特許第5792441号(P5792441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792441
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】駆動モータおよび光量調節装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   G03B9/02 A
   G03B9/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-190277(P2010-190277)
(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公開番号】特開2012-47991(P2012-47991A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2013年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】310018490
【氏名又は名称】新亜光学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 英文
(72)【発明者】
【氏名】高田 善夫
【審査官】 野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−003437(JP,A)
【文献】 特開2004−151743(JP,A)
【文献】 特開2010−138992(JP,A)
【文献】 特開2004−138939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/02
G03B 9/08
H02K 5/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、この回転軸の両端部を回転自在に軸支する軸受部材とを備え、
前記回転軸に取り付けられたローターマグネットと、該ローターマグネットに外装されたボビンに巻き付けられたコイルと、前記ローターマグネットと前記コイルとを囲んで磁界の漏れを防ぐととともに内側に磁気回路を形成するヨークとからなり、前記ローターマグネットとヨークの磁気的作用により前記回転軸の一端側を前記軸受部材側へ付勢するスラスト力が発生し、前記回転軸の他端側に該回転軸の駆動力により回動する駆動力伝達部材が設けられた駆動モータであって、
前記回転軸の一端側は、中央側の外径よりも段階的に縮径した階段部が形成され該階段部の端面に凸面の球形状部が形成される一方、
前記回転軸がスラスト方向に移動する際に当該一端側の前記球形状部に対面する前記軸受部材の軸受面が凹面の球面軸受面に形成されており、
前記軸受部材の前記球面軸受面の曲率半径が前記回転軸の前記球形状部の曲率半径よりも大きく形成され、
前記球面軸受面は、前記回転軸の回転時及び前記ローターマグネットの衝止時に、前記回転軸に付与される前記スラスト力によって前記回転軸をその軸心が前記軸受面の中心となるように前記回転軸を案内することを特徴とする駆動モータ。
【請求項2】
前記軸受部材の前記球面軸受面の曲率半径が前記回転軸の前記球形状部の曲率半径よりも1.5倍〜2倍の範囲内の大きさになるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動モータ。
【請求項3】
上記請求項1または2に記載の駆動モータの回転軸と一体回転するように光量調節機構が連結されて、該駆動モータの駆動力により光量調節を行うことを特徴とする光量調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モータおよび光量調節装置に関し、詳しくは、軽量化を図りつつ高精度な回転駆動を実現するものに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動モータは、電気機器に搭載されて、例えば、各種機能の稼動に必要な駆動力の発生源として利用される場合があり、近年の電気機器の小型化に伴って搭載する駆動モータも小型化されている。
【0003】
この種の駆動モータは、例えば、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの撮像機器の光量調節装置に搭載される場合があり、その光量調節装置では、駆動モータの駆動力で撮像手段に至る光量の調節機構を動作させるようになっており、搭載される駆動モータには、小型化を実現しつつ駆動力を確保する必要があるとともに、スムーズに回転駆動することが求められる。
【0004】
この光量調節装置は、例えば、図4に示す駆動モータ100を搭載して光量調節機構を動作させるようになっている。この駆動モータ100は、回転軸101にローターマグネット(回転体)102が一体回転するように取り付けられており、ローターマグネット102には、図5に示すように、コイル103(電線C)を窪み部104cに巻き付けるボビン104a、104bを外装させるとともに、その外側をヨーク(強磁性体)105で囲んでローターマグネット102の磁界が外部に漏れることを防ぎ、ヨークの内側に磁気回路を形成する。ボビン104a、104bのコイル103で発生させた磁界がヨーク105内で、ローターマグネット102の磁界との効果的な作用や反作用により、回転軸101を中心にして回転させるようになっている。また、この駆動モータ100の回転軸101は、両端部101a、101bを軸受部材106a、106bの軸受穴107a、107b内に差し込んで回転自在に軸支するようになっており、その軸受部材106a、106bは、軸受穴107a、107bをボビン104a、104bに穿孔形成することにより構成されている。
【0005】
また、光量調節装置は、駆動モータ100の回転軸101の一端側に、直交方向の両側方に張り出している駆動力伝達部材109が接合や嵌合により一体形成されており、その駆動力伝達部材109の端部の係合ピン109a、109bを光量調節機構に係合させることにより駆動モータ100の駆動力を伝達して動作するようになっている。
【0006】
そして、駆動モータ100は、図6に示すように、ボビン104a、104bのコイル103(図6には不図示)に図中矢印方向の電流Iを流すことで生じる磁界により、回転軸101を中心にするローターマグネット102のN極・S極との相互作用で一方向に駆動回転するようになっている。また、この駆動モータ100の回転軸101は、図示するように、ローターマグネット102とヨーク105のスラスト方向の相対的な位置関係を調整することによって、互いの磁気的作用により一端側の軸受部材106aの軸受穴107a側に向かう矢印gで示すスラスト方向に付勢されている状態にするとともに、その一端側に球形状部101aを形成することにより接触抵抗を少なくしてスムーズに回転駆動することができるように工夫されている。
【0007】
しかるに、光量調節装置では、撮像映像の光を通過させる開口部の閉切位置と開切位置には光量調節機構を衝止部材に突き当てて駆動力伝達部材109の回動を静止させるようになっており、このときには、駆動モータ100のローターマグネット102とボビン104a、104bのコイル103で発生させた磁界の強さで一定方向に位置決めされるようになっている。この光量調節装置では、上述のように、駆動モータ100の小型化も進められているため、ローターマグネット102の磁力の低下は避けられず、また、重量も軽くなって安定性に欠けるようになっていることから、光量調節機構の閉切や開切の際の衝撃を受ける度に静止位置が異なってしまっていた。
【0008】
特に、駆動モータ100のローターマグネット102の回転はホール素子110により検出するが、そのホール素子110の出力は、ローターマグネット102の位置がラジアル方向にずれるとその出力値も変化する一方、光量調節機構の閉切位置と開切位置での基準となることから、その出力値が大きく変化するのは制御品質の低下を招いてしまう。
【0009】
また、回転軸101は、両端部101a、101bと軸受部材106a、106bの軸受穴107a、107bとの間のラジアル方向のクリアランスの存在によりガタツキが生じてしまうとともに、その回転軸101の端部の球形状部101aの外面(端面)を当接させて軸受けする軸受穴107aの軸受面108aが単なる円形の平面に形成されていることから、ラジアル方向に変位することを制限することができず、そのガタツキの影響は小型化されるほど大きい。
【0010】
このことから、回転軸101の一端側の軸受部材106aは、図7に示すように、円錐形状の軸受面108bを形成することにより、ローターマグネット102とヨーク105の磁気的作用により矢印gで示すスラスト方向に付勢される回転軸101の一端側の球形状部101aを円錐の中心に案内するようになっている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−138939号公報
【特許文献2】特開2006−154211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような駆動モータにあっては、光量調節装置のように小型化されて搭載する場合には、駆動モータ100の小型化によるローターマグネット102の磁力低下で駆動力も低下する。また、この駆動モータ100は、軸受部材106aの円錐形状の軸受面108bに回転軸101の一端側の球形状部101aの外周一周が摺接する状態になって接触抵抗が大きいとともに、ローターマグネット102とヨーク105の磁気的作用により回転軸101の一端側の球形状部101aが軸受部材106aの円錐形状の軸受面108bに軽度の圧入状態になって回転負荷が大きくなる。このため、駆動モータ100では、静止状態から動き出すときに大きな駆動力が必要になってスムーズに回転駆動を開始することが難くなる。
【0013】
そこで、本発明は、回転軸の位置を安定させつつ抵抗負荷の少ない駆動回転を実現することにより、ローターマグネットの磁気力の変化や振動や衝撃等の機械的な外乱の影響を受けることを少なくして、高精度な駆動制御を実現することのできる駆動モータや光量調節装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する駆動モータの発明は、回転軸と、この回転軸の両端部を回転自在に軸支する軸受部材とを備え、前記回転軸に取り付けられたローターマグネットと、該ローターマグネットに外装されたボビンに巻き付けられたコイルと、前記ローターマグネットと前記コイルとを囲んで磁界の漏れを防ぐととともに内側に磁気回路を形成するヨークとからなり、前記ローターマグネットとヨークの磁気的作用により前記回転軸の一端側を前記軸受部材側へ付勢するスラスト力が発生し、前記回転軸の他端側に該回転軸の駆動力により回動する駆動力伝達部材が設けられた駆動モータであって、前記回転軸の一端側は、中央側の外径よりも段階的に縮径した階段部が形成され該階段部の端面に凸面の球形状部が形成される一方、前記回転軸がスラスト方向に移動する際に当該一端側の前記球形状部に対面する前記軸受部材の軸受面が凹面の球面軸受面に形成されており、前記軸受部材の前記球面軸受面の曲率半径が前記回転軸の前記球形状部の曲率半径よりも大きく形成され、前記球面軸受面は、前記回転軸の回転時及び前記ローターマグネットの衝止時に、前記回転軸に付与される前記スラスト力によって前記回転軸をその軸心が前記軸受面の中心となるように前記回転軸を案内することを特徴とするものである。
【0015】
この発明では、回転軸が自重あるいは磁気的作用による付勢力によりスラスト方向に移動する状態で回転体と共に一体回転する際には、回転軸端部の球形状部が軸受部材の球面軸受面に当接回転することになり、その回転軸端部の球形状部は、最も突出して軸心に一致する中心が軸受部材の球面軸受面の最も窪む中心に案内されつつ回転自在に軸受けされる。したがって、回転軸の球形状部の中心を軸受部材の球面軸受面の中心に一致させることができ、回転軸の軸心が軸受けの中心になるように安定させつつ回転自在に軸受けすることができる。このとき、回転軸の球形状部と軸受部材の球面軸受面とはそれぞれの中心部が面接触して摺接する状態になることから、接触抵抗を大きくすることなく、また、付勢力により圧入する状態になることもなく、面同士で当接して傾こうとするのを制限することもできる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明によれば、スラスト方向に付勢されつつ回転体と一体回転する回転軸の球形状部を、軸受部材の球面軸受面が回転自在に軸受けするので、回転軸の軸心が軸受けの中心になるように案内しつつ安定した状態で回転自在に軸受けすることができ、回転軸の球形状部は軸受部材の球面軸受面と互いの中心部を面接触させつつ摺接回転することから、付勢力により圧入状態になることなく、また、安定した姿勢を保持しつつ、小さな接触抵抗で回転駆動することができる。したがって、ローターマグネットの磁気力が小型化に伴って低下したとしても、また、駆動時の振動や衝撃等の機械的な外乱を受けたとしても、小さな回転負荷で回転駆動を開始して安定した位置で高精度な駆動制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る駆動モータを搭載する光量調節装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
図2】その光量調節機構を示す概念平面図である。
図3】その駆動モータの構成を示す図であり、(a)はその縦断面、(b)はその要部の一部拡大縦断面図である。
図4】その関連技術の駆動モータを示す図であり、(a)はその縦断面、(b)はその要部の一部拡大縦断面図である。
図5】その関連技術の駆動モータを示す横断概念図である。
図6】その関連技術の駆動モータの駆動を説明する概念説明図である。
図7】その図4とは異なる関連技術の駆動モータを示す図であり、(a)はその縦断面、(b)はその要部の一部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態としては、上記の課題解決手段のように、回転軸と、この回転軸の両端部を回転自在に軸支する軸受部材とを備え、前記回転軸に取り付けられたローターマグネットと、該ローターマグネットに外装されたボビンに巻き付けられたコイルと、前記ローターマグネットと前記コイルとを囲んで磁界の漏れを防ぐととともに内側に磁気回路を形成するヨークとからなり、前記ローターマグネットとヨークの磁気的作用により前記回転軸の一端側を前記軸受部材側へ付勢するスラスト力が発生し、前記回転軸の他端側に該回転軸の駆動力により回動する駆動力伝達部材が設けられた駆動モータであって、前記回転軸の一端側は、中央側の外径よりも段階的に縮径した階段部が形成され該階段部の端面に凸面の球形状部が形成される一方、前記回転軸がスラスト方向に移動する際に当該一端側の前記球形状部に対面する前記軸受部材の軸受面が凹面の球面軸受面に形成されており、前記軸受部材の前記球面軸受面の曲率半径が前記回転軸の前記球形状部の曲率半径よりも大きく形成され、前記球面軸受面は、前記回転軸の回転時及び前記ローターマグネットの衝止時に、前記回転軸に付与される前記スラスト力によって前記回転軸をその軸心が前記軸受面の中心となるように前記回転軸を案内することを基本構成とするのに加えて次ぎの構成を備えてもよい。
【0019】
第1の形態としては、前記軸受部材の前記球面軸受面の曲率半径が前記回転軸の前記球形状部の曲率半径よりも1.5倍〜2倍の範囲内の大きさになるように形成されていてもよい。
【0020】
この形態では、回転軸の球形状部と軸受部材の球面軸受面との面接触する面積を小さくするのと同時に点接触する状態にしてしまうことなく、安定した姿勢を保持しつつ小さな回転負荷で軸受けすることができる。
【0021】
第2の形態としては、前記回転軸の端部を階段状に形成して、あるいは円錐形状に形成して縮径することにより、前記回転軸よりも小さな直径の前記球形状部を形成するようにしてもよい。
【0022】
この形態では、軸受部材の球面軸受面の曲率半径よりも回転軸の球形状部の曲率半径を小さくした場合にも、軸受面に回転軸の球形状部以外の箇所が接触してしまう恐れのない状態にして構築することができる。
【0023】
第3の形態としては、上記の駆動モータの回転軸と一体回転するように光量調節機構が連結されて、該駆動モータの駆動力により光量調節を行うようにして、上記の駆動モータによる作用効果を得るようにしてもよい。
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1図3は本発明に係る駆動モータを搭載する光量調節装置の一実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、図4図7に示す関連技術と基本構成を共通にしていることから、同様な構成には、同一の符号を付して説明する。
【0025】
図1において、光量調節装置10は、駆動モータ11を光量調節機構12に組み付けて構成されており、駆動モータ11は、図4に示す回転軸101に代わる回転軸21と、ローターマグネット(回転体)102と、コイル103(電線C)と、ボビン104a、104bと、ヨーク(強磁性体)105と、を備えて構成されている。
【0026】
この駆動モータ11は、ローターマグネット102内に回転軸21を一端側から差し込んで接合や嵌合により一体化するとともに、この回転軸21をローターマグネット102と共に上側ボビン104a内に差し込んで内装状態にする一方、下側ボビン104bをその回転軸21の他端側に被せるようにして上側ボビン104aに接合や嵌合などすることにより一体化する。このボビン104a、104bは、互いの境界付近に形成されている開口104cから回転軸21端部の駆動力伝達部材109を直交方向に張り出した状態にして回転軸21を往復回動可能にしており、この回転軸21の軸方向と平行に形成されているボビン104a、104bの外面側の窪み部104c(図5を参照)内に電線Cを巻き付けてコイル103を形成した後に、ヨーク(強磁性体)105を外装させて組み立てるようになっている。なお、図中、22はプリント配線基板であり、このプリント配線基板22は、回転軸21を回転駆動する電流I(図6を参照)をコイル103に供給するために必要な回路が組まれて、ヨーク105の一面側にコンパクトに組み付けられている。
【0027】
光量調節機構12は、駆動モータ11を組み付けるベース13と、駆動力伝達部材109の一方の係合ピン109aに係合させる光量調節地板14と、駆動力伝達部材109の他方の係合ピン109bに係合させる光量調節地板15と、ベース13に組み付けて光量調節地板14、15を内装状態にするカバー16と、を備えて構成されている。なお、18はフィルタであり、このフィルタ18としては、例えば、ND(Neutral Density:減光)フィルタなどを適宜取り付けて最適な映像を撮像することができるようにすることができる。
【0028】
この光量調節機構12は、図1の裏面側から見たときの図2に示すように、回転軸21を中心にして矢印r方向に往復回動する駆動力伝達部材109の係合ピン109a、109bを収容する円弧状の案内長穴16a、16bがカバー16に開口しており、その案内長穴16a、16bが駆動モータ11の駆動力により回動する駆動力伝達部材109の係合ピン109a、109bの光量調節地板14、15からの外れを防止している。なお、図2中には、光量調節地板14、15に異なるハッチング・トーンを付して区別しやすくしている。
【0029】
光量調節地板14、15は、回転軸21の片側で離隔する方向に延在する直線状の案内長穴14a、15aが複数開口しており、この案内長穴14a、15aは、その回転軸21を中心にする矢印y方向の平行方向に延在している。この案内長穴14a、15aには、ベース13に立設されている案内ピン13aが収容されることにより、カバー16との間に収納されている光量調節地板14、15を平行方向(矢印y方向)にスライド自在に保持するようになっている。
【0030】
また、光量調節地板14、15には、回転軸21の両側方で離隔する方向に延在する直線状の案内長穴14b、15bが開口しており、この案内長穴14b、15bは、回転軸21を中心にして往復回動する駆動力伝達部材109の係合ピン109a、109bを収容可能に案内長穴14a、15aに対して直交する方向に延在している。この案内長穴14b、15bには駆動力伝達部材109の係合ピン109a、109bが係合することにより光量調節地板14、15が連れられて移動されるようになっており、その駆動力伝達部材109が駆動モータ11の駆動力により回動することにより光量調節地板14、15を逆方向(図2における矢印y方向の上下方向)に移動させることができるようになっている。
【0031】
この光量調節地板14、15は、図2に示すように、一方の光量調節地板14が上方に位置するとともに他方の光量調節地板15が下方に位置する場合に、互い内側に位置する外周縁14c、15cが離隔してその間で光量調節装置10が撮像光を通過させる開口部19を開口させる一方、反対方向に回転軸21の駆動力により駆動力伝達部材109(係合ピン109a、109b)が回動して、光量調節地板14が下方に降下するとともに光量調節地板15が上方に上昇する場合には、互いの外周縁14c、15cが重なってその開口部19を閉止するようになっている。なお、フィルタ18は、開口部19が開口したときに位置するように光量調節地板14、15の一方または両方に着脱可能に固定するようになっている。
【0032】
そして、駆動モータ11は、図4図6の駆動モータ100と同様に、図3に示すように、回転軸21の両端部21a、21bをボビン104a、104bの軸受部材26a、26bの軸受穴27a、27b内に差し込んで回転自在に軸支するようになっており、ローターマグネット102とヨーク105のスラスト方向にずらすことによる相対的な位置関係に応じた互いの磁気的作用により、回転軸21の一端側の球形状部21aをボビン104aの軸受部材26aの軸受穴27a内に差し込む矢印g方向に付勢して回転自在に軸受けさせるようになっている。
【0033】
この回転軸21の一端側は、中央側の外径よりも段階的に縮径した階段部21bを形成することによりその端面に小径の球形状部21aが形成されており、回転軸21が傾いた場合にもその球形状部21aの外周部分の階段部21bが軸受部材26a側に接触してしまうことがないように形成されている。
【0034】
これに対して、軸受部材26aは、その回転軸21の一端側の球形状部21aの外面(凸面)を当接させた状態にして軸受けする軸受穴27aの軸受面28aが、その球形状部21a外面よりも1.5倍〜2倍の範囲内の大きさの曲率半径Rとなるように形成した凹面の球面軸受け面28aに形成されている。
【0035】
これにより、光量調節装置10は、駆動モータ11の回転軸21がローターマグネット102と一体回転する際には、軸受部材26aの球面軸受面28aの最も窪む中心に球形状部21aを案内させつつ付勢力により当接回転させることができ、その回転軸21の軸心を球形状部21aの中心に一致させる姿勢で安定して回転自在に軸受けさせることができる。このとき、回転軸21の球形状部21aと軸受部材26aの球面軸受面18aとはそれぞれの中心部が面接触して摺接することから、大きな接触抵抗になることなく、また、付勢力により球形状部21aが球面軸受面18aに圧入状態になることもなく、凸面と凹面の球面同士で当接して回転軸21が傾くのを制限しつつ回転自在に軸受けすることができる。特に、本実施形態では、軸受部材26aの球面軸受面18aが回転軸21の球形状部21aの曲率半径Rの1.5倍〜2倍であることから、接触抵抗をより小さくすることができるのと同時に、点接触する状態になって回転軸21が傾くのを制限することができ、より安定した姿勢を保持しつつ小さな回転負荷で軸受けすることができる。
【0036】
ここで、駆動力伝達部材109の位置決め(回動角)は、駆動モータ11のコイル103に流す電流値Iで決めるようになっており、そのコイル103に流す電流Iの向きにより絞りを開閉動作させることができる。このときには、正逆方向の電流により開閉動作を行わせても良く、また、絞りの閉じ方向に作用するようにヨークを断面C字形状に形成するなどして磁気的な偏りを持たせても良く、また、絞りの閉じ方向に巻バネや板バネ等の付勢手段により回動させるようにしても良い。但し、バネのトルクは大きいことから小型化には他の方式の方が有利である。
【0037】
このように本実施形態においては、スラスト方向に付勢されつつローターマグネット102と一体回転する回転軸21の球形状部21aを、軸受部材26aの1.5倍〜2倍の曲率半径Rの球面軸受面28aが回転自在に軸受けするので、回転軸21の軸心が軸受けの中心になるように案内しつつ安定した状態で回転自在に軸受けすることができるとともに、その回転軸21(駆動力伝達部材109)を小さな接触抵抗で回転駆動させることができる。したがって、ローターマグネット102の磁気力が光量調節装置10の小型化に伴って低下したとしても、また、駆動力伝達部材109が衝止される際に振動や衝撃を加えられたとしても、小さな回転負荷で回転軸21の回転駆動を開始して安定した位置に案内しつつ高精度な駆動制御を実現することができる。
【0038】
本実施形態の他の態様としては、図示することは省略するが、上述実施形態では、磁力により回転軸21の一端側を軸受部材26a側に付勢して球形状部21aを球面軸受面18aに軸受けさせる場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、自重により上下する場合などには、その両端側に球形状部と球面軸受面とを配設してもよいことはいうまでもない。
【0039】
また、回転軸21の一端側に階段部21bを形成してその端面に小径の球形状部21aを形成する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、回転軸21の一端側を円錐状に形成してその先端に球形状部21aを形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
10……光量調節装置 11……駆動モータ 12……光量調節機構 13……ベース 13a……案内ピン 14、15……光量調節地板 14a、14b、15a、15b、16a……案内長穴 14c、15c……外周縁 16……カバー 18……フィルタ 18a……球面軸受面 19……開口部 21……回転軸 21a……球形状部 21b……階段部 26a、26b……軸受部材 27a、27b……軸受穴 28a……球面軸受面 102……ローターマグネット 103……コイル 104a、104b……ボビン 105……ヨーク 109……駆動力伝達部材 109a、109b……係合ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7