特許第5792376号(P5792376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハーの特許一覧

特許5792376車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法
<>
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000002
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000003
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000004
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000005
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000006
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000007
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000008
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000009
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000010
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000011
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000012
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000013
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000014
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000015
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000016
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000017
  • 特許5792376-車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792376
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】車両および車両用のカメラ装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20150928BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20150928BHJP
   B60R 1/00 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   G06T1/00 330A
   H04N7/18 J
   B60R1/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-510667(P2014-510667)
(86)(22)【出願日】2011年5月16日
(65)【公表番号】特表2014-517388(P2014-517388A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2011057850
(87)【国際公開番号】WO2012155956
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2014年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ブルーク、ウェダジョ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ケルクジェイ
(72)【発明者】
【氏名】サミア、アヒアド
(72)【発明者】
【氏名】カロリーヌ、ロベール
【審査官】 山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−030734(JP,A)
【文献】 特開2007−207055(JP,A)
【文献】 特開2010−223685(JP,A)
【文献】 特開2009−255722(JP,A)
【文献】 特開2007−132868(JP,A)
【文献】 特開2006−193068(JP,A)
【文献】 特開2006−265865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
B60R 1/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのカメラ(16)であって、該カメラを用いて当該車両(10)の周囲の少なくとも一つの画像領域(18、20)を撮影可能であり、前記画像領域(18、20)は、複数のピクセルを備え且つ当該車両(10)の前方に配置されたカメラと、
少なくとも一つの前記画像領域(18、20)の平均輝度を決定するように設計されたトンネル検出デバイス(44)と、
を有する車両であって、
前記トンネル検出デバイス(44)は特性検出のためのデバイス(46)を備え、該デバイスを用いて、互いに異なるピクセルの輝度の差を取得可能であり、それ故に、輝度の急激な変化により特徴付けられる特性(34)を前記少なくとも一つの画像領域(18、20)で検出可能であり、
前記トンネル検出デバイス(44)は、前記少なくとも一つの画像領域(18、20)内のピクセルの総数に対する前記少なくとも一つの画像領域(18、20)で検出される特性(34)に割り当てられるピクセルの比率を決定するように設計され、
前記トンネル検出デバイス(44)に割り当てられた前記比率に関する閾値は、具体的には5%未満、好ましくは約2%であり、前記閾値はトンネル(12)の存在に関する結論を可能にすることを特徴とする車両。
【請求項2】
少なくとも一つの前記カメラ(16)を用いて、車両の前方の第1の画像領域(18)の下に配置される第2の画像領域(20)を撮影可能であり、前記トンネル検出デバイス(44)を用いて、前記第2の画像領域(20)の平均輝度を決定可能であることを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第1の画像領域(18)は前記第2の画像領域(20)よりも大きいことを特徴とする、請求項に記載の車両。
【請求項4】
前記第1の画像領域(18)とその下に配置される前記第2の画像領域(20)との間の距離を予め決定可能であることを特徴とする、請求項または請求項に記載の車両。
【請求項5】
前記第2の画像領域(20)の高さおよび/または幅は設定された距離に依存して可変であることを特徴とする、請求項に記載の車両。
【請求項6】
前記トンネル検出デバイス(44)は、前記第1の画像領域(18)で検出される特性(34)に基づいてトンネル(12)の存在に関する結論を可能にするように設計されていることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の車両。
【請求項7】
路面(42)よりも上側の少なくとも一つの前記画像領域(18、20)の高さ(D)は、当該車両(10)の傾きに応じて調整可能であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の車両。
【請求項8】
特に、撮影された画像をぼかすために設計された少なくとも一つのぼかしデバイスによって特徴付けられる、請求項1からのいずれか一項に記載の車両。
【請求項9】
少なくとも一つの前記カメラ(16)は、人間の眼に見える範囲の電磁放射線を捕捉し且つ赤外線を捕捉するように設計されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の車両。
【請求項10】
車両(10)用のカメラ装置を動作させる方法であって、当該方法において少なくとも一つのカメラ(16)を用いて車両(10)の周囲の少なくとも一つの画像領域(18、20)が撮影され、前記画像領域(18、20)は、複数のピクセルを備え且つ車両(10)の前方に配置され、当該方法において少なくとも一つの前記画像領域(18、20)の平均輝度が決定される方法であって、
特性検出のためのデバイス(46)を用いて、互いに異なるピクセルの輝度の差が少なくとも一つの前記画像領域(18、20)で特定され、それ故に、ことによると存在する特性であって輝度の急激な変化を特徴付ける特性(34)が検出され
少なくとも一つの前記画像領域(18、20)内のピクセルの総数に対する検出された特性(34)に割り当てられたピクセルの比率が決定され、前記比率に応じて、トンネル(12)が存在するか否かが結論付けられ、
前記トンネル検出デバイス(44)に割り当てられた前記比率に関する閾値は、具体的には5%未満、好ましくは約2%であり、前記閾値はトンネル(12)の存在に関する結論を可能にすることを特徴とする方法。
【請求項11】
少なくとも一つの前記カメラ(16)を用いて、車両(10)の前方の第1の画像領域(18)の下に配置された第2の画像領域(20)が撮影され、
前記第2の画像領域(20)の平均輝度が決定されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の画像領域(18)で検出される特性(34)に基づいて、トンネル(12)が存在するか否かが結論付けられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのカメラを有する車両であって、該カメラを用いて車両の周囲の領域の少なくとも一つの画像領域を取得可能であり、画像領域が複数のピクセルを備える、車両に関する。画像領域は車両の前方に配置される。また、車両は、少なくとも一つの画像領域の平均輝度を決定するように設計されているトンネル検出デバイスも備える。また、本発明は、車両用のカメラ装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2006/0159309号明細書は、2つの画像領域を取得するカメラを有する車両について記載する。第1の画像領域は、車両の走行方向で見て車両前方斜め上に配置される。言い換えると、カメラの検出領域の主軸は、走行方向を示す長手方向軸に対して傾けられて配置され、検出領域内に上側画像領域が位置されるようになる。カメラを用いて、車両の走行方向で見て車両の前方に配置される第2の画像領域が取得される。両方の画像領域に関して平均輝度が決定される。斜め上側の画像領域の平均輝度が閾値を下回る場合、すなわち、斜め上側の画像領域が比較的暗い場合には、2つの画像領域間の平均輝度の差が決定される。差の値が閾値を下回る場合、トンネル検出デバイスは、トンネルが存在するという結論を出す。差の値が閾値以上である場合、斜め上側の画像領域に配置される構造体が橋と見なされる。トンネル検出は、トンネルに装着される光源に基づいてもよい。このため、斜め上側の画像領域の輝度が輝度の閾値を下回る場合には、この画像領域内の特に明るい領域の数およびサイズが決定される。この画像領域内の特に明るい領域の数およびサイズが閾値以上である場合には、これらの明るい領域がトンネルに装着される光源であると結論付けられる。
【0003】
カメラによる自動トンネル検出は、必要に応じて車両の機能ユニットを作動させるために車両で使用される。例えば、トンネルがカメラの検出領域内に入ると直ぐにヘッドライトが点灯されてもよい。
【0004】
従来技術から知られる車両では、時として、比較的低い平均輝度の画像領域がトンネルの存在を示すとして誤って解釈されるため、誤ったトンネル検出が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、トンネル検出の向上を可能にする前述した類の車両および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、特許請求項1の特徴を有する車両、および、特許請求項12の特徴を有する方法によって解決される。本発明の都合の良い更なる進展を伴う有利な実施形態は、従属請求項に示される。
【0007】
本発明に係る車両は少なくとも一つのカメラを備え、該カメラを用いて、複数のピクセルを備える少なくとも一つの画像領域を撮影可能である。画像領域は、車両の前方に配置され、場合により必ずしもそうであるとは限らないが、車両の走行方向で見て車両前方斜め上に配置される。したがって、カメラの検出領域の主軸を水平方向に対して斜め上に僅かに傾けて配置できる。少なくとも一つの画像領域の平均輝度を決定するように設計されているトンネル検出デバイスはここでは特性検出デバイスを備え、この特性検出デバイスを用いて、少なくとも一つの画像領域内の互いに異なるピクセルの輝度の差を特定できる。特性は、輝度の急激な変化によって特徴付けられる。特性がエッジであってもよく、その場合、エッジ検出は、空間領域の急激な変化に対応する移行部を見つけることから成る。これは、導関数を使用してまたはマスクコンボリューションによって画像内の極致を見つけることによって達成され得る。あるいは、時間領域内の高い周波数を解析することによって、画像におけるコントラストに対応する特性が検出される。これは、輝度の急激な変化を強調するために画像にハイパスフィルタを適用することによって達成される。
【0008】
画像領域内の均一な輝度の区域間の移行部における輝度の急激な変化は、互いに異なるピクセルの輝度の差を閾値と比較することによって検出される。輝度の差が閾値を超えると、輝度の変化が輝度の急激な変化と見なされる。これは、均一な輝度の区域間の移行部を検出された特性またはエッジとしてマークすることにつながる。
【0009】
特性検出デバイスの利用は、画像領域の平均輝度だけを考慮する場合には画像領域がトンネルを表わすとして誤って解釈され得るという見識に基づく。例えば、道路沿いの木は、画像領域内のあまり明るくない一画が平均輝度値を十分に上昇させないように、車両前方斜め上に配置される画像領域の大部分を遮光する、すなわち、画像領域を比較的暗くする場合がある。同様のケースは、画像領域内に入ってくる家屋または他の障害物の正面が画像領域の大部分を遮光する場合に起こり得る。そのような比較的暗い画像領域内で、特性、すなわち、画像内の均一な輝度の区域の境界を互いに対して画定するラインが取得される場合には、画像領域の均一性の欠如をトンネル検出のために検出して考慮することができる。これは、特性またはエッジにおける輝度の非常に急激な変化に起因する。トンネル天井以外の原因により画像領域が遮光されると、比較的多数のそのような輝度の急激な変化が存在する。車両がトンネルの入口に近づくと、画像領域が位置されるようになるカメラの検出領域も変化する。斜め上側の画像領域がトンネル入口自体またはトンネル天井に位置されるようになると、輝度の急激な変化の数は、画像領域がより均質で且つ均一であるように減少する。
【0010】
前述したように、多数の輝度の急激な変化は、木の枝、建物、壁、または、他の障害物が、画像領域の大部分を暗くし、したがって通常は車両前方斜め上に配置される画像領域内に比較的低い平均輝度をもたらす場合に、画像領域に存在し得る。その結果、検出される特性に基づいて特定され得る多数の輝度変化の存在は、取得される画像領域をトンネルに属さないと見なすために使用されてもよい。トンネル検出のそのような向上により、ヘッドライトを点灯させるなど、運転状況に照らして適切ではない車両の機能ユニットの作動を防止することができる。
【0011】
カメラにより取得されるべき画像領域の設定は、制御ユニットによって行なわれ得る。そのような制御ユニットは、対応する画像領域のサイズを固定するように設計されていてもよく、特に2つの画像領域が互いに上下に配置される場合には、2つの画像領域間の距離を設定するように設計されていてもよい。
【0012】
したがって、車両においては、少なくとも一つのカメラを備えるカメラ装置が使用され、その場合、カメラが車両内に配置されると、該カメラを用いて、複数のピクセルを備える画像領域を取得可能であり、画像領域は、車両の走行方向で見て車両前方斜め上に配置される。また、車両内での使用を対象にしたカメラ装置は、少なくとも一つの画像領域の平均輝度を決定するように設計されているトンネル検出デバイスを備える。トンネル検出デバイスは特性検出のためのデバイスを備え、該デバイスを用いて、少なくとも一つの画像領域内の互いに異なるピクセルの輝度の差を取得可能であり、それに故に、特性が検出可能である。特性検出のためのデバイスまたはトンネル検出デバイスは、特にカメラ内に組み込まれ得るマイクロプロセッサなどのコンピュータデバイスによって与えられてもよい。しかしながら、マイクロプロセッサは、車両内で別個のユニットであってもよい。そのようなマイクロプロセッサは、カメラに結合されてもよく、また、特に例えばヘッドライトを点灯させるための車両の機能ユニットを作動させるのに役立ってもよい。
【0013】
好ましくは、トンネル検出デバイスは、少なくとも一つの画像領域内で検出される特性に割り当てられるピクセルの、少なくとも一つの画像領域内のピクセルの総数に対する比率を決定するように設計されている。そのような比率は、トンネル検出の過程でコンピュータデバイスを用いて特に簡単に処理される。
【0014】
これに関連して、比率のための閾値をトンネル検出デバイスに預けることが有益であることが分かってきており、閾値はトンネルの存在に関する結論を可能にする。比率と閾値との比較は、特に容易に且つ迅速に行なわれる。少なくとも一つの画像領域内に比較的大きな輝度の均一性がある場合にのみ正しいトンネル検出が与えられることが分かってきた。したがって、閾値は5%未満であってもよい。トンネル検出における特に信頼できる結果は、閾値を約2%に設定するときに得られる。言い換えると、95%を超える画像領域(または特に98%を超える画像領域)が特性を有さず、その場合、特性は、非常に異なる輝度の隣接するピクセルに起因して検出される。
【0015】
本発明の更なる有利な実施形態では、少なくとも一つのカメラを用いて、車両の前方の第1の画像領域の下に配置された第2の画像領域を取得可能である。トンネル検出デバイスを用いて、第2の画像領域の平均輝度を決定できる。これは、2つの別個の画像領域における平均輝度の決定がトンネル検出の信頼性を高めるという見識に基づく。すなわち、両方の画像領域で低い平均輝度が決定されれば、トンネルの存在が正しく想定される可能性が高まる。
【0016】
また、第1の画像領域の下に配置された第2の画像領域は、車両が走行する道路を横切る橋をトンネルから区別できるようにする。すなわち、橋の場合には、下の第2の画像領域が橋の背後の光を捕捉でき、一方、橋自体は依然として第1の画像領域を暗くする。このようにすると、車両がトンネルの終わりに近づくことも捕捉できる。これは、車両がトンネルの終わりに近づくにつれて下側の第2の画像領域が車両の周囲のトンネルの向こう側からの光により照らされる区域内に次第に入るからである。第1の上側の画像領域および第2の画像領域の取得は、特に、短いトンネルまたは地下横断歩道または道路を横切る橋を、どんな場合でも車両のヘッドライトの点灯を必要ならしめる長いトンネルから区別できるようにする。
【0017】
2つの画像領域を取得するときには、第1の画像領域が第2の画像領域よりも大きい場合に有利であることが分かってきた。正しいトンネル検出のため、場合により車両の走行方向に対して斜めに配置される画角に対応する第1の画像領域が比較的大きければ有利である。大きな上側領域を取得することによって、車両のフロントスクリーンを遮光する単一の物体によりトンネル検出デバイスがトンネルの存在を結論付けることが回避される。特に、第1の画像領域は、車両のフロントスクリーン全体にわたって延びることができる。
【0018】
しかしながら、トンネルの存在の検証または確認に特に役立ち得る第2の画像領域は、第1の画像領域よりもかなり小さくなるように選択されてもよい。具体的には、第2の画像領域の表面は、第1の画像領域の表面の10%未満、好ましくは5%未満、更には2%未満に達してもよい。そのような比較的小さい第2の画像領域の場合には、平均輝度を特に素早く決定できる。
【0019】
第1の画像領域と第1の画像領域の下に配置された第2の画像領域との間の距離を予め決定できれば更に好ましい。すなわち、2つの画像領域間の距離を設定することにより、カメラにより取得される物体がトンネルまたは橋として解釈されるべきかどうかを決定できる。2つの画像領域間の設定距離が小さい場合には、既に、車両が走行する道路上を覆う比較的短い覆いがトンネルとして分類される。しかしながら、2つの画像領域間の設定距離が大きい場合には、車両の走行方向で見て比較的長い道路上を覆う覆いだけがトンネルとして解釈されて橋として解釈されない。2つの画像領域間の距離を予め決定できることにより、カメラによって取得される物体内においてトンネルから橋をフィルタリングにより除去する際の柔軟性が高まる。
【0020】
これに関連して、第2の画像領域の高さおよび/または幅が設定距離に応じて変化できれば有利であることが分かってきた。すなわち、2つの画像領域の大きい距離が与えられつつ第2の画像領域がトンネル出口を取得するようになっている場合には、カメラからこの距離を隔てた道路の車線の幅を第2の画像領域の幅として予め決定することが合理的である。これは、道路の車線の幅がトンネルの最小開口幅を与えるからである。2つの画像領域間に更に大きい距離が与えられる場合には、それに応じて第2の画像領域の高さが更に小さくなるように選択されてもよい。車両がトンネル出口に近づくと、トンネル出口が第2の画像領域内に位置されるようになる。2つの画像領域間の距離が大きい場合、カメラから遠く離れた距離でカメラにより取得可能なトンネル出口は、2つの画像領域間の設定距離が小さい場合よりも幅が狭い。したがって、第2の画像領域の高さおよび幅を適合させることにより、カメラから特定の距離を隔てたトンネル出口の見掛けのサイズを考慮に入れることができ、それにより、信頼できるトンネル検出および橋の信頼できるフィルタリングが可能である。
【0021】
本発明の更に有利な実施形態において、トンネル検出デバイスは、第1の画像領域内で検出される特性に基づいてトンネルの存在に関する結論を出すように設計されている。これは、1つの画像領域だけで検出される特性に割り当てられるピクセルを考慮に入れてこの画像領域内の輝度の分布の均一性または均一性の欠如を決定すれば十分だからである。これは、特に素早い信頼できるトンネル検出を可能にする。第1の上側の画像領域における特性検出は、車両がトンネル入口に近づくにつれてトンネル入口がこの画像領域内に位置されるようになるため、トンネル検出に特に役立つ。
【0022】
本発明の更なる有利な実施形態において、路面よりも上側の少なくとも一つの画像領域の高さは、車両の傾きに応じて設定できる。車両の長手方向軸が水平に対して傾けられる場合、これは、カメラにより取得可能な少なくとも一つの画像領域とも関係がある。車両の後部が車両の前部よりも高い車両の傾きの場合、それに応じて、車両の走行方向で見て車両の前方上側に配置される画像領域は、車両が均等に調整される場合よりも車両の更に前方へ位置されるようになる。結果として、トンネル検出に適した画像領域が撮影されないといったことが起こり得る。
【0023】
互いに上下に配置される2つの画像領域をカメラにより撮影する際、特に下側の第2の画像領域は、水平に対する車両の傾きによって影響される。この場合、前方へ向かう車両の傾きにより、実際にはトンネルとして正しく分類されるべき構造体が橋として誤って分類される場合がある。逆に、車両の前部の位置が車両の後部の位置よりも高いことにかかわる車両の傾きの場合、下側の第2の画像領域は、(当初において意図されるように)トンネルの出口を取得し得ないが、トンネル出口の手前に位置されるトンネル天井の一部を取得し得る。このことは、路面よりも上側の少なくとも一つの画像領域の高さを車両の傾きに応じて調整することによってトンネルを橋から特に正確に区別できることを意味する。また、このことは、車両が路面に対して傾きを有する場合であってもトンネル検出に関連する画像領域が実際に撮られることを確実なものとする。
【0024】
少なくとも一つのぼかしデバイスを設けると更に有利である。ぼかし、特に取得される画像のぼかしは、ノイズを減少させ、したがって、その後のエッジ検出の結果を改善するぼかしのために、メディアンフィルタ、ガウスぼかしフィルタ、または、バイラテラルフィルタが使用されてもよい。これは、これらの挙げられたぼかし技術がノイズを特に効果的に抑制し、したがって、画像内にことによると存在する特性またはエッジを保つからである。
【0025】
最後に、カメラが人間の眼に見える範囲の電磁放射線を捕捉し且つ赤外線を捕捉するように設計されていれば有益である。これは、カメラにより撮影された画像領域の輝度のために役立つ外部光源の種ようにする。例えば、このようにすると、外部光源が太陽光であるかまたは街路照明の光であるかどうかを決定することができる。とりわけ端的には、カメラが赤外線も捕捉できるため、車両用のカメラに一般に設けられる光学的な赤外線フィルタがなくても行うことができる。
【0026】
車両のカメラ装置を動作させるための本発明に係る方法では、少なくとも一つのカメラを用いて、複数のピクセルを備える少なくとも一つの画像領域が取得され、車両の周囲の画像領域は、車両の走行方向で見て車両前方斜め上に配置される画角に対応する。少なくとも一つの画像領域の平均輝度が決定される。特性検出のためのデバイスを用いて、少なくとも一つの画像領域内の互いに異なるピクセルの輝度の差が取得され、したがって、場合により存在する特性が検出される。画像領域内の特性は、物体によって画像領域が比較的多数の輝度の急激な変化を有するかどうかに関する情報を与え、この場合、輝度の急激な変化は、トンネルを表わさず、トンネルとは異なる車両の周囲の領域を表わす。
【0027】
有利な実施形態では、少なくとも一つの画像領域内のピクセルの総数に対する検出された特性に割り当てられたピクセルの比率が決定され、該比率に応じて、トンネルの存在に関する結論が出される。そのようなコンピュータ演算は、アルゴリズムをトンネル検出にかなりの程度まで組み入れることができるようにする。
【0028】
好ましくは、少なくとも一つのカメラを用いて、第1の画像領域の下に配置されるとともに車両の走行方向で見て車両前方上側に少なくとも部分的に配置される第2の画像領域が取得され、第2の画像領域の平均輝度が決定される。そのような第2の画像領域の決定は、トンネル検出の検証を可能にする。すなわち、第2の画像領域でも比較的低い平均輝度が与えられれば、両方の画像領域がトンネル天井を取得する可能性が特に強くなる。また、下側の第2の画像領域を取得することにより、トンネルを橋から区別することができるとともに、トンネル出口を特に早期に取得することができ、したがって、車両の機能ユニットの作動、特にヘッドライトの消灯を行なうことができる。
【0029】
最後に、第1の画像領域で検出される特性に基づいてトンネルが存在することが結論付けられれば有利であることが分かってきた。トンネル検出に最も関連する特性検出を第1の画像領域でのみ行なうことにより、トンネル検出のための向上された方法を特に迅速に且つ比較的単純で低コストなコンピュータデバイスを用いて行なうことができる。
【0030】
本発明に係る車両に関して与えられる好ましい実施形態およびその利点は、対応して本発明に係る方法に適用され、逆もまた同様である。
【0031】
先の説明で言及された特性および特性の組み合わせ、および、図面の説明で後述されるおよび/または図面のみに示される特性および特性の組み合わせの全ては、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ特定される組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいて、または単独でも使用できる。
【0032】
本発明の更なる利点、特性、および、詳細は、特許請求の範囲、好ましい実施形態の以下の説明、および、図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、トンネルの前方に位置される車両の概略側面図を示し、車両は、該車両を取り囲む領域の2つの画像領域を取得するカメラを有し、対応する画像領域に割り当てられるカメラの検出領域は、車両の走行方向に対して傾けられる主軸を有する。
図2図2は、一方が他方の上部に配置されてカメラにより取得される2つの画像領域を伴うトンネル入口の正面の視界を有する運転状況を示す。
図3図3は、カメラが上側画像領域で橋の一部を取得するとともに下側画像領域で橋の背後の周囲環境の一部を取得する運転状況を示す。
図4図4は、木が2つの画像領域の主要部を暗くする運転状況を示す。
図5図5図4に係る画像領域を示し、この場合、上側画像領域内に示される特性は、上側画像領域内の輝度の急激な変化の発生を示す。
図6図6は、上側画像領域の主要部が建物によって占められる運転状況を示す。
図7図7図6に係る画像領域を示し、この場合、画像領域内の輝度の急激な変化のラインがエッジにより示される。
図8図8は、車両がトンネルに近づく運転状況を示し、この場合、上側画像領域で、異なる輝度の区域間の移行部がエッジとしてマークされる。
図9図9は、車両が図8のトンネルに入る運転状況を示し、この場合、上側画像領域に際立った特性がない。
図10図10は、特性検出の過程で行なわれる処理ステップを示すフロー図を示す。
図11図11は、トンネルの前方に位置される車両の概略側面図を示し、車両は路面に対して傾斜を有しない。
図12図12図11に係る車両を示すが、車両前方が下げられ、したがって、下側画像領域を取得するための検出領域の調整が補正される。
図13図13図11に係る車両を示すが、車両後方が下げられ、したがって、下側画像領域を取得するための検出領域の調整が補正される。
図14図14は、上側および下側の画像領域を規定する2つの検出領域の異なる設定を伴う、橋の前方に位置される車両の側面図を示す。
図15図15は、2つの画像領域の互いに対する第1の配置を伴うトンネルの正面図を示す。
図16図16は、2つの画像領域の互いに対する第2の配置を伴うとともに、第2の下側画像領域のサイズが調整された、図15のトンネルを示す。
図17図17は、トンネル検出のプロセスを記載するフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、そのトンネル天井14が示されるトンネル12の前方に位置される車両10を概略側面図で示す。車両10のフロントスクリーンの上部にはカメラ16が配置され、カメラ16は、車両10の周囲環境の2つの別個の画像領域18、20を取得する。2つの画像領域18、20(図2参照)は、図1に矢印により示される車両10の走行方向に対して斜めに配置される画角に対応する。
【0035】
第1の画像領域18が位置されるようになるカメラ16の検出領域22は、図1に概略側面図で示される。この検出領域22の主軸24は、軸Aによって示される車両10の走行方向に対して傾けられて、鋭角を成す。同様に、第2の画像領域20が位置されるようになるカメラ16の検出領域28の主軸26は、軸Aに対して傾けられるが、ここでは、主軸26は、主軸24が軸Aと成す角度よりも小さい角度を軸Aと成す。
【0036】
カメラ16を用いて撮影可能な両方の画像領域18、20は、画像領域18、20間の距離が垂直方向に存在するように、画角が軸Aに対して斜めに配置される。カメラ16は車両10内に配置されるコンピュータデバイス44に結合され、コンピュータデバイス44はトンネル検出のために設計されている。このため、コンピュータデバイス44は特性検出のためのデバイス46を含む。特性検出デバイス46は、カメラ16によって撮影される画像領域18、20の特性またはエッジを検出できる。これらの特性は、画像領域18、20内の輝度の急激な変化によって特徴付けられる。あるいは、コンピュータデバイス44はカメラ16に含められ得る。
【0037】
図2から察することができるように、図1に示されるように車両10がトンネル12の前方に短い距離を隔てて位置される場合、第1の検出領域22に割り当てられる上側画像領域18は、トンネル12の入口のトンネル天井14の一部を取得する。第2の検出領域28に割り当てられる下側画像領域20は、トンネル12の内側にあるトンネル天井14の一部を取得する。この設定における上側の大きい画像領域18は、トンネル入口をその全幅にわたって取得し、一方、第2の画像領域20は、かなり小さく、第1の画像領域18の5%を占めるにすぎない。
【0038】
トンネル12に入るときに車両10のヘッドライトを自動的に点灯させるために、両方の画像領域18、20の平均輝度が決定される。輝度は、ここでは、それぞれの画像領域18、20の個々のピクセルの様々なグレースケール値の平均グレースケール値として示され得る。このため、カラー画像カメラが使用される場合には、個々のピクセルの色合いおよび輝度値を対応するグレースケール値へと変換することができる。
【0039】
上側の大きい画像領域18および中央の下側画像領域20の両方がそれぞれ低い平均輝度を有する場合には、トンネル12がカメラ16の取得範囲内に存在すると結論付けことができる。このため、それぞれの平均輝度値が閾値と比較される。
【0040】
図3に示される車両10の運転状況において、上側画像領域18は橋30の領域内に位置されるようになり、一方、下側画像領域20は橋30の向こう側の日光を既に取得する。そのような場合、上側画像領域18の平均輝度値は、トンネル12の検出のための固定された閾値より小さい場合があるが、第2の画像領域20の平均輝度値はこの閾値よりも大きい。したがって、構造体は、トンネル12として分類されず、橋30として分類される。この場合、2つの画像領域18、20の輝度値の決定の他に、更なる画像処理ステップとして、誤ったトンネル検出を回避するために、エッジ検出デバイス46によってエッジ検出が行なわれる。
【0041】
図4は、車両10の周囲環境を暗くする、したがって上側画像領域18を暗くする障害物の例として木32が上側画像領域18内に示される運転状況を示す。また、下側の小さい方の画像領域20も比較的低い平均輝度を有し、これは、この領域も木32の枝によって遮光されるからである。このことは、ここでは、2つの画像領域18、20の平均輝度を考慮するだけでは、トンネルの誤った検出をもたらす可能性があり、したがって、車両10のヘッドライトの不必要な点灯を引き起こす可能性があることを意味する。しかしながら、この場合、上側画像領域18内で輝度の急激な変化が検出され、画像領域18内の異なる輝度の区域間の移行部が特性34としてマークされる。特性検出デバイス46によって行なわれる特性検出のために、様々な演算子を使用できる。例えば、キャニーアルゴリズムを用いて特性検出またはエッジ検出を行なうことができる。
【0042】
図5は、検出された特性34にマークが付けられた画像領域18を示す。図4に示されるように物体によって強く遮光される画像領域18では、木32の背後の空のような明るい領域へのこれらの遮光物体(この場合には木32)の移行部で、特に多数のエッジ34が検出される。
【0043】
特性34を定量化するため、特性34に割り当てられるピクセルは、合計されるとともに、特性検出中に考慮されるピクセル、すなわち、画像領域18内に存在するピクセルの総数に関連付けられる。この作業も特性検出デバイス46によって行なわれる。多数の特性34が画像領域18内に存在する場合には、画像領域18の低い輝度が木32のような物体により引き起こされる遮光に起因しておりトンネル12に近づく車両10の状況に起因していないことが想定されなければならない。その結果、画像領域18内の特性34の解析により、誤ったトンネル検出を回避できる。
【0044】
例えば、図5に示される例において、エッジ34に割り当てられない画像領域18のピクセルの割合は96%に相当してもよい。閾値として98%の値が設定されれば、画像領域18内の特性検出は、図4に示される運転状況においてトンネルが存在しないという正しい結論をもたらす。
【0045】
図6に示される運転状況において、画像領域18の低い輝度は、画像領域18内の建物36によって引き起こされる。建物36の間の上側にだけ1つの明るい領域38が存在し、この領域38内には空の一区画が位置されるようになる。
【0046】
ここでも、図7に示される特性34の検出は、異なる輝度の区域の境界画定を引き起こし、これらの区域自体は輝度がかなり均一である。例えば、空の一区画を見ることができる領域38は、特性34によって画定される。同様に、建物36の正面に設けられる構造体および/または窓も画像領域18における特性34のマーキングをもたらす。図7に示される例において、特性34の検出は、特性34に割り当てられないピクセルの92%の値をもたらす場合がある。その結果、この画像領域18は、閾値が98%に設定されれば、トンネル12の入口として誤って解釈されない。
【0047】
図8は、車両10がトンネル12に近づくが依然としてトンネルの入口から幾らかの距離を隔てている運転状況を示す。この例において、トンネル天井の上側の構造体40は、上側画像領域18内で比較的多数の特性34が検出される状況をもたらす。例えば、特性34に割り当てられるピクセルの割合は、画像領域18内に存在するピクセルの総数の4%に相当する可能性があり、それにより、特性34に割り当てられるピクセルの最大許容数に関する閾値が2%の場合、構造体がトンネルとして正しく解釈されない。
【0048】
図9に示される運転状況では、車両がトンネル12に非常に近いため、画像領域18に関して低い平均輝度値が与えられるだけでなく、もはや上側画像領域18内で特性も何ら検出されない。このことは、画像領域18のピクセルが特性に割り当てられないことを意味する。したがって、ここでは、トンネル12の存在が正しく想定され、トンネル12に入るときに車両10のヘッドライトが点灯される。これに加えてまたはこれに代えて、第2の下側画像領域20で特性検出が行なわれてもよい。
【0049】
図10は、特性検出デバイス46による特性検出で行なわれるステップを示すのに役立つ。第1のステップS10において、画像は、該画像内、例えば画像領域18内の特性検出のために取得される。あるいは、画像領域18の一区画だけがその後の特性検出に晒されてもよい。ステップS12において、画像領域18は、ノイズを抑制する目的でぼかされる。ガウスぼかしフィルタリング、メディアンぼかしフィルタリング、または、バイラテラルフィルタリングを使用して、ノイズを除去し、その後の特性検出の結果を改善することができる。例えば、メディアンフィルタリングは、ノイズを除去しつつ特性を特に良好に保つ。
【0050】
更なるステップS14では、アルゴリズムを用いて、特性検出が行なわれる。以降のステップS16では、特性34がマークされる出力画像が生成される。その後、ステップS18では、検出された特性34に割り当てられるピクセルの数が決定される。ステップS20において、検出された特性34に割り当てられるピクセルの数は、画像領域18の特性検出で処理されるピクセルの総数で割られる。
【0051】
更なるステップS22では、ステップS20で決定される比率が閾値以下かどうかに関して比較が行なわれる。例えば、ステップS20で決定される比率を数1から差し引くことができる。画像領域18内の全てのピクセルの5%が検出された特性34に割り当てられる場合には、ステップ20における計算例において、0.05の比率が数1から差し引かれる。したがって、0.95の値が与えられる。その値を例えば95%に相当してもよい閾値と比較するため、数値95(95%の閾値に対応する)が数1から差し引かれて、その結果が−100で割られてもよい。したがって、0.94の値が与えられる。0.95の既に決定された値が0.94のこの値よりも大きいため、ステップ22における比較は、特性34に割り当てられる非常に多くのピクセルが画像領域18内に存在することを表わす。その結果、画像領域18は、画像領域18内の低い平均輝度にもかかわらず、トンネル12または橋30を表わすとして解釈されない(ステップ24参照)。
【0052】
図11は、車両がトンネル12に入る直前におけるトンネル12に近づく車両10を示す。6μmの範囲内にあるピクセルの高さ、一般に約4mであるトンネル12の高さH、および、車両10の走行方向で見られるトンネル12の長さLを考慮に入れて、物体がトンネル12としてまたは橋30として見なされるべきかどうかが予め決定されてもよい。
【0053】
例えば検出される物体が30m未満の長さLを有する場合、この物体は、橋30として見なされて、トンネル12として見なされない。したがって、軸Aに関して検出領域22、28の主軸24、26の傾きを設定することにより、車両10が走行して通り抜ける構造体が何れの長さLでトンネル12としてまたは橋30として見なされるのかを予め決定できる。言い換えると、検出領域22、28は、車両10の走行方向で見て特定の長さLを有する橋30がトンネル12として考えられるように垂直に位置され得る。
【0054】
図11に示される画像領域18、20の相対的な配置は、30mの物体の長さLで物体がトンネル12として分類されるようになっていると仮定する。そのような形態において、車両10の傾きは、検出領域28に割り当てられる画像領域20が所望の場所に位置されないようになるという状況をもたらす場合がある。ここでは、路面42に対する車両10の傾きによって引き起こされるそのような偏位が考慮される。
【0055】
図12は、車両10が前方に傾けられる場合を示す。したがって、車両10の長手方向軸Sは、軸Aと鋭角を成す。この角度は、車両10のピッチとも呼ばれる。角度は、ラジアンでまたは度で示されてもよく、一般に車両10の制御デバイスで利用できる。角度は、例えばCANバスまたはLINバスを介してコンピュータデバイス44に通信され得る。
【0056】
不変の検出領域28’を伴う図12に示される運転状況において、カメラ16は、トンネル天井14の画像領域を取得せず、トンネル12の出口の画像領域を取得する。しかしながら、このとき、車両10の傾きを考慮する際の検出領域28は、路面42よりも上側の第2の画像領域20の望ましい高さが達せられるように調整される。路面42よりも上側のこの望ましい高さは、傾きを何ら伴わない車両10におけるそれに対応する(図11参照)。
【0057】
車両10の傾きは、特に、下側画像領域20が割り当てられる下側検出領域28と関係がある。したがって、車両10の傾きに応じて、下側画像領域20は、路面42よりも上側のその高さに関して、すなわち、垂直方向に移動される。前方ピッチの場合、下側画像領域20は、それに対応して、すなわち、長手方向軸Sと軸Aとによって形成される角度に比例して、上方へ移動される。その後、傾いた車両10に関しても、予め設定された長さLをもって橋30からのトンネル12の区別を行なうことができる。
【0058】
図13は、(荷物を積んだ結果として車両後方が下げられる車両10の場合に)検出領域28’がより小さい勾配の望ましい検出領域28にどのように設定され、それ故に、それに対応して画像領域20がどのように垂直下方へ移動されるのかを示す。画像領域20を垂直方向に移動させることにより、上側画像領域18からの画像領域20の距離が変化する。
【0059】
図14は、検出領域28の主軸の異なる傾きが車両10により接近される構造体の橋30またはトンネルとしての解釈にどのように影響を及ぼすかを示す。例えば、車両10が真下を通過する構造体の15mの長さをもって検出領域28を比較的急に調整する場合には、この構造体がトンネル12として解釈され、そうでない場合には、この構造体が橋30として解釈される。
【0060】
図14に示されるように、車両10の走行方向で見て30mの長さに至るまで、検出領域28の傾きがあまり急勾配でなければ、構造体が橋30として解釈され、また、更に大きい長さの場合には、構造体がトンネル12として解釈される。60mの長さを超える時点でのみ、検出領域28の勾配が更に小さく、したがって、2つの画像領域18、20間の垂直距離が更に大きい場合には、構造体がトンネル12と見なされ、そうでない場合には、構造体が橋30と見なされる。言い換えると、2つの画像領域18、20間の垂直方向の距離を予め決定することにより、何れの長さLから構造体がトンネルと見なされるべきかを決定することができる。このように、長さLは、橋30をトンネル12からフィルタリングするように設定される。
【0061】
図15は、長さLが30mを超える場合に構造体がトンネルと見なされるように2つの画像領域18、20間の距離が設定される例を示す。これに関連して、下側画像領域20のサイズは、同様に、橋30とトンネル12との間を区別するために予め決定される長さLに依存される。これに関連して、第2の画像領域20の幅は、車両10のための単一の走行車線の幅に対応するように、したがってトンネル12の最小開口に対応するように選択される。また、下側画像領域20は、カメラ16の光軸に中心付けられる。
【0062】
図15における画像領域20の高さは、カメラ16の前方30mの距離に位置される2mの物体の高さに対応する。路面42よりも上側の高さに関して、画像領域20は、路面42よりも上側4mの高さDにあるポイントを基準にして中心付けられ、その場合、4mのこの高さDは、カメラ16から30mの距離を隔てて観察される。
【0063】
図16は、上側画像領域18から更に離間されるとともにトンネル12の60mの長さをもって橋30をトンネル12から区別するために使用される対応して更に小さい下側画像領域20を示す。ここでも、下側画像領域20は、車両10のための単一の走行車線の幅に対応するがカメラ16から60mの距離を隔てた車線幅に対応する幅を有する。また、画像領域20の高さも、図15に示される2つの画像領域18、20の相対的な配置におけるそれよりも小さい。更に、路面42よりも上側の画像領域20の中心の高さDは、図16において60mに達するカメラ16からの距離に対して4mに等しい。
【0064】
図17は、トンネル検出のための方法を表わす。開始ステップS26の後、ステップS28において、車両10の傾きが決定される。したがって、ステップS30において、画像領域18、20は、所定の長さLを超える時点で、車両が真下を通過する構造体がトンネル12として解釈され、橋30として解釈されないように設定される。
【0065】
その後、カメラ16は、ステップS32において、画像領域18、20に係る画像を取得する。次のステップS34では、上側画像領域18において平均輝度が決定される。車両10が既にトンネル内にある場合には(ステップS36)、ステップS38において、画像領域18における平均輝度が所定の閾値を上回るかどうかがチェックされる。これが当てはまらない場合には、車両10が依然としてトンネル12内にあると結論付けられる(ステップ40)。画像領域18における平均輝度値が閾値を超える場合には、ステップS42において、トンネル12の出口が画像領域18内に位置されるようになり、したがって、トンネル12の終わりに間もなく達すると結論付けられる。トンネル12の出口に達すると、車両10のヘッドライトが再び消灯される。
【0066】
車両10が未だトンネル内にない場合には、ステップS44において、画像領域18における平均輝度が所定の閾値を下回るかどうかがチェックされる。これが当てはまる場合には、ステップS46において、第2の画像領域20における平均輝度が決定される。その後、ステップ48において、この下側画像領域20においても平均輝度が所定の閾値を下回るかどうかがチェックされる。これが当てはまる場合には、ステップS50において、画像領域18におけるエッジ検出が行なわれる。
【0067】
その後、ステップS52において、画像領域18がほぼ均一で且つ均質であるかまたはさもなければ多数のエッジ34を含むかどうかがチェックされる。このことは、幾つのピクセルがステップS50で検出されるエッジ34に割り当てられるのかがチェックされることを意味する。画像領域18の大部分がエッジ34を欠き、したがって、画像領域が比較的均一で且つ均質であることをステップS52が示す場合には、トンネル12が存在すると結論付けられる(ステップS40)。画像領域18が不均質であること、すなわち、非常に多くの急激な輝度変化が画像領域18内に含まれることをステップS52が示す場合には、トンネルが存在するという結論が出されることが防止される。
【0068】
しかしながら、画像領域18が不均質であって多数のエッジ34を有する場合には、次のステップS54で、車両10の走行速度が検出される。これにより、ステップS56において車両10のナビゲーションデータを更新することができ、その後、ステップS28へ戻される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17