特許第5792541号(P5792541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792541
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】算数教習具
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   G09B19/02 E
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-159970(P2011-159970)
(22)【出願日】2011年7月21日
(65)【公開番号】特開2013-25100(P2013-25100A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154613
【氏名又は名称】株式会社文溪堂
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 龍雅
【審査官】 鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4637274(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定の方向に沿って配列される複数個のブロックが載置される載置部を有するブロック皿と、
前記規定の方向に沿って延びる長板状の本体部と、前記載置部に載置した前記各ブロックを挟んで前記本体部が対向して当該各ブロックの全部または一部を覆い隠すことを可能に前記ブロック皿が前記規定の方向に摺動可能に装着される第1の態様と、前記載置部を挟んで前記載置部に載置した前記各ブロックの反対側に前記本体部が位置し当該各ブロックが露出した状態で前記ブロック皿が前記規定の方向に摺動可能に装着される第2の態様とのいずれの状態でも、該ブロック皿を支持する支持部とを有するケース部材と、
を備え、
前記支持部は、前記第2の態様で前記ケース部材に装着される一のブロック皿を支持する場合において、該一のブロック皿の前記規定の方向における一端が前記本体部の前記規定の方向における中途位置に位置するときには、前記第2の態様で前記ケース部材に装着される他のブロック皿を、その長手方向が前記規定の方向と一致するように支持可能に構成されていることを特徴とする算数教習具。
【請求項2】
前記ケース部材の前記本体部の前記規定の方向における一端には、当該ケース部材に前記第1の態様で前記ブロック皿が装着された場合に前記載置部に載置された前記ブロックに当接可能な当接部が突設され、
前記ケース部材は、該ケース部材に前記第2の態様で前記ブロック皿が装着された場合に前記本体部と前記載置部との間に隙間が介在するように構成されており、
前記当接部は、その高さ寸法が前記本体部と前記載置部が並ぶ方向における前記隙間の長さ寸法未満となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の算数教習具。
【請求項3】
前記本体部の幅方向における両側には、前記規定の方向に延びるケース側壁部がそれぞれ設けられ、該ケース側壁部に、前記支持部が設けられており、
前記支持部は、
前記ケース部材に装着された前記ブロック皿が前記規定の方向に沿ってスライド移動されるように構成されると共に、
前記第2の態様で前記ケース部材に装着された前記ブロック皿を支持する場合にはその前記載置部と前記本体部との間に前記隙間が介在するような位置に配置されており、
前記ケース部材の前記規定の方向における両端は、前記第2の態様での前記ケース部材への前記ブロック皿の装着を許容するためにそれぞれ開口していることを特徴とする請求項2に記載の算数教習具。
【請求項4】
前記ケース部材は、前記第2の態様で該ケース部材に前記ブロック皿が装着された場合に、該ブロック皿の前記載置部に載置される前記ブロックが使用者によって操作されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の算数教習具。
【請求項5】
前記載置部の幅方向における両側には、前記規定の方向に延びる皿側壁部がそれぞれ設けられ、
前記各皿側壁部の前記規定の方向における一端には、外方に突出する凸部がそれぞれ形成され、
前記ケース側壁部の前記規定の方向における両端には、前記皿側壁部に設けられた前記凸部が係止される係止用切欠部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3に記載の算数教習具。
【請求項6】
前記載置部の前記規定の方向における一端には、該載置部に載置された前記ブロックの外部への突出を規制するための規制壁が設けられる一方、
前記載置部の前記規定の方向における他端は、開放されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の算数教習具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小学校などでの算数の学習で教材として利用される算数教習具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の算数教習具として、例えば特許文献1に記載の教習具が提案されている。この算数教習具は、複数個(例えば、10個)のブロックが規定の方向に沿って配列されるブロック皿と、各ブロックを覆い隠すようにブロック皿が装着されるケース部材とを備えている。そして、ケース部材の長手方向における一端から該ケース部材に挿入されたブロック皿は、ケース部材に対して、各ブロックが配列される方向(規定の方向)にスライド移動可能となっている。
【0003】
ここで、上記算数教習具を用いた算数の学習の一例を説明する。なお、ブロック皿には、「10個」のブロックが規定の方向に沿って配列されているものとする。
図9に示すように、ケース部材を規定の方向(図9では上下方向)における一方(図9では上側)にスライド移動させると、「2個」のブロック100が視認可能となる。そして、この状態で、ブロック皿101に配列される「10個」のブロック100のうち、ケース部材102によって隠されているブロック100の数が何個(この場合、8個)であるかを生徒に考えさせていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−114609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、小学校の算数では、「9」と「4」とを足し合わせるなどの繰り上がり(「桁上がり」ともいう。)のある足し算の学習、及び「13」から「7」を引くなどの繰り下がり(「桁下がり」ともいう。)のある引き算の学習が行われている。こうした足し算及び引き算の学習では、生徒の理解力の向上を補助する上で複数個のブロック100を一方向に並べさせて生徒に考えさせることが好ましい。
【0006】
しかしながら、上記算数教習具では、最大で「10個」までしかブロック100を規定の方向に配列させることができない。そのため、繰り上がりのある足し算の学習及び繰り下がりのある引き算の学習では使用しにくかった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。その目的は、繰り上がりのある足し算の学習及び繰り下がりのある引き算の学習を適切に補助することができる算数教習具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の算数教習具は、規定の方向に沿って配列される複数個のブロックが載置される載置部を有するブロック皿と、前記規定の方向に沿って延びる長板状の本体部と、前記載置部に載置した前記各ブロックを挟んで前記本体部が対向して当該各ブロックの全部または一部を覆い隠すことを可能に前記ブロック皿が前記規定の方向に摺動可能に装着される第1の態様と、前記載置部を挟んで前記載置部に載置した前記各ブロックの反対側に前記本体部が位置し当該各ブロックが露出した状態で前記ブロック皿が前記規定の方向に摺動可能に装着される第2の態様とのいずれの状態でも、該ブロック皿を支持する支持部とを有するケース部材と、を備え、前記支持部は、前記第2の態様で前記ケース部材に装着される一のブロック皿を支持する場合において、該一のブロック皿の前記規定の方向における一端が前記本体部の前記規定の方向における中途位置に位置するときには、前記第2の態様で前記ケース部材に装着される他のブロック皿を、その長手方向が前記規定の方向と一致するように支持可能に構成されていることを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、第1の態様でブロック皿がケース部材に装着される場合には、載置部に配列されるM個(2以上の整数)のうち、ケース部材によって何個隠されているかなどの学習を補助することができる。一方、第2の態様でケース部材にブロック皿を装着させると、該ブロック皿は、ケース部材の支持部に支持される。しかも、この支持部は、一のブロック皿を支持した状態で、他のブロック皿をも支持可能である。このように支持部に支持される各ブロック皿は、それらの長手方向が規定の方向と一致している。つまり、第2の態様でケース部材に装着された各ブロック皿は、該ケース部材によって連結される。そのため、規定の方向に配列することのできるブロックの個数が増える。したがって、繰り上がりのある足し算の学習及び繰り下がりのある引き算の学習を適切に補助することができる。
【0010】
本発明の算数教習具において、前記ケース部材の前記本体部の前記規定の方向における一端には、当該ケース部材に前記第1の態様で前記ブロック皿が装着された場合に前記載置部に載置された前記ブロックに当接可能な当接部が突設され、前記ケース部材は、該ケース部材に前記第2の態様で前記ブロック皿が装着された場合に前記本体部と前記載置部との間に隙間が介在するように構成されており、前記当接部は、その高さ寸法が前記本体部と前記載置部が並ぶ方向における前記隙間の長さ寸法未満となるように形成されていることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、第1の態様でブロック皿がケース部材に装着された場合、該ブロック皿の載置部に載置されるブロックが規定の方向における一端側から外部に飛び出すことを、当接部によって規制できる。しかも、第2の態様でブロック皿がケース部材に装着される場合、当接部は、ケース部材へのブロック皿の装着を妨げない。
【0012】
本発明の算数教習具において、前記本体部の幅方向における両側には、前記規定の方向に延びるケース側壁部がそれぞれ設けられ、該ケース側壁部に、前記支持部が設けられており、前記支持部は、前記ケース部材に装着された前記ブロック皿が前記規定の方向に沿ってスライド移動されるように構成されると共に、前記第2の態様で前記ケース部材に装着された前記ブロック皿を支持する場合にはその前記載置部と前記本体部との間に前記隙間が介在するような位置に配置されており、前記ケース部材の前記規定の方向における両端は、前記第2の態様での前記ケース部材への前記ブロック皿の装着を許容するためにそれぞれ開口していることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、第2の態様でブロック皿がケース部材に装着される場合、ケース部材の規定の方向における両端からブロック皿を挿入可能である。そして、ケース部材に挿入されたブロック皿は、該ブロック皿を支持する支持部によってガイドされつつ規定の方向にスライド移動される。
【0014】
本発明の算数教習具において、前記ケース部材は、前記第2の態様で該ケース部材に前記ブロック皿が装着された場合に、該ブロック皿の前記載置部に載置される前記ブロックが使用者によって操作されるように構成されていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、第2の態様でケース部材に装着されたブロック皿の載置部に載置されるブロックを使用者が操作することが可能となる。
本発明の算数教習具において、前記載置部の幅方向における両側には、前記規定の方向に延びる皿側壁部がそれぞれ設けられ、前記各皿側壁部の前記規定の方向における一端には、外方に突出する凸部がそれぞれ形成され、前記ケース側壁部の前記規定の方向における両端には、前記皿側壁部に設けられた前記凸部が係止される係止用切欠部がそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、例えば、ケース部材の規定の方向における一端から挿入されたブロック皿が支持部に支持された状態で規定の方向における他端側までスライド移動した場合に、当該ブロック皿がケース部材の規定の方向における他端から飛び出してしまうことを、凸部及び係止用切欠部によって規制することできる。
【0017】
本発明の算数教習具において、前記載置部の前記規定の方向における一端には、該載置部に載置された前記ブロックの外部への突出を規制するための規制壁が設けられる一方、前記載置部の前記規定の方向における他端は、開放されていることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、第2の態様でケース部材に2つのブロック皿を装着させる場合に、規定の方向における他端同士が対向するように各ブロック皿を配置したとする。すると、一方のブロック皿の載置部に載置されるブロックを、各ブロック皿の境界を乗り越えて他方のブロック皿の載置部にスライド移動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、繰り上がりのある足し算の学習及び繰り下がりのある引き算の学習を適切に補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の算数教習具の一実施形態を示す分解斜視図。
図2】ブロック皿が第1の態様でケース部材に装着された様子を示す斜視図。
図3】ブロック皿が第2の態様でケース部材に装着された様子を示す斜視図。
図4】(a)はブロック皿の斜視図、(b)はブロック皿の側断面図。
図5】ケース部材の斜視図。
図6】(a)はケース部材の側断面図、(b)はケース部材の正面図、(c)はケース部材の背面図。
図7】ブロック皿が第2の態様でケース部材に装着された場合における要部を拡大した斜視図。
図8】(a)はケース部材に2つのブロック皿が第2の態様で装着された様子を示す斜視図、(b)は一方のブロック皿のブロックを他方のブロック皿側にスライド移動させた状態を示す斜視図。
図9】従来の算数教習具を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図8に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の算数教習具11は、規定の方向の一例である前後方向に延びるブロック皿12及びケース部材13と、複数個(本実施形態では10個)のブロック14とを有する複数(例えば、2つ)のブロックセット15を備えている。一つのブロックセット15において、各ブロック14は、ブロック皿12の長手方向(この場合、前後方向)に沿って配列された状態でブロック皿12に載置される。このブロック皿12は、図1及び図2に示すように、該ブロック皿12上で前後方向に配列された各ブロック14が覆い隠される第1の態様でケース部材13に装着可能となっている。また、本実施形態のブロック皿12は、図3に示すように、該ブロック皿12上のブロック14を使用者が操作できる第2の態様でケース部材13に装着可能となっている。
【0022】
図1に示すように、ブロック14は、直方体状をなすブロック本体16と、該ブロック本体16内に収容される図示しない磁石とを備えている。ブロック本体16を上下方向から見た場合の形状は、略正方形状である。
【0023】
次に、ブロック皿12について図4を参照して説明する。なお、ブロック皿12は、透明な樹脂によって構成されている。しかし、図4では、説明理解の便宜上、ブロック皿12を非透明な樹脂によって構成したものとして図示している。
【0024】
図4(a)(b)に示すように、ブロック皿12は、前後方向に延びる長板状の底板部20を備えている。この底板部20の左右方向(規定の方向にほぼ直交する方向であって、幅方向)における長さ寸法、即ち幅寸法は、ブロック14の幅寸法よりも僅かに広い。また、底板部20の前後方向における長さ寸法は、「10個」分のブロック14の幅寸法の合計と同等又は僅かに大きい。
【0025】
底板部20の左右方向における両側には、前後方向に沿って延びる皿側壁部21がそれぞれ設けられている。つまり、ブロック皿12を前後方向と直交する平面で切断した場合の断面形状は略「コ」字状をなしている。各皿側壁部21の上下方向における長さ寸法、即ち皿側壁部21の高さH1は、ブロック14の高さH2の半分程度である。また、各皿側壁部21のうち一方の皿側壁部21の高さH1は、他方の皿側壁部21の高さH1と同等である。そして、各皿側壁部21の前端(規定の方向における一端)21aには、外方に突出する操作つまみ(凸部)22がそれぞれ形成されている。
【0026】
また、底板部20の前端には、左右方向に延びる前壁部(規制壁)23が設けられている。この前壁部23の高さは、各皿側壁部21の高さH1と同等となっている。その一方で、底板部20の後端(規定の方向における他端)には、規制壁が設けられていない。つまり、本実施形態のブロック皿12は、その前端12aからのブロック14の飛び出しを前壁部23によって規制する一方で、その後端12bからのブロック14の飛び出しを規制していない。
【0027】
底板部20の上面には、帯状をなす鉄板などの磁性シート体24が貼付けられている。この磁性シート体24の表面(上面)には、左右方向に延びる複数本(本実施形態では9本)の目印線25が前後方向に沿って一定間隔おきに形成されている。前後方向で互いに隣り合う目印線25同士の間隔は、ブロック14の幅と略同等である。そして、各ブロック14内に設けられた磁石と底板部20上の磁性シート体24との間で作用する吸着力によって、各ブロック14は、磁性シート体24上に載置される(図3参照)。したがって、本実施形態では、磁性シート体24及び底板部20により、前後方向に沿って配列された各ブロック14が載置される載置部26が構成されている。
【0028】
次に、ケース部材13について図5図7を参照して説明する。
図5及び図6(a)に示すように、ケース部材13は、前後方向に延びる長板状の天板部(本体部)30を備えている。この天板部30の前後方向における長さは、ブロック皿12の底板部20の前後方向における長さと同等又は僅かに長い。また、天板部30の左右方向における長さ、即ち幅は、ブロック皿12の底板部20の幅よりも僅かに広い。
【0029】
天板部30の左右方向における両側には、前後方向に沿って延びるケース側壁部31がそれぞれ設けられている。つまり、ケース部材13を前後方向と直交する平面で切断した場合の断面形状は略「コ」字状をなしている。各ケース側壁部31の上下方向における長さ寸法、即ちケース側壁部31の高さ寸法は、ブロック皿12の底板部20の厚みとブロック14の高さH2と足し合わせた寸法よりも大きい。そのため、第1の態様でケース部材13にブロック皿12が装着された場合には、該ブロック皿12上のブロック14と天板部30との接触が回避される。
【0030】
また、各ケース側壁部31の外面の前後方向における中央には、上下方向に延びる目印用の溝部32がそれぞれ形成されている。また、各ケース側壁部31の前端及び後端(規定の方向における両端)には、図5及び図7に示すように、皿側壁部21に設けられた操作つまみ22を係止可能な切欠部(係止用切欠部)33がそれぞれ形成されている。
【0031】
また、図6(a)(b)(c)に示すように、各ケース側壁部31の内面の先端部位(図6では上端部位)には、ケース部材13に装着されたブロック皿12を支持するための支持部34が前後方向に延びるように形成されている。この支持部34は、ケース側壁部31の先端に設けられた前後方向に延びる第1のリブ35と、ケース側壁部31の上下方向における中途位置に位置する前後方向に延びる第2のリブ36とを有している。これら各リブ35,36の間隔(即ち、上下方向における幅)H3は、ブロック皿12の皿側壁部21の高さH1(図4参照)よりも僅かに大きい。つまり、各リブ35,36は、ケース部材13に装着されたブロック皿12の皿側壁部21を上下方向から挟持するようになっている。
【0032】
また、図6(a)(b)に示すように、天板部30の後端(規定の方向における一端)には、左右方向に延びる後壁部(当接部)37が設けられている。この後壁部37の先端(図6(b)では上端)は、第2のリブ36よりも僅かに天板部30に近い位置に位置している。つまり、図6(b)(c)に示すように、後壁部37の上下方向における長さ、即ち後壁部37の高さ寸法H5は、上下方向において第2のリブ36と天板部30との間に形成される隙間38の上下方向における長さ寸法H6よりも僅かに小さい。その結果、皿側壁部21が各リブ35,36によって上下方向から挟持されるブロック皿12と後壁部37との接触は、回避される。その一方で、図6(c)に示すように、天板部30の前端(規定の方向における他端)には、天板部30の後端の後壁部37に相当する壁部が設けられていない。
【0033】
そして、ケース部材13にブロック皿12を第1の態様で装着させる場合、ケース部材13は、その天板部30が上側に位置し、その各ケース側壁部31の先端が下側に位置するように配置される。この状態でケース部材13の前端13bからは、ブロック皿12の後端12bを先頭にして挿入される。このとき、ブロック皿12は、支持部34によって支持される。具体的には、ブロック皿12の皿側壁部21は、上下方向における両側から支持部34を構成する各リブ35,36によって挟持される。そして、ブロック皿12は、各リブ35,36によってガイドされつつ後方にスライド移動される。
【0034】
その後、ブロック皿12の前端12aに設けられた操作つまみ22が、ケース部材13の前端13bに形成された切欠部33に係止されると、ブロック皿12の後方へのスライド移動が規制される(図2参照)。その結果、ブロック皿12は、その磁性シート体24上に載置されるブロック14と共にケース部材13内に収容される。この状態では、ブロック14がケース部材13外に飛び出すことは、ブロック皿12の前端12aに設けられた前壁部23、及びケース部材13の後端13aに設けられた後壁部37によって規制される。なお、この収容状態では、天板部30は、磁性シート体24上に載置されるブロック14を挟んだ状態で底板部20と対向している。
【0035】
その一方で、ブロック皿12の後端12bをケース部材13の後端13aから挿入させようとしても、ブロック皿12をケース部材13に第1の態様で収容できない。これは、磁性シート体24上に載置されたブロック14がケース部材13の後端13aに設けられた後壁部37に接触するためである。
【0036】
また、ケース部材13にブロック皿12を第2の態様で装着させる場合、ケース部材13は、その天板部30が下側に位置し、その各ケース側壁部31の先端が上側に位置するように配置される。この状態のケース部材13の前端13bからは、ブロック皿12の後端12bを先頭にして挿入される。このとき、ブロック皿12の皿側壁部21は、支持部34を構成する各リブ35,36によって上下方向から挟持された状態で支持される。つまり、本実施形態の支持部34は、第1の態様で装着されたブロック皿12だけではなく、第2の態様で装着されたブロック皿12をも支持可能である。これは、各皿側壁部21の高さH1が同一高さであるためである。
【0037】
そして、第2の態様でケース部材13に装着されたブロック皿12は、各リブ35,36によってガイドされつつ後方にスライド移動される。その後、ブロック皿12の前端12aに設けられた操作つまみ22が、ケース部材13の前端13bに形成された切欠部33に係止されると、ブロック皿12の後方へのスライド移動が規制される(図3参照)。この際、天板部30は、底板部20を挟んで磁性シート体24上に載置されるブロック14の反対側に位置している。
【0038】
また、本実施形態では、ケース部材13にブロック皿12を第2の態様で装着させる場合、ケース部材13の後端13aからも、ブロック皿12の後端12bを先頭にして挿入させることが可能となっている。これは、ケース部材13の後端13aに設けられた後壁部37が、該ケース部材13の後端13aからのブロック皿12の挿入を邪魔しないためである。ケース部材13の後端13aからブロック皿12が挿入されると、該ブロック皿12の皿側壁部21は、支持部34によって支持される。そして、ブロック皿12は、支持部34を構成する各リブ35,36によってガイドされつつ前方にスライド移動される。そして、ブロック皿12の操作つまみ22が、ケース部材13の後端13aに形成された切欠部33に係止されると、ブロック皿12の前方へのスライド移動が規制される。
【0039】
つまり、本実施形態では、ケース部材13にブロック皿12を第2の態様で装着させる場合、図8(a)に示すように、ケース部材13には、2つのブロック皿12が挿入可能である。このとき、ケース部材13に装着される2つのブロック皿12は、前後方向(規定の方向)に沿って隣り合っている。より詳しくは、各ブロック皿12は、前壁部23が設けられていない側の端部である後端12b同士が対向するように、ケース部材13にそれぞれ装着される。なお、ケース部材13に2つのブロック皿12を第2の態様で装着させる場合、各ブロック皿12の後端12bは、ケース部材13の前後方向における中途位置に位置することになる。
【0040】
次に、ケース部材13に2つのブロック皿12を第2の態様で装着させた状態で、繰り上がりのある足し算の学習を行う際の操作の一例について、図8(a)(b)を参照して説明する。ここでは、「9」と「4」とを足し合わせるものとする。また、明細書の説明理解の便宜上、図8で示される各ブロック皿12のうち、第1の方向に位置するブロック皿12を「第1のブロック皿12A」といい、第2の方向に位置するブロック皿12を「第2のブロック皿12B」というものとする。
【0041】
さて、「9」と「4」との足し算を行う場合、第1のブロック皿(一のブロック皿)12Aに「9個」のブロック14を配列させると共に、第2のブロック皿(他のブロック皿)12Bに「4個」のブロック14を配列させる。このとき、図8(a)に示すように、第1のブロック皿12A上では「9個」のブロック14を第1の方向側の端部に寄せると共に、第2のブロック皿12B上では「4個」のブロック14を第2の方向側の端部に寄せることが好ましい。
【0042】
そして、各ブロック皿12A,12Bのうち何れか一方のブロック皿の載置部26に載置される各ブロック14が、他方のブロック皿の載置部26に載置される各ブロック14に近づくようにスライド移動される。例えば、第2のブロック皿12Bの載置部26に載置される各ブロック14が、第1のブロック皿12Aの載置部26に載置される各ブロック14に近づくように、即ち第1の方向側にスライド移動される。
【0043】
すると、図8(b)に示すように、「13個」のブロック14は、図8(b)における第1のブロック皿12Aの前端12aから順番に並ぶ。そして、第2のブロック皿12Bの載置部26に載置されていた「4個」のブロック14のうち最も第1のブロック皿12Aに近い位置に位置していたブロック14Aは、各ブロック皿12A,12Bの境界を乗り越えて第1のブロック皿12A側に移動する。
【0044】
この状態で、第1のブロック皿12Aを第2のブロック皿12Bから離間するように相対的にスライド移動させると、第1のブロック皿12Aには、「10個」のブロック14からなるブロック集合体が形成される。一方、第2のブロック皿12Bには、「3個」のブロック14が残っている。そして、本実施形態の算数教習具の使用者(例えば、小学校低学年の生徒)は、第2のブロック皿12Bに残っているブロック14の数を数えることにより、「1」の桁が「3」であることを認識する。また、使用者は、第1のブロック皿12A側にブロック集合体が構成されるため、「9」と「4」とを足し合わせた結果、繰り上がりが発生したことを認識する。こうした2つの認識に基づき、使用者は、「9」と「4」との加算結果が「13」であると認識できる。
【0045】
次に、ケース部材13に2つのブロック皿12を第2の態様で装着させた状態で、繰り下がりのある引き算の学習を行う際の操作の一例について説明する。ここでは、「13」から「5」を引くものとする。
【0046】
さて、「13」から「5」を引く場合、規定の方向に沿って並ぶ各ブロック皿12A,12Bの載置部26上に、「13個」のブロック14が前後方向に沿って配列される。例えば、「13個」のブロック14が、第1のブロック皿12Aの前端12aに寄せた状態で配列される。また、使用者は、「13」の一の桁の値が「3」であることを認識し、「5」を「3」と残りの値(この場合、2)に分解する。
【0047】
そして、使用者は、「13個」のブロック14のうち第2の方向側に位置する「3個」のブロック14を、第2の方向にスライド移動させる。すると、「3個」のブロック14は、第2のブロック皿12Bの後端12bまで移動する。その結果、第2のブロック皿12Bには「3個」のブロック14が載置されるのに対し、第1のブロック皿12Aには「10個」のブロック14が載置された状態になる。
【0048】
続いて、使用者は、第1のブロック皿12A上の「10個」のブロック14のうち、「5」から「3」を引いた値個分(この場合、2個分)のブロック14を、第2のブロック皿12B側にスライド移動させる。こうした「2個」のブロック14は、各ブロック皿12A,12Bの境界を乗り越えて第2のブロック皿12B側に移動する。すると、第1のブロック皿12Aには「8個」のブロック14が残る。そして、使用者は、第1のブロック皿12A上のブロック14の数を数えることにより、「13」から「5」を引くと「8」になることを認識できる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)第1の態様でブロック皿12がケース部材13に装着される場合には、載置部26に配列されるM個(2以上の整数)のうち、ケース部材13によって何個隠されているかなどの学習を補助することができる。一方、第2の態様でケース部材13にブロック皿12を装着させる場合、ケース部材13には、複数のブロック皿12(12A,12B)を装着させることができる。この場合、各ブロック皿12A,12Bを規定の方向で隣り合うように配置でき、ひいては規定の方向に配列することができるブロック14の個数を増やすことができる。したがって、繰り上がりのある足し算の学習及び繰り下がりのある引き算の学習を適切に補助することができる。
【0050】
(2)第1の態様でブロック皿12がケース部材13に装着された場合、該ケース部材13の後端13aに設けた後壁部37によって、ブロック皿12の載置部26に載置されるブロック14がブロック皿12の後端から外部に飛び出すことを規制できる。しかも、第2の態様でブロック皿12がケース部材13に装着される場合、後壁部37は、ケース部材13へのブロック皿12の装着を妨げない。
【0051】
(3)第2の態様でケース部材13にブロック皿12を装着させる場合、ブロック皿12は、ケース部材13の前端13b及び後端13aから挿入可能である。そして、ケース部材13の前端13bから挿入されたブロック皿12を、支持部34によってガイドされつつ前後方向にスライド移動させることができる。同様に、ケース部材13の後端13aから挿入されたブロック皿12を、支持部34によってガイドされつつ前後方向にスライド移動させることができる。つまり、第2の態様でケース部材13に装着されたブロック皿12がケース部材13に対してスライド移動不能な場合と比較して、算数教習具11の操作性を向上させることができる。ひいては算数の学習を行う上で算数教習具11の利便性を向上させることができる。
【0052】
(4)また、本実施形態の支持部34は、第2の態様でケース部材13に装着されたブロック皿12だけではなく、第1の態様でケース部材13に装着されたブロック皿12も支持することが可能である。したがって、第1の態様時用の支持部と、第2の態様時用の支持部とを別々に設ける場合と比較して、ケース部材13を小型化及び簡略化させることができる。
【0053】
(5)本実施形態のブロック皿12の前端12aには操作つまみ22が設けられると共に、ケース部材13の前端13b及び後端13aには切欠部33がそれぞれ形成されている。そのため、ケース部材13の後端13aから第2の態様でブロック皿12が挿入された場合、ブロック皿12の操作つまみ22がケース部材13の後端13aに形成された切欠部33に係止されることにより、ブロック皿12のこれ以上の前方へのスライド移動を規制することができる。同様に、ケース部材13の前端13bから第2の態様でブロック皿12が挿入された場合、ブロック皿12の操作つまみ22がケース部材13の前端13bに形成された切欠部33に係止されることにより、ブロック皿12のこれ以上の後方へのスライド移動を規制することができる。
【0054】
(6)ブロック皿12の後端12bは開放されている。そのため、各ブロック皿12A,12Bの後端12b同士が対向するように、各ブロック皿12A,12Bを第2の態様でケース部材13に取り付けることにより、一方のブロック皿(例えば、第1のブロック皿12A)のブロック14を、各ブロック皿12A,12Bの境界を乗り越えて他方のブロック皿(例えば、第2のブロック皿12B)へスライド移動させることができる。したがって、繰り上がりのある足し算の学習及び繰り下がりのある引き算の学習を適切に補助することができる。
【0055】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、ブロック皿12の後端12bにも規制壁を設けてもよい。この場合、ケース部材13の後端13aには、後壁部37を設けなくてもよい。このように構成しても、第1の態様でケース部材13にブロック皿12が装着された場合に、ブロック皿12の載置部26に載置されるブロック14が外部に飛び出ることを規制することができる。
【0056】
・実施形態において、ケース部材13の後端13aには切欠部33を設けなくてもよい。
・実施形態において、ブロック皿12には操作つまみ22を設けなくてもよい。この場合、ケース部材13の前端13b及び後端13aには切欠部33を設けなくてもよい。
【0057】
・実施形態において、ケース部材を、スリーブ状に構成してもよい。この場合、ケース部材には、第2の態様で該ケース部材にブロック皿12が装着された場合に該ブロック皿12に配列されるブロック14を使用者が操作できるように、ケース部材内外を連通する窓を設けてもよい。このように構成すると、第2の態様で該ケース部材にブロック皿12の載置部26に載置されるブロック14を、使用者が操作することができる。
【0058】
また、スリーブ状に構成されたケース部材に上記窓を設けなくてもよい。この場合、ケース部材を、第2の態様で該ケース部材に装着されたブロック皿12に配列されるブロック14を外部から視認できるように、透明又は半透明な材料で構成することが好ましい。
【0059】
・実施形態において、ブロック皿12の両皿側壁部21の外面には、前後方向に延びるリブを設けてもよい。この場合、ケース部材13の支持部は、リブを収容可能に前後方向に延びる溝部を備えた構成であってもよい。このように構成しても、ケース部材13の支持部は、ケース部材13に第2の態様で装着されたブロック皿12を前後方向にスライド移動させることができる。
【0060】
・実施形態において、ケース部材13の支持部34を、第2の態様でケース部材13に装着されたブロック皿12がスライド移動できないように構成してもよい。このように構成しても、第2の態様でケース部材13に装着されたブロック皿12は、該ケース部材13の支持部34によって支持される。
【0061】
・実施形態において、ブロック14は、内部に磁石を備えない構成であってもよい。この場合、ブロック皿12は磁性シート体24を備えない構成であってもよい。こうした構成では、ブロック皿12の底板部20が、載置部として機能する。
【0062】
・実施形態において、ブロック皿12は、2個以上のブロック14を規定の方向に沿って配列可能に構成されるのであれば、「10個」以外の任意数(例えば、「15個」)のブロック14を規定の方向に沿って配列可能に構成してもよい。ただし、繰り上がりのある足し算や繰り下がりのある引き算の学習で算数教習具11を使用するのであれば、「6個」以上の任意数のブロック14を規定の方向に沿って配列できるようにブロック皿12を構成することが好ましい。
【符号の説明】
【0063】
11…算数教習具、12,12A,12B…ブロック皿、13…ケース部材、14,14A…ブロック、20…載置部の一例としての底板部、21…皿側壁部、22…凸部としての操作つまみ、23…規制壁としての前壁部、26…載置部、30…本体部としての天板部、31…ケース側壁部、33…係止用切欠部としての切欠部、34…支持部、37…当接部としての後壁部、38…隙間。
図1
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