【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、特許請求項1の特徴を有する車両、および、特許請求項12の特徴を有する方法によって解決される。本発明の都合の良い更なる進展を伴う有利な実施形態は、従属請求項に示される。
【0007】
本発明に係る車両は少なくとも一つのカメラを備え、該カメラを用いて、複数のピクセルを備える少なくとも一つの画像領域を撮影可能である。画像領域は、車両の前方に配置され、場合により必ずしもそうであるとは限らないが、車両の走行方向で見て車両前方斜め上に配置される。したがって、カメラの検出領域の主軸を水平方向に対して斜め上に僅かに傾けて配置できる。少なくとも一つの画像領域の平均輝度を決定するように設計されているトンネル検出デバイスはここでは特性検出デバイスを備え、この特性検出デバイスを用いて、少なくとも一つの画像領域内の互いに異なるピクセルの輝度の差を特定できる。特性は、輝度の急激な変化によって特徴付けられる。特性がエッジであってもよく、その場合、エッジ検出は、空間領域の急激な変化に対応する移行部を見つけることから成る。これは、導関数を使用してまたはマスクコンボリューションによって画像内の極致を見つけることによって達成され得る。あるいは、時間領域内の高い周波数を解析することによって、画像におけるコントラストに対応する特性が検出される。これは、輝度の急激な変化を強調するために画像にハイパスフィルタを適用することによって達成される。
【0008】
画像領域内の均一な輝度の区域間の移行部における輝度の急激な変化は、互いに異なるピクセルの輝度の差を閾値と比較することによって検出される。輝度の差が閾値を超えると、輝度の変化が輝度の急激な変化と見なされる。これは、均一な輝度の区域間の移行部を検出された特性またはエッジとしてマークすることにつながる。
【0009】
特性検出デバイスの利用は、画像領域の平均輝度だけを考慮する場合には画像領域がトンネルを表わすとして誤って解釈され得るという見識に基づく。例えば、道路沿いの木は、画像領域内のあまり明るくない一画が平均輝度値を十分に上昇させないように、車両前方斜め上に配置される画像領域の大部分を遮光する、すなわち、画像領域を比較的暗くする場合がある。同様のケースは、画像領域内に入ってくる家屋または他の障害物の正面が画像領域の大部分を遮光する場合に起こり得る。そのような比較的暗い画像領域内で、特性、すなわち、画像内の均一な輝度の区域の境界を互いに対して画定するラインが取得される場合には、画像領域の均一性の欠如をトンネル検出のために検出して考慮することができる。これは、特性またはエッジにおける輝度の非常に急激な変化に起因する。トンネル天井以外の原因により画像領域が遮光されると、比較的多数のそのような輝度の急激な変化が存在する。車両がトンネルの入口に近づくと、画像領域が位置されるようになるカメラの検出領域も変化する。斜め上側の画像領域がトンネル入口自体またはトンネル天井に位置されるようになると、輝度の急激な変化の数は、画像領域がより均質で且つ均一であるように減少する。
【0010】
前述したように、多数の輝度の急激な変化は、木の枝、建物、壁、または、他の障害物が、画像領域の大部分を暗くし、したがって通常は車両前方斜め上に配置される画像領域内に比較的低い平均輝度をもたらす場合に、画像領域に存在し得る。その結果、検出される特性に基づいて特定され得る多数の輝度変化の存在は、取得される画像領域をトンネルに属さないと見なすために使用されてもよい。トンネル検出のそのような向上により、ヘッドライトを点灯させるなど、運転状況に照らして適切ではない車両の機能ユニットの作動を防止することができる。
【0011】
カメラにより取得されるべき画像領域の設定は、制御ユニットによって行なわれ得る。そのような制御ユニットは、対応する画像領域のサイズを固定するように設計されていてもよく、特に2つの画像領域が互いに上下に配置される場合には、2つの画像領域間の距離を設定するように設計されていてもよい。
【0012】
したがって、車両においては、少なくとも一つのカメラを備えるカメラ装置が使用され、その場合、カメラが車両内に配置されると、該カメラを用いて、複数のピクセルを備える画像領域を取得可能であり、画像領域は、車両の走行方向で見て車両前方斜め上に配置される。また、車両内での使用を対象にしたカメラ装置は、少なくとも一つの画像領域の平均輝度を決定するように設計されているトンネル検出デバイスを備える。トンネル検出デバイスは特性検出のためのデバイスを備え、該デバイスを用いて、少なくとも一つの画像領域内の互いに異なるピクセルの輝度の差を取得可能であり、それに故に、特性が検出可能である。特性検出のためのデバイスまたはトンネル検出デバイスは、特にカメラ内に組み込まれ得るマイクロプロセッサなどのコンピュータデバイスによって与えられてもよい。しかしながら、マイクロプロセッサは、車両内で別個のユニットであってもよい。そのようなマイクロプロセッサは、カメラに結合されてもよく、また、特に例えばヘッドライトを点灯させるための車両の機能ユニットを作動させるのに役立ってもよい。
【0013】
好ましくは、トンネル検出デバイスは、少なくとも一つの画像領域内で検出される特性に割り当てられるピクセルの、少なくとも一つの画像領域内のピクセルの総数に対する比率を決定するように設計されている。そのような比率は、トンネル検出の過程でコンピュータデバイスを用いて特に簡単に処理される。
【0014】
これに関連して、比率のための閾値をトンネル検出デバイスに預けることが有益であることが分かってきており、閾値はトンネルの存在に関する結論を可能にする。比率と閾値との比較は、特に容易に且つ迅速に行なわれる。少なくとも一つの画像領域内に比較的大きな輝度の均一性がある場合にのみ正しいトンネル検出が与えられることが分かってきた。したがって、閾値は5%未満であってもよい。トンネル検出における特に信頼できる結果は、閾値を約2%に設定するときに得られる。言い換えると、95%を超える画像領域(または特に98%を超える画像領域)が特性を有さず、その場合、特性は、非常に異なる輝度の隣接するピクセルに起因して検出される。
【0015】
本発明の更なる有利な実施形態では、少なくとも一つのカメラを用いて、車両の前方の第1の画像領域の下に配置された第2の画像領域を取得可能である。トンネル検出デバイスを用いて、第2の画像領域の平均輝度を決定できる。これは、2つの別個の画像領域における平均輝度の決定がトンネル検出の信頼性を高めるという見識に基づく。すなわち、両方の画像領域で低い平均輝度が決定されれば、トンネルの存在が正しく想定される可能性が高まる。
【0016】
また、第1の画像領域の下に配置された第2の画像領域は、車両が走行する道路を横切る橋をトンネルから区別できるようにする。すなわち、橋の場合には、下の第2の画像領域が橋の背後の光を捕捉でき、一方、橋自体は依然として第1の画像領域を暗くする。このようにすると、車両がトンネルの終わりに近づくことも捕捉できる。これは、車両がトンネルの終わりに近づくにつれて下側の第2の画像領域が車両の周囲のトンネルの向こう側からの光により照らされる区域内に次第に入るからである。第1の上側の画像領域および第2の画像領域の取得は、特に、短いトンネルまたは地下横断歩道または道路を横切る橋を、どんな場合でも車両のヘッドライトの点灯を必要ならしめる長いトンネルから区別できるようにする。
【0017】
2つの画像領域を取得するときには、第1の画像領域が第2の画像領域よりも大きい場合に有利であることが分かってきた。正しいトンネル検出のため、場合により車両の走行方向に対して斜めに配置される画角に対応する第1の画像領域が比較的大きければ有利である。大きな上側領域を取得することによって、車両のフロントスクリーンを遮光する単一の物体によりトンネル検出デバイスがトンネルの存在を結論付けることが回避される。特に、第1の画像領域は、車両のフロントスクリーン全体にわたって延びることができる。
【0018】
しかしながら、トンネルの存在の検証または確認に特に役立ち得る第2の画像領域は、第1の画像領域よりもかなり小さくなるように選択されてもよい。具体的には、第2の画像領域の表面は、第1の画像領域の表面の10%未満、好ましくは5%未満、更には2%未満に達してもよい。そのような比較的小さい第2の画像領域の場合には、平均輝度を特に素早く決定できる。
【0019】
第1の画像領域と第1の画像領域の下に配置された第2の画像領域との間の距離を予め決定できれば更に好ましい。すなわち、2つの画像領域間の距離を設定することにより、カメラにより取得される物体がトンネルまたは橋として解釈されるべきかどうかを決定できる。2つの画像領域間の設定距離が小さい場合には、既に、車両が走行する道路上を覆う比較的短い覆いがトンネルとして分類される。しかしながら、2つの画像領域間の設定距離が大きい場合には、車両の走行方向で見て比較的長い道路上を覆う覆いだけがトンネルとして解釈されて橋として解釈されない。2つの画像領域間の距離を予め決定できることにより、カメラによって取得される物体内においてトンネルから橋をフィルタリングにより除去する際の柔軟性が高まる。
【0020】
これに関連して、第2の画像領域の高さおよび/または幅が設定距離に応じて変化できれば有利であることが分かってきた。すなわち、2つの画像領域の大きい距離が与えられつつ第2の画像領域がトンネル出口を取得するようになっている場合には、カメラからこの距離を隔てた道路の車線の幅を第2の画像領域の幅として予め決定することが合理的である。これは、道路の車線の幅がトンネルの最小開口幅を与えるからである。2つの画像領域間に更に大きい距離が与えられる場合には、それに応じて第2の画像領域の高さが更に小さくなるように選択されてもよい。車両がトンネル出口に近づくと、トンネル出口が第2の画像領域内に位置されるようになる。2つの画像領域間の距離が大きい場合、カメラから遠く離れた距離でカメラにより取得可能なトンネル出口は、2つの画像領域間の設定距離が小さい場合よりも幅が狭い。したがって、第2の画像領域の高さおよび幅を適合させることにより、カメラから特定の距離を隔てたトンネル出口の見掛けのサイズを考慮に入れることができ、それにより、信頼できるトンネル検出および橋の信頼できるフィルタリングが可能である。
【0021】
本発明の更に有利な実施形態において、トンネル検出デバイスは、第1の画像領域内で検出される特性に基づいてトンネルの存在に関する結論を出すように設計されている。これは、1つの画像領域だけで検出される特性に割り当てられるピクセルを考慮に入れてこの画像領域内の輝度の分布の均一性または均一性の欠如を決定すれば十分だからである。これは、特に素早い信頼できるトンネル検出を可能にする。第1の上側の画像領域における特性検出は、車両がトンネル入口に近づくにつれてトンネル入口がこの画像領域内に位置されるようになるため、トンネル検出に特に役立つ。
【0022】
本発明の更なる有利な実施形態において、路面よりも上側の少なくとも一つの画像領域の高さは、車両の傾きに応じて設定できる。車両の長手方向軸が水平に対して傾けられる場合、これは、カメラにより取得可能な少なくとも一つの画像領域とも関係がある。車両の後部が車両の前部よりも高い車両の傾きの場合、それに応じて、車両の走行方向で見て車両の前方上側に配置される画像領域は、車両が均等に調整される場合よりも車両の更に前方へ位置されるようになる。結果として、トンネル検出に適した画像領域が撮影されないといったことが起こり得る。
【0023】
互いに上下に配置される2つの画像領域をカメラにより撮影する際、特に下側の第2の画像領域は、水平に対する車両の傾きによって影響される。この場合、前方へ向かう車両の傾きにより、実際にはトンネルとして正しく分類されるべき構造体が橋として誤って分類される場合がある。逆に、車両の前部の位置が車両の後部の位置よりも高いことにかかわる車両の傾きの場合、下側の第2の画像領域は、(当初において意図されるように)トンネルの出口を取得し得ないが、トンネル出口の手前に位置されるトンネル天井の一部を取得し得る。このことは、路面よりも上側の少なくとも一つの画像領域の高さを車両の傾きに応じて調整することによってトンネルを橋から特に正確に区別できることを意味する。また、このことは、車両が路面に対して傾きを有する場合であってもトンネル検出に関連する画像領域が実際に撮られることを確実なものとする。
【0024】
少なくとも一つのぼかしデバイスを設けると更に有利である。ぼかし、特に取得される画像のぼかしは、ノイズを減少させ、したがって、その後のエッジ検出の結果を改善するぼかしのために、メディアンフィルタ、ガウスぼかしフィルタ、または、バイラテラルフィルタが使用されてもよい。これは、これらの挙げられたぼかし技術がノイズを特に効果的に抑制し、したがって、画像内にことによると存在する特性またはエッジを保つからである。
【0025】
最後に、カメラが人間の眼に見える範囲の電磁放射線を捕捉し且つ赤外線を捕捉するように設計されていれば有益である。これは、カメラにより撮影された画像領域の輝度のために役立つ外部光源の種ようにする。例えば、このようにすると、外部光源が太陽光であるかまたは街路照明の光であるかどうかを決定することができる。とりわけ端的には、カメラが赤外線も捕捉できるため、車両用のカメラに一般に設けられる光学的な赤外線フィルタがなくても行うことができる。
【0026】
車両のカメラ装置を動作させるための本発明に係る方法では、少なくとも一つのカメラを用いて、複数のピクセルを備える少なくとも一つの画像領域が取得され、車両の周囲の画像領域は、車両の走行方向で見て車両前方斜め上に配置される画角に対応する。少なくとも一つの画像領域の平均輝度が決定される。特性検出のためのデバイスを用いて、少なくとも一つの画像領域内の互いに異なるピクセルの輝度の差が取得され、したがって、場合により存在する特性が検出される。画像領域内の特性は、物体によって画像領域が比較的多数の輝度の急激な変化を有するかどうかに関する情報を与え、この場合、輝度の急激な変化は、トンネルを表わさず、トンネルとは異なる車両の周囲の領域を表わす。
【0027】
有利な実施形態では、少なくとも一つの画像領域内のピクセルの総数に対する検出された特性に割り当てられたピクセルの比率が決定され、該比率に応じて、トンネルの存在に関する結論が出される。そのようなコンピュータ演算は、アルゴリズムをトンネル検出にかなりの程度まで組み入れることができるようにする。
【0028】
好ましくは、少なくとも一つのカメラを用いて、第1の画像領域の下に配置されるとともに車両の走行方向で見て車両前方上側に少なくとも部分的に配置される第2の画像領域が取得され、第2の画像領域の平均輝度が決定される。そのような第2の画像領域の決定は、トンネル検出の検証を可能にする。すなわち、第2の画像領域でも比較的低い平均輝度が与えられれば、両方の画像領域がトンネル天井を取得する可能性が特に強くなる。また、下側の第2の画像領域を取得することにより、トンネルを橋から区別することができるとともに、トンネル出口を特に早期に取得することができ、したがって、車両の機能ユニットの作動、特にヘッドライトの消灯を行なうことができる。
【0029】
最後に、第1の画像領域で検出される特性に基づいてトンネルが存在することが結論付けられれば有利であることが分かってきた。トンネル検出に最も関連する特性検出を第1の画像領域でのみ行なうことにより、トンネル検出のための向上された方法を特に迅速に且つ比較的単純で低コストなコンピュータデバイスを用いて行なうことができる。
【0030】
本発明に係る車両に関して与えられる好ましい実施形態およびその利点は、対応して本発明に係る方法に適用され、逆もまた同様である。
【0031】
先の説明で言及された特性および特性の組み合わせ、および、図面の説明で後述されるおよび/または図面のみに示される特性および特性の組み合わせの全ては、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ特定される組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいて、または単独でも使用できる。
【0032】
本発明の更なる利点、特性、および、詳細は、特許請求の範囲、好ましい実施形態の以下の説明、および、図面から明らかである。