート10を、先端部10aを互いに離隔する逆向きにして取り付ける。
【0040】
一方、吊戸車体yにおいて、取付吊金具mは、係着手段Tを、昇降操作部29に備えるねじ軸45のねじ頭部45aが第2引戸Bの上端面の両端に掘り込みし、次いで、取付プレート20を、先端部20aが互いに離隔する逆向きにして取り付ける。
【0041】
ワイヤー高さ調整手段Kは、
図17および
図18に示すように、ワイヤーwの両端部を圧着して連結した円筒状の接続管(接続媒体)65と、接続管65を嵌め入れてワイヤーwを固持するワイヤーホルダ60を備える。接続管65は、ワイヤーwの両端部を圧着して繋ぐことによりエンドレスに形成する。
【0042】
ワイヤーホルダ60は、上枠Fのまぐさ位置に固定する固定ブロック61と、接続管65を保持するホルダ部62とを樹脂で一体成形する。固定ブロック61は、全体にやや細長な矩形ブロック状をなし、図中上下の幅方向下側に図中左右の長さ方向に沿って、第1引戸A上で滑車13間に巻装するワイヤーwの直線索条部w2が通る通路63を凹設し、厚さ方向一側の背面にフラットな取付面61aを形成し、取付面61aの幅方向下縁を切り欠いて通路63と通ずる接続管65の挿入口64を設け、厚さ方向にねじ貫通穴66を設ける。
【0043】
ホルダ部62は、固定ブロック61の厚さ方向他側の正面と面一に下向きに延びる規制板部62aと、規制板部62aを間に挟んだ両側に側面視J形に屈曲して延びる一対の規制アーム62bとで接続管65の動きを規制する規制部位を形成している。規制アーム62bは、接続管65の長さに対応した間隔をあけて規制板部62aより一段厚肉に形成し、規制板部62aとの間に、嵌め入れる接続管65の長さ方向左右の動きを規制する段差67を設けると共に、先端屈曲部分62c・62cが挿入口64近くまで高く立ち上げる規制形状に形成する。
【0044】
そこで、ワイヤー高さ調整手段Kは、
図21および
図22に示すように、第1引戸Aを固定レール24に吊り込むとき、ワイヤーwの外側の直線索条部w2と対向する高さ位置、即ち、上枠Fの所定まぐさ位置にワイヤーホルダ60を固定する。そのとき、ワイヤーホルダ60は、ワイヤーw上の接続管65を挿入口64からホルダ部62内の規制アーム62b間に嵌め入れてから、規制アーム62bを所定まぐさ位置に向けて、固定ブロック61をねじ貫通穴66に止めねじ69を通して上枠Fにねじ止めする。
【0045】
ワイヤー高さ調整手段Kでは、ホルダ部62は、ワイヤーwの外側の直線索条部w2と平行な長さ方向左右の動きを段差67で規制し、厚さ方向前後の動きを規制板部62aと上枠Fとで挟んで規制する一方、幅方向上下のワイヤーwの高さ方向には、規制板部62aに沿って上下方向に可動に接続管65を保持する構成にする。
【0046】
さて、図示実施例において、連動引戸A(B)を上枠Fの固定レール24(25)に吊り込む場合は、引戸A(B)を持ち上げて、
図19(a)に示すように、吊軸15に係着アーム33の摺動面39aを近づけて、同図(b)に示すように、摺動面39aを吊軸15の先端部15aに下方から押し当てる。すると、そのとき、係着アーム33は、滑り台39の長さ方向先端の押当段部33b側に向かうに従い次第に摺動面39aが低くなる傾き角度位置に保持するから、同図(c)に示すように、戸車ユニットbは、摺動面39aの傾斜に従って吊軸15の先端部15aが、摺動面39aを滑り降りながら、引戸A(B)の戸尻側に向けて固定レール24(25)を走行し、吊軸15の係止溝25に軸受板部32bの係止凹部35が係止し、同図(d)に示すように、係着アーム33先端の押当段部33bと支持ブラケット32の軸受板部32bとの間に吊軸15の先端部15aが嵌り込み、その先端部15aを係止凹部35と押当段部33bとで挟んだ押し当て状態で係着具28を吊軸15に係着し、引戸A(B)を上枠Fに固定レール24・25の走行路26に沿って走行可能に吊持する。
【0047】
従って、図示例では、引戸A(B)の吊り込みは、引戸A(B)を持ち上げて、係着アーム33の滑り台39を戸車ユニットbの吊軸15の先端部15aに押し当てる操作をするだけでよく、後は、吊軸15の先端部15aがそのまま傾斜した摺動面39aを滑り降りて先端の押当段部33bを弾発的に押し当てた状態で取付吊金具a・mを吊軸15にワンタッチで係着し、ドライバーやレンチ等の工具を使用することなく、引戸A(B)を手間なく上枠Fに簡単に吊設することができる。
【0048】
尚、必要に応じて、吊り込んだ引戸A(B)を上枠Fから取り外す場合にも、手で上から摺動面39aを押して係着アーム33を付勢ばね34の付勢力に抗して回動し、先端の押当段部33bを係着位置から押し下げて先端部15aに弾発的に押し当てた状態から解除し、その間に操作片18cを摘んで、戸車ユニットbを、吊軸15の係止溝15bが係着アーム33の係止凹部35から外れる戸先側に向けて走行させる操作をするだけで、ドライバーやレンチ等の工具を使用することなく、取付吊金具a・mを吊軸15からワンタッチで取り外し、引戸A(B)を手間なく上枠Fから簡単に取り下ろすことができる。
【0049】
それから、図示ワイヤー連動式引戸装置では、第1引戸A上の両端にそれぞれ取り付けた取付吊金具a・mを戸車ユニットbの吊軸15に係着して引戸A(B)を上枠Fに吊り込むときに、第1引戸Aの上で滑車13間に巻き掛けたワイヤーWの直線索条部w1を、ワイヤージョイント手段Jにより第2引戸B上の戸尻側の取付吊金具mに連結し、ワイヤーwの外側の直線索条部w2は、ワイヤー高さ調整手段Kによって上枠Fの所定まぐさ位置に連結し、全体にワイヤーwを往復回動可能に巻装する。
【0050】
第1引戸A上に巻装したワイヤーWの直線索条部w1を、第2引戸B上の取付吊金具mに連結するときは、
図20(a)に示すように第2引戸Bを移動し、第2引戸B上のマグネットキャッチ50のワイヤー吸着部56が、同図(b)に示すようにワイヤーwの直線索条部w1に固着した磁性体の連結管52に近づくと、ワイヤージョイント手段Jが働いてマグネットMの磁力が作用して連結管52を吸引して嵌め込み穴59内に磁気的に吸着すると同時に機械的に嵌り込んで固持する。
【0051】
従って、図示例では、引戸A(B)の吊り込み時、ワイヤーwを第2引戸Bの取付吊金具mに連結するときは、第2引戸Bを移動させてマグネットキャッチ50のワイヤー吸着部56を連結管52に近づける操作をするだけでよく、その後は、上述のようにワイヤージョイント手段JによりマグネットMの磁力が作用して連結管52を吸引して嵌め込み穴59内に磁気的に吸着すると同時に機械的に嵌り込んで固持し、そのように自動的にワイヤーwの片側の直線索条部w1を隣接する第2引戸Bに自動的に連結される。
【0052】
図示ワイヤー連動式引戸装置では、そのように引戸を移動してマグネットキャッチ50のワイヤー吸着部56を連結管52に近づける操作だけでよく、その後は、ワイヤーwの内側の直線索条部w1を隣接した第2引戸に自動的に連結され引戸上の滑車間に巻装したワイヤーを隣接した引戸に連結する作業を熟練度により出来上がりにバラツキを生じず、手間なく簡単にすることができる。
【0053】
しかも、図示ワイヤー連動式引戸装置では、マグネットキャッチ50の嵌め込み穴59にワイヤーwが中心を貫挿した連結管52が嵌め込まれたとき、マグネットMの磁力で吸着して保持するだけでなく、嵌め込み穴59を連結管52の動きを拘束する深さに穿設し、その嵌め込み穴59内に磁着した連結管52を機械的に抱持するから、マグネットキャッチ50で連結管52を握持する強度が上がり、その結果、簡単な作業により引戸上の滑車13間に巻装したワイヤーwを隣接した第2引戸Bにしっかり連結することができる。
【0054】
他方、第1引戸A上に巻装したワイヤーwの外側の直線索条部w2は、上枠Fの所定まぐさ位置に固定する。その場合、本発明のワイヤー連動式引戸装置では、
図21および
図22に示すように、第1引戸Aを移動し、ワイヤーwの外側の直線索条部w2上の接続管65を、ワイヤーホルダ60のホルダ部62に近づけ、挿入口64からホルダ部62に嵌め入れて規制アーム62b間に保持し、これにより、ワイヤーwの外側の直線索条部w2は、上枠Fの所定まぐさ位置に固定する。
【0055】
従って、引戸A(B)の吊り込み時、ワイヤーwを上枠Fの所定まぐさ位置に固定するときは、第1引戸Aを移動し、ワイヤーw上の接続管65を、ワイヤーホルダ60のホルダ62に近づけ、挿入口64からホルダ部62内に嵌め入れて規制アームの62bで保持するだけでよく、ドライバーや圧着レンチ等の工具を使用することなく、ワイヤーwを手間なく上枠Fに簡単に固設することができる。
【0056】
図示ワイヤー連動式引戸装置では、例えば閉時、
図1および
図2に示すように、いま全開位置にある引戸A・Bの何れか一側の引戸、例えば第2引戸Bを引き出すと、固定レール25の案内で第2引戸Bが移動するのに伴い、第2引戸Bに連結したワイヤーwの内側の直線索条部w2が滑車13に向かって移動しワイヤーwを一方向に回動し始める。ワイヤーwが一方向に回動し始めると、ワイヤーwの外側の直線索条部w1を連結した他側の第1引戸Aが連動し、滑車13に向かう外側の直線索条部w2に引っ張られ、少し遅れて第2引戸Bと同じ滑車13に向けて移動する。そして、引戸A・Bを、順次連動的に往復移動させて通路開口Sを閉止する。
【0057】
ところで、ワイヤー連動式の引戸も通常の引戸と同様に、上枠Fに吊り込んだ後に吊り込み高さを変更する必要がある場合がある。そこで、図示ワイヤー連動式引戸装置では、
図23(a)に示すように、係着手段Tの昇降操作部29により引戸A・Bの吊り込み高さ変更する。即ち、ねじ頭部45aの操作溝にドライバー等を差し込み、ねじ軸45を、吊り込み高さの変更の度合いに応じて、正逆いずれかの方向に適宜回転する。すると、係着手段Tにおいて、ねじ軸45に螺合したスライダ46は、
図13に示すように、両端46aがそれぞれ固定の回転規制穴47係合するので回転規制を受け、ねじ軸45上を回転転規制穴47の長さ範囲にわたり正逆の回転方向に応じて直線往復移動するが、両端46aを係着具28のガイド穴48にも係合するから、スライダ46が直線移動する間、その傾斜方向に従い係着具28が上下動する。例えば
図23(a)に示すように、係着具28の高さ位置を、上枠Fの下面から引戸A・Bの上端面と間の高さH1から、同図(b)に示すように、高さH2に低く高さ調整することができる。
【0058】
さて、通常、そのように引戸A・Bの吊り込み高さが変更すると、その吊り込み高さの変更に伴い、第1引戸A上に巻装したワイヤーwが高さ方向に上下する一方、ワイヤーwは、外側の直線索条部w2が上枠Fのまぐさ位置に固定したワイヤーホルダ60のホルダ部62に保持される。しかし、本発明のワイヤー連動式引戸装置では、ワイヤー高さ調整手段Kは、ホルダ部62を、第1引戸A上に巻装したワイヤーwの外側の直線索条部w2と平行な長さ方向左右の動きを段差67で規制し、厚さ方向前後の動きも規制板部62aと上枠Fとで挟んで規制する一方、幅方向上下のワイヤーwの高さ方向には、規制板部62aに沿って上下動可能に接続管65を抱持し、引戸上に巻装したワイヤーwの高さを引戸の吊り込み高さに連動させる構成にするから、引戸A・Bの吊り込み高さが変動すると、その吊り込み高さに追従してワイヤーwの高さも自動的に変動する。
【0059】
従って、図示例では、引戸の吊り込み高さが変動すると、その都度、従来のようにまぐさ位置に固定したワイヤーの固定位置を、引戸の吊り込み高さの変動に応じて調整する手間のかかる作業をなくすことができる。
【0060】
ところで、以上の図示実施の形態では、引戸は2枚としたが、引戸を3連、4連のワイヤー連動式にすることもできる。
【課題】引戸上に巻装したワイヤーを、上枠のまぐさ位置に工具を使用して作業するビス止めやねじ締めの出来上がりに熟練度に応じてバラツキを発生せず、手間なく簡単に行うワイヤー連動式引戸装置を提供する。
【解決手段】ワイヤー高さ調整手段Kは、ホルダ部62を、第1引戸Aの上に巻装したワイヤーwと平行な長さ方向左右の動きを段差67で規制し、厚さ方向前後の動きを規制板部62aと上枠Fとで挟んで規制する一方、幅方向上下のワイヤーwの高さ方向には、規制板部62aに沿って上下に可動に接続管65を抱持し、引戸上に巻装したワイヤーwの高さを引戸の吊り込み高さに連動させるから、引戸の吊り込み高さが変動すると、その引戸の高さに追従してワイヤーの高さも自動的に変動する。