特許第5792494号(P5792494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792494
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】電線と端子の接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20150928BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H01R13/52 B
   H01R4/18 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-77247(P2011-77247)
(22)【出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2012-212545(P2012-212545A)
(43)【公開日】2012年11月1日
【審査請求日】2014年2月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(74)【代理人】
【識別番号】100175536
【弁理士】
【氏名又は名称】陸名 智之
(72)【発明者】
【氏名】高山 勉
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 隆人
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩
(72)【発明者】
【氏名】村松 沙織
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−059520(JP,A)
【文献】 特開2012−043584(JP,A)
【文献】 特開2010−049941(JP,A)
【文献】 特開2008−176970(JP,A)
【文献】 特開2006−269150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 4/18
H01R 4/70
H01R 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子に接続される相手端子接続部と、電線の導体部に圧着される圧着部とを有してなる端子と、端部の絶縁被覆部が除去されることによって導体部が外部に露出された電線とを有し、該電線が前記圧着部を介して前記端子に接続される電線と端子の接続構造において、
前記相手端子接続部と前記圧着部との間に設けられ、前記外部に露出された導体部の端部が収容される収容部を有してなる中間部と、
前記収容部に嵌合され、弾性を有する樹脂、ゴムの弾性材からなり、収容部の内部収容空間の形状に対応した形状をなして、前記端子とは別体で構成され、前記相手端子接続部に向けられた端部、および該端部位置の前記端子の外周に沿ってフランジ状に突設され、かつ前記端子と一体的に形成された中空状被覆部材位置決め部を有してなる中間部封止部材と、
前記電線の延在方向で、前記中間部から、前記電線が前記絶縁被覆部に覆われた絶縁被覆部領域までの間を覆う中空状被覆部材と、
を有してなることを特徴とする電線と端子の接続構造。
【請求項2】
前記中間部封止部材は、
前記端子に一体成形されることを特徴とする請求項1に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項3】
前記収容部は、
底壁と、該底壁の両縁から立ちあげられた一対の側壁とを有し、該一対の側壁うち一方の側壁の上端部から上方向に突出された突出部を有してなり、
前記中間部封止部材は、
前記突出部が前記収容部内に屈曲された状態で前記端子に一体成形されることを特徴とする請求項2に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項4】
前記中間部封止部材は、
封止部材側係合部を有してなり、
前記端子は、
前記中間部に端子側係合部を有してなり、
前記中間部封止部材は、
前記封止部材側係合部と前記端子側係合部とが係合されることによって、前記収容部内に固定されることを特徴とする請求項請求項1、2または3に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項5】
前記収容部は、
底壁と、該底壁の両縁から立ちあげられた一対の側壁とを有し、該一対の側壁うち一方の側壁の上端から突出された突出部を有してなり、
前記中間部封止部材は、
前記突出部によって圧着されることを特徴とする請求項1、2または4に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項6】
前記端子は、
前記圧着部の底部が、該圧着部の端部から前記絶縁被覆部領域まで延出されてなる電線支持部を有してなることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の電線と端子の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線と端子の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車、家電製品等において、銅材料からなる導体部を有する電線と、銅材料からなる端子とを接続させた信号線、あるいは電力線が用いられていた。
一方、自動車業界では、環境への配慮から、車両を軽量化することによって燃費を向上させることが重要な課題となっている。このため、銅に比して軽量なアルミニウムを導体部の材料として用いた電線が注目されている。
しかしながら、アルミニウムは水および銅イオンの存在下では、腐食し易いため、アルミニウムからなる導体部と銅からなる端子との接続部分に水が侵入すると腐食し易いという問題があった。
そこで、アルミニウムからなる導体部と銅からなる端子との接続部分を熱収縮性チューブで覆うことによって、防水し、腐食を防ぐ電線と端子の接続構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−165630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電線と端子の接続構造は、接触部とワイヤバレル部との中間接続部とを備えるコネクタ端子に、導体が被覆材により被覆された電線が接続され、ワイヤバレル部に導体が固着して導体接続部を有し、導体接続部が熱収縮性チューブを用いた防水チューブにより覆われていると共に、防水チューブの端子側端部が中間接続部の周囲を隙間なく覆うようになっている。
【0005】
しかしながら、端子の形状は多様であり、熱収縮性チューブ等の端子の外周を覆うような中空状の被覆部材では、端子の形状によっては、端子の外周に沿って密着することが難しくなり、結果的に防水性が低下してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、中空状の被覆部材を用いた場合においてもより確実に防水し、腐食を防ぐことができる電線と端子の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる電線と端子の接続構造は、相手端子に接続される相手端子接続部と、電線の導体部に圧着される圧着部とを有してなる端子と、端部の絶縁被覆部が除去されることによって導体部が外部に露出された電線とを有し、該電線が前記圧着部を介して前記端子に接続される電線と端子の接続構造において、
前記相手端子接続部と前記圧着部との間に設けられ、前記外部に露出された導体部の端部が収容される収容部を有してなる中間部と、
前記収容部に嵌合され、弾性を有する樹脂、ゴムの弾性材からなり、収容部の内部収容空間の形状に対応した形状をなして、前記端子とは別体で構成され、前記相手端子接続部に向けられた端部、および該端部位置の前記端子の外周に沿ってフランジ状に突設され、かつ前記端子と一体的に形成された中空状被覆部材位置決め部を有してなる中間部封止部材と、
前記電線の延在方向で、前記中間部から、前記電線が前記絶縁被覆部に覆われた絶縁被覆部領域までの間を覆う中空状被覆部材と、
を有してなることを特徴とする。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項2にかかる電線と端子の接続構造は、前記中間部封止部材は、前記端子に一体成形されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3にかかる電線と端子の接続構造は、上記の発明において、前記収容部は、底壁と、該底壁の両縁から立ちあげられた一対の側壁とを有し、該一対の側壁うち一方の側壁の上端から上方向に突出された突出部を有してなり、前記中間部封止部材は、前記突出部が前記収容部内に屈曲された状態で前記端子に一体成形されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項にかかる電線と端子の接続構造は、上記の発明において、前記中間部封止部材は、封止部材側係合部を有してなり、前記端子は、前記中間部に端子側係合部を有してなり、前記中間部封止部材は、前記封止部材側係合部と前記端子側係合部とが係合されることによって、前記収容部内に固定されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項にかかる電線と端子の接続構造は、上記の発明において、前記収容部は、底壁と、該底壁の両縁から立ちあげられた一対の側壁とを有し、該一対の側壁うち一方の側壁の上端部から上方向に突出された突出部を有してなり、前記中間部封止部材は、前記突出部が前記収容部内に屈曲された状態で前記端子に一体成形されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項にかかる電線と端子の接続構造は、上記の発明において、前記端子は、前記圧着部の底部が、該圧着部の端部から前記絶縁被覆部領域まで延出されてなる電線支持部を有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1にかかる電線と端子の接続構造は、前記相手端子接続部と前記圧着部との間に設けられ、外部に露出された導体部の端部が収容される収容部を有してなる中間部と、前記収容部に嵌合され、弾性を有する樹脂、ゴムの弾性材からなり、収容部の内部収容空間の形状に対応した形状をなして、前記端子とは別体で構成され、前記相手端子接続部に向けられた端部、および該端部位置の前記端子の外周に沿ってフランジ状に突設され、かつ前記端子と一体的に形成された中空状被覆部材位置決め部を有してなる中間部封止部材と、前記収容部に嵌合され、弾性を有する樹脂、ゴムの弾性材からなり、収容部の内部収容空間の形状に対応した形状をなして、前記端子とは別体で構成され、前記相手端子接続部に向けられた端部、および該端部位置の前記端子の外周に沿ってフランジ状に突設され、かつ前記端子と一体的に形成された中空状被覆部材位置決め部を有してなる中間部封止部材と、前記電線の延在方向で、前記中間部から、前記電線が前記絶縁被覆部に覆われた絶縁被覆部領域までの間を覆う中空状被覆部材と、を有してなるので、前記中空状被覆部材が覆う部分の外周形状が前記中間部封止部材によって単純化され、前記中空状被覆部材が前記端子に沿って密着されやすくなるので、中空状の被覆部材を用いた場合においてもより確実に防水し、腐食を防ぐことができ、前記中空被覆部材を前記端子に取り付ける際、前記中空状被覆部材位置決め部に前記中空被覆部材の万端が接する位置を前記中空被覆部材の取り付け位置の基準とすることによって、前記中空被覆部材を所定の位置に精度良く配置させることができ、結果的に防水性能を向上させることができる。
【0015】
本発明の請求項2にかかる電線と端子の接続構造は、前記中間部封止部材が、前記端子に一体成形されるので、前記中間部封止部材を前記収容部の所定位置で確実に固定させることができる。
【0016】
本発明の請求項3にかかる電線と端子の接続構造は、前記収容部が、底壁と、該底壁の両縁から立ちあげられた一対の側壁とを有し、該一対の側壁うち一方の側壁の上端から上方向に突出された突出部を有してなり、前記中間部封止部材が、前記突出部が前記収容部内に屈曲された状態で前記端子に一体成形されるので、前記中間部封止部材を前記収容部の所定位置でより強く固定させることができる。
【0018】
本発明の請求項にかかる電線と端子の接続構造は、前記封止部材側係合部と前記端子側係合部とが係合されることによって、前記収容部内に固定されるので、前記中間部封止部材を前記収容部の所定位置で確実に固定させることができる。
【0019】
本発明の請求項にかかる電線と端子の接続構造は、前記収容部が、底壁と、該底壁の両縁から立ちあげられた一対の側壁とを有し、該一対の側壁うち一方の側壁の上端から突出された突出部を有してなり、前記中間部封止部材は、前記突出部によって圧着されるので、前記中間部封止部材を前記収容部の所定位置でより強く固定させることができる。
【0020】
本発明の請求項にかかる電線と端子の接続構造は、前記端子が、前記圧着部の底部が該圧着部の端部から前記絶縁被覆部領域まで延出されてなる電線支持部を有してなるので、前記電線支持部が前記中空状被覆部材とともに、導体部露出領域と前記絶縁被覆領域との境界部分の前記導体部を支持し、この境界部分における前記導体部の屈曲による損傷をより効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施の形態1にかかる電線と端子の接続構造の分解斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1にかかる電線と端子の接続構造の斜視図である。
図3図3は、図1に示した中間部封止部材が端子に一体成形される手順の一例を説明するための図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1にかかる電線と端子の接続構造の変形例を示した図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2にかかる電線と端子の接続構造を示した分解斜視図である。
図6図6は、図5に示した電線と端子の接続構造の要部拡大図である。
図7図7は、本発明の実施の形態2の変形例1の電線と端子の接続構造の要部拡大図ある。
図8図8は、本発明の実施の形態2の変形例2の電線と端子の接続構造の要部拡大斜視図ある。
図9図9は、本発明の実施の形態2の変形例3の電線と端子の接続構造の要部拡大斜視図ある。
図10図10は、本発明の実施の形態3にかかる電線と端子の接続構造を示した図である。
図11図11は、図10に示した中空被覆部材を取り付ける手順を説明するための図である。
図12図12は、本発明の実施の形態3の変形例の電線と端子の接続構造を示した図である。
図13図13は、本発明の実施の形態4にかかる電線と端子の接続構造を示した斜視図である。
図14図14は、図13に示した電線と端子の接続構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、この発明にかかる電線と端子の接続構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる電線と端子の接続構造1の分解斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる電線と端子の接続構造1の斜視図である。図3は、図1に示した中間部封止部材が端子20に一体成形される手順の一例を説明するための図である。
本発明の実施の形態1の電線と端子の接続構造1は、電線10、端子20、および防水シール部40を有してなる。この、電線と端子の接続構造1は、電線10と端子20とが電線10の導体部11を介して接続され、導体部11が外部に露出されないように防水シール部40によって覆うようになっている。
【0024】
まず、電線10について説明する。
電線10は、例えば、アルミニウム等の導体からなる芯線が複数本撚り合わされてなる導体部11と、この導体部11を被覆するポリプロピレン等の絶縁性材からなる絶縁被覆部12とを有してなる。また、この電線10は、端子20に接続される側の端部の絶縁被覆部12が除去されて導体部11が露出された導体部露出領域AR1と、導体部11が絶縁被覆部12に被覆された絶縁被覆領域AR2とを有してなる。
【0025】
次に、端子20について説明する。
端子20は、例えば、銅等の導体からなる板状部材をプレス加工するによって形成されたものである。この端子20は、相手端子接続部21、圧着部22、および中間部30を有してなる。
相手端子接続部21は、角筒形状をなし、筒内の所定位置に不図示の接続相手端子が挿入されることによって、端子20が接続相手端子に接続される部分である。
圧着部22は、導体部露出領域AR1の導体部11に圧着される圧着バレルであり、この圧着部22によって電線10と端子20とが接続されるようになっている。この圧着部22近傍領域では導体部露出領域AR1になるため、導体部11が外部に露出されやすい状態になっている。
【0026】
中間部30は、相手端子接続部21と圧着部22との間に位置し、相手端子接続部21と圧着部22とを繋ぐ部分である
この中間部30は、端子20に保持された電線10の延在方向に直交する断面が凹状をなし、凹状の底部を形成する底壁30a、底壁30aの両縁が上方に立ち上げられて形成された一対の側壁30bを有してなる。このため、圧着部22で圧着された導体部11の端部11aは、これら底壁30a、および一対の側壁30bからなる収容部31内に位置されている。
また、中間部30は、一対の側壁30bのうち一方の側壁30bの上端30bbから突出された突出部32を有してなる。
突出部32は、中間部30に配置された後述する中間部封止部材に圧着されることによって、中間部封止部材を中間部30の所定位置に保持させるものである。
【0027】
次に、防水シール部40について説明する。
防水シール部40は、中間部封止部材50および中空状被覆部材60を有してなる。
中間部封止部材50は、収容部31の内部収容空間の形状に対応した形状をなす。より具体的には、中間部封止部材50は、ほぼ直方体形状をなし、収容部31内にほぼ隙間なく収容されるようになっている。すなわち、中間部封止部材50は、収容部31に嵌合されるようになっている。
この中間部封止部材50は、弾性を有する樹脂、ゴム等の弾性材からなる。また、中間部封止部材50は、例えば、図3に示すように、バリ切り駒Tを収容部内に設置して、いわゆるフープ成形を行うことによって端子20と一体に形成される。
【0028】
中空状被覆部材60は、収縮性のチューブからなり、中間部30から絶縁被覆領域AR2までを覆うものである。このため、中空状被覆部材60は、中間部30から絶縁被覆領域AR2までの防水機能を有するとともに、導体部露出領域AR1と絶縁被覆領域AR2との境界における導体部11の屈曲による損傷を防止するようになっている。
中空状被覆部材60は、中間部30側の端部が中間部30の外表面および中間部封止材50の表面を覆うようにして端子20に密着されている。このため、中間部30の収容部31内に沿って密着する必要がない。
【0029】
本発明の実施の形態の電線と端子の接続構造1は、相手端子接続部21と圧着部22との間に設けられ、外部に露出された導体部11の端部11aが収容される収容部31を有してなる中間部30と、収容部31に嵌合される中間部封止部材50と、電線10の延在方向で、中間部30から、電線10が絶縁被覆部12に覆われた絶縁被覆部領域AR2までの間を覆う中空状被覆部材60と、を有してなるので、中空状被覆部材60が覆う部分の外周形状が中間部封止部材50によって単純化され、中空状被覆部材60が端子20に沿って密着されやすくなるので、中空状の被覆部材を用いた場合においても、より確実に防水し、腐食を防ぐことができる。
【0030】
また、本発明の実施の形態の電線と端子の接続構造1は、中間部封止部材50が端子20に一体成形されるので、中間部封止部材50を収容部31の所定位置で確実に固定させることができる。
【0031】
また、本発明の実施の形態の電線と端子の接続構造1は、中間部封止部材50が中間部30の所定位置で突出部32によって圧着されるので、中間部封止部材50を収容部31の所定位置でより強く固定させることができる。
【0032】
(変形例)
ここで、図4を用いて本発明の実施の形態1にかかる電線と端子の接続構造1の変形例について説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる電線と端子の接続構造1の変形例を示した図である。
本発明の実施の形態1の電線と端子の接続構造1は、中間部封止部材50を端子20に一体成形した後に、突出部32を中間封止部材50に圧着させるようにしていたが、この変形例の電線と端子の接続構造2は、突出部32を収容部31内に折り曲げた後(図4(a)参照)、中間部封止部材50を端子20に一体成形するようにしている(図4(b)参照)。なお、その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
この変形例の電線と端子の接続構造2は、折り曲げられた突出部31に中間封止部材50が一体に形成されるため、中間封止部材50が中間部30の所定位置でより強く固定される。
このため、この変形例の電線と端子の接続構造2は、実施の形態1の電線と端子の接続構造1と同様の効果を奏する。
【0033】
(実施の形態2)
ここで、図5および図6を用いて本発明の実施の形態2にかかる電線と端子の接続構造3について説明する。図5は、本発明の実施の形態2にかかる電線と端子の接続構造3を示した分解斜視図である。図6は、図5に示した電線と端子の接続構造3の要部拡大図である。
この実施の形態2の電線と端子の接続構造3は、中間封止部材50に代わって中間封止部材51を有し、端子20に代わって端子23を有してなる。
中間封止部材51は、封止部材側係合部51bを有する点で中間封止部材50と異なる。
端子23は、端子側係合部23aを有する点で端子20と異なる。
なお、その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0034】
封止部材側係合部51bは、中間封止部材51の両側面51aに設けられ、上下方向に延びる一対のリブである。
端子側係合部23aは、中間部30の両側壁30bに、封止部材側係合部51bに対応して形成された上下方向に延びる一対の溝である。
このような電線と端子の接続構造3は、封止部材側係合部51bと、端子側係合部23aとが係合されることによって中間封止部材51が収容部31の所定位置に位置決めされ、かつ固定されるようになっている。
この実施の形態2の電線と端子の接続構造3は、実施の形態1の電線と端子の接続構造1と同様の効果を奏する。
【0035】
(変形例1)
次に、図7を用いて本発明の実施の形態2の変形例1について説明する。
図7は、本発明の実施の形態2の変形例1の電線と端子の接続構造4の要部拡大図ある。
この変形例1の電線と端子の接続構造4は、中間封止部材52が封止部材側係合部51bに代わって封止部材側係合部52bを有し、端子24が端子側係合部23aに代わって端子側係合部24aを有してなる。
なお、その他の構成は実施の形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
封止部材側係合部52bは、中間封止部材52の両側面52aから円柱状に突出された一対の円柱状突出部である。
端子側係合部24aは、中間部30の両側壁30bに、封止部材側係合部52bに対応して円状に開口された一対の円状開口部である。
このような電線と端子の接続構造4は、封止部材側係合部52bと、端子側係合部24aとが係合されることによって中間封止部材52が収容部31の所定位置に位置決めされ、かつ固定されるようになっている。
【0036】
(変形例2)
次に、図8を用いて本発明の実施の形態2の変形例2について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2の変形例2の電線と端子の接続構造5の要部拡大斜視図ある。
この変形例2の電線と端子の接続構造5は、中間封止部材53が封止部材側係合部51bに代わって封止部材側係合部53bを有し、端子25が端子側係合部23aに代わって端子側係合部25aを有してなる。
【0037】
封止部材側係合部53bは、中間封止部材53の底面53aに形成された凹部である。
端子側係合部25aは、中間部30の底壁30aに、封止部材側係合部53bに対応して形成されたランス部である。
このような電線と端子の接続構造5は、封止部材側係合部53bと、端子側係合部25aとが係合されることによって中間封止部材53が収容部31の所定位置に位置決めされ、かつ固定されるようになっている。
【0038】
(変形例3)
次に、図9を用いて本発明の実施の形態2の変形例3について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2の変形例3の電線と端子の接続構造6の要部拡大斜視図ある。
この変形例3の電線と端子の接続構造6は、中間封止部材54が封止部材側係合部51bに加えて第二封止部側係合部54bを有し、端子26が端子側係合部23aに加えて第二端子側係合部26aを有してなる。
第二封止部側係合部54bは、中間封止部材54の底面54aに形成された半球状の凹部である。
第二端子側係合部26aは、中間部30の底壁30aに、第二封止部側係合部54bに対応して形成された半球状の凸部である。
このような電線と端子の接続構造6は、封止部材側係合部51bと、端子側係合部23aとが係合され、第二封止部側係合部54bと、第二端子側係合部26aとが係合されることによって中間封止部材54が収容部31の所定位置に位置決めされ、かつ固定されるようになっている。
【0039】
(実施の形態3)
ここで、図10および図11を用いて本発明の実施の形態3の電線と端子の接続構造7について説明する。
図10は、本発明の実施の形態3にかかる電線と端子の接続構造7を示した図である。図11は、図10に示した中空被覆部材60を取り付ける手順を説明するための図である。
この実施の形態3の電線と端子の接続構造7は、中間封止部材55が位置決め部56を有してなる点で実施の形態1の中間封止部材50と異なる。
なお、その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
位置決め部56は、中空被覆部材60の位置決め機能を有する部分である。この位置決め部56は、中間封止部材55の相手端子接続部21に向けられた端部56a、および中間封止部材55の端部56a位置の端子20の外周に沿ってフランジ状に突設され、かつ端子20と一体的に形成された部分である。
この実施の形態3の電線と端子の接続構造7は、中空被覆部材60を端子20に取り付ける際、図11に示すように、位置決め部56に中空被覆部材60の万端が接する位置を中空被覆部材60の取り付け位置の基準とすることによって、中空被覆部材60を所定の位置に精度良く配置させることができ、結果的に防水性能を向上させることができる。
【0040】
(変形例)
次に、図12を用いて本発明の実施の形態3の変形例について説明する。
図12は、本発明の実施の形態3の変形例の電線と端子の接続構造8を示した図である。
この変形例の電線と端子の接続構造8は、図12に示すように、中間封止部材56が実施の形態1の変形例の中間封止部材50と同様に、突出部32を折り曲げた後に中間部封止部材56を端子20に一体成形するようにしている。
【0041】
(実施の形態4)
次に、図13および図14を用いて本発明の実施の形態4の電線と端子の接続構造9について説明する。
図13は、本発明の実施の形態4にかかる電線と端子の接続構造9を示した斜視図である。図14は、図13に示した電線と端子の接続構造9の側面図である。
この実施の形態4の電線と端子の接続構造9は、実施の形態1の端子20に代わって端子27を有してなる。この端子27は、実施の形態1の端子20に電線支持部27aをさらに有してなる点で実施の形態1の端子20と異なる。
なお、その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
電線支持部27aは、導体部露出領域AR1と絶縁被覆領域AR2との境界部分AR3の導体部11を支持するものである。この電線支持部27aは、圧着部22の底部22bが、圧着部22の端部22aから電線10が絶縁被覆部12に覆われた絶縁被覆部領域AR2まで延出されてなる。
この実施の形態4の電線と端子の接続構造9は、電線支持部27aが中空状被覆部材60とともに、導体部露出領域AR1と絶縁被覆領域AR2との境界部分AR3の導体部11を支持するようになっているので、この境界部分における導体部11の屈曲による損傷をより効果的に防止することができる。
【0042】
なお、本発明の実施の形態1−4の電線と端子の接続構造1、2、3、4、5、6、7、8、9は、中間部封止部材50、51、52、53、54、55、56が、ほぼ直方体形状をなすものを例示したが、これに限らない。すなわち、中間部封止部材50、51、52、53、54、55、56が、収容部31に嵌合されるようになっていれば、その他の形状を用いてもよい。
【0043】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
1、2、3、4、5、6、7、8、9 電線と端子の接続構造
10 電線
10a 端部
11 導体部
11a 端部
12 絶縁被覆部
20、23、24、25、26、27 端子
21 相手端子接続部
22 圧着部
22a 端部
22b 底部
23a、24a、25a 端子側係合部
26a 第二端子側係合部
27a 電線支持部
30 中間部
30a 底壁
30b 側壁
30bb 上端
31 収容部
32 突出部
40 防水シール部
50、51、52、53、54、55、56 中間部封止部材
51a、52a 側面
51b、52b、53b 封止部材側係合部
53a、54a 底面
54b 第二封止部側係合部
56 位置決め部
56a 端部
60 中空状被覆部材
AR1 導体部露出領域
AR2 絶縁被覆領域
AR3 境界部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14