特許第5792608号(P5792608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792608
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】液化ガス供給装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 7/00 20060101AFI20150928BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   F17C7/00 A
   F17C13/02 301A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-277960(P2011-277960)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-130205(P2013-130205A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】坂田 晋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−226386(JP,A)
【文献】 特開2002−303398(JP,A)
【文献】 特開2007−255666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 7/00
F17C 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液化ガス容器内に充填されている液化ガスを蒸発させてガス使用先に供給する液化ガス供給装置において、複数のガス供給系統にそれぞれ接続された液化ガス容器と、各液化ガス容器内の液化ガス量をそれぞれ検出する液化ガス量検出手段と、各ガス供給系統にそれぞれ設けられた減圧手段を有する減圧経路と、各ガス供給系統にそれぞれ設けられたガス供給遮断手段と、複数のガス供給系統から供給されるガスを合流させてガス使用先に供給する使用先ガス供給経路と、前記減圧経路の減圧手段の一次側と二次側とをバイパス弁を介して前記減圧経路より圧力損失が小さい状態でそれぞれ接続するバイパス経路とを備え、各ガス供給系統には、前記液化ガス量検出手段で検出した液化ガス容器内の液化ガス量に基づいて前記ガス供給遮断手段及び前記バイパス弁をそれぞれ開閉制御する制御手段を備えている液化ガス供給装置。
【請求項2】
前記使用先ガス供給経路は、前記ガス供給系統から供給されるガスの圧力を、前記減圧手段に設定された圧力より低いあらかじめ設定された圧力に調整する圧力調整器を備えている請求項1記載の液化ガス供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の液化ガス供給装置を使用して前記ガス使用先に連続的にガス供給を行う液化ガス供給方法であって、前記制御手段は、第1の液化ガス量検出手段で検出した第1の液化ガス容器内の液化ガス量があらかじめ設定された第1残ガス量設定値を超えているときには、第2のガス供給系統に設けられている第2のガス供給遮断手段及び第2のバイパス弁を閉じた状態で、第1のガス供給系統に設けられている第1のガス供給遮断手段を開いて第1のバイパス弁を閉じた状態とし、第1の液化ガス容器で蒸発したガスを第1の減圧手段で減圧してガス供給を行い、第1の液化ガス量検出手段で検出した第1の液化ガス容器内の液化ガス量が前記第1残ガス量設定値以下となったときには、第1のガス供給系統に設けられている第1のバイパス弁を開いて第1の液化ガス容器で蒸発したガスを第1のバイパス弁を通して供給するとともに、第2のガス供給系統に設けられている第2のバイパス弁を閉じた状態で第2のガス供給遮断手段を開いた状態とし、第1のガス供給系統と第2のガス供給系統との双方から並列にガス供給を行う液化ガス供給方法。
【請求項4】
前記第1の液化ガス量検出手段で検出した前記第1の液化ガス容器内の液化ガス量が、前記第1残ガス量設定値より少ない液化ガス量に設定された第2残ガス量設定値以下となったときに、第1のガス供給遮断手段及び第1のバイパス弁を閉じて第1のガス供給系統からのガス供給を停止し、第2のガス供給系統からのガス供給に切り替える請求項3記載の液化ガス供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス供給装置及び方法に関し、詳しくは、複数の液化ガス容器に充填されている液化ガスを蒸発させてガス使用先に供給するための液化ガス供給装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の液化ガス容器に充填されている液化ガスを蒸発させてガス使用先に供給する液化ガス供給方法として、複数の液化ガス容器(バルク容器)内の圧力を上昇させるための加圧手段を設けるとともに、各液化ガス容器内の圧力を監視し、相対的に圧力が高い第1の液化ガス容器からガスを供給し、該第1の液化ガス容器内の圧力が低下したときに、ガスの供給を第2の液化ガス容器からに切り替え、圧力が低下した第1の液化ガス容器を交換することにより、ガス使用先へのガス供給を連続して行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−231982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、常温付近で蒸気圧が高いLNGの場合は、液化ガス容器内のLNGのほとんどを蒸発させて供給することが可能であるが,常温付近における蒸気圧が低いガス、例えば液化アンモニアの場合は、液化ガス容器内の液化ガス残量が容器容積の30%以下になると次第に蒸発量が低下し、ガス使用先に求められている流量でガスを供給することが困難となってくる。このため、ガス使用先に供給する流量が比較的多い場合は、液化ガス容器内の液化ガス残量が容器容積の30%程度になったときに、ガス供給を行う液化ガス容器を切り替えて液化ガス残量が少なくなった液化ガス容器を交換することにより、ガス使用先へ所定流量のガスを連続して供給できるようにしている。
【0005】
したがって、液化ガス容器内に充填した液化アンモニアを十分に使用することができず、液化アンモニアの利用効率が低下するだけでなく、液化ガス容器の交換周期が短期化するなどの問題があった。また、液化アンモニアを充填した液化ガス容器を高温に加熱して液化アンモニアの蒸発を促進することにより、蒸発したアンモニアを所定流量で供給しながら液化ガス容器内の液化アンモニアのほとんどを蒸発させることが可能であるが、大型のバルク容器を高温に加熱するための特別な加熱設備が必要であり、設備コストやランニングコストが大幅に上昇するという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、簡単な装置構成及び手順で液化ガス容器内に充填した液化ガス、特に液化アンモニアのような常温付近での蒸気圧が低い液化ガスの利用効率を高めることができる液化ガス供給装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の液化ガス供給装置は、複数の液化ガス容器内に充填されている液化ガスを蒸発させてガス使用先に供給する液化ガス供給装置において、複数のガス供給系統にそれぞれ接続された液化ガス容器と、各液化ガス容器内の液化ガス量をそれぞれ検出する液化ガス量検出手段と、各ガス供給系統にそれぞれ設けられた減圧手段を有する減圧経路と、各ガス供給系統にそれぞれ設けられたガス供給遮断手段と、複数のガス供給系統から供給されるガスを合流させてガス使用先に供給する使用先ガス供給経路と、前記減圧経路の減圧手段の一次側と二次側とをバイパス弁を介して前記減圧経路より圧力損失が小さい状態でそれぞれ接続するバイパス経路とを備え、各ガス供給系統には、前記液化ガス量検出手段で検出した液化ガス容器内の液化ガス量に基づいて前記ガス供給遮断手段及び前記バイパス弁をそれぞれ開閉制御する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の液化ガス供給装置は、前記使用先ガス供給経路が、前記ガス供給系統から供給されるガスの圧力を前記減圧手段に設定された圧力より低いあらかじめ設定された圧力に調整する圧力調整器を備えていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の液化ガス供給方法は、前記構成の液化ガス供給装置を使用して前記ガス使用先に連続的にガス供給を行う液化ガス供給方法であって、前記制御手段は、第1の液化ガス量検出手段で検出した第1の液化ガス容器内の液化ガス量があらかじめ設定された第1残ガス量設定値を超えているときには、第2のガス供給系統に設けられている第2のガス供給遮断手段及び第2のバイパス弁を閉じた状態で、第1のガス供給系統に設けられている第1のガス供給遮断手段を開いて第1のバイパス弁を閉じた状態とし、第1の液化ガス容器で蒸発したガスを第1の減圧手段で減圧してガス供給を行い、第1の液化ガス量検出手段で検出した第1の液化ガス容器内の液化ガス量が前記第1残ガス量設定値以下となったときには、第1のガス供給系統に設けられている第1のバイパス弁を開いて第1の液化ガス容器で蒸発したガスを第1のバイパス弁を通して供給するとともに、第2のガス供給系統に設けられている第2のバイパス弁を閉じた状態で第2のガス供給遮断手段を開いた状態とし、第1のガス供給系統と第2のガス供給系統との双方から並列にガス供給を行うことを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の液化ガス供給方法は、前記第1の液化ガス量検出手段で検出した前記第1の液化ガス容器内の液化ガス量が、前記第1残ガス量設定値より少ない液化ガス量に設定された第2残ガス量設定値以下となったときに、第1のガス供給遮断手段及び第1のバイパス弁を閉じて第1のガス供給系統からのガス供給を停止し、第2のガス供給系統からのガス供給に切り替えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、各ガス供給系統に接続した液化ガス容器内の液化ガス量に基づいてガス供給遮断手段及びバイパス弁をそれぞれ開閉制御することにより、複数のガス供給系統からガス使用先に連続的にガス供給を行うことができるとともに、液化ガス量検出手段で検出した液化ガス量が少なくなったガス供給系統のバイパス弁を開くことにより、液化ガス量が少なくなった液化ガス容器内の液化ガスを、圧力損失が小さいバイパス経路を通して他のガス供給系統より優先してガス使用先に供給することができる。これにより、液化ガスの利用効率を高めることができるとともに、液化ガス容器の交換周期を長期化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の液化ガス供給装置の一形態例を示す系統図である。
図2】本発明の液化ガス供給方法の第1形態例を示すフローチャートである。
図3】本発明方法におけるガス供給中の液化ガス容器内の残ガス率、供給圧力、流量及び減圧弁の状態の変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本形態例に示す液化ガス供給装置は、複数の液化ガス容器内の液化アンモニアを蒸発させて連続供給するものであって、複数、本形態例では2系統のガス供給系統A系,B系と、各ガス供給系統A系,B系にそれぞれ接続された液化ガス容器11a,11bと、各液化ガス容器11a,11b内の液化ガス量をそれぞれ検出する液化ガス量検出手段としての重量計12a,12bと、各ガス供給系統A系,B系にそれぞれ設けられて二次側の圧力をあらかじめ設定された圧力に減圧する減圧手段としての減圧弁13a,13b及びガスの供給・停止を行うガス供給遮断手段としての自動開閉弁14a,14bを有する減圧経路15a,15bと、各減圧経路15a,15bに直列に設けられている前記減圧弁13a,13bの一次側と自動開閉弁14a,14bの二次側とを自動開閉弁からなるバイパス弁16a,16bを介してそれぞれ接続するバイパス経路17a,17bと、各ガス供給系統A系,B系から供給されるガスを合流させてガス使用先に供給する使用先ガス供給経路18と、前記重量計12a,12bで検出した液化ガス容器11a,11b内の液化ガスの残量に基づいて前記自動開閉弁14a,14b及び前記バイパス弁16a,16bを開閉制御する制御手段19とを備えている。さらに、前記使用先ガス供給経路18には、ガス使用先に供給するガスの圧力をあらかじめ設定された圧力に調整するための減圧器20が設けられており、各ガス供給系統A系,B系には、使用先ガス供給経路18に合流する前のガスの圧力を検出する圧力計21a,21bが設けられ、使用先ガス供給経路18には、減圧器20で減圧された供給ガスの圧力を検出する圧力計22が設けられている。
【0014】
前記減圧弁13a,13bは、例えば、ダイヤルやハンドルなどを手動で操作して一次側圧力より低い二次側圧力を設定することにより、減圧弁13a,13bを通ったガスの圧力、即ち二次側圧力を一定の圧力に調整するものであって、設定された二次側圧力より一次側圧力が低くなると、二次側圧力は一次側圧力と同じ圧力になる。
【0015】
前記バイパス経路17a,17bの圧力損失は、減圧弁13a,13b及び自動開閉弁14a,14bを有する減圧経路15a,15bの圧力損失より小さくなっている。一般的に、減圧弁は同じ口径の開閉弁に比べて圧力損失が大きいことから、同じ口径の配管や弁を用いて減圧経路15a,15b及びバイパス経路17a,17bをそれぞれ形成することにより、バイパス経路17a,17bの圧力損失を減圧経路15a,15bの圧力損失より小さくすることができるとともに、バイパス弁16a,16bと自動開閉弁14a,14bとに同じ弁を使用することができる。したがって、高価な圧力自動制御弁を使用することなく、同一口径の配管や自動開閉弁を使用することにより、液化ガス供給装置の設備コストを大幅に低減することができる。
【0016】
ガス供給系統A系,B系の各液化ガス容器11a,11bからガス供給は、ガス使用先に供給するガスの圧力より僅かに高い圧力を減圧弁13a,13bに二次側設定圧力としてあらかじめ設定した状態で、液化ガス容器11a,11b内の液化ガスの残量に基づいて前記制御手段19が自動開閉弁14a,14b及びバイパス弁16a,16bを開閉制御することにより行われる。各液化ガス容器11a,11bの交換は、自動開閉弁14a,14b及びバイパス弁16a,16bが共に閉状態のときに行われ、液化ガス容器交換後は、制御手段19が自動開閉弁14a,14bを開くまではガス供給を行わずに待機状態となる。
【0017】
なお、本形態例では、減圧経路15a,15bの上流側に減圧弁13a,13bを、下流側に自動開閉弁14a,14bをそれぞれ直列に配置しているが、自動開閉弁14a,14bを減圧弁13a,13bの上流側に配置することもできる。また、減圧経路15a,15bに減圧弁13a,13bのみを配置するとともに、減圧弁13a,13bの一次側と二次側とを接続して減圧弁13a,13bをバイパスする状態でバイパス経路17a,17bを設け、自動開閉弁14a,14bを、減圧弁13a,13bの二次側でバイパス経路17a,17bの接続部より下流側に配置することもできる。
【0018】
以下、図2及び図3に基づいて、本形態例に示す液化ガス供給装置を使用してガス使用先に連続的にガス供給を行うガス供給方法の一形態例を説明する。
【0019】
まず、減圧弁13a,13bは、ガス使用先が要求するガスの圧力(減圧器20で設定される供給圧力)より僅かに高い圧力、例えば、要求されたガス供給圧力が0.4MPaのときには、減圧弁13a,13bで減圧された二次側圧力を0.5MPaに設定する。前記制御手段19は、両ガス供給系統A系,B系が共に待機状態で、自動開閉弁14a,14b及びバイパス弁16a,16bが全て閉じているときに(ステップ51)、ガス供給系統A系,B系のいずれか一方を選択し、例えばガス供給系統A系を選択して自動開閉弁14aを開き、ガス供給系統A系からガス使用先へのガス供給を開始する。これにより、液化ガス容器11aで蒸発したガスが減圧経路15aの減圧弁13a及び自動開閉弁14aを通ってガス使用先に供給される(ステップ52)。このとき、ガス供給系統A系のバイパス弁16a、ガス供給系統B系の自動開閉弁14b及びバイパス弁16bは閉状態を継続しており、ガス使用先へのガス供給は、ガス供給系統A系の単独で行われる。
【0020】
さらに、前記制御手段19は、重量計12aの検出値から液化ガス容器11a内の液化ガス量を、あらかじめ設定された液化ガス量を充填した新しい液化ガス容器11aの重量を100%とし、これに対するガス供給中の液化ガス容器11aの重量を残ガス率[%]として監視し(ステップ53)、この残ガス率があらかじめ設定された第1残ガス量設定値以下になるまで、例えば残ガス率が30%以下になるまでは、前記ステップ52とこのステップ53とを繰り返してガス供給系統A系単独でのガス供給が継続される。
【0021】
ステップ53で液化ガス容器11aの残ガス率が30%以下になったと判断されると、ステップ54に進み、制御手段19からの指令によってガス供給系統A系のバイパス弁16aが開くとともに、ガス供給系統B系の自動開閉弁14bが開く。これにより、ガス供給系統A系の液化ガス容器11aで蒸発したガスが、ガスが減圧経路15aより圧力損失の小さなバイパス経路17aのバイパス弁16aを通ってガス使用先に供給される状態になるとともに、ガス供給系統B系の液化ガス容器11bで蒸発したガスが減圧経路15bの減圧弁13b及び自動開閉弁14bを通ってガス使用先に供給される状態になり、ガス供給系統A系とガス供給系統B系とが並列にガス供給を行う状態となる。なお、ガス供給系統A系の自動開閉弁14aは、通常は閉じるようにするが、開状態のままでも差し支えない。
【0022】
このとき、ガス供給系統B系の減圧弁13bには、前述のように二次側設定圧力として0.5MPaが設定されているため、ガス供給系統A系で圧力損失が小さなバイパス経路17aを通過したガスの圧力が、ガス供給系統B系の減圧弁13bで減圧したガスの圧力(0.5MPa)より高くなっている間は、ガス供給系統B系からのガス供給量に比べてガス供給系統A系からのガス供給量が多くなり、並列供給開始直後は、ガス使用先に供給されるガスの大部分がガス供給系統A系からのガスとなっている。
【0023】
並列状態でのガス供給の経過によって液化ガス容器11aの残ガス率が30%から次第に低下し、残ガス率の低下に伴って液化ガス容器11a内の液化ガスの蒸発量が低下してくると、バイパス経路17aを通過したガスの圧力がガス供給系統B系の減圧弁13bを通過したガスの圧力に近付き、ガス供給系統A系からのガス供給量とガス供給系統B系からのガス供給量との差がなくなってくる。液化ガス容器11aの残ガス率が更に低下して蒸発量が更に低下してくると、ガス供給系統A系からのガス供給量に比べてガス供給系統B系からのガス供給量が次第に多くなってくる。
【0024】
両ガス供給系統A系,B系から並列供給している際にも、制御手段19は、液化ガス容器11aの残ガス率[%]を監視し(ステップ55)、液化ガス容器11aの残ガス率があらかじめ設定された第2残ガス量設定値以下になるまで、例えば、液化ガス容器11a内の蒸発量では二次側設定圧力として設定されている0.5MPa以上の圧力を確保するのが困難になる残ガス率としてあらかじめ設定された3%以下の残ガス率になるまでは、前記ステップ54とステップ55とを繰り返してガスの並列供給を継続する。
【0025】
ステップ55で液化ガス容器11aの残ガス率が3%以下になったと判断されると、ステップ56に進み、ガス供給系統A系のバイパス弁16aが閉じられ、自動開閉弁14aが開状態のときには自動開閉弁14aも閉じられてガス供給系統A系からのガス供給が停止され、ステップ57に進んでガス供給系統B系から単独でガス使用先にガス供給が行われる。ガス供給を停止したガス供給系統A系はステップ58に進んで液化ガス容器11aの交換が行われ、残ガス率が3%以下になった液化ガス容器11aが取り外されて、新たな液化ガス容器11a(残ガス率100%)がガス供給系統A系に接続される。ステップ59にて新たな液化ガス容器11aの交換基準が合格と判定されると、ステップ60に進んで、ガス供給系統A系は、自動開閉弁14a及びバイパス弁16aが共に閉じ状態の待機状態となる。
【0026】
ガス供給系統B系単独でのガス供給を行っている際には、バイパス弁16bが閉じ状態を継続しているため、減圧弁13bで0.5MPaに二次側圧力が設定され、さらに、減圧器20で設定された0.4MPaでガス使用先にガス供給が行われており、制御手段19は、ステップ61にて重量計12bの検出値に基づいて液化ガス容器11bの残ガス率を監視している。ステップ61で液化ガス容器11bの残ガス率が30%以下と判断されると、ステップ62に進んでガス供給系統B系のバイパス弁16bが開いて自動開閉弁14bが閉じ、ガス供給系統B系は、バイパス経路17aを通過したガスがガス使用先にガス供給される状態になるとともに、ガス供給系統A系の自動開閉弁14aが開いてガス供給系統A系は、減圧弁13aで0.5MPaに二次側圧力が設定され、減圧器20で設定された0.4MPaでガス使用先にガス供給する状態になり、前記同様に、ガス供給系統A系とガス供給系統B系とが並列にガス供給する状態となる。
【0027】
ステップ63で液化ガス容器11bの残ガス率が3%以下になったと判断されると、ステップ64でガス供給系統B系のバイパス弁16bが閉じられ、ステップ65に進んでガス供給系統A系から単独でガス使用先にガス供給が行われるとともに、ガス供給系統B系はステップ66にて液化ガス容器11bの交換が行われ、ステップ67にて液化ガス容器11bの交換基準が合格と判定されると、ステップ68に進んでガス供給系統B系が待機状態となる。
【0028】
ステップ65におけるガス供給系統A系からの単独でのガス供給が始まると前記ステップ52に戻り、ステップ68にて待機状態となったガス供給系統B系は、ガス供給系統A系が前記ステップ53からステップ54に進んだときに、待機状態からガス供給状態に切り替えられる。以下、これらの各ステップを繰り返すことにより、両ガス供給系統A系,B系からガス使用先に連続してガス供給が行われる。
【0029】
図3は、このようにしてガス供給を行っているときの時間経過、例えば日数経過に伴う液化ガス容器11a,11bの残ガス率の変化(図3(a))、ガス供給系統A系,B系のガス供給圧力の変化(図3(b))、ガス供給系統A系,B系のガス流量の変化(図3(c))、自動開閉弁14a,14b及びバイパス弁16a,16bの開閉状態(図3(d))をそれぞれ示すもので、図2におけるステップ52からの各状態の変化を表している。
【0030】
開始からしばらくの間は、ガス供給系統A系単独でガス供給を行っているので、液化ガスの蒸発によって液化ガス容器11aの残ガス率は次第に低下するが(図3(a))、ガス供給系統A系の供給圧力は基準設定圧力の0.5MPaを維持し、待機中のガス供給系統B系の供給圧力は0(ゼロ)であり(図3(b))、ガス供給系統A系のガス流量は、ガス使用先に求められている流量、例えば300L/min(0℃、1気圧換算値)であり、ガス供給系統B系のガス流量は0(ゼロ)である(図3(c))。また、ガス供給系統A系の自動開閉弁14aが開状態である以外、他の自動開閉弁14b及びバイパス弁16a,16bは閉状態となっている(図3(d))。
【0031】
時間が経過して液化ガス容器11aの残ガス率が30%以下になると(経過時間7)、ガス供給系統A系のバイパス弁16aが開いて自動開閉弁14aが閉じるとともに、ガス供給系統B系の自動開閉弁14bが開く。これにより、ガス供給系統B系の液化ガス容器11bで蒸発したガスの供給が始まり、ガス供給系統A系,B系による並列供給状態となる(ステップ54)。このとき、ガス供給系統A系の供給圧力は、バイパス弁16aが開くことによって圧力損失が小さいバイパス経路17aをガスが通過することから、ガス供給系統A系からのガス供給圧力は、減圧弁二次側設定圧力の0.5MPa以上に上昇する。
【0032】
この並列供給状態では、液化ガスの蒸発によって両液化ガス容器11a,11bの残ガス率は共に低下する。ガス供給系統A系の供給圧力は、ガスがバイパス経路17aを通るため、並列供給開始直後に0.5MPa以上の圧力となるが、液化ガス容器11aの残ガス率の低下による蒸発量の減少に伴って供給圧力が徐々に低下していく。一方、ガス供給系統B系の供給圧力は、減圧弁13bによって0.5MPaに維持される。ガス供給系統A系の液化ガスの蒸発量の減少に伴い、ガス供給系統A系のガス流量が次第に減少すると、ガス供給系統A系のガス流量とガス供給系統B系のガス流量との和が300L/minになるように、ガス供給系統B系のガス流量が次第に増加していく。
【0033】
並列供給状態での時間経過によって液化ガス容器11aの残ガス率が3%以下になると(経過時間12)、ガス供給系統A系のバイパス弁16aが閉じられてガス供給系統A系からのガス供給が停止され(ステップ56)、ガス供給系統B系からの単独供給となる(ステップ57)。ガス供給系統B系からの単独供給開始から液化ガス容器11bの残ガス率が30%以下になるまでの間に、ガス供給系統A系の液化ガス容器11aが交換され、液化ガス容器11aの残ガス率が100%になって待機状態となる(経過時間14、ステップ60)。
【0034】
その後、液化ガス容器11bの残ガス率が30%以下になると、ガス供給系統A系とガス供給系統B系との並列供給状態になり(経過時間18、ステップ62)、液化ガス容器11bの残ガス率が3%以下になると、ガス供給系統A系の単独供給になる(経過時間23、ステップ65)。図2に示した手順で連続してガス供給を行っている間、液化ガス容器11a,11bの残ガス率、ガス供給系統A系,B系の供給圧力、ガス供給系統A系,B系の流量、及び、自動開閉弁14a,14b及びバイパス弁16a,16bの開閉状態が、図3に示すように、時間の経過によってガス供給系統A系,B系で同じ変化を交互に繰り返すことにより、流量が300L/minに制御されたガスがガス使用先に連続供給され、液化ガス容器11a,11b内の液化ガスは残ガス率が3%になるまで利用される。
【0035】
本形態例に示すガス供給方法では、並列供給開始直後に、バイパス弁16a,16bのいずれか一方が開弁状態になることで、使用先ガス供給経路18の圧力が一時的に高くなるが、図1に示した液化ガス供給装置のように、ガス供給系統A系,B系が合流した使用先ガス供給経路18に減圧器20を設け、ガス使用先に供給するガスの圧力を、前記減圧弁二次側設定圧力の0.5MPaより低い、ガス使用先が所望する圧力に調整することにより、供給ガスの圧力変動や流量変動を防止することができる。なお、このような減圧器がガス使用先の設備に組み込まれている場合は、使用先ガス供給経路18の減圧器20を省略することができる。
【0036】
さらに、本発明方法の形態例では、残ガス率が3%以下になったときに自動的にガス供給を並列から単独に切り替え、液化ガス容器の交換を行うようにしているが、残ガス率が30%以下になって並列供給を行っているときに、例えば警報を出力するなどして人為的にガス供給を並列から単独に切り替えるとともに液化ガス容器の交換を行うようにすることもできる。
【0037】
また、ガス供給系統が2系統の例を挙げて説明したが、ガス供給系統が3系統以上の場合でも同じようにすることができ、例えば、第1系統がガス供給中に、第2系統を第1待機状態、第3系統を第2待機状態としておき、第2系統からのガス供給に切り替わったときに、第3系統を第1待機状態、第1系統を第2待機状態としておくことにより、液化ガス容器を交換する時間を広げることができ、液化ガス供給装置の冗長性を向上させることができる。さらに、ガス供給系統が3系統以上の場合は、残ガス率が低い第1系統を第1ガス供給状態、残ガス率が高い第2系統を第2ガス供給状態、第3系統以下を待機状態としておき、第1系統が容器交換を行って待機状態になったときに、残ガス率が低い第2系統を第1ガス供給状態、残ガス率が高い第3系統を第2ガス供給状態とするように設定することで大量のガス供給にも対応することが可能である。
【0038】
なお、液化ガスの種類は、特に限定されるものではなく、また、液化ガス容器内の液化ガス量を検出する液化ガス量検出手段は、重量計に限るものではなく、液化ガス容器内の液化ガス量を検出できるものならば任意のものを使用することができ、例えば各種液面計を用いることも可能である。さらに、圧力計を用いて液化ガス容器内の液化ガス量を間接的に検出することもできる。また、供給状態を切り替えるための残ガス率の数値も、ガスの種類や供給圧力、供給量などの条件に応じて適宜設定することができる。さらに、液化ガス容器には、該液化ガス容器を加熱して液化ガスの蒸発を促進させる手段を、法令(一般高圧ガス保安規則第60条)で許される範囲内で付加しておくことができる。
【符号の説明】
【0039】
11a,11b…液化ガス容器、12a,12b…重量計、13a,13b…減圧弁、14a,14b…自動開閉弁、15a,15b…減圧経路、16a,16b…バイパス弁、17a,17b…バイパス経路、18…使用先ガス供給経路、19…制御手段、20…減圧器、21a,21b,22…圧力計
図1
図2
図3