(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記長手軸を有する前記挿入部が挿通された状態で、前記挿入部の前記長手軸の軸回りの回転力を前記チューブ体に伝達するように係合されるローラをその内周面に有する、請求項1に記載のスパイラルユニット。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
【0008】
第1実施形態について
図1から
図9Bを用いて説明する。
図1に示すように、内視鏡(各種の管孔内に対する導入装置)10は、長手軸(中心軸)Cを有する。長手軸Cに平行な方向の一方(
図1中の矢印C1の方向)が先端方向であり、先端方向C1とは反対方向(
図1中の矢印C2の方向)が基端方向である。内視鏡10は、長手軸Cに沿って延設される挿入部(内視鏡挿入部)12と、挿入部12より基端方向側に設けられた操作部(内視鏡操作部)14と、挿入部12の外周に装着されるスパイラルユニット60とを備える。挿入部12は、長手軸Cに沿って延設され、内視鏡10の使用時にはその先端から管孔内に挿入される。
【0009】
操作部14からユニバーサルケーブル16が延出されている。ユニバーサルケーブル16のうち、操作部14に対する遠位端は、周辺ユニット(peripheral unit)20に接続可能である。周辺ユニット20は、例えば、画像処理部22と、光源部24と、駆動制御部26と、駆動操作入力部28と、表示部30とを備える。
【0010】
挿入部12は、最も先端方向側の部位に設けられた先端硬性部(distal rigid section)42と、先端硬性部42より基端方向側に設けられた湾曲部(bending section)44と、湾曲部44より基端方向側に設けられた第1の蛇管部(first flexible section)46と、第1の蛇管部46より基端方向側に設けられた第2の蛇管部(second flexible section)48とを備える。湾曲部44と第1の蛇管部46との間は、第1の中継接続部50で接続されている。第1の蛇管部46と第2の蛇管部48との間は、第2の中継接続部52で接続されている。
【0011】
スパイラルユニット60は、例えば第1の中継接続部50と第2の中継接続部52との間で、長手軸Cに沿って延設されている。スパイラルユニット60には挿入部12が挿通された状態で、スパイラルユニット60は挿入部12に取り付けられる。本実施形態では、スパイラルユニット60は、挿入部12に対して長手軸Cの軸回り方向に回転可能である。
【0012】
図2は、第2の中継接続部52の構成を示す。
図3は、
図2中のIII−III線に沿う横断面図であり、
図4は、
図2中のIV−IV線に沿う横断面図である。
図1に示すように、操作部14の外表面には、湾曲部44の湾曲操作が入力される湾曲操作入力部である湾曲操作ノブ72が設けられている。
図3及び
図4に示すように、挿入部12の内部には、湾曲ワイヤ74a,74b、及び、湾曲ワイヤ74a,74bが挿通されたコイル76a,76bが長手軸Cに沿って延設されている。コイル76a,76bの先端は、例えば第1の中継接続部50の内周面に接続されている。操作部14の内部では、湾曲操作ノブ72に連結されるプーリ(図示しない)に、湾曲ワイヤ74a,74bの基端が接続されている。湾曲ワイヤ74a,74bの先端は、例えば湾曲部44の先端部に接続されている。湾曲操作ノブ72の操作により、湾曲ワイヤ74a又は湾曲ワイヤ74bが牽引され、湾曲部44が所望の方向に湾曲する。
【0013】
なお、本実施形態では、2本の湾曲ワイヤ74a,74bが設けられ湾曲部44は2方向に湾曲可能であるが、例えば4本の湾曲ワイヤが設けられ湾曲部44が4方向に湾曲可能であってもよい。
【0014】
図2から
図4に示すように、挿入部12の内部には、観察光学系、照明光学系、チャンネルが配設されている。より具体的には、挿入部12の内部には、撮像ケーブル82、ライトガイド84、及び、処置具チャンネルチューブ86が、長手軸Cに沿って延設されている。先端硬性部42(挿入部12の先端部)の内部には、被写体を撮像する撮像素子(図示しない)が設けられている。撮像素子は、観察窓88を通して、被写体を撮像する。撮像ケーブル82の先端は、撮像素子に接続されている。撮像ケーブル82は、挿入部12、操作部14及びユニバーサルケーブル16の内部を通して延設され、基端が周辺ユニット20の画像処理部22に接続されている。画像処理部22は被写体の画像を生成する。生成された被写体の画像は、表示部30に表示される。
【0015】
ライトガイド84は、挿入部12、操作部14及びユニバーサルケーブル16の内部を通して延設され、基端が周辺ユニット20の光源部24に接続されている。光源部24から出射された光は、ライトガイド84によって導光され、挿入部12の先端部(先端硬性部42)の照明窓90から被写体に照射される。
【0016】
図1に示すように、操作部14の外表面には、鉗子等の処置具が挿入される処置具挿入部92aが設けられている。処置具チャンネルチューブ86は、挿入部12及び操作部14の内部を通して、基端が処置具挿入部92aに接続されている。処置具挿入部92aから挿入された処置具は、処置具チャンネルチューブ86の内部を通して、先端硬性部42の開口部94から先端方向に向かって突出する。そして、処置具が先端硬性部42の開口部92bから突出した状態で、処置具による処置が行われる。
【0017】
図2に示すように、第2の中継接続部52は、ベース部材102を有する。第1の蛇管部46の基端部は、中継部材104を介して、ベース部材102の先端部に連結されている。このため、第1の蛇管部46と第2の中継接続部52との間が連結されている。第2の蛇管部48の先端部は、中継部材106を介して、ベース部材102の基端部に連結されている。このため、第2の蛇管部48と第2の中継接続部52との間が連結されている。
【0018】
図2から
図4に示すように、第2の中継接続部52は、ベース部材102に空洞部110を有する。空洞部110は、開口部110aで外側に向かって開口している。また、ベース部材102には、駆動ギア114及び中継ギア116が取り付けられている。駆動ギア114は、空洞部110に配置され、中継ギア116は、空洞部110の開口部110aの近傍に配置されている。駆動ギア114は、中継ギア116と噛み合わせられている。駆動ギア114は駆動軸G1を中心として回転可能である。中継ギア116はギア軸G2を中心として回転可能である。
【0019】
第2の中継接続部52のベース部材102には、筒状の回転筒状部材120が取り付けられている。回転筒状部材120は、挿入部12(ベース部材102)に対して長手軸Cの軸回り方向に回転可能である。回転筒状部材120の内周面には、長手軸Cの軸回り方向について全周に渡って内周ギア部122が配置されている。回転筒状部材120の内周ギア部122は、中継ギア116と噛み合わせられている。
【0020】
回転筒状部材120は、例えば3つの内側ローラ124a,124b,124cが支持されるローラ支持部120aを有する。内側ローラ124a,124b,124cは、長手軸Cの軸回り方向(周方向)に略等間隔に配置されている。それぞれの内側ローラ124a,124b,124cは、対応するローラ軸R1,R2,R3を有する。それぞれの内側ローラ124a,124b,124cは、対応するローラ軸R1,R2,R3を中心として、それぞれ回転筒状部材120に対して回転可能である。また、内側ローラ124a,124b,124cは、回転筒状部材120と一体に、挿入部12(ベース部材102)に対して、長手軸Cの軸回り方向に回転可能である。
【0021】
回転筒状部材120及び内側ローラ124a,124b,124cの外側には、筒状のカバー部材126が被覆されている。カバー部材126の先端は円環状の係止部材128aでベース部材102に固定されている。カバー部材126の先端は、係止部材128aによりベース部材102とカバー部材126との間が液密に保たれている。カバー部材126の基端は円環状の係止部材128bでベース部材102に固定されている。カバー部材126の基端は、係止部材128bによりベース部材102とカバー部材126との間が液密に保たれている。このため、カバー部材126の内側に位置する空洞部110、回転筒状部材120、及び、内側ローラ124a,124b,124cへの液体の流入が防止されている。
【0022】
図3及び
図4に示すように、長手軸Cの軸回り方向について内側ローラ124a,124b,124cが位置する部位では、カバー部材126は外側に向かって突出している。なお、カバー部材126はベース部材102の外側に固定され、すなわち、挿入部12の外周に固定されているのに対し、回転筒状部材120は、カバー部材126に対して長手軸Cの軸回り方向に回転可能である。
【0023】
図1に示すように、操作部14は、その外表面に、後述する駆動シャフト136が挿通されるチャンネル130の基端開口130aを有する。チャンネル130の基端開口130aには、駆動部材であるモータ132が取り付けられている。モータ132には、モータケーブル134の一端が接続されている。モータケーブル134の他端は、周辺ユニット20の駆動制御部26に接続されている。
【0024】
図2に示すように、挿入部12の第2の蛇管部48の内部には、駆動軸G1に沿って線状部材である駆動シャフト136が延設されている。駆動シャフト136の先端は、駆動ギア114に接続されている。駆動シャフト136の基端は、チャンネル130の基端開口130aに取り付けられたモータ132に接続されている。また、ベース部材102には、空洞部110に連通するようにチャンネル130の先端が接続されている。チャンネル130の基端は、基端開口130aに接続されている。駆動シャフト136は、チャンネルチューブ130の内部を通って延設されている。
【0025】
駆動操作入力部28での操作入力によって、駆動制御部26はモータケーブル134を介してモータ132に電力を供給し、モータ132の駆動制御を行う。駆動制御部26はモータ132を駆動させることにより、駆動シャフト136に対し、駆動シャフト136を回転させる回転駆動力を発生させる。このため、駆動シャフト136及び駆動ギア114が駆動軸G1を中心として回転する。ここで、駆動軸G1は、駆動ギア114及び駆動シャフト136の中心を通り、第2の蛇管部48の内部では、長手軸Cに対して略平行である。そして、駆動軸G1は、操作部14の内部でチャンネル130の基端開口130aに向かって屈曲している。
【0026】
駆動ギア114が駆動軸G1を中心として回転することにより、駆動ギア114に噛み合わせられた中継ギア116がギア軸G2を中心として回転する。中継ギア116に噛み合わせられた内周ギア部122により、回転筒状部材120が長手軸Cの軸回り方向に回転する。すなわち、モータ132の回転駆動力は、駆動シャフト136、駆動ギア114、中継ギア116、回転筒状部材120に伝達される。このため、回転筒状部材120が長手軸Cの軸回り方向に回転すると、回転筒状部材120に支持された内側ローラ124a,124b,124cが挿入部12及びカバー部材126に対して長手軸Cの軸回り方向に移動する。
【0027】
図1に示すように、スパイラルユニット60は、その外周面に螺旋フィン154が取り付けられて配置されたチューブ体152と、チューブ体152の先端側に設けられた筒状の先端側テーパ部156と、チューブ体152の基端側に設けられた筒状の基端側テーパ部158とを有する。
【0028】
この実施形態に係るスパイラルユニット60は使い捨てられる。このため、スパイラルユニット60は内視鏡10の使用のたびに挿入部12の第1の蛇管部46の外周に装着して使用される。内視鏡10の使用後、スパイラルユニット60は破壊されて挿入部12の外側から取り外されて廃棄される。
【0029】
螺旋フィン154が取り付けられたチューブ体152は、例えば熱可塑性樹脂で形成されている。螺旋フィン154は、長手軸Cを中心として螺旋状に延設されたフィン軸Fに沿って設けられている。チューブ体152の内周は挿入部12の先端硬性部42、湾曲部44及び第1の蛇管部46を通すことができるように形成されている。
【0030】
先端側テーパ部156は、先端方向側に向かうにつれて外径が小さくなる(チューブ体152の近位から遠位に向かうにつれて外径が小さくなる)テーパ状に形成されている。基端側テーパ部158は、基端方向側に向かうにつれて外径が小さくなる(チューブ体152の近位から遠位に向かうにつれて外径が小さくなる)テーパ状に形成されている。詳細は後述するが、先端側テーパ部156及び基端側テーパ部158は、挿入部12の外周面に対してスパイラルユニット60が長手軸Cの軸回り方向(周方向)に回転する際に、チューブ体152に対する遠位で摺動可能な範囲で縮径力を発揮させるように形成されている。
【0031】
図4に示すように、スパイラルユニット60は、その内周面に、挿入部12の長手軸Cの軸回りの回転力をチューブ体152に伝達するように係合される外側ローラ162a,162b,…,162fを有する。具体的には、基端側テーパ部158の内周面(例えば、後述する環状部182の内周面182a)には、6つの外側ローラ162a,162b,…,162fが取り付けられている。外側ローラ162a,162b,…,162fは、カバー部材126の外側に配置される。長手軸Cの軸回り方向(周方向)について、2つの外側ローラ162a,162bの間に内側ローラ124aが配置され、外側ローラ162c,162dの間に内側ローラ124bが配置される。また、長手軸Cの軸回り方向(周方向)について、外側ローラ162e,162fの間に内側ローラ124cが配置される。それぞれの外側ローラ162a,162b,…,162fは、対応するローラ軸P1,P2,…,P6を有する。それぞれの外側ローラ162a,162b,…,162fは、対応するローラ軸P1,P2,…,P6を中心として、カバー部材126及び基端側テーパ部158に対して回転可能である。
【0032】
この実施形態では、基端側テーパ部158の内周面は円形以外(非円形状)である。そして、外側ローラ162a,162b,…,162fがその内周面に取り付けられた基端側テーパ部158の内周面182aには、内側ローラ124a,124b,124cがその外側で支持され、カバー部材126がその外側に固定された回転筒状部材120が長手軸Cの軸回り方向(周方向)に嵌合される。
【0033】
なお、各ローラ124a−124c,162a−162fの位置関係は上述した状態に限ることはない。例えば、外側ローラ162a,162bの間に内側ローラ124b又は内側ローラ124cが配置されることも好適であり、外側ローラ162c,162dの間に内側ローラ124c又は内側ローラ124aが配置されることも好適であり、外側ローラ162e,162fの間に内側ローラ124a又は内側ローラ124bが配置されることも好適である。
【0034】
このため、モータ132の駆動によって前述のように回転筒状部材120が回転すると、内側ローラ124aが回転方向に基づいて外側ローラ162a又は外側ローラ162bを押圧する。同様に、内側ローラ124bが外側ローラ162c又は外側ローラ162dを押圧し、内側ローラ124cが外側ローラ162e又は外側ローラ162fを押圧する。このため、モータ132の回転駆動力が内側ローラ124a,124b,124cから外側ローラ162a−162fに伝達され、すなわち、スパイラルユニット60に伝達される。したがって、フィン154が取り付けられたチューブ体152を含むスパイラルユニット60が挿入部12及びカバー部材126に対して長手軸Cの軸回り方向に回転する。
【0035】
このため、外側ローラ162a,162b,…,162fは、スパイラルユニット60と一体に、挿入部12(ベース部材102)に対して、長手軸Cの軸回り方向に回転可能である。
【0036】
なお、それぞれの内側ローラ124a,124b,124cは対応するローラ軸R1,R2,R3を中心として回転する。このため、それぞれの内側ローラ124a,124b,124cとカバー部材126の内周面との間の摩擦は小さくなる。同様に、それぞれの外側ローラ162a,162b,…,162fは対応するローラ軸P1,P2,…,P6を中心として回転するため、それぞれの外側ローラ162a,162b,…,162fとカバー部材126の外周面との間の摩擦は小さくなる。このため、回転筒状部材120に支持された内側ローラ124a,124b,124cからスパイラルユニット60に回転駆動力が適切に伝達され、挿入部12の第2の中継接続部52が有するベース部材102に対して、スパイラルユニット60が適切に回転する。螺旋フィン154が管孔の内壁等の壁部に当接した状態でスパイラルユニット60(チューブ体152及びフィン154)が挿入部12に対して回転することにより、スパイラルユニット60が取り付けられた挿入部12に、その長手軸Cに沿って先端方向C1又は基端方向C2への推進力が作用する。
【0037】
ここで、スパイラルユニット60の基端側テーパ部158の構造について
図2から
図5Bを用いて説明する。なお、詳細な説明を省略するが、先端側テーパ部156の構造も基端側テーパ部158の構造と同様に形成されていることが好適である。すなわち、チューブ体152の先端側及び基端側に同様の構造のテーパ部が形成されていることが好適である。すなわち、テーパ部は、チューブ体152の先端側及び基端側の少なくとも一方に長手軸Cに沿って設けられ、チューブ体152に近接する近位及び離隔する遠位を有し、その外周が長手軸Cに沿って近位よりも遠位の方が長手軸Cに向かって縮径され、遠位で挿入部12の外周面に対して長手軸Cの軸回り方向に摺動可能な範囲で縮径力を発揮させる。
【0038】
この実施形態では、基端側テーパ部158は内層172及び外層(アウタージャケット)174を有する2層に形成されている。内層172は弾性変形可能であれば、樹脂材で形成されていても良く、金属材で形成されていても良い。内層172は電気絶縁性を有することが望ましい。外層174は、径方向に伸縮性を有する樹脂材等の弾性部材で円筒状に形成されている。外層174は内層172、すなわち、後述する環状部182及び変形部184(複数の延出部192)の先端から基端まで外周全体を覆うように形成されている。
【0039】
図5A及び
図5Bに示すように、内層172は、チューブ体152の基端に連結された環状部182と、環状部182から基端側に延出され弾性変形可能な弾性部材としての変形部184とを有する。環状部182の先端(チューブ体152に対する近位)とチューブ体152の基端とを連結する構造は、例えば接着剤や嵌合等を適宜に用いることができる。
【0040】
変形部184は、それぞれ環状部182から基端側(チューブ体152に対する遠位)に延出された複数の延出部192を有する。各延出部192は帯状に形成されている。複数の延出部192は環状部182の周方向(長手軸Cの周方向)に並設されている。各延出部192はそれぞれ1対の縁部194a,194bを有する。複数の延出部192の夫々の間には縁部194a,194bによってスリット196が形成されている。各延出部192は、その先端側(環状部182に近接する側)すなわちチューブ体152に対する近位に対して基端側(環状部182に離隔する側)すなわちチューブ体152に対する遠位の方が、周方向幅が徐々に小さくなるように形成されていることが好適である。つまり、縁部194a,194bは長手軸Cに沿って、チューブ本体152に対する近位からチューブ本体152の遠位に向かって、スリット196の開き角度θを形成する。外層174により長手軸Cに向かう方向に加えられる付勢力により、複数の延出部192のうち隣接する延出部192の縁部194a,194b同士は当接される。すなわち、各スリット196の開き角度θは0となる。このため、変形部184は、チューブ体152に対する基端側(遠位)を先端側(近位)に比べて縮径させることができる。ここで、変径部184は、各スリット196の開き角度θを調整することにより任意の径に縮径させることができる。一方、外層174の付勢力に抗して隣接する延出部192の縁部194a,194b同士を離すと、チューブ体152に対する基端側(遠位)を先端側(近位)と同様に拡径させることができる。このため、変形部184は、複数の延出部192により、全体として、先端側(チューブ体152に対する近位)よりも基端側(チューブ体152に対する遠位)を、長手軸Cに対して近接及び離隔させるように大きく変位させることができる。
なお、各延出部192は、素材の特性により、基端側ほど環状部182の中心軸、すなわち、長手軸Cに近接するように付勢力を有するように形成されていることも好適である。複数の延出部192は、それら自身が、チューブ体152に対する遠位で長手軸Cに向かって近位よりも縮径するように形成されている。
【0041】
このように、内層172及び外層174の両方の特に基端側(チューブ体152に対する遠位)が、長手軸(中心軸)Cに近接するように付勢されていることが好適である。一方、内層172の延出部192に付勢力を働かせず、外層174の伸縮性で延出部192の基端側ほど長手軸(中心軸C)に近接するようにしても良い。
【0042】
また、各延出部192は、先端側(チューブ体152に対する近位)よりも基端側(チューブ体152に対する遠位)が薄肉に形成されていることも好適である。この場合、複数の延出部192の肉厚が先端から基端まで一定である場合よりも、スパイラルユニット60の基端と挿入部12の外周面との段差を小さくすることができる。
【0043】
また、複数の延出部192のうち、チューブ体152に対する基端側(遠位)の内周面は、挿入部12の外周面に当接可能である。そして、挿入部12の外周面に対してスパイラルユニット60は長手軸Cの軸回り方向(周方向)に回転する。このため、複数の延出部192の基端側の内周面は、それぞれ挿入部12の外周面に対して長手軸Cの軸回り方向に滑り易い材料が選択されることが好適である。
また、外層174の内周面が挿入部12の外周面に当接する場合をも考慮して、外層174の基端側の内周面も、挿入部12の外周に対して長手軸Cの軸回り方向に滑り易い材料が選択されることが好適である。
【0044】
上述したように、この実施形態に係るスパイラルユニット60は使い捨てられる。このため、スパイラルユニット60は、内視鏡10を洗浄、消毒、滅菌する前に取り外される。もちろん、スパイラルユニット60を装着した内視鏡10を使い捨てにすることもできる。
【0045】
ここで、チューブ体152の最小内径は挿入部12の先端硬性部42、湾曲部44、第1の蛇管部46、及び第1の中継接続部50の最大外径と同じか、それよりも大きく形成されている。スパイラルユニット60が挿入部12の外側の所定位置に装着された状態において、先端側テーパ部156はその先端側(チューブ体152に対する遠位)ほど長手軸Cに近接して当接するように付勢され、基端側テーパ部158はその基端側(チューブ体152に対する遠位)ほど長手軸Cに近接して当接するように付勢されている。したがって、挿入部12の先端硬性部42、湾曲部44及び第1の蛇管部46がスパイラルユニット60に挿通される際、先端側テーパ部156及び基端側テーパ部158の最小内径を、先端硬性部42、湾曲部44、第1の蛇管部46及び第1の中継接続部50の最大外径と同じかそれよりも大きくしておく必要がある。
【0046】
図5Aに示すように、スパイラルユニット60の基端側テーパ部158には、挿入部12の先端硬性部42、湾曲部44及び第1の蛇管部46を挿通可能な内径に内層172及び外層174の各内周面を拡径させておき、内層172及び外層174の内径が縮径するのを規制する縮径規制体(拡径保持体)210が配置されている。
【0047】
この実施形態に係るスパイラルユニット60は、チューブ体152及び基端側テーパ部158に加えて、縮径規制体210を基端側テーパ部158に配置した状態でパッケージ化される。先端側テーパ部156が基端側テーパ部158と同様の構造を有する場合、各スパイラルユニット60は、縮径規制体210を基端側テーパ部158だけでなく先端側テーパ部156にも配置した状態でパッケージ化されることが好適である。
【0048】
縮径規制体210は、リング状部材212と、リング状部材212にその一端が固定されたツマミ214とを有する。ツマミ214は基端側テーパ部158の基端よりもさらに基端側に延出されている。
図6A及び
図6Bに示すように、縮径規制体210のリング状部材212は、他の部位よりも薄肉に形成され破壊され易い部分(他の部位に比べて弱く形成された部位)222を有する。すなわち、リング状部材212は、その一部が破壊されるように形成されている。縮径規制体210は、スパイラルユニット60のテーパ部158に対して取り外し可能に配設され、テーパ部158に挿入部12が挿通されるのを許容するようにテーパ部158の内径を拡径させた状態を保持してテーパ部158の内径が縮径するのを規制する。そして、縮径規制体210は、テーパ部158に挿入部12が挿通されるのに伴って取り外されることによって、テーパ部158に対してチューブ体152に対する近位よりもチューブ体152に対する遠位で挿入部12の外周面に対して長手軸Cの軸回り方向に摺動可能な範囲で縮径力を発揮させる。
【0049】
チューブ体152及び、内径を拡径させた基端側テーパ部158に対し挿入部12を挿通させて、スパイラルユニット60を挿入部12の外側の所定位置に配置した後、スパイラルユニット60の基端側に延出されたツマミ214を持ってそのツマミ214を基端方向C2に向かって引っ張る。ツマミ214を基端方向C2に向かって引っ張ると同時にその破壊され易い部分222が破壊され、又は、縮径規制体(拡径保持体)210をスパイラルユニット60の基端から取り外した後にその破壊され易い部分222を破壊することができる。ツマミ214を持ったまま、破壊され易い部分222が破壊されたのを確認して、挿入部12の長手軸Cに対して直交する方向にリング状部材212を引き抜く。このため、
図6Bに示すように、リング状部材212を挿入部12の外側から取り外すことができる。なお、縮径規制体210のリング状部材212を基端側テーパ部158の基端から取り外すのに伴って、基端側テーパ部158の基端は挿入部12の外周面に当接するように縮径する。
【0050】
縮径規制体210の他の例として、
図7Aに示す縮径規制体210のリング状部材212は、切欠き部226を有するCリング状に形成されている。リング状部材212は、切欠き部226の端部226a,226b同士が離隔するように付勢されている。このため、チューブ体152及び、内径を拡径させた基端側テーパ部158に挿入部12を挿通させた後、ツマミ214を持って基端側テーパ部158の内周からリング状部材212を引き抜くと、
図7Bに示すように、リング状部材212の切欠き部226の端部226a,226b同士が離隔してリング状部材212を挿入部12の外側から取り外すことができる。なお、縮径規制体210のリング状部材212を基端側テーパ部158の基端から取り外すのに伴って、基端側テーパ部158の基端は挿入部12の外周面に当接するように縮径する。
【0051】
次に、この実施形態に係る内視鏡10の作用について説明する。
内視鏡10の挿入部12に装着するスパイラルユニット60を準備する。スパイラルユニット60の先端側テーパ部156の先端の内周面及び基端側テーパ部158の基端の内周面には、それぞれ縮径規制体210が配設されており、隣接する延出部192の縁部194a,194b同士が離されて、内径が拡径されている。この状態で、スパイラルユニット60の基端側テーパ部158に対して内視鏡10の挿入部12の先端硬性部42、湾曲部44及び第1の蛇管部46を挿通させる。
【0052】
そして、挿入部12のカバー部材126の外周面に対して、スパイラルユニット60の基端側テーパ部158の環状部182の内周面182aを嵌合させる。
【0053】
この状態で、基端側テーパ部158に配置された縮径規制体210のツマミ214を長手軸Cの基端方向C2に向かって引っ張って、基端側テーパ部158から縮径規制体210を取り外す。先端側テーパ部156に配置された縮径規制体210のツマミ214を長手軸Cの先端方向C1に向かって引っ張って、先端側テーパ部156から縮径規制体210を取り外す。
【0054】
このため、隣接する延出部192の縁部194a,194b同士が当接して、基端側テーパ部158の基端側ほど内径が縮径し、先端側テーパ部156の先端側ほど内径が縮径する。そして、スパイラルユニット60が挿入部12の外側の所定の位置に適切に配置される。このとき、スパイラルユニット60の先端及び基端はそれぞれ挿入部12の外周面に当接した状態を維持するように長手軸Cに向かって付勢されている。したがって、挿入部12の外周面と先端側テーパ部156の先端及び基端側テーパ部158の基端との間の段差は、極力小さくなっている。従って、先端側テーパ部156は、長手軸Cの基端方向C1に向かって徐々に外径が小さくなるように形成されているので、先端側テーパ部156によって挿入部12の外周面からチューブ体152の先端外周まで延伸する緩い傾斜面が形成される。同様に、基端側テーパ部158は、長手軸Cの基端方向C2に向かって徐々に外径が小さくなるように形成されているので、基端側テーパ部158によって挿入部12の外周面からチューブ体152の基端外周まで延伸する緩い傾斜面が形成される。
【0055】
このようにスパイラルユニット60を装着した挿入部12を管孔内に挿入する。螺旋フィン154を管孔の内壁に当接させた状態でモータ(駆動部材)132を駆動し、前述のようにスパイラルユニット60を挿入部12の長手軸Cの軸回り方向に回転させる。
【0056】
具体的には、長手軸Cを中心とする螺旋状に延設された螺旋フィン154が管孔の内壁から長手軸(中心軸)Cに向かって押圧力を受ける状態で、長手軸Cの軸回り方向の一方にスパイラルユニット60を回転させる。このとき、スパイラルユニット60の先端及び基端が付勢力により挿入部12の外周面に密着している場合であっても、その密着力は挿入部12に対してスパイラルユニット60を長手軸Cの軸回り方向の一方に回転させることができる程度である。スパイラルユニット60が長手軸Cの軸回り方向の一方に回転することにより、挿入部12の先端には、先端方向C1への推進力が作用する。
【0057】
また、螺旋フィン154が管孔の内壁から長手軸(中心軸)Cに向かって押圧力を受ける状態で、長手軸Cの軸回り方向の他方にスパイラルユニット60(チューブ体152及び螺旋フィン154)を回転させる。このとき、スパイラルユニット60の先端及び基端が付勢力により挿入部12の外周面に密着している場合であっても、その密着力は挿入部12に対してスパイラルユニット60を長手軸Cの軸回り方向の他方に回転させることができる程度である。スパイラルユニット60が長手軸Cの軸回り方向の他方に回転することにより、挿入部12の先端には、基端方向C2への推進力が作用する。
【0058】
このように、先端方向C1への推進力によって管孔に対する挿入部12の挿入性が向上し、基端方向C2への推進力によって管孔に対する挿入部12の抜脱性が向上する。
【0059】
基端側テーパ部158と同様に形成された先端側テーパ部156の先端は、上述した構造により、挿入部12の外周面に対する段差が小さく形成されている。さらに、先端側テーパ部156は、挿入部12の外周面からチューブ体152の先端外周まで延伸する緩い傾斜面を形成している。また、基端側テーパ部158の基端は、上述した構造により、挿入部12の外周面に対する段差が小さく形成されている。さらに、基端側テーパ部158は、挿入部12の外周面からチューブ体152の基端外周まで延伸する緩い傾斜面を形成している。このため、例えば管孔の横断面の大きさが大きい状態から小さい状態に急激に変化している部位であっても、挿入部12を管孔に対して先端方向C1に挿入していく際に、先端側テーパ部156の先端と挿入部12の外周面との境界及びチューブ体152の先端に管孔の内壁が引っ掛かるのを極力防止できる。同様に、例えば管孔の横断面の大きさが大きい状態から小さい状態に急激に変化している部位であっても、挿入部12を管孔に対して基端方向C2に抜脱していく際に、基端側テーパ部158の基端と挿入部12の外周面との境界及びチューブ体152の基端に管孔の内壁が引っ掛かるのを極力防止できる。このため、この実施形態に係るスパイラルユニット60は、挿入部12に適切に装着した状態で、その端部が管孔の内周面に引っかかるのを防止可能である。
【0060】
なお、この実施形態では、各種の孔内に対する導入装置として、観察光学系及び照明光学系を有する内視鏡10について説明した。各種の孔内に対する導入装置として観察光学系及び照明光学系を有していないカテーテルに対して、同様のスパイラルユニット60を配置することもできる。
【0061】
第1実施形態では、
図2及び
図3に示すように、駆動ギア114に中継ギア116を噛み合わせ、中継ギア116に回転筒状部材120の内周ギア部122を噛み合わせて、モータ132からの駆動力を回転筒状部材120に伝達するように形成している。このうち、中継ギア116は必ずしも必要ではない。すなわち、駆動ギア114から回転筒状部材120の内周ギア部122に直接駆動力を伝達するように形成されていることも好適である。
【0062】
また、第1実施形態では、
図2から
図4に示すように、3つの組の2つの外側ローラ162a,162bの間に1つの内側ローラ124aを配置した例について説明した。
図8に示す例では、これらローラ124a−124c,162a−162fを除去している。
図8に示す例では、回転筒状部材120の外周面120bとスパイラルユニット60の基端側テーパ部158の環状部182の内周面182bとが嵌合可能な形状に形成されている。このため、回転筒状部材120の外周面120bとスパイラルユニット60の基端側テーパ部158の環状部182の内周面182bとが嵌合されることにより、モータ132の駆動力を、駆動ギア114から回転筒状部材120の内周ギア部122に伝達して、スパイラルユニット60を長手軸Cの軸回り方向に回転させることができる。
【0063】
次に、この実施形態に係るスパイラルユニット60を内視鏡10の挿入部12の外周から取り外すために、先端側テーパ部156及び基端側テーパ部158の縮径状態を解除するための機構について説明する。すなわち、この実施形態のスパイラルユニット60は、内視鏡10の挿入部12の外周面から取り外して廃棄するための取り外し機構を有する。ここでは、基端側テーパ部158に取り外し機構が配設された例について説明するが、先端側テーパ部156に同様の機構が配設されていることも好適である。
【0064】
図9A及び
図9Bに示すように、内層172の環状部182は、環状の本体252と、環状の本体252から先端側(チューブ体152側)に延出されたタブ254と、環状の本体252に形成された1対のスリット256a,256bとを有する。タブ254は、チューブ体152の基端側で挿入部12の外周面に対して長手軸Cの軸回り方向に摺動可能なように縮径力を発揮させた状態から、挿入部12を解放可能なように、基端側テーパ部158を取り外すのを補助するために形成されている。
【0065】
スリット256a,256bの先端はタブ254の近傍に形成されている。スリット256a,256b間の幅は、延出部192のうち環状部182に一体的な基部の周方向幅と略同様に形成されている。ある延出部192の一方の縁部194aとスリット256bとタブ254の一方の縁部254bとが略一直線上にあり、ある延出部192の他方の縁部194bとスリット256aとタブ254の他方の縁部254aとが略一直線上にある。タブ254の裏面は通常、チューブ体152の外周面に貼り付いている。
【0066】
このため、タブ254をチューブ体152の外周面に対して持ち上げて基端側に力を付加すると、タブ254の縁部254a,254bとスリット256a,256bとの間の部位258a,258bに応力が集中して、その応力が集中した部位が破壊される。このとき、内層172の外側に密着した外層174も一緒に引き裂かれる。また、スリット256a,256bとある延出部192の縁部194a,194bとの間の部位260a,260bに応力が集中して、その応力が集中した部位が破壊される。
【0067】
このように内層172及び外層174を引き裂くことで、内層172及び外層174に縮径力(収縮力)は働かない。したがって、それぞれ縮径力を失った先端側テーパ部156及び基端側テーパ部158を含むスパイラルユニット60を挿入部12に対して先端方向C1に移動させることができる。このため、スパイラルユニット60を挿入部12の外側から容易に取り外すことができる。
【0068】
なお、
図2中、複数の延出部192の基端の内周面が第2の蛇管部48の外周面に当接するように描画されているが、中継部材106が基端方向C2に延出され中継部材106の外周面に複数の延出部192の基端の内周面が当接するように形成されることも好適である。
また、先端側テーパ部156の先端は、湾曲部44の外周面に当接しても良く、第1の中継接続部50の外周面に当接するように形成されることも好適である。
【0069】
次に、第2実施形態について、
図10を用いて説明する。この実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0070】
図10に示す、この実施形態のスパイラルユニット60の基端側テーパ部158は単層で形成されている。基端側テーパ部158は、その基端側ほど長手軸Cに近接するように付勢力を発揮するように弾性部材で形成されている。基端側テーパ部158は、チューブ体152に対する遠位を長手軸Cに向かって、チューブ体152に対する近位よりも縮径させることができる。このように形成されていても、第1実施形態で説明した、内層172及び外層174を有する基端側テーパ部158と同様に機能する。
【0071】
この実施形態に係る基端側テーパ部158は、チューブ体152の基端に連結される環状部182と、環状部182の基端に一体的に形成され基端側に向かうにつれて内径及び外径が小さくなるように円錐台状に形成された変形部184とを有する。環状部182は第1実施形態で説明した環状部182と同様に形成されていることが好ましい。変形部184は長手軸Cに対して径方向に拡大可能である。
【0072】
この実施形態に係る基端側テーパ部158の環状部182は、本体252と、環状の本体252から先端側(チューブ体152側)に延出されたタブ254と、環状の本体252の内周面に形成された溝(薄肉部)262とを有する。溝262は例えば螺旋状に形成されていることが好適である。
【0073】
変形部184の内周面には、環状部182の本体252の内周面に形成された溝(薄肉部)262に連続して溝(薄肉部)264が形成されている。この溝264も例えば螺旋状に形成されていることが好適である。
【0074】
なお、変形部184の溝264は、挿入部12が挿通される程度に変形部184を長手軸Cに対して径方向に拡大したときに、破損しないように材料やその深さが設定されて形成されている。同様に、環状部182の本体252に形成された溝262も、挿入部12が挿通される程度に変形部184を長手軸Cに対して径方向に拡大したときに、影響を受けて破損しないように材料やその深さが設定されて形成されている。
【0075】
これは、基端側テーパ部158だけでなく、先端側テーパ部156も同様に形成されていることが好適である。
【0076】
このため、この実施形態に係るスパイラルユニット60は、第1実施形態で説明したスパイラルユニット60と同様に用いることができる。すなわち、この実施形態に係るスパイラルユニット60は、先端及び基端にそれぞれ縮径規制体(拡径保持体)210が配置された状態でパッケージ化されている。そして、挿入部12の外周の適切な位置にスパイラルユニット60を装着する際に、縮径規制体(拡径保持体)210を取り外すことにより、挿入部12の外側にスパイラルユニット60を装着することができる。スパイラルユニット60が挿入部12の外側の所定の位置に適切に配置された状態で、スパイラルユニット60の先端及び基端はそれぞれ挿入部12の外周面に当接した状態を維持するように長手軸Cに向かって付勢されている。したがって、挿入部12の外周面と先端側テーパ部156の先端及び基端側テーパ部158の基端との間の段差は、極力小さくなっている。このため、例えば管孔の横断面の大きさが大きい状態から小さい状態に急激に変化している部位であっても、挿入部12を管孔に対して先端方向C1に挿入していく際に、先端側テーパ部156の先端と挿入部12の外周面との境界に管孔の内壁が引っ掛かるのを極力防止できる。同様に、例えば管孔の横断面の大きさが大きい状態から小さい状態に急激に変化している部位であっても、挿入部12を管孔に対して基端方向C2に抜脱していく際に、基端側テーパ部158の基端と挿入部12の外周面との境界に管孔の内壁が引っ掛かるのを極力防止できる。このため、この実施形態に係るスパイラルユニット60は、挿入部12に適切に装着した状態で、その端部が管孔の内周面に引っかかるのを防止可能である。
【0077】
次に、この実施形態に係るスパイラルユニット60を内視鏡10の挿入部12の外周から取り外すために、先端側テーパ部156及び基端側テーパ部158の縮径状態を解除する場合の作用について簡単に説明する。
タブ254をチューブ体152の外周面に対して持ち上げて基端側に力を付加すると、タブ254の縁部254aと溝262の先端との間、すなわち、溝262の先端262aに応力が集中して、その応力が集中した部位から溝262に沿って破壊される。すなわち、溝262の先端から基端に向かって環状部182の本体252が破壊されて剥がされていく。そして、環状部182の本体252の溝262に連続している、変形部184の溝264も、その先端から基端に向かって破壊されて剥がされていく。
【0078】
このように、溝262に沿って環状部182の本体252、溝264に沿って変形部184を引き裂くことで、弾性部材で形成された基端側テーパ部158に縮径力(収縮力)は働かない。
【0079】
先端側テーパ部156の縮径状態を解除する場合、基端側テーパ部158と同様に作業を行えば良い。
【0080】
したがって、それぞれ縮径力を失った先端側テーパ部156及び基端側テーパ部158を含むスパイラルユニット60を挿入部12に対して先端方向C1に移動させることができる。このため、スパイラルユニット60を挿入部12の外側から容易に取り外すことができる。
【0081】
この実施形態では、基端側テーパ部158が単層である場合について説明したが、第1実施形態で説明した外層174をこの実施形態の基端側テーパ部158の外周に被覆することは好適である。この場合、内視鏡10の使用中に基端側テーパ部158のスリット256a,256bに隣接する部位(薄肉部)258a,258b,260a,260bが破損することを、より確実に防止できる。
【0082】
スパイラルユニット60は、例えば第1実施形態で説明した構造のテーパ部を先端側テーパ部156に、第2実施形態で説明した構造のテーパ部を基端側テーパ部158に採用しても良い。また、例えば第2実施形態で説明した構造のテーパ部を先端側テーパ部156に、第1実施形態で説明した構造のテーパ部を基端側テーパ部158に採用しても良い。
【0083】
これまで、いくつかの実施形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。