(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[内視鏡装置5]
図1に示すように、内視鏡装置5は、図示しない撮像ユニットを有する内視鏡10と、内視鏡10を制御する制御装置14と、制御装置14と接続している表示部16とを有している。制御装置14は、撮像ユニットによって撮像された画像を処理する図示しない画像処理部を有している。表示部16は、内視鏡10によって撮像され、画像処理部によって処理された画像を表示する。
【0014】
[内視鏡10]
図1Aに示すような内視鏡10は、例えば、直視型の内視鏡である。
図1Aに示すように内視鏡10は、例えば患者の管腔に挿入される細長い挿入部20と、挿入部20の基端部と連結し、内視鏡10を操作する操作部30とを有している。
【0015】
[挿入部20]
図1Aに示すように、挿入部20は、挿入部20の先端部側から挿入部20の基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部と連結している。
先端硬質部21は、挿入部20の先端部であり、硬く、曲がらない。先端硬質部21の構成については、後述する。先端硬質部21は、挿入部20の挿入先端部として機能する。
湾曲部23は、後述する湾曲操作部37の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わる。そして、図示しない照明光が観察対象物に照明され、観察対象物が観察視野内に捉えられる。この観察対象物とは、例えば、被検体(例えば体腔)内における患部や病変部等である。
可撓管部25は、所望な可撓性を有している。よって可撓管部25は、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部30における後述する本体部31から延出されている管状部材である。
【0016】
[操作部30]
図1Aに示すように、操作部30は、可撓管部25が延出している本体部31と、本体部31の基端部と連結し、内視鏡10を操作する操作者によって把持される把持部33と、把持部33と接続しているユニバーサルコード41とを有している。
【0017】
[把持部33]
図1Aに示すように、把持部33は、処置具挿入部35と、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部37と、スイッチ部39とを有している。処置具挿入部35は把持部33の先端部に配設され、湾曲操作部37とスイッチ部39とは把持部33の基端部に配設されている。
【0018】
[処置具挿入部35]
図1Aに示すように、処置具挿入部35は、把持部33に対して分岐している。このため、処置具挿入部35の中心軸方向は、把持部33の中心軸方向に対して傾斜している。
図1Aに示すように、処置具挿入部35は、処置具挿入部35の端部に配設され、図示しない処置具が内視鏡10に挿入されるための処置具挿入口部35aを有している。
【0019】
処置具挿入口部35aは、図示しない処置具挿通チャンネルの基端部と連結している。処置具挿通チャンネルは、挿入部20の内部に配設され、可撓管部25から湾曲部23を介して先端硬質部21に渡って配設されている。処置具挿通チャンネルの先端部は、先端硬質部21に配設されている処置具開口部130a(
図1B参照)と連通している。処置具挿入口部35aは、処置具を処置具挿通チャンネルに挿入するための挿入口である。
【0020】
[湾曲操作部37]
図1Aに示すように、湾曲操作部37は、湾曲部23を左右に湾曲操作させる左右湾曲操作ノブ37aと、湾曲部23を上下に湾曲操作させる上下湾曲操作ノブ37bと、湾曲した湾曲部23の位置を固定する固定ノブ37cなどの湾曲固定ノブを有している。
【0021】
[スイッチ部39]
図1Aに示すように、スイッチ部39は、吸引スイッチ39aと、送気・送水スイッチ39bと、内視鏡撮影用の各種スイッチ39cとを有している。吸引スイッチ39aと送気・送水スイッチ39bと各種スイッチ39cとは、把持部33が操作者に把持された際に、操作者の手によって操作される。
吸引スイッチ39aは、吸引開口部を兼ねる処置具開口部130aから吸引チャンネルを兼ねる処置具挿通チャンネルを介して、粘液や流体等を内視鏡10が吸引するときに操作される。
送気・送水スイッチ39bは、先端硬質部21において観察ユニットの観察視野101(
図1D参照)を確保するために、図示しない送気チューブと図示しない送気・送水チューブとから流体を送気するときと、送水チューブと送気・送水チューブとから流体を送水するときに操作される。流体は、水や気体を含む。
送気チューブと、送水チューブと、送気・送水チューブとは、内視鏡10の内部において、挿入部20から本体部31と把持部33とを介してユニバーサルコード41にまで配設されている。
【0022】
[ユニバーサルコード41]
図1Aに示すように、ユニバーサルコード41は、把持部33の側面から延出されている。ユニバーサルコード41は、制御装置14に着脱自在な接続コネクタ41aを有している。
【0023】
[内視鏡先端キャップ(以下、キャップ50)]
図1Aと
図1Bと
図1Cとに示すように、内視鏡10は、挿入部20の先端部として機能する先端硬質部21に着脱自在なキャップ50をさらに有している。キャップ50は、筒形状、例えば略円筒形状を有している。キャップ50は、例えば樹脂などの柔軟な部材によって形成されている。
【0024】
図1Aと
図1Bとに示すように、キャップ50は、先端硬質部21の先端部に着脱自在に装着される基端部51と、基端部51が先端硬質部21の先端部に装着された際に先端硬質部21の先端面21aよりも前方に突出する位置に配設される先端部53とを有している。つまりキャップ50は、キャップ50の軸方向において、キャップ50の一端部である基端部51が先端硬質部21に装着され、キャップ50の他部である先端部53が先端硬質部21の先端面21aよりも前方に突出する位置になるように、先端硬質部21に着脱自在に装着される。そして、基端部51は、キャップ50を先端硬質部21に取り付ける取付部として機能する。
【0025】
図1Bに示すように、先端面21aは、例えば、被検体を観察する観察ユニットの観察窓部100aと、被検体に照明光を照明する照明ユニットの照明窓部110aとを有する。先端面21aは、観察窓部100aに向けて送気送水する送気送水ノズル120aと、処置具が突出する処置具開口部130aをさらに有している。
【0026】
[キャップ50の凹部53a]
先端面21aから突出する先端部53の突出量、言い換えるとキャップ50の突出高さは、例えば、近接観察における最適な距離に設定されている。具体的には、先端硬質部21は、観察ユニットと、照明ユニットとを有している。
図1Dに示すように、観察ユニットの観察視野101は、例えば略八角形形状などの非円形形状を有している。
図1Eに示すような凹部53aと凸部53bとが先端部53に配設されていない円筒形状のキャップ50が先端硬質部21に装着される場合について説明する。
図1Eに示すこのキャップ50は、本実施形態のキャップ50とは異なる。この場合、
図1Fに示すように、キャップ50の先端の一部50aが観察視野101の両脇部分に入り込み、一部50aが観察視野101を妨げてしまう虞が生じる。図示はしないが、キャップ50の先端の一部50aが照明範囲の両脇部分に入り込み、一部50aが照明範囲を妨げてしまう虞が生じる。
このため
図1Bと
図1Dとに示すように、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に、先端面21aから突出する先端部53が観察ユニットの観察視野101と照明ユニットの照明範囲とを遮らないように、キャップ50は形成されている。詳細には、
図1Bと
図1Cと
図1Dとに示すように、キャップ50が観察視野101と照明範囲とに入り込まないように、キャップ50の先端の一部50aは凹設されている。よって、
図1Bと
図1Cと
図2Aとに示すように、例えば、キャップ50は、先端部53に配設されている凹部53aを有している。凹部53aは、キャップ50の軸方向において先端部53から基端部51に向かって配設(凹設)されている。凹部53aは、先端硬質部21に配設されている観察ユニットの観察視野101に凹部53aが重複するように、キャップ50の径方向において観察ユニットに隣り合っていてもよい。凹部53aは、先端硬質部21に配設されている照明ユニットの照明範囲に凹部53aが重複するように、キャップ50の径方向において照明ユニットに隣り合っていてもよい。前記した2つの重複は、少なくとも一方が実施されていればよい。このため凹部53aは、例えば、凹部53aが観察窓部100aと照明窓部110aとに隣り合うように、配設される。なお内視鏡観察画像におけるマスクの形状に応じて、照明光を遮ってもよい領域に応じて、照明光を遮ってはいけない領域に応じて、観察視野101や照明光の広がりに応じて、凹部53aの少なくとも一部が観察窓部100aと照明窓部110aとに隣り合うように、凹部53aの少なくとも一部が配設されていればよい。凹部53aは、キャップ50の軸周り方向において、キャップ50の一部50aに配設される。凹部53aは、キャップ50の軸周り方向において、複数配設されている。
【0027】
凹部53aは、観察視野、照明範囲のいずれかにのみ入り込まないように形成されていてもよい。
【0028】
[キャップ50の凸部53b]
そして
図1Bと
図1Cと
図2Aとに示すように、キャップ50の軸周り方向において、凹部53aの隣には、複数の凸部53bが配設されることとなる。キャップ50の軸周り方向において、凹部53aと凸部53bとが交互に配設されることとなる。凹部53aと凸部53bとは、キャップ50の先端の縁部に配設される。凹部53aと凸部53bとは、キャップ50の先端として機能する。
【0029】
凹部53aと凸部53bとにおいて、形状や高さ等は、内視鏡観察画像におけるマスクの形状に応じて、照明光を遮ってもよい領域に応じて、照明光を遮ってはいけない領域に応じて、観察視野101や照明光の広がりに応じて、所望に設定される。
【0030】
[キャップ50の先端面53c]
図1Bと
図1Cとに示すように、このような凹部53aと凸部53bとを有するキャップ50の先端部53において、先端部53の先端面53cは、キャップ50の軸周り方向において、例えば波形状に形成されている。このためキャップ50の先端の突出量は、部分的に変化している。キャップ50の軸周り方向において、先端面53cの稜線部53dは滑らかとなっている。つまり凹部53aは、キャップ50の軸周り方向において、段差が形成されることなく、滑らかに凸部53bと連続する。
【0031】
凹部53aと凸部53bとが配設されると、例えばキャップ50の一部である凸部53bの強度は、キャップ50の他部である例えば基端部51の強度に比べて低くなる。言い換えると、キャップ50の強度にばらつきが生じる。このため本実施形態では、キャップ50は、低強度部55と、少なくとも凸部53bの強度を補強するために、低強度部55よりも強度が高い高強度部57とを有している。
【0032】
[低強度部55]
図1Bと
図1Cと
図2Aとに示すように、低強度部55は、例えば、キャップ50の軸方向において少なくとも凹部53aと同一直線上に配設される。低強度部55は、キャップ50の軸方向において先端部53と基端部51との間に連続して配設される。低強度部55は、例えば、直線状に配設される。このため、低強度部55は、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に、キャップ50の軸周り方向において観察ユニットと同じ位置に配設される。言い換えると、低強度部55は、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に、キャップ50の径方向において観察ユニットと隣り合うように配設される。この点は、低強度部55と照明ユニットとについても同様である。
【0033】
本実施形態では、
図2Aに示すように、低強度部55は、例えば、略C字形状の断面を有している。低強度部55の幅は、例えば、均一となっている。低強度部55は、凹部53aを含む。このため、低強度部55が配設される先端部53は、凹部53aの底部を含むこととなる。低強度部55は、凸部53bを含む。このため、低強度部55が配設される先端部53は、凸部53bの先端を含むこととなる。
【0034】
[高強度部57]
図1Bと
図1Cと
図2Aとに示すように、高強度部57は、キャップ50の軸周り方向において凹部53aを除く部分に少なくとも配設されている。本実施形態では、高強度部57は、キャップ50の軸周り方向において、凹部53aを除く部分のみ、例えば凸部53bを含む部分のみに配設されている。高強度部57は、キャップ50の軸方向において先端部53と基端部51との間を連続して配設されている。高強度部57は、例えば、直線状に配設される。高強度部57が凸部53bを含むように配設されているため、高強度部57が配設される先端部53は凸部53bの先端を含むこととなる。高強度部57は、キャップ50の軸方向において凸部53bと同一直線上に配設されていることとなる。高強度部57は、例えば、キャップ50の軸周り方向において、低強度部55と隣り合って配設される。よって、例えば、高強度部57は、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に、キャップ50の径方向において、観察ユニットと隣り合うように配設されており、観察窓部100aと隣り合うように配設される。例えば、高強度部57は、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に、キャップ50の軸周り方向において、照明ユニットと隣り合うように配設されており、照明窓部110aと隣り合うように配設される。キャップ50の軸周り方向における高強度部57の幅は、例えば、キャップ50の軸方向において先端部53から基端部51に向かって、均一となっている。
【0035】
例えば、高強度部57は、1つの凸部53bに対応するように、1つ配設されていれる。なお
図1Bと
図1Cと
図2Aと
図2Bと
図2Cとに示すように、高強度部57は、少なくとも1つ配設されていればよく、キャップ50の軸周り方向において複数配設されていてもよい。
【0036】
図2Aに示すように、低強度部55は例えば薄肉部55aを有しており、高強度部57は例えば厚肉部57aを有している。この場合、
図2Aと
図2Cとに示すように、厚肉部57aは、例えば、厚肉部57aにおけるキャップ50の外径が薄肉部55aにおけるキャップ50の外径よりも大きくなることで形成される。厚肉部57aにおけるキャップ50の内径は、薄肉部55aにおけるキャップ50の内径と同一である。または、
図2Bに示すように、厚肉部57aは、厚肉部57aにおけるキャップ50の内径が薄肉部55aにおけるキャップ50の内径よりも小さくなることで形成される。厚肉部57aにおけるキャップ50の外径は、薄肉部55aにおけるキャップ50の外径と同一である。
【0037】
[抜け落ち防止部51a]
図3Aと
図3Bとに示すように、基端部51は、基端部51の内周面に配設され、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に基端部51が先端硬質部21から抜け落ちることを防止する抜け落ち防止部51aを有している。この抜け落ち防止部51aは、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に、先端硬質部21に装着された基端部51がキャップ50の軸方向と軸周り方向とに移動することを防止する。抜け落ち防止部51aは、例えば、基端部51の内周面から基端部51の内部に向かって突出している突出部として機能する。抜け落ち防止部51aは、基端部51の内周面と先端硬質部21の外周面とにおける摩擦面積を増やすために配設されている。抜け落ち防止部51aは、例えば
図3Aに示す矩形柱形状や
図3Bに示す三角柱形状を有している。抜け落ち防止部51a同士は、例えば、キャップ50の軸周り方向において、互いに等距離離れて配設されている。なお抜け落ち防止部51aは、例えば、キャップ50の軸周り方向において、全周に渡って配設されていてもよい。この場合、抜け落ち防止部51aは、例えば、リング形状を有している。
【0038】
[指標部51b]
図1Bと
図3Aと
図3Bと
図3Cとに示すように、基端部51は、凹部53aが前記したように観察ユニットと照明ユニットとに隣り合って配設されるように、先端硬質部21の軸周り方向とキャップ50の軸周り方向とにおいて、先端硬質部21とキャップ50との互いの位置合わせのために配設される指標部51bを有している。指標部51bが先端硬質部21の軸周り方向において所望する部分に配設されると、凹部53aが前記したように観察ユニットと照明ユニットとに隣り合うように配設されることとなる。指標部51bは、例えば基端部51の一部に切り欠き部が配設されることによって形成される。
【0039】
[貫通防止部59]
図3Cに示すように、キャップ50は、キャップ50の内周面に配設され、先端硬質部21の先端面21aが貫通防止部59に当設することによって、先端硬質部21がキャップ50の軸方向においてキャップ50を貫通することを防止する貫通防止部59を有している。貫通防止部59は、キャップ50の内周面からキャップ50の内部に向かって突出している突出部として機能する。突出部は、例えば、リブを有している。
【0040】
なお
図3Cに示すように、貫通防止部59は、キャップ50の軸周り方向において、キャップ50の一部に配設されている。具体的には、貫通防止部59は、貫通防止部59が観察ユニットの観察視野101と照明ユニットの照明範囲とを遮らないように、配設されている。このため、例えば、貫通防止部59は、凸部53bの内周面に配設される。貫通防止部59は、キャップ50の軸方向において凹部53aの底部と同じ位置に配設されていてもよい。つまり貫通防止部59と凹部53aの底部とは、キャップ50の径方向において、同一平面上に配設されてもよい。貫通防止部59が凹部53aの底部と一体となるように、キャップ50は成形されていてもよい。貫通防止部59は、例えば、キャップ50の軸周り方向において、全周に渡って配設されていてもよい。
【0041】
[作用]
キャップ50は、先端硬質部21の軸周り方向とキャップ50の軸周り方向とにおいて、先端硬質部21とキャップ50とが指標部51bによって互いに対して位置合わせされるように、先端硬質部21に装着される。
このとき、抜け落ち防止部51aは、基端部51が先端硬質部21から抜け落ちることを防止し、先端硬質部21に装着された基端部51がキャップ50の軸方向と軸周り方向とに移動することを防止する。
先端硬質部21の先端面21aが貫通防止部59に当設することによって、貫通防止部59は先端硬質部21がキャップ50を貫通することを防止する。
これにより、凹部53aと低強度部55と高強度部57とを含むキャップ50は、先端硬質部21に対して、キャップ50の軸周り方向とキャップ50の軸方向とにおいて相対的に位置決めされる。
【0042】
なお本実施形態とは異なり、高強度部57が配設されておらず、低強度部55のみが配設されている場合、キャップ50は所望する強度を確保できない虞が生じる。このため、キャップ50が先端硬質部21に装着される際、キャップ50の形状が崩れ、キャップ50が容易に先端硬質部21に装着されない虞が生じる。
しかしながら本実施形態では、高強度部57が配設されており、キャップ50は所望する強度を確保することとなる。このため、キャップ50が先端硬質部21に装着される際、キャップ50の形状が崩れることは防止され、キャップ50が容易に先端硬質部21に装着される。
【0043】
凹部53aが配設されている。このため、キャップ50の先端の一部50aが観察視野101を妨げてしまうことは防止され、キャップ50の先端の一部50aが照明範囲を妨げてしまうことは防止される。
【0044】
キャップ50が管腔内の壁部に押し付けられる際、凸部53bが最初に壁部に押し付けられる。凸部53bの強度が低い場合、凸部53bは、キャップ50の内部に倒れ込む虞が生じる。倒れた凸部53bは、観察視野101を遮る虞が生じ、さらに照明光を遮る虞が生じる。
しかしながら本実施形態では、高強度部57が凸部53bを含むように配設されているため、凸部53bの強度は高強度部57によって所望に確保される。よって、凸部53bはキャップ50の内部に倒れ込むことを防止される。このようにキャップ50において、高強度部57によって、必要な部分である凸部53bに強度が確保される。よって、凸部53bが観察視野101を遮り照明光を遮ることが防止される。
【0045】
高強度部57によって、キャップ50の径方向においてキャップ50の一部がキャップ50の外側に突出することや、キャップ50全体の肉厚が増加することが不要になる。よって、キャップ50全体の外径が大きくなることが防止され、挿入部20の挿抜性が低下するが防止される。
【0046】
高強度部57は、キャップ50の軸方向において、先端部53と基端部51との間を連続して直線状に配設されている。このため、キャップ50は、キャップ50の軸方向において、所望する強度を確保することとなる。
【0047】
高強度部57は、キャップ50の軸周り方向において、複数配設されている。このため、キャップ50は、キャップ50の軸周り方向において、所望する強度を確保することとなる。
【0048】
高強度部57は、厚肉部57aを有する。これにより、キャップ50は、簡単に成形される。高強度部57は、厚肉部57aを有し、前記したように配設される。よって、キャップ50全体の肉厚が増加することが防止され、キャップ50全体の外径が大きくなることが防止される。
【0049】
[効果]
このように本実施形態では、高強度部57によって、強度が低い凸部53bにおいて、凸部53bの強度を所望に確保できる。よって本実施形態では、凸部53bがキャップ50の内部に倒れ込むことを防止できる。このように本実施形態では、キャップ50において、高強度部57によって、必要な部分である凸部53bに強度を確保できる。よって本実施形態では、凸部53bが観察視野101を遮り照明光を遮ることが防止できる。
本実施形態では、高強度部57によって、キャップ50の径方向においてキャップ50の一部がキャップ50の外側に突出することや、キャップ50全体の肉厚が増加することが不要にできる。よって本実施形態では、キャップ50全体の外径が大きくなることが防止でき、挿入部20の挿抜性が低下することを防止できる。
【0050】
本実施形態では、高強度部57は、キャップ50の軸方向において、先端部53と基端部51との間を連続して直線状に配設されている。このため本実施形態では、キャップ50は、キャップ50の軸方向において、所望する強度を確保できる。
【0051】
本実施形態では、高強度部57は、キャップ50の軸周り方向において、複数配設されている。このため本実施形態では、キャップ50は、キャップ50の軸周り方向において、所望する強度を確保できる。
【0052】
本実施形態では、高強度部57は、厚肉部57aを有する。これにより本実施形態では、キャップ50を簡単に成形できる。本実施形態では、高強度部57は、厚肉部57aを有し、前記したように配設される。よって本実施形態では、キャップ50全体の肉厚が増加することを防止でき、キャップ50全体の外径が大きくなることを防止できる。
【0053】
本実施形態では、高強度部57が配設されており、キャップ50は所望する強度を確保することとなる。このため本実施形態では、キャップ50を先端硬質部21に装着する際、キャップ50の形状が崩れることを防止でき、キャップ50を容易に先端硬質部21に装着できる。
【0054】
本実施形態では、凹部53aが配設されている。このため本実施形態では、先端の一部50aが観察視野101を妨げてしまうことを防止でき、先端の一部が照明範囲を妨げてしまうことを防止できる。
【0055】
本実施形態では、指標部51bによって、キャップ50の軸周り方向と先端硬質部21の軸周り方向とにおいて、キャップ50と先端硬質部21とを互いに対して容易に位置合わせできる。
本実施形態では、抜け落ち防止部51aによって、キャップ50が先端硬質部21から抜け落ちることを防止でき、先端硬質部21に装着されたキャップ50がキャップ50の軸方向と軸周り方向とに移動することを防止できる。
本実施形態では、先端硬質部21の先端面21aが貫通防止部59に当設することによって、先端硬質部21がキャップ50を貫通することを防止できる。
前記によって本実施形態では、凹部53aと低強度部55と高強度部57とを含むキャップ50を、先端硬質部21に対して、キャップ50の軸周り方向とキャップ50の軸方向とにおいて相対的に位置決めできる。
【0056】
本実施形態では、高強度部57の幅は、例えば、均一となっている。このため本実施形態では、キャップ50は、キャップ50の軸周り方向において、所望する強度を確保できる。
【0057】
なお高強度部57は、凸部53bのみに配設されていてもよい。高強度部57は、凹部53aを含むように、キャップ50の軸方向において先端部53と基端部51との間を連続して直線状に配設されているのみでもよい。
【0058】
本実施形態では、前記よって、内視鏡10に配設される挿入部先端部(先端硬質部21)に装着されるキャップ50を含む内視鏡装置5を提供できる。言い換えると、本実施形態では、前記によってキャップ50が装着されている内視鏡挿入部を有する内視鏡装置5を提供できる。
【0059】
以下に、本実施形態の各変形例について、簡単に説明する。
【0060】
[第1の変形例]
図4に示すように、高強度部57の幅は、キャップ50の軸方向において、先端部53から基端部51に向かうに従って徐々に細くなっていてもよい。高強度部57は、第1の実施形態と同様に厚肉部57aを有している。
【0061】
これにより本変形例では、必要な部分に所望する強度を確保できると共に、厚肉部57aを少なくできる。
【0062】
なお高強度部57が厚肉部57aを有している場合、厚肉部57aにおける厚みは、先端部53から基端部51に向かうに従って徐々に薄くなっていてもよい。
【0063】
[第2の変形例]
図5に示すように、高強度部57は、先端部53に配設され、且つ、凹部53aを含むようにキャップ50の軸周り方向において全周に渡って配設されていてもよい。
【0064】
これにより本変形例では、必要な部分に所望する強度を確保できると共に、厚肉部57aを少なくできる。
【0065】
[第3の変形例]
図6に示すように、低強度部55は、キャップ50として機能する。
図6に示すように、高強度部57は、キャップ50の一部50cと、一部50cの例えば内周面に配設され、キャップ50とは別部材であり、一部50cの強度を補強する補強部材57bとを有している。補強部材57bの強度は、キャップ50の強度と同一であっても異なっていてもよい。補強部材57bは、略円弧柱形状を有している。補強部材57bは、キャップ50の内周面の一部に固定されている。補強部材57bは、キャップ50と同一の材質で形成されてもよいし、キャップ50とは異なる材質で形成されてもよい。
【0066】
これにより本変形例では、必要な部分に所望する強度を確保できると共に、キャップ50自体の加工を少なくできる。
【0067】
なお補強部材57bは、キャップ50の内周面と外周面との少なくとも一方に配設されていればよい。補強部材57bは、一方に当設するように配設されている。
【0068】
なお図示はしないが、高強度部57は、キャップ50の一部50cと、キャップ50の一部50cの強度が高くなるようにキャップ50の一部50cをコーティングするコーティング部材とを有していてもよい。コーティング部材は、例えば、シリコン系の接着剤などを有している。
【0069】
[第4の変形例]
図7に示すように、補強部材57bは、筒形状、例えば円筒形状を有しており、キャップ50の内部に配設されてもよい。補強部材57bは、先端硬質部21が補強部材57bに挿入され、先端硬質部21の外周面が補強部材57bの内周面に密着するように、先端硬質部21の径方向においてキャップ50と先端硬質部21との間に配設されている。そして、高強度部57は、キャップ50の径方向において、キャップ50と補強部材57bとの間に配設され、キャップ50と補強部材57bとによって挟まれる被挟持部材57cをさらに有していてもよい。被挟持部材57cは、例えば、棒形状を有している。
【0070】
これにより本変形例では、必要な部分に所望する強度を確保できると共に、キャップ50自体の加工を少なくできる。
【0071】
[第5の変形例]
図8Aに示すように、低強度部55と高強度部57とは、互いに別部材によって形成される。この場合、低強度部55は柔らかい材質によって形成され、高強度部57は硬い材質によって形成されている。このような材質は、例えば樹脂である。そして、低強度部55と高強度部57とは、互いに一体に成形されて、キャップ50として機能する。
【0072】
なお
図8Bに示すように、高強度部57は低強度部55にインサート成形されて、低強度部55と高強度部57とはキャップ50として機能してもよい。
【0073】
これにより本変形例では、キャップ50の厚みを均一にでき、挿入部20の挿抜性が低下するが防止できる。
【0074】
[第6の変形例]
図9Aと
図9Bとに示すように、高強度部57は、キャップ50の径方向においてキャップ50を貫通する貫通口部57dを有していてもよい。貫通口部57dにおいて、例えば観察ユニットの観察窓部を洗浄するための液体などがキャップ50の内部から外部に流出可能となっている。貫通口部57dは、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に、貫通口部57dの少なくとも一部が先端硬質部21の側面によって塞がれず、貫通口部57dの少なくとも一部が先端面21aから露出するように、先端部53に配設されている。例えば、貫通口部57dは、凸部53bの根本部分に配設されている。
【0075】
これにより本変形例では、キャップ50が先端硬質部21に装着された際に、貫通口部57dによって、キャップ50の内部にたまる液体を外部に流出できる。本変形例では、貫通口部57dが低強度部55に配設されると、低強度部55の強度はさらに低下してしまう。しかしながら貫通口部57dが高強度部57に配設されることで、必要な部分に所望する強度を確保できる。
【0076】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
キャップ50は、凹部53aと、低強度部55と、高強度部57とを有している。高強度部57は、キャップ50の軸周り方向において凹部53aを除く部分に少なくとも配設されている。高強度部57は、キャップ50の軸方向において先端部53と基端部51との間を連続して直線状に配設されている。