(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2ダイヤル部を前記第1ダイヤル部が設けられた面側から見たときに、前記第2ダイヤル部を回転させる指の操作軸線は前記第1ダイヤル部のうち前記長手軸方向において最も先端方向に位置する縁部に接するように設けられる請求項9に記載の導入装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
図1は本発明の内視鏡装置の全体構成図を示す。
図1に示すように、内視鏡装置11は、内視鏡12と、制御装置13と、光源装置14と、画像撮影装置15と、送気・送水・吸引装置16と、キーボード17と、モニタ18と、アクチュエータ部21と、を有する。
【0012】
光源装置14は、制御装置13の制御下で、内視鏡12の後述する先端硬質部28にある照明レンズ36に光を供給する。送気・送水・吸引装置16は、制御装置13の制御下で、内視鏡12の先端硬質部28にあるノズル37に対して送気・送水を行ったり、ノズル37を介して生体内から液体や組織等を吸引したりする。画像撮影装置15は、制御装置13の制御下で、内視鏡12の先端硬質部28の対物レンズ34を通して撮影された被検体の画像を画像処理してモニタ18に表示する。
【0013】
制御装置13は、内視鏡12の後述する操作部23に内蔵された回転検出センサ45(
図6参照)に接続されている。内視鏡12は回転検出センサ45によって、第2ダイヤル部56の回転方向及び回転量を検出し、制御装置13に検出信号を伝達する。制御装置13は、回転検出センサ45で検出した回転量に応じてアクチュエータ部21を作動させ、湾曲部27をR方向及びL方向に湾曲させる。制御装置13は、制御部の一例である。
【0014】
アクチュエータ部21は、内視鏡12の後述する湾曲部27を
図7に示すXZ平面内においてR方向及びL方向に湾曲させるように駆動力を付与することができる。アクチュエータ部21は、例えば、サーボモータ等のモータで構成されている。
【0015】
内視鏡12は、ユニバーサルコード22と、グリップ部の一例である操作部23と、孔内(被検体)に挿入される挿入部24と、を有する。内視鏡12は、導入装置の一例である。
【0016】
内視鏡12は、ユニバーサルコード22を介して制御装置13、光源装置14、画像撮影装置15、及び送気・送水・吸引装置16に接続されている。ユニバーサルコード22の内部には、可撓性のシャフト(図示せず)が通されている。アクチュエータ部21の駆動力は、当該可撓性のシャフト、操作部23の内部に設けられたギヤおよびプーリ(第2プーリ)等を介して、当該プーリに巻きかけられ湾曲部27をR方向及びL方向に湾曲させるための1対の第2ワイヤ32(
図3及び
図4参照)にまで伝達される。
【0017】
挿入部24は、操作部23の長手軸25に沿って設けられている(
図6等参照)。なお、長手軸25はZ軸に平行であるとする。
図6等において、矢印25Aは長手軸25の先端方向を示しており、矢印25Bは長手軸25の基端方向を示している。挿入部24は、細長く可撓性を有する軟性部26と、この軟性部26の先端に設けられた湾曲部27と、この湾曲部27の先端に設けられた先端硬質部28と、を備えている。
図3、
図4に示すように、軟性部26および湾曲部27には、湾曲部27をU方向及びD方向に湾曲させるための1対の第1ワイヤ31と、湾曲部27をR方向及びL方向に湾曲させるための1対の第2ワイヤ32と、が挿通されている。湾曲部27は、挿入部24の長手方向に並んだ複数の湾曲駒33を有する。
【0018】
図2に示すように、先端硬質部28には、対物レンズ34と、処置具挿通チャンネル35と、照明レンズ36と、先端硬質部28の先端面を洗浄する水や空気を供給したり、生体内の液体や組織等を吸引したりできるノズル37と、が設けられている。
【0019】
図5、
図6に示すように、操作部23は、例えば合成樹脂材料等によって内部空間を有するように形成されたケース41と、ケース41の第1壁部41Aに設けられた第1ダイヤルユニット(第1湾曲操作ユニット)42と、ケース41の第2壁部41Bに設けられた第2ダイヤルユニット(第2湾曲操作ユニット)43と、ケース41の第2壁部41Bに設けられたボタン部44と、ケース41内部に設けられた回転検出センサ45と、第2ダイヤルユニット43の第2軸部55周りに設けられたOリング46と、を有している。第1壁部41A及び第2壁部41Bはそれぞれ平面であっても曲面であっても良い。第1壁部41A及び第2壁部41Bが曲面である場合、長手軸に対して外側に膨らんだ状態に形成されていることが好適である。
【0020】
ケース41は、医師が左手で操作部23を保持する際、第1壁部41A及び第2壁部41Bよりも湾曲部27に近接する位置にあり、左手の薬指及び小指で支持する支持部41Cを有する。操作部23を左手で保持したとき、薬指の指先及び小指の指先が人差し指の指先や中指の指先よりも手首に近接した位置にあることが手に負荷をかけ難い自然な状態である。このため、支持部41Cのうち薬指及び小指で支持する部位は、ケース41の第1壁部41A及び第2壁部41Bにより形成される部位よりも長手軸25の軸回りの周囲長さが小さく形成されていることが好適である。
【0021】
第1壁部41Aは、後述する第1ダイヤルユニット42の第1ダイヤル部54に沿った方向(或いは、第1ダイヤルユニット42の第1軸部53の半径方向)に延びている。第2壁部41Bは、第1壁部41Aと隣接している。具体的には、第2壁部41Bは、第1壁部41Aの外縁部から、第1壁部41Aと交差(直交)する方向に延びている。また、第2壁部41Bは、後述する第1ダイヤルユニット42の第1軸部53の延びている方向に沿うように、第1壁部41Aの外縁部から延びているとも言い換えることができる。Oリング46は、第2軸部55とケース41との間に介在されており、ケース41内部を水密に維持している。また、Oリング46は、第2軸部55に対して所定の回転抵抗(抵抗力)を付与している。
【0022】
回転検出センサ45は、例えば、ポテンショメータで構成されているが、第2軸部55の回転量を検出できるセンサであれば他の種類のセンサ(例えば、ロータリーエンコーダ等)でもよい。回転検出センサ45は、第2ダイヤルユニット43の第2軸部55を介して第2ダイヤル部56の回転角度を読み取って、第2ダイヤル部56の回転方向及び回転量を検出する。
【0023】
図6、
図7に示すように、ボタン部44は、ノズル37を介して内視鏡12の先端硬質部28に送気・送水を行う第1ボタン51(送気・送水ボタン、AW)と、ノズル37を介して内視鏡12の先端硬質部28で吸引を行う第2ボタン52(吸引ボタン、S)と、を有している。第1ボタン51および第2ボタン52のそれぞれは、頂面(第2頂面44A)を有している。
【0024】
第1ダイヤルユニット42は、湾曲部27をU方向及びD方向、すなわち2方向に湾曲させる際に操作される、いわゆるUDアングルノブである。ユーザが第1ダイヤルユニット42をその中心軸42A回りに回転させると、その回転量に応じて、湾曲部27が
図6に示すYZ平面内においてU方向又はD方向に湾曲される。すなわち、本実施形態の内視鏡装置11では、U方向及びD方向においては、モータ等の電動で湾曲部27を湾曲させる機構が設けられていない。しかしながら、後述するR方向及びL方向のように、モータ等のアクチュエータ部21を設けて、U方向及びD方向についても電動で湾曲部27を湾曲させてもよい。なお、YZ平面は、第1面の一例である。また、第1ダイヤルユニット42の中心軸42Aは長手軸25に対して直交するなど交差するように形成されていることが好適である。
【0025】
図5、
図6に示すように、第1ダイヤルユニット42は、第1壁部41Aに回転可能に設けられた第1軸部53と、第1軸部53の一方の端部に固定された第1ダイヤル部(第1ノブ)54と、ケース41内部に設けられ第1軸部53の他方の端部に固定された第1プーリ(図示せず)と、を有している。第1ダイヤル部54は、第1頂面54Aを含んでいる。第1ダイヤル部54は、略星形をなしており、例えば5個の爪54Bを有している。第1プーリには、湾曲部27をU方向及びD方向に湾曲させるための第1ワイヤ31が巻きかけられている。
【0026】
第2ダイヤルユニット43(ダイヤルユニット)は、湾曲部27をR方向及びL方向、すなわち2方向に湾曲させる際に操作される、いわゆるRLアングルノブである。ユーザが第2ダイヤルユニット43を回転させると、その回転量に応じて、アクチュエータ部21が駆動される。アクチュエータ部21の駆動力によって、湾曲部27は、第2ダイヤルユニット43の回転量に応じて、電動で
図7に示すXZ平面内においてR方向及びL方向に湾曲される。XZ平面は、第2面の一例であり、上記のYZ平面(
図6参照)とは直交している。なお、本実施形態では、R方向及びL方向に関して電動で湾曲部27を湾曲させる例について説明するが、上記U方向及びD方向に湾曲部27を湾曲させる湾曲機構と同様に、R方向及びL方向に湾曲部27を湾曲させる場合についても手動で行ってもよい。
【0027】
第2ダイヤルユニット43は、第2壁部41B側に設けられてケース41に対して回転可能な第2軸部55と、第2軸部55の一方の端部に固定された第2ダイヤル部(第2ノブ)56と、を有している。第2ダイヤル部56は、円柱形をなしている。第2ダイヤル部56の周面には、例えばローレット状に凹凸が設けられている。第2ダイヤル部56は、長手軸25方向において、第1ダイヤル部54の中心軸42Aよりも湾曲部27側に設けられている。第2軸部55の他方の端部は、ケース41の内部で回転検出センサ45に接続されている。
【0028】
第2軸部55は、本発明の軸部の一例である。
図6に示すように、第2軸部55は、第1壁部41A(第1頂面54A)が見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、操作部23の長手軸25に対して斜めに配置されている(
図5参照)。より具体的には、第2軸部55は、第1壁部41A(第1頂面54A)が見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて長手軸25に近づく方向に斜めに配置されている。また、第2軸部55は、第1軸部53と平行な方向かつ長手軸25に垂直な方向から見て、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて長手軸25に近づく方向に斜めに配置されているとも言い換えることができる。第2軸部55は、第1壁部41Aが見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、長手軸25に対して角度αだけ傾いている。このとき、角度αは、例えば5°から15°の範囲内で適宜な角度に設定される。
【0029】
図8にユーザが操作部23を把持した状態を示す。
図8に示すように、第1壁部41Aが見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61は、第1ダイヤル部54の下側(長手軸25方向において最も先端方向25Aに位置する)の縁部54Cに接している。すなわち、第2ダイヤル部56は、第1ダイヤル部54に対してそのような位置関係で設けられている。なお、指の操作軸線61は、第2軸部55の延びる方向と略直交している。
【0030】
図7に示すように、第2軸部55は、第2壁部41B(第2頂面44A)が正面に見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、操作部23の長手軸25に対して斜めに配置されている(
図5参照)。より具体的には、第2軸部55は、第2壁部41Bが見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて長手軸25から遠ざかる方向に斜めに配置されている。すなわち、第2軸部55は、第2壁部41Bが見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて第1壁部41A(或いは第1ダイヤル部54)に近づく方向に斜めに配置されている。また、第2軸部55は、第1軸部53(中心軸42)に垂直かつ長手軸25に垂直な方向で、ユーザの親指以外の指のある方向から見て、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて、長手軸25から遠ざかる方向に斜めに配置されている。第2軸部55は、第2壁部41Bが見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、長手軸25に対して角度βだけ傾いている。このとき、角度βは、例えば5°から15°の範囲内で適宜な角度に設定される。
【0031】
図9にユーザが操作部23を把持した状態を示す。
図9に示すように、第2壁部41Bが見える方向D2から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61は、第1ダイヤル部54の下側の(長手軸25方向において最も先端方向25Aに位置する)縁部54Cに接している。すなわち、第2ダイヤル部56は、第1ダイヤル部54に対してそのような位置関係で設けられている。なお、指の操作軸線61は、第2軸部55が延びる方向と略直交している。
【0032】
すなわち、この実施形態に係る操作部23の長手軸25に対して、第2軸部55及び第2ダイヤル部56は
図5中の方向D1(第1壁部41A側)及び方向D2(第2壁部41B側)のいずれから見たときにも傾斜している。このため、第2軸部55及び第2ダイヤル部56は操作部23の長手軸25に対して3次元的に傾斜している。
【0033】
なお、第2ダイヤル部56の外径は第1ダイヤル部54との関係で適宜に設定されている。そして、
図7に示すように、第2ダイヤル部56を第2壁部41Bが正面に見える方向D2から見たときに、第2ダイヤル部56のうち長手軸25に対して遠位側の位置は、X軸方向において、第1ダイヤル部54のうち長手軸25に対して遠位側の第1頂面54Aよりも長手軸に近接する位置にある。また、
図6に示すように、第2ダイヤル部56を第1壁部41Aが正面に見える方向D1から見たときに、第2ダイヤル部56のうち長手軸25に対して遠位側の位置は、Y軸方向において、第1ダイヤル部54のうち長手軸25に対して遠位側の部位よりも長手軸25に離隔した位置にある。
【0034】
続いて、本実施形態の内視鏡装置11の動作について説明する。
ユーザである医師は、例えば、左手で操作部23を把持する。左手の親指と人差し指との間の位置にユニバーサルコード22を載置し、親指の指腹を第1ダイヤル部54の爪54Bに配置し、薬指及び小指で支持部41Cを支持する。そして、左手の人差し指の指腹を第1ボタン(送気・送水ボタン)51及び第2ボタン(吸引ボタン)52を操作可能な位置に配置し、中指の指腹を第2ダイヤル部56に配置する。このように、医師は左手をY方向からX方向に回り込ませて操作部23を包み込むように保持して、右手で挿入部24を保持して孔内に挿入して、所望の検査或いは処置を行うことができる。
【0035】
医師が湾曲部27をYZ平面内においてU方向及びD方向のどちらかの方向に湾曲させたい場合には、
図8に示すように、第1ダイヤル部54を左手の、例えば親指の指腹で、時計回り或いは反時計回りに回転させる。これによって、操作部23の内側で第1軸部53に固定された第1プーリが回転し、当該第1プーリに巻きかけられた1対の第1ワイヤ31の一方が操作部23の基端側に向かって引っ張られて湾曲部27がU方向及びD方向のどちらかの方向に湾曲する。具体的には、
図6、
図8中の第1ダイヤル部54を時計回りに回転させると、湾曲部27はD(下)方向に湾曲し、反時計回りに回転させると、湾曲部27はU(上)方向に湾曲する。
【0036】
このとき、例えば第1ダイヤル部54を爪54Bの1個分(約72度)回転させた後、さらに爪54Bの1個分(約72度)同じ方向に回転させたい場合には、引っ張られたワイヤ31の張力を維持できずに湾曲部27の湾曲角度が減少するのを防止するため、
図8に示すように、左手親指とともに例えば左手中指を使用する。医師は、第1ダイヤル部54を爪54Bの1個分(約72度)回転させた後、左手中指の指先で、第1ダイヤル部54の回転を止めるように第1ダイヤル部54を一時的に保持、すなわち介助する。
【0037】
このとき、
図8に示すように、第2軸部55及び第2ダイヤル部56を長手軸25に対して傾斜させ、かつ、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61を第1ダイヤル部54の縁部54Cに接する位置に配置している。このため、第2ダイヤル部56と第1ダイヤル部54の爪54Bとの間の距離を、第2軸部55及び第2ダイヤル部56を長手軸25に平行にした場合に比べて小さくしている。
【0038】
また、
図9に示すように、第2軸部55及び第2ダイヤル部56を長手軸25に対して傾斜させ、かつ、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61を第1ダイヤル部54の下側の縁部54Cに接する位置に配置している。したがって、操作部23の長手軸25と第2軸部55及び第2ダイヤル部56とは、3次元的に傾斜された状態に配置されている。このため、内視鏡12の操作部23を操作する医師の左手が相対的に大きく中指が長い場合には、その中指の指腹で第2ダイヤル部56に配置しつつ、第2ダイヤル部56に近接する爪54B、又は、第2ダイヤル部56に近接する爪54Bと操作軸線61上の遠位の爪54Bとの間の部位を保持する。また、左手が相対的に小さく中指が短い場合には、その中指の指腹を第2ダイヤル部56に配置して第2ダイヤル部56を保持しつつ、第2ダイヤル部56に近接する爪54Bを保持する。
【0039】
このため、第2ダイヤル部56を左手中指の指腹で保持しながら第1ダイヤル部54の爪54Bを保持、すなわち介助する場合に、左手中指の指先を第1ダイヤル部54の下部に当てても、左手中指を無理に延ばしたり無理に曲げたりする必要がない。このため、第2ダイヤル部56を操作しつつ、第1ダイヤル部54の介助を行う場合、無理に指の曲げ伸ばしをする必要がなく、医師が疲労するのを極力防止できる。
【0040】
そして、
図9に示すように、第2ダイヤル部56のうち長手軸25に対して遠位側の位置は、第1ダイヤル部54のうち長手軸25に対して遠位側の第1頂面54Aよりも長手軸25に近接する位置にある。このため、例えば中指で第2ダイヤル部56を保持しながら第1ダイヤル部54の爪54Bを支持する際、中指の遠位指節間関節等を無理に曲げる動作を行わなくて良いので、医師にかける負担を軽減できる。
【0041】
したがって、この実施形態に係る内視鏡12を用いると、手が比較的小さい医師であっても、左手中指で第2ダイヤル部56を操作しつつ、その左手中指で第1ダイヤル部54を容易に介助することができる。このため、手が比較的小さい医師であっても、右手を挿入部24から離して第1ダイヤル部54を保持しなくても良く、例えば挿入部24を捩じった状態を保持しながら湾曲部27のU方向及びD方向の湾曲状態を保持できる。このとき、左手中指で第1ダイヤル部54を保持しながら第2ダイヤル部56を保持すれば、湾曲部27のU方向及びD方向の湾曲状態を保持できるだけでなく、R方向及びL方向の湾曲状態も保持できる。すなわち、手が比較的小さい医師であっても、片手で湾曲部27をU方向、D方向、R方向及びL方向に湾曲させることができる。
【0042】
このように左手中指で第1ダイヤル部54を保持する介助状態のまま、第1ダイヤル部54から左手親指を離して左手親指を隣接する爪54Bに移動させて第1ダイヤル部54を保持する。左手中指を第1ダイヤル部54から離した後、医師はさらに爪54Bの1個分(約72度)だけ第1ダイヤル部54を同じ方向に回転させることができる。
【0043】
一方、医師が湾曲部27をXZ平面内においてR方向及びL方向のどちらかの方向に湾曲させたい場合には、
図8、
図9に示すように、第2ダイヤル部56を、例えば左手中指の腹で、時計回り或いは反時計回りに回転させる。
図5中の第2ダイヤル部56を時計回りに回転させると、湾曲部27はR(右)方向に湾曲し、反時計回りに回転させると、湾曲部27はL(左)方向に湾曲する。
【0044】
その際、
図8に示すように、第1壁部41Aが正面に見える方向D1(
図5参照)から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61が第1ダイヤル部54の下側の縁部54Cに接している。また、
図9に示すように、第2壁部41Bが正面に見える方向D2(
図5参照)から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61が第1ダイヤル部54の下側の縁部54Cに接している。すなわち、左手中指が移動する移動面はXY平面に対して僅かに傾斜しており、湾曲部27がR方向及びL方向に湾曲するXZ平面に対して直交していない。これらの構造によって、ユーザは、第2ダイヤル部56を操作する指(中指)によって、第1ダイヤル部54に対して上記した介助動作を円滑に行うことができる。
【0045】
第2ダイヤル部56の回転量は、回転検出センサ45によって読み取られる。回転検出センサ45は第2ダイヤル部56の回転を阻害せず、第2ダイヤル部56の回転に大きな力を要しない。
【0046】
回転検出センサ45は、第2ダイヤル部56の回転量に応じた電気信号を制御装置13に発信する。制御装置13は、アクチュエータ部21を作動させて、当該アクチュエータ部21は、可撓性のシャフト、ギヤ、および第2プーリを介してトルク(回転力)を1対の第2ワイヤ32にまで伝達する。こうして第2ワイヤ32の一方が操作部23の基端側に向かって引っ張られて、湾曲部27がR方向及びL方向のどちらかの方向に湾曲する。
【0047】
第1実施形態によれば、導入装置は、第1壁部41Aと、第1壁部41Aと交差する方向に延びる第2壁部41Bと、を有するグリップ部(ケース41)と、前記グリップ部の長手軸25に沿って設けられ、第1面内および前記第1面と直交する第2面内で湾曲可能な湾曲部27と、第1壁部41A側に回転可能に設けられるとともに、回転量に応じて湾曲部27を前記第1面内で湾曲させる第1ダイヤル部54と、第2壁部41B側に回転可能に設けられた軸部と、前記軸部に固定されるとともに回転量に応じて湾曲部27を前記第2面内で湾曲させる第2ダイヤル部56と、を有したダイヤルユニットと、を備え、前記軸部55は、第2壁部41B側から見たときに、長手軸25に対して斜めに配置されている。なお、この実施形態では、U方向及びD方向により形成される第1面と、R方向及びL方向により形成される第2面とが直交する例について説明したが、直交していなくても異なる面であれば良い。これは後述する実施形態についても同様である。
【0048】
この構成によれば、第2壁部41B側から見たときに、ダイヤルユニットの軸部55を長手軸25に対して傾けて配置することができる。これによって、ユーザの手の大きさに応じて、操作がしやすい軸部55を有した導入装置を提供できる。これによって、ユーザの手の大きさの違いに起因した操作感の悪化を解消できる。
【0049】
軸部55は、第2壁部41B側から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて第1壁部41Aに近づく方向に斜めに配置されている。軸部55は、第1壁部41A側から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて長手軸25に近づく方向に斜めに配置されている。また、第2ダイヤル部56は、長手軸25方向において、第1ダイヤル部54の中心軸42Aよりも湾曲部27に近接する側にある。
【0050】
これらの構成によれば、第2壁部41B側から見て、第2ダイヤル部56を第1壁部41A、つまり第1ダイヤル部54側に近づけて配置できる。また、第1壁部41A側から見て、第2ダイヤル部56を第1ダイヤル部54に近づけて配置することができる。これらによって、手が小さいユーザ(例えば、女性の医師等)であっても、第1ダイヤル部54および第2ダイヤル部56の操作を円滑に行うことができる。特に、第2軸部55が長手軸25に対して傾斜しているので、第1ダイヤル部54の近くに第2ダイヤル部56を配置することができるだけでなく、第2ダイヤル部56を操作する指(中指)によって第1ダイヤル部54の位置を一時的に保持する動作(介助動作)を手の小さいユーザでも円滑に行うことができる。これによって、湾曲部27をU方向及びD方向に湾曲させる際の導入装置の操作感をさらに向上できる。
【0051】
第2ダイヤル部56は、第2壁部41B側から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61が第1ダイヤル部54のうち長手軸25方向において最も先端方向25Aに位置する縁部54Cに接するように設けられる。また、第2ダイヤル部56は、第1壁部41A側から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61が第1ダイヤル部54のうち長手軸25方向において最も先端方向25Aに位置する縁部54Cに接するように設けられる。これらの構成によっても、第2ダイヤル部56を操作する指によって第1ダイヤル部54の介助動作を行いやすくすることができる。これによって、導入装置の操作感を向上できる。
【0052】
また、この実施形態に係る内視鏡12の操作部23を左手で保持したとき、湾曲部27に近接する側ほど第2ダイヤル部56を長手軸25に近づけているので、支持部41Cと親指の付け根(又は手首)Bとの間の距離L1(
図8参照)を、後述する第2実施形態の支持部41Cと親指の付け根(又は手首)Bとの間の距離L2(
図12参照)よりも大きくすることができる。このため、この実施形態に係る内視鏡12は、支持部41Cと親指の付け根(又は手首)Bとの間の距離(隙間)を比較的大きくすることができ、手首を動かす際の自由度を大きくすることができ、手が比較的小さい医師によっても操作部23を容易に保持し、第1ダイヤル部54及び第2ダイヤル部56を適宜に操作することができる。
【0053】
なお、操作部23のケース41のうち、第2軸部55と第1ボタン51との間の部位について、中指を配置する例えば窪み(図示せず)を形成することが好適である。窪みにより、左手が小さく中指が短い医師の中指を第1ダイヤル部54の下側の縁部54Cに配置し易くすることができる。
【0054】
また、
図6中、第2ダイヤル部56をケース41の外側に配置するように描いたが、第2ダイヤル部56のうち長手軸25に近接する部位を第1及び第2壁部41A,41Bに埋設するようにケース41を形成しても良い。
【0055】
この実施形態では導入装置の一例として内視鏡12を用いる例について説明した。導入装置の他の例としては、光源装置14及び先端硬質部28の照明レンズ36等を含む照明光学系や、画像撮影装置15、モニタ18及び先端硬質部28の対物レンズ34等を含む観察光学系が存在しないものが用いられる。
【0056】
[第2の実施形態]
図10から
図13を参照して、第2実施形態の内視鏡装置11について説明する。第2実施形態の内視鏡装置11は、第2ダイヤルユニット43が設けられる角度が第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1実施形態と共通している。このため、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については図示或いは説明を省略する。
【0057】
図10、
図11に示すように、第2ダイヤルユニット43は、いわゆるRLアングルノブである。ユーザが第2ダイヤルユニット43を回転させると、その回転量に応じて、アクチュエータ部21が駆動される。アクチュエータ部21の駆動力によって、湾曲部27は、電動でXZ平面内においてR方向及びL方向に湾曲される。XZ平面は、第2面の一例であり、上記のYZ平面(U方向及びD方向)とは直交している。なお、本実施形態では、R方向及びL方向に関して電動で湾曲部27を湾曲させるようにしているが、上記U方向及びD方向の湾曲機構と同様に、R方向及びL方向についても手動で湾曲させてもよい。
【0058】
第2ダイヤルユニット43は、ケース41に対して回転可能に設けられた第2軸部55と、第2軸部55の一方の端部に固定された第2ダイヤル部56と、を有している。第2ダイヤル部56は、円柱形をなしている。第2ダイヤル部56の周面には、例えばローレット状に凹凸が設けられている。第2ダイヤル部56は、長手軸25方向において、第1ダイヤル部54よりも湾曲部27側に設けられている。第2軸部55の他方の端部には、回転検出センサ45が接続されている。
【0059】
第2軸部55は、軸部の一例である。
図10に示すように、第2軸部55は、第1壁部41A(第1頂面54A)が見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、操作部23の長手軸25に対して斜めに配置されている。より具体的には、第2軸部55は、第1壁部41A(第1頂面54A)が見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて長手軸25から遠ざかる方向に斜めに配置されている。第2軸部55は、第1軸部53と平行な方向かつ長手軸25に垂直な方向から見て、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて長手軸25から遠ざかる方向に斜めに配置されているとも言い換えることができる。第2軸部55は、第1壁部41Aが見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、長手軸25に対して角度γだけ傾いている。このとき、角度γは、例えば5°から15°の範囲内で適宜な角度に設定される。
【0060】
図12にユーザが操作部23を把持した状態を示す。
図12に示すように、第1壁部41Aが見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61は、第1ダイヤル部54の長手軸25方向において最も先端方向25Aに位置する縁部54Cに接している。すなわち、第2ダイヤル部56は、第1ダイヤル部54に対してそのような位置関係で設けられている。なお、指(中指)の操作軸線61は、第2軸部55の延びる方向と略直交している。
【0061】
図11に示すように、第2軸部55は、第2壁部41B(第2頂面44A)が見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、操作部23の長手軸25に対して斜めに配置されている。より具体的には、第2軸部55は、第2壁部41Bが見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて長手軸25に近づく方向に斜めに配置されている。すなわち、第2軸部55は、第2壁部41Bが見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて第1壁部41A(或いは第1ダイヤル部54)から遠ざかる方向に斜めに配置されている。また、第2軸部55は、第1軸部53(中心軸42)に垂直かつ長手軸25に垂直な方向で、ユーザの親指以外の指のある方向から見て、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて、長手軸25から遠ざかる方向に斜めに配置されている。第2軸部55は、第2壁部41Bが見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、長手軸25に対して角度δだけ傾いている。このとき、角度δは、例えば5°から15°の範囲内で適宜な角度に設定することができる。
【0062】
図13にユーザが操作部23を把持した状態を示す。このとき、
図13に示すように、第2壁部41Bが見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61は、第1ダイヤル部54の長手軸25方向において最も先端方向25Aに位置する縁部54Cに接している。すなわち、第2ダイヤル部56は、第1ダイヤル部54に対してそのような位置関係で設けられている。なお、指(中指)の操作軸線61は、第2軸部55の延びる方向と略直交している。
【0063】
続いて、第2実施形態の内視鏡装置11の動作について説明する。
【0064】
ユーザである医師は、例えば、左手で操作部23を把持しながら右手で挿入部24を孔内に挿入して、所望の検査或いは処置を行うことができる。そして、医師が湾曲部27をYZ平面内においてU方向及びD方向のどちらかの方向に湾曲させたい場合には、
図12に示すように、第1ダイヤル部54を左手の、例えば親指の腹で、時計回り或いは反時計回りに回転させる。これによって、第1軸部53の他方の端部に設けられた第1プーリが回転し、当該第1プーリに巻きかけられた1対の第1ワイヤ31の一方が操作部23の基端側に向かって引っ張られて湾曲部27がU方向及びD方向のどちらかの方向に湾曲する。
【0065】
このとき、第1ダイヤル部54を爪54Bの1個分(約72度)回転させた後、さらに爪54Bの1個分(約72度)同じ方向に回転させたい場合には、
図12に示すように、例えば左手中指を使用する。医師は、第1ダイヤル部54を爪54Bの1個分(約72度)回転させた後、左手中指の指先で第1ダイヤル部54の回転を止めるように第1ダイヤル部54を一時的に保持、すなわち介助する。
【0066】
このように左手中指で第1ダイヤル部54を保持する介助状態のまま、第1ダイヤル部54から左手親指を離して左手親指を隣接する爪54Bに移動させて第1ダイヤル部54を保持する。左手中指を第1ダイヤル部54から離した後、医師はさらに爪54Bの1個分(約72度)第1ダイヤル部54を同じ方向に回転させることができる。
【0067】
一方、医師が湾曲部27をXZ平面内においてR方向及びL方向のどちらかの方向に湾曲させたい場合には、
図12、
図13に示すように、第2ダイヤル部56を、例えば左手中指の腹で、時計回り或いは反時計回りに回転させる。その際、
図12に示すように、第1壁部41Aが正面に見える方向D1(第1壁部41A側)から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61が第1ダイヤル部54の下側の縁部54Cに接している。また、
図13に示すように、第2壁部41Bが正面に見える方向D2(第2壁部41B側)から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61が第1ダイヤル部54の下側の縁部54Cに接している。すなわち、左手中指が移動する移動面はXY平面に対して僅かに傾斜しており、湾曲部27がR方向及びL方向に湾曲するXZ平面に対して直交していない。これらの構造によって、ユーザは、第2ダイヤル部56を操作する指(中指)によって、第1ダイヤル部54に対して上記した介助動作を円滑に行うことができる。
【0068】
第2ダイヤル部56の回転量は、回転検出センサ45によって読み取られる。回転検出センサ45は、第2ダイヤル部56の回転量に応じた電気信号を制御装置13に発信する。制御装置13は、アクチュエータ部21を作動させて、当該アクチュエータ部21は、可撓性のシャフト、ギヤ、および第2プーリを介してトルク(回転力)を1対の第2ワイヤ32にまで伝達する。こうして第2ワイヤ32の一方が操作部23の基端側に向かって引っ張られて、湾曲部27がU方向及びD方向のどちらかの方向に湾曲する。
【0069】
第2実施形態によれば、軸部55は、第2壁部41B側から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて第1壁部41Aから遠ざかる方向に斜めに配置されている。軸部55は、第1壁部41A側から見たときに、長手軸25の先端方向25Aに行くにつれて長手軸25から遠ざかる方向に斜めに配置されている。第2ダイヤル部56は、長手軸25方向において、第1ダイヤル部54の中心軸42Aよりも長手軸25の先端方向25A側にある。
【0070】
これらの構成によれば、第2壁部41Bが見える方向D2から見て、第2ダイヤル部56を第1壁部41A、つまり第1ダイヤル部54側からある程度遠ざけて配置できる。また、第1壁部41Aが見える方向D1から見て、第2ダイヤル部56を第1ダイヤル部54からある程度遠ざけて配置することができる。これらによって、手の大きさが平均的か或いは平均よりも大きいユーザ(例えば、男性の医師等)が使用する際に、第2ダイヤル部56を回転させる指の動きが第1ダイヤル部54によって邪魔されることなく、第2ダイヤル部56の操作を円滑に行うことができる。
【0071】
なお、この実施形態に係る内視鏡12は、手の大きさが平均的か或いは平均よりも大きいユーザを対象としている。このため、上記の構造としても、第2ダイヤル部56を回転させる指で、第1ダイヤル部54の介助がしにくくなることはない。むしろ、第1ダイヤル部54と第2ダイヤル部56との間にある程度スペースを確保したほうが、手の大きさが平均的或いは平均よりも大きいユーザの操作感の向上に寄与する。
【0072】
第2ダイヤル部56は、第2壁部41B側から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61が第1ダイヤル部54の縁部54Cに接するように設けられる。また、第2ダイヤル部56は、第1壁部41Aが見える方向D1から見たときに、第2ダイヤル部56を回転させる指の操作軸線61が第1ダイヤル部54のうち長手軸25方向において最も先端方向25Aに位置する縁部54Cに接するように設けられる。これらの構成によれば、第2ダイヤル部56を操作する指によって第1ダイヤル部54の介助動作を行いやすくすることができる。これによって、湾曲部27を湾曲させる際の導入装置の操作感を向上できる。
【0073】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変形実施することができる。また、上記各実施形態の内視鏡を組み合わせて一つの内視鏡を構成することもできる。