(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
上記した長芋や牛蒡等の長根菜は、根部が地中深くで成育するため、茎葉部を把持して無理に引き抜くと、根部が途中で切損したり損傷したりしやすく、商品価値を低下させることとなる。
そのため、長芋や牛蒡等においては、それらの植栽畝の一側部の土を、長根菜に沿って、スコップ等により深く掘り起こし、土を除去してから引き抜くのが一般的である。しかし、このような方法では、作業能率が悪く、かつ引抜き作業に多大の労力を必要とする。
この問題を解消するものとして、特許文献1には、圃場を牽引または自走して走行する機体に、せり上げ板を、長芋等の根部の下方に挿入しうるように設け、根部を植栽畝の土と一緒にせり上げることにより、長芋等を自動的に掘り出しうるようにした堀取装置が記載されている。
【0003】
また、長根菜の引き抜き用ではないが、例えば特許文献2に記載されているように、柄の根元より圧入した水を、柄の先端に設けた複数の耕刃の先端または側面より吐出させ、レンコンの周囲の泥を軟らかくすることにより、これを掘り起こしやすくするようにしたレンコン掘り用の鍬もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されている堀取装置は、大型で高価な機械であるため、規模の小さな農家で使用するのには、経済的負担が大きく、かつ狭い圃場では有効に使用できないという問題がある。
特許文献2に記載されている鍬は、横向きに成育するレンコンを掘り出すのには効果的であるが、長芋や牛蒡等、地中深くで成育する長根菜の引き抜き用としては適しない。その理由は、鍬の耕刃を長根菜の近くの地中に挿し込み、その先端または側面より水を吐出させただけでは、耕刃と反対側の長根菜の土まで十分に水が回り込まないため、長根菜の周囲の土が軟らかくなるまでにかなりの時間を要し、その引抜き作業が非能率的となるからである。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、長根菜の周囲の土を軟化させことにより、すなわち、その流動性を高めることにより、長根菜を、容易に、かつ効率よく引き抜くことができるようにした、長根菜
の引抜き補助装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の長根菜の引抜き補助装置によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(
1)地面に植栽されている長根菜を引き抜く際に使用する引抜き補助装置であって、圧力水供給源に接続され、この圧力水供給源より供給された圧力水を複数方向に分流させる分流路を有する基体と、前記基体に、前記各分流路と連通するようにして上端部が接続され、前記長根菜を囲む地面の複数箇所に挿し込み可能な下端が閉塞された縦長パイプ状をなし、かつ前記長根菜を挟んで対向する対向面に圧力水を吐出可能な複数の吐出孔が形成された複数の挿し込み管とを備えるものとする。
【0008】
このような構成とすると、複数の挿し込み管を、長根菜を囲む地面の複数箇所に挿し込み、各挿し込み管の吐出孔より圧力水を吐出させると、長根菜の周囲の土に水が浸透して軟化するので、長根菜を容易に引き抜くことができる。
また、引抜き補助装置の構造が簡単であるため、安価な引抜き補助装置を提供することができる。
【0009】
(
2)上記(
1)項において、基体に、複数1組の挿し込み管を、長根菜の植栽間隔とほぼ等しい間隔をもって、複数組設ける。
【0010】
このような構成とすると、地面に植栽された複数の長根菜を、引抜き補助装置の1回当りの操作で、効率よく引き抜くことができる。
【0011】
(
3)上記(
1)または(
2)項において、各挿し込み管の下端にも吐出孔を設ける。
【0012】
このような構成とすると、挿し込み管を地面に挿し込む際に、挿し込み管の下方の土を軟化させながら挿し込むことができるので、挿し込み管を軽い力で地中に挿し込むことができる。
【0013】
(
4)上記(
1)〜(
3)項のいずれかにおいて、基体に、複数のエルボ管を、各分流路と連通するように着脱可能に取付けるとともに、各エルボの下端部に、挿し込み管の上端部を着脱可能に取付ける。
【0014】
このような構成とすると、エルボ管や挿し込み管を、引き抜こうとする長根菜の太さや長さに適したものと容易に交換することができる。
【0015】
(
5)地面に植栽されている長根菜を引き抜く際に使用する引抜き補助装置であって、圧力水供給源に接続され、内部に送水路を有する基体と、圧力水を吐出可能な複数の吐出孔を有する内筒とそれを囲む外筒との間に、下端が閉塞された環状の通水路が形成され、かつ前記基体に、前記送水路と通水路とが連通するようにして上端部が接続された、前記長根菜の全周を囲むようにして地面に挿し込み可能な挿し込み管とを備えるものとする。
【0016】
このような構成とすると、長根菜の全周の土を、挿し込み管により囲んだ状態で、内筒の吐出孔より圧力水を吐出させることにより、圧力水を広範囲に拡散させることなく、挿し込み管により囲まれた長根菜の周囲の土にのみ集中的に吐出させることができる。従って、長根菜の周囲の土が、短時間で軟化し、長根菜の引き抜き作業を効率よく行うことができる。
【0017】
(
6)上記(
5)項において、基体に、複数の挿し込み管を、長根菜の植栽間隔とほぼ等しい間隔をなすようにして設ける。
【0018】
このような構成とすると、地面に植栽された複数の長根菜を、引抜き補助装置の1回当りの操作で効率よく引き抜くことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、長根菜を囲む土を、水により軟化させることにより、すなわち、その流動性を高めることにより、長根菜を容易に、かつ損傷させずに引き抜くことができるので、従来のように、長根菜の植栽畝の一側部の土を、スコップ等により深く掘り起こして除去したりする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態の引抜き補助装置と、圧力水供給源との斜視図である。
【
図2】同じく、第1の実施形態の引抜き補助装置の分解斜視図である。
【
図3】同じく、第1の実施形態の引抜き補助装置により長根菜を引き抜く要領を示す縦断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態の引抜き補助装置の斜視図である。
【
図6】同じく、第2の実施形態の引抜き補助装置により長根菜を引き抜く要領を示す拡大横断平面図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態の引抜き補助装置の斜視図である。
【
図8】同じく、第3の実施形態の引抜き補助装置により長根菜を引き抜く要領を示す拡大横断平面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態の引抜き補助装置の平面図である。
【
図10】同じく、第4の実施形態の引抜き補助装置により長根菜を引き抜く要領を示す拡大横断平面図である。
【
図11】本発明の第5の実施形態の引抜き補助装置の縦断面図である。
【
図13】第5の実施形態の引抜き補助装置により長根菜を引き抜く要領を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の長根菜の引抜き補助装置の第1の実施形態を、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、引抜き補助装置1は、金属または合成樹脂よりなる方形ブロック状の基体2と、その1側面に取付けられた、弁開閉ハンドル3aを有する流量調節弁3と、基体2の互いに背向する2側面に、エルボ管4、4を介して対向状に取付けられた縦長の1対の挿し込み管5、5とを備えている。
【0022】
基体2の上面には、引抜き補助装置1の操作を容易とするために、下向きコ字状の把手6が取り付けられている。
また、基体2の内部には、流量調節弁3とエルボ管4、4側に開口する平面視T字状の分流路(図示略)が形成され、エルボ管4、4側に開口された互いに対向する2方向の分流路7には、めねじ8が形成されている。このめねじ8に、エルボ管4の一端側に形成したおねじ9を、シールテープ等を巻回して水密的に螺合することにより、両エルボ管4は、その水平部が基体2に着脱可能として取り付けられている。なお、エルボ管4を着脱可能とするのは、引き抜く長根菜の太さに応じて、
図2に示すように、左右寸法の異なるエルボ管4と交換しうるようにするためである。
【0023】
挿し込み管5、5は、下端が閉塞されるとともに、下端部を先細り状とした金属または硬質合成樹脂製のパイプよりなり、互いの対向面には、内向き対向状に水を吐出可能な複数の吐出孔10が、上下方向に等間隔おきに列設されている。なお、下方にも水が吐出するように、挿し込み管5の下端にも吐出孔10(
図4参照)を設けてある。このようにすると、挿し込み管5を地中に挿し込む際に、その下方の土が軟らかくなるので、挿し込み管5を地中に挿し込みやすくなる。また、水が拡散して吐出するように、各吐出孔10に、拡散型ノズルを取り付けてもよい。
【0024】
挿し込み管5は、その上端部に形成されたおねじ部11を、エルボ管4の下端部の内面に設けためねじ(図示略)に水密的に螺合することにより、基体2に着脱可能に取り付けられている。なお、挿し込み管5を着脱可能とするのは、引き抜く長根菜の長さに応じて、
図2に示すように、上下寸法の異なる挿し込み管5と交換しうるようにするためである。
【0025】
引抜き補助装置1の流量調節弁3には、耐圧性のホース12の一端が接続され、このホース12の他端は、圃場に搬入された可搬式のエンジンポンプ13の吐出部に接続されている。エンジンポンプ13の吸引部には、給水ホース14の一端が接続され、この給水ホース14の他端は、圃場に設置された貯水タンク15に、開閉バルブ16を介して接続されている。これにより、貯水タンク15の水を、エンジンポンプ13により加圧して、引抜き補助装置1に供給しうるようになっている。なお、上記エンジンポンプ13と貯水タンク15とにより、圧力水の供給源を構成している。
引抜き補助装置1に圧力水を供給する手段としては、エンジンポンプ13に代えて、電動ポンプや農耕用の噴霧器等を使用したり、または水道管に接続してその水道水を直接使用してもよい。
また、圃場の近くに川や貯水池があり、それらの水を使用しうるときには、貯水タンク15は不要である。
【0026】
次に、
図3及び
図4を参照して、上記実施形態の引抜き補助装置1により、圃場に植栽された、例えば長芋等の長根菜17を引き抜く要領について説明する。
上述したように、まず、基体2に、長根菜17の太さ及び長さに適したエルボ管4と挿し込み管5を取付けたのち、エンジンポンプ13を作動させ、ホース12を介して基体2の流量調節弁3に圧力水を供給する。流量調節弁3の弁開閉ハンドル3aは、まだ閉じておく。
【0027】
ついで、1対の挿し込み管5、5を、植栽畝18の上方に露出している長根菜17を跨ぐようにして、かつ長根菜17の両側部に沿って植栽畝18の地中に深く挿し込む。この際、流量調節弁3の弁開閉ハンドル3aを若干開いて、圧力水を挿し込み管5に供給し、各吐出孔10より水を吐出させながら挿し込むのが好ましい。このようにすると、挿し込み管5に設けた各吐出孔10に土が入り込んで、目詰まりするのを防止することができる。
また、挿し込み管5の下端に設けた吐出孔10より吐出する圧力水により、挿し込み管5の下方の土が軟化するので、挿し込み管5が挿し込みやすくなる。
【0028】
ついで、流量調節弁3の弁開閉ハンドル3aを開側に回動させて、各挿し込み管5に供給される圧力水の流量及び水圧を増大させる。すると、両挿し込み管5の対向面の複数の吐出孔10より、圧力水19が勢いよく吐出して、長根菜17を囲む土の2箇所、すなわち、長根菜17と対向する2箇所の土に集中的に水が浸透し、長根菜17の周囲の土を軟化させ、その流動性が高める。
【0029】
ついで、長根菜17の周囲の土が十分に軟化したことを確認してから、弁開閉ハンドル3aを閉じて両挿し込み管5への給水を停止し、両挿し込み管5を地中より抜去したのち、長根菜17を手で引き抜く。この際、長根菜17の周囲の土が軟らかくなっているので、切損や損傷するのを防止して容易に引き抜くことができる。このような要領で、植栽畝18の複数の長根菜17を、順次効率よく引き抜いて収穫することができる。
【0030】
図5及び
図6は、本発明の第2の実施形態の引抜き補助装置を示すもので、この例の引抜き補助装置20は、4本1組の挿し込み管5を、各挿し込み管5が平面視において互いに90度離間するようにして装着したものである。
すなわち、基体2の4側面に、エルボ管4を、内部に形成した平面視十文字状の分流路(図示略)と連通するするように、上記第1の実施形態と同様に着脱可能に取付けるとともに、各エルボ管4の下端部に、挿し込み管5の上端部を着脱可能に螺合して取り付けてある。各挿し込み管5は、それらにより囲まれる仮想軸線を中心とする円周方向に、90度ずつ離間させて配設されている。仮想軸線を挟んで対向する各挿し込み管5、5の対向面と下端には、上記第1の実施形態と同様の吐出孔10が形成されている。
【0031】
基体2の上面には、内部の流路と連通する、流量調節弁3付きの送水管21と、把手6とが取付けられ、流量調節弁3にホース12を接続することにより、上記第1実施形態と同様に、各挿し込み管5に圧力水が供給されるようになっている。
【0032】
第2の実施形態の引抜き補助装置20により、例えば長芋等の長根菜17を引き抜くには、
図6の拡大横断平面図に示すように、4本の挿し込み管5を、長根菜17を2方向より跨ぐようにして植栽畝18の地中に挿し込み、各挿し込み管5の吐出孔10より圧力水19を吐出させ、上記第1の実施形態と同じ要領で、長根菜17を引き抜けばよい。
【0033】
第2の実施形態の引抜き補助装置20においては、長根菜17を囲む地中の4箇所に、4本一組よりなる挿し込み管5により、4側方から圧力水19が吐出されるので、長根菜17の周囲の土を短時間で軟化させることができ、上記第1の実施形態の引抜き補助装置1に比して、長根菜17の引き抜き作業が能率的となる。
なお、この第2の実施形態の引抜き補助装置20においては、基体2を、円形または四角形以上の多角形とすれば、挿し込み管5を4本以上設けることもできる。
【0034】
図7及び
図8は、本発明の第3の実施形態の引抜き補助装置22を示す。
この第3の実施形態の引抜き補助装置22は、上記と同様の流量調節弁3を有する長寸とした基体23の長手方向の両側面に、1対で1組の挿し込み管5、5を、上記実施形態と同様に、基体23の内部の分流路(図示略)と連通させたエルボ管4を介して、複数組(3組)取り付けてある。長手方向に隣接する挿し込み管5の間隔は、植栽畝18の長根菜17の植栽間隔とほぼ等しくしてある。基体23の上面には、引抜き補助装置22の操作を容易とするために、把手6が取り付けられている。
【0035】
第3の実施形態の引抜き補助装置22によれば、
図8の横断平面図に示すように、植栽畝18に、複数組の挿し込み管5、5を、植栽畝18の複数の長根菜17を両側方より跨ぐようにして挿し込み、各挿し込み管5の吐出孔10より圧力水19を吐出させることにより、複数の長根菜17の両側部の土を同時に軟化させることができる。従って、1回当りの引抜き補助装置22の操作で、複数の長根菜17を効率よく引き抜いて収穫することができる。
【0036】
図9及び
図10は、本発明の第4の実施形態の引抜き補助装置24、すなわち、上記第2、第3の実施形態の引抜き補助装置20、22の変形例を示す。
第4の実施形態の引抜き補助装置24は、
図9の平面図に示すように、第3の実施形態よりもさらに長寸とした基体23の長手方向の両側面に、上記第3の実施形態の引抜き補助装置22と同様の挿し込み管5、5を、長根菜17の植栽間隔とほぼ等しい間隔で複数組取付けるとともに、基体23の下面の中央部に、その内部の分流路25と連通する上下方向を向く複数(4本)の挿し込み管5の上端部を、基体23の両側部の互いに対向する1対の挿し込み管5、5と直交するように、長手方向に所定間隔おきに、かつ着脱可能に装着してある。なお、中央部の互いに隣接する挿し込み管5間の間隔は、基体23の両側部の互いに対向する挿し込み管5、5の間隔とほぼ等しくしてある。
中央部の各挿し込み管5における長根菜17と対向する両側面には、複数の吐出孔10、10が、上下方向に所定間隔おきに列設されている。
【0037】
第4の実施形態の引抜き補助装置24によれば、
図10の拡大横断平面図に示すように、植栽畝18の複数の長根菜17を囲む4箇所の地中に、基体23の両側部の互いに対向する1対の挿し込み管5、5と、中央部の互いに隣接する挿し込み管5、5とからなる4本1組ずつの挿し込み管5を挿し込むことにより、それらの吐出孔10より長根菜17に向かって4方向より圧力水19を吐出させることができるので、複数の長根菜17の周囲の土を短時間で同時に軟化させることが可能となり、上記第3の実施形態の引抜き補助装置22に比して、長根菜17の引き抜き作業が能率的となる。
なお、この第4の実施形態では、中央部の挿し込み管5を、互いに隣接する長根菜17、17に対し共用しているが、長根菜17の植栽間隔が大きい場合には、各長根菜17毎に4本1組の挿し込み管5を、複数組設けてもよい。
【0038】
図11〜
図14は、本発明の第5の実施形態の引抜き補助装置27を示す。
この第3の実施形態の引抜き補助装置27は、中央部に円周方向に並ぶ複数の上下方向の送水孔28を有する方形かつ厚肉の基体29と、この基体29の上面に、パッキン30を介してねじ31により固定され、各送水孔28と対向する下面に上向きの凹部32を有する上蓋33と、基体29の下面に着脱可能に取付けられた円筒形の挿し込み管34とを備えている。
【0039】
上蓋33の中心部に形成された上下方向のめねじ孔35には、流量調節弁36を取付けたエルボ状の送水管37が螺着され、この送水管37には、流量調節弁36及びそれに接続したホース12を介して、上述したエンジンポンプ13等よりなる圧力水供給源から圧力水が供給されるようになっている。
【0040】
挿し込み管34は、内筒34aと、その下端部の外周面に内周面の下端部が溶接された、内筒34aの周囲を離間して囲む外筒34bとからなり、内筒34aの外周面と外筒34bの内周面との間には、下端が閉塞され、上方が開口する環状の通水路38が形成されている。外筒34bの下端部は、地中に挿し込みやすくするために、先細り状としてある。
内筒34aには、通水路38と連通する求心方向を向く複数(実施例では8個)の吐出孔39が、上下方向に所定間隔おきに多数列設されている(
図14参照)。
【0041】
挿し込み管34の上端部は、基体29の下面に形成された、各送水孔28と連通する環状溝40内に、パッキン41、41を介して、着脱可能かつ水密性を保持して嵌合され、外筒34bの上端部外周面に、基体29の側面より螺合した4本の止めねじ42の先端を圧接させることにより、抜け止めされている。挿し込み管34は、長根菜の長さに対応して、上下寸法の異なるものと交換しうるようになっている。
【0042】
第5の実施形態の引抜き補助装置27により、例えば牛蒡等の長根菜17を引き抜くには、
図13及び
図14に示すように、挿し込み管34の環状の通水路38に圧力水を供給し、内筒34aの各吐出孔39より圧力水19を吐出させた状態で、挿し込み管34を、長根菜17の全周を囲むようにして植栽畝18の地中に挿し込む。この際、挿し込み管34は、内外二重管構造をなし、内筒34aに設けた吐出孔39より圧力水19を吐出させているので、挿し込み管34を植栽畝18に挿し込む前に圧力水を供給しても、圧力水19が周囲に飛散することがない。
このように、挿し込み管34を植栽畝18に挿し込む前に圧力水を供給すると、各挿し込み管34の吐出孔39より吐出した圧力水19が、長根菜17の周囲の植栽畝18の上部に流れ落ちて浸透し、その部分の土が軟化するので、挿し込み管34を地中に挿し込みやすくなる。
【0043】
地中の挿し込まれた挿し込み管34の内筒34aより、引き続き圧力水19を所定時間吐出させ、長根菜17の周囲の土が十分に軟化したことを確認してから、給水を停止して挿し込み管34を地中より抜去したのち、長根菜17を手で引っ張れば、これを容易に引き抜くことができる。
【0044】
この実施形態においては、長根菜17の周囲の土が円筒形の挿し込み管34により囲まれているので、内筒34aより吐出する圧力水19を広範囲に拡散させることなく、挿し込み管34により囲まれた長根菜17の周囲の土のみに、圧力水19を集中的に吐出させることができる。その結果、長根菜17の周囲の土が短時間で軟化するので、その引き抜き作業を効率よく行うことができる。
【0045】
なお、この第5の実施形態の引抜き補助装置27においても、基体29の下面に複数の挿し込み管34を取り付けて、複数の長根菜17を効率よく引き抜くようにすることもできる。この際には、基体29及び上蓋33を植栽畝17の方向に長寸として、基体29の下面に、複数の挿し込み管34を、上記と同じ要領で所定間隔おきに取付けるとともに、基体29と上蓋33間において、複数の挿し込み管34同士を流路により連通させ、それらに圧力水を同時に供給しうるようにすればよい。
【0046】
また、第5の実施形態の引抜き補助装置27の挿し込み管34を、円筒形ではなく、例えば楕円形や六角形等の非円筒形のものとしてもよい。