(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
シリアル通信システムは、デバイス間の情報の転送のために広く使用されている。典型的には、シリアル通信は、パラレルデータソースをシリアルストリームに変換するためのシリアライザブロックの使用と、ストリームをその元の状態に戻すためのデシリアライザブロックの関連づけられた使用と、を含む。一般的に、そのような通信システムは、「SerDes」インターフェースとして知られている。PCIエクスプレス(PCIe)は、PCI−SIG(Special Interest Group(分科会))によって推進される、そのようなシリアル相互接続技術の一例である。PCIエクスプレス技術は、低コストで、極めてスケーラブルであり、交換式で、ポイントツーポイントの、シリアルI/O相互接続である。PCIエクスプレスは、少なくともトランザクションレイヤ、データリンクレイヤ、および物理レイヤを含む、レイヤ化されたアーキテクチャである。トランザクションレイヤは、読み出し/書き込み要求をソフトウェアからI/Oデバイスへとトランスポートする役割を果たす。データリンクレイヤは主に、PCIエクスプレスリンクにわたる、パケットの信頼性の高い受け渡しを保証する役割を果たす。物理レイヤ(PHY)は、下位レベルのPCIエクスプレスプロトコルおよびシグナリングを扱う。PHYレイヤは、送信および受信ペアとして実現されるデュアルシンプレクスチャネルによって構成される。送信および受信ペアの組み合わせは一般に、レーンと呼ばれる。現在の規格、PCIエクスプレス3.0は、128b/130bの符号化スキームおよび8GT/sのビットレートを使用して、1レーンあたり1GB/sの帯域幅容量を提供する。
【0004】
現代の通信機器の設計において進行中の趨勢は、デバイスの電力効率を高める取り組みである。特に、モバイルデバイスまたは他の電池式デバイスに関し、より高い電力効率は、ほぼ例外なく所望される特質である。その目的のために、さまざまなタイプの電力節約メカニズムがしばしば用いられる。
【0005】
基本的なレベルでは、いずれの通信システムも、受信機部分と送信機部分とを含むものとして考えられ得る。受信機部分に関し、1つの電力節約ストラテジは、実際的な頻度で実際的な長さの時間期間にわたり、フルパワーのアクティブ状態とは対照的な、1つ以上の低電力モード、すなわち電力節約状態で、受信機を動作させることである。全体のスループットまたはレイテンシーにいくらかの悪化が生じ得るが、これは多くの場合、得られる電力効率に対しバランスが取られ得る。
【0006】
さらに受信機部分と送信機部分との間のシリアルリンクとして具現化される通信システムに関し、これらの電力節約技法は、シリアルリンクのための電力節約状態を調整するための送信機部分からの適切なアイドル信号を受信するように構成された、受信機検出モジュール、たとえば、電気的アイドル検出論理を実現するモジュールの使用を含み得る。受信機検出モジュールは典型的に、アイドル信号の第1の状態に基づいて受信機をアクティブ状態にし、アイドル信号の第2の状態に基づいて受信機を電力節約状態にする。
【0007】
モバイル高速データ通信のために、高速かつ低電力のインターフェースを有することが所望される。PCIエクスプレスは好ましい高速インターフェースとして認識されているが、PCIエクスプレスは、バッテリ寿命がクリティカルであるモバイルデバイスのための低電力ソリューションとしては認識されていない。したがって、PCIエクスプレスインターフェースおよび他のシリアル通信システムの電力消費を大幅に低減する方法および装置に対する、当該技術におけるニーズがある。
【発明の概要】
【0008】
上述のニーズと、以下に述べられ、明らかになるニーズにしたがい、本開示は、受信機部分が低電力モードである場合に受信機検出モジュールを電力節約状態にすることによって達成され得る、電力効率におけるさらなる改善の実現に関する。好ましくは、これは、低電力モードからアクティブ動作への受信機部分の遷移に、受け入れがたい長さのレイテンシーを追加せずに、実現されることができる。
【0009】
したがって、本明細書は、送信機と、受信機検出モジュールと電力モジュールとを有する受信機と、送信機と受信機との間のシリアルリンクと、を含む通信システムを開示し、受信機検出モジュールは、シリアルリンクの動作状況を決定するようにシリアルリンクの電力節約状態中に動作可能であるように構成され、電力モジュールは、シリアルリンクの電力節約状態中に低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させるように構成される。一実施形態では、受信機検出モジュールの低電力モードは、デューティサイクルモードである。
【0010】
本開示の一態様は、送信機と受信機との間のサイドバンドリンクを有するシステムに関し、電力モジュールは、サイドバンドリンクによって搬送された制御信号に基づいて、低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させるように構成される。
【0011】
別の態様では、通信システムは、シリアルリンクで搬送された制御信号を検知するように構成され、電力モジュールに動作可能に結合された、信号検出モジュールを有し、電力モジュールは、制御信号に基づいて、低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させるように構成される。好ましくは、信号検出モジュールは、シリアルリンクで搬送されたコモンモード信号またはディファレンシャルモード信号を検出するように構成されることができる。
【0012】
さらに、シリアルリンクは、PCIeリンクであることができる。そのような実施形態では、受信機検出モジュールは、電気的アイドル検出論理を含むことができる。好ましくは、電力モジュールは、低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させるために、電気的アイドル検出論理をディスエーブルにするように構成されることができる。
【0013】
本開示はまた、送信機を有するホストと、受信機を有するクライアントと、を含むシリアル通信システムに関し、送信機と受信機とは、少なくとも1つのアクティブ状態と少なくとも1つの電力節約状態とを指定するプロトコルを使用したディファレンシャルデータ信号の転送によって通信するように構成され、クライアントにおける受信機検出モジュールは、電力節約状態中に動作可能であるように構成され、クライアントにおける電力モジュールは、ホストからの制御信号に基づいて、低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させるように構成される。
【0014】
一態様では、受信機検出モジュールは、電気的アイドル検出論理であることができ、受信機検出モジュールの低電力モードは、電気的アイドル検出論理をディスエーブルにすることができる。そのような実施形態では、シリアル通信システムは、PCIeシステムであることができ、シリアル通信システムのアクティブ状態は、L0リンク状態であることができ、シリアル通信システムの電力節約状態は、L1リンク状態であることができる。
【0015】
別の態様では、システムは、サイドバンドを含むことができ、電力検出モジュールは、サイドバンドで制御信号を受信することができる。
【0016】
あるいは、ホストは、インバンドで制御信号を送信するように構成されることができ、クライアントは、制御信号を検知するように構成された信号検出モジュールを含むことができる。好ましくは、信号検出モジュールは、インバンドのコモンモード信号またはインバンドのディファレンシャルモード信号を検知するように構成されることができる。
【0017】
別の態様では、電力モジュールは、デューティサイクルモードで受信機検出モジュールを動作させることにより、低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させる。
【0018】
本開示はまた、シリアルデータリンクにわたって通信する送信機と受信機とを有するシリアル通信システムにおけるスタンバイ電力低減のための方法であって、電力節約状態でシリアルデータリンクを動作させるステップと、シリアルデータリンクが電力節約状態である間に、低電力モードで受信機の受信機検出モジュールを選択的に動作させるステップとを含む方法に関する。
【0019】
一態様では、シリアルデータリンクは、PCIeリンクであることができ、シリアルデータリンクの電力節約状態は、L1状態であり、低電力モードは、受信機検出モジュールにおける電気的アイドル検出論理をディスエーブルにすることを備える。
【0020】
この方法はまた、送信機によって送信された制御信号に基づいて受信機検出モジュールを選択的に動作させることを含み得る。送信機および受信機は、サイドバンドリンクによって結合されることができ、制御信号は、サイドバンド信号における遷移であることができる。あるいは、この方法は、送信機によりインバンドで制御信号を送信することと、受信機により制御信号を検出することとを含み得る。そのような実施形態において、制御信号は、コモンモード信号であることができ、またはディファレンシャルモード信号であることができる。
【0021】
本発明の多くの態様はPCIエクスプレスプロトコルのコンテキストにおいて説明されるが、本発明は、所望される任意のシリアル通信システムに適用されることができる。
【0022】
さらなる特徴および利点が、添付の図面に示された本発明の好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
はじめに、本開示は、特に例示されたマテリアル、アーキテクチャ、ルーチン、方法、またはストラクチャに限定されるものではなく、よって当然のことながら変更され得る、ということが理解されるべきである。したがって、本明細書に説明されるオプションと同様のまたは均等な多数のオプションが本開示の実現または実施形態において使用され得るが、好ましいマテリアルおよび方法が本明細書に説明される。
【0025】
本明細書において使用される専門用語は、本開示の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図するものではない、ということもまた理解されるべきである。
【0026】
以下の説明のいくつかの部分は、シリアル通信ネットワーク内でのデータビットの演算および転送の手順、論理ブロック、処理、および他の記号表現によって、提示される。これらの説明および表現は、データ処理技術の当業者が他の当業者にそれらの作業の例を最も有効に伝えるために使用する手段である。本願において、手順、論理ブロック、処理、等は、所望の結果を導く、セルフコンシステントなステップシーケンスまたは命令であるものと考えられる。ステップは、物理量の物理的な操作を要求するステップである。必ずではないが、普通、これらの量は、コンピュータシステムにおいて、記憶され、転送され、組み合わせられ、比較され、そうでなければ操作されることができる、電気または磁気信号の形態を取る。
【0027】
しかしながら、これらのおよび同様の用語のすべては、しかるべき物理量に関連づけられるべきであり、これらの量に適用される単なる便宜的な表記にすぎない、ということに留意すべきである。以下の説明から明らかであるように、そうでないとの別段の記載がない限り、本願全体を通して、「アクセスすること」、「受信すること」、「送信すること」、「使用すること」、「選択すること」、「決定すること」、「利用可能性要求」、および「ネットワーク状態」、等といった用語を用いた説明は、シリアル通信ネットワークの動作および処理に言及している、ということが理解される。
【0028】
図面において、単一のブロックは、1つの機能または複数の機能を実行するものとして説明されることができる。しかしながら、実際の実現では、そのブロックによって実行される1つの機能または複数の機能は、単一のコンポーネントにおいて、または複数のコンポーネントにわたって、実行されることができ、および/または、ハードウェアを使用して、ソフトウェアを使用して、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して、実行されることができる。また、例示的な無線ネットワークデバイスは、プロセッサ、メモリ、等といった周知のコンポーネントを含む、図示されたコンポーネント以外のコンポーネントを含むことができる。
【0029】
そうでないと定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的な用語はすべて、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0030】
さらに、本明細書において引用される規格はすべて、前述されたものも後述されるものも、それらの全内容が引用により本明細書に組み込まれる。
【0031】
最後に、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、その内容が明確にそうでないと指定しない限り、複数の指示物を含む。
【0032】
動作中、シリアル通信システムの多くの実現は、さまざまな電力節約状態に入るように構成された送信機または受信機デバイスの使用を含み得る。たとえば、そのようなデバイスは、ノーマルな動作が行われるアクティブ状態と、低減された電力消費と引き換えに一部の機能が妥協される少なくとも1つの電力節約状態と、を特徴とするように構成され得る。一態様において、デバイスの受信機は、通信リンクの状況、たとえば、適切な信号の受信によって、電力節約状態に入るように構成され得る。理解されるように、電力節約状態で動作するデバイスはまた、好ましくは、それに適切な時間にアクティブ状態に戻ることを可能にさせるメカニズムを含む。したがって、デバイスは、通信の再開が起こり得ることを示すリンクの動作状況を決定するように構成された受信機検出モジュールを含み得る。本開示の技法を用いることにより、さらなる電力の節約が、受信機検出モジュールにより消費される電力を選択的に低減することによって、実現されることができる。いくつかの実施形態では、信号検出モジュールが、受信機検出モジュールの動作を制御するための通信リンクの他端におけるデバイスの送信機からの信号を、受信するように構成される。
【0033】
適切なシリアル通信システムの例として、PCIエクスプレスアーキテクチャが、
図1に示すデバイス10に関する論理レイヤによって表され得る。ホストプロセッサ12は、PCIeモジュール14と適切な相互接続によって通信することができ、PCIeモジュール14は、PCIeコア16、トランザクションレイヤ18、データリンクレイヤ20、および物理レイヤ22を含み得る。PCIプラグアンドプレイモジュールおよびソフトウェアドライバモジュールを含むソフトウェアレイヤが、好ましくは、PCIeコア16において実現される。すべての既存のアプリケーションおよびドライバが変更なく動作することを保証するために、PCIアドレッシングモジュールとの互換性が維持され得る。同様に、PCIエクスプレス構成は、PCIプラグアンドプレイの仕様において定義された標準メカニズムを使用し得る。一般的に、ソフトウェアレイヤは、パケットに基づいた分割トランザクションプロトコルを使用してトランザクションレイヤ18によりI/Oデバイスへとトランスポートされる、読み出しおよび書き込み要求を生成する。データリンクレイヤ20は、これらのパケットにシーケンス番号およびCRCを追加して、極めて信頼性の高いデータ転送メカニズムを作り出す。基本物理レイヤ22は、送信ペアおよび受信ペアを有するデュアルシンプレックスチャネルとして実現され得る。各送信および受信ペアは、「レーン」と呼ばれる。たとえば、PCIエクスプレス3.0は、現在の規格であり、引用によって本明細書に組み込まれ、128b/130bの符号化スキームおよび8GT/sのビットレートを使用して、1レーンあたり1GB/sの帯域幅容量を提供する。理解されるように、デバイス10は、ホストデバイスまたはクライアントデバイスであることができる。
【0034】
図2に示すように、デバイス10の物理レイヤ22によりデバイス54の物理レイヤ52との通信において形成される基本的なPCIエクスプレスリンク50は、信号の2つの低電圧のAC結合されたディファレンシャルペア、送信ペア56および受信ペア58を備える少なくとも1つのレーンを含む。示された実施形態では、デバイス10がホストであり、デバイス54がクライアントであるが、反対の役割が用いられることができ、またはそうでなければ、デバイスは、PCIe通信システムにおけるそれらの役割に依存して、所望されるように構成されることができる。非常に高いデータレートを達成するために128b/130b符号化スキームを使用するデータクロックが埋め込まれることができる。したがって、物理レイヤは、2つのPCIエクスプレスデバイスのリンクレイヤ間でパケットをトランスポートする。
【0035】
PCIエクスプレスリンクの帯域幅は、信号のペアを追加して複数のレーンを形成することにより、スケーリングされることができる。物理レイヤは、×1、×2、×4、×8、×12、×16、および×32のレーン幅を提供することができ、それは概念上、入ってくるデータパケットをこれらのレーンの間で分割する。各バイトは、(単数または複数の)レーンにわたって送信される。このデータのディスアセンブリおよびリアセンブリは、他のレイヤにトランスペアレントであることができる。初期化中、各PCIエクスプレスリンクは、リンクの各端における2つのエージェントによる、レーン幅および動作周波数の交渉にしたがって、セットアップされることができる。一実施形態では、ファームウェアもOSソフトウェアも含まれない。PCIエクスプレスアーキテクチャは、スピードのアップグレードおよび/または進化した符号化技法により、将来的なパフォーマンスの向上を提供することができる。
【0036】
さまざまなリンク状態が、デバイスの電力管理に関し、PCIエクスプレスの仕様において指定されている。リンク状態は、完全に機能している状態に戻る際の増加するレイテンシーの代償としてもたらされる、低減した電力消費量を表す。L0状態は、全電力がオンであり、すべてのクロックが実行中の、完全に動作している電力状態である。電力節約の第1のレベルは、L0s状態によって表される。L0s状態の主な特徴は、非常に短い出口レイテンシー(exit latency)であり、これによりL0s状態の使用は、リンクアクティビティ間の短い論理的アイドル間隔中に電力消費を低減することが可能となる。L0s状態からL0状態への指定されたウェイクアップは、10ns未満である。この論理的アイドル状態では、トランシーバが、データを含まず受信機によって破棄され得るアイドルシンボルを送信し続けるので、受信機は、リンクに関連づけられたクロック信号およびシンボルの同期を維持することができる。
【0037】
電力低減の次のレベルは、L1状態によって表され、それは、L0状態へのウェイクアップに必要とされるレイテンシーのいくらかの増加の代償として、より大きな度合いの電力節約を提供する。一般的に、L1状態は、リンクが、未処理の要求または待ち状態のトランザクションを有していない場合に、電力を低減するためにイネーブルにされ得る。L1状態のための指定されたウェイクアップは、10μs未満である。L1状態において、デバイスは、電気的アイドル状態であるので、ディファレンシャル電圧はリンクに適用されず、シグナリングは行われない。したがって、L1状態において、デバイスは、リンククロックとの同期を失い、アクティブ状態に遷移する際に同期を再確立するためにクロックデータリカバリ(CDR)回路を用い得る。さらに、デバイスは、オプションでその内部クロック回路の電力をオフにし得る。
【0038】
最後に、L2/L3状態は、すべての電力およびクロックがシャットダウンされる最小電力消費状態である。リンクがL0状態からL2/L3状態へと移行すると、より多くの電力節約が達成され得るが、これらの状態から遷移してL0状態へと戻るための出口レイテンシーは、増加し得る。
【0039】
従来、L1リンク状態で動作するPCIeリンクは、動作可能かつ著しい電力を消費する電気的アイドル検出回路の形態の受信機検出モジュールの使用を含む。電気的アイドル検出回路は、リンクがL1状態であること、およびL0状態への遷移が要求される場合を決定するために使用される。したがって、L1リンク状態で消費される電力の多くは、電気的アイドル検出回路のために使用される回路に帰するものであり得る。本願は、電力節約状態で受信機検出モジュールを選択的に動作させることにより、低電力リンクモードで動作するPCIエクスプレスシステムの電力消費を大幅に低減するためのデバイスおよび方法を説明する。
【0040】
PCIエクスプレスアーキテクチャを利用し、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のようなデータトラヒックがバーストで送信される環境で動作するデバイスは、頻繁にスタンバイモードになる。バースト環境がデバイスを短い時間期間にわたって電力節約状態に入らせる一方で、L1状態からの短い出口レイテンシーはデバイスに、L1状態からL0状態に非常に速く遷移することを可能にさせるので、リンクをL1状態で動作させることは、WLAN環境において有利である。
【0041】
PCIエクスプレスの仕様によると、物理レイヤにおける電気的アイドル信号は、L1状態でイネーブルである。上述したように、受信機検出モジュールは従来、電気的アイドルからの出口の検出をデバイスに可能にさせるために、L1状態でアクティブなままでいて、接続を要求する別のデバイスからのTS1(ビットをアラインメントおよび同期させるトレーニングシーケンス)の順序セットといった要求信号を受信し、これにより受信デバイスに、L1状態から出てL0状態に入ることを可能にさせる。
【0042】
本開示の技術を用いることにより、L1状態といった低減された電力モードで動作するデバイスによる電力消費の大幅な低減が、受信機検出モジュールの電力をダウンさせることによって、たとえば、電気的アイドル検出論理をディスエーブルにすることによって、実現され得る。以下に説明するように、低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させるためのシステムおよび方法が提供される。好ましくは、この手法における受信機検出モジュールの制御は、低減された電力モードからのデバイスの出口レイテンシーを大幅に増加させない。
【0043】
説明されるように、受信機検出モジュールの選択的な動作は、電力モジュールを使用して実現されることができる。一態様では、電力モジュールは、デューティサイクルモードで受信機検出モジュールを動作させる。別の態様では、電力モジュールは、受信機からの制御信号に応答し得る。以下に説明するように、制御信号は、所望の実現に依存して、アウトオブバンドまたはインバンドで搬送され得る。インバンドの実現において、電力モジュールは、好ましくは、制御信号を検知するように構成された信号検出回路から入力を受け取る。以下において与えられる信号検出回路の例は、コモンモード検出器およびディファレンシャルモード検出器を含む。
【0044】
一実施形態において、シリアルリンクは、PCIeリンクであることができる。この実施形態の例は、送信機デバイス62および受信機デバイス64を含むシリアル通信システム60を示す
図3に模式的に示されている。理解されるように、デバイス62および64は、受信および送信能力の両方を有するように構成されることができる。しかしながら、本開示の態様により適切に焦点を合わせるために、情報の一方向の転送のみが示されている。PCIe相互接続は、デバイス64の物理レイヤ(PHY)68とデバイス62との間の通信を提供するための、1つ以上のレーン66を含む。さらに、サイドバンド70が、PHYレイヤ外で動作する制御および管理機能のための、1つ以上の信号を提供する。電力モジュール72は、制御信号に基づいて、電力節約状態とアクティブ状態との間で受信機検出モジュール74を切り替えるように構成される。好ましくは、制御信号は、サイドバンド70における遷移であり得る。受信機検出モジュール74は受信機デバイス64のPHYレイヤに含まれ、アイドル信号はインバンドで受け渡されるので、いくつかのケースでは、電力節約状態の受信機検出モジュール74を含む受信機デバイス64の低電力モードを容易にするために、サイドバンドを含むアウトオブバンドシグナリングメカニズムを用いることが好まれ得る。
【0045】
あるいは、インバンドシグナリング構成が、
図4のシリアル通信システム80に示すごとく、電力モジュールを制御するために使用されることができる。示されているように、送信機デバイス84と受信機デバイス86との間のシリアルリンク82が、デバイス86のPHY88とデバイス84との間のデータ通信を提供する。受信機デバイス86における信号検出器モジュール90は、シリアルリンクにおける制御信号の存在を決定するように構成される。制御信号が検出されると、電力モジュール92が、低電力モードとアクティブモードとの間で受信機検出モジュール94を遷移させるように動作する。好ましくは、ディファレンシャルモード信号またはコモンモード信号を含む制御信号が、任意の適切な技法を使用してシリアルリンクにおいてインバンドで送信される。特定の例示的な実施形態が以下に説明される。
【0046】
別の態様では、電力モジュールは、デューティサイクル動作モードで受信機検出モジュールを動作させるように構成されることができる。したがって、受信機検出モジュールは、反復する期間中の所与の持続時間にわたってアクティブ状態で、また、各期間における残りの長さの時間にわたって電力節約状態で、動作させられ得る。受信機検出デューティサイクルは好ましくは、受信機部分をそのアクティブ状態に戻すことに関し所望のレイテンシーを維持する持続時間と頻度で、動作するように構成され得る。デューティサイクルモードはまた、上述したように、インバンドで、またはサイドバンドによって、受け渡される制御信号に応答して、実現されることができる。
【0047】
上述したように、さらなる電力使用の低減が、サイドバンドで受け渡される制御信号に応答して低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させることにより、達成されることができる。たとえば、PCIeプロトコルは、漏洩電力消費を低減するために、物理レイヤにおいて実現される電気的アイドル検出論理を指定する。したがって、L1状態で動作するデバイスの電力消費は、物理レイヤにおける受信機検出モジュールの電気的アイドル検出論理をディスエーブルにすることによって、低減される。好ましくは、L1状態からのデバイスの出口レイテンシーは、受信機検出モジュールを制御するためにサイドバンド信号を使用しながら維持される。物理レイヤ外の出口のためのサイドバンド信号が、PCIエクスプレスの仕様において定義される。特に、電力状態遷移を通知するためのサイドバンド信号の使用は、PCIエクスプレスの仕様に対する設計変更要求(ECR)の一部であるが、未だPCIエクスプレスの仕様の一部ではない。この特定のサイドバンド(CLKREQ)は、PCIEの仕様のチャプター5(電力管理のチャプター)に示されている。
【0048】
図5は、PCIe電力節約L1状態で動作するデバイスの電力消費を低減するためのフローチャートを示す。この実施形態において、PCIe相互接続は現在L1状態で動作していると仮定され、したがって、PCIeの物理レイヤにおける電気的アイドルはイネーブルである。L1状態における電力消費をさらに低減するために、ホストデバイスは、100において、サイドバンド信号を利用してPCIeの物理レイヤの受信機検出モジュールにおける電気的アイドル検出論理をディスエーブルにし、これによりL1状態でありながらシステムの電力消費を低減する。次に、クライアントデバイスが送信要求を受け取ると、クライアントデバイスは、ステップ110において、リンクに、L1状態からL0状態へと遷移することを要求し得る。この遷移を行うために、クライアントデバイスは、ステップ120によって表されているように、受信機検出モジュールにおける電気的アイドル検出論理をイネーブルにし、サイドバンド信号における遷移を使用して、ホストデバイスに、その受信機検出モジュールをアクティブにして、その電気的アイドル検出論理をイネーブルにするよう、シグナリングする。ホストデバイスは、ステップ130において、サイドバンド信号における遷移を検出し、そのPCIePHYレイヤにおける電気的アイドル検出論理を再度イネーブルにするだろう。受信機検出モジュールがアクティブ状態で動作していると、リンクは、ステップ140において要求されるように、L1状態からL0状態へと遷移し得る。上述した方法はさらに逆の方向で用いられることができ、ホストデバイスがリンク遷移を開始し、クライアントデバイスがサイドバンド信号における遷移を検出してL1状態からL0状態へと遷移する。
【0049】
PCIeの仕様によると、L1状態からL0状態への遷移は、出口レイテンシー要求を満足することを要求される。ホストデバイスが重要な動作を実行していてビジーであり、L1状態のための出口レイテンシーが維持され得ることを保証できない場合、さらなる回路が、L1状態のために要求される出口レイテンシーを保証するために必要とされ得る。
【0050】
図6を参照すると、ホストデバイス200は、PCIe相互接続220を介してクライアントデバイス210に接続される。クライアントデバイス210は、低レイテンシーの受信機検出モジュール230に結合されることができ、それは、物理レイヤおよびサイドバンド260において実現され得る。ホストデバイス200は、低レイテンシーの受信機検出モジュール240に結合されることができ、それは、物理レイヤおよびサイドバンド260において実現され得る。特定の実施形態において、PCIeが電力節約L1状態に入る場合、クライアントデバイス210およびホストデバイス200のそれぞれの受信機検出モジュール230および240の電気的アイドル検出論理は、サイドバンド260を使用して送信される制御信号を利用することにより、システムの電力消費をさらに低減するためにディスエーブルにされることができる。
【0051】
クライアントデバイス210が、入ってくるWLANパケットといった送信要求を受け取った場合、クライアントデバイス210は、リンクに、L1状態を出てL0状態に入ることを要求する。L1状態に遷移するために、クライアントデバイス210は、受信機検出モジュール230をアクティブにすることによって、その電気的アイドル検出論理をイネーブルにし、サイドバンド260におけるサイドバンド信号での遷移を使用して、ホストデバイスに、受信機検出モジュール240におけるその電気的アイドル検出論理をイネーブルにするようシグナリングする。電気的アイドル検出論理がイネーブルにされた後、リンクは、L1状態からL0状態に遷移し、クライアントデバイス210は、接続を開始する。受信機検出モジュール230および240を利用して、電気的アイドル検出論理をディスエーブルおよびイネーブルにすることにより、PCIeシステムは、L1状態のための出口レイテンシー要求を維持することができる。
【0052】
図7は、受信機検出モジュールおよびサイドバンドシグナリングを制御するための、電力モジュール72の論理300の演算を示すブロック図である。
図3に関連して示されているように、電力モジュール論理300は、サイドバンド状態310と、PHY状態330と、L1状態を出てL0状態へと遷移するための要求320と、を含む入力信号を受信する。これらの入力信号に基づいて、論理300は、サイドバンド信号をディファレンシャルサイドバンド状態310へと遷移させるために、サイドバンドへの出力を供給することができ、受信機検出モジュール340をアクティブにするために、PHYへの出力を供給することができる。
【0053】
本発明の他の実施形態では、インバンド技法がリンク状態の変化をシグナリングするために使用され、それは、ICパッケージピンおよび追加のPCBルーティングを必要とするであろうサイドバンド信号の使用を必要としない。高速シリアルリンクでは、また、インバンドシグナリング技法を使用してリンク状態の変化を通信するために、ディファレンシャルデータ信号を使用することが有利であり得る。これは、デバイス間でルーティングされなくてはならない信号の数を最小化するのに役立つ。シリアル通信リンクがL1状態のような電力節約状態である場合、1つのデバイスが、アイドルまたはスリープ状態でありながらアクティブな電力を何ら消費せずに「ウェイクアップ」するよう他のデバイスにシグナリングすることが所望され得る。そのようなインバンドシグナリングメカニズムの例は、以下に説明されるように、コモンモードおよびディファレンシャルモード検出器の使用を含む。
【0054】
図8は、送信機502と受信機504との間のディファレンシャル送信ペア501を含むシリアル通信リンクにわたって受け渡される制御信号を検出するために使用され得る、1つの適切なインバンドのコモンモード状態レベル検出システム500の模式的な回路図である。示されているように、AC結合コンデンサ、C
ACが、送信機502と受信機504とを絶縁するために、ディファレンシャルペア501の両側に提供される。さらに、リンクに本来備わっている寄生容量が、C
P1およびC
P2としてモデル化されている。
【0055】
電流モードドライバ506は、信号検出モジュール508によって検知されるコモンモード制御信号を、ディファレンシャルペア501にわたって受け渡すように構成される。次に、電力モジュール510が、信号検出モジュール508に応答して、低電力モードで受信機検出モジュール512を選択的に動作させるために使用され得る。好ましくは、検出回路は、それが送信機502または受信機504のいずれにおいてもスタティックまたはダイナミックな電力損失を何ら要求しないように、構成される。したがって、送信機502における電流モードドライバ506、および受信機504におけるアナログ受信機および受信機検出モジュール508は、低電力モードにおいて完全に電力がオフにされる。
【0056】
低電力モードである間、送信機502の出力コモンモード電圧は、スイッチS2を開け、スイッチS1を閉じることによって、接地される。また、受信機504におけるスイッチS3が、信号検出モジュール508をリセットするために開けられる。この構成において、受信機504は、大きな入力コモンモード抵抗を示す。したがって、電力節約状態では、送信機502の電圧V
TX、および受信機504の電圧V
RXは、接地するように、たとえば、0ボルトに、整定されるだろう。ウェイクアップ制御信号は、送信機502においてスイッチS1を開け、スイッチS2を閉じることによって、開始されることができる。結果として、V
TXが急激に上昇する。電圧の上昇における遅延の最小化のために、寄生容量C
P1およびC
P2を最小化することが好まれる。R
Z>>R
LおよびR
Sであるように抵抗値を設定することにより、V
RXおよびV
CMRXは、V
TXの上昇に密接に従うように構成され得る。一実施形態では、R
LおよびR
Sは、50オームに設定され得る。したがって、信号検出モジュール508は、示されたV
CMRXの上昇を検知するように構成され得る。この実施形態では、信号検出モジュール508は、Dフリップ−フロップ514に結合され、V
CMRXの変化を検出するために使用される、シュミットトリガ516によって構成された、立ち上がりエッジ検出回路を含む。V
CMRXがシュミットトリガ516のしきい値を超える場合、ウェイクアップ信号がDフリップ−フロップ514の出力から電力モジュール510へと送られ、スイッチS3を閉じることができるので、受信機は、R
L抵抗器のインピーダンス、たとえば、50オームを示す。
【0057】
コモンモード検出システム500の動作が、
図9に示され、それは、時間の関数としてグラフにされた、ウェイクアップシーケンス中の送信機502および受信機504におけるコモンモード信号レベルV
TXおよびV
RXの変化を示す。説明したとおり、送信機502は、スイッチS1を開け、スイッチS2を閉じることによって、受信機504にウェイクアップ信号を送信する。これは、
図9において、時間軸に沿った点602に示される。これは、
図9に示すように、V
TXの急激な上昇をもたらす。V
RXおよびV
CMRXは、V
CMRXが、
図9においてV
Tとして示されたシュミットトリガ516のしきい値を超えるまで、V
TXに従う。これは、時間604において、信号検出モジュール508に、電力モジュール510にウェイクアップ信号を出力させ、スイッチS3を閉じる。好ましくは、十分な時間が、ノーマルな動作の開始前に、AC結合コンデンサC
ACの充電のために許容されることができ、これにより、十分なコモンモード整定後に、
図9において点606で示した有効なデータの送信を可能にする。立ち上がりエッジ検出器508は好ましくは、スリープ状態中に、漏洩電流以外の電力を何ら消費しないCMOS回路である。シュミットトリガ516のためのV
Tしきい値は、有意の誤り検出なしに確実にコモンモードの変化を検出するように適切に設定される。
【0058】
本発明の別の実施形態、ディファレンシャルモード検出器を用いた代替のインバンド信号検出モジュールが、
図10〜12に示される。以下に説明されるように、ディファレンシャルモード検出器は、低電力モードで選択的に動作させられる受信機検出モジュールへの電力モジュールによる使用のための制御信号としての、ディファレンシャルRx入力の存在を検出するように構成され得る。たとえば、PCIe実現において、受信機は、L1状態といった電気的アイドル状態からの送信機の出口をシグナリングするディファレンシャルRx入力の存在を検出することができる。PCIeの実施形態において、検出器は、32.5mVと87.5mVとの間のディファレンシャル入力しきい値を有し得る。したがって、ディファレンシャルモード検出器は好ましくは、無視できるほどのスタティックなDC電力を消費し得る、低電力のダイナミック回路によって、小さなRx入力レベルを検出するための方法および回路を提供することができる。
【0059】
図10は、たとえば、
図12に示すディファレンシャルモード検出器706を形成するために使用され得る、ダイナミックコンパレータ回路700を示す。コンパレータ700は、示された一連のスイッチをドライブするために使用される、重複しない2つのクロック信号、Φ1およびΦ2を用いる。サンプリングフェーズ中、Φ1スイッチは閉じられ、Φ2スイッチは開けられる。この状態において、入力電圧V
inは、C1コンデンサによってサンプリングされ、基準電圧の1つの極性は、C2コンデンサによってサンプリングされる。クロック信号は重複しないので、Φ1スイッチが次に開けられ、Φ2スイッチが閉じられ、C2コンデンサを反対の極性の基準電圧に接続する。結果として生じる電圧は、再生ラッチ702の入力において受け取られ、[C1
*(V
in+−V
in−)−C2
*(V
ref+−V
ref−)]/(C1+C2)の値を有する。好ましくは、再生ラッチ702は、Φ2スイッチが閉じた後の短い遅延、Φ2遅延でトリガされるように構成され、サンプリングされた入力がしきい値よりも大きいかどうかを示す出力704を供給する。好ましくは、遅延は、コンパレータ700をトリガする前に整定することをスイッチコンデンサネットワークに可能にさせるように構成される。一実施形態において、再生ラッチ702は、
図11に示すCMOS回路を使用して実現されることができる。コンパレータ700のしきい値電圧は、V
th=(C2/C1)
*(V
ref+−V
ref−)として決定されることができる。V
ref+およびV
ref−は、それぞれV
DDおよびGNDであることができ、V
cmは、GNDであることができる。
【0060】
図12は、2つのダイナミックコンパレータ700および700’の組み合わせを示す。示された実施形態において、コンパレータ700は、R
X+信号に結合され、V
in+−V
in−>V
thである場合に出力をトリガするように構成され得る。同様に、コンパレータ700’は、R
X−信号に結合され、V
in+−V
in−<−V
thである場合に出力を生成する。コンパレータ700および700’の出力は、入力電圧の絶対値がVthを超える場合にはいつでも、出力710において制御信号を提供するために、ORゲート708に供給される。出力710は次に、低電力モードで受信機検出モジュールを選択的に動作させるために、上述したように電力モジュールに供給されることができる。理解されるように、
図10〜12において説明されたディファレンシャル低電力制御信号検出器の適切な構成は、多数の態様を含む。第1に、入力スイッチ−コンデンサネットワークは好ましくは、シリアル通信リンクによって生成されたRx信号をサンプリングするのに十分な大きさの帯域幅を有する。第2に、検出器は、Rx入力信号に同期せずに動作し、しばしば、信号のピークではなくRx信号遷移をサンプリングし得るので、有効な信号を検出することができない。しかしながら、検出器は、複数のクロックサイクルの後に、Rx入力の存在を検出することができる。第3に、このタイプの検出器は、スイッチングコンデンサに起因する雑音をRx入力に注入し得るので、アイドルモード中のみ検出器を連結することが所望され得る。第4に、検出器が重複しない2つのクロック信号を使用する間、クロック周波数は、さほど精確である必要はなく、低電力R−C発振器、または他の適切な手段を使用して生成されることができる。
【0061】
特定の実施形態の上記説明は、例示および説明の目的で提示されている。それらは、排他的であること、または開示されているそのものの形態に本発明を限定することを意図したものではなく、上記教示を考慮すれば明らかに、多くの変更および変形が可能である。実施形態は、原理と実際的な応用例を最良に説明するために選択および説明され、これにより、意図される特定の使用に適するようにさまざまな変更を伴ったさまざまな実施形態を最良に利用することを当業者に可能にさせる。範囲は、本明細書に添付の請求項およびそれらの均等物によって定義される、ということが意図される。
以下に本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
通信システムであって、
送信機と、
受信機検出モジュールと電力モジュールとを含む受信機と、
前記送信機と前記受信機との間のシリアルリンクと
を備え、前記受信機検出モジュールは、前記シリアルリンクの動作状況を決定するように前記シリアルリンクの電力節約状態中に動作可能であるように構成され、前記電力モジュールは、前記シリアルリンクの前記電力節約状態中に低電力モードで前記受信機検出モジュールを選択的に動作させるように構成される、通信システム。
[C2]
前記受信機検出モジュールの前記低電力モードは、デューティサイクルモードである、C1に記載の通信システム。
[C3]
前記送信機と前記受信機との間のサイドバンドリンクをさらに備え、前記電力モジュールは、前記サイドバンドリンクによって搬送された制御信号に基づいて、前記低電力モードで前記受信機検出モジュールを選択的に動作させるように構成される、C1に記載の通信システム。
[C4]
前記シリアルリンクで搬送された制御信号を検知するように構成され、前記電力モジュールに動作可能に結合された、信号検出モジュールをさらに備え、前記電力モジュールは、前記制御信号に基づいて、前記低電力モードで前記受信機検出モジュールを選択的に動作させるように構成される、C3に記載の通信システム。
[C5]
前記信号検出モジュールは、前記シリアルリンクで搬送されたコモンモード信号を検出するように構成される、C4に記載の通信システム。
[C6]
前記信号検出モジュールは、前記シリアルリンクで搬送されたディファレンシャルモード信号を検出するように構成される、C4に記載の通信システム。
[C7]
前記シリアルリンクは、PCIeリンクを備える、C1に記載の通信システム。
[C8]
前記受信機検出モジュールは、電気的アイドル検出論理を備える、C1に記載の通信システム。
[C9]
前記電力モジュールは、前記低電力モードで前記受信機検出モジュールを選択的に動作させるために、前記電気的アイドル検出論理をディスエーブルにするように構成される、C8に記載の通信システム。
[C10]
送信機を有するホストと、受信機を有するクライアントと、を備えるシリアル通信システムであって、前記送信機と前記受信機とは、少なくとも1つのアクティブ状態と少なくとも1つの電力節約状態とを指定するプロトコルを使用したリンクにわたるディファレンシャルデータ信号の転送によって通信するように構成され、前記クライアントにおける受信機検出モジュールは、前記リンクの動作状態を決定するように前記電力節約状態中に動作可能であるように構成され、前記クライアントにおける電力モジュールは、前記ホストからの制御信号に基づいて、低電力モードで前記受信機検出モジュールを選択的に動作させるように構成される、シリアル通信システム。
[C11]
前記受信機検出モジュールは、電気的アイドル検出論理を備え、前記受信機検出モジュールの前記低電力モードは、前記電気的アイドル検出論理をディスエーブルにする、C10に記載のシリアル通信システム。
[C12]
前記シリアル通信システムは、PCIeシステムであり、前記シリアル通信システムの前記アクティブ状態は、L0リンク状態であり、前記シリアル通信システムの前記電力節約状態は、L1リンク状態である、C11に記載のシリアル通信システム。
[C13]
前記システムはさらに、サイドバンドを備え、前記電力モジュールは、前記サイドバンドで前記制御信号を受信する、C12に記載のシリアル通信システム。
[C14]
前記ホストは、インバンドで前記制御信号を送信するように構成され、前記クライアントはさらに、前記制御信号を検知するように構成された信号検出モジュールを備える、C10に記載のシリアル通信システム。
[C15]
前記制御信号は、インバンドのコモンモード信号を備える、C14に記載のシリアル通信システム。
[C16]
前記制御信号は、インバンドのディファレンシャルモード信号を備える、C14に記載のシリアル通信システム。
[C17]
前記電力モジュールは、デューティサイクルモードで前記受信機検出モジュールを動作させることにより、低電力モードで前記受信機検出モジュールを選択的に動作させる、C10に記載のシリアル通信システム。
[C18]
シリアルデータリンクにわたって通信する送信機と受信機とを有するシリアル通信システムにおけるスタンバイ電力低減のための方法であって、
電力節約状態で前記シリアルデータリンクを動作させることと、
前記シリアルデータリンクが前記電力節約状態である間に、低電力モードで、前記シリアルデータリンクの動作状況を決定するように構成された前記受信機の受信機検出モジュールを、選択的に動作させることと
を備える方法。
[C19]
前記シリアルデータリンクは、PCIeリンクを備え、前記シリアルデータリンクの前記電力節約状態は、L1状態であり、前記低電力モードは、前記受信機検出モジュールにおける電気的アイドル検出論理をディスエーブルにすることを備える、C18に記載の方法。
[C20]
前記送信機により制御信号を送信することと、前記制御信号に基づいて前記受信機検出モジュールを選択的に動作させることと、をさらに備える、C19に記載の方法。
[C21]
前記送信機と受信機とは、サイドバンドリンクによって結合され、前記制御信号は、サイドバンド信号における遷移を備える、C20に記載の方法。
[C22]
前記シリアルデータリンクでインバンドで前記制御信号を検出することをさらに備える、C20に記載の方法。
[C23]
前記制御信号を検出することは、前記シリアルデータリンクでコモンモード信号を検出することを備える、C22に記載の方法。
[C24]
前記制御信号を検出することは、前記シリアルデータリンクでディファレンシャルモード信号を検出することを備える、C22に記載の方法。