(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の基板と、それらの基板のそれぞれに形成され、該基板の表面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の半リング部分とを具えてなり、各基板の回動変位により、複数対の半リング部分を、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能としたルーズリーフ綴具であって、
少なくとも一方の基板の裏面に、該裏面から隆起するとともに、基板の延在方向に沿って互いに離隔させて配置した二個以上のシャフト連結部、及び、前記二個以上のシャフト連結部の間で前記裏面から間隔をおいて基板と平行に延びて、各端部がシャフト連結部のそれぞれに固定された一本以上の両端固定シャフトを一体に設けるとともに、
他方の基板の裏面で、前記一方の基板の前記両端固定シャフトに隣接する位置に、該両端固定シャフトの周囲を、該両端固定シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設け、
前記シャフト把持部に把持させた前記両端固定シャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能とし、
二枚の基板の相互の隣接箇所のそれぞれに、前記基板の延在方向に沿う相対変位に伴い、互いに接触して摺動することにより、対をなす半リング部分の先端部を互いに離隔させる基板の回動変位をもたらすスライド開放機構を設けてなるルーズリーフ綴具。
二枚の基板の相互の隣接箇所のそれぞれに、該基板の正面視で基板の延在方向に対して傾斜するとともに、前記基板の延在方向に沿う相対変位に伴い、互いに接触して摺動する少なくとも一対のガイド傾斜面を設け、前記ガイド傾斜面により、前記スライド開放機構を構成してなる請求項1に記載のルーズリーフ綴具。
二枚の基板の相互の隣接面のそれぞれに、該隣接面から突出する突起部、及び、該突起部に連続して前記隣接面から窪む突起受容溝部を設け、前記突起部から突起受容溝部にかけて、前記ガイド傾斜面を配設してなる請求項2に記載のルーズリーフ綴具。
前記基板の裏面側に、二枚の基板の相互を、前記基板の延在方向に沿う相対変位に抗する向きだけに付勢する弾性部材を配置してなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のルーズリーフ綴具。
前記シャフト把持部又はシャフト連結部の端面に、該端面から窪む係合凹部を設け、該端面に隣接する前記シャフト把持部又はシャフト連結部の端面に、半リング部分の閉鎖位置で前記係合凹部に嵌まり込むとともに、前記基板の延在方向に沿う相対変位に伴い、前記係合凹部から外れる係合凸部を設けてなる請求項4に記載のルーズリーフ綴具。
前記シャフト把持部を筒状とし、該筒状のシャフト把持部の側壁に、該シャフト把持部の軸線方向の全長にわたるスリットを設け、該スリットを、前記係合凸部が嵌り込む係合凹部としてなる請求項5に記載のルーズリーフ綴具。
前記係合凹部を設けた前記シャフト把持部又はシャフト連結部の端面に、前記基板の延在方向に沿う相対変位により前記係合凹部から外れた係合凸部が、半リング部分の開放位置で当接するストッパー面を設けてなる請求項5に記載のルーズリーフ綴具。
前記係合凹部を設けた前記シャフト把持部又はシャフト連結部の端面に、前記基板の延在方向に沿う相対変位により前記係合凹部から外れた係合凸部が、基板の回動変位に際して当接して摺動する凸部スライド領域を、該端面から隆起させて設け、当該凸部スライド領域により、基板の回動変位に伴う前記係合凸部と前記端面との間の摩擦抵抗を増大させてなる請求項5又は7に記載のルーズリーフ綴具。
互いに隣接する前記シャフト把持部又はシャフト連結部のそれぞれの端面に、二組の係合凸部及び係合凹部を設け、それらの係合凸部を、前記半リング部分の開放位置で互いに当接させてなる請求項5、7、8のいずれか一項に記載のルーズリーフ綴具。
【背景技術】
【0002】
この種のルーズリーフ綴具として、出願人は先に、特願2014−080587号で、二枚の基板の回動変位を可能にするシャフトを、基板と一体に形成したものを提案した。
より詳細には、このルーズリーフ綴具101は、
図18(a)及び(b)に示すように、互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の基板102a、102bと、それらの基板102a、102bのそれぞれに形成した複数対の半リング部分103a、103bと、少なくとも一方の基板102a、102bの裏面Bに一体に形成されて、基板102a、102bと平行に延びる一本以上の両端固定シャフト104と、他方の基板102b、102aの裏面Bに一体に形成されて、両端固定シャフト104の周囲を取り囲む一個以上のシャフト把持部105とを具えてなる。
【0003】
このルーズリーフ綴具101によれば、二枚の基板102a、102bが、シャフト把持部105に把持させた両端固定シャフト104の周りで回動変位することができる。
それにより、従来はシャフトとして用いていた金属製の別個の軸部材を不要として、部材点数の削減を図ることができるので、製造時の組立て作業の能率を大きく高めるとともに、製造コストを小さく抑えることができる。
【0004】
図示のルーズリーフ綴具101を使用するに当っては、使用者は、各基板102a、102bの端部に設けた摘み部分107a、107bを把持し、そして、基板102a、102bの裏面B側に配置したコイルばね108の付勢力に抗して、二枚の基板102a、102bを相互に、その延在方向に沿って相対変位させることにより、プレートロック手段109のロックが解除される。
その状態で、半リング部分103a、103bを開く方向に、基板102a、102bを回動変位させることで、半リング部分103a、103bを開放位置に移動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようなルーズリーフ綴具101では、基板102a、102bを延在方向に沿って相対変位させる操作だけでは、半リング部分103a、103bが開かないので、使用者は、基板102a、102bの相対変位の操作の後、半リング部分103a、103bの開放位置に向けて基板102a、102bを回動変位させるという更なる操作を行うことが必要であり、それ故に、ルーズリーフ綴具101の操作性の観点からは改良の余地があった。
【0006】
このことに対しては、上記のコイルばね108として、
図19に示すような、コイル本体部109の巻始端及び巻終端のそれぞれをコイル外周よりも半径方向外側に向けて延長させて脚部110を設けた、いわゆるねじりコイルばね111を用いることにより対処することも可能である。
ねじりコイルばね111を用いる場合、両脚部110によって、半リング部分103a、103bの開く方向に回動変位するべく、基板102a、102bを付勢させることで、基板102a、102bの延在方向の相対変位によるプレートロック手段109のロック解除後、脚部110の付勢力が、基板102a、102bの回動変位をもたらすので、半リング部分103a、103bが開放位置へ自動的に移動することになる。それにより、この場合は、使用者による基板102a、102bの回動変位の操作は不要となる。
【0007】
しかるに、このようなねじりコイルばね111を用いると、ルーズリーフ綴具101を製造するに際し、二枚の基板102a、102bの組立て時に、ねじりコイルばね111を、付勢力に抗して脚部110が所定位置に収まるよう配置する作業が必要になり、このことが、特に量産する場合の製造能率を大きく低下させるという問題がある。
【0008】
この発明は、ルーズリーフ綴具が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、ルーズリーフ綴具の製造能率を低下させることなしに、使用者による基板の相対変位の操作の後の、基板の回動変位の操作を補助し、それにより、ルーズリーフ綴具の操作性を向上させることのできるルーズリーフ綴具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のルーズリーフ綴具は、互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の基板と、それらの基板のそれぞれに形成され、該基板の表面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の半リング部分とを具えてなり、各基板の回動変位により、複数対の半リング部分を、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能としたものであって、
少なくとも一方の基板の裏面に、該裏面から隆起するとともに、基板の延在方向に沿って互いに離隔させて配置した二個以上のシャフト連結部、及び、前記二個以上のシャフト連結部の間で前記裏面から間隔をおいて基板と平行に延びて、各端部がシャフト連結部のそれぞれに固定された一本以上の両端固定シャフトを一体に設けるとともに、他方の基板の裏面で、前記一方の基板の前記両端固定シャフトに隣接する位置に、該両端固定シャフトの周囲を、該両端固定シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設け、前記シャフト把持部に把持させた前記両端固定シャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能とし、二枚の基板の相互の隣接箇所のそれぞれに、前記基板の延在方向に沿う相対変位に伴い、互いに接触して摺動することにより、対をなす半リング部分の先端部を互いに離隔させる基板の回動変位をもたらすスライド開放機構を設けてなるものである。
【0010】
この発明のルーズリーフ綴具では、二枚の基板の相互の隣接箇所のそれぞれに、該基板の正面視で基板の延在方向に対して傾斜するとともに、前記基板の延在方向に沿う相対変位に伴い、互いに接触して摺動する少なくとも一対のガイド傾斜面を設け、前記ガイド傾斜面により、前記スライド開放機構を構成することが好ましい。
ここでは、二枚の基板の相互の隣接面のそれぞれに、該隣接面から突出する突起部、及び、該突起部に連続して前記隣接面から窪む突起受容溝部を設け、前記突起部から突起受容溝部にかけて、前記ガイド傾斜面を配設することがより好ましい。
【0011】
なお好ましくは、前記基板の裏面側に、二枚の基板の相互を、前記基板の延在方向に沿う相対変位に抗する向きだけに付勢する弾性部材を配置する。
ここでいう、「二枚の基板の相互を、前記基板の延在方向に沿う相対変位に抗する向きだけに付勢する弾性部材」とは、基板の延在方向に沿う相対変位に抗する向きの他、半リング部分が開く方向にも付勢する脚部を有するねじりコイルばね等を含まないことを意味する。
【0013】
そしてここでは、前記シャフト把持部又はシャフト連結部の端面に、該端面から窪む係合凹部を設け、該端面に隣接する前記シャフト把持部又はシャフト連結部の端面に、半リング部分の閉鎖位置で前記係合凹部に嵌まり込むとともに、前記基板の延在方向に沿う相対変位に伴い、前記係合凹部から外れる係合凸部を設けることが好ましい。
【0014】
上記の係合凸部及び係合凹部を設ける場合、前記シャフト把持部を筒状とし、該筒状のシャフト把持部の側壁に、該シャフト把持部の軸線方向の全長にわたるスリットを設け、該スリットを、前記係合凸部が嵌り込む係合凹部とすることも可能である。
またこの場合、前記係合凹部を設けた前記シャフト把持部又はシャフト連結部の端面に、前記基板の延在方向に沿う相対変位により前記係合凹部から外れた係合凸部が、半リング部分の開放位置で当接するストッパー面を設けることが好ましい。
【0015】
そしてまた好ましくは、前記係合凹部を設けた前記シャフト把持部又はシャフト連結部の端面に、前記基板の延在方向に沿う相対変位により前記係合凹部から外れた係合凸部が、基板の回動変位に際して当接して摺動する凸部スライド領域を、該端面から隆起させて設け、当該凸部スライド領域により、基板の回動変位に伴う前記係合凸部と前記端面との間の摩擦抵抗を増大させる。
またここでは、互いに隣接する前記シャフト把持部又はシャフト連結部のそれぞれの端面に、二組の係合凸部及び係合凹部を設け、それらの係合凸部を、前記半リング部分の開放位置で互いに当接させることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明のルーズリーフ綴具によれば、二枚の基板の相互の隣接箇所のそれぞれに、基板の延在方向に沿う相対変位に伴って互いに接触して摺動して、対をなす半リング部分の先端部を互いに離隔させる基板の回動変位をもたらすスライド開放機構を設けたことにより、使用者が、基板を延在方向に沿って相対変位させる操作を行うことで、半リング部分が開く方向への基板の回動変位が生じるので、ルーズリーフ綴具の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の一の実施形態に係るルーズリーフ綴具を示す正面図である。
【
図2】
図1のルーズリーフ綴具を構成するプレート部材を示す正面図及び側面図である。
【
図3】
図1のルーズリーフ綴具に設けたスライド開放機構を示す部分拡大斜視図である。
【
図4】
図1のルーズリーフ綴具を、基板の相対変位に基く動作の各状態で示す正面図である。
【
図5】
図1のルーズリーフ綴具に配設することができる弾性部材の正面図である。
【
図8】
図2のプレート部材の背面図及び、その部分拡大図である。
【
図9】
図1のルーズリーフ綴具の部分拡大側面図である。
【
図10】
図1のルーズリーフ綴具が有する凸部スライド領域を示す、プレート部材の部分拡大斜視図である。
【
図11】
図10の凸部スライド領域を、基板の回動変位時の各位置で示すルーズリーフ綴具の部分拡大斜視図である。
【
図12】
図1のルーズリーフ綴具を、半リング部分を開放位置まで開いた状態で示す、
図1のXII―XII線に沿う断面図である。
【
図13】
図1のルーズリーフ綴具を、半リング部分が開いた状態で示す側面図である。
【
図14】
図1のルーズリーフ綴具に設けた開放維持機構付きロック手段を示す、各プレート部材の部分拡大斜視図である。
【
図15】
図1のルーズリーフ綴具に設けた開き規制機構付きロック手段を示す、各プレート部材の部分拡大斜視図である。
【
図17】
図1のルーズリーフ綴具の弾性部材の配置箇所を、弾性部材を取り外した状態で示す部分拡大斜視図である。
【
図18】従来のルーズリーフ綴具を示す正面図及び側面図である。
【
図19】
図18に示すルーズリーフ綴具に用いることができるねじりコイルばねの正面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面に示すところに基き、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に例示するルーズリーフ綴具1は、一方向に向けて延びる略矩形断面の棒状をなす一方の基板2aと、一方の基板2aと平行する向きで隣り合わせに配置した他方の基板2bと、それらの基板2a、2bのそれぞれの外側面S1に形成されて、その外側面S1から基板2a、2bの表面F側に実質的に半円環状に延びる複数対、図では八対の半リング部分3a、3bとを具えてなる。
なお好ましくは、基板2a、2b及び半リング部分3a、3bは、樹脂材料で形成したプラスチック製のものとする。
【0019】
ここで、図示しないルーズリーフ等の用紙に設けられる複数個の貫通穴のそれぞれに挿入されて、当該用紙を係留させるべく機能する半リング部分3a、3bは、それらを形成した基板2a、2bを、その裏面B側に設ける後述の両端固定シャフトのようなシャフトの周りで回動変位させることにより、先端部4a、4bが互いに接近して、
図1に示すようにリング形状を形成する閉鎖位置と、先端部4a、4bが互いに離隔する開放位置との間を移動可能に構成される。
それにより、半リング部分3a、3bの開放位置では、用紙の着脱を行うことができるとともに、半リング部分3a、3bの閉鎖位置では、該用紙を綴じ込んで保持することができる。
【0020】
上記のルーズリーフ綴具1を使用者が操作するには、使用者は、はじめに、後述するような、半リング部分3a、3bを閉鎖位置で拘束するロック手段のロックを解除するため、それぞれの基板2a、2bの端部に設けた摘み部分5a、5bを把持した状態で、一方の基板2aと他方の基板2bとを、その延在方向(
図1では左右方向)に沿って相対変位させる。
【0021】
そしてその後、従来は、たとえば、摘み部分を把持しつつ、さらに対をなす半リング部分のそれぞれを把持する等して、半リング部分を開放位置へ移動させるべく基板を回動変位させる操作が必要であったが、この発明では、このような基板の回動変位の操作を補助するため、基板2a、2bの相互の隣接箇所のそれぞれに、前記基板2a、2bの延在方向に沿う相対変位に伴い、互いに接触して摺動することにより、対をなす半リング部分3a、3bの先端部4a、4bを互いに離隔させる基板2a、2bの回動変位をもたらすスライド開放機構6を設ける。
【0022】
かかるスライド開放機構6を詳説すると、この実施形態では、
図2に、ルーズリーフ綴具1を構成する二個のプレート部材7a、7bのうちの一方のプレート部材7bを示すように、また
図3に、そのスライド開放機構6を拡大して示すように、二枚の基板2a、2bの相互の隣接面である内側面S2に、その内側面S2から突出する突起部8、及び、突起部8に連続して内側面S2から窪む突起受容溝部9を設けることにより、それらの突起部8から突起受容溝部9にかけて、基板2a、2bの正面視で基板2a、2bの延在方向に対して所要の角度で傾斜するガイド傾斜面10を形成し、スライド開放機構6を構成する。
ここでは、他方のプレート部材7aにも、同様の突起部8及び突起受容溝部9とガイド傾斜面10を形成している。
【0023】
上記のスライド開放機構6を設けたルーズリーフ綴具1では、使用者が、
図4(a)に示すように、二枚の基板2a、2bを、その延在方向に沿って相対変位させると、一方の基板2a、2bに設けた突起部8が、同図に矢印で示すように、他方の基板2b、2aに設けた突起受容溝部9内を、ガイド傾斜面10側に向けてスライドする。
次いで、使用者が、二枚の基板2a、2bをさらに相対変位させることにより、一方の基板2a、2b及び他方の基板2b、2aのそれぞれのガイド傾斜面10が互いに接触し、それにより、使用者による基板2a、2bの延在方向の力の向きが、それらのガイド傾斜面10で、
図4(b)に白抜き矢印で示すように、基板2a、2bを回動変位させる向きに変換される。
その結果として、互いに接触するガイド傾斜面10の摺動に伴って、それぞれの基板2a、2bに設けた突起部8が互いに乗り上げることにより、
図4(b)に示すように、半リング部分3a、3bが開く方向に、基板2a、2bが回動変位することになる。
【0024】
従って、このルーズリーフ綴具1によれば、使用者は、基板2a、2bを延在方向に沿って相対変位させる操作を行うだけで、基板2a、2bの回動変位に基く、半リング部分3a、3bの少なくとも初期の開放動作をもたらすことができるので、半リング部分3a、3bを開く際の、使用者によるルーズリーフ綴具1の操作性を大きく向上させることができる。
【0025】
また、先述したように、ねじりコイルばねを用いて、その両脚部を二枚の基板の間に挟み込んで配置することにより、基板の自動的な回動変位を実現することも可能であるが、このようなねじりコイルばねの配置は、ルーズリーフ綴具を製造する際の、二枚のプレート部材を組み立てる作業の作業性を低下させることから、特にルーズリーフ綴具の量産には適さない場合があった。
これに対し、この発明の実施形態のルーズリーフ綴具1では、
図5に示すような通常のコイルばねのように、二枚の基板2a、2bの相互を、延在方向に沿う相対変位に抗する向きだけに付勢する弾性部材RMを、
図6に示すように、基板2a、2bの裏面B側に配置した場合であっても、使用者による基板2a、2bの相対変位の操作により、上述したスライド開放機構6の機能に基き、半リング部分3a、3bが開く方向への基板2a、2bの回動変位を生じさせることが可能になるので、ねじりコイルばねを用いることが不要になって、製造能率の観点からも有利である。
【0026】
なお、上記のスライド開放機構6のように、基板2a、2bのそれぞれに、対をなすガイド傾斜面10を設けることは、この発明の必須の構成ではない。たとえば、図示は省略するが、一方の基板に、延在方向に対して傾斜する傾斜面を設けるとともに、他方の基板に、その傾斜面上をスライドする突起状部分を設けること等によっても、基板の相対変位に伴う回動変位を実現することができる。つまり、二枚の基板の相互の隣接箇所に、使用者が作用させる延在方向の力の向きを、半リング部分が回動変位する向きに変換することのできる形状等が形成されていればよい。
【0027】
ところで、この実施形態のルーズリーフ綴具1では、
図6に示すところから解かるように、半リング部分3a、3bの開放位置と閉鎖位置との間の移動をもたらす基板2a、2bの回動変位を実現するため、少なくとも一方の基板2a、2bの裏面Bに、その裏面Bから隆起するとともに、基板2a、2bの延在方向に沿って互いに離隔して位置する二個以上の円柱状等のシャフト連結部11を、一方の基板2a、2bと一体に設け、そして、シャフト連結部11の間に、裏面Bから一定の間隔をおいて基板2a、2bと平行に延びる両端固定シャフト12を設け、その両端固定シャフト12の各端部を、シャフト連結部11のそれぞれに一体的に連結する。また、他方の基板2b、2aの裏面Bには、基板2a、2bの延在方向で前記の両端固定シャフト12の配設位置と対応する隣接位置に、両端固定シャフト12の周囲を、その周方向の一部を除いて取り囲むシャフト把持部13を、他方の基板2b、2aと一体に設ける。
そしてここでは、他方の基板2b、2aのシャフト把持部13を、一方の基板2a、2bの両端固定シャフト12にその周囲を囲繞させて嵌め込むことで、両基板2a、2bを相互に連結するとともに、シャフト把持部13が両端固定シャフト12の周りで相対的に摺動変位可能とし、それにより、基板2a、2bを、その両端固定シャフト12の周りで回動変位させることができる。
【0028】
この構成によれば、基板2a、2bのそれぞれに一体形成した両端固定シャフト12及びシャフト把持部13によって、基板2a、2bの回動変位が可能になるので、金属製等の軸部材を別途設けることが不要になり、その結果として、部材点数の削減に起因する製造能率の向上、材料コストの低減を実現することができる。
【0029】
また、この実施形態では、いずれの基板2a、2bも、その延在方向の中央域を隔てた一方側に、一本以上の両端固定シャフト12及び二個以上のシャフト連結部11を設け、また、延在方向の他方側に、一個以上のシャフト把持部13を設けている。さらにここでは、延在方向の中央域を隔てて位置するそれらの両端固定シャフト12とシャフト把持部13の配設本数ないし個数を、互いに等しい数(たとえば三本ないし三個)とし、一方のプレート部材7aと他方のプレート部材7bを同一の形状としている。
【0030】
そしてまた、このルーズリーフ綴具1では、シャフト把持部13は、たとえば円筒等の筒状をなすものとし、この筒状のシャフト把持部13の側壁には、
図6、7に示すように、基板2a、2bの延在方向と平行なその軸線方向の全長にわたって延びるスリット13aを設けている。このスリット13aにより、シャフト把持部13内への両端固定シャフト12の嵌込みが可能になる。
【0031】
ここにおいて、この発明では、
図6及び7に示すように、上述したシャフト把持部13及びシャフト連結部11のうち、互いに隣接するシャフト把持部13又はシャフト連結部11の端面に、該端面から窪む係合凹部14を設け、その端面に隣接するシャフト把持部13又はシャフト連結部11の端面に、半リング部分3a、3bの閉鎖位置で前記係合凹部14に嵌まり込むとともに、基板2a、2bの延在方向に沿う相対変位に伴い、係合凹部14から外れる係合凸部15を設けることが好ましい。
図6及び7に示すところでは、一部のシャフト把持部13及びシャフト連結部11で、シャフト把持部13に設けたスリット13aに、上記の係合凸部15を係合させており、このスリット13aを係合凹部14として用いることも可能である。
【0032】
これらの係合凹部14及び係合凸部15は、半リング部分3a、3bの閉鎖位置では互いに係合して、半リング部分3a、3bを閉鎖位置で拘束するロック手段として機能する。
一方、使用者が、半リング部分3a、3bを開くために、基板2a、2bをその延在方向に沿って相対変位させた場合、係合凸部15は、係合凹部14から外れてロックが解除され、その後、先述したスライド開放機構6の機能に基いて、半リング部分3a、3bが開く方向に基板2a、2bが回動変位するに伴って、係合凸部15は、係合凹部14を設けたシャフト把持部13又はシャフト連結部11の端面上を、所定の摩擦力の作用の下でスライドする。
【0033】
このとき、シャフト把持部13又はシャフト連結部11の端面と、そこをスライドする係合凸部15との間の摩擦抵抗を増大させて、半リング部分3a、3bが開放位置へ至るまでの開き具合を調整するため、
図8に、一方のプレート部材7bの背面図で示すように、係合凹部14を設けたシャフト把持部13又はシャフト連結部11の端面に、基板2a、2bの延在方向に沿う相対変位によりその係合凹部14から外れた係合凸部15が、基板2a、2bの回動変位に際して当接して摺動する凸部スライド領域16を、端面から隆起させて設けることが好適である。
【0034】
この実施形態では、上記の凸部スライド領域16を、
図9及び
図10に拡大して示すように、シャフト把持部13の端面で、係合凹部としても機能するスリット13aと基板2a、2bの裏面Bとの間の位置に突出させて設けることとし、この凸部スライド領域16に、基板2a、2bの裏面Bからスリット13a側に向かうに従い突出高さを漸減させて形成したスライド面16aを形成している。さらにここでは、凸部スライド領域16の、スライド面16aと隣り合う側面を、ストッパー面16bとする。
なお、この凸部スライド領域16は、シャフト把持部13の端面及び、基板2a、2bの裏面Bに一体に形成されている。
【0035】
このような凸部スライド領域16を設けたルーズリーフ綴具1によれば、先述したように係合凹部14及び係合凸部15によるロックが解除された後、基板2a、2bの回動変位に伴って、
図11(a)に示すように、凸部スライド領域16を設けたシャフト把持部13では、隣接するシャフト連結部11の端面の係合凸部15が、凸部スライド領域16のスライド面16a上に乗り上げて、弾性部材RMによる付勢力の作用下で、そのスライド面16a上をスライドする。
【0036】
そして、係合凸部15が、凸部スライド領域16のスライド面16aを超えたところで、弾性部材RMによる延在方向の付勢力に基き、係合凸部15は、
図11(b)に示すように、凸部スライド領域16を超えた先に落ち込んで、凸部スライド領域16のストッパー面16bと当接する。これにより、半リング部分3a、3bが、
図12に示すように、所定の開き角度θとなる開放位置に到達した際に、係合凸部15と凸部スライド領域16のストッパー面16bとの当接が、半リング部分3a、3bの閉鎖位置に戻る向きの基板2a、2bの回動変位を防止するので、半リング部分3a、3bの開き角度θが維持されることになる。なお、シャフト把持部13の端面からの凸部スライド領域16の突出高さを低くすることで、使用者が半リング部分3a、3bが閉じる方向へ僅かに力を作用させることによって、係合凸部15が凸部スライド領域16を乗り越えて、半リング部分3a、3bを閉鎖位置に移動させることができる。なお
図13に、ルーズリーフ綴具1の半リング部分3a、3bが開いた状態を側面図で示す。
【0037】
このような係合凹部14(スリット13a)及び係合凸部15並びに凸部スライド領域16は、半リング部分3a、3bの閉鎖位置では、基板2a、2bの相対変位なしに半リング部分3a、3bが開くことを防止する一方で、半リング部分3a、3bの開放位置では、半リング部分3a、3bが意図せずに閉じることを抑制して半リング部分3a、3bの開放状態を維持するべく機能する開放維持機構付きロック手段Lcを構成する。開放維持機構付きロック手段Lcを構成する係合凹部14(スリット13a)及び係合凸部15並びに凸部スライド領域16を、
図14(a)及び(b)に、各プレート部材の部分拡大斜視図で示す。
【0038】
この他のロック手段として、一方の基板2a、2bに設けた一個の係合凹部14及び、他方の基板2b、2aに設けた一個の係合凸部15だけで構成されて、半リング部分3a、3bの閉鎖位置で半リング部分3a、3bが開くことを防止する機能のみを有する通常のロック手段や、半リング部分3a、3bの閉鎖位置での半リング部分3a、3bの開放防止機能とともに、半リング部分3a、3bの開放位置で所定の開き角度θを越えて開放することを防止する機能を付与した開き規制機構付きロック手段Loを設けることもできる。
【0039】
このうち、開き規制機構付きロック手段Loは、
図15に示すように、たとえば、両基板2a、2bの互いに隣接するシャフト把持部13及びシャフト連結部11のそれぞれに設けた二組の係合凸部15及び係合凹部14で構成することができる。より詳細には、
図15に示すところでは、一方の基板2aのシャフト把持部13に、スリット13aとしての係合凹部14を設けるとともに、当該シャフト把持部13の端面に、係合凸部15を前記スリット13aから周方向に間隔をおいて設けている。また他方の基板2bのシャフト連結部11には、一方の基板2a側の前記係合凸部15に対応する係合凹部14と、一方の基板2a側の前記スリット13aに対応する係合凸部15を設けている。
【0040】
かかる開き規制機構付きロック手段Loによれば、二枚の基板2a、2bをその延在方向に沿って相対変位させることで、二組の係合凸部15及び係合凹部14のそれぞれのロックが解除され、その後、半リング部分3a、3bが所定の開き角度θの開放位置まで開いた際に、二組の係合凸部15及び係合凹部14のうちのそれぞれの係合凸部15が、
図16に断面図で示すように互いに当接することにより、半リング部分3a、3bがその開き角度θを越えて開放することを防止することができて、半リング部分3a、3bの更なる開放が制限されることになる。
【0041】
なおこの開き規制機構付きロック手段Loでは、他方の基板2b側のシャフト連結部11に設けた係合凸部15に、
図15(a)に示すように、該係合凸部15を一方の基板2a側に向けて延長させる凸部延長箇所15aを形成し、また、一方の基板2aのシャフト把持部13のスリット13aの該基板2a側の部分に、
図15(b)に示すように、半リング部分3a、3bの閉鎖状態で上記の凸部延長箇所15aが入り込む受容スペース13bを、基板2a側に窪ませて形成している。
これらの凸部延長箇所15a及び受容スペース13bは、半リング部分3a、3bの閉鎖状態で互いに係合して、半リング部分3a、3bの閉鎖状態での基板2a、2bの相互の意図しない離隔をより確実に防止する。なお、基板2a、2bを延在方向に相対変位させると、凸部延長箇所15aは、基板2a、2bの延在方向に沿って変位して、受容スペース13bから外れ、それらの係合状態が解除される。
【0042】
なお、上述した通常のロック手段、開放維持機構付きロック手段Lc及び開き規制機構付きロック手段Loは、そのうちの一種類以上を選択的に設けることができ、また、各ロック手段を二個以上設けることもできる。
【0043】
以上に述べたルーズリーフ綴具1では、弾性部材RMとして、ねじりコイルばねに代えて通常のコイルばねを用いることができることは先述したとおりであるが、このような通常のコイルばねは、ルーズリーフ綴具1の、
図17に示す箇所に配置することができる。
すなわち、
図17に示すところでは、基板2a、2bの延在方向の中央域に近接する二個のシャフト連結部11のそれぞれの、互いに向き合う端面に、その端面を先端側に向けて次第に小径としたテーパ凸状のばね受け部17を形成している。これらのテーパ凸状のばね受け部に、コイルばねの端部を嵌め込むことにより、コイルばねを配置することができる。
【0044】
また、上記のテーパ凸状のばね受け部17を採用するか否かに関わらず、基板2a、2bの外側面S1には、
図17に示すような、コイルばねをその半径方向の両側から挟むサポート壁部18を設けることができ、それにより、コイルばねの意図しない外れを防止することができる。
【課題】ルーズリーフ綴具の製造能率を低下させることなしに、使用者による基板の相対変位の操作の後の、基板の回動変位の操作を補助し、それにより、ルーズリーフ綴具の操作性を向上させることのできるルーズリーフ綴具を提供する。
【解決手段】二枚の基板2a、2bの相互の隣接箇所のそれぞれに、基板2a、2bの延在方向に沿う相対変位に伴い、互いに接触して摺動することにより、対をなす半リング部分3a、3bの先端部4a、4bを互いに離隔させる基板2a、2bの回動変位をもたらすスライド開放機構6を設ける。