(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
媒体に印字する印字ヘッドと、前記媒体の搬送方向に対して前記印字ヘッドの上流側に設けられる上流側ローラと、前記媒体の搬送方向に対して前記印字ヘッドの下流側に設けられる下流側ローラと、前記2つのローラの回転により前記媒体の搬送を制御する制御部を有する印字装置において、
前記制御部は、印字開始時に、前記媒体の先端が前記下流側ローラで挟まれる位置より所定量突出した位置である印字位置に前記媒体をセットする場合に、
前記媒体の先端が前記下流側ローラで挟まれる位置より所定量突出した第1の位置になるまで当該媒体を順方向に搬送させ、その後前記媒体を逆方向に搬送させて、当該媒体の先端が前記下流側ローラで挟まれる位置より所定量引っ込んだ第2の位置まで戻し、当該戻した後に、再度、前記媒体を順方向に搬送させて当該媒体を前記印字位置にセットするよう制御し、
前記下流側ローラで挟まれる位置から前記第2の位置までの所定量をNとし、前記下流側ローラの直径をDとして、
Nは、
0.19D≦N≦0.31D を満足する
ことを特徴とする印字装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、本発明を、金融機関等の窓口で使用される印字装置1に適用した例を示す。
図1は、印字装置1の内部の主な媒体搬送に係る構成を模式的に示した図である。
図1(A)は、印字装置1の上面図である。
図1(B)は、印字装置1の側面図である。
【0010】
印字装置1は、略四角形の箱型形状で、幅と奥行きが大体同じ長さで、高さ方向に薄い形状になっている。また、印字装置1の前面の上部は、印字媒体の取り扱いを容易にするために傾斜した面になっている。印字装置1の前面には幅方向に開口した媒体挿排出口5が設けられる。媒体挿排出口5は、印字媒体100(以下、媒体と略す)を挿入する部分で、かつ、内部で印字された媒体が排出される部分である。なお、以下では、上側/下側、前側/後側を図に示すような方向とする。
【0011】
媒体100の種類は、例えば、帳票、単票、伝票、複写媒体あるいは通帳である。媒体挿排出口5から投入可能な媒体100の横幅は、例えば最大A4サイズ(297mm)で、もちろんそれ以下の横幅サイズの媒体100であれば投入可能である。金融機関等で使用される媒体サイズは一様ではなく、多種サイズの媒体が印字可能であることが印刷装置には求められるからである。
【0012】
図1(A)では、A4サイズより小さい、例えばB5サイズ(182x257mm)の帳票を、用紙の長手方向を装置の幅方向にして矢印p方向に投入される様子を示す。なお、以降の説明では、
図1(A)に図示の通り、媒体100の搬送方向に平行な方向を奥行き方向、直交する方向を幅方向と称す。また、媒体の搬送方向において、奥側に向かうp方向の搬送を順方向、p方向と反対の方向を逆方向と称す。
【0013】
印字装置1の内部には、媒体挿排出口5から投入される媒体100を搬送するためのローラが複数設けられる。搬送用のローラとしては、媒体挿排出口5から奥行き方向に向かって順番に、第1ローラ群21、第2ローラ群22、第3ローラ群23、第4ローラ群24、第5ローラ群25が設けられる。各ローラ群は、媒体100を上下から一定の押圧力で挟みこんで搬送する弾性材料からなる1対のローラを、幅方向に並べて構成される。上側のローラが駆動側で、下側のローラが従動側になり、上下のローラは、同径で同幅のサイズである。この1対のローラは、第1ローラ群21でのみ中央と右で、他は中央および左右の計3か所に適当な間隔に分けて設けられる。2か所または3か所のローラは、すべて径・幅同じサイズである。そして、各群で、上下のローラは、それぞれ図示なき1本のシャフトに固定され、同期して回転する。
【0014】
印字装置1の内部には、各ローラ群を回転させて媒体100を搬送する媒体搬送モータ10が設けられる。媒体搬送モータ10は、例えば、ステップモータで、印字装置1の左側中央の底部に設けられる。媒体搬送モータ10の出力軸と第2ローラ群22の上側のシャフトの端部に歯付の伝達ベルト12が組み付けられ、媒体搬送モータ10の駆動により、伝達ベルト12を介して第2ローラ群22の上側のシャフトが回転する。また、第1ローラ群21、第3ローラ群23、第4ローラ群24及び第5ローラ群25の各上側のシャフトは、第2ローラ群22の上側のシャフトと不図示の伝達部(ギヤやベルト)で連結される。これにより、媒体搬送モータ10の駆動により、第1ローラ群21から第5ローラ群25の各ローラ群が連動して回転する。各群の回転方向は同一方向である。
【0015】
印字装置1内部の左端には、印字ヘッド50が設けられる。印字ヘッド50は、媒体100の搬送方向と直交するj方向(幅方向)に走査され、インクリボンを介して媒体100に文字や数字を印字する。印字ヘッド50は、不図示のヘッド移動部によって、j方向に走査される。
図1(A)は、左端のスタンバイ位置にある印字ヘッド50を示す。スタンバイ位置は、印刷を行わないときに印字ヘッド50が退避する位置である。スタンバイ位置は、媒体100の搬送経路から外れた位置である。ヘッド移動部は、例えば印字ヘッド50を支持するキャリッジ、キャリッジを走査方向に移動させるベルト、ベルトを駆動するステップモータから構成される。印字ヘッド50の下部にヘッドピン52が設けられる。ヘッドピン52の底面が印字面になる。
【0016】
また、搬送される媒体100下部に相当する位置に、印字領域で全幅に渡って、媒体100を下から支えるプラテン56が設けられる。プラテン56は、例えばゴム系の樹脂材からなり、媒体100の下部でヘッドピン52の圧力を支えるものである。
【0017】
また、インクリボンを収納するリボンカセット(不図示)が備えられ、ヘッドピン52と媒体100間にはインクリボンが装填され、ヘッドピン52の底面が印字面と媒体100に適当なギャップを確保した状態で、ヘッドピン52が、インクリボンを打点して印字が行われる。
【0018】
媒体挿排出口5から挿入された媒体100は、第1ローラ群21、第2ローラ群22を通過して、媒体100の先端が第3ローラ群23をわずかに通過する位置(後述する印字位置)まで搬送され、この位置からさらに印字開始行(媒体に応じて異なる)まで媒体100を順方向搬送して、印字を実行する。印字ヘッド50は、第2ローラ群22と第3ローラ群23の間を幅方向に走査して印字するために、印字は、媒体100が、第2ローラ群22と第3ローラ群23の両方のローラで挟まれた状態で常に行われる。印字行の変更は、各ローラ群で媒体100を前後移動させて、印字ヘッド50に対する媒体100の相対位置を変化させることで行われる。印字終了後は、媒体100を逆方向に搬送させて、媒体挿排出口5から排出させる。
【0019】
狭い幅サイズの媒体100は、右端を媒体挿排出口5に当て付けるように挿入されるものとする。すると、各群のローラは幅方向に適当な間隔で配置されているために、狭い幅サイズの媒体100が搬送された場合には、ちょうど媒体100の左端が、ローラの幅の間を通過しながら搬送される場合がある。本例では、
図1(A)に示すように、B5サイズ(257mm)媒体100の左端が、第2ローラ群22や第3ローラ群23の左端のローラの幅の間を通過するものとする。搬送される媒体100の左端の軌跡を2点鎖線hで示す。
【0020】
一般に、搬送される媒体はローラの幅全体で均一に接触されて搬送されるのが望ましく、ローラ幅の途中に媒体の端が通過するような搬送は、あまり望ましくない。幅の途中に媒体の端が通過すると搬送力が不均一になりやすいことや、あるいは、媒体の端部を通過させると、搬送トラブルが発生しやすいからである。特に、媒体100の端部は、しばしば折れ曲がっていたり、あるいは湾曲していたりすることが多く、その状態の端部をローラで挟み込むと、端部が変形した状態で引き入れられて詰まったり、あるいは、媒体100が幅方向で均一に搬送されずに、中央や右端のローラに比べて左端のローラによる搬送部分だけ遅れたりするからである。そして、この現象の1つとして、
図2で説明するような、媒体100の端部で浮きが発生する場合がある。
【0021】
図2は、印字位置まで搬送された媒体100につき、正常な状態と浮きが発生した状態を対比して示す図である。
図1の印字装置1の第2ローラ群22と第3ローラ群23の部分を拡大して、斜視図で示した図である。印字位置とは、印字処理を開始する場合に、媒体挿排出口5
から搬送された媒体100がセットされる基準の位置である。
【0022】
図2(A)は、媒体100が正常な状態で印字位置に搬送された様子である。
図2(B)は、媒体100の先端の左端部が浮いた状態で、印字位置に搬送された様子である。第3ローラ群23の上下各1対ローラを、左から順番に、ローラ23L、ローラ23M、ローラ23Rとする。
図2(A)に示すように、媒体100の先端は、第3ローラ群23の各ローラで挟まれた位置からKだけ突出させた位置にある。この突出した媒体の先端の位置を第1の位置とも称す。なお、突出量(K)を大きくすると、媒体100の上部で印字できない領域が増えるので、その意味からは、突出量(K)は少ない方が望ましい。
【0023】
図2(A)に示すように、第2ローラ群22と第3ローラ群23間で、媒体100が平坦に保持されていれば、スタンバイ位置からj方向に移動するヘッドピン52が、媒体100の表面に引っかかるおそれはない。
一方、
図2(B)で示すように、端部で媒体100が浮き上がった状態になる場合がある。前述のように変形した端部あるいは折れ曲がった端部が、左端のローラ23Lで引き入れられたような場合に、mで示すような浮きが発生する。そして、媒体100に接近した高さでj方向に移動するヘッドピン52が浮いた部分(m)に引っかかり、媒体100を破損させてしまう。そのために、媒体100は、
図2(A)に示すような、浮きのない状態、つまり、媒体100が平坦な状態で、印字位置にセットされることが必要である。以下に浮きを発生させないような媒体100の搬送制御を説明する。
【0024】
図3は、印字装置1の制御の概略を示すブロック図である。CPU60は、印字装置1において装置全体を制御する制御部である。CPU60は、不図示の記憶媒体からプログラムを読込み、読込んだプログラムに従って、媒体100の搬送、印字ヘッド50の移動、印字ヘッドの駆動等の各処理を実行する。センサ62は、媒体100の挿入排出、媒体100の搬送位置や印字ヘッド50の移動位置を検出し、検出値をCPU60に通知する。モータドライバ64は、CPU60の指示に基づき、媒体搬送モータ10を駆動する。ヘッドモータドライバ66は、CPU60の指示に基づき、印字ヘッド50を走査方向で移動させるヘッドモータ54を駆動する。印字ヘッド駆動部68は、CPU60の指示に基づき、外部から指定された文字等を媒体100へ印字するよう印字ヘッド50を駆動する。
【0025】
図4は、浮きを発生させないようにして媒体100を印字位置まで搬送して印字を行う処理手順を説明するフローチャートである。媒体100の搬送制御処理は、主にCPU60による制御処理により実行される。また、
図5は、第2ローラ群22と第3ローラ群23により搬送される媒体100の部分を示す図で、
図4の各手順にそれぞれ対応して、第2ローラ群22と第3ローラ群23に対する媒体100の位置関係を示す。なお、
図5は、
図1(B)の向きを時計方向に90度回転した状態である。また、印字ヘッド50の上流に位置する第2ローラ群22と下流に位置する第3ローラ群23を、印字ヘッド50基準として上流側ローラ、下流側ローラとも呼ぶ。
【0026】
媒体100が媒体挿排出口5にセットされる(ステップS10)。例えば行員によって媒体100が媒体挿排出口5に挿入される。続いて、媒体100が印字装置1内部に引き入れられる(ステップS12)。媒体挿排出口5に媒体100が挿入されると、媒体挿排出口5の近傍に設置されたセンサ62によって媒体100の挿入が検知される。CPU60は、媒体100の順方向に搬送するよう、媒体搬送モータ10を駆動して各ローラ群を回転させる。そして、媒体100を印字位置にセットする(ステップS14)。印字位置へのセットとは、媒体100の先端を第3ローラ群23で挟まれる位置より所定量(K)突出した位置(第1の位置)まで搬送することである。ここでは、センサ62のうち媒体100の先端の通過を検出するセンサ62を、第1の位置あるいは第1の位置の直前の位置に配置しておき、このセンサ62により媒体100の先端位置を検出することで、印字位置へのセットを行う。
【0027】
図5A(A)は、媒体100が、第3ローラ群23に引き入れられる(搬送)直前に第3ローラ群23の下側ローラに当たった場合の様子を示している。媒体100は、第1ローラ群21で順方向(p方向)に搬送された後、第2ローラ群22に引き入れられ、プラテン56の上部を通過し、通常であれば第3ローラ群23に引き入れられる。しかし、図のように搬送される媒体100の角部が上下いずれかに曲がった状態であると、媒体100の角部がローラ23Lにスムースに入らずに、ローラ23Lの上下いずれかのローラに当たってから、ローラ23Lに引き入れられるようになる。
【0028】
このような場合に、媒体100は、用紙の左端部が他の部分に比べて遅れて搬送されることになり、下側にあるプラテン56により媒体100の下側への移動は規制されるので、ローラ23Lの直前で浮いた状態(m)になる。そして、
図5A(B)に示すように、媒体100は、左端で浮いた状態(m)で、印字位置にセットされる。媒体100の先端は、前記第3ローラ群23で挟まれる位置よりKだけ突出した第1の位置にある。もちろん、媒体100が正常に搬送された場合には、浮きmのないフラットな状態で、印字位置にセットされる。
【0029】
そして、ここで媒体100に浮きが発生したか否かに関わらず、いったん媒体100を所定位置まで排出する(ステップS16)。媒体搬送モータ10を駆動して第2ローラ群22、第3ローラ群23をt方向に逆回転させて、媒体100を逆方向に搬送させて、媒体100の先端が第3ローラ群23から挟まれる位置よりさらに所定量(N)引っ込んだ第2の位置まで戻す。
図5B(C)は、媒体100の先端が第3ローラ群23より所定量(N)引き込んだ位置まで戻された状態を示す。媒体100を逆方向であるq方向に搬送させて、媒体100の先端が第2の位置にくるまで媒体100を戻した状態である。
【0030】
そして、この状態から、媒体100を印字位置まで再度引き入れる(ステップS18)。媒体搬送モータ10を駆動して第2ローラ群22、第3ローラ群23をs方向に回転させて、媒体100を順方向に搬送させて、媒体100を印字位置にセットする。
図5B(D)は、再度引き入れられて印字位置にセットされた媒体100を示す。この印字位置では、媒体100の先端は、前記下流側ローラ(第3ローラ群23)で挟まれる位置よりKだけ突出した第1の位置になる。
【0031】
なお、N、Kは、媒体搬送モータ10へのステップ数の設定により制御される。
媒体100を再度引き入れて印字位置にセットした後は、媒体100への印字を行う(ステップS20)。印字終了後は、媒体100を排出する(ステップS22)。各ローラ群により媒体100を逆方向に搬送して、媒体100を媒体挿排出口5へ送り出す。
【0032】
ステップ18で再度引き入れられた媒体100に浮きが発生しないのは、ステップS14で、媒体100をいったん第3ローラ群23で引き入れることによって、第3ローラ群23の押圧によって媒体100の角部の変形がある程度矯正させることと、矯正された形状が維持された状態で再度引き入れられるからである。つまり、矯正された媒体100の角部の上下移動を、第3ローラ群23の外周面によって抑えておくようにするために、媒体100を少ししか戻さないようにすることで、矯正された形状が維持される。
図5B(C)に示すように、媒体100の先端の上下移動可能な範囲は、第3ローラ群23の外周面によって規制されるTの範囲である。ステップ14による矯正力は完全ではないので、媒体100を、大きく戻すと(戻し量Nを大きくすぎると)、媒体100の角部がローラ23Lの外周面で十分に狭く規制されなくなってしまい、再度
図5A(A)のような状態に戻ってしまうからである。
【0033】
図6は、戻し量Nを変化させて、角部の変形した媒体100が正常に搬送される回数を調査した実験のグラフである。横軸が戻し量(Nmm)、縦軸が正常搬送された回数である。なお、正常搬送の回数は、全10回に対する成功回数で示している。ここで、第3ローラ群23の直径Dは、16mmである。N=4±0.5mmでは、成功回数が10/10(回)、つまり、成功率100%である。また、N=4±1mmでは、9/10(回)で、成功率90%以上である。
【0034】
そして、戻し量Nは、ローラ径と密接な関係が予想されるので、これを、ローラの直径Dとの比率に置き換えると、N=4±0.5mmは、Dに対してNが約22%から28%の範囲となる。つまり、0.22D≦N≦0.28Dの範囲となる。また、N=4±1mmは、Dに対してNが約19%から31%の範囲となる。つまり、0.19D≦N≦0.31Dの範囲となる。なお、この場合に、前述のように、第1の位置としては、K=1mm、つまり、K=D/16に設定されたことになる。
【0035】
また、センサの取付誤差や伝達系の精度を考慮すれば、Nの許容範囲は広い方が望ましい。約19%から31%の範囲であれば、90%以上の抑止効果が期待できるので、実用上は十分と考える。また、戻し量の精度と媒体浮きの抑制効果とのバランスで、約19%から31%よりも、さらに広い範囲を選択するようにしてもよい。
【0036】
また、使用するローラの硬度あるいは上下ローラによる押圧力の大小によっても、媒体浮きの発生は左右されるので、具体的なN値の選定にあたっては、ローラ硬度や押圧力に応じた修正を行うようにすればより望ましい。媒体の種類によっても、媒体の厚さや表面性は異なり、対応して戻し量Nの適正範囲も変化するはずなので、媒体の種類を検出あるいは設定させることで、より最適な戻し量Nを設定するようにしてもよい。
【0037】
また、ステップS12では、媒体100をいったん印字位置(K=1mm)まで搬送すると説明したが、この段階で、必ずしも印字位置に正確に搬送する必要はない。ステップS12では、媒体100先端が第3ローラ群23を通過する位置まで搬送すればよいので、突出量Kは1mmより小さくてもあるいは大きくてもよい。
【0038】
以上のような搬送制御を行うことにより、ローラの幅の一部に端部がかかってしまうようなサイズの媒体を印字する場合でも、浮きが発生することがなく、印字ヘッドが媒体に衝突するおそれがなくなる。また、浮きによる印字品質が低下するおそれもなくなる。更に、媒体の搬送制御によって、浮きの発生を抑制するようにしたので、部品を追加する必要がなく、既存の印字装置への適用も極めて容易である。
【0039】
また、上記説明した実施形態につき、以下の変形が可能である。
1)
図4の搬送処理での説明では、「再度引き入れ」を行う場合の媒体サイズを特定しなかった。つまり、いずれのサイズの媒体に対しても再度引き入れするような処理とした。しかし、端部がローラの一部を通過するようなサイズの媒体(本例では、B5サイズ)に限って、
図4で説明したような再度引き入れの処理を行うようにしてもよい。搬送される媒体の幅はセンサにより検出されるので、挿入された媒体の幅に応じて、再度引き入れ処理の要不要を選択するようにしてもよい。
2)また、1枚の媒体厚が薄い複写媒体で、浮きの発生が多いとのデータもあるので、搬送する媒体の種類に応じて、再度引き入れ処理の選択に、媒体の種類の情報を利用するようにしてもよい。
3)
図4の搬送処理は、CPU60によるソフトウェア処理によって行われると説明したが、一部または全部をハードウェア処理で行うようにしても当然によい。
4)最大A4幅サイズの印字装置1に、B5サイズ媒体を搬送させる例を示したが、当然この組み合わせに限定されるものではない。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。例えば、本実施例では、金融機関等の窓口で使用される印字装置として説明したが、ATM等に組み込まれるプリンタ等にも実施が可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。