特許第5792407号(P5792407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5792407
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】線状導体接続用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   H01R4/48 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-50083(P2015-50083)
(22)【出願日】2015年3月12日
【審査請求日】2015年3月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英生
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−052774(JP,A)
【文献】 実開昭60−107576(JP,U)
【文献】 特開2011−100751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状導体の挿入孔を有するハウジングと、
挿入孔から挿入した線状導体と基板とを導通接続する端子とを備える線状導体接続用コネクタにおいて、
ハウジングが、挿入孔に通じる線状導体のガイド溝と、ガイド溝の溝底面に形成されており端子による線状導体の保持を解除する解除部材の差込孔を備えており、
端子が、挿入孔から挿入された線状導体と接触する弾性接触片を備えており、
弾性接触片が、線状導体を押圧挟持する接触保持部と、差込孔から挿入された解除部材の押圧を受けて接触保持部を反押圧方向へ広げて線状導体の押圧挟持を解除する接触解除部とを有することを特徴とする線状導体接続用コネクタ。
【請求項2】
ガイド溝が、挿入孔を有するハウジングの前面と隣接する側面に開口する導入口を有する請求項1記載の線状導体接続用コネクタ。
【請求項3】
ガイド溝が、一端側よりも挿入孔側が狭くなる形状に形成されている請求項1または請求項2記載の線状導体接続用コネクタ。
【請求項4】
差込孔が、線状導体の外形よりも小さく形成されている請求項1〜請求項3何れか1項記載の線状導体接続用コネクタ。
【請求項5】
弾性接触片が板状片であり、その板縁に前記接触保持部と接触解除部とが形成されている請求項1〜請求項4何れか1項記載の線状導体接続用コネクタ。
【請求項6】
接触保持部が、弾性接触片の板縁に設けたエッジ部でなる請求項1〜請求項5何れか1項記載の線状導体接続用コネクタ。
【請求項7】
接触解除部が、弾性接触片の板縁に設けた曲面部でなる請求項1〜請求項6何れか1項記載の線状導体接続用コネクタ。
【請求項8】
接触保持部のエッジ部と接触解除部の曲面部が、弾性接触片における同一の板縁上に形成されている請求項6または請求項7記載の線状導体接続用コネクタ。
【請求項9】
ハウジングが複数の挿入孔と差込孔とガイド溝とを有し、挿入孔ごとに弾性接触片を有する請求項1〜請求項8何れか1項記載の線状導体接続用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル電線等の線状導体を基板に接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチや電気素子等の電気部品に接続されているケーブル電線を基板の回路に対して効率的な作業で確実に導通接続するためにコネクタが使用されている。このコネクタは基板に実装されており、樹脂材でなる被覆を除去した電線(線状導体)をハウジングに開口する挿入口から挿入し、挿入口の先に備える端子によって押圧挟持されることで、コネクタに対して導通接続される。そのようなコネクタが備える端子は、線状導体の挿入方向に対して傾斜する接触片を有しており、挿入方向では接触片の傾斜によって挿入抵抗を小さくして容易に挿入することができ、抜去方向では接触片の板縁が線状導体に対して噛み込むことで確実に抜け止めできるという端子構造を有するものが一般的である(そうした端子の一例として特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−97059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記コネクタを備える電気機器によっては、線状導体を有する電気部品を修理したり交換することが必要とされる場合がある。しかしながら従来のコネクタでは線状導体を端子で押圧挟持して引き抜くことができず、それを無理矢理引き抜くと線状導体が損傷して再利用できなくなってしまうため、電気部品を交換する場合にはコネクタを実装した基板ごと換装しなければならないという不都合がある。
【0005】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は、押圧挟持した線状導体を取り外すことができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明は以下のように構成される。
【0007】
本発明は、線状導体の挿入孔を有するハウジングと、挿入孔から挿入した線状導体と基板とを導通接続する端子とを備える線状導体接続用コネクタについて、ハウジングが、端子による線状導体の保持を解除する解除部材の差込孔を備えており、端子が、挿入孔から挿入された線状導体と接触する弾性接触片を備えており、弾性接触片が、線状導体を押圧挟持する接触保持部と、差込孔から挿入された解除部材の押圧を受けて接触保持部を反押圧方向へ広げて線状導体の押圧挟持を解除する接触解除部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、弾性接触片の接触保持部が線状導体を押圧挟持する一方で、接触解除部が差込孔から挿入された解除部材の押圧を受けることで、接触保持部を反押圧方向へ広げて線状導体の押圧挟持を解除する。したがって押圧挟持した線状導体であっても取り外すことができる。そして線状導体を取り外すには、ハウジングに備える差込孔に解除部材を押し込めばよいので、解除操作を容易に行うことができる。
【0009】
前記ハウジングは、挿入孔に通じる線状導体のガイド溝を有することができる。これによれば線状導体をガイド溝に沿わせることで挿入孔に誘導することができるので細線であっても容易に挿入孔への挿入作業を行える。
【0010】
前記ガイド溝は、挿入孔を有するハウジングの前面と隣接する側面に開口縁を有することができる。ガイド溝の導入口がハウジングの前面と隣接する側面に開口するので、前面のみならず側面の開口からも線状導体をガイド溝の中に入れることが可能となり、細線であっても容易にガイド溝への挿入作業が行える。
【0011】
前記ガイド溝は、一端側よりも挿入孔側が狭くなる形状に形成することができる。これによれば溝幅の広い一端側で線状導体をガイド溝へ容易に挿入することができ、挿入孔への誘導も容易に行える。
【0012】
前記差込孔は、ガイド溝の底面に形成することができる。これによれば解除部材をもガイド溝を伝って差込孔に挿入することができる。また、ガイド溝以外の部分に差込孔を形成する場合と比べてハウジングを小さくすることができる。
【0013】
前記差込孔は、線状導体の外形よりも小さく形成することができる。これによれば線状導体の差込孔への誤挿入が起こり得ない。そして線状導体を挿入孔へ確実に挿入することができる。
【0014】
前記弾性接触片が板状片であり、その板縁に前記接触保持部と接触解除部とを形成することができる。接触保持部と接触解除部を弾性接触片の板縁に形成するので、解除機能を持ちつつも端子構造は簡易にすることができる。
【0015】
前記接触保持部が、弾性接触片の板縁に設けたエッジ部で形成することができる。これによればエッジ部の角で線状導体と導通接触することができ、また確実に抜け止めすることもできる。
【0016】
前記接触解除部が、弾性接触片の板縁に設けた曲面部で形成することができる。解除部材は解除時には接触解除部に挿入され、線状導体を取り外した後は接触解除部から抜き取られる。接触解除部を曲面部とすることで、そうした解除部材の抜き差しを容易に行うことができる。
【0017】
前記接触保持部のエッジ部と接触解除部の曲面部は、弾性接触片における同一の板縁上に形成できる。接触保持部のエッジ部と接触解除部の曲面部を1つの板縁上に設けることで、解除部材により接触解除部を押し広げるのと連動して接触保持部も広がり線状導体に対する押圧挟持を解除する。したがって解除操作を確実に行うことができる。
【0018】
前記ハウジングが複数の挿入孔と差込孔とガイド溝とを有し、挿入孔ごとに弾性接触片を有するものとすることができる。これによれば複数本の線状導体を一括してそれぞれガイドしながら挿入孔に挿入して導通接続することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、線状導体を確実に押圧挟持することができ、しかも押圧挟持を解除して線状導体を取り外すことができる。したがって線状導体を備える電気部品のみを交換することが可能となり、コネクタを備える基板ごと交換する不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態によるコネクタの正面、平面、右側面を含む外観斜視図。
図2図1のコネクタの正面、底面、右側面を含む外観斜視図。
図3図1のコネクタの正面図。
図4図1のコネクタの背面図。
図5図1のコネクタの平面図。
図6図1のコネクタの底面図。
図7図1のコネクタの右側面図。
図8図1のコネクタに備える端子の正面、底面、右側面を含む外観斜視図。
図9図8の端子の正面図。
図10図8の端子の背面図。
図11図8の端子の底面図。
図12図8の端子の底面、背面、右側面を含む外観斜視図。
図13図1のコネクタの使用状態を表す説明図。
図14図1のコネクタに電線を接続する過程を示す説明図。
図15図8の端子の動きを示す説明図。
図16図1のコネクタに解除ピンを挿入する過程を示す説明図。
図17】ガイド溝の変形例1を示す図。
図18】ガイド溝の変形例2を示す図。
図19】ガイド溝の変形例3を示す図。
図20】ガイド溝の変形例4を示す図。
図21】ガイド溝の変形例5を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のコネクタの好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では「線状導体」として絶縁性の樹脂被覆W1と導電性の芯線W2とを有する電線Wを例示する。以下の説明では便宜上、前・後・左・右、上・下という用語を使って説明し、また図中の矢示「X」で示す方向は長手方向、幅方向等として、矢示「Y」で示す方向は高さ方向等として、矢示「Z」で示す方向は電線や解除ピンの挿入方向等として説明するが、それらはいずれも使用や実装の向きや方向を限定するものではない。
【0022】
実施形態〔図1図16
【0023】
コネクタ1は、図1図2等で示すように、電気絶縁性の樹脂材でなるハウジング2と、導電性金属板の成形体でなる端子3と、固定金具4とを備える。ハウジング2はブロック状に形成されており、前面2a、後面2b、上面2c、底面2d、右側面2e、左側面2fにて形成されている。コネクタ1は、ハウジング2の後面2bが基板Bに載置されて実装される。したがって、コネクタ1は上面2c底面2d、右側面2e、左側面2fが基板Bに対して垂直となるように縦置きした状態で基板Bに実装される。
【0024】
前面2aには、それぞれ電線Wを挿入する2つの挿入孔5が形成されている。2つの挿入孔5の孔軸間ピッチは、一実施例では約5mmであり、そして電線Wの樹脂被覆W1は外径1.3mm、芯線W2が外径0.48mmである。本実施形態のコネクタ1は、そのサイズに限定されるものではないが、前面2aの長手方向Xが約10mmとなるような小さなサイズの線状導体接続用小型コネクタとして実施するものである。挿入孔5は、図3で示すように円形とされており、図14で示すように、開口端側から導入部5aと芯線挿入部5bが貫通して形成されている。
【0025】
このうち導入部5aには、開口端側から内径の異なる大径テーパー面状の前側ガイド部5a1、円筒面状の中間ガイド部5a2、小径テーパー面状の後側ガイド部5a3が形成されており、芯線挿入部5bに向けて内径を段階的に絞るように形成されている。導入部5aに続く芯線挿入部5bは、内径が孔軸方向Zで均一な円筒面にて形成されている。
【0026】
以上のような挿入孔5には、図14で示すように電線Wが挿入される。即ち、芯線W2が、挿入孔5の前側ガイド部5a1、中間ガイド部5a2に挿入され、さらに後側ガイド部5a3により誘導されて芯線挿入部5bに挿入される。そして挿入を続けると、樹脂被覆W1が後側ガイド部5a3に当接する。樹脂被覆W1の直径は、中間ガイド部5a2の直径より小さく芯線挿入部5bの直径より大きいことから、後側ガイド部5a3に当接した時点で挿入が停止する。それによって電線Wがコネクタ1に導通接続される。
【0027】
また前面2aには、挿入孔5ごとにガイド溝6が形成されている。ガイド溝6は前面2aに開口するのみならず隣接する上面2cにも開口する。即ち、上面2cに開口縁6aを有することで、前面2aからガイド溝6に電線Wを挿入するのではなく、上面2cから挿入することもでき、細い電線Wであっても容易に挿入作業が行えるようにしている。また後述するように電線Wの挿入状態の確認を容易に行うことができる。
【0028】
ガイド溝6は、開孔縁6aから続く底面6bとその両側に起立する側面6cにて形成されており、挿入孔5に連通する連通端部6dを有する。ガイド溝6は、開口端6aが最も深溝に形成されており、そこから連通端部6dに近づくにつれて浅溝となるように形成されている。連通端部6dよりも開口端6aを深溝形状とすることで開口端6aの間口が大きく広がるため、上面2cの側からガイド溝6の中に細い電線Wを入れやすくすることができる。
【0029】
また、開口端6aを深溝とすると、挿入孔5に電線Wが正しく挿入されているかを上面2cの側から目視で容易に確認することができる。前述のように電線Wが挿入孔5に正しく挿入されると、樹脂被覆W1は後側ガイド部5a3のテーパー面に当接する。そして、ガイド溝6における連通端部6dの底面6bの位置は、挿入孔5の中間ガイド部5a2の略中間に位置しており、正しく挿入されている樹脂被覆W1の先端よりも挿入孔5の開孔縁の側に位置する。したがって、上面2cの側から目視した場合に、樹脂被覆W1の先端がガイド溝6の連通端部6dの底面6bに対して挿入孔5の開孔縁の側に存在しなければ、電線W1が正しく挿入孔5に挿入されていると判断できる。この確認をする際に、底面6bが開孔縁6aが深溝形状であると、電線Wに対して底面6bが鈍角に大きく開くことから、上面2cの側からの目視による観察を容易にすることができる。
【0030】
さらにガイド溝6は、開口端6aから連通端部6dに向かうにつれて溝幅が狭くなる形状となっている。したがって、溝幅の広い開口端6aによって電線Wをガイド溝6へ容易に挿入することができ、また溝幅の狭い連通端部6dによって電線Wの挿入孔5への誘導を容易且つ確実に行うことができるようになっている。
【0031】
ガイド溝6には、連通端部6dと隣接して差込孔7が形成されている。差込孔7は端子3によって電線Wを押圧挟持して抜け止めしている状態を解除するための解除ピン(解除部材)Pを差し込む部位である(図16参照)。差込孔7は、図3で示すように断面矩形状の孔として形成されており、したがって解除ピンPもそれに対応して断面矩形状のピン部材が使用される。矩形状に開孔する差込孔7は、短手となる高さ方向Yの長さは電線Wの芯線W2の直径より短く、長手となる幅方向Xの長さは電線Wの芯線W2の直径より長くなるように形成されている。したがって差込孔7に対する電線Wの挿入は構造的に阻止されるので、電線Wの誤挿入は生じ得ない。見方を変えると電線Wは、挿入孔5だけにしか挿入することができない。
【0032】
ハウジング2の内部には、電線Wの挿入孔5と解除ピンPの差込孔7と連通する内部空間を有する接続室2gが形成されている。この接続室2gの内部で電線Wの芯線W2が端子3によって押圧挟持されて導通接続し、また解除ピンPによってその押圧挟持を解除するようになっている。
【0033】
端子3は、挿入孔5ごと、即ち電線Wごとにハウジング2に設けられている。端子3は図8図12で示すように、導電性の金属薄板により形成したもので、縦長形状の基部3aと、基部3aの下端に屈曲形成した基板接続部3bと(図12参照)、基部3aの上端に屈曲形成した一対の弾性接触片3cが形成されている。
【0034】
基部3aには、その下端の両側面にハウジング2の端子取付溝2h(図4参照)に噛み込ませる固定爪部3a1が形成されている。端子3はここでハウジング2に固定される。
【0035】
基板接続部3bは、基板Bの回路接点(図示略)に対してはんだ付けされて表面実装される。
【0036】
弾性接触片3cは、基部3aに繋がる弾性支持片3c1と、弾性支持片3c1に繋がる接触片3c2とを有する。弾性支持片3c1と基部3aとは屈曲ばね形状の第1連結部3c3で繋がり、弾性支持片3c1と接触片3c2とは湾曲ばね形状の第2連結部3c4で繋がっている。
【0037】
一対の弾性支持片3c1はそれぞれ矩形状に形成され、平行に対向するように配置されている。これに対して一対の接触片3c2は、第2連結部3c4によって電線Wの挿入方向Zに対して傾斜するように配置されている。したがって、互いに向き合う接触片3c2どうしの間隔は、挿入方向Zで次第に狭くなるように形成されている。
【0038】
第1連結部3c3は、互いに向き合う弾性接触片3cを離れて開く方向Xに変位させるばね部(変位支点)として機能する。したがって弾性接触片3cは、第1連結部3c3を変位支点として回動して開くように変位する。また、第2連結部3c4は、互いに向き合う接触片3c2を全体として離れて開く方向Xに変位させるばね部(変位支点)として機能するものである。即ち接触片3c2は、第2連結部3c4を変位支点として回動して開くように変位するものである。
【0039】
ここで、ハウジング2の内部における弾性支持片3c1の位置について見ると、図14で示すように、ハウジング2の接続室2の側に開口する芯線挿入部5bと差込孔7の終端は、電線Wと解除ピンPの挿入方向Zで、弾性支持片3c1を超えて互いに向かい合う第2連結部3c4の間に位置している。したがって、電線Wが挿入の途中で弾性支持片3c1の板縁に当接して挿入不能となるような不具合はない。解除ピンPも同様である。
【0040】
第2連結部3c4に支持される一対の接触片3c2は、互いに向き合う各板縁3c5にエッジ部3c6と曲面部3c7が形成されている。
【0041】
エッジ部3c6は「接触保持部」として機能し、その板縁3c5の角で電線Wの芯線W2に噛み込んで押圧挟持する部分であり、ここで芯線W2が抜け止めされる。曲面部3c7は「接触解除部」として機能し、前述した解除ピンPの挿入による押圧を受ける部分であり、挿入と抜去を少ない抵抗で行えるように角を落とした曲面形状としている。
【0042】
このように接触片3c2の一辺の板縁3c上に、エッジ部3c6と曲面部3c7を設けているため、押圧挟持する電線Wの解除機能を持ちつつも端子構造自体は簡易にすることができる。
【0043】
また、解除ピンPにより曲面部3c7を押圧して接触片3c2を押し広げれば、自ずとそれに連動してエッジ部3c6も広がって芯線W2に対する押圧挟持を解除する。したがって、解除操作を確実に行うことができるようになっている。
【0044】
次に、本実施形態のコネクタ1の使用方法を説明する。
【0045】
図13で示すように、基板Bに実装されたコネクタ1に対して電線Wを接続する。先ず、電線Wの樹脂被覆W1を除去した芯線W2の先端を、ハウジング2の上面2cから近づけて、開孔縁6aからガイド溝6の中に図13で上から下に撫でるようにして挿入する。続けてそのままガイド溝6の底面6bに沿わせるようにして挿入孔5まで移動させ、導入部5aにまで到達したならば、そのまま内部に電線Wを押し込むようにする。
【0046】
その押し込みによって芯線W2は、導入部5aによりガイドされて芯線挿入部5bに入り込み、そのままハウジング2の内部の接続室2gに入り込む。芯線W2の先端は、図14で示すように、芯線挿入部5bを通過して接続室2gに入り込んだ時点で、既に端子3における互いに向き合う一対の接触片3c2の間に位置している。ここからさらに押し込まれると、芯線W2の先端が接触片3c2と接触してこれを押し広げる。そしてそのままエッジ部3c6の間に押し込まれていき、樹脂被覆W1の先端が挿入孔5の後側ガイド部5a3と接触すると挿入が停止する。このようにして電線Wを端子3に導通接続することができる。
【0047】
この導通接続した状態では、電線Wに抜去方向Zへの力が作用しても、接触片3c2のエッジ部3c6が芯線W2に噛み込んで抜け止めされる。したがって確実な導通接触を維持することができる。
【0048】
次に、一旦挿入した電線Wを抜き取るには、図16で示すように、電線Wを接続した状態で、解除ピンPを電線Wと同様にガイド溝6を利用して差込孔7まで移動させ、そこに到達したならば、そのまま内部に押し込むようにする。
【0049】
その押し込みによって解除ピンPは直線状の差込孔7を通過してハウジング2の接続室2gに突入する。そしてそのまま押し込まれると、芯線W2を押圧挟持している一対の接触片3c2の間に到達して接触する。そして第2連結部3c4のばね力と、第1連結部3c3のばね力による抵抗に対抗して強く押し込むと接触片3c2が押し広げられて、解除ピンPは曲面部3c7を滑るように通過する。その接触片3c2が押し広げられて解除ピンPが曲面部3c7を通過したときに、作業者は手元でクリック感を感得することができる。このクリック感が発生すると、芯線W2に対する接触片3c2の押圧挟持は解除されて、電線Wを難なくコネクタ1から引き抜くことが可能となる。即ち、図15で示すように、接触片3c2が芯線W2を保持する挟持間隔Dw2よりも、解除ピンPの幅が広く、接触片3c2どうしの挟持間隔Dpはより大きく広がり、電線Wに対する押圧挟持は解除される。あとは解除ピンPを抜き取ればよい。
【0050】
以上のようにしてコネクタ1によれば、電線Wが細線であっても容易に端子3に導通接続することができ、またその押圧挟持力によって確実に抜け止めすることができる。また、電線Wを取り外す際には解除ピンPを挿入する容易な操作によって電線Wの押圧挟持力を解放して取り外すことができる。
【0051】
実施形態の変形例〔図17図21
【0052】
以上の実施形態によるコネクタ1は細部を変形して実施することができる。
【0053】
前記実施形態では、ガイド溝6を2つ有するコネクタ1を例示したが、1つでも3つでもよく、その場合には適宜ハウジング2の形状、大きさが変わることになる。
【0054】
またガイド溝6は、開口端6aから連通端部6dにかけて平坦面のものを例示したが、開口端6aから連通端部6dにかけて、前面2aに対する傾斜角が徐々に小さくなる複数の傾斜面にて構成してもよい。これによれば開口端6aを深く大きくすることができる。また、開口端6aから連通端部6dにかけて深さが二次曲線のように変化する底面形状としてもよい。
【0055】
前記実施形態のガイド溝6は、底面6bと側面6cとが角で交差するが、図17で変形例1として示すように隅丸形状の湾曲部6eとしてもよい。また、図18で変形例2として示すガイド溝6は、側面6fを直線部6f1と傾斜部6f2により形成したものである。図19の変形例3のガイド溝6は、側面6gの一方側を傾斜部6g1として、他方側を大きく広がる拡張傾斜部6g2として形成したものである。これにより細い芯線W2のガイド溝6の誘導がさらに容易となる。図20の変形例4のガイド溝6は、半円状に窪む湾曲凹面6hとして形成したものである。図21の変形例5のガイド溝6は、V形凹面6iとして形成したものである。ガイド溝6の底面6b、側面6cの形状はこのように様々な形態にて実施することができる。
【0056】
前記実施形態では、基板Bを立てて上から下に電線Wの芯線W2をガイド溝6に沿わせるようにして接続作業を行う例を示したが、基板Bを水平にして水平にガイド溝6に芯線W2を沿わせてガイドするものとしてもよい。即ちコネクタ1の設置姿勢や基板Bの設置姿勢は、前記実施形態に限定するものではない。
【0057】
上記実施形態のコネクタ1は、前面2a、後面2bよりも上面2c、下面2dの面積が小さい形状のハウジング2を例示したが、下面2dを基板Bに実装するようなハウジングとしてもよい。その場合、電線Wの挿入方向は基板面に対して平行な方向でも垂直な方向でも、いずれでもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 コネクタ
2 ハウジング
2a 前面
2b 後面
2c 上面
2d 下面
2e 右側面
2f 左側面
2g 接続室
2h 端子取付溝
3 端子
3a 基部
3a1 固定爪部
3b 基板接続部
3c 弾性接触片
3c1 弾性支持片
3c2 接触片
3c3 第1連結部
3c4 第2連結部
3c5 板縁
3c6 エッジ部(接触保持部)
3c7 曲面部(接触解除部)
4 固定金具
5 挿入孔
5a 導入部
5a1 前側ガイド部
5a2 中間ガイド部
5a3 後側ガイド部
5b 芯線挿入部
6 ガイド溝
6a 開口縁
6b 底面
6c 側面
6d 連通端部
6e 湾曲部(変形例1)
6f 側面(変形例2)
6f1 直線部
6f2 傾斜部
6g 側面(変形例3)
6g1 傾斜部
6g2 拡張傾斜部
6h 湾曲凹面(変形例4)
6i V形凹面(変形例5)
7 差込孔
B 基板
W 電線(線状導体)
W1 樹脂被覆
W2 芯線
Dw2 芯線の挟持間隔
P 解除ピン(解除部材)
Dp 解除ピンの挟持間隔
【要約】
【課題】圧挟持した線状導体を取り外すことができるコネクタの提供。
【解決手段】コネクタ1は、端子3の一対の接触片3c2のエッジ部3c6(接触保持部)の間に電線Wの芯線W2を押圧挟持する状態で、曲面部3c7(接触解除部)が差込孔7から挿入された解除ピンPの押圧を受けると、接触片3c2どうしを広げて芯線W2に対する押圧挟持を解除するため、容易に電線Wを取り外すことができる。
【選択図】図16
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