(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像解析部は、さらに、前記画像の中から前記色相範囲の画素が連続する部分の輪郭を検出し、検出した輪郭の中に前記レーザプローブの先端部の輪郭に近似する輪郭が存在するか否かを判定し、
前記制御部は、さらに、前記近似する輪郭が存在する場合にのみ、前記レーザプローブが前記チャンネル開口から突出したと判定して前記レーザプローブに前記レーザの出力を許可することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【背景技術】
【0002】
内視鏡に設けられたチャンネルを介して処置具を挿通し、処置具の先端を内視鏡の先端から突出させて処置が行われている。
【0003】
こうした処置具は、一般的に、先端を内視鏡の先端から突出させた状態で使用するものであるために、突出状態を確認することが望ましい。そこで、内視鏡の先端から処置具が突出したことを検出する技術が種々提案されている。
【0004】
例えば、日本国特開2002−125926号公報には、処置具がスコープ先端から突出したことをフォトインタラプタ等のセンサによって検出する技術が記載されている。そして該公報に記載の技術では、検出結果を、画像の倍率制御に用いるようになっている。
【0005】
また、日本国特開2008−212349号公報には、鉗子チャンネルの基端部に配設された鉗子用ローラと、鉗子用ローラの回転角度を検出する鉗子用エンコーダと、鉗子用エンコーダからの回転角度データに基づき鉗子チャンネルの先端部からの鉗子の突没を検出する鉗子用検出装置と、を備える技術が記載されている。そして該公報に記載の技術では、検出結果を、例えば鉗子の突出状態のアニメーション表示に用いるようになっている。加えて該公報には、検出結果が未突出である場合に、停止モードに移行して処置具への高周波電流の通電を禁止する技術が記載されている。
【0006】
さらに、日本国特開2006−271871号公報には、観察視野内の所定領域において、所定輝度値以上の信号が検出された場合に、処置具が目的部位付近に位置していると判定する技術が記載されている。そして該公報に記載の技術では、判定結果を、録画開始のトリガーとして用いるようになっている。
【0007】
ところで処置具には、被検体にエネルギーを印加することにより被検体を処置するための処置部が先端に設けられているものがある。このような処置具の一例として、上述した日本国特開2002−125926号公報にはレーザプローブが記載され、また、上述した日本国特開2002−125926号公報や日本国特開2008−212349号公報には高周波処置具が記載されている。前者のレーザプローブが利用される処置の一例としては、経尿道的尿管結石手術において、レーザにより砕石する手術が挙げられる。
【0008】
上述した被検体にエネルギーを印加する処置具の中でも特にレーザプローブは、プローブ先端がスコープ先端から突出していない状態、例えばチャンネル内にある状態でレーザ出力を行ってしまうと、チャンネル内や内視鏡内に損傷を与えることがある。このためにチャンネルを挿通してレーザプローブを使用する場合には、内視鏡に損傷を与えることがないように安全性を確保することが望まれている。
【0009】
また、内視鏡は、複数の観察モードで観察を行うことがある。こうした観察モードの幾つかの例としては、白色光観察モード、NBI観察モード、蛍光観察モード等が挙げられる。被検体へ出射する照明光は、どの観察モードで観察を行うかに応じて、異なる色相の照明光が出射されることになる。例えば、白色光観察モードでは赤色(R)照明光、緑色(G)照明光、および青色(B)照明光が出射され、NBI観察モードではヘモグロビンに吸収され易い狭帯域青色光および狭帯域緑色光が出射される、等である。
【0010】
照明光の色相が異なると、処置具が写っている画像部分の画素値も異なるために、処置具が突出したことを画像解析によって検出する場合には、検出精度が低下すると考えられる。従って、照明光の色相が異なっても画像中の処置具を精度良く検出することができる技術も望まれている。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、照明光に依らず画像中のレーザプローブを精度良く検出して、レーザプローブをより安全に使用することができる内視鏡システム、内視鏡システムの作動方法を提供することを目的としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
[実施形態1]
図1から
図7は本発明の実施形態1を示したものであり、
図1は内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【0017】
内視鏡システム1は、内視鏡2と、システム制御装置3と、レーザ装置4と、レーザプローブ5と、モニタ6と、を備えている。
【0018】
内視鏡2は、手元側の操作部22から先端側へ向けて、被検体内に挿入するための細長の挿入部21を延設している。
【0019】
挿入部21の先端部には、照明部23と対物光学系24と撮像部25とが配設されている。
【0020】
照明部23は、色相が異なる複数種類の照明光(これら複数種類の照明光の内の、任意の1種類の照明光を第1の照明光、他の任意の1種類の照明光を第2の照明光ということにする)を被検体へ出射するものである。
【0021】
対物光学系24は、照明された被検体の光学像を結像するものである。
【0022】
撮像部25は、対物光学系24により結像される被検体の光学像を撮像するものであり、例えば、複数の画素を配列してなる撮像素子を備えている。この撮像部25が撮像を行うと、撮像結果として、例えばカラーの画像が得られる。すなわち、撮像部25が単板のカラー撮像素子を備える場合(同時方式である場合)には1回の撮像でカラーの画像が得られ、撮像部25が面順次方式である場合には複数回(例えば3回)の撮像結果に基づき1枚のカラー画像が得られる。
【0023】
また、挿入部21には、手元側から先端側へ処置具を挿通するためのチャンネル26が、挿入部21の先端部にチャンネル開口(以下、先端開口という)を有するように設けられている。
【0024】
一方、内視鏡2の操作部22には、スコープID等の内視鏡種別情報を記憶する記憶部27が設けられている。
【0025】
上述したような内視鏡2は、システム制御装置3に接続されて制御されるようになっている。
【0026】
システム制御装置3は、照明制御部31と、画像解析部33を含む画像処理部32と、入力操作部34と、制御部35と、色相範囲設定部36と、を備えている。
【0027】
照明制御部31は、照明部23からの照明光の出射/非出射や、出射時の照明光量などを制御するとともに、後述する観察モードに応じた発光制御を行うものである。
【0028】
色相範囲設定部36は、照明部23から出射された照明光が第1の照明光または第2の照明光の何れであるかに応じてレーザプローブ5の色相であると推定し得る色相範囲を設定する。
【0029】
画像処理部32は、撮像部25から出力された画像に、カラーバランス調整やガンマ変換、色変換、モニタ6に表示するための信号形式への変換等の画像処理を行ってモニタ6へ出力するものである。
【0030】
この画像処理部32に含まれる画像解析部33は、画像を解析して、撮像部25の撮像結果により得られたカラーの画像中におけるレーザプローブ5の画像部分を検出するものである。具体的に、画像解析部33は、カラーの画像を解析して、画像の中における、色相範囲設定部36により設定された色相範囲の部分を検出する。
【0031】
入力操作部34は、システム制御装置3に対する操作入力を行うためのものであり、電源のオン/オフや、観察モードの設定などの操作を行うことができるようになっている。ここに、本実施形態においては、内視鏡システム1に設定可能な観察モードが白色光観察モードおよびNBI観察モードであるものとして説明を行うが、その他の観察モードに設定可能であっても構わない。
【0032】
制御部35は、設定されている観察モードに応じた種類の照明光を照明部23に出射させるように、照明制御部31を制御する。そして、制御部35は、画像解析部33によりレーザプローブ5の色相であると推定し得る色相範囲の部分が検出された場合にのみ、レーザプローブ5がチャンネル26の先端開口から突出したと判定してレーザプローブ5にレーザの出力を許可する。従って、制御部35は、レーザプローブ5がチャンネル26の先端開口から突出していないと判定した場合には、レーザプローブ5によるレーザ出力を禁止するものとなっている。さらに、制御部35は、記憶部27から取得した内視鏡種別情報に基づいて、チャンネル26の先端開口から突出されるレーザプローブ5の画像における検出領域SA(
図2参照)を設定し、設定した検出領域SAのみについて画像解析部33に色相範囲の検出を行わせるように制御している。
【0033】
レーザプローブ5は、内視鏡2のチャンネル26に挿通されるようになっており、先端領域に被検体へレーザを出力するための照射部51を備えている。ここに、レーザプローブ5の先端領域とは、レーザプローブ5の先端近傍のある程度の領域を指し、例えば、側方へレーザを照射するものも含まれている。
【0034】
レーザ装置4は、照射部51からのレーザ出力を制御するものである。
【0035】
モニタ6は、システム制御装置3に接続されていて、画像処理部32により処理された内視鏡画像や内視鏡システム1に係る各種の情報を表示するカラーの表示装置である。
【0036】
このような内視鏡システム1の作用(ひいては、内視鏡システムの作動方法)を、
図2〜
図6を適宜参照しながら、
図7に沿って説明する。ここに
図7は、内視鏡システムの作用を示すフローチャートである。
【0037】
この
図7に示す処理は、例えば、システム制御装置3(あるいは内視鏡システム1全体)を制御するためのメイン制御処理ルーチンから呼び出されて実行されるようになっている。
【0038】
この
図7に示す処理が開始されると、まず、システム制御装置3に内視鏡2が接続されたか否かを検出する(ステップS1)。
【0039】
ここで接続が検出されない場合には、接続されるまで待機する。こうして内視鏡2の接続が検出された場合には、制御部35は、内視鏡2の記憶部27から内視鏡種別情報を取得する(ステップS2)。
【0040】
ここで
図2は、レーザプローブ5を検出するための検出領域SAを、内視鏡2の種類に応じて設定する様子を説明するための図である。この
図2(および後述する
図3および
図4)において、符号6aはモニタ6の画面を、符号6bはモニタ画面6aにおける内視鏡画像を表示するための画像表示領域を、それぞれ示している。
【0041】
内視鏡2は、種類に応じて、対物光学系24および撮像部25とチャンネル26の先端開口との位置関係が定まっているために、画像表示領域6bにおけるどの方位(
図2においては0〜7の数字により方位を示している)からレーザプローブ5が画像内に表示されてくるかは予め決まっている(
図2に示す例では、数字5で示す方位からレーザプローブ5が画像内に表示されてくる)。
【0042】
そこで制御部35は、ステップS2において取得した内視鏡種別情報に基づき、チャンネル26の先端開口から突出されるレーザプローブ5の画像における検出領域SAを設定する(ステップS3)。このとき、制御部35は、設定した検出領域SAのみについて、画像解析部33に色相範囲の検出を行わせるように制御するようになっている。
【0043】
なお、ここでは処理負荷を軽減し、かつレーザプローブ5の検出を高速に行うために検出領域SAを設定しているが、このステップS3の処理を省略して、画像全体を検出領域とすることも勿論可能である。
【0044】
次に、制御部35は、照射部51からのレーザ出力を禁止するようにレーザ装置4を制御する(ステップS4)。
【0045】
そして、制御部35は、システム制御装置3に現在設定されている観察モードを取得して(ステップS5)、照明制御部31を介して照明部23に、観察モードに応じた色相の照明光を出射させ(照明ステップ)、撮像部25に被検体の光学像を撮像させる(撮像ステップ)。
【0046】
制御部35の制御に基づいて色相範囲設定部36は、設定されている観察モードに応じた照明光の種類と、レーザプローブ5の少なくとも先端部の表面色と、に基づいて、内視鏡画像として得られるレーザプローブ5の色相であると推定し得る色相範囲を設定する(ステップS6)(色相範囲設定ステップ)。
【0047】
ここに、
図3は白色光観察モードにおけるレーザプローブ5の画像の例を示す図、
図4はNBI観察モードにおけるレーザプローブ5の画像の例を示す図、
図5は白色光観察モードにおいて設定されるレーザプローブ5の色相範囲の例を示す図、
図6はNBI観察モードにおいて設定されるレーザプローブ5の色相範囲の例を示す図である。
【0048】
白色光観察モードにおいては、赤色(R)照明光、緑色(G)照明光、および青色(B)照明光が出射され、各色光の光量バランスが、各色光を同時に出射したときに白色光を構成するようなバランスとなっている。そして、この白色光観察モードでは、
図3に示すレーザプローブ5の画像部分5iとして、例えば黄色の画像が得られる。そこで、色相範囲設定部36は、
図5のハッチング部分に示すような黄色の色相範囲を、レーザプローブ5の色相であると推定し得る色相範囲として設定する。
【0049】
一方、NBI観察モードにおいては、ヘモグロビンに吸収され易い狭帯域青色光および狭帯域緑色光が出射される。そして、このNBI観察モードでは、
図4に示すレーザプローブ5の画像部分5iとして、例えば赤色の画像が得られる。そこで、色相範囲設定部36は、
図6のハッチング部分に示すような赤色の色相範囲を、レーザプローブ5の色相であると推定し得る色相範囲として設定する。
【0050】
次に、制御部35は、ステップS3において設定した検出領域SAについて、ステップS6において設定した色相範囲の部分が検出されたか否かにより、レーザプローブ5がチャンネル26の先端開口から突出したか否かを判定する(ステップS7)(画像解析ステップ)。具体的には、検出領域SAを構成する全画素の内の、所定数以上の画素がレーザプローブ5の色相であると推定し得る色相範囲に含まれる場合にのみ、レーザプローブ5が検出されたと判定する。ここに所定数以上としているのは、確実な検出とするためであるとともに、レーザプローブ5がチャンネル26の先端開口から必要な量だけ突出した場合には、所定数以上の画素数が検出されると考えられるためでもある。
【0051】
また、さらに確実な検出を行うために、輪郭も併せて検出するようにしても良い。具体的には、画像解析部33が、画像における検出領域SAの中からレーザプローブ5の色相であると推定し得る色相範囲の画素が連続する部分の輪郭を検出し、検出した輪郭の中にレーザプローブ5の先端部の輪郭に近似する輪郭が存在するか否かを判定する。そして、制御部35が、近似する輪郭が存在する場合にのみ、レーザプローブ5がチャンネル26の先端開口から突出したと判定するようにすれば良い。このような構成をさらに採用すれば、被検体にレーザプローブ5の色相と近似する色相部分がもし存在した場合にも、該被検体部分をレーザプローブ5と誤検出するのを低減し、レーザプローブ5の検出精度を一層向上することが可能となる。
【0052】
こうしてステップS7においてレーザプローブ5が検出された場合には、制御部35は、レーザ装置4にレーザプローブ5からのレーザの出力を許可して(ステップS8)(制御ステップ)、この処理からメイン制御処理ルーチンへリターンする。
【0053】
このような実施形態1によれば、チャンネル26の先端開口からのレーザプローブ5の突出の有無を検出して、突出したことが検出された場合にのみレーザ出力を許可するようにしたために、チャンネル26内でレーザ出力が行われることはなく、内視鏡2の損傷を未然に防止して安全性を高めることができる。
【0054】
チャンネル26の先端開口からのレーザプローブ5の突出の検出を、画像解析により行っているために、専用のセンサ等が不要となり、内視鏡の軽量化や低価格化を図ることができる。また、センサが故障して検出不能となる等の事態を未然に回避することができる。そして、レーザプローブ5の突出の有無だけでなく、チャンネル26の先端開口からの突出量も容易に確認することが可能となる。
【0055】
さらに、色相に基づき検出を行っているために、生体等の被検体とは明らかに色相が異なるレーザプローブ5(あるいは、被検体とは明らかに色相が異なるように、容易に形成することが可能なレーザプローブ5)を確実に検出することが可能となる。
【0056】
このとき、照明光の種類に応じてレーザプローブ5の色相であると推定し得る色相範囲を適切に設定しているために、色相が異なる照明光が出射されても、レーザプローブ5を高い精度で検出することが可能となる。
【0057】
加えて、レーザプローブ5を、内視鏡種別情報に応じて設定した検出領域SAから検出するようにしているために、画像の全領域から検出する場合に比較して、処理負荷を軽減し、より短時間に検出を行うことが可能となる。
【0058】
こうして、照明光に依らず画像中のレーザプローブ5を精度良く検出して、レーザプローブ5をより安全に使用することが可能となる。
【0059】
なお、上述では主として内視鏡システムについて説明したが、内視鏡システムを上述したように作動させる作動方法であっても良いし、コンピュータに内視鏡システムを上述したように作動させるための処理プログラム、該処理プログラムを記録するコンピュータにより読み取り可能な一時的でない記録媒体、等であっても構わない。
【0060】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0061】
本出願は、2013年8月7日に日本国に出願された特願2013−164379号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。