特許第5792371号(P5792371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5792371レーシングハーネス固定部付き車体補強部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5792371
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】レーシングハーネス固定部付き車体補強部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/22 20060101AFI20150928BHJP
   B60R 22/00 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B60R22/22
   B60R22/00 207
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-260212(P2014-260212)
(22)【出願日】2014年12月24日
【審査請求日】2015年6月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 特許法第30条第2項適用、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社に商品説明(平成26年12月1日) (2) 特許法第30条第2項適用、株式会社オクヤマに商品説明(平成26年12月3日)
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504439872
【氏名又は名称】株式会社エイチ・ピー・アイ
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】平賀 健史
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−052549(JP,U)
【文献】 実開昭62−056472(JP,U)
【文献】 実開昭62−088661(JP,U)
【文献】 実開昭62−037568(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/22
B60R 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第1のステー部と、
前記車両の前席シート用に予め備わっている3点式シートベルトの一端を車体フロアに固定している3点式シートベルト固定ボルト部分に共締め可能な第2のステー部と、
前記第1のステー部と第2のステー部とを一体的に接続する補強部と、
前記第1のステー部側に一体成形されたアイボルト用螺子穴と、を備える
ことを特徴とするレーシングハーネス固定部付き車体補強部材。
【請求項2】
車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第1のステー部と、
車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両外側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第2のステー部と、
前記第1のステー部と第2のステー部とを一体的に接続する補強部と、
前記第1のステー部側に一体成形されたアイボルト用螺子穴と、を備える
ことを特徴とするレーシングハーネス固定部付き車体補強部材。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2のステー部側にも、一体成形されたアイボルト用螺子穴を備える
ことを特徴とするレーシングハーネス固定部付き車体補強部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の技術分野に関し、特に市販車を利用して競技走行等を行う際に必要となる車体補強部材やレーシングハーネス(4点式ハーネス等)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に市販されている自動車の前席には、所謂「3点式シートベルト」が予め備わっている(特許文献1及び2を参照)。図3に、これら特許文献に記載されている3点式シートベルトの概略構成を示している。
【0003】
3点式シートベルトの取付構成は種々のものが存在するが、一般的には、図3
に示しているように、シート10の車体中央側(フロアトンネル14側)に設置された着脱ホルダ32を経由するように、肩側を通る一端がBピラー側に接続され、腰側を通る一端が車体フロア10にボルト16によって直接固定されている。
【0004】
しかしながら、競技等のスポーツ走行を行う場合、この3点式シートベルトでは身体のホールドが必ずしも十分でなく、各種操作を正確に行えない、更に衝突時等の安全性が十分に確保できないといった問題がある。
【0005】
そこで、競技走行等を行う場合、車両に予め備わっている3点式シートベルトに代えて、レーシングハーネス(4点式シートベルトや5点式シートベルト等)が利用される場合がある。一般に市販されている車両には、このレーシングハーネスを取り付ける為の固定部(例えばアイボルトやL字形で穴の設けられたステー等)が備わっていないので、所望の位置にレーシングハーネスを取り付ける為の固定部を設ける必要がある。
【0006】
その手法として、例えば、シート20を車体フロア10に固定しているボルト18や3点式シートベルト30を車体フロア10に固定しているボルト16をアイボルト等に交換することによって、レーシングハーネスを取り付ける為の固定部とすることも理論的には可能であるが、近年の車両はスペースに余裕がなく、既存のボルトをアイボルト等に付け替えること自体困難な場合も多い状況となっている。特に、シート固定用ボルト18は、そのねじ込まれている場所や向きの関係から、アイボルトに取り替えることは困難である。
【0007】
そういった場合、仕方なく、フロアに穴を開けて補助板により補強し十分な強度を確保しつつ、アイボルト等を固定しているのが現状である。
【0008】
また一方で、競技等を行う場合に、車体剛性が高い方が、車体コントロールのし易さ等といった観点から望ましいことは周知の事実である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−16246号公報
【特許文献2】特開2000−6756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、例えば、購入したばかりの車両のフロアに穴を開けるといった行為は、車両価値の低下という観点から少なからず躊躇するものである。しかし一方で、適当な取り付け(例えば車両既存の細いボルトを利用した取り付け等)では、万が一の場合にレーシングハーネスの十分な取付強度が確保できない。
【0011】
そこで本発明は、上記のような問題点を解決するべくなされたものであって、車体フロアに穴を開けることなくレーシングハーネスの取付を行うことができ、更に同時に、車体の剛性を向上させることが可能なレーシングハーネス固定部付き車体補強部材を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するべく、本願発明は、車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第1のステー部と、前記車両の前席シート用に予め備わっている3点式シートベルトの一端を車体フロアに固定している3点式シートベルト固定ボルト部分に共締め可能な第2のステー部と、前記第1のステー部と第2のステー部とを一体的に接続する補強部と、前記第1のステー部側に一体成形されたアイボルト用螺子穴と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本願発明は、また、車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第1のステー部と、車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両外側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第2のステー部と、前記第1のステー部と第2のステー部とを一体的に接続する補強部と、前記第1のステー部側に一体成形されたアイボルト用螺子穴と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このような構成を採用したことによって、車体に穴を開けることなくレーシングハーネスを取り付けることができ、更に、車体の剛性を向上させることが可能となった。車両のシートや3点式シートベルトの車体フロアへの取付部は、相当程度の強度を持たせて作られている。よってこれら強度の高い部分を利用してステー部を共締めすることによって、高い強度を確保する事が可能となる。
【0015】
一方で、これら車両のシートや3点式シートベルトの車体フロアへの取付部自体は相当程度の強度が確保されているものの、それらの間の部分は必ずしも同じではない。例えば、軽量化の観点からシャーシを構成する金属板等の厚みは薄くなる傾向にあり、懸架装置側からの強い入力があれば、車体に捻れ等が発生する場合も多い。そこで、本発明では、車両のシートや3点式シートベルトの車体フロアへの取付部といった、相当程度に強度が確保されている部分同士を積極的に補強部で繋ぐことによって、大入力時の車体の捻れ等を防止、即ち、車体の剛性を向上させているのである。
【0016】
更に、上記において、前記第2のステー部側にも、一体成形されたアイボルト用螺子穴を備えていてもよい。
【0017】
このように構成すれば、第2のステー部側のボルトを、スペースの問題で単にアイボルト等に交換できない場合でも、当該螺子穴にアイボルトをねじ込むことによって、レーシングシートベルトの固定部を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明を適用することで、車体フロアに穴を開けることなくレーシングハーネスの取付を行うことができ、更に同時に、車体の剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るレーシングハーネス固定部付き車体補強部材の取付状態の一例を示した概略構成図である。
図2】本発明に係るレーシングハーネス固定部付き車体補強部材の構成例を示した図である。
図3】3点式シートベルトの一般的な取付構造を示した概略図(前席シートを後方から見た状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例であるレーシングハーネス固定部付き車体補強部材100について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0021】
〈レーシングハーネス固定部付き車体補強部材の構成〉
図1及び図2に示している通り、本発明の実施形態の一例として示す、レーシングハーネス固定部付き車体補強部材100は、車両の前席シート20をフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定用ボルト18a部分に共締め可能な第1のステー部102と、当該車両の前席シート20用に予め備わっている3点式シートベルト30の一端を車体フロア10に固定している3点式シートベルト固定用ボルト(図1において図示されていないが、相当する図3において符号16)部分に共締め可能な第2のステー部110と、これら第1のステー部102と第2のステー部110とを一体的に接続する補強部108と、第1のステー部102側に一体成形された螺子穴形成ブロック104及びアイボルト用螺子穴106を備える。このアイボルト用螺子穴106には所望のサイズのアイボルト120が螺号取付されて使用される。
【0022】
本実施形態においては、これらは全てスチールが溶接された一体品として構成されるが、強度を確保できる限りにおいてその他の部材(例えば各種エンジニアリングプラスティック等)によって構成することも可能である。また、第1のステー部102は、矩形(図2においては奥方がくり抜かれた形状となっている。)に構成されているが、これは、もともとの車体フロア形状を逃げ、且つ、相当程度の剛性を確保するためにこのような形状となっているものである。
【0023】
〈レーシングハーネス固定部付き車体補強部材の作用・機能〉
本発明にかかるレーシングハーネス固定部付き車体補強部材100の車体への取付は極めて簡単である。最初に、車両に備わる前席シート20をフロアへ固定するボルトのうち、少なくとも後方側を固定しているボルト(シート固定用ボルト)18a、18bを一端取り外す。また、3点式シートベルト30をフロア10へ固定しているボルト(3点式シートベルト固定用ボルト)16も一端取り外す。
【0024】
その上で、前席シート20の後方側を少し持ち上げながら、本発明にかかるレーシングハーネス固定部付き車体補強部材100の第1のステー部102を、シート固定用ステー21の下に挟み込むように取り付ける。第1のステー部102には、シート固定用ボルト18aを挿通させるための穴が形成されているので、その穴とシート固定用ステー21のボルト穴及び車体フロア10側のボルト穴を位置合わせし、シート固定用ボルト18aで共締めして固定する。
【0025】
更に、第2のステー部110側も同様に、取り外した3点式シートベルト固定用ボルト16が備わっていた穴に併せて、第2のステー部110を位置決めする。ここでは、車両に元々備わっていた3点式シートベルト固定用ボルト16は使用せずに、サイズの合う螺子が形成されたアイボルト120を利用して、3点式シートベルト30の一端と共に、共締め固定する。なお、車両側の誤差によって、取付にガタ付き等や隙間が生じる場合には、適宜スペーサーを挿入する等によって、適切な取付を行う。また、第1のステー部102側に形成される螺子穴形成ブロック104に設けられたアイボルト用螺子穴106にも、適切なサイズのアイボルト120を螺号固定しておく。
【0026】
これにより、本発明にかかるレーシングハーネス固定部付き車体補強部材100の車体への取付は完了する。その後、レーシングハーネス(図示していない)をアイボルト120に取り付ける。
【0027】
このように、本発明にかかるレーシングハーネス固定部付き車体補強部材100では、車両の前席シート20をフロア10に固定しているボルト18のうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定ボルト18a部分に共締め可能な第1のステー部102と、当該車両の前席シート20用に予め備わっている3点式シートベルト30の一端を車体フロア10に固定している3点式シートベルト固定ボルト16部分に共締め可能な第2のステー部110と、これら第1のステー部102と第2のステー部110とを一体的に接続する補強部108と、第1のステー部102側に一体成形されたアイボルト用螺子穴106と、を備えていることによって、車体フロア10に穴を開けることなくレーシングハーネスを取り付けることができ、更に、車体の剛性を向上させることが可能となった。車両の前席シート20や3点式シートベルト30の車体フロアへの取付部は、相当程度の強度を持たせて作られている。よってこれら強度の高い部分を利用して第1、第2のステー部102、110を共締めすることによって、高い強度を確保する事が可能となる。
【0028】
一方で、これら車両の前席シート20や3点式シートベルト30の車体フロア10への取付部自体は相当程度の強度が確保されているものの、それらの間の部分は必ずしも同じではない。例えば、軽量化の観点からシャーシを構成する金属板等の厚みは薄くなる傾向にあり、懸架装置側からの強い入力があれば、車体に捻れ等が発生する場合も多い。そこで、本発明では、車両の前席シート20や3点式シートベルト30の車体フロア10への取付部といった、相当程度に強度が確保されている部分同士を積極的に補強部108で繋ぐことによって、大入力時の車体の捻れ等を防止、即ち、車体の剛性を向上させているのである。
【0029】
〈その他の構成例〉
上記説明及び図面は、特定車種に対応するレーシングハーネス固定部付き車体補強部材を例に説明しているものであり、具体的な形状が図面に表したものに限定されるものではない。適応する車種に応じて、その具体的な形状は設計事項として調整することが可能である。
【0030】
また、上記では、車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第1のステー部と、当該車両の前席シート用に予め備わっている3点式シートベルトの一端を車体フロアに固定している3点式シートベルト固定ボルト部分に共締め可能な第2のステー部とを、補強部により接続して補強していたが、それ以外にも、例えば、車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第1のステー部と、当該車両の前席シートをフロアに固定しているボルトのうち、車両後方側且つ車両外側に位置するシート固定ボルト部分に共締め可能な第2のステー部と、を補強部により接続して補強するような構成を採用することも可能である。
【0031】
更に、第2のステー部側にも、螺子穴形成ブロックやアイボルト用螺子穴を設けるような構成を採用することも可能である。このように構成すれば、第2のステー部側のボルトを、スペースの問題で単にアイボルト等に交換できない場合でも、当該螺子穴にアイボルトをねじ込むことによって、レーシングシートベルトの固定部を確保することができ、更に、3点式シートベルトの固定部に変更はないので、3点式シートベルトを使用する際に、その使用の邪魔になることもない。
【0032】
なお、図面上は、本発明にかかるレーシングハーネス固定部付き車体補強部材100が運転席側に装着されているが、当然ながら、助手席側に装着して同様の効果を発揮させることも可能である。
【符号の説明】
【0033】
10・・・車体フロア
12・・・サイドシル
14・・・センタートンネル
16・・・3点式シートベルト固定用ボルト
18・・・シート固定用ボルト
20・・・前席シート
21・・・シート固定用ステー
30・・・3点式シートベルト
32・・・着脱ホルダ
100・・・レーシングハーネス固定部付き車体補強部材
102・・・第1のステー部
104・・・螺子穴形成ブロック
106・・・アイボルト用螺子穴
108・・・補強部
110・・・第2のステー部
112・・・アイボルト用螺子穴
120・・・アイボルト
【要約】      (修正有)
【課題】車体フロアに穴を開けることなくレーシングハーネスの取付を行うことができ、更に同時に、車体の剛性を向上させる。
【解決手段】車両の前席シートをフロアに固定しているボルト18のうち、車両後方側且つ車両中央側に位置するシート固定ボルト18a部分に共締め可能な第1のステー部102と、車両の前席シート20用に予め備わっている3点式シートベルトの一端を車体フロアに固定している3点式シートベルト固定ボルト部分に共締め可能な第2のステー部110と、第1のステー部102と第2のステー部110とを一体的に接続する補強部108と、第1のステー部102側に一体成形されたアイボルト用螺子穴106と、を備える
【選択図】図2
図1
図2
図3