特許第5792370号(P5792370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792370
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】レール材の取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/00 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   E04F19/00 D
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-228204(P2014-228204)
(22)【出願日】2014年11月10日
(62)【分割の表示】特願2010-234133(P2010-234133)の分割
【原出願日】2010年10月19日
(65)【公開番号】特開2015-52268(P2015-52268A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2014年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 徹
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−199783(JP,A)
【文献】 特開平11−140976(JP,A)
【文献】 特開昭57−137547(JP,A)
【文献】 特開2003−293572(JP,A)
【文献】 特開2000−291188(JP,A)
【文献】 実開平1−89536(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊具や固定具等の雄ネジ材を複数取付可能に構成されたレール材を、建築構造材である梁に取り付けてなるレール材の取付構造であって、
前記梁は、上面、下面および二つの側面を持つ断面四角形状に形成されており、さらに二つの目地部を有する表面化粧材によって被覆されており、
前記表面化粧材は、断面略凹型の一方のカバーと断面略凹型の他方のカバーとからなり、これら一方のカバーと他方のカバーとを接続して断面四角型となるように組み合わせることで前記梁を被覆しており、
前記二つの目地部のそれぞれは、前記表面化粧材に対し、前記梁の前記上面および前記下面のそれぞれにおける幅方向中央の位置に対応して配置され、
当該二つの目地部は、前記一方のカバーと前記他方のカバーとを組み合わせた際に、これら一方のカバーの両端部と他方のカバーの両端部との接続部分に形成されており、
前記二つの目地部のうちの少なくとも一つには、この目地部の長さ方向に沿って前記レール材が嵌められており、
前記レール材は、前記梁に対して、前記二つの目地部のうちの少なくとも一つと共にビスによって固定されており、
前記レール材は、このレール材の長さ方向に沿って、かつ間隔をあけて設けられるとともに前記雄ネジ材が螺着される複数の雌ネジ部を備えていることを特徴とするレール材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品を建築構造材である梁に設置するための吊具や固定具等の雄ネジ材を取付可能なレール材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば壁や柱や梁等の建築構造材に対し、特許文献1に記載のような植栽容器や、その他、簾等の各種物品を吊り下げたり、壁掛けしたりする場合がある。
また、このような各種物品を、壁や柱や梁等の建築構造材に吊り下げたり、壁掛けしたりするために、建築構造材には、吊具や固定具が取り付けられる場合がある。このような吊具や固定具として、建築構造材に取り付けられる取付軸部の外周面に雄ネジが形成された雄ネジ材が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−097556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築構造材に対して上述のような吊具や固定具等の雄ネジ材を適宜取り付けて、例えば蔓性植物を這わせるワイヤーを張ったり、クリスマス等の年間行事に合わせて種々の飾り物を飾ったりするなど、植栽容器や簾の吊り下げや壁掛けだけに限られない機能的な使い方をしたいという要望がある。
ところが、雄ネジ材を建築構造材にねじ込む場合は、例えば、取付強度をできるだけ高くするために、必ず石膏ボード等の壁面材の裏側にある桟材を狙ってねじ込んだり、建築構造材の表面の化粧材の破損を防止するために、この化粧材を避けるようにしてねじ込んだりするなど、その取付作業が手間である。
また、雄ネジ材を取り外した後には、ネジ穴等の傷が残ってしまい美観を損ねてしまう場合があるため、雄ネジ材を取り外した箇所の補修に手間がかかるという問題もある。
【0005】
本発明の課題は、各種物品を建築構造材である梁に設置するための吊具や固定具等の雄ネジ材の取り付けや取り外しに係る手間を確実に省略できるとともに、雄ネジ材の機能的な使い方を可能とするレール材の取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図2図9に示すように、吊具や固定具等の雄ネジ材2を複数取付可能に構成されたレール材1を、建築構造材である梁30に取り付けてなるレール材1の取付構造であって、
前記梁30は、上面、下面および二つの側面を持つ断面四角形状に形成されるとともに、二つの目地部31aを有する表面化粧材31によって被覆されており、
前記表面化粧材31は、断面略凹型の一方のカバー310と断面略凹型の他方のカバー311とからなり、これら一方のカバー310と他方のカバー311とを接続して断面四角型となるように組み合わせることで前記梁30を被覆しており、
前記二つの目地部31aのそれぞれは、前記表面化粧材31に対し、前記梁30の前記上面および前記下面のそれぞれにおける幅方向中央の位置に対応して配置され、
当該二つの目地部31aは、前記一方のカバー310と前記他方のカバー311とを組み合わせた際に、これら一方のカバー310の両端部と他方のカバー311の両端部との接続部分に形成されており、
前記二つの目地部31aのうちの少なくとも一つには、この目地部31aの長さ方向に沿って前記レール材1が嵌められており、
前記レール材1は、前記梁30に対して、前記二つの目地部31aのうちの少なくとも一つと共にビス1dによって固定されており、
前記レール材1は、このレール材1の長さ方向に沿って、かつ間隔をあけて設けられるとともに前記雄ネジ材2が螺着される複数の雌ネジ部1aを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、前記雄ネジ材2を取付可能に構成されたレール材1が、前記建築構造材である梁30に取り付けられた表面化粧材31の目地部31aに沿って取り付けられているので、前記雄ネジ材2を前記梁30に直接ねじ込む必要が無くなり、例えば、雄ネジ材2の取付時において、この雄ネジ材2の取付強度を高くするために桟材を狙ってねじ込んだり、化粧材の破損を防ぐために該化粧材を避けてねじ込んだり、雄ネジ材2の取り外し時において、ネジ穴等の傷の補修を行うなどの種々の作業手間を確実に省略することができる。
さらに、前記レール材1は前記目地部31aの長さ方向に沿って取り付けられていることから、前記雄ネジ材2を前記目地部31aの長さ方向に沿って複数取り付けることができるので、単に植栽容器や簾の吊り下げや壁掛けだけに限られない機能的な使い方が可能となる。すなわち、例えば複数の梁30の上面と下面同士を対向させて配置し、これら各梁30にレール材1を取り付けるだけで、複数の雄ネジ材2…を多様に使うことができ、これら複数の雄ネジ材2…を利用して様々な飾り付けや植栽等を行うことができる。これによって、梁30の周囲にバリエーションに富んだ景観を生み出すことが可能となる。
また、前記レール材1は、このレール材1の長さ方向に沿って、かつ間隔をあけて設けられるとともに前記雄ネジ材2が螺着される複数の雌ネジ部1a…を備えているので、前記雄ネジ材2を前記複数の雌ネジ部1a…に螺着することにより、雄ネジ材2を前記レール材1に確実に取り付けることができる。これによって、前記雄ネジ材2を、前記梁30や表面化粧材31の上からねじ込んで取り付ける必要が無くなるので、種々の作業手間をより確実に省略することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各種物品を建築構造材である梁に設置するための吊具や固定具等の雄ネジ材を取付可能に構成されたレール材が、梁に取り付けられた表面化粧材の目地部に沿って取り付けられているので、雄ネジ材を梁に直接ねじ込む必要が無くなり、例えば、雄ネジ材の取付時において、この雄ネジ材の取付強度を高くするために桟材を狙ってねじ込んだり、化粧材の破損を防ぐために該化粧材を避けてねじ込んだり、雄ネジ材の取り外し時において、ネジ穴等の傷の補修を行うなどの種々の作業手間を確実に省略することができる。
さらに、レール材は目地部の長さ方向に沿って取り付けられていることから、雄ネジ材を目地部の長さ方向に沿って複数取り付けることができるので、単に植栽容器や簾の吊り下げや壁掛けだけに限られない機能的な使い方が可能となる。すなわち、例えば複数の梁の上面と下面同士を対向させて配置し、これら各梁にレール材を取り付けるだけで、複数の雄ネジ材を多様に使うことができ、これら複数の雄ネジ材を利用して様々な飾り付けや植栽等を行うことができる。これによって、梁の周囲にバリエーションに富んだ景観を生み出すことが可能となる。
また、レール材は、このレール材の長さ方向に沿って、かつ間隔をあけて設けられるとともに雄ネジ材が螺着される複数の雌ネジ部を備えているので、雄ネジ材を複数の雌ネジ部に螺着することにより、雄ネジ材をレール材に確実に取り付けることができる。これによって、雄ネジ材を、梁や表面化粧材の上からねじ込んで取り付ける必要が無くなるので、種々の作業手間をより確実に省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るレール材の取付構造の一例を示す斜視図である。
図2】本発明に係るレール材の取付構造において建築構造材に取り付けられるレール材を示す正面図である。
図3】レール材および下地材を壁のフラット部に取り付ける状態を示す斜視図である。
図4】レール材および下地材が取り付けられた壁のフラット部を示す拡大断面図である。
図5】レール材を壁のコーナー部に取り付ける状態を示す状態を示す斜視図である。
図6】レール材が取り付けられた壁のコーナー部を示す拡大断面図である。
図7】レール材を柱に取り付ける状態を示す斜視図である。
図8】レール材が取り付けられた柱を示す拡大断面図である。
図9】レール材が取り付けられた梁を示す拡大断面図である。
図10】梁型に梁型用アイボルトを取り付ける状態を示す部分拡大断面図である。
図11】本発明に係るレール材の取付構造の他の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係るレール材の取付構造の一例を示す斜視図である。図1に示す場所は住宅等の建物の角部に形成された凹部40であり、テラスとして利用されている。また、このテラス40では、複数の建築構造材10,20,30がそれぞれ対向または直交するようにして配置されている。
建築構造材10は、この凹部40を構成するとともに、前記レール材1が取り付けられる建物の外壁を示している。
建築構造材20は、前記テラス40の床41に立設されるとともに、前記レール材1が取り付けられる建築構造材である建物の柱を示している。
建築構造材30は、前記外壁10と柱20との間、隣り合う一方の柱20と他方の柱20との間に架設されるとともに、前記レール材1が取り付けられる建築構造材である建物の梁を示している。
そして、本実施の形態のテラス40では、吊具や固定具等の雄ネジ材2を取付可能に構成されたレール材1が、互いに対向する外壁10と柱20との互いに対向する面、隣り合う一方の柱20と他方の柱20との互いに対向する面、外壁10と梁30との入隅部Aを介して互いに直交する面、柱20と梁30との入隅部Aを介して互いに直交する面にそれぞれ取り付けられている。
【0012】
図2は建築構造材10,20,30に取り付けられるレール材を示す正面図である。
図2に示すレール材1は、このレール材1が取り付けられる目地部(後述)から露出する中央板と、この中央板の四辺に該中央板と直交する方向に延在する側板からなる断面凹型のレール本体を備えている。さらに、中央板と側板とで囲まれるレール本体の内部に、前記中央板の裏側面に接合固定される複数の雌ネジ部1a…を備えている。
これら複数の雌ネジ部1a…は、各種物品を建築構造材10,20,30に設置するための吊具や固定具等の雄ネジ材2が螺着されるものであり、前記レール材1の長さ方向に沿って、かつ間隔をあけて設けられている。
前記中央板には、複数の雌ネジ部1a…の固定位置に対応して、前記雄ネジ材2の取付軸部を挿通可能な挿通孔1bが複数形成されている。
【0013】
また、前記中央板には、レール材1を前記建築構造材10,20,30に固定するためのビス1dが挿通されるビス孔1cが複数形成されている。
これら複数のビス孔1c…は、前記複数の雌ネジ部1a…が設けられていない箇所に形成されている。また、例えばレール材1の取付強度を高めるために複数のビス1d…が狭い間隔で並べてねじ込まれる場合がある。
【0014】
前記雄ネジ材2は、前記レール材1に取り付けられる取付軸部2aの外周面に雄ネジが形成されたものであればよい。本実施の形態では取付軸部2aの頭部に環状体2bが一体形成されたアイボルトを採用しているが、これに限られるものではなく、通常の固定具としてのボルトや、吊具としてのフック状のものなど、種々のものを雄ネジ材2として前記レール材1に取り付けることができる。
また、固定具としてボルトを使用して、このボルトに固定が可能な各種物品を、建築構造材10,20,30に固定することができる。
【0015】
ここで、各種物品とは、例えば植栽容器や簾、蔓性植物を這わせるためのワイヤー、クリスマス等の年間行事に用いられる種々の飾り物等が挙げられるが、いずれの物品を建築構造材に設置するかは居住者の任意であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、専用の支持金具等を用い、この専用の支持金具等を雄ネジ材2で建築構造材に固定することで、棚や物干し竿など種々の物品を設置することもできる。
【0016】
前記凹部40は、図1に示すように、前記外壁10よりも外側に位置しており、この外壁10によって建物内部と仕切られている。
前記外壁10は、入隅コーナー部10aと、この入隅コーナー部10aを介して直交する方向に隣り合うフラット部10b,10bと、これらフラット部10b,10bの入隅コーナー部10aとは反対側端部にそれぞれ設けられる出隅コーナー部10c,10cとからなる。
そして、本実施の形態において、前記レール材1は、前記フラット部10bおよび出隅コーナー部10cにそれぞれ取り付けられている。
【0017】
ここで、前記外壁10は、予め工場にてパネル化された建築用パネルである。この建築用パネルとは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
また、本実施の形態の建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を前記建築用パネルで構成し、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されている。
【0018】
前記フラット部10bは、図3および図4に示すように、このフラット部10bの表面に取り付けられるとともに目地部11aを有する表面化粧材11によって被覆されている。また、前記レール材1は、前記目地部11aに、この目地部11aの長さ方向に沿って取り付けられている。
【0019】
前記表面化粧材11は、図4に示すように、前記目地部11aを介して互いに隣り合う外装材等の一方および他方の化粧板110,111を備えており、これら一方および他方の化粧板110,111は、前記外壁10の表面から前方に離間して配置されている。
前記レール材1は、前記一方の化粧板110の目地部側端部110aと、他方の化粧板111の目地部側端部111aとの間に配置されている。すなわち、これら一方の化粧板110の目地部側端部110aと、他方の化粧板111の目地部側端部111aとの間の部分が前記目地部11aとされている。
さらに、これらレール材1と一方および他方の化粧板110,111の目地部側端部110a,111aとの間に形成される隙間112,112には、この隙間112,112を塞ぐシーリング材113,113が設けられている。
【0020】
前記一方および他方の化粧板110,111は、前記外壁10の表面に固定される胴縁(図示せず)を介して前記外壁10の表面に取り付けられているため、この外壁10の表面から前方に離間している。
このように離間することによって外壁10の表面と一方および他方の化粧板110,111との間には隙間114が形成されるが、この隙間114は通気に利用されている。
また、前記外壁10の表面の下端部には、図3に示すように、隙間114からの雨水等の浸入を防ぐ水切り材10dが取り付けられている。この水切り材10dの下端部は、前記一方および他方の化粧板110,111の下端部から露出し、上端部は一方および他方の化粧板110,111によって遮蔽される。
【0021】
前記目地部11aには、図4に示すように、前記レール材1の取付下地となる下地材12が設けられている。
この下地材12は、前記建築構造材10の表面にビス13aによって固定されるとともに前記目地部11aの目地幅11bよりも幅広に形成された固定板部13と、この固定板部13から前方に突出して目地底を構成する突出部14とを備えている。
そして、前記レール材1は、前記ビス1dによって、前記下地材12の突出部14によって構成された目地底、すなわち下地材12に固定されている。
【0022】
前記フラット部10bにレール材1を取り付けるには、図3に示すように、まず、前記水切り材10dを外壁10の表面の下端部に取り付ける。
続いて、図4に示すように、前記外壁10の表面のレール材1が取り付けられるべき位置に、前記下地材12を、前記固定板部13をビス13aによって固定するようにして取り付ける。
【0023】
続いて、前記表面化粧材11の一方および他方の化粧板110,111を、前記外壁10の表面に胴縁を介して取り付ける。
続いて、前記レール材1を、前記ビス1dによって前記下地材12の突出部14に固定する。
その後、前記シーリング材113,113を、レール材1と一方および他方の化粧板110,111の目地部側端部110a,111aとの間に形成される隙間112,112に充填し、これら隙間112,112を塞ぐ。
【0024】
なお、前記レール材1は、前記下地材12に対して予め固定して一体化させておいてもよいものとする。これによって、レール材1と下地材12とを別々に扱う必要がないので、輸送や持ち運びの効率を高めるとともに、レール材1の固定作業も下地材12の固定板部を外壁10の表面に固定するだけで済み、作業効率も向上させることができる。
【0025】
また、本実施の形態において前記一方および他方の化粧板110,111を、前記下地材12よりも後に外壁10の表面に取り付けているが、前記下地材12よりも前に予め外壁10の表面に取り付けておいてもよい。これによって、建築用パネルの表面に予め化粧板110,111を取り付けた状態で運搬できるので、施工現場における施工効率の面で好ましい。
ただし、予め外壁10の表面に一方および他方の化粧板110,111を取り付ける場合には、下地材12を前記外壁10の表面に取り付けできるように、前記固定板部13の幅と前記目地部11aの目地幅11bとを十分に考慮する必要がある。
【0026】
次に、前記出隅コーナー部10cは、図5および図6に示すように、この出隅コーナー部10cの表面に取り付けられるとともに目地部15aを有する表面化粧材15によって被覆されている。また、前記レール材1は、前記目地部15aに、この目地部15aの長さ方向に沿って取り付けられている。
なお、この出隅コーナー部10cは、2つの建築用パネルを直交するようにして配置することにより形成されている。本実施の形態では、調整材10eを介して2つの建築用パネルが直交して配置されている。
【0027】
前記表面化粧材15は、図6に示すように、出隅コーナー部10cを形成する一方の建築用パネルの壁面を被覆する一方のカバー150と、他方の建築用パネルの壁面を被覆する他方のカバー151とからなる断面略L字型のカバー材である。
前記一方および他方のカバー150,151には、それぞれ目地部15aが形成されている。
なお、本実施の形態の表面化粧材15は、例えばアルミ等の金属板を折曲加工したり、押出成形するなどして形成されている。また、樹脂等の押出成形品を用いてもよいものとする。
【0028】
また、前記一方および他方のカバー150,151は、該一方および他方のカバー150,151を壁面に固定するための固定片150a,151aをそれぞれ備えている。
これら固定片150a,151aは、ビス15bによって前記一方の建築用パネルの壁面と、他方の建築用パネルの壁面とに固定されている。
【0029】
また、前記表面化粧材15は、前記一方の建築用パネルの壁面と、他方の建築用パネルの壁面とに取り付けられたカバー下地材16,16を介して出隅コーナー部10cに取り付けられている。
さらに、これらカバー下地材16,16には、前記一方および他方のカバー150,151に形成された目地部15a,15aの目地底を支持する支持材17,17がそれぞれ固定されている。
【0030】
前記支持材17は、前記建築用パネルの壁面とに固定されるとともに前記目地部15aの目地幅よりも幅広に形成された固定板部17aと、この固定板部17aから前方に突出して目地底を支持する突出部17bとを備えている。
また、表面化粧材15とカバー下地材16,16との間に形成される空隙には、表面化粧材15の変形を防ぐ充填材18が設けられている。
そして、前記レール材1は、前記ビス1dによって、前記一方の建築用パネルの壁面を被覆する一方のカバー150に形成された目地部15aに取り付けられている。
【0031】
前記出隅コーナー部10cにレール材1を取り付けるには、図5に示すように、まず、前記水切り材10dを外壁10の表面の下端部に取り付ける。
続いて、図6に示すように、前記カバー下地材16,16を前記一方および他方の建築用パネルの壁面に取り付ける。また、これらカバー下地材16,16には、表面化粧材15の目地部15a,15aの位置に合うように前記支持材17,17を固定する。
続いて、前記表面化粧材15を出隅コーナー部10cに被せ、前記固定片150a,151aをビス15bによって一方および他方の建築用パネルの壁面にそれぞれ固定する。
【0032】
続いて、前記レール材1を、前記ビス1dによって前記一方のカバー150側の目地部15aに固定する。この時、ビス1dは、前記目地部15aの目地底と、前記支持材17の突出部17bと、前記カバー下地材16とを貫通するようにして、前記一方の建築用パネルと調整材10eとの接合部分にねじ込まれている。
その後、前記一方の建築用パネルの壁面および他方の建築用パネルの壁面に、前記固定片150a,151aを遮蔽するようにして外装材等の化粧板(図示せず)をそれぞれ取り付けるようにする。この時、これら化粧板は、前記フラット部10bに採用された一方および他方の化粧板110,111と同様に、図示しない胴縁を介して取り付けられているものとする。
【0033】
なお、前記外壁10にレール材1を取り付ける場合に、前記フラット部10bに、出隅コーナー部10cで使用したような目地部を有するカバー材を採用してもよいし、前記出隅コーナー部10cに、一方および他方の外装材等の化粧板で目地部を形成するような収まりを採用してもよいものとする。
【0034】
次に、前記柱20は、図1に示すように、前記テラス40に2本立設されている。1本は、前記入隅コーナー部10aの対角部分に位置しており、もう1本は、入隅コーナー部10aの対角部分に位置する柱20と、前記フラット部10bに取り付けられたレール材1との間に立設されている。
また、これら柱20,20は、テラス40の上方に配置されるバルコニーや上階部屋等の上部構造体(図示せず)を支持する支柱として用いられている。なお、この上部構造体の下端部には前記テラス40外側縁部の上方に位置する屋根Yが設けられている。
【0035】
前記柱20,20は、角型パイプからなり、図7および図8に示すように、これら柱20,20の表面に取り付けられるとともに目地部21aを有する表面化粧材21によって被覆されている。また、前記レール材1は、前記目地部21aに、この目地部21aの長さ方向に沿って取り付けられている。
【0036】
前記表面化粧材21は、図8に示すように、前記柱20を被覆するとともに断面略凹型の一方のカバー210と、同じく断面略凹型の他方のカバー211とからなる。そして、これら一方のカバー210と他方のカバー211とを断面四角型となるように組み合わせることで前記柱20の表面を被覆できるように構成されている。
また、前記目地部21aは、断面四角型の表面化粧材21の四側面それぞれに形成されている。4つの目地部21aのうち、1つの目地部21aは前記一方のカバー210に形成されており、1つは前記他方のカバー211に形成されている。残り2つは、前記一方のカバー210と他方のカバー211とを組み合わせた際に、これら一方のカバー210両端部と他方のカバー211の両端部との接続部分に形成されている。
なお、本実施の形態の表面化粧材21は、例えばアルミ等の金属板を折曲加工したり、押出成形するなどして形成されている。また、樹脂等の押出成形品を用いてもよいものとする。
【0037】
前記一方のカバー210は、他方のカバー211に備えられる差込片211a,211aが差し込まれる被差込部210a,210aを備えている。この被差込部210a,210aは、該一方のカバー210の両端部に設けられており、一方のカバー210両端部と他方のカバー211の両端部との接続部分に形成される目地部21a,21aの側壁から内側に向かって、断面略U字型(溝状)となるように形成されている。
【0038】
また、前記差込片211a,211aは、前記他方のカバー211の両端部に設けられており、前記一方のカバー210の被差込部210a,210aに向かって延在するように形成されている。
これら差込片211a,211aの延出長さは、断面略U字型に形成された前記被差込部210a,210aの溝深さよりも長くなるように設定されている。そして、これら差込片211a,211aの延出長さに応じて、前記一方のカバー210両端部と他方のカバー211の両端部との接続部分に形成される目地部21a,21aの目地幅が規定されることになる。
なお、前記表面化粧材21に形成される4つの目地部21aの目地幅に略等しくなるように設定されている。
【0039】
また、前記一方のカバー210は、前記被差込部210a,210aと一体形成されるとともに、前記柱20に固定される固定板部210b,210bを備えている。
これら固定板部210b,210bは、前記被差込部210a,210aから、前記他方のカバー211の差込片211a,211aの裏面側を通過するようにして他方のカバー211側に向かって延出している。
【0040】
そして、前記一方のカバー210の両端部と他方のカバー211の両端部との接続部分に形成される目地部21a,21aの他方のカバー211の側壁よりも延出する部分が、ビス210c,210cによって柱20に固定されている。
さらに、前記他方のカバー211は、前記差込片211a,211aを前記一方のカバー210の被差込部210a,210aに差し込み、ビス212と前記レール材1取付用のビス1dとを、前記接続部分の目地部21a,21aから柱20に向かってをねじ込むことで固定されている。
すなわち、ビス212およびビス1dは、前記差込片211a,211aと被差込部210a,210aとを貫通するようにして設けられている。
【0041】
また、前記表面化粧材21は、前記柱20の表面に、該柱20を囲むようにして取り付けられたカバー下地材22…を介して、柱20に取り付けられている。
さらに、表面化粧材21とカバー下地材22…との間に形成される空隙には、表面化粧材21の変形を防ぐ充填材23が設けられている。
【0042】
そして、本実施の形態において、前記レール材1は、前記ビス1dによって、前記一方のカバー210両端部と他方のカバー211の両端部との接続部分に形成される目地部21a,21aのうちの一方に取り付けられている。
なお、前記レール材1は、例えば前記表面化粧材21に形成される全ての目地部21aに取り付けてもよく、居住者の任意で決められるものとする。
【0043】
前記柱20にレール材1を取り付けるには、まず、図6に示すように、柱20の側面にカバー下地材22…を取り付ける。
続いて、一方のカバー210を前記柱20に被せるとともに、前記固定板部210b,210bをビス210cで固定する。
続いて、他方のカバー211を、前記差込片211a,211aを前記一方のカバー210の被差込部210a,210aに差し込みながら前記柱20に被せる。
【0044】
続いて、前記一方のカバー210両端部と他方のカバー211の両端部との接続部分に形成される目地部21a,21aのうちの一方から柱20に向かってビス212をねじ込んで、前記一方のカバー210両端部と他方のカバー211の両端部との接続部分の一方を固定する。
この時、前記ビス212は、前記差込片211aと、前記被差込部210aと、前記カバー下地材22とを貫通するようにして前記柱20にねじ込まれている。
【0045】
続いて、前記ビス1dによって、前記一方のカバー210両端部と他方のカバー211の両端部との接続部分に形成される目地部21a,21aのうちの他方に、前記レール材1を固定する。
この時、前記ビス1dは、前記差込片211aと、前記被差込部210aと、前記カバー下地材22とを貫通するようにして前記柱20にねじ込まれている。
【0046】
次に、前記梁30は、図1に示すように、前記外壁10のフラット部10bと柱20との間、出隅コーナー部10cと柱20との間、隣り合う一方の柱20と他方の柱20との間にそれぞれ架設されている。
また、これら梁30,30,30は、例えば角型パイプからなり、図9に示すように、これら梁30,30,30の表面に取り付けられるとともに目地部31aを有する表面化粧材31によって被覆されている。また、前記レール材1は、前記目地部31aに、この目地部31aの長さ方向に沿って取り付けられている。
【0047】
前記表面化粧材31は、図9に示すように、前記梁30を被覆するとともに断面略凹型の一方のカバー310と、同じく断面略凹型の他方のカバー311とからなる。そして、これら一方のカバー310と他方のカバー311とを断面四角型となるように組み合わせることで前記梁30の表面を被覆できるように構成されている。
また、前記目地部31aは、断面四角型の表面化粧材31の上面および下面にそれぞれに形成されている。これら目地部31a,31aは、前記一方のカバー310と他方のカバー311とを組み合わせた際に、これら一方のカバー310両端部と他方のカバー311の両端部との接続部分に形成されている。
【0048】
なお、本実施の形態の表面化粧材31は、例えばアルミ等の金属板を折曲加工したり、押出成形するなどして形成されている。また、樹脂等の押出成形品を用いてもよいものとする。
また、本実施の形態の表面化粧材31に形成される目地部31aは2つとしたが、これに限られるものではなく、上述の柱20の表面化粧材21と同じく、断面四角型の表面化粧材31の四側面に形成されていてもよい。
【0049】
前記一方のカバー310は、他方のカバー311に備えられる差込片311a,311aが差し込まれる被差込部310a,310aを備えている。この被差込部310a,310aは、該一方のカバー310の両端部に設けられており、前記目地部31a,31aを構成する目地部31a,31a側壁から内側に向かって、断面略U字型(溝状)となるように形成されている。
【0050】
また、前記差込片311a,311aは、前記他方のカバー311の両端部に設けられており、前記一方のカバー310の被差込部310a,310aに向かって延在するように形成されている。
これら差込片311a,311aの延出長さは、断面略U字型に形成された前記被差込部310a,310aの溝深さよりも長くなるように設定されている。
【0051】
また、前記一方のカバー310は、前記被差込部310a,310aと一体形成されるとともに、前記梁30に固定される固定板部310b,310bを備えている。
これら固定板部310b,310bは、前記被差込部310a,310aから、前記他方のカバー311の差込片311a,311aの裏面側を通過するようにして他方のカバー311側に向かって延出している。
【0052】
そして、前記目地部31a,31aの他方のカバー311の側壁よりも延出する部分が、ビス310c,310cによって梁30に固定されている。
さらに、前記他方のカバー311は、前記差込片311a,311aを前記一方のカバー310の被差込部310a,310aに差し込み、ビス312と前記レール材1取付用のビス1dとを、前記目地部31a,31aから梁30に向かってをねじ込むことで固定されている。
すなわち、ビス312およびビス1dは、前記差込片311a,311aと被差込部310a,310aとを貫通するようにして設けられている。
【0053】
また、前記表面化粧材31は、前記梁30の表面に、該梁30を囲むようにして取り付けられたカバー下地材32…を介して、梁30に取り付けられている。
さらに、表面化粧材31とカバー下地材32…との間に形成される空隙には、表面化粧材31の変形を防ぐ充填材33が設けられている。
【0054】
そして、本実施の形態において、前記レール材1は、前記ビス1dによって、前記梁30の下面側に位置する目地部31aに取り付けられている。
なお、前記レール材1は、例えば前記表面化粧材31に形成される全ての目地部31aに取り付けてもよく、居住者の任意で決められるものとする。
また、前記梁30の上面側に位置する目地部31aには、埃や砂等の堆積を防ぐためにキャップ34を嵌め込んでおくことが好ましい。
【0055】
前記梁30にレール材1を取り付ける方法については、上述の柱20にレール材1取り付ける方法と略同様の手順で行われるため、説明を省略する。
また、前記外壁10と、前記柱20とに直交する建築構造材として前記梁30を挙げたが、梁材だけに限られるものではなく、例えば天井材や軒天井材、垂壁等を採用してもよいものとする。
【0056】
なお、例えば梁のように、下面側にレール材1が取り付けられるとともに、このレール材1に吊具等の雄ネジ材2が取り付けられ、なおかつ、この吊具等の雄ネジ材2によって吊り下げられる物品が比較的重量なものである場合には、図10に示すような形態の梁35を、前記外壁10のフラット部10bと柱20との間、出隅コーナー部10cと柱20との間、隣り合う一方の柱20と他方の柱20との間にそれぞれ架設してもよい。
この梁35は、例えば金属製の梁フレーム36と、この梁フレーム36の上面と両側面、下面の両側端を被覆する梁上カバー37と、梁フレーム36の下面を被覆する梁下カバー38とを備えている。
【0057】
前記梁フレーム36の下面には、該梁フレーム36の内部側に連通する溝部36aが形成されており、この溝部36aの両側縁部には、前記梁フレーム36の内部側に向かって立ち上がる立ち上がり部36b,36bが設けられている。
前記梁上カバー37によって、前記梁フレーム36の下面を被覆する部分は、この梁フレーム36の下面両側縁部だけであり、前記梁フレーム36の溝部36aを干渉しないように形成されている。
前記梁下カバー38は、前記梁フレーム36の下面のみを被覆するものであり、前記梁フレーム36の溝部36aに対応する溝部38aを有している。また、この溝部38aの両側縁部には、前記梁フレーム36の立ち上がり部36b,36bに当接し、該立ち上がり部36b,36bを補強する立ち上がり補強部38b,38bとを有している。
【0058】
また、これら梁フレーム36と梁上カバー37と梁下カバー38とは、前記梁フレーム36の下面において互いに重なり合うようにして形成されている。
前記梁35は、これら梁フレーム36と梁上カバー37と梁下カバー38とが重なり合う部分にビス固定(図示せず)することによって構成されている。
【0059】
また、この梁35に用いられる雄ネジ材は、図10に示すアイボルト3であり、上述の雄ネジ材2とは構成が異なる。
この雄ネジ材であるアイボルト3は、外周面に雄ネジが形成された取付軸部3aと、この取付軸部2aの頭部に一体形成された環状体3bと、取付軸部3aと環状体3bとの間に設けられるとともに前記溝部36a,38aよりも幅広に形成されたフランジ部3cと、取付軸部3aの先端に螺合する雌ネジ部3dと、この雌ネジ部3dのフランジ部3c側に一体形成されるとともに前記溝部36a,38aを通過可能な幅で、前記立ち上がり部36bに係止可能な凹型の係止部3eとを備えている。
【0060】
このような雄ネジ材3を前記梁35に取り付けるには、まず、前記係止部3eを、前記溝部36a,38aを通過可能な向きとする。
通過後、梁フレーム36の内部で、前記係止部3eを、前記立ち上がり部36b,36bに係止可能な向きとし、アイボルト3自体の位置を下げるなどして、該係止部3eを前記立ち上がり部36b,36bに係止させる。
その後、アイボルト3を回転させてねじ込み動作を行うことによって、前記係止部3eとフランジ部3cとが、前記梁フレーム36と梁下カバー38とを挟持固定することになり、前記溝部36a,38aにアイボルト3を取り付けることができる。
なお、このアイボルト3は、このアイボルト3を外す方向に回転させて前記雌ネジ部3bとの螺合を緩め、前記係止部3eの立ち上がり部36b,36bへの係止状態を解除し、さらに、前記溝部36a,38aを通過可能な向きとすれば簡単に取り外すことができる。
【0061】
以上のような形態の梁35であれば、アイボルト3にかかる物品の重さを、前記梁フレーム36と梁上カバー37と梁下カバー38とに分散させて伝達させることができるので、比較的重量のある物品でも吊り下げることができる。
また、以上のような形態のアイボルト3であれば、前記溝部36a,38aの延在方向に沿ういずれの位置にでも取り付けることができる。
【0062】
本実施の形態によれば、前記雄ネジ材2を取付可能に構成されたレール材1が、前記外壁10,柱20,梁30に取り付けられた表面化粧材11,15,21,31の目地部11a,15a,21a,31aに沿って取り付けられているので、前記雄ネジ材2を外壁10,柱20,梁30に直接ねじ込む必要が無くなり、例えば、雄ネジ材2の取付時において、この雄ネジ材2の取付強度を高くするために桟材を狙ってねじ込んだり、化粧材の破損を防ぐために該化粧材を避けてねじ込んだり、雄ネジ材2の取り外し時において、ネジ穴等の傷の補修を行うなどの種々の作業手間を確実に省略することができる。
さらに、前記レール材1は前記目地部11a,15a,21a,31aの長さ方向に沿って取り付けられていることから、前記雄ネジ材2を前記目地部11a,15a,21a,31aの長さ方向に沿って複数取り付けることができるので、単に植栽容器や簾の吊り下げや壁掛けだけに限られない機能的な使い方が可能となる。
すなわち、本実施の形態の凹部(テラス)40のように、複数の建築構造材である外壁10,柱20,梁30を対向させたり、直交させたりして配置した場所では、これら各外壁10,柱20,梁30にレール材1を取り付けるだけで、複数の雄ネジ材2…を多様に使うことができ、これら複数の雄ネジ材2…を利用して様々な飾り付けや植栽等を行うことができる。これによって、外壁10,柱20,梁30の周囲、すなわち凹部40にバリエーションに富んだ景観を生み出すことが可能となる。
【0063】
また、前記レール材1は、このレール材1の長さ方向に沿って、かつ間隔をあけて設けられるとともに前記雄ネジ材2が螺着される複数の雌ネジ部1a…を備えているので、前記雄ネジ材2を前記複数の雌ネジ部1a…に螺着することにより、雄ネジ材2を前記レール材1に確実に取り付けることができる。
これによって、前記雄ネジ材2を、前記外壁10,柱20,梁30や表面化粧材11,15,21,31の上からねじ込んで取り付ける必要が無くなるので、種々の作業手間をより確実に省略することができる。
【0064】
また、前記外壁10において、前記レール材1は、前記下地材12の突出部14によって構成された目地底に固定されていることから、前記外壁10の表面から離間した位置に該レール材1を配置できるので、前記レール材1を、前記表面化粧材11が表面から離間して配置された外壁10であっても取り付けることができる。
これによって、例えばレール材1を突出部14に固定せずに外壁10の表面に固定する場合に比して、前記レール材1を前方に配置することができるので、前記目地部11aにおける段差を小さくして景観性が損なわれることを防ぐとともに、前記レール材1への雄ネジ材2の取り付けを容易に行うことができる。
また、前記下地材12の固定板部13は、前記目地部11aの目地幅11bよりも幅広に形成されているので、この固定板部13を利用してビス止めするなどして、前記下地材12を外壁10の表面に確実かつ強固に固定することができる。さらに、たとえ、前記下地材12が外壁10の表面から外れてしまった場合であっても、前記固定板部13が目地幅11bよりも幅広に形成されていることによって、前記下地材12が目地部11aから外側に抜け出てしまうことを防ぐことができる。
【0065】
また、前記レール材1と、前記表面化粧材11の一方および他方の化粧板110,111の目地部側端部110a,111aとの間に形成される隙間112,112に、この隙間112,112を塞ぐシーリング材113,113が設けられているので、該隙間112,112から雨水等が表面化粧材11の裏側に浸入することを確実に防ぐことができる。これによって、前記レール材1を屋外や水廻り室に設けられる外壁10にも取り付けることができる。
【0066】
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0067】
図11はレール材1の取付構造の一例を示す斜視図である。図11に示す場所は、住宅等の建物に形成された凹部50であり、例えば庭として利用されている。
この凹部50は、互いに対向する一方および他方の側壁面51,52と、これら一方の側壁面51と他方の側壁面52との間に位置する中央側壁面53とを有するようにして複数の外壁(建築用パネル)10…を適宜組み立てることによって構築されている。また、外壁10の表面には、表面化粧材11が取り付けられている。
【0068】
そして、本実施の形態の凹部50では、吊具や固定具等の雄ネジ材2を取付可能に構成されたレール材1が、互いに対向する一方および他方の側壁面51,52にそれぞれ取り付けられている。
【0069】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
さらに、前記レール材1が、互いに対向する一方および他方の側壁面51,52にそれぞれ取り付けられていることから、これら対向するレール材1,1それぞれに複数の雄ネジ材2…を適宜取り付けることができるので、単に植栽容器や簾の吊り下げや壁掛けだけに限られない機能的な使い方が可能となる。これによって、凹部50にバリエーションに富んだ景観を生み出すことが可能となる。
すなわち、前記レール材1は、第1の実施の形態の凹部40や、本実施の形態の凹部50だけに限られず、様々な箇所に取り付けることができる。例えば建物内部にも採用することができる。したがって、例えば、普段はレール材1を使用しないとしても、建物内にレール材1が取り付けられていれば、作業手間なく、いつでも雄ネジ材2を取り付けることができ、これにより、各種物品をいつでも簡単に設置できるので、居住者にとって使い勝手が良い。
【符号の説明】
【0070】
1 レール材
2 雄ネジ材
10 外壁
11 表面化粧材
11a 目地部
15 表面化粧材
15a 目地部
20 柱
21 表面化粧材
21a 目地部
30 梁
31 表面化粧材
31a 目地部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11