(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スレーブ動作中の前記給湯装置の記憶部が、前記給湯装置の装置情報、マスター動作中またはスレーブ動作中の前記給湯装置の制御情報を記憶することを特徴とする、請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の給湯システム。
給水を受ける給水路と、給湯する給湯路とに接続され、他の給湯装置を制御するマスター動作をし、または前記他の給湯装置のマスター動作により制御されるスレーブ動作をする給湯装置であって、
前記他の給湯装置と通信可能に接続する通信接続手段と、
前記通信接続手段により前記他の給湯装置と接続される制御装置とを備え、
前記制御装置は、
マスター動作中に、スレーブ動作中の前記他の給湯装置から取得した装置情報を記憶する記憶部と、
マスター動作またはスレーブ動作を行い、マスター動作中、スレーブ動作中の前記他の給湯装置を制御するマルチ制御部と、
マスター動作中またはスレーブ動作中に、自装置の給湯を制御する給湯制御部と、を備え、
スレーブ動作中または休止中に、マスター動作中の前記他の給湯装置から指示を受けて動作を切り替え、マスター動作中に、スレーブ動作中または休止中の前記他の給湯装置に動作の切替え指示をすることを特徴とする給湯装置。
前記マルチ制御部は、マスター動作中、スレーブ動作中の前記他の給湯装置から受信した装置番号確定要求に対し、確定装置番号を設定し、該確定装置番号をスレーブ動作中の前記他の給湯装置の前記制御装置に通知することを特徴とする、請求項7又は8に記載の給湯装置。
前記マルチ制御部は、スレーブ動作中、自装置を特定する仮装置番号を設定し、該仮装置番号をマスター動作中の前記他の給湯装置の前記制御装置に通知するとともに、装置番号の確定を要求し、マスター動作中の前記他の給湯装置から通知された確定装置番号を前記記憶部に記憶することを特徴とする、請求項7または請求項8に記載の給湯装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
第1の実施の形態について、
図1及び
図2を参照する。
図1は、第1の実施の形態に係る給湯システムの構成例を示す図、
図2は、給湯装置の構成例を示す図である。
図1、
図2に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0034】
この給湯システム2は、本開示の給湯システム、給湯装置の一例であって、例えば、複数の給湯装置4(41、42、43・・・)を給水管路6を介して並列に連結し、供給された上水W等を加熱して出湯する手段である。この給湯装置41、42、43・・・は、例えば、同一若しくは同等の給湯装置を設置すればよく、又は異なる構成の給湯装置であっても、給湯制御情報により制御可能なものであればよい。この給湯システム2では、各給湯装置41、42、43・・・の制御装置8(81、82、83・・・)同士を通信手段で接続しており、複数の給湯装置4を組み合わせて大容量の給湯を行うマルチシステムを構成している。
【0035】
制御装置8は、給湯システム2及び給湯装置4を制御する制御部の一例であって、各給湯装置41、42、43・・・に設置された制御装置81、82、83・・・で構成されている。各制御装置81、82、83・・・は、例えば、各給湯装置41、42、43・・・毎に、供給された上水W等の流量に応じて給湯運転を制御すればよい。そして、給湯システム2の運転制御では、後述するように、優先機に設定された給湯装置の制御装置が制御装置8として機能し、各制御装置81、82、83、・・・を連動させて各給湯装置41、42、43・・の稼動・停止制御を行う。
【0036】
また、この給湯システム2は、給水管路6、通信線10、各給湯装置4で加熱した湯HWを給湯負荷11側に導く給湯管路12、給水側に帰還水RWを導く循環路14、循環ポンプ16、逆止弁18、20を備える。尚、循環路14、循環ポンプ16、逆止弁18を備えず、帰還水RWを使用しないで、大容量の給湯を行うマルチシステムを構成してもよい。
【0037】
給湯装置4(41、42、43)は、本発明の給湯手段の一例であって、入り側に供給された給水を、燃料ガスG等の燃焼により発生した燃焼排気Eと熱交換させて加熱し、湯HWを出湯する手段である。
図2に示す給湯装置4は、燃焼室30内に通水手段である給水管路7を通じて給水される。燃焼室30内では、この給水管路7に熱交換器32が接続されるとともに、出湯管路13が接続されている。また、燃焼室30は、例えば、バーナ34、ファンモータ36を備えるとともに、ガス供給管38、ガス比例弁50、ガス電磁弁52、54、56等が設置されている。その他、イグナイタ58やフレームロッド60、空燃比用フレームロッド62等を備えてもよい。さらに、この給湯装置41、42、43・・は、例えば、PCB(電装基板:Print Ciurcuit Board)で構成された制御装置81、82、83・・を備えている。
【0038】
給水管路7には、例えば、入水温センサ70や流量センサ72、水制御弁77を備える。また、出湯管路13には、出湯温センサ74、混合温センサ76が設置されている。その他、給水管路7と出湯管路13との間には、供給水を熱交換器32に対してバイパスさせるバイパス管路78、バイパス弁90を備える。
【0039】
熱交換器32は、供給された給水に対して、バーナ34で発生した燃焼排気Eと熱交換させる熱交換手段の一例である。
【0040】
バーナ34は、燃焼手段の一例であって、例えば、ガス供給管38から供給された燃料ガスGを燃焼させて燃焼排気Eを発生させる。
【0041】
ファンモータ36は、取り込んだ空気をバーナ34側に導く手段である。
【0042】
ガス供給管38は、バーナ34に対する燃料ガスGの供給手段の一例であって、ガス比例弁50やガス電磁弁52、54、56を備えており、これらの弁を開閉することで、バーナ34に対する燃料の供給が制御される。
【0043】
入水温センサ70は、給湯装置41、42、43・・・に供給された上水Wや帰還水RWの水温を検出する手段の一例である。出湯温センサ74は、熱交換後の湯の温度を検出出する手段の一例である。また、混合温センサ76は、バイパス管路78によって出湯管路13側に流入した加熱前の供給水と加熱した湯とを混合させた湯HWの温度を検出する手段の一例である。給湯制御では、この給水温度や熱交換後の検出温度を利用して、必要熱量等を算出し、バーナ34の燃焼量等を決定すればよい。なお、この入水温センサ70、出湯温センサ74、混合温センサ76は、温度を検出する手段であればよく、例えば、サーミスタ温度計等を利用すればよい。
【0044】
流量センサ72は、給湯装置41、42、43、・・・に対する給水を検知し、供給された上水Wや帰還水RWの水流量を検出する手段の一例である。そして、給湯制御では、例えば、この流量センサ72で入水を検出することにより給湯制御が動作し、混合温センサ76の検出温度が所定温度若しくは、予め設定された温度に等しくなるように
燃料ガスGの供給量の加減やバイパス弁90の開度調整による混合比の調整を行なえばよい。
【0045】
水制御弁77は、給湯装置41、42、43・・の出湯量を制御し、給湯能力を越えないように流量を制御する通水手段(通水弁)の一例であって、例えば、水制御弁77の開度に応じて、給水管路7に対する給水量やバーナ34の燃焼量等を制御すればよい。また、水制御弁77を全閉することで、給湯装置41、42、43・・・への入水を停止させる。給湯システム2(
図1)では、接続された複数の給湯装置41、42、43・・・に対し、各水制御弁77を開閉することで稼動状態、又は停止状態を切替える。また、
図3に示す給湯システム2の稼動・停止制御を行う第1の給湯装置100は、給湯運転中に水制御弁77を開放状態に維持させる。これにより、給湯状態を第1の給湯装置100側で把握可能にする。
【0046】
バイパス管路78は、供給された上水W等を熱交換器32側と出湯管路13側とに分配する手段の一例であり、このバイパス管路78には、例えば、バイパス弁90を備えている。このバイパス弁90は、例えば、出湯管路13側に対して加熱していない上水Wの流入量を制御する手段の一例であって、例えば、要求された給湯温度、給湯量に基づいて開度を制御すればよい。
【0047】
また、
図1に示す給湯システム2の給水管路6は、上水Wや加熱された帰還水RWの供給水を給湯装置4側に流す給水手段の一例であって、各給湯装置41、42、43・・・の給水側に供給水を導くように分岐させ、給湯装置41、42、43・・・同士が並列になるように接続している。
【0048】
通信線10は、給湯装置4同士を通信可能に接続する手段の一例であって、例えば、隣接する給湯装置4間をシリアル通信線で接続し、稼動・停止制御指示等の通知や給湯運転状態情報等の装置情報の通知等の通信を行っている。この給湯システム2では、例えば、各給湯装置41、42、43・・・の制御装置81、82、83・・・が通信線10により接続され、全ての給湯装置間で通信可能にして、マルチシステムを構築している。そして、優先機に設定された給湯装置からの制御情報等を各給湯装置41、42、43・・間に伝達している。
【0049】
なお、稼動・停止制御指示や給湯装置情報等の授受には、有線接続による通信線10を利用する場合に限られず、例えば、近距離無線通信を利用してもよい。
【0050】
給湯負荷11は、例えば、給湯管路12の下流側に設置され、加熱した湯を出湯するシャワー、給湯口のほか、湯を利用した暖房機器等の放熱手段で構成されており、給湯システム2に対し、所定の温度、所定の流量の給湯要求を行う。
【0051】
給湯管路12は、各給湯装置41、42、43・・・から出湯した湯HWを給湯負荷11側に導く温水供給手段の一例であって、各給湯装置4の出湯管路13が並列に接続され、加熱された湯HWを回収する。また、この給湯管路12は下流側において循環路14に接続し、給湯負荷11を通過した湯HWを給水管路6側に流している。
【0052】
循環路14は、出湯した湯HWを給水側との間で循環保温させる手段の一例であって、例えば、給湯負荷11で利用されなかった湯HWや給湯負荷11側で熱交換等が行われた湯を、帰還水RWとして給水管路6側に戻す。この給水管路6に戻した帰還水RWは、上水Wと混合され、再び給湯装置4で加熱される。また、循環路14は、上水Wを供給する上水管路92と合流して給水管路6に接続されている。
【0053】
循環路14には、例えば、循環ポンプ16を備えるとともに、給水管路6との合流部分に逆止弁18を備えている。また、上水管路92には、給水管路6との合流部分に逆止弁20を備えている。
【0054】
循環ポンプ16は、循環路14内の帰還水RWを給水管路6側に圧送する手段の一例であって、この循環ポンプ16を駆動させることにより、給水管路6に対し、上水Wの給水圧力に対して帰還水RWを
給湯装置4側に流すことができる。この循環ポンプ16は、例えば、電磁開閉器を備えており、優先機に設定された給湯装置からの制御指示を受け、給湯システム2の稼動・停止制御に連動して循環運転を行うことができる。
【0055】
逆止弁18は、給水管路6から循環路14に対する循環水RWの逆流防止手段の一例である。また、逆止弁20は、給水管路6から上水管路92に対する上水Wの逆流防止手段の一例である。このように合流する循環路14、給水管路6、上水管路92が共に逆流を防止させることで、上水Wに付加された上水圧と循環ポンプ16による水圧により、上水Wと帰還水RWとを給水管路6側に流すことができる。即ち、シャワー等の使用により、水や湯HWの消費が発生すると逆止弁20を通って給水が行われる。また、暖房装置等の給湯負荷11が利用されて水の消費が無い場合には、循環ポンプ16を駆動させ、逆止弁18を通じて帰還水RWを給水管路6側に流すことで、所定温度での加熱維持が行われる。
【0056】
次に、給湯システムの構成例について、
図3及び
図4を参照する。
図3は、給湯システムの機能構成例を示す図、
図4は、給湯システムの管理データの一例を示す図である。
図3、
図4に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0057】
図3に示す給湯システム2は、複数の給湯装置4の給湯運転を連動させるための制御機能部として、稼動している給湯装置4のうちの1つを第1の給湯装置100に設定し、この第1の給湯装置100が出力した稼動・停止制御指示が通信線10により、第2の給湯装置102に設定した他の給湯装置4に伝達される。
図3に示す給湯システム2では、例えば、給湯装置41を第1の給湯装置100に設定し、他の給湯装置42、43、・・・を第2の給湯装置102に設定している。
【0058】
第1の給湯装置100は、給湯システム2の給湯運転制御を行う優先機の一例であって、予め設定された給湯装置4又は選択処理により選出された給湯装置4に設定される。この第1の給湯装置100は、給湯制御を行うため、給湯システム2の優先機設定が行われる。
【0059】
第2の給湯装置102は、本開示の第2の給湯装置の一例であって、1又は複数台の給湯装置42、43・・・が第1の給湯装置100に並列に接続される。既述のように、給湯装置41、42、43・・・は、互いに通信線10により接続されている。そして、第2の給湯装置102は、第1の給湯装置100からの制御指示に従って給湯運転を行う。この第2の給湯装置102は、例えば、第1の給湯装置100の優先機設定に対し、否優先機(従属機)設定が行われる。
【0060】
各給湯装置41、42、43、・・・は、例えば、給湯運転や稼動・停止制御を実行するマルチシステム制御部110や管理データ112を備える。
【0061】
マルチシステム制御部110は、給湯システム2の給湯運転管理機能部及び各給湯装置41、42、43・・に対する稼動・停止を制御する制御機能部の一例である。そして、第1の給湯装置100に設定された給湯装置41のマルチシステム制御部110では、給湯装置41の給湯制御とともに、給湯システム2全体の運転制御指示、他の給湯装置4(42、43・・・)の運転状態の管理等を行う。また、第2の給湯装置102に設定された各給湯装置42、43、・・・のマルチシステム制御部110では、第1の給湯装置100からの制御指示に従って給湯運転を行う。
【0062】
管理データ112は、給湯システム2に接続した給湯装置4の設定情報や運転状態情報等の装置情報を格納する手段の一例である。第1の給湯装置100は、管理データ112を利用して給湯システム2の運転制御を行う。この管理データ112は、例えば、
図4に示すように、装置番号情報114、優先機FLG情報116、稼動FLG情報118、連続稼動時間情報120、累積稼動時間情報122、停止後経過時間情報124が設定されている。
【0063】
装置番号情報114は、給湯システム2に接続している給湯装置4を特定する番号の一例であって、例えば、優先機となった第1の給湯装置100は、給湯運転開始時等に第2の給湯装置102に対する問い合せにより、装置番号を特定する。
【0064】
優先機FLG情報116は、第1の給湯装置100に設定された給湯装置を示す情報の一例であって、給湯システム2に接続している給湯装置4の内、優先機に設定された給湯装置41を特定するフラグ情報である。この管理データ112では、例えば、優先機に設定された給湯装置4の優先機FLGには、「1」が設定され、優先機でない給湯装置には、「0」が設定される。
【0065】
稼動FLG情報118は、給湯システム2に接続している給湯装置4が稼動中であるか否かを特定するフラグ情報の一例である。この管理データ112では、例えば、稼動中の給湯装置4には、「1」が設定され、停止中の給湯装置4には、「0」が設定される。その他、例えば、異常状態の給湯装置4には、「他」が設定される。、第1の給湯装置100は、例えば、給湯運転開始時や給湯運転中に設定情報の変更指示を受けた場合等に、給湯装置の稼動状態の確認を行えばよい。
【0066】
連続稼動時間情報120は、給湯装置4の運転状態情報の一例であって、稼動中の各給湯装置41、42、43・・について、直前の稼動開始からの経過時間を記憶している。この連続稼動時間は、例えば、各給湯装置41、42、43・・の制御装置81、82、83・・・のタイマで計時した稼動時間を利用すればよい。そして、第1の
給湯装置100は、例えば、この連続稼動時間情報120に基づき、給湯装置42、43・・の停止制御を行なう。
【0067】
累積稼動時間情報122は、給湯装置4の運転状態情報の一例であって、例えば、各給湯装置41、42、43・・・について、運転開始からの累積稼動時間を記憶している。この累積稼動時間情報122は、例えば、給湯装置4の交換時期等の基準に利用すればよい。
【0068】
停止後経過時間情報124は、給湯装置4の運転状態情報の一例であって、給湯運転停止又は、既述の連続稼動時間に基づく休止してからの経過時間を記憶している。第1の給湯装置100は、例えば、給湯要求の増加等を行う場合、停止後経過時間情報124を参照し、給湯停止から所定時間が経過している給湯装置を選択して運転を再開させるようにしてもよい。
【0069】
第1の給湯装置100は、例えば、給湯運転の開始時や終了時、又は定期的に第2の給湯装置102に対して運転状態の確認要求を行い、各給湯装置41、42、43・・・の情報を管理データ112に記憶させればよい。例えば、第1の給湯装置100が変更される場合、この管理データ112は、新たに第1の給湯装置100に設定される給湯装置に対して引継ぎが行われる。また、この管理データ112は、給湯システム2に接続する全ての給湯装置4が記憶するようにしてもよい。
【0070】
そして、
図3に示す給湯システム2では、例えば、給湯負荷11側からの給湯要求に対し、第1の給湯装置100から第2の給湯装置102に対して稼動・停止運転制御情報を出力し、第2の給湯装置102から第1の給湯装置100に対して、装置情報を通知する。そして、例えば、
図4の管理データ112の装置番号情報114には、接続されている給湯装置1〜3の装置番号がセットされる。また、優先機FLG情報116には、優先機は1台であるため、1箇所のみ「1」がセットされる。そして、その優先機は稼動中であるので、稼動FLG情報118には、「1」が設定されている。
【0071】
なお、この給湯装置41、42、43・・は、給湯システム2として連動して給湯運転を行う場合に限られず、単独での給湯運転が可能である。また、給湯システム2による給湯運転では、給湯装置41、42、43・・・の全てが同時に運転開始又は運転停止を行わなければならないものではない。例えば、給湯先の要求流量に応じて、運転台数を制御してもよく、また、給湯装置41、42、43・・・の連続運転時間に応じて給湯装置の一部を停止させるようにしてもよい。
【0072】
斯かる構成によれば、給湯システムに接続した給湯装置の一部を優先機とし、他の給湯装置を連動させて給湯運転させることで、制御装置の簡易化を図ることができる。また、優先機が他の給湯装置の稼動状態を把握し給湯制御することで、給湯システムの効率的な運転制御を行うことができる。さらに、優先機が検出した流量情報、温度情報に基づいて給湯システム全体の給湯運転状態を把握することで、給湯システム構成の簡易化を図ることができる。給湯運転の停止時以外に、優先機への通水を停止させないので、給湯装置からの出湯を常に優先機に把握させることができ、安全性を高められる。
【0074】
次に、第2の実施の形態について、
図5及び
図6を参照する。
図5は、第2の実施の形態に係る給湯装置の制御機能部の構成例を示す図、
図6は、制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
図5、
図6に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0075】
この給湯装置4(41、42、43・・・)は、本開示の給湯システムを構成する給湯装置の一例であって、例えば、これらの給湯装置4の1つを優先機(第1の給湯装置100)に設定し、他の給湯装置を従属機(第2
の給湯装置102)とする。そして、これらの給湯装置4では、例えば、
図1に示す制御装置8(81、82、83・・・)を備える。
【0076】
この制御装置8は、例えば、給湯システム2(
図1)をマルチシステム化するためのマルチシステム制御部110や給湯運転を行うための給湯制御部130を備えればよい。そして、この制御装置8は、各給湯装置4に設置されたセンサからの検出情報を受け、この検出情報に基づく運転制御指示を出力する。
【0077】
マルチシステム制御部110は、既述のように、給湯装置4の管理機能部及び制御機能部の一例であって、例えば、優先機制御部132や否優先機制御部134を備える。また、このマルチシステム制御部110は、例えば、通信線10や無線通信等による外部通信136を利用して、他の給湯装置のマルチシステム制御部110と接続するためのインターフェースが設けられており、給湯装置41、42、43・・・間での双方向通信が可能になっている。そして、マルチシステム制御部110は、例えば、給湯要求に基づく運転制御により、水制御弁77に対して開閉指示出力を行う。
【0078】
優先機制御部132は、優先機として第1の給湯装置100に設定された給湯装置において機能させ、他の給湯装置4
の連動制御を行う機能部である。この優先機制御部132は、給湯システム2に接続する他の給湯装置4に対して、稼動台数の増減や、管理データ112に基づく稼動・停止指示等の出力を行う。その他、例えば、第1の給湯装置100に設定された給湯装置が異常状態となる等、運転を停止させる場合に、他の給湯装置を選択して、第1の給湯装置100に設定する等の処理を行う。
【0079】
優先機制御部132は、例えば、流量センサ72から流量検出情報が取込まれる。これにより、第1の給湯装置100では、自機の給湯装置に給水された流量情報に基づいて、給湯システム2に接続した各給湯装置4の流量情報を推定することができ、この流量情報に基づいて給湯装置4の稼動台数の増減を行えばよい。
【0080】
否優先
機制御部134は、優先機以外の第2の給湯装置102を制御する機能部の一例であって、例えば、第1の給湯装置100からの制御指示を受けて給湯運転を行う。また、第1の給湯装置100からの要求に従い、給湯装置102の稼動状態情報等を通知する機能を備える。
【0081】
給湯制御部130は、給湯運転を実行するための制御機能の一例であって、例えば、設定温度に加熱された所定流量の湯を出湯可能にする。
【0082】
この給湯制御部130には、例えば、流量センサ72や混合温センサ76、入水温センサ70、出湯温センサ74、その他の入力部138等からの検出情報が入力され、給湯制御に利用される。そして、これらの入力情報に基づいて生成された制御情報は、例えば、水制御弁77、バイパス弁90、ガス比例弁50、ファンモータ36、その他の出力部140に出力される。
【0083】
このような制御機能の一例として、
図6に示す制御装置8は、例えば、各種信号を受ける入力回路、各種演算を実行するマイクロコンピュータ、制御プログラム、演算用データ等を記憶する記憶部、計時手段、各種信号を出力する出力回路等で構成されている。そこで、この制御装置8は、例えば、CPU(Central Processing Unit )150、ROM(Read-OnlyMemory )152、RAM(Random-Access Memory)154、タイマ156、I/O(Input/Output) 158、通信部160等を備える。
【0084】
CPU150は、演算手段の一例であって、例えば、ROM152に記憶された給湯制御プログラムの演算処理を行い、入水温センサ70、出湯温センサ74、混合温センサ76による検出温度や流量センサ72による検出流量等に基づく給湯運転制御指示を出力する。また、優先機に設定された給湯装置において、給湯システム2の稼動・停止制御処理を実行する。
【0085】
ROM152は、記憶手段の一例であって、例えば、各給湯装置4における給湯制御、ファンモータ36やガス比例弁50に対する制御指示プログラム等を記憶している。また、優先機制御として、例えば、循環ポンプ16に対する循環制御、又は給湯装置100全体の給湯制御を行なうための制御プログラム、否優先機制御として、優先機に連動させるための制御プログラムを記憶している。その他、例えば、検出流量情報等に基づいて給湯装置4の稼動台数の変更処理や、各給湯装置4の稼動時間管理、他の給湯装置に優先機を変更させる処理等を実行するプログラムを備える。
【0086】
なお、これらの制御プログラムを記憶しているROM152は、例えば、電気的に内容を書き換えることができるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )等で構成されてもよい。
【0087】
また、これらの制御プログラム等は、ROM152に記憶されたものに限られず、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータで読出し可能な記録媒体に記憶されているものを利用してもよい。
【0088】
RAM154は、上記の制御プログラム等を実行させるためのワークエリアを構成している。
【0089】
タイマ156は、計時手段の一例であって、例えば、各給湯装置4の連続稼動時間、累積稼動時間、休止時間等の時間情報を取得する。
【0090】
I/O158は、給湯装置4に設置されたセンサ等の検出情報の取込みを行い、又は弁に対する開度指示等を出力するインターフェースの一例である。この給湯装置4には、例えば、流量センサ72からの流量情報、混合温センサ76、入水温センサ70、出湯温センサ74からの温度情報が取込まれ、これらの情報を利用して、給湯システムの給湯状態の監視等を行う。そして、この給湯状態に基づいて、例えば、水制御弁77、バイパス弁90、ガス比例弁50等の開度制御情報や、ファンモータ36に対する回転数制御情報等を出力する。また、その他入力部138からの入力やその他出力部140からの出力が行われる。
【0091】
通信部160は、給湯システム2において、他の給湯装置4との間で通信を行う制御部の一例であって、既述のように、外部通信136により他の給湯装置4
の通信部160との間で連動する。
【0092】
次に、給湯システムの制御処理について、
図7を参照する。
図7は、給湯システムの制御処理の一例を示すブロック図である。
図7に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0093】
この給湯システム2は、本開示の給湯システム、給湯装置の一例であって、複数の給湯装置4から設定された1の給湯装置を優先機とし、他の給湯装置を連動させるものである。そこで、
図7に示す給湯システム2では、電源の投入後、各給湯装置4に対する初期設定処理及び特定の給湯装置を優先機に設定する処理、及び各給湯装置4を連動させた給湯制御処理を示している。各給湯装置4の初期設定処理機能として、例えば、イニシャライズ処理部170、マスタ設定切替部172、マスタ機イニシャライズ処理部174、スレーブ機イニシャライズ処理部176を含む。また、優先機設定処理として、例えば、優先機切替部180、優先機システム管理処理182、否優先機システム管理処理184、給湯制御処理186を含む。
【0094】
イニシャライズ処理部170は、給湯システム2に接続した給湯装置4の初期設定機能部の一例であり、電源が投入されると、各給湯装置4のROM152に記憶された初期値の設定等を行う。
【0095】
マスタ設定切替部172は、各給湯装置4に対し、マスタ設定がされているか、スレーブ設定がされているか、又は単独運転かを判断し、切替える機能部の一例である。そして、マスタ設定がされている給湯装置4である場合には、マスタ機イニシャライズ処理部174を選択する。また、マスタ設定がされていない給湯装置4である場合には、スレーブ機イニシャライズ処理部176を選択し、実行させる。さらに、給湯装置4をマルチシステムとして利用せず単独運転させる場合には、何も設定処理は行わず、優先機切替部180の処理に移行する。
【0096】
マスタ機イニシャライズ処理部174は、給湯システム2の起動時に、予めマスタ設定がされた給湯装置4を給湯運転開始時の優先機に設定する処理部の一例である。このマスタ設定は、給湯装置4の制御装置8に、例えば、ディップスイッチ等で設定されている。そして、マスタ設定されている給湯装置について、例えば、管理データ112の優先機FLG情報118に「1」を設定する。
【0097】
スレーブ機イニシャライズ処理部176は、給湯システム2の起動時に、マスタ設定されていない給湯装置4を特定し、装置番号を付与する処理部である。マスタ以外の給湯装置4は、それぞれ装置情報が特定されていないので、装置毎に仮の装置番号の設定を行う。そして、設定された装置番号を管理データ112の装置番号情報114に記憶させる。
【0098】
優先機切替部180は、優先機として設定された給湯装置か否かを特定し、切替える処理部の一例である。そして、優先機として設定されている給湯装置4の場合、優先機システム管理処理182に移行させる。また、優先機に設定されていない給湯装置である場合には、否優先機システム管理処理184に移行させる。その他、給湯装置を単独運転させる場合には、何も選択せず、給湯制御処理186に移行する。
【0099】
優先機システム管理処理182は、優先機に設定された給湯装置4による給湯システム2の制御処理の一例であって、例えば、スレーブ設定された給湯装置4との間で装置情報を示す仮の装置番号又は確定番号の送受信処理や番号確認処理等を行う。また、接続した給湯装置の稼動状態の管理や給湯要求に応じて給湯装置の稼動台数の変更処理等も行う。
【0100】
否優先機システム管理処理184は、優先機以外の給湯装置4が実行する装置管理処理の一例であって、例えば、優先機からの動作指示に応じて水制御弁77の開閉制御や優先機変更処理、異常発生監視処理等を行う。
【0101】
給湯制御処理186は、各給湯装置4における給湯運転制御の一例であって、例えば、給湯運転開始指示に応じて、水制御弁77の開度制御、流量情報の検出、温度情報の監視、燃焼制御等を行う。
【0102】
次に、給湯システムにおける制御処理について、
図8、
図9、
図10、
図11及び
図12を参照する。
図8は、給湯制御処理の一例を示すフローチャート、
図9は、マスタ初期化処理の一例を示すフローチャート、
図10は、スレーブ初期化処理の一例を示すフローチャート、
図11は、優先機管理処理の一例を示すフローチャート、
図12は、否優先機管理処理の一例を示すフローチャートである。
図8〜
図12に示す処理手順、処理内容等は一例であって、これに限定されない。
【0103】
この給湯システムの制御処理は、本開示の給湯制御方法又は給湯制御プログラムの一例であって、マルチシステムを構成する場合、特定の給湯装置を優先機に設定するとともに、他の給湯装置について、装置情報を特定する。そして、優先機として指定された給湯装置により給湯システムの給湯運転制御や装置状態の監視、運転台数の切替等のコントロールを行う。
【0104】
そこで、電源を入れると、イニシャライズとして、初期設定によりI/Oの初期化や各種設定の初期値のセット等を行う(ステップS11)。給湯装置がマルチシステム構成での運転に設定された場合(ステップS12のYES)、各給湯装置について、マスタ設定された給湯装置か否かを判断する(ステップS13)。例えば、制御装置8である制御基板(PCB)にディップスイッチ等によりマスタ設定がされた給湯装置である場合(ステップS13のYES)、マスタ機としての初期化を行い(ステップS14)、それ以外の給湯装置である場合(ステップS13のNO)、スレーブ機の初期化を行う(ステップS15)。
【0105】
これらの初期化設定処理が終了すると、給湯運転を開始する。この給湯運転における制御処理は、給湯運転中に繰り返し実行される。
【0106】
給湯システム2がマルチシステム構成の場合(ステップS16のYES)、稼動中の各給湯装置4は、それぞれ、自機が優先機か否かを判断し(ステップS17)、優先機に設定されている給湯装置である場合(ステップS17のYES)、優先機システム管理処理を実行し(ステップS18)、マルチシステムの制御装置として、管理処理を行う。また、優先機に設定されていない給湯装置である場合(ステップS17のNO)、否優先機管理処理として(ステップS19)、優先機の指示情報に従って、優先機に連動させる。
【0107】
上記の設定処理が行われると、例えば、給水管路6に対する通水を契機に、給水の加熱処理を行い、所定温度で給湯させる給湯制御に移行する(ステップS20)。
【0108】
次に、この給湯システムの制御処理で行われる各給湯装置の初期化処理について説明する。
【0110】
図9に示すマスタ初期化処理は、マスタ機イニシャライズ処理(ステップS14)の一例である。そこで、例えば、制御装置8を構成する制御基板上のディップスイッチ等により、自機がマスタ設定されている場合、この給湯装置の装置番号を「1」に設定する(ステップS31)。ここで設定した装置番号は、ROM152等にある管理データ112に記憶させる。
【0111】
また、既述のように、この給湯装置4は、マスタ設定がされているので、給湯システム2の起動時に第1の給湯装置100として優先機に設定し、この優先機情報を管理データ112に記憶させる(ステップS32)。優先機の設定が行われると、この給湯装置4の水制御弁77を開放状態にして(ステップS33)、マスタ初期化処理を終了する。給湯システム2の給湯管理を行う第1の給湯装置100は、水制御弁77を開放状態に維持することで、第1の給湯装置100が把握しない状態で給湯が行われるのを防止できる。
【0113】
また、
図10に示すスレーブ初期化処理は、スレーブ機イニシャライズ処理(ステップS15)の一例である。このスレーブの初期化では、第2の給湯装置102を構成する各給湯装置4を識別する装置番号を確定させる。給湯システム2において、マルチシステム管理を行うためには、接続している給湯装置4を特定する必要がある。これらの給湯装置4では、例えば、設置時の作業を簡素化するため、給湯装置の中の1台にマスタ設定を行い、他の給湯装置には、装置番号の設定は行わない。そこで、この給湯システム2では、装置番号等が設定されていない第2の給湯装置102(スレーブ設定がされた給湯装置4)について、例えば、起動時に装置番号の設定処理を行う。
【0114】
そこで、スレーブ初期化処理では、各給湯装置毎にそれぞれ自装置の仮装置番号を設定する(ステップS41)。この仮装置番号は、他の給湯装置と重ならないようにするため、例えば、各制御装置8に搭載したCPU150のスタックポインタ値や、フリーランタイマ値、過去の燃焼時間等を利用して発生させた乱数に基づいて決めればよい。
【0115】
仮装置番号を設定すると、その番号を優先機である第1の給湯装置100側に通知するまでのインターバル時間を設定する(ステップS42)。各給湯装置から通知された仮装置番号により、第1の給湯装置100側では、給湯システム2に接続している給湯装置を特定することができる。全ての給湯装置を特定したら、第1の給湯装置100は、各給湯装置に対して、確定装置番号を付与する。第1の給湯装置100側へ通知するまでのインターバル時間は、例えば、他の給湯装置と同時に起動しても通信が混線しないようにするため仮装置番号を基に算出したタイムラグである。
【0116】
インターバル時間経過後、各給湯装置4は、第1の給湯装置100に対して、仮装置番号を付した「ナンバリング要求コマンド」を送信する(ステップS43)。
【0117】
そして、第1の給湯装置100から自装置宛のコマンドを受信するまで待機する(ステップS44)。このコマンドの受信確認は、例えば、付加した仮装置番号に基づいて行う。自装置宛のコマンドを受信すると(ステップS44のYES)、そのコマンドが「仮装置番号コマンド」かを判定し(ステップS45)、「仮装置番号コマンド」の場合(ステップS45のYES)、第1の給湯装置100に対して、「仮装置番号確認コマンド」を送信する(ステップS46)。
【0118】
「仮装置番号確認コマンド」を送信したら、第1の給湯装置100から自装置宛のコマンドを受信するまで待機状態とする(ステップS47)。第1の給湯装置100からのコマンド受信は、例えば、付加した仮装置番号を利用すればよい。
【0119】
自装置宛のコマンドを受信すると(ステップS47のYES)、そのコマンドが「確定番号コマンド」かを判定し(ステップS48)、「確定番号コマンド」の場合、受信した内容より自装置の番号を確定する。そして、この確定した装置番号を各給湯装置4の記憶部に記憶する(ステップS49)。
【0121】
次に、優先機に設定された第1の給湯装置100の優先機システム管理処理について説明する。
図11に示す優先機管理処理は、本開示の給湯制御方法又は給湯制御プログラムの一例であって、優先機システム管理処理(ステップS18)を示している。この処理は、マルチシステムの中で優先機のみが実行する。優先機は、後述するように所定条件によって変更するので、優先機の設定変更が行われると、優先機管理処理を実行すればよい。
【0122】
第2の給湯装置102からのコマンド受信を監視し(ステップS51)、優先機である第1の給湯装置100に対するコマンドを受信すると(ステップS51のYES)、そのコマンドが「ナンバリング要求コマンド」かを判断する(ステップS52)。このコマンドが「ナンバリング要求コマンド」である場合(ステップS52のYES)、受信した「ナンバリング要求コマンド」に付加された仮番号を利用して「仮番号コマンド」を送信する(ステップS53)。
【0123】
また、受信したコマンドが「仮番号確認コマンド」である場合(ステップS54のYES)、第1の給湯装置100は、コマンドを発した給湯装置に対し、管理する給湯装置番号の内、未使用の番号を割り当てる。そして、受信した「仮番号確認コマンド」に付加された仮番号を利用して、割り当てた給湯装置番号を含む「確定番号コマンド」を送信する(ステップS55)。
【0124】
以上のステップS51〜ステップS55の処理は、既述のスレーブ初期化処理に示す番号確定要求に対応して行われる。
【0125】
また、受信したコマンドが「異常発生コマンド」である場合(ステップS56のYES)、受信した「異常発生コマンド」に付加された装置番号により異常が発生した給湯装置を特定する。そして、特定した給湯装置について、管理データ112の稼動FLG情報18に異常発生を記憶させる(ステップS57)。受信コマンドが他のコマンドであれば、そのコマンドに対応した処理を行う(ステップS58)
【0126】
これらの処理は、優先機となった第1の給湯装置100が常時行う。従って、マルチシステム動作中に遅れて起動した給湯装置があった場合でも装置番号の付与が行われ、システムに追加可能であるとともに、異常発生状態も把握することができる。
【0127】
その他、給湯システム2のマルチシステム動作において、稼動する給湯装置の台数切替を管理する台数切替管理を行う(ステップS59)。
【0129】
次に、優先機以外の給湯装置が実行する処理について説明する。
図12に示す否優先機管理処理は、本開示の給湯制御方法又は給湯制御プログラムの一例であって、ステップS19の否優先機管理処理に対応する。この処理では、第1の給湯装置100から第2の給湯装置
102側に発せられたコマンドに対して実行する処理である。
【0130】
自装置宛のコマンドを受信すると(ステップS61のYES)、そのコマンドが開放指示であれば(ステップS62のYES)、水制御弁77を開放し、稼動状態とする(ステップS63)。コマンドが閉止指示であれば(ステップS64のYES)、自装置の水制御弁77を閉止し、停止状態にする(ステップS65)。
【0131】
コマンドが優先機変更であれば(ステップS66のYES)、第1の給湯装置100から受信した優先機管理データを自装置の記憶部に記憶し(ステップS70)、例えば、既述の優先機管理処理(
図11)を行うことで、第1の給湯装置100に設定される。
【0132】
その他、受信したコマンドに従った動作を行う(ステップS67)。また、自装置の異常発生状況を監視し(ステップS68)、異常があれば(ステップS68のYES)、水制御弁77を閉止し、異常発生コマンドを優先機である第1の給湯装置100側に対して送信する(ステップS69)。
【0133】
なお、以上のマスタ機イニシャライズ処理、スレーブ機イニシャライズ処理、優先機管理処理、否優先機管理処理は、例えば、同時に実行されればよく、また繰り返し行われればよい。
【0134】
斯かる構成によれば、給湯システムを構成する給湯装置の一部を優先機とし、他の給湯装置を連動させて給湯運転させることで、制御装置の簡易化を図ることができる。また、優先機が検出した情報に応じて給湯装置の稼動台数を制御することで、給湯システムの効率的な運転制御を行うことができる。優先機を変更する場合、給湯システムに接続する給湯装置の管理情報も移動させることで、継続的に給湯運転を行うことができる。優先機が給湯システムに接続する給湯装置に対して、装置番号を付与することで、別途管理装置を設ける必要がなく、全ての給湯装置を特定可能に管理することができる。
【0136】
次に、第3の実施の形態について、
図13を参照する。
図13は、第3の実施の形態に係る優先機変更処理及び給湯制御処理の一例を示す図である。
図13に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0137】
図13に示す給湯システム2は、本開示の給湯システム又は給湯装置の一例であって、優先機である第1の給湯装置100を給湯装置41から給湯装置42に変更し、給湯装置42が給湯システム2の給湯運転制御を行っている。
【0138】
この優先機変更処理は、給湯システム2における給湯台数切替管理の一例であり、例えば、給湯装置41が異常状態となった場合や連続稼動時間が所定時間を超えた場合等に実行される。優先機の変更処理では、例えば、変更前の優先機である給湯装置41から新たな優先機である給湯装置42に対して、給湯システム2に接続する給湯装置を特定した管理データ112の受け渡し、又は更新処理が行われる。
【0139】
このように、優先機に設定された給湯装置41に対して負荷が集中することにより安定した給湯が行えなくなるのを防止するため、優先機の変更処理を行う。既述のように、給湯システム2の電源投入時に設定される優先機は、接続された複数の給湯装置の中から予め選択された1台に対するマスタ設定により決定されるが、起動後は、所定条件により給湯装置の間で変更される。
【0140】
なお、
図13に示す優先機の変更処理では、稼動中の給湯装置42を新たな優先機に設定したが、これに限られず、例えば、停止中であって、異常状態でない給湯装置を新たに起動させ、その給湯装置を優先機に設定してもよい。
【0141】
この
優先機切替管理処理を含む給湯システム2の稼動台数切替処理について、
図14を参照する。
図14は、稼動台数切替管理処理の一例を示すフローチャートである。
図14に示す処理手順、処理内容は一例であって、これに限定されない。
【0142】
この
稼働台数切替管理処理は、本開示の給湯制御方法又は給湯制御プログラムの一例であって、優先機が行うマルチシステム管理の中心的な処理の1つであって、既述の優先機の変更処理が含まれる。給湯システム2の稼動・停止制御では、例えば、優先機である第1の給湯装置100に流れる通水量情報に基づいて、稼動する給湯装置の増減を判断する。給湯装置の増減制御では、既述のように、優先機の水制御弁77が開放状態に設定されるので、その流量センサ72の検出結果に基づいて稼動給湯装置の増減を行う。また、給湯装置の稼動時間に基づいて稼動開始又は停止処理を制御する。
【0143】
そこで、優先機である第1の給湯装置100は、自装置に異常が発生したか否かを判断し、異常である場合(ステップS101のYES)、この給湯装置を停止させるため、代わりに稼動を開始する給湯装置を決定する(ステップS102)。稼動を開始させる給湯装置は、例えば、停止後の経過時間が所定時間として、例えば10分以内の給湯装置を選択する。または、異常が発生していない停止中の給湯装置の内、最も累積稼動時間が短いものを選択する。給湯装置の条件判断は、管理データ112に記憶されている情報を利用して行えばよい。
【0144】
稼動させる給湯装置を決定すると、その給湯装置に対し、起動指示として、水制御弁77の開放を指示する「開放コマンド」を送信する(ステップS103)。また、自装置の水制御弁77を閉止させ、管理データ112に自装置の異常状態を記憶させるとともに、他の給湯装置を優先機に設定する(ステップS104)。
【0145】
新たな優先機は、例えば、稼動中の給湯装置の中から選択し、連続稼動時間が短い給湯装置や、累積稼動時間が短い給湯装置を選択すればよい。そして、新たな優先機を選択すると、その給湯装置に対し、管理データ112を送信し、優先機の変更コマンドを送信する(ステップS105)。
【0146】
自装置に異常がない場合には(ステップS101のNO)、入水流量の監視に移行する(ステップS106)。流量センサ72で検出した流量が所定流量1より多くなると(ステップS106のYES)、稼動給湯装置を増やす。この所定流量1は、例えば、各給湯装置において設定した入水量の閾値であって、この所定流量1より流量が多い場合には、稼動する給湯装置の数が少なく、1台に対する負荷が大きくなっていることを示す。
【0147】
そこで、新たに稼動を開始させる給湯装置は、例えば、停止後の経過時間が所定時間として、例えば10分以内の給湯装置、又は、異常が発生していない停止中の給湯装置の内、最も累積稼動時間が短いものを選択すればよい(ステップS107)。そして、決定した給湯装置に対し、水制御弁77の「開放コマンド」を送信して(ステップS108)、稼動給湯装置の台数を増加させる。
【0148】
また、入水流量が所定流量1より少ない場合(ステップS106のNO)であって、所定流量2より少ない場合(ステップS109のYES)には、稼動中の給湯装置の台数の減少制御に移行する。この所定流量2は、例えば、各給湯装置に対する下限の流量の閾値であって、入水量が所定流量2より少ない場合は、給湯装置の稼動台数が多すぎであるか、または給湯要求が停止した場合を示している。
【0149】
そこで、現在稼動中の給湯装置が複数台である場合(ステップS110のNO)には、給湯装置の稼働台数を減少させる(ステップS111)。この場合、停止させる給湯装置は、例えば、稼動中の給湯装置の中で連続稼働時間が長いものを選択する。そして、選択された給湯装置が、優先機であるか否かを判断し(ステップS112)、優先機でない場合(ステップS112のNO)には、選択した給湯装置に対して水制御弁77の閉止コマンドを送信する(ステップS113)。また、選択された給湯装置が優先機である自装置である場合(ステップS112のYES)、第1の給湯装置100は、自装置の水制御弁77を閉止させるとともに、優先機の変更処理を行う(ステップS114)。
【0150】
新たに優先機となる給湯装置は、例えば、稼動中給湯装置の中で選択し、連続稼動時間が短い給湯装置や、累積稼働時間が短い給湯装置を選択すればよい。新たな優先機が決定したら、その給湯装置に対して、管理データ112を送信するとともに優先機の変更コマンドを送信する(ステップS115)。
【0151】
また、稼動している給湯装置が、優先機である第1の給湯装置100のみである場合(ステップS110のYES)、それ以上給湯装置の台数を減らすことができないので、給湯要求がある場合には、そのまま給湯運転を継続させる。
【0152】
稼動台数の増減が発生しない場合、即ち、稼動する各給湯装置に対して、設定した範囲内の入水量がある場合(ステップS106のNO、ステップS109のNO)には、継続して入水量の監視が継続される。この入水量監視と並行して、各給湯装置の連続稼働時間の監視を行う(ステップS116)。また、流量が所定流量2より少ない場合(ステップS109のYES)であって、稼動台数が1台のみである場合(ステップS110のYES)にも連続稼動時間の監視を行う(ステップS116)。
【0153】
そこで、連続稼動時間が、例えば12時間に達した給湯装置がある場合(ステップS116のYES)には、その給湯装置を停止させるために、新たに稼動を開始させる給湯装置を決定する(ステップS117)。稼動開始させる給湯装置の決定は、既述のステップS102やステップS107と同様に行なえばよい。そして、稼動開始する給湯装置に対し、水制御弁77の開放コマンドを送信して稼動する給湯装置を増加させ(ステップS118)、再び流量監視処理であるステップS116及びステップS109に移行する。
【0154】
このような処理により、適正な入水量で稼動していた給湯システム2に対し、ステップS118で稼動する給湯装置を増加させることで、現在稼動している各給湯装置に対する入水流量が所定流量2よりも少なくなる。そのため、稼動台数が増加した給湯システム2の流量監視処理では、入水流量が所定流量2よりも少なくなる(ステップS109のYES)。そして、停止させる給湯装置の決定処理(ステップS111)において、連続稼動時間が12時間に達した給湯装置を選択することで停止させことができる。また、入水流量が所定流量2よりも少ない状態(ステップS109YES)であって、稼動給湯装置が1台である場合も(ステップS110のYES)同様に、ステップS117で稼動給湯台数が増加させることで(ステップS110のNO)、停止給湯装置の決定に移行させることができる(ステップS111)。
【0155】
斯かる構成によれば、長時間連続して稼動している給湯装置がある場合でも、一時的にも給湯量を減らさず、また、給湯運転を停止させることなく給湯装置の交代を行うことができる。また、給湯システムを構成する給湯装置の一部を優先機とし、他の給湯装置を連動させて給湯運転させることで、制御装置の簡易化を図ることができる。優先機が検出した情報に応じて給湯装置の稼動台数を制御することで、給湯システムの効率的な運転制御を行うことができる。さらに、優先機の異常発生や稼動時間等に応じて他の給湯装置を優先機に設定させることで、給湯運転を中断させることが無く、利便性を高めることができる。優先機を変更する場合、給湯システムに接続する給湯装置の管理情報も新たな優先機に移すことで、継続的に給湯運転を行うことができる。
【0156】
〔第1、第2及び第3の実施の形態の利点及び特徴事項〕
【0157】
(1) この給湯システム2は、単独使用可能な給湯装置4を複数台連動させたマルチシステムであって、各制御装置8内に管理機能及び被管理機能を備えている。そして、これらの給湯装置の内、特定の1台を優先機とし、この優先機に設定された給湯装置が給湯システム2の管理を行う。このような構成にすることで、簡易な構成で複数台の給湯装置を連動させた給湯システムの構築が可能となる。
【0158】
(2) 優先機は特定の給湯装置に固定されず、給湯システム2に接続した給湯装置の中で交代させる。
【0159】
(3) 給湯システム2に接続した各給湯装置を特定し管理するための装置番号付けは、優先機により行われ、予め設定しておく必要は無い。即ち、電源投入時に優先機となる給湯装置についてのみマスタ設定を行えば、各給湯装置の識別は自動的に行うことができる。これにより、例えば、給湯運転中に稼動を開始した給湯装置に対して、優先機が常に監視することができる。また、例えば、新たに給湯装置を追加する場合でも、設置後の設定作業等を軽減できる。
【0160】
(4) 優先機となった給湯装置は、自装置の流量の増減に基づいて給湯装置の稼動台数を増減させ、給湯システム全体の給湯量を調整することができる。これにより、各給湯装置の適切な給湯能力で給湯を行い、省エネ化を図ることができるとともに、一部の給湯装置に対して高負荷となるのを防止できる。
【0161】
(5) この給湯システム2によれば、連結ユニット等の制御装置を別個に設けることなく簡易な構成で大容量の給湯に対応することができる。
【0162】
(6) 稼動中の給湯装置の間で優先機を異動させるので、一部の給湯装置が異常となっても給湯システムの給湯運転を維持させることができる。
【0164】
(1) 上記実施の稼動台数切替管理処理(
図14)では、例えば、第1の給湯装置100の給水管路7に設置した流量センサ72により、給湯装置4に対する入水量を監視しているが、これに限られない。例えば、給湯システム2において、稼動している各給湯装置41、42、43・・・毎に入水量を測定して流量監視を行ってもよい。
【0165】
(2) また、給湯システム2の流量監視では、監視する対象について、給湯装置4に対する入水量に限られず、例えば、出湯量を測定してもよい。この場合、例えば、各給湯装置41、42、43・・・の出湯管路13側に流量センサを設けてもよい。
【0166】
以上説明したように、本発明の好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。