(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に連通する内レールと外レールで仕切られた発射案内通路と、ハンマの打撃によって遊技球を発射する発射装置と、遊技球を前記発射装置の近傍の発射待機位置に保持する球保持部とを備え、前記発射装置が前記球保持部に保持された遊技球を前記発射案内通路を通り前記遊技領域に向けて発射するパチンコ機において、
前記球保持部と前記発射案内通路との間に画成された空間の上部にアクチュエータを配設すると共に、このアクチュエータの動きを検出可能な検出手段を設け、前記アクチュエータは前記球保持部から前記内レールの円弧に引いた接線に対して出没可能な作動部を有し、
糸の付いた遊技球が前記発射案内通路を通って前記遊技領域に打ち出されたとき、前記接線上を通る前記糸の張力によって前記作動部が前記接線と重なる位置まで持ち上げられるようにしたことを特徴とするパチンコ機。
請求項1の記載において、前記検出手段が前記アクチュエータの動作時間を検出可能な検知素子からなり、この検知素子によって検出された前記アクチュエータの動作時間が所定時間を越えたときに報知手段を作動させるようにしたことを特徴とするパチンコ機。
【背景技術】
【0002】
一般的にパチンコ機は、機器本体の前面に設けられた貯留皿から供給される遊技球を発射装置によって遊技盤の遊技領域に向けて打ち出し、この遊技球が遊技領域に設けられた入賞口(始動入賞口や一般入賞口)に入ると、所定数の遊技球が賞球として貯留皿に払い出されるようになっている。遊技盤には、発射装置から発射された遊技球を遊技領域の上部側に案内する外レールと、遊技領域の周壁の大部分を規定する内レールとが設けられており、これら外レールと内レールとで挟まれた空間部分が発射案内通路となっている。発射装置は貯留皿の近傍に設けられた発射ハンドルの回動操作によって駆動され、発射装置の側方には発射案内通路に向かって傾斜する発射レールが設けられている。この発射レールには貯留皿から供給される遊技球を保持する発射待機位置が形成されており、発射案内通路と発射レールとの間にはレール欠落部が形成されている。
【0003】
そして、遊技者によって発射ハンドルが任意角度に回動操作されると、貯留皿から発射レール上の発射待機位置に供給された遊技球が発射装置によって打撃されるため、この遊技球がレール欠落部を飛び越えて発射案内通路から遊技領域へと向かう。その際、発射時の勢いが不十分で遊技領域まで到達できなかった遊技球は、発射案内通路を逆走してレール欠落部に落下した後、ファール球として貯留皿に戻される。一方、十分に勢いのある遊技球は、発射案内通路を通過して遊技領域内に進入し、この遊技球が遊技領域を落下して入賞口に入ると、前述したように、所定数の遊技球が賞球として貯留皿に払い出される。ここで、入賞口の内部には近接スイッチ等の検知センサが配置されており、通常、この検知センサは1つの入賞口に対して1つ配置されている。検知センサは遊技球の通過によってオン/オフの切換動作し、入賞口に入った遊技球が検知センサを通過することにより、入賞口の種類(始動入賞口や一般入賞口)に応じて予め設定された数の遊技球が賞球として貯留皿に払い出されるようになっている。
【0004】
従来より、このようなパチンコ機におけるゴト行為として、機器本体の隙間から遊技領域にピアノ線等を挿入し、このピアノ線を用いて恰も遊技球が入ったかのように検知センサを誤動作させることで、賞球を不正に獲得するといった不正行為が問題となっている。そこで、1つの入賞口の内部に2つの検知センサを上下方向に積層配置し、これら2つの検知センサによる遊技球の検知が上側から下側にかけて所定時間内で順番に行われたときだけ、遊技球が入賞口に正規に入ったものと認識する遊技球通過認識手段を有するパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる遊技球通過認識手段を備えたパチンコ機によれば、不正行為を働こうとする者が機器本体の隙間から遊技領域にピアノ線を挿入し、このピアノ線を用いて入賞口内の検知センサを刺激しようとしても、通常は、上下2つの検知センサの片方だけを刺激することになるため、遊技球が入賞口に正規に入ったものと判断されず、遊技球が不正に払い出されることはない。また、仮にピアノ線を用いて入賞口内の2つの検知センサを刺激することができたとしても、実際に遊技球が入賞口に入ったかのように、2つの検知センサが上側から下側にかけて所定時間内で順番に検知信号を出力することは極めて困難であるため、ピアノ線を用いた不正行為を防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技球を不正に搾取するゴト行為の手口は日を追うごとに巧妙になってきており、例えば、遊技球に透明な釣り糸等を接着した糸付き球を遊技領域に打ち出し、この糸付き球を外部から往復操作して入賞口に出し入れすることで、恰も遊技球が入ったかのような状態を作り出して賞球を獲得する糸ゴトと呼ばれる不正行為が行われている。かかる糸ゴト行為は糸の付いた遊技球を入賞口に入れて検知センサで検出させるというものであり、糸を巧みに操作して糸付き球を入賞口の内部に導くことにより、正規の遊技球と同じような挙動を実現することできるため、特許文献1に開示された従来のパチンコ機では、このような糸ゴト行為を防止することはできなかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、糸付き球を用いた不正行為を確実に防止できるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に連通する内レールと外レールで仕切られた発射案内通路と、ハンマの打撃によって遊技球を発射する発射装置と、遊技球を前記発射装置の近傍の発射待機位置に保持する球保持部とを備え、前記発射装置が前記球保持部に保持された遊技球を前記発射案内通路を通り前記遊技領域に向けて発射するパチンコ機において、前記球保持部と前記発射案内通路
との間に画成された空間の上部にアクチュエータを配設すると共に、このアクチュエータの動きを検出可能な検出手段を設け、
前記アクチュエータは前記球保持部から前記内レールの円弧に
引いた接線に対して出没可能な作動部を有し、糸の付いた遊技球が前記発射案内通路を通って前記遊技領域に打ち出されたとき、前記接線上を通る前記糸の張力によって前記作動部が前記接線と重なる位置まで持ち上げられるようにした。
【0009】
このように構成されたパチンコ機では、糸の付いた遊技球(糸付き球)を貯留皿から発射待機位置に供給して発射装置のハンマで打撃すると、この遊技球は糸を付けたまま内レールと外レールで仕切られた発射案内通路を通って遊技領域へと打ち出され、糸は発射待機位置と内レールの外周面との間に規定される一定のルートを通った後、発射案内通路の上端を経て遊技球と共に遊技領域へと至る。すなわち、発射待機位置の球保持部から内レールの外周面(円弧)に接線を引いたとき、遊技球に付けられた糸は必ずこの接線を通ってから遊技領域へ至ることになるため、接線上を通る糸の張力によってアクチュエータ
の作動部を接線と重なる位置まで持ち上げることができる。したがって、このアクチュエータの動きをスイッチ等の検出手段で検知すれば、発射装置から発射された遊技球が正規球か糸付き球であるか否かを判定することができるため、その判定結果に基づいて不正が発生したことをホールコンピュータや周囲に報知すれば、糸付き球を用いた不正行為を確実に防止することができる。
【0010】
上記の構成において、検出手段はアクチュエータの動きを検知できるものであれば何でも良いが、検出手段がアクチュエータの動作時間を検出可能なプッシュスイッチ等の検知素子からなり、この検知素子によって検出されたアクチュエータの動作時間が所定時間を越えたときに、不正が発生したことを知らせる報知手段を作動させるようにすると好ましい。このような構成を採用すると、報知手段は糸付き球を用いて不正行為が行われたときにだけ作動し、それ以外のとき、例えば発射装置から発射された正規の遊技球が誤ってアクチュエータに接触し、それによってアクチュエータが瞬間的に動作した場合は作動しないため、アクチュエータの誤動作に起因する報知エラーをなくすことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパチンコ機では、糸の付いた遊技球が遊技領域に向けて発射されると、その糸が発射待機位置と内レールの外周面との間の決まったルートを通ることによってアクチュエータを動作させるため、このアクチュエータの動きを検出手段で検知すれば、発射装置から発射された遊技球が正規球か糸付き球であるか否かを判定することができる。したがって、検出手段の検知結果に基づいて不正が発生したことを報知することにより、糸付き球を用いた不正行為を確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、
図1に示すように、本実施形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス扉3等を備えており、ガラス扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5aと下側軸受け体5bが固着されており、この下側軸受け体5bよりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示せず)が設けられており、これら両第1ピンが対応する上下の軸受け体5a,5bに軸支されることにより、本体枠2は機枠1に対して開閉自在となっている。
【0015】
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はその盤面に遊技領域8を有しており、遊技領域8はガラス扉3の透明板4を透して外部から目視可能となっている。遊技領域8はガイドレール9と規制レール10によって略円形状に区画形成されており、この遊技領域8内を後述する発射装置23によって打ち出された遊技球が流下する。また、遊技領域8内には、センター役物装置と呼ばれる可変表示装置24と、一対の始動入賞口25,26と、複数の一般入賞口27と、通過ゲートであるスルーチャッカー28と、大入賞口を有するアタッカー装置29等が設けられており、図示せぬが、これら始動入賞口25,26と一般入賞口27および大入賞口の内部には遊技球の通過を検知するための検知センサが設けられている。
【0016】
遊技領域8内に設けられた上記各部材について簡単に説明すると、可変表示装置24の下側にはステージ30が設けられており、一対の始動入賞口25,26はステージ30の真下位置に上下2段に積層状態で配置されている。上段側の始動入賞口25は可動片を持たない非作動式の入賞口であるが、下段側の始動入賞口26は一対の可動片を有する作動式(電動チューリップ構造)の入賞口となっている。そして、これら始動入賞口25,26のいずれか一方に遊技球が入ると、それを契機として特別図柄表示の電子抽選が行われ、可変表示装置24の表示画面上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、スルーチャッカー28を遊技球が通過したことを契機として普通図柄表示の電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に始動入賞口26の可動片を一時的に開放して遊技球の入球を許可するようになっている。
【0017】
アタッカー装置29は、始動入賞口25,26に遊技球が入ることを契機に行われる特別図柄表示の電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄表示の抽選結果が当たりの場合、可変表示装置24の表示画面上で演出用図柄の変動停止を例えば「777」のように特別図柄で停止させると共に、アタッカー装置29が複数回繰り返し開放動作して内部の大入賞口を露呈させる。アタッカー装置29は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入るまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たりが終了する。なお、始動入賞口25,26に遊技球が入ると、特別図柄表示の抽選結果が行われると共に、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出されるが、一般入賞口27に遊技球が入った場合には所定個数の遊技球の払い出しのみが行われる。そして、いずれの始動入賞口25,26や一般入賞口27にも入らなかった遊技球は、遊技領域8の最下端部に設けられたアウト口31から遊技盤7の裏面側に排出されるようになっている。
【0018】
遊技盤7よりも下方の本体枠2はガラス扉3の下部によって覆い隠される設置部2aとなっており、この設置部2a内の下部中央には遊技球を遊技領域8に向けて発射する発射装置23が配設されている。この発射装置23は遊技球を打撃するハンマ23aを有し、ハンマ23aはロータリソレノイド等を駆動源として回転動作(揺動)される。また、本体枠2の右側枠部にはシリンダ錠11aを有する施錠装置11が設置されており、図示省略されているが、この施錠装置11は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えている。常態では、施錠装置11の後部施錠杆によって機枠1に対して本体枠2が施錠されると共に、前部施錠杆によって本体枠2に対してガラス扉3が施錠されている。そして、シリンダ錠11aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が上動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動してガラス扉3が開錠されるようになっている。
【0019】
ガラス扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示せず)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の上下の軸孔(図示せず)に挿入することにより、ガラス扉3は本体枠2に対して開閉自在となっている。
図1に戻り、ガラス扉3には遊技盤7の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。ガラス扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、ガラス扉3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦15とが設けられており、上段受皿12の右側方には発射装置23の発射強度を調整するための操作ハンドル16が配設されている。
【0020】
図3に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御処理部17と、主制御処理部17からの指令を受けて可変表示装置やスピーカ等の各種装置を制御する副制御処理部18と、上段受皿13に対して所定数の遊技球を賞球として払い出す賞球払出装置19と、主制御処理部17からの指令を受けて賞球払出装置19を制御する払出制御処理部20と、操作ハンドル16の回動操作量に応じて発射装置23の作動を制御する発射制御処理部21と、賞球数や大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板22等が設けられている。主制御処理部17は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装された制御基板(メイン基板)とを備えており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
【0021】
図4に示すように、遊技盤7の遊技領域8よりも左側には、発射装置23から発射された遊技球を遊技領域8の上部側に案内する外レール32と、規制レール10の外周面に沿って延びる内レール33とが設けられており、これら外レール32と内レール33とで挟まれた空間部分が発射案内通路34となっている。なお、
図4において、遊技領域8内に設けられた可変表示装置24や始動入賞口25,26等は図示省略されている。外レール32はアウト口31から離れた左側位置から遊技盤7の左側端および上端部を経て円弧状に配置されており、外レール32の上端側はガイドレール9に連続している。内レール33はアウト口31のやや左側位置から遊技盤7の上端部にかけて円弧状に配置されており、発射案内通路34の上端部には遊技領域8から遊技球が戻るのを阻止する球戻り防止片35が設けられている。
【0022】
また、遊技盤7よりも下方の設置部2aには球保持部としての発射レール36が設けられており、この発射レール36は発射装置23の斜め上方に位置している。
図5,6に示すように、発射レール36は発射案内通路34に向かって上り勾配で傾斜する傾斜面36aを有し、この傾斜面36aの右端の最下部に発射待機位置36bが設けられている。発射待機位置36bの近傍には2点鎖線で示す供給口37aが配置されており、この供給口37aは上段受皿13に連設されてガラス扉3の裏面側に突出する整流器37の出口である(
図2参照)。すなわち、上段受皿13に貯留された遊技球は整流器37で一列に整流された状態で供給口37aから発射待機位置36bへ1個ずつ供給され、この発射待機位置36bに保持された遊技球が発射装置23のハンマ23aの打撃によって発射案内通路34の方向へ発射されるようになっている。
【0023】
発射レール36から発射案内通路34に至る空間Sの上部には、後述する糸付き球によって動作されるアクチュエータ38と、このアクチュエータ38の動きを検出する検出手段であるプッシュスイッチ39とが配置されている。また、この空間Sの下部にはファール球回収通路40が設けられており、ファール球回収通路40の最下部には下段受皿14からガラス扉3の裏面側に突出する球回収部14a(
図2参照)が位置している。アクチュエータ38は本体枠2の設置部2aに回転可能に軸支されており、図示せぬ捩りコイルばね等によって反時計回り方向へ付勢されている。アクチュエータ38の先端側には円弧状の作動部38aが形成されており、この作動部38aの上端はプッシュスイッチ39の駆動板39aに当接している。プッシュスイッチ39は図示せぬ可動接点と固定接点およびステム等を有する公知のデバイスであり、常態では可動接点が固定接点から離反することでオフ状態を維持しているが、アクチュエータ38の回転に伴って駆動板39aがステムを押圧すると、可動接点が固定接点に接触してオフからオン状態へと切り替わるようになっている。
図5に示すように、遊技球Bを発射待機位置36bに供給する供給口37aの左上隅部から内レール33の外周面の円弧に接線Mを引いたとき、通常、アクチュエータ38の作動部38aの下端部は接線Mを越えて下方へ若干量だけ突出しており、プッシュスイッチ39はオフ状態を維持している。そして、この状態で発射待機位置36bに供給された遊技球Bがハンマ23aによって打撃されると、この遊技球Bは作動部38aのかなり下方を通って発射案内通路34内に入った後、球戻り防止片35を通過して遊技領域8内に進入する。
【0024】
このように構成されたパチンコ機Pにおいて、遊技者が操作ハンドル16を回動操作すると、上段受皿13に貯留された遊技球が供給口37aから発射レール36へ1個ずつ供給されて発射待機位置36bに保持され、それと同期して発射装置23が作動してハンマ23aを操作ハンドル16の操作量に応じた強さで発射方向へ揺動させるため、発射待機位置36bに保持された遊技球がハンマ23aの打撃によって発射案内通路34の方向へ順次発射される。その際、発射時の勢いが不十分で発射案内通路34を通過して遊技領域8まで到達できなかった遊技球B1は、
図5の破線で示すように、発射案内通路34を逆走して空間Sに落下した後、ファール球回収通路40から球回収部14aを通って下段受皿14にファール球として戻される。一方、発射時に十分に勢いのある遊技球Bは、
図5の実線で示すように、発射レール36を飛び越えて発射案内通路34に入った後、発射案内通路34の上端に配置された球戻り防止片35を通過して遊技領域8内に進入する。前述したように、このようにして遊技領域8内に進入した遊技球Bが始動入賞口25,26に入ると、特別図柄表示の抽選結果が行われると共に、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。また、遊技領域8内を流下する遊技球Bが一般入賞口27に入ると所定個数の遊技球の払い出しのみが行われ、いずれの始動入賞口25,26や一般入賞口27にも入らなかった遊技球Bはアウト口31から遊技盤7の裏面側に排出される。
【0025】
ここで、発射待機位置36bにある遊技球Bがハンマ23aによって打撃されたとき、
図5に示すように、この遊技球Bは発射レール36の傾斜面36aにガイドされながら前記接線Mのかなり下方を通るため、遊技球Bはアクチュエータ38の作動部38aに衝突することなく発射案内通路34に到達し、プッシュスイッチ39はオフ状態を維持する。これに対し、不正行為をしようとする者が遊技球に糸41を接着・固定し、かかる糸付き球を上段受皿13から発射待機位置36bに供給して発射装置23のハンマ23aで打撃した場合、
図6に示すように、この遊技球は糸41を付けたまま発射案内通路34を通って遊技領域8内に進入するが、糸41は発射待機位置36bと内レール33の外周面との間に規定される一定のルート(接線M)を通った後、内レール33の外周面から発射案内通路34の上端部を経て遊技球と共に遊技領域8へと至る。すなわち、遊技球は上段受皿13から供給口37aを通って発射レール36の発射待機位置36bへと供給された後、ハンマ23aの打撃によって発射案内通路34へ向けて発射されるようになっており、遊技球に付けられた糸41は、必ず接線M(供給口37aの左上隅から内レール33の外周面に下した直線)を通ってから遊技領域8へ至ることになる。その結果、この糸41の張力によってアクチュエータ38の作動部38aが接線Mと重なる位置まで持ち上げられ、それに伴ってアクチュエータ38が時計回り方向へ回転して駆動板39aを押圧するため、プッシュスイッチ39がオフからオン状態へと切り替わる。そして、遊技球に付けられた糸41がアクチュエータ38を動作し続ける間、プッシュスイッチ39はオン状態を維持するため、このプッシュスイッチ39の出力(オン/オフ信号)に基づいて、発射された遊技球が正規球か糸付き球であるか否かという不正行為を判定することができる。
【0026】
図7はかかる不正行為の判定処理を実行するためのフローチャートであり、同図に示すように、ステップS−1において、プッシュスイッチ39の出力信号がオフからオンへ切り替わると、次なるステップS−2でプッシュスイッチ39のオン信号の継続時間が判定される。ステップS−2において、プッシュスイッチ39が所定時間T(例えば3秒)を継続してオン信号を出力した場合は、糸付き球を使用した不正行為が行われたものと判定し、ステップS−3で外部のホールコンピュータ等に不正検知信号が送信される。そして、この不正検知信号に基づいて、例えば、不正行為が行われたことを警告音や表示手段を用いて周囲に報知したり、当該パチンコ機Pでの遊技を強制的に終了させることにより、糸付き球を用いた不正行為を確実に防止することができる。一方、ステップS−2において、プッシュスイッチ39が所定時間Tを越えて継続的にオン信号を出力しなかった場合は、ステップS−4で不正行為でないと見なす無効判定をし、プッシュスイッチ39がオン動作しても不正検知信号を送信しない。すなわち、糸付き球でない正規の遊技球が発射待機位置36bから発射されたときに、何らかの理由で遊技球が本来の軌道から外れて作動部38aに接触し、それによってアクチュエータ38が誤動作してプッシュスイッチ39をオン動作させてしまったとしても、この場合、プッシュスイッチ39のオン動作は瞬間的であるため、遊技の進行を妨げるような不正行為の報知は行わない。
【0027】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機Pは、不正行為をしようとする者が遊技球に糸41を接着・固定し、この糸付き球を上段受皿13から発射待機位置36bに供給して発射装置23のハンマ23aで打撃すると、遊技球は外レール32と内レール33で仕切られた発射案内通路34を通って遊技領域8へと打ち出され、遊技球に付けられた糸41は発射待機位置36bと内レール33の外周面との間に規定される一定のルート(接線M)を通った後、内レール33の外周面から発射案内通路34の上端部を経て遊技球と共に遊技領域8へと至ることになる。その結果、この糸41の張力によってアクチュエータ38の作動部38aが接線Mと重なる位置まで持ち上げられ、それに伴ってアクチュエータ38が時計回り方向へ回転して駆動板39aを押圧するため、プッシュスイッチ39がオフからオン状態へと切り替わる。そして、遊技球に付けられた糸41がアクチュエータ38を動作し続ける間、プッシュスイッチ39はオン状態を維持するため、このプッシュスイッチ39の出力(オン/オフ信号)に基づいて、発射された遊技球が正規球か糸付き球であるか否かを判定することができ、その判定結果に基づいて不正が発生したことをホールコンピュータや周囲に報知すれば、糸付き球を用いた不正行為を確実に防止することができる。
【0028】
また、本実施形態例では、アクチュエータ38の動きを検知する検出手段としてプッシュスイッチ39を用い、このプッシュスイッチ39のオン動作が継続的に所定時間Tを越えたときだけ、外部に不正検知信号を送信して不正行為が行われことを報知するようにしたので、発射装置23から発射された正規の遊技球が誤ってアクチュエータ38に接触し、それによってアクチュエータ38が瞬間的に動作したとしても不正行為として報知せず、アクチュエータ38の誤動作に起因する報知エラーをなくすことができる。
【0029】
なお、上記実施形態例では、プッシュスイッチ39のオン/オフ信号に基づいてアクチュエータ38の動きを検出するようにしているが、光学式センサや磁気式センサ等の他の検出手段を用いてアクチュエータ38の動きを検出するようにしても良い。また、プッシュスイッチ39のオン動作時間が所定時間Tを越えたときだけ不正行為として報知するようにしているが、プッシュスイッチ39や光学式センサ等の検出手段がオン/オフの切替信号を出力したとき、その出力信号の動作時間に拘わらず不正行為として報知するようにしても良い。