(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792400
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】表盤下の針の取り付け
(51)【国際特許分類】
G04B 19/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
G04B19/02 Z
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-558099(P2014-558099)
(86)(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公表番号】特表2015-508170(P2015-508170A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2013053446
(87)【国際公開番号】WO2013127686
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2014年8月25日
(31)【優先権主張番号】12157574.0
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスロッド,バプティスト
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−523761(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0105346(US,A1)
【文献】
特開2007−046935(JP,A)
【文献】
実開平03−061593(JP,U)
【文献】
特開昭62−019788(JP,A)
【文献】
実開昭56−058585(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの相補的形状のインジケーター又は表盤(4)に対向し、かつ、これの上に位置する物理的又は時間的な大きさを表示するインジケーター(3)を受ける第1の出力アーバー(2)を少なくとも駆動する計時器ムーブメント(1)であって、
前記相補的形状のインジケーター又は表盤(4)は、前記ムーブメント(1)の第1の出力アーバー(2)のそれぞれの周りに前記ムーブメント(1)の構造(50)内で局所的に備えられた局所的基準又は支持面(5)上に配置され、
前記少なくとも1つの第1の出力アーバー(2)は、前記局所的基準又は支持面(5)の側に、前記局所的基準又は支持面(5)に対して凹んでいるか同じ高さである自由端(6)を有し、さらに、
前記第1の出力アーバー(2)は、止め面(21)を有し、
この止め面(21)は、すべての動作構成において突出しない構成となることを確実にするためのものであり、
前記構造(50)に備えられた相補的形状の止め面(52)又は前記構造(50)と前記第1の出力アーバー(2)の間に挿入された固定クロス片(51)のいずれかによって前記第1の出力アーバー(2)の移動が制限される
ことを特徴とする計時器ムーブメント(1)。
【請求項2】
前記ムーブメント(1)は、前記局所的基準又は支持面(5)に対して突出している突出筒かな端(9)を有するメインの筒かな(8)と同軸である第2のメイン出力アーバー(7)を少なくとも有し、
前記第2のメイン出力アーバー(7)は、前記突出筒かな端(9)の側に、前記突出筒かな端(9)に対して凹んでいるか同じ高さである自由端(10)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項3】
メインの筒かな(8)と同軸ではない前記ムーブメント(1)の前記少なくとも1つの第1の出力アーバー(2)のそれぞれは、前記局所的基準又は支持面(5)の側に、前記局所的基準又は支持面(5)に対して凹んでいるか同じ高さである自由端(6)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項4】
前記局所的基準又は支持面(5)に対して突出する突出筒かな端(9)を有するメインの筒かな(8)と同軸である前記ムーブメント(1)の前記少なくとも1つの第2のメイン出力アーバー(7)のそれぞれは、前記突出筒かな端(9)の側に、前記突出筒かな端(9)に対して凹んでいるか同じ高さである自由端(10)を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項5】
メインの筒かな(8)と同軸ではない前記ムーブメント(1)の前記少なくとも1つの第1の出力アーバー(2)のそれぞれは、前記局所的基準又は支持面(5)の側に、前記局所的基準又は支持面(5)に対して凹んでいるか同じ高さである自由端(6)を有し、さらに、
前記局所的基準又は支持面(5)に対して突出する突出筒かな端(9)を有するメインの筒かな(8)と同軸である前記ムーブメント(1)の前記少なくとも1つの第2のメイン出力アーバー(7)のそれぞれは、前記突出筒かな端(9)の側に、前記突出筒かな端(9)に対して凹んでいるか同じ高さである自由端(10)を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項6】
前記ムーブメント(1)は、前記局所的基準又は支持面(5)に対して凹んでいるか同じ高さである突出筒かな端(9)を有するメインの筒かな(8)と同軸である第2のメイン出力アーバー(7)を少なくとも有し、
前記第2のメイン出力アーバー(7)は、前記突出筒かな端(9)の側に、前記突出筒かな端(9)に対して凹んでいるか同じ高さである自由端(10)を有し、
前記突出筒かな端(9)は、前記メインの筒かな(8)と同軸である前記第2のメインアーバー(7)を包囲し、前記局所的基準又は支持面(5)は、前記メインの筒かな(8)を包囲している
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項7】
前記メインの筒かな(8)のそれぞれの前記突出端(9)は、前記局所的基準又は支持面(5)に対して凹んでいるか同じ高さである
ことを特徴とする請求項6に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項8】
前記ムーブメント(1)に備えられる各第1の出力アーバー(2)又は各第2のメイン出力アーバー(7)の前記自由端(6、10)は、前記自由端(6、10)から最も遠い位置にある前記局所的基準又は支持面(5)に接する平面に対して凹んでいるか同じ高さである
ことを特徴とする請求項2に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項9】
前記ムーブメント(1)に備えられる各第1の出力アーバー(2)又は各第2のメイン出力アーバー(7)の上の前記局所的基準又は支持面(5)はすべて、芯位置合わせされている
ことを特徴とする請求項2に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項10】
前記ムーブメント(1)は、前記少なくとも1つの表盤(4)が備える相補的形状の表面(12)を介して上部表面(11)上で支持される少なくとも1つの表盤(4)を受け所定位置に保持するための前記上部表面(11)を有し、
前記少なくとも1つの表盤(4)は、一連の開口(13)を有し、これによって、前記ムーブメント(1)に備えられる前記第1の出力アーバー(2)及び/又は前記第2のメイン出力アーバー(7)の特定のもののみの上で前記表示インジケーター(3)が取り付けられることが許容され、
前記少なくとも1つの表盤(4)は、前記第1の出力アーバー(2)及び/又は前記第2のメイン出力アーバー(7)を隠し、これは前記開口(13)を通して見えない
ことを特徴とする請求項2に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項11】
前記第1の出力アーバー(2)の少なくとも1つ又は前記第2の出力アーバー(7)の少なくとも1つは、針(3)を備えている
ことを特徴とする請求項2に記載の計時器ムーブメント(1)。
【請求項12】
請求項2に記載の計時器ムーブメント(1)を少なくとも1つ有するモジュール式の計時器アセンブリー(100)であって、
当該アセンブリー(100)は、複数の表盤(4)を有し、その各表盤(4)は、前記ムーブメント(1)が備える上部表面(11)上で支持される相補的形状の表面(12)を有し、
当該アセンブリー(100)は、特定の前記表盤(4)それぞれに対して、表示インジケーター(3)の特定のセットを有し、
そのそれぞれは、前記ムーブメント(1)が備える前記第1の出力アーバー(2)及び/又は前記第2のメイン出力アーバー(7)のうちの1つに取り付けられるためのものであり、
前記出力アーバー(2、7)は、前記ムーブメント(1)に前記表盤(4)を組み立てた後に、前記特定の表盤(4)における開口を通して可視状態が維持される
ことを特徴とするモジュール式の計時器アセンブリー(100)。
【請求項13】
請求項12に記載のモジュール式のアセンブリー(100)から形成された計時器(1000)であって、
当該計時器(1000)は、前記ムーブメント(1)の上部表面(11)の上で組み立てられた特定の表盤(4)又は固有な形に並置された特定の複数の表盤(4)と、及び前記特定の表盤(4)又は前記固有な形に並置された特定の複数の表盤(4)を通して前記ムーブメント(1)に組み立てられた複数の表示インジケーター(3)とを有し、この表示インジケーター(3)のそれぞれは、前記ムーブメント(1)が備える前記第1の出力アーバー(2)及び/又は前記第2のメイン出力アーバー(7)のうちの1つに取り付けられ、
前記出力アーバー(2、7)は、前記特定の表盤(4)又は固有な形に並置された特定の複数の表盤(4)が前記ムーブメント(1)上に組み立てられた後にも、その表盤(4)に設けられた開口を通して可視状態が維持される
ことを特徴とする計時器(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの相補的形状のインジケーター又は表盤に対向し、かつ、これの上に位置する物理的又は時間的な大きさを表示するインジケーターを受ける第1の出力アーバーを少なくとも駆動する計時器ムーブメントに関し、前記相補的形状のインジケーター又は表盤は、前記ムーブメントの第1の出力アーバーのそれぞれの周りに前記ムーブメントの構造内で局所的に備えられた局所的基準又は支持面上に配置され、前記少なくとも1つの第1の出力アーバーは、前記局所的基準又は支持面の側に、前記局所的基準又は支持面に対して凹んでいるか同じ高さである自由端を有する。
【0002】
本発明は、さらに、このような計時器ムーブメントを少なくとも1つ有するモジュール式の計時器アセンブリーに関する。
【0003】
本発明は、さらに、この種のモジュール式のアセンブリーから形成された計時器に関する。
【0004】
本発明は、測時技術に関し、より詳細には、視覚的な表示機構の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
計時器ムーブメントの設計においては、一般に、共通プラットフォームを作る試みがなされる。このような共通プラットフォームに基づいて、オプションが豊富な様々な異なる変種が提供されている。この結果、基本的なムーブメントの部品が既に提案されている変種のいずれにも干渉しないことを確実にすることを目指すことになり、これによって、いずれの部品も取り外したり交換せずにムーブメントをそのまま使用することができるようにし、追加の部品を単に加えることによって数々の個性的なオプションを提供できるようにされる。具体的には、秒の表示の位置合わせ、特に、中央部の秒針や中心からずれて配置される小秒針の位置合わせにおいて、未使用のアーバーが表盤、針又は透明蓋と何ら干渉しないことを確実にしつつ、各オプションごとに異なるアーバーを取り付ける事態を回避することが目指される。
【0006】
旧来、中央部の表示には、同心のステップ動作する筒かなやアーバーが含まれており、これらはすべて表盤の表面上に突出している。これは、表盤の高さを越えて突出する小秒針用アーバーに対しても同じである。このように、用途が広く使用されるということは、小秒針用アーバーの位置合わせ、その他の現在時刻の表示機能、又はタイミング関数、あるいは他の関数に対してのオプションがある分だけ、表盤が開口を有するということを意味する。これは、計時器の魅力を損ねてしまう。
【0007】
Hillgruber名義のドイツ特許出願19641894A1では、外部のガイドチューブ内に位置するコイルばねを介しての筒かな又はアーバーへの針の取り付けについて記載している。
【0008】
Voss名義の欧州特許出願0862098A2では、針のための環状の取り付け具を備えたモジュール式の腕時計を記載している。
【0009】
Malkin名義の米国特許4378957Aでは、筒かなのベアリング内を回転する秒アーバーであって、他の筒かなの軸止めがそれらの駆動輪によって形成されているものを記載している。
【0010】
Yazaki Corp.名義のドイツ特許出願4032879A1では、環状の溝とフランジを介してのチューブ及び筒かなの相対的な軸上の連係を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、追加のプレートの挿入を必要とせずに同じ基本的なムーブメントに基づいて構築される変種の経済的及び美的な創作を改善することを提案する。追加のプレートの挿入が必要となれば、計時器の厚みに悪影響をもたらし、変種のコストを高価にしてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明は、少なくとも1つの相補的形状のインジケーター又は表盤に対向し、かつ、これの上に位置する物理的又は時間的な大きさを表示するインジケーターを受ける第1の出力アーバーを少なくとも駆動する計時器ムーブメントに関し、前記相補的形状のインジケーター又は表盤は、前記ムーブメントの第1の出力アーバーのそれぞれの周りに前記ムーブメントの構造内で局所的に備えられた局所的基準又は支持面上に配置され、前記少なくとも1つの第1の出力アーバーは、前記局所的基準又は支持面の側に、前記局所的基準又は支持面に対して凹んでいるか同じ高さである自由端を有し、さらに、前記第1の出力アーバーは、止め面を有し、この止め面は、すべての動作構成において突出しない構成となることを確実にするためのものであり、前記構造に備えられた相補的形状の止め面又は前記構造と前記第1の出力アーバーの間に挿入された固定クロス片のいずれかによって前記第1の出力アーバーの移動が制限される。
【0013】
本発明の特徴の1つによると、前記ムーブメントは、前記ムーブメントに対して突出している筒かな端を有するメインの筒かなと同軸である第2のメイン出力アーバーを少なくとも有し、前記第2のメイン出力アーバーは、前記突出筒かな端の側に、前記突出筒かな端に対して凹んでいるか同じ高さである一端を有する。
【0014】
本発明の特徴の1つによると、メインの筒かなと同軸ではない前記ムーブメントの前記少なくとも1つの第1の出力アーバーのそれぞれは、前記局所的基準又は支持面の側に、前記局所的基準又は支持面に対して凹んでいるか同じ高さである一端を有する。
【0015】
本発明の特徴の1つによると、前記ムーブメントに対して突出する1つの筒かな端を有するメインの筒かなと同軸である前記ムーブメントの前記少なくとも1つの第2のメイン出力アーバーのそれぞれは、前記突出筒かな端の側に、前記突出筒かな端に対して凹んでいるか同じ高さである一端を有する。
【0016】
本発明の特徴の1つによると、メインの筒かなと同軸ではない前記ムーブメントの前記少なくとも1つの第1の出力アーバーのそれぞれは、前記局所的基準又は支持面の側に、前記局所的基準又は支持面に対して凹んでいるか同じ高さである一端を有し、さらに、前記ムーブメントに対して突出する筒かな端を有するメインの筒かなと同軸である前記ムーブメントの前記少なくとも1つの第2のメイン出力アーバーのそれぞれは、前記突出筒かな端の側に、前記突出筒かな端に対して凹んでいるか同じ高さである一端を有する。
【0017】
本発明の特徴の1つによると、前記メインの筒かなの前記突出端は、前記局所的基準又は支持面に対して凹んでいるか同じ高さである。
【0018】
本発明の特徴の1つによると、前記メインの筒かなそれぞれの前記突出端は、前記局所的基準又は支持面に対して凹んでいるか同じ高さである。
【0019】
本発明は、さらに、この種の計時器ムーブメントを少なくとも1つ有するモジュール式の計時器アセンブリーに関し、当該アセンブリーは、複数の表盤を有し、その各表盤は、前記ムーブメントが備える上部表面上で支持される相補的形状の表面を有し、当該アセンブリーは、特定の前記表盤それぞれに対して、表示インジケーターの特定のセットを有し、そのそれぞれは、前記ムーブメントが備える前記第1の出力アーバー及び/又は前記第2のメイン出力アーバーのうちの1つに取り付けられるためのものであり、前記出力アーバーは、前記ムーブメントに前記表盤を組み立てた後に、前記特定の表盤における開口を通して可視状態が維持される。
【0020】
本発明は、さらに、この種のモジュール式のアセンブリーから形成された計時器に関し、当該計時器は、前記ムーブメントの上部表面の上で組み立てられた特定の表盤又は固有な形に並置された特定の複数の表盤と、前記特定の表盤又は前記固有な形に並置された特定の複数の表盤を通して前記ムーブメントに組み立てられた複数の表示インジケーターとを有し、この表示インジケーターのそれぞれは、前記ムーブメントが備える前記第1の出力アーバー及び/又は前記第2のメイン出力アーバーのうちの1つに取り付けられ、前記出力アーバーは、前記特定の表盤又は固有な形に並置された特定の複数の表盤が前記ムーブメント上に組み立てられた後にも、その表盤に設けられた開口を通して可視状態が維持される。
【0021】
このようにして、本発明は、各々が特定の変種に固有な複数の表盤又は表盤のセットを基本的なムーブメントに装備させることを可能にし、また、適切な表示インジケーター、特に針を表盤上にあるアーバーの自由端に装備することを可能にする。
【0022】
添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点が明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るムーブメントの詳細をこのムーブメントの第1の種類の出力アーバーの軸を通る概略的な部分断面図によって示す。
【
図2】同様な方法によって、筒かなと同軸である第2の種類のメイン出力アーバーの軸を通る詳細断面図を示す。
【
図4】本発明に係るムーブメントのいくつかの出力アーバーの軸を通る部分的に切断されている概略的な断面図を示す。
【
図5】
図4と同様な形態で、
図4のムーブメントを取り入れている計時器を示す。
【
図6】本発明に係るモジュール式のアセンブリーキットの構成の概略的な正面分解図を示す。
【
図7】
図6のモジュール式のキットからの部品セットを使用して組み立てられた計時器の概略的な正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、測時技術に関し、より詳細には、視覚的な表示機構の分野に関する。
【0025】
具体的には、本明細書及び図面は、針による表示の好ましい例(これに限定されない)を示しており、本発明は、表盤の下で針を取り付けることを提案する。
【0026】
本発明は、少なくとも1つの相補的形状のインジケーター又は表盤4に対向し、かつ、その上にある物理的又は時間的な大きさを表示するインジケーター3を受けるための少なくとも1つの出力アーバー2又は7を駆動する計時器ムーブメント1に関する。この相補的形状のインジケーター又は表盤4は、構造50の局所的基準又は支持面5のいずれかの上に配置され、例えば、主板、棒などである。これは、ムーブメント1の内部に位置する各出力アーバー2又は7の周りにムーブメント1内部で局所的に配置されている。あるいは、支持面5の局所的基準の上に配置されている。
【0027】
本発明によると、
図1からわかるように、この少なくとも1つの出力アーバーは、第1の種類の出力アーバー2であり、局所的基準又は支持面5の側に、自由端6を有する。この自由端6は、局所的基準又は支持面5に対して値Hの分凹んでいるか同じ高さにある。
【0028】
この第1の種類の出力アーバー2は、止め面21を有する。この止め面21は、すべての動作構成において、このような凹んだ(又は可能性としては同じ高さの)構成となり、かつ、移動が制限されていることを確実にするためのものである。これは、構造50に備えられる相補的形状の止め面52によって、又は構造50と第1の種類の出力アーバー2の間に挿入された固定されたクロス片51によってなされる。
【0029】
好ましくは、第1の種類の出力アーバー2又は第2の種類の出力アーバー7は、止め面21又は71を有する。これは、いずれの予測可能な膨張をも考慮して、すべての動作構成において突出しない構成となることを確実にするためのものである。本発明の様々な変種(これに限定されない)を示す
図1、2、2A及び3に示すように、止め面21又は71の移動は、構造50に備えられる相補的形状の止め面52又は構造50と第1の種類の出力アーバー2又は第2の種類の出力アーバー7の間に挿入された固定クロス片51のいずれかによって、あるいは第1の種類のアーバー2又は第2の種類のアーバー7が挿入される筒かな8が有する相補的形状の止め面91によって制限される。
【0030】
図2に示す特定の実施形態では、ムーブメント1は少なくとも1つの第2の種類のメイン出力アーバー7を有する。このメイン出力アーバーは、メインの筒かな8と同軸であり、このメインの筒かな8は、突出筒かな端9を有し、この突出筒かな端9は、局所的基準又は支持面5に対して値Eの分突き出る。また、第2の種類のメイン出力アーバー7は、この突出筒かな端9の側に、突出筒かな端9に対して値Hの分凹んでいるか又は同じ高さにある自由端10を有する。この第2の種類のメイン出力アーバー7は、
図1の第1の種類のアーバー2ではないことを理解できるであろう。なぜなら、後者の第1の種類のアーバー2は、局所的基準又は支持面5に対して凹んでいるか同じ高さである自由端6を有するからである。これは、第2の種類のメイン出力アーバー7とは違う。
【0031】
特定の変種において、ムーブメント1の少なくとも1つの第1の種類の出力アーバー2のそれぞれは、メインの筒かな8と同軸ではなく、局所的基準又は支持面5の側に、局所的基準又は支持面5に対して凹んでいるか同じ高さである自由端6を有する。
【0032】
しかし、本発明に係るムーブメントが複数の出力アーバー及び/又はメイン出力アーバーを有する必要はない。
【0033】
特定の変種において、ムーブメント1の少なくとも1つの第2の種類のメイン出力アーバー7はそれぞれ、局所的基準又は支持面5に対して突出する筒かな端9を有するメインの筒かな8と同軸であり、突出筒かな端9の側に、突出筒かな端9に対して凹んでいるか同じ高さである自由端10を有する。
【0034】
有利な実施形態において、ムーブメント1の少なくとも1つの第1の種類の出力アーバー2はそれぞれ、メインの筒かな8と同軸ではなく、局所的基準又は支持面5の側に、局所的基準又は支持面5に対して凹んでいるか同じ高さである自由端6を有する。ムーブメント1の少なくとも1つの第2の種類のメイン出力アーバー7はそれぞれ、局所的基準又は支持面5に対して突出する筒かな端9を有するメインの筒かな8と同軸であり、突出筒かな端9の側に、突出筒かな端9に対して凹んでいるか同じ高さである自由端10を有する。
【0035】
図3に示す特定の変種において、メインの筒かな8の突出している端9は、局所的基準又は支持面5に対して、値Rの分凹んでいるか又は同じ高さにある。この局所的基準又は支持面5は、メインの筒かな8と同軸である第2の種類のメインアーバー7を包囲し、この局所的基準又は支持面5は、メインの筒かな8を包囲する。
【0036】
特定の変種において、メインの筒かな8の突出端9はそれぞれ、局所的基準又は支持面5に対して凹んでいるか同じ高さにある。
【0037】
特定の変種において、
図4からわかるように、ムーブメント1が備える各第1の種類の出力アーバー2又は各第2の種類のメイン出力アーバー7の自由端6又は10は、自由端6、10から最も遠くに位置する局所的基準又は支持面5に接する平面に対して凹んでいるか又は同じ高さである。
【0038】
特定の実施形態において、ムーブメント1が備える各第1の種類の出力アーバー2又は各第2の種類のメイン出力アーバー7上の局所的基準又は支持面5はすべて芯位置合わせされる。
【0039】
好ましくは、計時器ムーブメント1は、少なくとも1つの表盤4を受け所定位置に保持するための上部表面11を有し、この少なくとも1つの表盤4は、その少なくとも1つの表盤4が有する相補的形状の表面12を介して上部表面11上で支えられる。この少なくとも1つの表盤4は、ムーブメント1が備える第1の種類の出力アーバー2及び/又は第2の種類のメイン出力アーバー7の特定のものに対してのみ表示インジケーター3を組み立てることを許容する一連の開口13を有し、
図5に示すように、この少なくとも1つの表盤4は、開口13を介して見ることができない出力アーバー2及び/又は第2の種類のメイン出力アーバー7を隠す。
【0040】
好ましくは、前記凹みHは約0.20mmである。
【0041】
好ましくは、第1の種類の出力アーバー2又は第2の種類の出力アーバー7は、針で形成された出力インジケーター3を備えている。この出力インジケーターは、円盤状、扇状などに形成することもできる。
【0042】
本発明は、さらに、このような計時器ムーブメント1を少なくとも1つ有するモジュール式の計時器アセンブリー100に関する。本発明によると、このアセンブリーは、複数の表盤4を有し、そのそれぞれは、ムーブメント1の上部表面11上に支持された相補的形状の表面12を有する。さらに、特定の表盤4それぞれに対して、表示インジケーター3の特定のセットを有する。これらは、ムーブメント1が備える第1の種類の出力アーバー2及び/又は第2の種類のメイン出力アーバー7のうちの1つに取り付けられるためのものであり、その出力アーバーは、ムーブメント1上に表盤4を組み立てた後に、特定の表盤4に設けられる開口13を通して可視状態が維持される。
図6は、この種のキットを示しており、これから、特定の部品の組み合わせを取り出して、異なる計時器1000を組み立てることができる。
【0043】
本発明は、さらに、この種のモジュール式のアセンブリー100から形成されたこの種の計時器1000に関する。本発明によると、この計時器は、ムーブメント1の上部表面11上に組み立てられた、特定の表盤4又は固有な形に並置された特定の複数の表盤4と、及びこの特定の表盤4又は固有な形に並置された特定の複数の表盤4を介してムーブメント1に取り付けられた、複数の表示インジケーター3とを有し、そのそれぞれは、ムーブメント1が備える第1の種類の出力アーバー2及び/又は第2の種類のメイン出力アーバー7のうちの1つに取り付けられ、その出力アーバーは、表盤4がムーブメント1上で組み立てられた後にも、特定の表盤4又は固有な形に並置された特定の複数の表盤4に設けられた開口13を通して可視状態が維持される。
【0044】
本発明を、すべての通常の時、分、秒及び日付の表示に使用することができるが、特に、小秒針の種類の表示に適している。通常の構造では、小秒針は、既に動いている歯車列につながっており、その位置を容易に変更することができない。本発明に係る構造は、いずれの歯車列も追加することを回避し、種々な表示を見せるムーブメントを提供する。これによって、1つのムーブメント1で様々な異なる表示が可能となり、合理的なコストで広範囲な形態を見せることができる。
【0045】
このように、本発明は、製造コストを合理化することを可能にし、同じムーブメントから、ユーザーに提供される異なる表盤、異なる表示アーキテクチャ又は異なる機能や複雑な機構を備えた様々な計時器を作ることを可能にする。