特許第5792404号(P5792404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5792404
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20150928BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20150928BHJP
【FI】
   G06F17/30 380A
   G06F3/048 656A
   G06F3/048 651C
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-16027(P2015-16027)
(22)【出願日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年2月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514307556
【氏名又は名称】株式会社ピーチ・ボーイ
(74)【代理人】
【識別番号】100158883
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 哲平
(72)【発明者】
【氏名】三宅 克
【審査官】 吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−282585(JP,A)
【文献】 特開平08−106469(JP,A)
【文献】 特開2006−260065(JP,A)
【文献】 熊坂 萌絵,『枕草子』可視化カードシステムの開発,情報処理学会研究報告 2012(平成24)年度▲4▼ [CD−ROM],日本,一般社団法人情報処理学会,2012年12月15日,1−6ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の画像データとテキストデータからなるデータセットを表示する表示システムにおいて、
複数の前記画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
複数の前記テキストデータを記憶するテキストデータ記憶手段と、
前記画像データを前記画像データ記憶手段から読み出すととともに、該画像データと対になる前記テキストデータを前記テキストデータ記憶手段から読み出すデータセット読出し手段と、
読み出された前記データセットを1画面で表示する表示手段と、
ユーザ操作によって、表示順座標軸、及び該表示順座標軸における方向が入力される遷移情報入力手段と、を備え、
前記表示手段は、前記画像データを1つの領域内に収めた画像カードとして描画するとともに、前記テキストデータを1つの領域内に収めたテキストカードとして描画し、
前記画像データ及び/又は前記テキストデータは、対となる前記画像データ又は前記テキストデータの情報を具備するとともに、2以上の前記表示順座標軸からなる表示順座標系における表示順座標を具備し、
前記遷移情報入力手段によって入力された前記表示順座標軸、及び方向に基づいて、前記表示手段に表示されている前記データセットの隣に位置する前記データセットを、前記データセット読出し手段が読み出して前記表示手段に表示する、ことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
1対の画像データとテキストデータからなるデータセットを表示する表示システムにおいて、
複数の前記画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
複数の前記テキストデータを記憶するテキストデータ記憶手段と、
前記画像データと前記テキストデータの組み合わせ情報を含むデータセット情報を、記憶するデータセット情報記憶手段と、
前記データセット情報を前記データセット情報記憶手段から読み出し、該データセット情報に基づいて、前記画像データを前記画像データ記憶手段から読み出すととともに、該画像データと対になる前記テキストデータを前記テキストデータ記憶手段から読み出すデータセット読出し手段と、
読み出された前記データセットを1画面で表示する表示手段と、
ユーザ操作によって、表示順座標軸、及び該表示順座標軸における方向が入力される遷移情報入力手段と、を備え、
前記表示手段は、前記画像データを1つの領域内に収めた画像カードとして描画するとともに、前記テキストデータを1つの領域内に収めたテキストカードとして描画し、
前記データセット情報は、2以上の前記表示順座標軸からなる表示順座標系における表示順座標を具備し、
前記遷移情報入力手段によって入力された前記表示順座標軸、及び方向に基づいて、前記表示手段に表示されている前記データセットの隣に位置する前記データセットを、前記データセット読出し手段が読み出して前記表示手段に表示する、ことを特徴とする表示システム。
【請求項3】
前記表示手段は、テキストデータをテキストカードとして描画するときに、該テキストカード領域内に収まるよう所定の文字数又は所定の文字サイズで表示する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記画像データ及び/又は前記テキストデータは、3軸からなる表示順座標系における表示順座標を具備する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
前記表示順座標系のうちの1軸が時間軸である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
前記データセットを挿入し、又は前記データセットを削除し、又は前記表示順座標を変更する、データ編集手段をさらに備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、画像及び文字情報を表示する技術に関するものであり、より具体的には、あらかじめ定められた関連づけに基づいて画像及び文字情報を遷移させながら、スマートフォン等のデバイスのディスプレイに表示する表示システムと、このシステムで利用できるデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの普及によって、比較的気軽にシャッターが切られるようになり、その結果、大量の写真が保存される傾向にある。従来のフィルムカメラの場合、それほど多くの写真が残されることがないためアルバムに綴じて整理するのが主流であったが、デジタルカメラの場合は、数多くの写真(データ)が対象になることもあって、コンピュータを用いて整理するのが一般的となっている。
【0003】
また、フィルムカメラ写真をアルバムで整理するには、概ね時間の経過に沿って写真を並べる程度で十分であったが、デジタルカメラ撮影のように一度の機会で多様な写真が得られる場合、時間という要素だけでなく他の要素を用いた方が整理しやすいこともある。特に大量の写真データを対象としたときは、人が判断しながら整理するのは困難であり、したがってコンピュータを利用して整理することになるが、このとき整理するための要素(条件)が極めて重要となる。
【0004】
例えば、結婚披露宴で記念写真を撮るケースを考える。新郎新婦をはじめ多くの来賓者が被写体となり、同じ時間帯に様々なシーンが撮影される。来賓者の祝辞の場面では、その来賓者の姿が撮影されるのと同時に新郎新婦の表情も撮られるし、歓談中はそれぞれのテーブルの状況が撮影される。また、新婦の謝辞のときも、新婦の表情はもとより、両親の表情、来賓者の状況など種々のシーンが撮影される。このように多様な写真を、撮影した時間の順で機械的に並べただけでは、後日振り返ったときに当日の臨場感が伝わりにくい。カメラマンは必ずしもストーリーを描きながら撮影順を決めているわけではなく、ましてや、複数のカメラマンによって撮影されていれば、単に撮影時間順に並べられた写真は味気ないものとなってしまう。時間軸に加え、撮影された人物(あるいはテーブル)に着目して写真を整理すれば、その日の新婦の父を追った閲覧も可能となるし、ケーキカットのシーンだけでいろいろな表情を楽しむことができるなど、見る者の興味に応じて閲覧することができるようになって好適である。
【0005】
このように複数の要素を用いてデータを整理する、すなわち関連付けることができれば、他にも有効に利用することができる。例えば、スマートフォンで画像を送りながらストーリーを読み進めるコンテンツの場合、シーンや場所は変わりながらも一筋の流れで展開されていくのが一般的である。ところが、時間軸に加えて、登場人物や場所という要素を用いてデータどうしを関連付けると、興味深いストーリー展開を実現することができる。具体的には、主役がある行動をとった時、主役の周辺では何が起こっているのか、あるいは主役とは異なる人物はその時刻に何をしていたのか、このようなシーンをユーザの要求に応じて表示させることができるわけである。
【0006】
特許文献1では、複数の電子文書を並列表示し、選択した電子文書のページを送ることによって、電子文書間で対応するページを並べて閲覧できる技術について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−211788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、着目した電子書籍のページと関連する他の電子書籍のページを、キーワード検索によって自動抽出する技術についても提案している。しかしながら、結婚披露宴での写真、あるいは画像を使ったストーリー展開などのように、データ編集者が意図をもって定めた要素に従って、データ(特許文献1ではページ)が関連付けられるわけではない。換言すれば、データ編集者が提供する表示要素に基づいて、閲覧ユーザが所望の表示順を選択しながらデータを閲覧していくことは、特許文献1では実現できない。
【0009】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、閲覧ユーザの興味に応じて、データの表示順を任意に選択することのできる表示システム、及びそのシステムに利用可能なデータ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、時間軸など1軸のみで定めていた従来のデータ表示順に代えて、2軸、あるいは3軸以上の表示順を各データに具備させるという点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われたものである。
【0011】
本願発明の表示システムは、データセット(1対の画像データとテキストデータ)を表示する表示システムであり、画像データ記憶手段と、テキストデータ記憶手段、データセット読出し手段、表示手段、遷移情報入力手段を備えたものである。このうち画像データ記憶手段は、複数の画像データを記憶するもので、テキストデータ記憶手段は、複数のテキストデータを記憶するものである。またデータセット読出し手段は、画像データを画像データ記憶手段から読み出すととともに、この画像データと対になるテキストデータをテキストデータ記憶手段から読み出すものである。そして表示手段は、読み出されたデータセットを1画面で表示するもので、遷移情報入力手段は、ユーザ操作によって表示順座標軸とこの表示順座標軸における方向を入力するものである。なお表示手段は、画像データを1つの領域内に収めた「画像カード」として描画するとともに、テキストデータを1つの領域内に収めた「テキストカード」として描画する。画像データ(又はテキストデータ)は、対となるテキストデータ(又は画像データ)の情報を具備するとともに、2以上の表示順座標軸からなる表示順座標系における表示順座標を具備している。データセット読出し手段が、遷移情報入力手段によって入力された表示順座標軸とその方向に基づいて、表示手段に表示されているデータセットの隣に位置するデータセットを読み出し、これを表示手段に表示する。
【0012】
本願発明の表示システムは、データセット情報記憶手段を備えたものとすることもできる。データセット情報は、画像データ(又はテキストデータ)に代えて、画像データとテキストデータの組み合わせ情報を含み、かつ2以上の表示順座標軸からなる表示順座標系における表示順座標を具備する。この場合のデータセット読出し手段は、データセット情報をデータセット情報記憶手段から読み出し、このデータセット情報に基づいて、画像データを画像データ記憶手段から読み出すととともに、この画像データと対になるテキストデータをテキストデータ記憶手段から読み出す。
【0013】
本願発明の表示システムは、テキストデータをテキストカードとして描画するときに、このテキストカード領域内に収まるよう所定の文字数(又は所定の文字サイズ)で表示する表示手段を備えたものとすることもできる。
【0014】
本願発明の表示システムは、画像データやテキストデータが3軸からなる表示順座標系における表示順座標を具備するものとすることもできる。
【0015】
本願発明の表示システムは、表示順座標系のうちの1軸を時間軸としたものとすることもできる。
【0016】
本願発明の表示システムは、データ編集手段をさらに備えたものとすることもできる。このデータ編集手段は、データセットを所定位置(つまり所定の表示順座標)に挿入し、データセットを削除し、又は表示順座標を変更することができるものである。
【0017】
本願発明のデータ構造は、1対の画像データとテキストデータからなるデータセットを含むデータ構造である。画像データは、画像情報を1の画像カードとして表示手段に表示するためのデータであり、テキストデータは、テキスト情報を1のテキストカードとして表示手段に表示するためのデータである。また、画像データ(テキストデータ)は、2軸以上からなる表示順座標系における表示順座標を有するものである。また本願発明のデータ構造は、データセット情報をさらに備えたものとすることもできる。データセット情報は、画像データとテキストデータの組み合わせ情報を含み、かつ画像データ(又はテキストデータ)に代えて表示順座標を有する。さらに本願発明のデータ構造は、表示順座標系のうちの1軸を時間軸としたものとすることもできる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の表示システム、及びデータ構造には、次のような効果がある。
(1)数多くの、しかも多種多様なデータ(例えば写真データ)であっても、比較的容易にかつ閲覧しやすいように整理することができる。
(2)閲覧ユーザの好みに応じた表示順を提供できるので、興味深くデータを閲覧することができる。
(3)画像とともにテキストも表示されることから、写真に関する感想や記録も同時に把握することができる。あるいは、小説の場合ではストーリーと同時に挿絵を見ることができ、漫画であれば台詞や背景音も感得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は縦向きのスマートフォンに表示した画像データとテキストデータとデータセットを説明するモデル図、(b)は横向きのスマートフォンに表示した画像データとテキストデータとデータセットを説明するモデル図。
図2】2軸からなる表示順座標系を示すモデル図。
図3】コンテンツを構成する複数のデータセットを、2軸からなる表示順座標系に配置した状態を示すモデル図。
図4】データセットの遷移操作の一例を示す説明図。
図5】3軸からなる表示順座標系を示すモデル図。
図6】(a)は、コンテンツを構成する複数のデータセットを、Z=1であるX−Y座標系に配置した状態を示すモデル図、(b)は、Z=2であるX−Y座標系に配置した状態を示すモデル図。
図7】本願発明の表示システムを示すブロック図。
図8】データセット情報を用いる場合の本願発明の表示システムを示すブロック図。
図9】データセット読出し手段の機能を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願発明の表示システム、及びデータ構造の例を、図に基づいて説明する。
【0021】
1.全体概要
本願発明の表示システムは、1対の画像データとテキストデータからなる「データセット」を表示するもので、タブレット型端末やスマートフォン、あるいはパソコンといったデバイスに、複数のデータセットを所定の順で表示展開するものである。なおここでは便宜上、デバイスとしてスマートフォンを用いた場合で説明する。
【0022】
図1は、画像データDpと、テキストデータDt、データセットDsを説明するモデル図であり、(a)は縦向きのスマートフォンSfに表示したデータセットDs、(b)は横向きのスマートフォンSfに表示したデータセットDsを示している。この図に示すように画像データDpは、スマートフォンSfのディスプレイ(表示手段107)に画像情報を表示するためのものであり、テキストデータDtは、表示手段107に文字情報を表示するためのものである。なおデータセットDsは、図1に示すように表示手段の1画面内に収まるように表示される。
【0023】
データセットDsは、画像と文章によって展開されるストーリーや、結婚披露宴や同窓会などの記念写真集を構成する要素であり、つまり複数のデータセットDsによってストーリーや写真集など(以下、「コンテンツ」という。)が形成される。そして、複数のデータセットDsは、それぞれ表示順(つまりページ)が定められており、例えばユーザがフリックやスワイプといった操作を行うことで、1つ次のデータセットDsを表示したり(前進)、1つ前のデータセットDsを表示したり(後退)、所望の遷移が実行される。ここで、ひとつのデータセットDsに着目すると、2以上の方向に次(又は前)のデータセットDsが配置されており、フリック(スワイプ)の方向にしたがって、対応するデータセットDsが表示される。
【0024】
以下、本願発明の表示システム、及びデータ構造を構成する主要な要素ごとに詳述する。
【0025】
2.データ構造
既述のとおりデータセットDsは、1つの画像データDpと1つのテキストデータDtの組み合わせによって構成される。言い換えれば、1つの画像データDpは、1つのテキストデータDtと関連付けられるわけである。
【0026】
(画像データ)
図1に示すように画像データDpは、表示手段107に表示されると、1つの領域内に図画や写真といった画像情報を収めたカード(以下、「画像カード」という。)として描画されるデータである。なお、画像カードの領域の大きさや形状は、画像データDpごとに任意に設計することができる。また画像データDpは、対となるテキストデータDtの識別子情報をメタデータとして具備することができる。
【0027】
(テキストデータ)
図1に示すようにテキストデータDtは、表示手段107に表示されると、1つの領域内に文字情報を収めたカード(以下、「テキストカード」という。)として表示されるデータである。なお、テキストカードの領域の大きさや形状は、テキストデータDtごとに任意に設計することができる。テキストデータDtが有する文字情報の数(文字数)は、表示手段107に表示したときに、所定の文字サイズでテキストカード領域内に収まるよう入力できる文字数を制限することもできるし、テキストカード領域内に収まるよう文字サイズを可変とすることで、入力できる文字数を無制限とすることもできる。またテキストデータDtは、画像データDpに代えて(あるいは加えて)、対となる画像データDpの識別子情報をメタデータとして具備することができる。
【0028】
(データセット情報)
画像データDp(あるいはテキストデータDt)のメタデータとして、対となるテキストデータDt(画像データDp)の識別子情報を具備することができると説明したが、これに代えて「データセット情報」にデータの組み合わせ情報を具備させることもできる。すなわち、データセット情報を用意し、このデータセット情報に画像データDsの識別子とテキストデータDtの識別子の組み合わせ情報を具備させるわけである。
【0029】
(表示順座標)
図2は、2軸からなる表示順座標系を示すモデル図である。この図では便宜上、横方向の表示順座標軸をX軸、縦方向の表示順座標軸をY軸としている。この図に示すようにデータセットDsは、表示順座標系における表示順座標を備えており、換言すればデータセットDsは、表示順座標系の指定位置に配置されるわけである。図2では、2つのデータセットDsが配置され、一方(左下)のデータセットDsは(Xa,Ya)に配置されており、他方(右上)のデータセットDsは(Xb,Yb)に配置されている。なお表示順座標は、画像データDpとテキストデータDtのどちらか一方、もしくは画像データDpとテキストデータDtの両方、又はデータセット情報に具備される。
【0030】
表示順座標軸は、いわばデータセットDsを並び替えるためのものであり、コンテンツに応じてX軸やY軸は種々の要素(条件)で設定することができる。例えば、コンテンツが結婚披露宴の記念写真集であれば、X軸を時間軸とし、Y軸を場面とすることができる。X軸方向に進めていくと披露宴の進行にしたがって写真が遷移していく一方で、X軸を新婦の謝辞の時間で止め、Y軸方向に遷移すると、新婦の表情はや、両親の表情、各テーブルの状況など、新婦謝辞における様々なシーンを楽しむことができる。
【0031】
図3は、コンテンツを構成する複数(図では14個)のデータセットDsを、2軸からなる表示順座標系に配置した状態を示すモデル図である。表示順座標は、いわばデータセットDsの表示順を規定する情報であり、表示されたデータセットDsから遷移するときは、そのデータセットDsに付された表示順座標が参照される。例えば、図3のデータセットDs22に着目すると、X軸方向における次のデータがデータセットDs32で、前のデータがデータセットDs12であり、Y軸方向における次のデータがデータセットDs23で、前のデータがデータセットDs21である。つまりこの場合、ユーザがX軸の前方を入力すればデータセットDs22からデータセットDs32に遷移し、Y軸の後方を入力すればデータセットDs22からデータセットDs21に遷移する。
【0032】
図4は、データセットDsの遷移操作の一例を示す説明図である。この図を参照して、さらに具体的にデータセットDsの遷移について説明する。この図では、右が正(+)で左が負(−)となるように横方向にX軸が設定され、上が正(+)で下が負(−)となるように縦方向にY軸が設定されており、表示手段107には図3に示すデータセットDs22が表示されている。したがって、ユーザが表示手段107を右向きにフリックすると、データセットDs22からデータセットDs32に遷移し、下向きにフリックすると、データセットDs22からデータセットDs21に遷移する。もちろん、フリック操作に代えて、スワイプやタップ(ダブルタップ)を採用することもできるし、前方遷移と後方遷移のアイコンを用意することもできる。
【0033】
表示順座標系は、2軸に限らず3軸、あるいは4軸以上からなる座標系とすることもできる。図5は、3軸からなる表示順座標系を示すモデル図である。この図では便宜上、左右方向の表示順座標軸をX軸、上下方向の表示順座標軸をY軸、紙面奥行方向の表示順座標軸をZ軸としている。この場合のデータセットDsは、(X,Y,Z)の3要素からなる座標を備えており、図5では、左下のデータセットDsが(Xa,Ya、Za)に配置され、右中のデータセットDsが(Xb,Yb、Zb)に配置され、左上のデータセットDsが(Xc,Yc、Zc)に配置されている。
【0034】
3軸からなる表示順座標系とした場合、例えば、X軸を時間軸、Y軸を場面とし、Z軸を対象人物(あるいは対象物)とすることができる。コンテンツが画像を利用したストーリーであれば、X軸方向に進めていくと、東京の学校に通う主人公を中心に物語が進行していき、X軸を止めてY軸方向に遷移すると、学校の体育館や職員室など主人公の周辺の場面が表現され、さらにZ軸に遷移すると、九州の学校に転校した友人など主人公とは異なる人物の行動が表現されるわけである。
【0035】
時間軸に加えて、登場人物や場所という要素を用いてデータどうしを関連付けると、興味深いストーリー展開を実現することができる。具体的には、主役がある行動をとった時、主役の周辺では何が起こっているのか、あるいは主役とは異なる人物はその時刻に何をしていたのか、このようなシーンをユーザの要求に応じて表示させることができるわけである。
【0036】
図6は、コンテンツを構成する複数(図では20個)のデータセットDsを、3軸からなる表示順座標系に配置した状態を示すモデル図である。なお便宜上、2つの平面座標系で3軸座標系を表現しており、図6(a)ではZ=1であるX−Y座標系を、図6(b)ではZ=2であるX−Y座標系を示している。この図でデータセットDs311に着目すると、X軸方向における次のデータがデータセットDs411で、Y軸方向における次のデータがデータセットDs321、Z軸方向における次のデータがデータセットDs312である。また、図4で説明すると、X軸方向やY軸方向の遷移は既述したとおりであるが、Z軸方向の遷移は、前方遷移のアイコンIc(+)や後方遷移のアイコンIc(+)をタップ操作によって行うことができる。もちろんアイコンIcに代えて、斜め上方/斜め下方のフリック操作や、右側/左側でのダブルタップ操作などによって、Z軸方向の遷移を実行することもできる。
【0037】
(映像の再生)
画像データDpやテキストデータDtには、映像に関する情報(以下、「映像情報」という。)を持たせることもできる。この場合、画像データDpやテキストデータDtに表示された再生ボタンなどをユーザが操作することで、所定の映像データを読み出して再生する。再生が終わると、元のデータセットDsが再度表示される。
【0038】
(音声の出力)
画像データDpやテキストデータDtには、音声に関する情報を(以下、「音声情報」という。)を持たせることもできる。この場合、音声情報を含む画像データDpやテキストデータDtが表示されたときは、この音声情報に対応する音声データが読み出され、音声出力手段(処理)によって出力される。
【0039】
(リンクの表示)
画像データDpやテキストデータDtには、他のサイトへ遷移するためのURLなどの情報(以下、「リンク情報」という。)を持たせることもできる。この場合、該当する画像データDpやテキストデータDtが表示されると、あわせてリンク情報も表示手段に表示される。例えば、食べ物のシーンになった時、外食産業のサイトへ案内すると購買意欲が増すため、効果的な宣伝を行うことができる。URLのほか、直接広告を表示させたり、アフリエイトの機能を持たせたり、地図を表示させたり、種々のリンク情報を表示させることもできる。
【0040】
(メタデータ)
既述したとおり画像データDpやテキストデータDtには、メタデータを持たせることもできる。メタデータとしては、対となる画像データDpやテキストデータDtの識別子、表示順座標、その他、そのページのシーンの時刻や場所、登場人物といった属性情報を具備させることができる。
【0041】
2.表示システム
図7は、本願発明の表示システム100を示すブロック図である。この図を参照しながら、表示システム100を構成する各要素について詳しく説明する。なお、表示システム100は、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。このコンピュータ装置は、パソコンや、iPad(登録商標)といったタブレットPC、あるいはPDA(Personal Data Assistance)などによって構成することができる。
【0042】
(画像データ記憶手段)
画像データDpは、画像データ入力編集手段101によって入力され、複数の画像データ記憶手段102に記憶される。画像データDpが、画像情報を含み、対となるテキストデータDtの識別子情報をメタデータとして具備することができるのは、既述したとおりである。
【0043】
(テキストデータ記憶手段)
テキストデータDtは、テキストデータ入力編集手段103によって入力され、複数のテキストデータ記憶手段104に記憶される。テキストデータDtが、文字情報を含み、対となる画像データDpの識別子情報をメタデータとして具備することができるのは、既述したとおりである。
【0044】
(遷移情報入力手段)
遷移情報入力手段105は、ユーザが入力操作するための手段であり、例えばフリック操作やアイコンのタップ操作によって、表示順座標軸(X軸/Y軸/Z軸)と、その表示順座標軸における方向(前方/後方)が入力される。
【0045】
(データセット読出し手段)
データセット読出し手段106は、遷移情報入力手段105を操作することで入力された表示順座標軸とその方向、そして現在表示されているデータセットDsの表示順座標に基づいて、次に表示すべき(遷移後の)データセットDsを読み出す。つまり、データセットDsを構成する画像データDpを画像データ記憶手段102から読み出し、テキストデータDtをテキストデータ記憶手段104から読み出す。
【0046】
なお、既述したデータセット情報を用意する場合、本願発明の表示システム100は図8に示すようなブロック図となる。この図に示すように、データセット情報は、データセット情報入力編集手段108によって入力され、データセット情報記憶手段109に記憶される。そしてデータセット読出し手段106は、入力された表示順座標軸とその方向、そして現在表示されているデータセットDsの表示順座標に基づいて、次に表示すべきデータセットDsのデータセット情報を、データセット情報記憶手段109から読み出す。さらに、読み出したデータセット情報に基づいて、データセットDsを構成する画像データDpとテキストデータDtを読み出す。
【0047】
図9を参照して、さらに詳しくデータセット読出し手段106の機能を説明する。はじめにユーザが所定のコンテンツを選択すると、そのコンテンツの先頭(最初のページ)のデータセットDsが読み出されて表示される。そして、ユーザが操作することで所望のデータセットDsが読み出されて表示される。例えば、表示順座標軸としてX軸及びその前方が入力されると、現在表示されているデータセットDsのX座標における正(+)方向に隣接するデータセットDsが読み出される。あるいは、表示順座標軸としてZ軸及びその後方が入力されると、現在表示されているデータセットDsのZ座標における負(−)方向に隣接するデータセットDsが読み出される。
【0048】
このときデータセット読出し手段106は、表示されているデータセットDsの画像データDp、もしくはテキストデータDt、又はデータセット情報に記述された表示順座標を読み取り、入力された表示順座標軸及びその方向に基づいて、遷移後のデータセットDsを決定する。そして、決定したデータセットDsの表示順座標を具備する画像データDpを読み出すとともに、この画像データDpに記述された対となるテキストデータDtの識別子を読み取って、当該テキストデータDtを読み出す。もしくは、決定したデータセットDsの表示順座標を具備するテキストデータDtを読み出すとともに、このテキストデータDtに記述された対となる画像データDpの識別子を読み取って、当該画像データDpを読み出す。又は、決定したデータセットDsの表示順座標を具備するデータセット情報を読み出すとともに、このデータセット情報に記述された識別子に基づいて、1組の画像データDp及び画像データDpを読み出す。
【0049】
(表示手段)
表示手段107は、画像データDpを画像カードとして描画し、テキストデータDtをテキストカードとして表示するとともに、画像データDpとテキストデータDtからなるデータセットDsを1画面内に収まるように表示する。このとき、画像データDpとテキストデータDtを完全に分離して表示することもできるし、一部を重ねて表示することもできる。
【0050】
(データ編集手段)
本願発明の表示システム100は、データセットDsを編集することができるデータ編集手段を備えることもできる。データ編集手段は、具体的には図8図9に示す画像データ入力編集手段101、テキストデータ入力編集手段102、データセット入力編集手段108である。画像データ入力編集手段101は、画像データ記憶手段102に新たな画像データDpを記憶させたり、画像データ記憶手段102に記憶された画像データDpを削除したり、画像データ記憶手段102に記憶された画像データDpの表示順座標や対となるテキストデータDtの識別子を変更することができる。
【0051】
テキストデータ入力編集手段103は、テキストデータ記憶手段104に新たなテキストデータDtを記憶させたり、テキストデータ記憶手段104に記憶されたテキストデータDtを削除したり、テキストデータ記憶手段104に記憶されたテキストデータDtの表示順座標や対となる画像データDpの識別子を変更することができる。
【0052】
データセット情報入力編集手段108は、データセット情報記憶手段109に新たなデータセット情報を記憶させたり、データセット情報記憶手段109に記憶されたデータセット情報を削除したり、データセット情報記憶手段109に記憶されたデータセット情報の表示順座標や対となる画像データDpとテキストデータDtの識別子の組み合わせ情報を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本願発明の表示システム、及びデータ構造は、画像を含むストーリーコンテンツのほか、フォトブックやイベント記録、日記、自分史、社史、家系図、レシピ、暗記学習カード、など様々なものに利用することができ、今後、あらゆる産業界での応用が期待できる発明である。
【符号の説明】
【0054】
100 表示システム
101 画像データ入力編集手段
102 画像データ記憶手段
103 テキストデータ入力編集手段
104 テキストデータ記憶手段
105 遷移情報入力手段
106 データセット読出し手段
107 表示手段
108 データセット情報入力編集手段
109 データセット情報記憶手段
Dp 画像データ
Dt テキストデータ
Ds データセット
Sf スマートフォン
Ic(+) 前方遷移のアイコン
Ic(−) 後方遷移のアイコン
【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、閲覧ユーザの興味に応じて、データの表示順を任意に選択することのできる表示システム、及びそのシステムに利用可能なデータ構造を提供することである。
【解決手段】願発明の表示システムは、データセット(1対の画像データとテキストデータ)を表示する表示システムであり、画像データ記憶手段と、テキストデータ記憶手段、データセット読出し手段、表示手段、遷移情報入力手段を備えたものである。なお、画像データ(テキストデータ)は、対となるテキストデータ(画像データ)の情報を具備するとともに、2以上の表示順座標軸からなる表示順座標系における表示順座標を具備している。データセット読出し手段が、入力された表示順座標軸とその方向に基づいて、表示手段に表示されているデータセットの隣に位置するデータセットを読み出す。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9