(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
造営材に埋め込まれる埋込型のスイッチの前面側に取着されて且つ化粧プレートの開口を通じて外部に露出するように設けられた操作用ハンドルの操作面に形成され、電子情報を表示可能な電子情報表示部と、
ネットワークを介して外部電子機器と通信し、該外部電子機器から所定の表示要求信号を取得する通信部と、
前記通信部に接続され、該通信部から前記表示要求信号が入力される信号入力部と、
前記信号入力部に入力された表示要求信号に応じて、前記電子情報表示部に表示する電子情報の表示内容を制御する表示制御部と
を備えることを特徴とする電子情報表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明に係る配線装置、およびこの配線装置に組み込まれる電子情報表示装置を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
<実施例1>
本実施例における配線装置は、造営材に埋め込まれた埋め込みボックスに配設される埋込型の配線器具(スイッチ、コンセント等)と、この配線器具を保持する取付枠と、この取付枠に取り付けられた配線器具用プレートと、電子情報表示装置とを含んで構成されている。本実施例においては、配線器具としてスイッチを採用している。
【0016】
図1は、実施例1に係る配線装置1の分解斜視図である。
図2は、実施例1に係る配線装置1の斜視図である。
図3は、実施例1に係る配線装置1の側面図である。以下の説明では特に断りが無い限り、
図2に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、
図2中の正面を前面として説明を行う。本実施例に係る配線装置1は、以下に説明するように、外部に露出する操作用ハンドルの前面(操作面)を、電子情報を掲示する掲示スペースとして利用することを特徴としている。
【0017】
配線装置1は、配線器具としてのスイッチ本体11と、スイッチ本体11の前面に対向する形で配設され一端部がスイッチ本体11に枢着される操作用ハンドル12とを備える。スイッチ本体11は、押釦ハンドル111を備え、この押釦ハンドル111の押し操作がなされる毎に内蔵する接点を反転させる。ここで、スイッチ装置1には、例えば商用交流電源などの電源と、照明器具などの負荷機器とを含む直列回路が接続されている。押釦ハンドル111の押し操作に応じて、スイッチ本体11に内蔵される接点のオン/オフが切り替わることで、負荷機器と電源との間のオン/オフ状態、すなわち負荷機器のオン/オフが切り替えられる。
【0018】
操作用ハンドル12は、スイッチ本体11に枢着されていない方の端部裏面で押釦ハンドル111を押し操作することが可能な所謂ピアノハンドルである。更に、操作用ハンドル12は、その前面として形成される操作面121の面積がスイッチ本体11の前面よりも大きく形成された所謂ワイドハンドルでもある。
【0019】
スイッチ本体11の器体は、器具取付用の窓孔2aを有した取付枠2に保持されている。この取付枠2は、造営材(例えば、居室の壁面)に埋め込まれた埋め込みボックス(図示せず)に取り付けられる。取付枠2の前面側には取付枠2の窓孔2aよりも長寸かつ広幅の開口窓3aを備える化粧プレート(配線器具用プレート)3が配置される。取付枠2は、例えば大角連用形(JIS C8304参照)によって規格化されている埋込型配線
器具の施工時に用いる取付枠である。スイッチ本体11は、その短手方向の寸法が、取付枠2の窓孔2aにおける長手方向の寸法の略3分の1の寸法に形成されており、これによって、取付枠2に対してスイッチ本体11を3個まで取り付け可能となっている。スイッチ本体11は、周知の機構を用いて取付枠2に取り付けられている。
【0020】
化粧プレート3は、例えばABS樹脂のような合成樹脂によって形成された成形品である。化粧プレート3には、矩形枠状に形成されており、操作用ハンドル12を外部に露出させるための開口窓3aを有する。また、化粧プレート3には、取付ねじが挿通される挿通孔が設けてあり、この取付ねじによって取付枠2に取り付けられるように構成されている。配線装置1の組み立て施工に際しては、スイッチ本体11を取り付けた取付枠2に、取付ねじを用いて化粧プレート3を取り付けるとともに、スイッチ本体11の前面側に操
作用ハンドル12を取り付ける。このようにして、壁面に埋め込まれた埋め込みボックスに配設される配線装置1において、化粧プレート3の開口窓3aを通して操作用ハンドル12の一部を化粧プレート3の前方に突出させることができ、扱い者(使用者)はこの状態で操作用ハンドル12を押操作することができる。
【0021】
図4は、実施例1に係る配線装置1の使用状態を示している。図示のように、配線装置1は、例えば居室の出入り口41近傍の壁40に設置されており、居室内に設置された照明器具などの負荷機器をオン/オフするために使用される。図中の符号42は、居室内における所定の検知エリア内における人の存否を検知する人体検知センサー(人感センサー)である。符号43は、例えばガス漏れを検知する異常検知センサーである。尚、異常検知センサー43が検知する対象(センシング対象)はガス漏れに限られるものではなく、火災などの異常を検知するセンサー、あるいは、検知エリアにおける温度、湿度などを検出するセンサーと置換したり、あるいは複数のセンサーを併設しても良い。
【0022】
配線装置1における操作用ハンドル12の操作面(前面)121には、電子情報を表示(掲示)する電子情報表示部としての電子ペーパー5が形成されている(
図1、
図2を参照)。本実施例では、操作用ハンドル12の操作面121の略全面にわたって電子ペーパー5が平面ディスプレイとして形成されているが、これに限定されるものではない。電子ペーパー5は、電気的な手段で電子情報の表示及び消去が可能な薄膜平面ディスプレイであり、無電力状態でも表示した電子情報を維持することができる。より具体的には、電子ペーパー5は、光電導層、光吸収層、表示層を2つの透明電極の間に挟んでなる周知の光書き込み型電子ペーパーであって、透明電極を介して受光した光像(受光パターン)に応じて光電導層の抵抗が変化し、表示層を形成するコレスティック液晶の配向が変化することで光を選択的に反射する。電子ペーパー5は、光像をコレスティック液晶の配向方向として表示層に記憶する。このようにして表示層に記憶された光像は、電源を切っても消えない不揮発性であるが、透明電極の電圧制御により消去することが可能である。
【0023】
図5は、実施例1に係る配線装置1の概略構成を示すブロック図である。スイッチ本体11には、商用交流電源などの電源100と、照明器具などの負荷機器Lとを含む直列回路が接続されている。符号112は、押釦ハンドル111(
図1を参照)の押し操作に応じて、スイッチ本体11に内蔵される接点のオン/オフを切り替える開閉装置である。押釦ハンドル111のオン/オフは、操作用ハンドル12の切り替え操作に応じて切り替わるようになっている。
【0024】
配線装置1は、インターフェースである信号入力部6、電子ペーパー5の表示状態を制御する表示制御部として機能するCPU(プロセッサ)7、メモリ8、電源部9を備える。信号入力部6は、所定の表示要求信号が入力される。この表示要求信号とは、電子ペーパー5に電子情報を表示する要求信号であり、本実施例では、所定の事象の発生に応じた事象発生信号が外部から入力される。信号入力部6には、
図4に示した人体検知センサー42、異常検知センサー43、通信部10が接続されている。
【0025】
通信部10は、携帯電話端末やパソコン等の外部電子機器44と通信する通信モジュールである。例えば、通信部10は、外部電子機器44と無線ネットワーク又は有線ネットワークを介して通信することができる。有線ネットワーク又は無線ネットワークは、例えば、電話回線、ネットワーク回線、ケーブル(光ケーブル、金属ケーブルを含む)、無線リンク、携帯電話アクセス回線、PHS[Personal Handyphone System]網、無線LAN[Local Area Network]、Bluetooth(ブルートゥース特別利益団体の商標)などからネ
ットワークが例示できる。人体検知センサー42、異常検知センサー43、外部電子機器44が出力する信号は、上記表示要求信号として信号入力部6に入力される。
【0026】
CPU7は、信号入力部6を介して入力された表示要求信号に基づいて、電子ペーパー5に表示させる電子情報の表示内容を制御することで表示制御部として機能する。メモリ8は、信号入力部6に入力された各種表示要求信号を記憶したり、CPU7に実行させるための動作プログラムが記憶されている。つまり、CPU7は、メモリ8に記憶されている動作プログラムを実行することにより、電子ペーパー5に表示させる電子情報の表示内容を制御する。メモリ8は、揮発性のDRAM(Dynamic Random Access Memory)、不揮発性のEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含む
。
【0027】
電源部9は、電源100の交流電圧を所望の電圧値の直流電圧に変換して、電子ペーパー5、CPU7、メモリ8などに供給する動作電源を生成する。なお、信号入力部6、CPU7、メモリ8、および電源部9などを構成する回路部品は、例えば図示しないプリント配線基板に実装されるなどして、スイッチ本体11の器体内に収納されている。或いは、上記プリント配線基板は、埋め込みボックス内の収容空間にスイッチ本体11と別に配設されても良いし、化粧プレート3の筐体内に収納されても良い。本実施例における電子情報表示装置は、電子ペーパー5、CPU7、メモリ8、電源部9、通信部10を含んで構成されている。
【0028】
次に、CPU7による電子ペーパー5の制御動作について説明する。信号入力部6には、他の外部電子機器44からの通知信号が通信部10を介して入力され、人体検知センサー42からの人体検知信号、異常検知センサー43からの異常検知信号などが有線によって入力される。これらの各種信号は、所定の事象が発生したという事実を電子ペーパー5に電子情報として表示させるための表示要求信号の例示である。信号入力部6に表示要求信号が入力されると、それに連動して、CPU7は、信号入力部6に入力された表示要求信号に応じて電子ペーパー5に表示させる電子情報の表示内容を制御する。その際、CPU7は、表示要求信号に適した内容の電子情報を電子ペーパー5に表示させる表示制御部として機能する。
【0029】
ここで、
図6は、実施例1に係る電子ペーパー5の表示態様の一例を示す図である。(a)は、人体検知センサー42が不法侵入者を検知した場合の表示態様を示す。(b)は、異常検知センサー43がガス漏れ異常を検知した場合の表示態様を示す。(c)および(d)は、特定の外部電子機器44から通知信号が出力された場合の表示態様を示す。ここでは、特定の携帯電話端末(例えば、登録済みの携帯電話端末)を外部電子機器44としており、(c)は当該特定の携帯電話端末が他の端末から着信した場合の表示態様を示し、(d)は特定の携帯電話端末が他の端末からメールを受信した場合における表示態様を示している。
【0030】
外部電子機器44としては、携帯電話に限られず他の機器を適用しても良い。例えば外部電子機器44として、インターホン親機、炊飯器、給湯器などが例示できる。例えば、インターホン親機がドアホン子機からの呼出に応じて通知信号を出力した場合、CPU7は、信号入力部6への通知信号の入力に応じて、「来訪者あり」とのメッセージを電子情報として電子ペーパー5に表示させても良い。また、炊飯器や給湯器などのスイッチ操作に応じて所定の動作を行う外部電子機器44が、所定の動作(炊飯や湯沸かしなど)を完了した場合に通知信号を出力した場合、CPU7は、所定の動作が完了したこと(例えばご飯の炊き上がりやお湯が沸騰したこと)を示すメッセージを電子情報として電子ペーパー5に表示させても良い。
【0031】
図7に、電子ペーパー5における表示態様の他のバリエーションを示す。例えば、(a)は信号入力部6に地震速報に関する情報信号が入力された場合、(b)は信号入力部6
に天気予報に関する情報信号が入力された場合の電子ペーパー5の表示態様を例示している。ここで、地震速報や天気予報に関する情報信号は、特定のサーバーから受信するようにしても良い。(c)は、信号入力部6に温度および湿度に関する検出信号が入力された場合の電子ペーパー5の表示態様を例示している。信号入力部6に入力される温度および湿度に関する検出信号は、例えばスイッチ装置1の近傍に設置された温度センサーや湿度センサーから出力されても良い。
【0032】
以上のように、本実施例における配線装置1およびこれに組み込まれた電子情報表示装置によれば、従来は、スイッチ本体11の押釦ハンドル111の押し操作を行う用途のみに用いられていた操作用ハンドル12の操作面121に電子ペーパー5を形成し、それを電子情報の掲示スペースとして利用することが可能である。これによれば、操作用ハンドル12を電子情報掲示ボードとして利用する事ができ、従来には無い新たな機能を操作用ハンドル12に付与(付加)することができる。よって、配線装置1に付加価値を付与することができると共に、その利用用途の幅を拡大することができる。特に、操作用ハンドル12の操作面121は、いわゆるワイドハンドルであるため、電子情報を表示する表示スペースを確保し易いといったメリットがある。
【0033】
本実施例の配線装置1によれば、電子情報の表示スペースとして操作用ハンドル12の操作面121を利用するため、電子情報を表示する電子情報表示装置を居室内に別途設置する場合に比べて、居室スペースの有効活用に資することができる。更に、配線装置1は、通常、居室の出入り口などの人目に付き易い場所に設けられる。よって、このように人目に付き易い場所に設置される配線装置1の操作用ハンドル12を電子情報の表示媒体として利用することで、必要な情報をユーザーに確実に提供することが可能となる。また、配線装置1は、通常、1の居室内に少なくとも1つは設置されているため、配線装置1の操作用ハンドル12を電子情報の表示媒体として利用することによって、電子情報の表示スペースを容易に確保することができる。
【0034】
また、本実施例に係る電子情報表示装置は、配線装置1に組み込むように構成したので、規格化された埋め込みボックスを利用し、電子ペーパー5やCPU7などの電子情報を制御する電子部品への動作電圧を、電源100と負荷機器Lを含む直列回路から供給することができる。したがって、電子情報表示装置用に別途の電源装置を設ける必要が無く、イニシャルコストおよびランニングコストの削減に寄与することができる。
【0035】
なお、上記構成の配線装置1では、操作用ハンドル12の操作面121に形成する電子情報表示部として電子ペーパー5を採用したが、これには限定されず、他種の平面ディスプレイを採用することができる。例えば、電子情報表示部として、有機ELディスプレイを好適に採用することができる。電子ペーパー5を有機ELディスプレイに置き換えた場合においても、CPU7が実行する制御内容は上記内容と共通とすることができる。すなわち、CPU7は、事象の発生に応じて外部から信号入力部6に入力された各種事象発生信号に応じて、有機ELディスプレイに表示させる電子情報の表示内容を制御することができるので、上述した実施例1に係る配線装置1と同様の効果を奏することが可能である。
【0036】
また、本実施例の電子情報表示装置は、操作用ハンドル12の筐体内部に配設することも可能である。すなわち、この構成によれば、操作用ハンドル12に上述の電子ペーパー5、CPU7、メモリ8などが備えられる。このように電子情報表示装置を操作用ハンドル12に組み込む場合、既存の配線装置に操作用ハンドルを本実施例に係る操作用ハンドル12に付け替えれば、既存の配線装置に新たな機能を付与することができるというメリットがある。すなわち、特別な配線工事などが不要となり、使い勝手が良い。
【0037】
なお、電子ペーパー5およびCPU7の駆動電源は、操作用ハンドル12の筐体内に電池(例えば、ボタン電池)を収容し、当該電池から上記駆動電力を供給しても良い。また、操作用ハンドル12の操作面121に光エネルギーを電力に変換する、例えば太陽電池などの光電変換装置を設置し、この光電変換装置から電子情報表示装置に駆動電力を供給しても良い。勿論、埋め込みボックス内に引き込まれた電源配線を通じて、操作用ハンドル12に電子情報表示装置の駆動電力を供給しても良い。例えば、操作用ハンドル12の裏面(操作面と逆の面)から埋め込みボックス側に向けて配線を出し、この配線を埋め込みボックス内に引き込まれた電源配線と接続しても良い。また、非接触電力伝送(ワイヤレス給電や非接触電力伝達、無接点電力伝送とも称呼される)の技術を利用して、金属接点やコネクタなどを介さずに埋め込みボックス内から操作用ハンドル12内の電子情報表示装置に駆動電力を供給しても良い。
【0038】
<実施例2>
次に、実施例2に係る配線装置1Aを説明する。
図8は、実施例2に係る配線装置1Aの斜視図である。本実施例における配線装置1Aは、実施例1の配線装置1と同様に、造営材に埋め込まれる埋込型のスイッチ装置である。配線装置1Aは、化粧プレート(配線器具用プレート)3に対して、
図4に示す各種センサーが配設されている点で実施例1と相違する。その他の基本構成については実施例1の配線装置1と同様である。
【0039】
図8に示すように、化粧プレート3には、人体検知センサー42、異常検知センサー43、温度センサー45、湿度センサー46が配置されている。これら各種センサーについては、実施例1において述べたものと同等の機能を有しており、その詳細な説明は省略する。上記各種センサーが出力する検出信号は、表示要求信号として信号入力部6に入力される。本実施例に係る配線装置1Aにおいては、化粧プレート3に各種センサーを配置したので、天井面や壁面などの造営材に上記センサーを設置する必要が無く、センサーから配線装置1Aまでの配線工事を行う必要もないため、施工費用の低減を図ることができる。なお、化粧プレート3に配置するセンサーの種類は上記の例に限定されるものではなく、種々のセンサーを配置することができる。
【0040】
<実施例3>
次に、実施例3について説明する。上述までの実施例では、スイッチ本体11のオン/オフを切り替える操作用ハンドル12の操作面121に電子ペーパー5を形成する場合を説明したが、本実施例では、配線装置1に係る化粧プレート(配線器具用プレート)3のプレート前面31に電子ペーパー5を形成するようにした。
図9に、実施例3に係る配線装置1Bの斜視図を示す。配線装置1Bは、上述までの実施例と同様に、造営材に埋め込まれる埋込型のスイッチ装置である。配線装置1Bに係る化粧プレート3のプレート前面31に、電子情報を表示可能な電子ペーパー5(電子情報表示部)を形成することにより、上記各実施例と同様に、配線装置1に新たな機能を付与し、その利用価値を高めることができる。
【0041】
<実施例4>
次に、実施例4について説明する。上述までの実施例では、配線装置1が備える配線器具としてスイッチ本体11を例示したが、配線器具はこれに限定されるものではなく、例えば、プラグの差込口115を有するコンセントであっても良い。
図10は、実施例4に係る配線装置1Cの正面図である。本実施例に係る配線装置1Cは、コンセント11Aを備えるコンセント装置であり、外部に露出する化粧プレートとしてコンセントプレート3Aを備える。本実施例では、コンセントプレート3Aのプレート前面31に、電子情報を表示可能な電子情報表示部である電子ペーパー5が形成されている。このような構成によっても、上記各実施例と同様に、配線装置1に新たな機能を付与し、その利用価値を高めることができる。なお、実施例1で述べた通り、電子ペーパー5の代わりに、有機ELデ
ィスプレイなどの他種の平面ディスプレイを採用しても良い。なお、コンセント11Aが備える差込口115の数は、特定の数に限定されず、適宜変更することができる。
【0042】
<実施例5>
次に、実施例5について説明する。実施例5では、複数の負荷機器Lを制御するための負荷制御システムSについて説明する。
図11は、負荷制御システムSを説明するシステム概要図である。負荷制御システムSは、電源100と、複数のスイッチ装置1Dと、複数の負荷機器Lを含み、これらが電力線101を介して接続されている。図示の例では、3つの負荷機器L1〜L3が電力線101を介して電源100と並列に接続されており、各負荷機器Lにはスイッチ装置1D−1〜1D−3が対応して設けられている。なお、
図11に示す負荷制御システムSに含まれる負荷機器の数は特定の数に限定されるものではない。
【0043】
図12は、実施例5に係るスイッチ装置1Dの内部構成を示す図である。上述までの実施例と同一の構成要素については共通の符号を付すことで、その詳しい説明を省略する。スイッチ装置1Dは、例えば実施例1に係る配線装置(スイッチ装置)1と同様、電子ペーパー5、信号入力部6、CPU7、メモリ8、電源部9、通信部10等を備える。スイッチ装置1Dは、リレースイッチ113、駆動ドライバ103を備える。リレースイッチ113は、駆動ドライバ103によって駆動され、スイッチ装置1Dに対応する負荷機器Lの電源100との導通および遮断状態を切り替えることで、負荷機器Lに対する電力供給のオン、オフを切り替える。また、駆動ドライバ103は、CPU7からの制御信号を受けてリレースイッチ113を駆動することができる。
【0044】
スイッチ装置1Dにおける通信部10は、実施例1において述べた外部電子機器44の一例として、外部操作端末44Aと無線ネットワークを介して通信可能となっている。更に、負荷制御システムSに含まれるスイッチ装置1D(1D−1〜3)同士は、無線ネットワークを介して互いに通信可能になっている。本実施例では、無線ネットワークを介してスイッチ装置1D(1D−1〜3)同士の通信、および各スイッチ装置1Dと外部操作端末44Aとの間の通信を行う場合を説明するが、有線ネットワークを利用して通信を行うようにしても良い。
【0045】
スイッチ装置1Dにおいて、スイッチ本体11に設けられるスイッチ操作検出部114からの検出信号が信号入力部6に入力される。スイッチ操作検出部114は、利用者による操作用ハンドル12の操作によって、スイッチ本体11の押釦ハンドル111が切り替えられたことを検出し、その検出信号(以下、「スイッチ切替要求信号」という)を信号入力部6に出力する。
【0046】
本実施例に係る負荷制御システムSにおいては、各スイッチ装置1Dは所謂プログラマブルスイッチとして機能する。すなわち、操作用ハンドル12のハンドルを操作によってオン、オフを切り替えることが可能な負荷機器L(以下、「制御対象負荷」ともいう)とスイッチ装置1Dとの対応関係を自由に変更することができる。具体的には、スイッチ装置1D毎に割り当てられている制御対象負荷を、外部操作端末44Aから各スイッチ装置1Dに一斉配信される指示信号に基づいて変更する。ここで、一のスイッチ装置1Dに割り当てられる制御対象負荷の数は特に限定されず、一のスイッチ装置1Dに複数の負荷機器Lを割り当てることも可能である。
【0047】
ここで、各スイッチ装置1Dにおけるメモリ8には、
図13に示す負荷割り当てテーブルTLが記憶されている。
図13は、実施例5に係る割り当て管理テーブルTLを模式的に示す図である。
図13に示すように、割り当て管理テーブルTLは、システムSに含まれるスイッチ装置1Dと同数のレコードを有している。ここで、各レコードは、「スイッ
チ装置」、「ハンドル」、「物理制御対象」、「仮想制御対象」のフィールドを有している。
【0048】
「スイッチ装置」のフィールドは、各スイッチ装置1Dに対応する識別情報(1D−1、1D−2、1D−3)が記憶されるフィールドである。「ハンドル」のフィールドは、各スイッチ装置1D−1、1D−2、1D−3が備える操作用ハンドル12に対応する識別情報(HD1、HD2、HD3)が記録されるフィールドである。「物理制御対象」のフィールドは、各スイッチ装置1Dにおけるリレースイッチ113が作動することで通電のオン、オフ状態が切り替わる制御対象負荷に対応する識別情報が記録されるフィールドである。「仮想制御対象」のフィールドは、現在の各操作用ハンドル12(HD1、HD2、HD3)に対して割り当てられている制御対象負荷に対応する識別情報が記録されるフィールドである。
【0049】
「仮想制御対象」に記録される識別情報は、利用者の操作によって外部操作端末44Aから発信された割り当て変更信号を各スイッチ装置1Dが受信すると、CPU7は割り当て管理テーブルTLにおける「仮想制御対象」のフィールドに記録されている識別情報を書き換える。外部操作端末44Aから配信される割り当て変更信号の配信は、例えばブロードキャスト送信によって各スイッチ装置1Dに一斉に送信される。そして、外部操作端末44Aから割り当て変更信号を受信した各スイッチ装置1Dは、上記のようにメモリ8に保存している割り当て管理テーブルTLを更新する。従って、各スイッチ装置1Dのメモリ8に保存されている割り当て管理テーブルTLは、同一の状態となっている。
【0050】
ここで、
図13に示す割り当て管理テーブルTLにおいて、「仮想制御対象」のフィールドは、スイッチ装置1D−1(HD1)に負荷機器L1が対応付けられ、スイッチ装置1D−2(HD2)に負荷機器L3が対応付けられ、スイッチ装置1D−3(HD3)に負荷機器L1および負荷機器L2が対応付けられた状態となっている。ここで、各スイッチ装置1Dは、各々の操作用ハンドル12の操作面121に形成された電子ペーパー5に、現在の制御対象負荷に関する情報(以下、「割り当て対象情報」という)を表示させる。この割り当て対象情報は、
図13に示した割り当て管理テーブルTLにおける「仮想制御対象」のフィールド情報に対応する。
【0051】
すなわち、
図13に示す状態では、現在、例えばスイッチ装置1D−2の操作用ハンドル12(HD2)には負荷機器L3が割り当てられている。従って、スイッチ装置1D−2のCPU7は、自装置に設けられている操作用ハンドル12の操作面121に、負荷機器L3が制御対象負荷であることを示す電子情報を表示させる。例えば、負荷機器L3が「リビングの照明」である場合には、「リビングの照明機器」との電子文字情報を操作面121に表示させても良い。そして、前述のように、外部操作端末44Aからの割り当て変更信号の受信を契機として割り当て管理テーブルTLが更新されると、CPU7は、更新後における割り当て管理テーブルTLの「仮想制御対象」のフィールド情報に基づいて、電子ペーパー5によって操作面121に表示させる電子情報の表示態様を変更する。なお、割り当て管理テーブルTLの更新前後において、自装置における「リレースイッチ」と「仮想制御対象」との対応関係が変更されない場合には、操作面121への表示態様を変更する必要はない。
【0052】
次に、利用者が各スイッチ装置1Dの操作用ハンドル12を操作する際に行われる処理内容について説明する。ここでは、各スイッチ装置1Dのメモリ8に保存されている割り当て管理テーブルTLが
図13に示す状態である場合を例に説明する。例えば、利用者が、負荷機器L1のオン、オフを切り替えるべくスイッチ装置1D−1の操作用ハンドル12を操作すると、スイッチ装置1D−1のスイッチ操作検出部114がスイッチ切替要求信号を出力する。このスイッチ切替要求信号を取得したスイッチ装置1D−1のCPU7
は、割り当て管理テーブルTLを参照して、現在の「仮想制御対象」のフィールド情報を読み出し、「物理制御対象」のフィールド情報と一致しているかどうかを判別する。
図13の例では、現在の「仮想制御対象」のフィールド情報と「物理制御対象」のフィールド情報が共に「L1」であり、一致している。この場合、スイッチ装置1D−1のCPU7は、スイッチ装置1D−1の駆動ドライバ103にリレースイッチ113を駆動するための制御信号を出力し、駆動ドライバ103にリレースイッチ113を切り替えさせることで、負荷機器L1の通電状態を切り替える。
【0053】
次に、利用者が負荷機器L3の通電状態を切り替える場合を説明する。現在、各スイッチ装置1Dにおける割り当て管理テーブルTLが
図13に示す状態の場合、スイッチ装置1D−2における操作用ハンドル12の操作面121に、「負荷機器L3」が制御対象負荷であることを示す内容の電子情報が表示されている。そこで、利用者は、「負荷機器L3」のオン、オフを切り替えるべく、スイッチ装置1D−2の操作用ハンドル12を操作する。その結果、スイッチ装置1D−2のスイッチ操作検出部114がスイッチ切替要求信号を出力する。スイッチ装置1D−2のスイッチ操作検出部114が出力したスイッチ切替要求信号を取得したCPU7は、割り当て管理テーブルTLを参照して、現在の「仮想制御対象」のフィールド情報を読み出し、「物理制御対象」のフィールド情報と一致しているかどうかを判別する。双方のフィールド情報が一致している場合の処理内容は前述した通りである。
【0054】
図13に示す状態では、スイッチ装置1D−2のCPU7が対応する「仮想制御対象」から読み出したフィールド情報は「L3」であり、「物理制御対象」から読み出したフィールド情報の「L2」と相違している。そこで、スイッチ装置1D−2のCPU7は、自装置における現在の「仮想制御対象」のフィールド情報に対応する「物理制御対象」のフィールド情報と有する「スイッチ装置」を読み出す。ここでは、現在の「仮想制御対象」のフィールド情報が「L3」であるため、「物理制御対象」のフィールド情報として「L3」が記録されている「スイッチ装置1D−3」が読み出さる。そこで、スイッチ装置1D−2は、スイッチ装置1D−3に対してスイッチ切替指令信号を送信する。
【0055】
スイッチ切替指令信号を受信したスイッチ装置1D−3は、CPU7が駆動ドライバ103にリレースイッチ113を駆動する制御信号を出力する。このようにして、スイッチ装置1D−3のリレースイッチ113を作動することで、負荷機器L3の通電状態を切り替えることができる。
【0056】
なお、上記の処理内容では、スイッチ操作検出部114が出力したスイッチ切替要求信号を取得したCPU7が、特定の他のスイッチ装置1Dへとスイッチ切替指令信号を出力したが、取得したスイッチ切替要求信号を他のスイッチ装置1Dに一斉配信しても良い。例えば、上記の場合には、スイッチ装置1D−2から、スイッチ切替要求信号がスイッチ装置1D−1および1D−3の双方に送信される。スイッチ切替要求信号が転送されたスイッチ装置1D−1、1D−3は、割り当て管理テーブルTLを参照し、自装置に係る「物理制御対象」のフィールド情報が、スイッチ切替要求信号の発信元(ここでは、スイッチ装置1D−2が該当する)に対応する「仮想制御対象」のフィールド情報の少なくとも一部に一致しているか否かを判定する。そして、自装置の「物理制御対象」が、上記スイッチ切替要求信号の発信元装置の「仮想制御対象」の全部又は一部に一致している場合、CPU7から駆動ドライバ103にリレースイッチ113を駆動する制御信号を出力すると良い。ここで、「少なくとも一部に一致する(全部又は一部に一致する)」とは、「仮想制御対象」に複数の制御対象負荷が割り当てられる場合があるからである。この場合には、「物理制御対象」が「仮想制御対象」の一部に合致することになる。
【0057】
図13に示す例では、スイッチ装置1D−3が、上記条件に合致するスイッチ装置とな
る。すなわち、スイッチ装置1D−3に係る「物理制御対象」のフィールド情報(L3)が、スイッチ切替要求信号の発信元(スイッチ装置1D−2)に対応する「仮想制御対象」のフィールド情報(L3)に一致するからである。従って、この場合、スイッチ装置1D−3のリレースイッチ113がCPU7からの制御信号に基づいて作動することで、利用者の要求通り負荷機器L3の通電状態を切り替えることができる。
【0058】
次に、利用者が負荷機器L1およびL2を同時に切り替える場合を説明する。現在、スイッチ装置1D−3における操作用ハンドル12の操作面121に、負荷機器L1およびL2が制御対象負荷であることを示す電子情報が表示されている。そこで、利用者は、負荷機器L1、L2を一斉操作するべく、スイッチ装置1D−3の操作用ハンドル12を操作する。その結果、スイッチ装置1D−3のスイッチ操作検出部114がスイッチ切替要求信号を出力する。スイッチ切替要求信号を取得したスイッチ装置1D−3のCPU7は、割り当て管理テーブルTLを参照して、現在の「仮想制御対象」のフィールド情報を読み出し、「物理制御対象」のフィールド情報と一致しているかどうかを判別する。双方のフィールド情報が一致している場合の処理内容は前述した通りである。
【0059】
図13に示す状態では、スイッチ装置1D−3のCPU7が対応する「仮想制御対象」から読み出したフィールド情報は「L1+L2」であり、「物理制御対象」から読み出したフィールド情報の「L3」とは相違する。なお、ここでの「L1+L2」との表記は、スイッチ装置1D−3に現在割り当てられている「仮想制御対象」が「L1」および「L2」であることを意味する。そこで、スイッチ装置1D−3のCPU7は、自装置における現在の「仮想制御対象」のフィールド情報に対応する「物理制御対象」のフィールド情報と有する「スイッチ装置」を読み出す。ここでは、現在の「仮想制御対象」のフィールド情報が「L1+L2」であるため、「物理制御対象」のフィールド情報として「L1」が記録されている「スイッチ装置1D−1」と、「物理制御対象」のフィールド情報として「L2」が記録されている「スイッチ装置1D−2」が読み出される。
【0060】
スイッチ装置1D−3のCPU7は、上記のように割り当て管理テーブルTLから読み出した「スイッチ装置」のフィールド情報に対応するスイッチ装置1D−1、1D−2に対して、スイッチ切替指令信号を送信する。その結果、スイッチ装置1D−1、1D−2の各々のCPU7は、駆動ドライバ103にリレースイッチ113を駆動する制御信号を出力する。その結果、スイッチ装置1D−1およびスイッチ装置1D−2のリレースイッチ113が作動し、負荷機器L1および負荷機器L2の通電状態を切り替えることができる。
【0061】
なお、スイッチ装置1D−3のCPU7は、上記スイッチ切替指令信号を送信する代わりに、スイッチ操作検出部114から取得したスイッチ切替要求信号を他のスイッチ装置1D(1D−1、1D−2)に一斉配信し、当該信号を受信した他のスイッチ装置1D(1D−1、1D−2)のCPU7に自装置に係るリレースイッチ113を駆動させて、制御対象負荷への通電状態を切り替えるべきか否かを判別させても良い。この場合、スイッチ装置1D−1、1D−2の各CPU7は、自装置に係る「物理制御対象」のフィールド情報が、スイッチ切替要求信号の発信元(スイッチ装置1D−3)に対応する「仮想制御対象」のフィールド情報の少なくとも一部に一致しているか否かを判定する。そして、肯定判定がなされた場合、当該肯定判定をなしたCPU7は、駆動ドライバ103にリレースイッチ113を駆動する制御信号を出力すると良い。本ケースでは、スイッチ装置1D−1、1D−2の双方に割り当てられている「物理制御対象」が、スイッチ切替要求信号の発信元(スイッチ装置1D−3)に対応する「仮想制御対象」の一部を構成するため、スイッチ装置1D−1、1D−2の双方のリレースイッチ113がCPU7からの制御信号に基づいて切り替えられる。
【0062】
以上のように、本実施例に係る負荷制御システムSにおいては、各スイッチ装置1Dに割り当てられる制御対象負荷を自由に変更することができる。そして、各スイッチ装置1Dにおける操作用ハンドル12の操作面121に現在の制御対象負荷を電子情報として表示させるようにしたので、各スイッチ装置1Dに割り当てられる制御対象負荷が変更される度に、利用者にその変更内容を容易に知らしめることが可能であり、利用者にとって非常に使い勝手の優れた負荷制御システムを提供することができる。
【0063】
以上、本発明を実施する形態を説明したが、可能な限り各実施例は組み合せることができる。また、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記した実施形態には種々の変更を加えることができる。