(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、塵芥投入箱の各種仕様はユーザーによって異なる場合が多く、このことが構成部品・部材の共用化、ひいては塵芥収集車のコスト低減を阻む一因となっている。特に、格納タイプの後面扉を備えた従前の塵芥投入箱においては、後面扉が一枚の板状部材で構成されており、この場合には、ガイドレールや上部カバー等、塵芥投入箱を構成するその他の部材を後面扉の形状(断面形状)に応じて専用設計する必要が生じるため、どうしてもコスト高となる。
【0006】
このような実情に鑑み、本発明の主な課題は、格納タイプの後面扉を備えた塵芥投入箱において、その設計自由度を高めることを可能とし、これにより塵芥投入箱のコスト低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、車体上に搭載され
て内部に塵芥を収容する塵芥収容箱の後部に開閉自在に連結される塵芥投入箱であって、後面に開口した塵芥投入口を閉塞する下降位置、及び塵芥投入口を開放させる上昇位置の二位置間を、少なくとも一部に曲線部を有するガイドレールに沿って案内移動される後面扉と、後面扉を前記二位置間で移動させる駆動
機構とを
備えるものにおいて、
駆動機構は、後面扉を上昇位置に位置させる短縮状態と、後面扉を下降位置に位置させる伸長状態との間で伸縮自在の伸縮機構と、伸縮機構を伸縮させる油圧シリンダとを備え、伸縮機構は、その一端及び他端が、塵芥投入箱の天井面の車幅方向中央部及び後面扉の車幅方向中央部に回転可能に夫々連結されており、後面扉は、その移動方向に連設された複数枚の分割扉を有
すると共に、隣接する分割扉を相対回転可能に連結したものであ
り、かつ、上昇位置に移動したとき、駆動機構の上側であって、塵芥投入箱の後面内側に配置されることを特徴とする。
【0008】
上記のように、後面扉が、その移動方向に連設された複数枚の分割扉を有し、隣接する分割扉を相対回転可能に連結したものであれば、後面扉が任意に変形可能となるので、ガイドレールや上部カバーに形状変更が施された場合にも、後面扉をガイドレール形状に沿って変形させながら、円滑に昇降移動させることができる。そのため、ガイドレールや上部カバー等、塵芥投入箱のその他構成部材の設計自由度を高めることができ、ひいてはこれらの部材を後面扉の形状(断面形状)に応じて専用設計する必要がなくなる。従って、各種構成部材の共用化を図ることができる他、各種構成部材の組み合わせ自由度が高まり、塵芥投入箱のコスト低減を図ることができる。
【0009】
また、後面扉が、複数枚の分割扉を相対回転可能に連結したものであれば、仮に後面扉の一部が大きく変形等した場合でも、この変形が生じた分割扉を交換すれば補修を完了することができる。そのため、一枚のパネル状部材で後面扉を構成していた従来構成に比べ、後面扉のメンテナンスに要する手間や費用を軽減することができるという利点もある。
【0010】
ところで、上記の特許文献3に記載された塵芥投入箱には、後面扉を下降位置と上昇位置の二位置間で自動的に移動、すなわち後面扉を自動開閉させるための駆動機構(扉自動開閉装置)が設けられており、この駆動機構は、扉開閉アームや油圧シリンダなどの機能部品を塵芥投入箱の両側板の内側に配置して構成される。しかしながら、このような構成では、開閉アームや油圧シリンダ等、後面扉を昇降移動させる機能部品と、塵芥投入箱内に投入された塵芥とが干渉し易く、従って後面扉の開閉機能が損なわれ易いという問題がある。
【0011】
そこで、本発明に係る塵芥投入箱に設けられる後面扉の駆動機構は、後面扉を上昇位置に位置させる短縮状態と、後面扉を下降位置に位置させる伸長状態との間で伸縮自在の伸縮機構を備え、伸縮機構の一端及び他端を、塵芥投入箱の天井面の車幅方向中央部及び後面扉の車幅方向中央部に回転可能に夫々連結した。すなわち、本発明では、後面扉を昇降移動させるための機能部品である伸縮機構を、塵芥投入箱内の上部中央に配置した。このようにすれば、伸縮機構に対して塵芥投入箱内に投入された塵芥が干渉し難くなるので、後面扉の開閉機能が損なわれるような事態が生じ難くなり、塵芥投入箱の信頼性が向上する。
【0012】
上記構成において、伸縮機構は、それ自体を油圧シリンダで構成することも可能であるが、伸縮機構の伸縮ストロークは後面扉の昇降移動量と比例するため、良好な塵芥投入性を確保すべく塵芥投入口の開口寸法(車体上下方向の開口寸法)を大きく設定するような場合には、後面扉の昇降移動量が大きくなる分、油圧シリンダの大型化、ひいては駆動機構の高コスト化を招く。そこで、本発明では、伸縮機構を、複数のリンク部材を相対回転可能に連結したパンタグラフ式のリンク機構で構成する。このようにすれば、伸縮機構、ひいては駆動機構をコンパクトな構成としつつも、必要とされる伸縮ストローク(後面扉の昇降移動量)を確保することができる。この場合、駆動機構は、上記のリンク機構と、このリンク機構を伸縮させる油圧シリンダとを備えるものとすることができる。
【0013】
油圧シリンダの配置態様は任意に設定することができる。例えば、油圧シリンダは、その伸縮方向が、リンク機構の伸縮方向と平行になるように配置しても良いし(
図5及び
図6参照)し、リンク機構の伸縮方向に対して傾斜するように配置しても良い(
図7参照)。
【0014】
以上に示す本発明の構成は、塵芥投入箱の内部に装備される塵芥積込装置が、いわゆる回転式であるかプレス式であるかを問わず採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
上記したように、本発明によれば、格納タイプの後面扉を備えた塵芥投入箱において、その設計自由度を高めることができる。これにより、この塵芥投入箱のコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1及び
図2に、本発明の一実施形態に係る塵芥投入箱1の概略左側面図を示し、
図3に同塵芥投入箱1の後面図を示す。なお、
図1及び
図3は、塵芥投入箱1の後面下部に開口した塵芥投入口7が後面扉10によって閉塞された状態を示しており、
図2は、塵芥投入口7が開放された状態を示している。
【0019】
この塵芥投入箱1は、塵芥収集車の車体上に搭載される図示外の塵芥収容箱の後部に開閉自在に連結されるものであり、左右一対の側板2、底板3、天板4及び上部カバー5で画成される内部空間には、投入された塵芥を塵芥収容箱内に積み込むための塵芥積込装置(図示省略)が装備されている。塵芥積込装置としては、例えば、揺動自在な押込板、およびこの押込板の下方に位置する回転自在な回転板を主要部として構成される回転式、あるいは、昇降自在のパッカープレート、およびこのパッカープレートの下端部に揺動自在に設けられたプレスプレートを主要部として構成されるプレス式が採用される。なお、塵芥積込装置の各構成部材は油圧駆動式とされ、塵芥積込装置の駆動用アクチュエータに作動油(圧油)を供給するための油圧ポンプは、図示しない動力取出装置(PTOとも略称される)で塵芥収集車の走行用エンジンの動力を取り出し、この取り出した動力でポンプ駆動用モータを運転することによって駆動される。
【0020】
後面扉10は、
図1に示す塵芥投入口7を閉塞する下降位置、及び
図2に示す塵芥投入口7を開放させる上昇位置の二位置間を、側板2,2の内側に夫々敷設されたガイドレール6,6に沿って案内移動されるスライド扉であり、より詳しくは、塵芥投入箱1の天井面付近に設けられた駆動機構Sが作動することによって昇降移動する電動駆動(電動開閉)式のスライド扉である。この後面扉10は、上昇位置に移動したとき、上部カバー5の内側に格納される。後面扉10は、その移動方向に連設された車幅方向に延びる複数枚の分割扉11(本実施形態では3枚。以下、上側から下側に向けて、第1分割扉11A、第2分割扉11B及び第3分割扉11Cともいう)を有し、上下に隣接する分割扉11,11を、後面扉10の内側に配した車幅方向に延びる連結軸13[
図4(a)も併せて参照]によって相対回転可能に連結したものとされる。なお、各ガイドレール6は、長手方向の一又は複数箇所(本実施形態では二箇所)に曲線部を有するものであり、隣接する側板2の内壁面に取り付けられた図示外のブラケットにより支持されている。
【0021】
連結軸13の一端及び他端には、
図4(a)に示すように、後面扉10(分割扉11A〜11C)をガイドレール6に沿って案内移動させるためのガイドローラ12が回転可能に取り付けられている。なお、ガイドローラ12は、第1分割扉11Aの上部の車幅方向両端部、及び第3分割扉11Cの下部の車幅方向両端部にも設けられている。但し、本実施形態において、第3分割扉11Cの下部の車幅方向両端部に設けられたガイドローラ12は、
図4(b)に示すように、その両端面に開口した貫通孔を有しており、この貫通孔の内周に、第3分割扉11Cの内側に配置されたロッド16の一端が挿通されている。このロッド16は、第3分割扉11Cの車幅方向一端及び他端に装備される、いわゆるラッチ錠の構成部材である。
【0022】
各ラッチ錠は、施開錠用レバーを有し、第3分割扉11Cの外面に取り付けられた把手15と、把手15(施開錠用レバー)の操作に連動して車幅方向に進退移動する上記のロッド16とを主要部として構成され、ロッド16は、図示しない圧縮コイルバネ等の弾性部材により常時車幅方向外側に附勢されている。すなわち、把手15の施開錠用レバーが解放された状態では、ロッド16の車幅方向外側端部がガイドローラ12の外側端面から突出して静止側(例えば、ガイドレール6)に設けられた図示しない受け部に嵌入し、下降位置にある後面扉10の上昇移動、及び上昇位置にある後面扉10の下降移動が規制される。一方、把手15の施開錠用レバーが握り込まれると、ロッド16が車幅方向内側に後退移動することによってロッド16と受け部との係合状態が解かれ、後面扉10の昇降移動が許容される。
【0023】
なお、把手15には、施開錠用レバーを常時握り込んだ状態、すなわちラッチ錠を常時開錠した状態で固定するためのレバー操作規制ピン(図示省略)が設けられており、通常使用時には、レバー操作規制ピンを装着しておくことによって、ラッチ錠が常時開錠された状態(後面扉10の昇降移動が許容された状態)となっている。一方、例えば、後面扉10を自動で昇降移動させるための駆動機構Sが故障等し、後面扉10を自動で昇降移動させることができなくなったときには、上記のレバー操作規制ピンを把手15から離脱させ、施開錠用レバーの操作を可能にする。これにより、駆動機構Sが故障等したときにも後面扉10を手動で昇降移動させることが、また、後面扉10を上昇位置あるいは下降位置で確実に静止させることが可能となる。
【0024】
図4(a)(b)に示すように、分割扉11(11A〜11C)の車幅方向両端部には、ガイドレール6の車幅方向外側に配置される折り返し部11aが設けられている。このような折り返し部11aを設けておくことにより、ガイドレール6のレール部(ローラ転送面)への雨水や異物侵入が可及的に防止され、後面扉10の円滑な昇降移動が担保されるようになっている。また、ガイドレール6には断面L字状の補強部6aが設けられている。このような補強部6aを設けておけば、塵芥投入箱1内に投入された塵芥がガイドレール6に接触等することによってガイドレール6のローラ転走面が変形等し、その結果、後面扉10が円滑に昇降移動することができなくなるような事態が生じるのを可及的に防止するようにしている。
【0025】
このように、後面下部に開口した塵芥投入口7を閉塞又は開放するために設けられた後面扉10が、その移動方向に連設された複数枚の分割扉11を有し、隣接する分割扉11,11が相対回転可能に連結されたものであれば、後面扉10が任意に変形可能となるので、ガイドレール6や上部カバー5に形状変更が施された場合にも、後面扉10をガイドレール6に沿って変形させながら、円滑に昇降移動させることができる。そのため、ガイドレール6や上部カバー5等、塵芥投入箱1のその他構成部材の設計自由度を高めることができ、ひいてはこれらの部材を後面扉10の形状(断面形状)に応じて専用設計する必要がなくなる。従って、各種構成部材の共用化を図ることができる他、各種構成部材の組み合わせ自由度が高まり、塵芥投入箱1のコスト低減を図ることができる。また、後面扉10の互換性が高まり、既存の塵芥投入箱1にも容易に取り付けることができる。
【0026】
また、後面扉10が、複数枚の分割扉11を相対回転可能に連結したものであれば、仮に後面扉10の一部が大きく変形等した場合でも、この変形が生じた分割扉11を交換すれば補修を完了することができる。そのため、一枚のパネル状部材で後面扉を構成していた従来構成に比べ、後面扉10のメンテナンスに要する手間や費用を軽減することができるという利点もある。
【0027】
以下、駆動機構Sの構成について詳述する。
【0028】
塵芥投入箱1の天板4の後端部(塵芥投入箱1の天井面)には、車幅方向に延びるアングル4aが設けられ、このアングル4aに、後面扉10を下降位置と上昇位置の二位置間で自動的に昇降移動させるための駆動機構Sの一端が取り付け固定されている。駆動機構Sは、
図5(b)及び
図6(b)に示すように、塵芥投入箱1の車幅方向中央部に配置され、車体前後方向で伸縮自在の伸縮機構としてのリンク機構30と、リンク機構30を伸縮させる油圧シリンダ40とを備える。
【0029】
リンク機構30は、逆V字状に連結された一対の第1リンク部材31,31と、X字状に連結された一対の第2リンク部材32,32と、V字状に連結された一対の第3リンク部材33,33とを備え、第1リンク部材31の下端部(後端部)と第2リンク部材32の上端部(前端部)とを相対回転可能に連結すると共に、第2リンク部材32の下端部(後端部)と第3リンク部材33の上端部(前端部)とを相対回転可能に連結することによって構成された、いわゆるパンタグラフ式のリンク機構30である。このリンク機構30の一端(第1リンク部材31,31同士の連結部)は、アングル4aの長手方向中央部(塵芥投入箱1の天井面の車幅方向中央部)に回転可能に連結され、リンク機構30の他端(第3リンク部材33同士の連結部)は、連結部材38を介して後面扉10の車幅方向中央部に回転可能に連結されている。本実施形態では、リンク機構30の他端が、連結部材38を介して、第1分割扉11Aと第2分割扉11Bを相対回転可能に連結してなる連結軸13に対して回転可能に連結されている(
図1及び
図2を参照)。なお、リンク機構30の他端の後面扉10に対する車体上下方向における連結位置は、適宜変更することができる。例えば、第2分割扉11Bと第3分割扉11Cを相対回転可能に連結した連結軸13に対して連結しても良いし、何れかの分割扉11の裏面に連結してもよい。
【0030】
リンク機構30の下側には、
図5(a)及び
図6(a)にも示すように、リンク機構30の伸縮動作(伸縮変形)を案内する案内機構50が設けられる。案内機構50は、リンク部材31〜33(リンク部材31〜33の伸縮軌道)と平行に配置され、各リンク部材同士の連結部を通る線分(塵芥投入箱1の中心線)に沿って延びるリニアガイドレール51と、リニアガイドレール51に摺動自在に嵌合したスライドブロック52とを備えるものであり、スライドブロック52は、第2リンク部材32,32同士の連結部34及び第3リンク部材33,33同士の連結部35に取り付け固定されている。
【0031】
油圧シリンダ40は、伸縮自在のシリンダロッドを有するシリンダ部41と、シリンダ部41の油室に作動油を供給するためのポンプ、ポンプ駆動用モータ、種々のバルブなどを内蔵した圧油供給部42とを一体に備えるものであり、その伸縮方向(シリンダロッドの伸縮方向)がリンク機構30の伸縮方向と平行になるように配置されている。本実施形態では、リニアガイドレール51の車幅方向外側に配設され、かつリニアガイドレール51と平行に延びた一対のブラケット43,43に、シリンダロッドの伸縮方向をブラケット43の長手方向に沿わせるようにして油圧シリンダ40,40が夫々固定されている。より詳しくは、各油圧シリンダ40は、シリンダ部41のシリンダチューブがブラケット43に連結され、シリンダ部41のシリンダロッドが、連結部材を介してスライドブロック52(第2リンク部材32,32同士の連結部34に取り付け固定されたスライドブロック52)に連結されている。以上から、油圧シリンダ40のシリンダロッドが伸長した状態では、リンク機構30が
図5に示す短縮状態となり、これとは逆に、油圧シリンダ40のシリンダロッドが短縮した状態では、リンク機構30が
図6に示す伸長状態となる。
【0032】
なお、油圧シリンダ40は、本実施形態のように必ずしも二本用いる必要はなく、一本のみ用いるようにしても構わない。但し、以上と同様の構成において一本の油圧シリンダ40を用いてリンク機構30を伸縮変形させるには、油圧シリンダ40に供給する圧力を、二本の油圧シリンダ40でリンク機構30を伸縮変形させる場合の2倍とする。
【0033】
以上の構成から、油圧シリンダ40のシリンダ部41のシリンダロッドが伸長した状態では、リンク機構30が
図5(a)(b)に示す短縮状態となり、後面扉10が塵芥投入口7を開放させる上昇位置に位置することとなる。一方、油圧シリンダ40のシリンダ部41のシリンダロッドが短縮した状態では、リンク機構30が
図6(a)(b)に示す伸長状態となり、後面扉10が塵芥投入口7を閉塞する下降位置に位置することとなる。従って、油圧シリンダ40の圧油供給部42に対して後面扉10の作動信号が入力されると、油圧シリンダ40のシリンダ部41のシリンダロッド、さらにはこれに連結されたリンク機構30の伸縮動作に連動するようにして、後面扉10は下降位置と上昇位置の二位置間を自動で昇降移動する。なお、後面扉10は、下降位置と上昇位置の間の中立位置においても停止可能である。
【0034】
駆動機構S(油圧シリンダ40)は、塵芥投入箱1の左側板2の下部後端に設けられた操作盤20上の後面扉開閉用スイッチ(図示例ではスナップスイッチ)21を作業者が操作することによって伸縮動作し、これに伴って後面扉10が自動で昇降移動する。周囲への注意喚起を図るべく、後面扉10の昇降移動中には警報ブザーが鳴動する。後面扉10の下端にはコードスイッチ14が設けられており、後面扉10の下側に塵芥や作業者が挟み込まれてコードスイッチ14が押圧された際には、昇降移動中の後面扉10が強制的に上昇移動するようになっている。
【0035】
なお、操作盤20には、塵芥積込装置の作動/停止用ボタン22の他、作動中の塵芥積込装置を緊急停止させるための緊急停止ボタン23がさらに設けられている。作動中の塵芥積込装置の緊急停止は、塵芥投入箱1の右側板2の下部後端に設けられた緊急停止ボタン23、あるいは後面扉10の下方に設けられたバー式緊急停止スイッチ24を操作することによっても実行可能となっている。
【0036】
そして、本発明では、後面扉10を昇降移動させるための機能部品である伸縮機構を、複数のリンク部材を相対回転可能に連結したパンタグラフ式のリンク機構30で構成したことから、伸縮機構、ひいては駆動機構Sをコンパクトな構成としつつも、必要とされる伸縮ストローク(後面扉10の昇降移動量)を確保することができる。また、リンク機構30や油圧シリンダ40(駆動機構S)を塵芥投入箱1の上部中央に配置したので、リンク機構30、さらには駆動機構Sに対して塵芥投入箱1内に投入された塵芥が干渉し難くなる。これにより、従来品に比べて後面扉1の開閉機能が損なわれるような事態が生じ難くなり、塵芥投入箱1の信頼性が向上する。
【0037】
以上で説明した実施形態では、リンク機構30を伸縮させるための油圧シリンダ40を、その伸縮方向がリンク機構30の伸縮方向と平行になるように配置したが、油圧シリンダ40は、
図7(b)に示すように、その伸縮方向がリンク機構30の伸縮方向に対して傾斜するように配置しても良い。詳述すると、
図7に示す実施形態では、リンク機構30よりも車幅方向外側に油圧シリンダ40,40を配置し、各油圧シリンダ40のシリンダ部41の一端(シリンダチューブ)をアングル4aに対して回転可能に連結する一方、シリンダ部41の他端(シリンダロッド)を、パンタグラフ式のリンク機構30を構成する第1リンク部材31と第2リンク部材32の連結部36に対して回転可能に連結することにより、油圧シリンダ40の伸縮方向がリンク機構30の伸縮方向に対して傾斜するようにしている。
【0038】
上記の態様で油圧シリンダ40を配設し、かつリンク機構30に連結したことにより、油圧シリンダ40のシリンダロッドが伸長すると、リンク機構30が伸長状態となって後面扉10が下降位置に位置することとなり、油圧シリンダ40のシリンダロッドが短縮すると、リンク機構30が短縮状態となって後面扉10が上昇位置に位置することとなる。
【0039】
油圧シリンダ40を
図7に示す態様で配置すれば、
図5及び
図6に示す構成を採用する場合に比べ、油圧シリンダ40の配設位置を相対的に上側にシフトさせる(塵芥投入箱1の天井面に近付ける)ことができる分、塵芥投入箱1の内部空間を有効利用することが可能となる他、塵芥投入箱1内に投入された塵芥が油圧シリンダ40に干渉し難くなるという利点がある。また、油圧シリンダ40を固定(保持)するためのブラケット43が不要となるので、駆動機構Sを軽量・コンパクト化することができる。また、
図5及び
図6に示す構成では、案内機構50を構成するスライドブロック52(第2リンク部材32,32同士の連結部34に設けたスライドブロック52)を介して油圧シリンダ40,40のシリンダロッドがリンク機構30に連結されている構成上、リンク機構30を伸縮させるには案内機構50が必須の構成となるが、
図7に示す構成では油圧シリンダ40のシリンダロッドが直接的にリンク機構30に連結されているため、案内機構50を省略することも可能となる。なお、後面扉10が左右一対のガイドレール6に沿って案内移動されることから、案内機構50を省略しても、リンク機構30の伸縮動作性能、ひいては後面扉10の開閉性が低下するような事態は生じ難い。
【0040】
一方、油圧シリンダ40を、
図5や
図6に示すように、その伸縮方向がリンク機構30の伸縮方向と平行になるように配置すれば、
図7に示す構成を採用する場合に比べ、相対的に小型の油圧シリンダ40(伸縮ストロークが小さい油圧シリンダ40)を使用しつつもリンク機構30が有する最大伸縮ストロークを確保することができるという利点がある。また、
図7に示す実施形態では、油圧シリンダ40のシリンダロッドが、第1リンク部材31と第2リンク部材32の連結部36に直接的に連結されているため、リンク機構30が円滑に伸縮動作しないような場合には、連結部36に大きな負荷がかかることとなってリンク機構30の耐久寿命に悪影響が及ぶ可能性があるが、
図5及び
図6に示す構成ではこのような事態を考慮せずとも足りる、という利点がある。
【0041】
以上、本発明の実施形態に係る塵芥投入箱1について説明を行ったが、塵芥投入箱1には本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができる。
【0042】
例えば、以上で説明した実施形態では、後面扉10を、その移動方向に連設された3枚の分割扉11を相対回転可能に連結して構成したが、分割扉11の枚数は、塵芥投入口7の開口寸法等に応じて2枚または4枚以上とすることも可能である。分割扉11の枚数を増加させれば、後面扉10の変形自由度が一層向上する。
【0043】
また、以上で説明した実施形態では、3組のリンク部材(第1リンク部材31,第2リンク部材32及び第3リンク部材33)を回転可能に連結することによってパンタグラフ式のリンク機構30を構成したが、例えば一層大きな伸縮ストローク量が必要となるような場合には、4組以上のリンク部材を回転可能に連結することによってパンタグラフ式のリンク機構30を構成することも可能である。
【0044】
また、以上で説明した塵芥投入箱1では、操作盤20に設けた後面扉開閉用スイッチ21を操作することによって油圧シリンダ40及びリンク機構30が伸縮し、これに連動して後面扉10が自動的に昇降移動(開閉)するように構成したが、後面扉10は、塵芥積込装置を駆動させるための動力取出装置(PTO)を利用することによって自動的に昇降移動するように構成することも可能である。
【0045】
具体的には、塵芥収集車の運転室内に、PTO作動用スイッチと、後面扉10の「自動操作」/「単独操作」の切換用スイッチとを設けておく。そして、塵芥収集車を停車させた後、切換用スイッチを「自動操作」にした状態でPTO作動用スイッチをONにしてPTOを作動させたときには、後面扉10が自動的に上昇移動を開始するように、また、PTO作動用スイッチをOFFにしてPTOを停止させたときには、後面扉10が自動的に下降移動を開始するように構成しておく。このような構成を採用すれば、作業者が降車して塵芥投入箱1の後面側に移動するまでの間に、塵芥投入箱1の後面扉10を上昇位置に移動させることが、すなわち塵芥投入口7を開放させることができるので、塵芥収集(積込)作業を迅速に開始することができて作業効率が向上する。また、塵芥積込作業が終了した段階でPTOを停止させれば、塵芥投入箱1の後面扉10を下降位置に自動的に移動させることができるので、塵芥収集作業を迅速に終了(塵芥収集車の停車時間を短縮)することができ、この点からも作業効率が向上する。なお、切換用スイッチを「自動操作」にした状態では、操作盤20の後面扉開閉用スイッチ21を操作しても、後面扉10が作動しないように構成しておく。
【0046】
この場合においても、後面扉10の自動開閉時には、周囲への注意喚起を図るべく警報ブザーが鳴動するように構成する。但し、このような安全対策を施しているとは言っても、作業者が塵芥投入箱1の塵芥投入口7付近に居ない状態で後面扉10が自動開閉したのでは、塵芥投入箱1への巻き込まれ事故の発生確率が高くなる。従って、人の往来が激しい地域等で塵芥収集作業を行う場合には、運転席に設けた切換用スイッチを「自動操作」から「単独操作」に切り換え、操作盤20に設けられた後面扉開閉用スイッチ21の操作のみによって後面扉10が自動開閉するようにする。