特許第5792695号(P5792695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5792695発泡樹脂金属積層板の製造方法および製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792695
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】発泡樹脂金属積層板の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 71/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   B29C71/02
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-185412(P2012-185412)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-43011(P2014-43011A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2014年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 明男
【審査官】 井上 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭56−045370(JP,B1)
【文献】 特公昭63−038299(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 44/00
B29C 71/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未発泡状態の発泡性樹脂シートの両面に金属板を積層して発泡性樹脂金属積層板を形成する積層工程と、
前記発泡性樹脂金属積層板を加熱して前記発泡性樹脂シートを発泡させることで、発泡樹脂金属積層板とする加熱工程と、
前記発泡樹脂金属積層板を室温まで冷却する冷却工程と、
を有し、
前記冷却工程は、
前記発泡性樹脂シートの発泡温度よりも低くて前記室温よりも高い均熱温度まで前記発泡樹脂金属積層板を冷却して、前記発泡樹脂金属積層板を前記均熱温度に保持する均熱工程と、
前記均熱工程の後に、前記発泡樹脂金属積層板を前記室温まで冷却する室温冷却工程と、
を有し、
前記発泡性樹脂シートの発泡樹脂の融点をTmとしたときに、前記均熱温度を、Tm以上1.3Tm以下の範囲内に設定することを特徴とする発泡樹脂金属積層板の製造方法。
【請求項2】
前記冷却工程は、前記均熱工程と前記室温冷却工程との間に、前記均熱温度よりも低くて前記室温よりも高い第2均熱温度まで前記発泡樹脂金属積層板を冷却して、前記発泡樹脂金属積層板を前記第2均熱温度に保持する第2均熱工程を更に有していることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂金属積層板の製造方法。
【請求項3】
前記第2均熱工程を、前回よりも前記第2均熱温度を下げて複数回行うことを特徴とする請求項に記載の発泡樹脂金属積層板の製造方法。
【請求項4】
前記発泡性樹脂シートがポリプロピレンからなり、前記金属板がアルミニウムからなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の発泡樹脂金属積層板の製造方法。
【請求項5】
未発泡状態の発泡性樹脂シートの両面に金属板を積層した発泡性樹脂金属積層板を加熱して前記発泡性樹脂シートを発泡させることで、発泡樹脂金属積層板とする加熱部と、
前記発泡樹脂金属積層板を室温まで冷却する冷却部と、
を有し、
前記冷却部は、
前記発泡性樹脂シートの発泡温度よりも低くて前記室温よりも高い均熱温度まで前記発泡樹脂金属積層板を冷却して、前記発泡樹脂金属積層板を前記均熱温度に保持する均熱部と、
前記均熱部の下流側に設けられ、前記発泡樹脂金属積層板を前記室温まで冷却する室温冷却部と、
を有し、
前記発泡性樹脂シートの発泡樹脂の融点をTmとしたときに、前記均熱温度が、Tm以上1.3Tm以下の範囲内に設定されていることを特徴とする発泡樹脂金属積層板の製造装置。
【請求項6】
前記冷却部は、前記均熱部と前記室温冷却部との間に、前記均熱温度よりも低くて前記室温よりも高い第2均熱温度まで前記発泡樹脂金属積層板を冷却して、前記発泡樹脂金属積層板を前記第2均熱温度に保持する第2均熱部を更に有していることを特徴とする請求項に記載の発泡樹脂金属積層板の製造装置。
【請求項7】
前記第2均熱部は、前記第2均熱温度が順に低くなるように2以上連続して設けられていることを特徴とする請求項に記載の発泡樹脂金属積層板の製造装置。
【請求項8】
前記発泡性樹脂シートがポリプロピレンからなり、前記金属板がアルミニウムからなることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の発泡樹脂金属積層板の製造装置。
【請求項9】
前記均熱部が、熱風循環式加熱炉であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の発泡樹脂金属積層板の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂シートの両面に金属板が積層された発泡樹脂金属積層板の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、未発泡状態の発泡性樹脂シートの両面に金属板を積層した発泡性樹脂金属積層板を加熱して、発泡性樹脂シートを発泡させることで、発泡性樹脂シートが発泡した発泡樹脂シートの両面に金属板が積層された発泡樹脂金属積層板となる。
【0003】
発泡性樹脂金属積層板は、冷間でのプレス成形が可能である。発泡性樹脂金属積層板を所望の3次元曲面形状に成形した後に、乾燥炉などを用いて加熱して、発泡性樹脂シートを発泡させ、2枚の金属板の間隔を増加させることで、同じ板厚の単一材からなる金属板よりも曲げ剛性が大きくて軽量な発泡樹脂金属積層板を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−279922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プレス成形により深い絞り形状の成形品とすることで幾何剛性を高くする場合にはあまり問題とならないが、平坦なままの発泡樹脂金属積層板や、比較的平坦な滑らかな曲面をもつ発泡樹脂金属積層板を得る場合においては、加熱発泡後の冷却時に発生する面内の熱収縮ひずみが大きく、波打ち現象が発生して平坦な成形品を得ることができない、という問題がある。
【0006】
これは、次のようなメカニズムで発生するものと考えられる。例えば、融点が160℃で発泡温度が210℃である、ポリプロピレンからなる未発泡状態の発泡性樹脂シートの両面にアルミニウム板が積層された矩形の発泡性樹脂金属積層板が、室温(20℃)から乾燥炉(210℃×約17分)による加熱発泡工程を経て室温まで冷却されるといった熱履歴を受けることを考える。ここで、表面板はアルミニウムであり、遠赤外線加熱方式では熱線が反射されてアルミニウム板を加熱できないので、熱風循環式加熱炉を用いることとする。加熱時、矩形の発泡性樹脂シートにおいて、外部に露出している周辺部には直接熱風が当たるが、中央部では一旦アルミニウム板が加熱されてから発泡性樹脂シートが加熱されるので、熱風が直接当たる周辺部の方が中央部に比べて発泡性樹脂シートの温度上昇速度が速い。そのため、加熱炉内の同時刻における平板面内の温度分布にバラツキが生じるが、十分な加熱時間(例えば約17分)を確保すれば、発泡性樹脂シートの発泡倍率を発泡性樹脂金属積層板の全面にわたって均一にすることができる。なお、発泡性樹脂シートが発泡した発泡樹脂シートは粘性のある溶融状態となっており、発泡樹脂シートのヤング率はアルミニウムに比べて極めて低いので、アルミニウム板が平坦であれば発泡樹脂金属積層板も平坦なままで形状が維持される。
【0007】
その後、加熱炉から出た発泡樹脂金属積層板は室温まで冷却される。このとき、矩形の発泡樹脂シートは気泡を多く含んでおり熱伝導率が低いため、中央部においては、熱は面内を伝導するよりも表面のアルミニウム板を介してのみ周囲に散逸されるが、外部に露出している周辺部においては、熱は直接空気に散逸される。したがって、発泡樹脂シートの周辺部の温度は中央部よりも速く低下して、融点以下となり固体になる。また、発泡樹脂シートは蓄熱体でもあるため、中央部のアルミニウム板の温度はなかなか下がらないのに対して、発泡樹脂シートの周辺部は固まりアルミニウム板の温度も下がっているために、周辺部と中央部とでアルミニウム板の熱ひずみが大きく異なる。その結果、発泡樹脂金属積層板の全体に波打ち現象が発生する。
【0008】
本発明の目的は、熱ひずみによる波打ち現象を抑制することが可能な発泡樹脂金属積層板の製造方法および製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における発泡樹脂金属積層板の製造方法は、未発泡状態の発泡性樹脂シートの両面に金属板を積層して発泡性樹脂金属積層板を形成する積層工程と、前記発泡性樹脂金属積層板を加熱して前記発泡性樹脂シートを発泡させることで、発泡樹脂金属積層板とする加熱工程と、前記発泡樹脂金属積層板を室温まで冷却する冷却工程と、を有し、前記冷却工程は、前記発泡性樹脂シートの発泡温度よりも低くて前記室温よりも高い均熱温度まで前記発泡樹脂金属積層板を冷却して、前記発泡樹脂金属積層板を前記均熱温度に保持する均熱工程と、前記均熱工程の後に、前記発泡樹脂金属積層板を前記室温まで冷却する室温冷却工程と、を有し、前記発泡性樹脂シートの発泡樹脂の融点をTmとしたときに、前記均熱温度を、Tm以上1.3Tm以下の範囲内に設定することを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、発泡樹脂金属積層板を室温まで冷却する際に、一旦均熱温度まで冷却して均熱温度に保持した後に、室温まで冷却する。このように、発泡樹脂金属積層板を一旦均熱温度に保持して、発泡性樹脂シートが発泡した発泡樹脂シートの温度を発泡樹脂金属積層板の全面にわたって均一にした後に、室温まで冷却することで、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを抑えることができる。これにより、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキに起因する熱ひずみによる波打ち現象を抑制することができる。
【0011】
また、発泡性樹脂シートの発泡樹脂の融点をTmとしたときに、均熱温度を、Tm以上1.3Tm以下の範囲内に設定することで、発泡樹脂金属積層板を均熱温度に保持する均熱工程において、発泡樹脂金属積層板の全面にわたって発泡樹脂シートが溶融した状態に保持することができる。これにより、均熱工程から室温冷却工程に移行した際に、発泡樹脂シートが凝固し始めるタイミングを発泡樹脂金属積層板の全面にわたって同じにすることができるから、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。なお、冷却により発泡樹脂シートは液相から固相に相転移するので、この観点からいえば、ここでいう融点は厳密には凝固点である。ヒステリシスがなければ融点は凝固点と一致する。
【0012】
また、本発明における発泡樹脂金属積層板の製造方法において、前記冷却工程は、前記均熱工程と前記室温冷却工程との間に、前記均熱温度よりも低くて前記室温よりも高い第2均熱温度まで前記発泡樹脂金属積層板を冷却して、前記発泡樹脂金属積層板を前記第2均熱温度に保持する第2均熱工程を更に有していてよい。上記の構成によれば、発泡樹脂金属積層板を均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板の全面にわたって発泡樹脂シートの温度を均一にした後に、さらに、発泡樹脂金属積層板を第2均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板の全面にわたって発泡樹脂シートの温度を均一にすることで、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。
【0013】
また、本発明における発泡樹脂金属積層板の製造方法においては、前記第2均熱工程を、前回よりも前記第2均熱温度を下げて複数回行ってよい。上記の構成によれば、発泡樹脂金属積層板を一旦第2均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板の全面にわたって発泡樹脂シートの温度を均一にすることを、前回よりも第2均熱温度を下げて複数回行って、発泡樹脂シートの温度を段階的に下げていくことで、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。
【0014】
また、本発明における発泡樹脂金属積層板の製造方法において、前記発泡性樹脂シートがポリプロピレンからなり、前記金属板がアルミニウムからなってよい。上記の構成によれば、ポリプロピレンからなる発泡性樹脂シートとすることで、均一な発泡性を得ることができる。また、アルミニウムからなる金属板とすることで、発泡樹脂金属積層板の剛性および軽量性を高めることができる。
【0015】
また、本発明における発泡樹脂金属積層板の製造装置は、未発泡状態の発泡性樹脂シートの両面に金属板を積層した発泡性樹脂金属積層板を加熱して前記発泡性樹脂シートを発泡させることで、発泡樹脂金属積層板とする加熱部と、前記発泡樹脂金属積層板を室温まで冷却する冷却部と、を有し、前記冷却部は、前記発泡性樹脂シートの発泡温度よりも低くて前記室温よりも高い均熱温度まで前記発泡樹脂金属積層板を冷却して、前記発泡樹脂金属積層板を前記均熱温度に保持する均熱部と、前記均熱部の下流側に設けられ、前記発泡樹脂金属積層板を前記室温まで冷却する室温冷却部と、を有し、前記発泡性樹脂シートの発泡樹脂の融点をTmとしたときに、前記均熱温度が、Tm以上1.3Tm以下の範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、発泡樹脂金属積層板を室温まで冷却する際に、一旦均熱温度まで冷却して均熱温度に保持した後に、室温まで冷却する。このように、発泡樹脂金属積層板を一旦均熱温度に保持して、発泡性樹脂シートが発泡した発泡樹脂シートの温度を発泡樹脂金属積層板の全面にわたって均一にした後に、室温まで冷却することで、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを抑えることができる。これにより、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキに起因する熱ひずみによる波打ち現象を抑制することができる。
【0017】
また、発泡性樹脂シートの発泡樹脂の融点をTmとしたときに、均熱温度を、Tm以上1.3Tm以下の範囲内に設定することで、発泡樹脂金属積層板を均熱温度に保持する均熱部において、発泡樹脂金属積層板の全面にわたって発泡樹脂シートが溶融した状態に保持することができる。これにより、均熱部から室温冷却部に移行した際に、発泡樹脂シートが凝固し始めるタイミングを発泡樹脂金属積層板の全面にわたって同じにすることができるから、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。

【0018】
また、本発明における発泡樹脂金属積層板の製造装置において、前記冷却部は、前記均熱部と前記室温冷却部との間に、前記均熱温度よりも低くて前記室温よりも高い第2均熱温度まで前記発泡樹脂金属積層板を冷却して、前記発泡樹脂金属積層板を前記第2均熱温度に保持する第2均熱部を更に有していてよい。上記の構成によれば、発泡樹脂金属積層板を均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板の全面にわたって発泡樹脂シートの温度を均一にした後に、さらに、発泡樹脂金属積層板を第2均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板の全面にわたって発泡樹脂シートの温度を均一にすることで、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。
【0019】
また、本発明における発泡樹脂金属積層板の製造装置において、前記第2均熱部は、前記第2均熱温度が順に低くなるように2以上連続して設けられていてよい。上記の構成によれば、発泡樹脂金属積層板を一旦第2均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板の全面にわたって発泡樹脂シートの温度を均一にすることを、第2均熱温度を下げながら複数回行って、発泡樹脂シートの温度を段階的に下げていくことで、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。
【0020】
また、本発明における発泡樹脂金属積層板の製造装置において、前記発泡性樹脂シートがポリプロピレンからなり、前記金属板がアルミニウムからなってよい。上記の構成によれば、ポリプロピレンからなる発泡性樹脂シートとすることで、均一な発泡性を得ることができる。また、アルミニウムからなる金属板とすることで、発泡樹脂金属積層板の剛性および軽量性を高めることができる。
【0021】
また、本発明における発泡樹脂金属積層板の製造装置において、前記均熱部が、熱風循環式加熱炉であってよい。上記の構成によれば、均熱部を熱風循環式加熱炉とすることで、遠赤外線加熱方式では熱線が反射されて上手く加熱できない金属であっても、好適に加熱することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の発泡樹脂金属積層板の製造方法および製造装置によると、発泡樹脂金属積層板を一旦均熱温度に保持して、発泡性樹脂シートが発泡した発泡樹脂シートの温度を発泡樹脂金属積層板の全面にわたって均一にした後に、室温まで冷却することで、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキを抑えることができる。これにより、発泡樹脂シートの冷却速度のバラツキに起因する熱ひずみによる波打ち現象を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】発泡樹脂金属積層板の部分斜視図である。
図2】製造装置の模式図である。
図3】温度変化を示す模式図である。
図4】解析モデルを示す図である。
図5】解析モデルを示す図である。
図6】平板の中心部に設けた代表点におけるアルミニウム板表面および発泡樹脂シート中央部の温度変化を計算した結果を示す図である。
図7】平板の周辺部に設けた代表点におけるアルミニウム板表面および発泡樹脂シート中央部の温度変化を計算した結果を示す図である。
図8】平板の中心部と周辺部との温度差の時間変化を示す図である。
図9】アルミニウム板に生じる最大弾性主ひずみの解析結果を示す図である。
図10】アルミニウム板に生じる最小弾性主ひずみの解析結果を示す図である。
図11】製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明に係る発泡樹脂金属積層板の製造方法で得られる発泡樹脂金属積層板は、例えば、新幹線、飛行機などの本体を構成する構造体の材料として用いられる。また、この発泡樹脂金属積層板は、建築物の床、壁、天井などの材料としても広く利用することができるものである。
【0025】
[第1実施形態]
(発泡樹脂金属積層板の構成)
本発明の第1実施形態による発泡樹脂金属積層板の製造方法により製造される発泡樹脂金属積層板1は、図1(a)に示すように、発泡状態の発泡樹脂シート4aと、この発泡樹脂シート4aの両面に積層された2枚のアルミニウム板2とからなる。この発泡樹脂金属積層板1は、図1(b)に示す発泡性樹脂金属積層板1aを加熱して未発泡状態の発泡性樹脂シート4bを発泡させることで形成される。ここで、発泡性樹脂金属積層板1aは、未発泡状態の発泡性樹脂シート4bと、この発泡性樹脂シート4bの両面に積層された2枚のアルミニウム板2とからなる。
【0026】
発泡樹脂金属積層板1における発泡樹脂シート4aは、個々に独立した気泡(独立気泡)を多数備えている。そのため、発泡樹脂金属積層板1は、同じ板厚のアルミニウム単一材からなるアルミニウム板よりも曲げ剛性が大きくて軽量である。ここで、発泡性樹脂金属積層板1aを所望の形状にプレス加工した後に、発泡性樹脂シート4bを発泡させて発泡樹脂金属積層板1にするのと、予め発泡させた発泡樹脂シートの両面にアルミニウム板を積層して積層板とした後に、この積層板をプレス加工して所望の形状にするのとでは、得られる剛性が大きく異なる。即ち、後者の場合、発泡済みの発泡樹脂シートに対してプレス加工を行うので、発泡樹脂シートが備えていた多数の独立気泡はほとんど潰れて隣の気泡と連通してしまい、剛性が低下する。これに対して、前者の場合、プレス加工の後に発泡性樹脂シート4bを発泡させるので、多数の独立気泡を得ることができて、剛性が大きくなる。
【0027】
なお、発泡樹脂金属積層板1は、発泡樹脂シート4aと、発泡樹脂シート4aの両面に積層された2つの金属板(アルミニウム板)2とからなるが、このような形態に限られることはなく、発泡樹脂シート4aと金属板2との間に発泡しない樹脂シートをさらに配置してもよいし、並列配置した3つの金属板2の間に2つの発泡樹脂シート4aを配置してもよい。すなわち、発泡樹脂金属積層板は、少なくとも1つの発泡樹脂シートと、この発泡樹脂シートの両面に積層された少なくとも2枚の金属板とからなるものであればよい。
【0028】
発泡性樹脂シート4bは、マトリックス樹脂と発泡剤とを有している。マトリックス樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などがある。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、EPR、EPDMなどがある。ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン樹脂、熱可塑性エラストマー、ABS樹脂、AS樹脂などがある。これらの樹脂は熱可塑性樹脂であり加熱により軟化し可塑性が高くなる性質がある。
【0029】
発泡剤としては、有機発泡剤、無機発泡剤がある。有機発泡剤としては、アゾ化合物、ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジド化合物などがあり、具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾジカルボン酸バリウム、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p、p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられる。無機発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸亜鉛、熱膨張性マイクロカプセルなどがある。なお、発泡剤は、その発泡温度(分解温度)が、マトリックス樹脂の融点よりも20℃程度高い温度となるものを選択する必要がある。また、1種の発泡剤を単独で使用してもよく、2種以上の発泡剤を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
金属板2は、アルミニウム板2に限定されることはなく、アルミニウム合金板、ステンレス板、めっき鋼板などの金属板であってもよい。
【0031】
発泡性樹脂シート4bとアルミニウム板2とは接着剤を用いて接着させてもよいし、発泡性樹脂シート4bの発泡温度よりも低温で溶着させてもよい。
【0032】
(発泡樹脂金属積層板の製造装置)
本実施形態の発泡樹脂金属積層板の製造装置(製造装置)10は、図2(a)に示すように、加熱炉(加熱部)11と冷却部12とを有している。以下、製造方法に沿って説明する。
【0033】
(積層工程)
まず、未発泡状態の発泡性樹脂シート4bの両面にアルミニウム板2を積層して発泡性樹脂金属積層板1aを形成する。具体的には、発泡性樹脂シート4bの両面にアルミニウム板2を接着して発泡性樹脂金属積層板1aとする。そして、これをコンベア13上に載置する。
【0034】
なお、本実施形態の発泡性樹脂金属積層板1aは、厚さ0.9mmの発泡性樹脂シート4bの両面に、厚さ0.15mmのアルミニウム板2を接着したものである。本実施形態の発泡性樹脂シート4bは、マトリックス樹脂にポリプロピレン樹脂を用い、発泡剤(熱分解温度195℃)を添加混練したものを用いている。加熱発泡後の発泡樹脂シート4aの最終厚さは2.7mm(発泡前の3倍の厚さ)となるように設計されている。
【0035】
(加熱工程)
次に、加熱炉11内に発泡性樹脂金属積層板1aを搬送し、発泡性樹脂金属積層板1aを加熱する。加熱炉11は、遠赤外線加熱方式の熱線を反射するアルミニウム板2を加熱することが可能な熱風循環式加熱炉である。加熱炉11における加熱温度は、発泡性樹脂シート4bの発泡温度である210℃よりも高い230℃である。加熱により発泡性樹脂シート4bは発泡して発泡樹脂シート4aとなる。これにより、発泡性樹脂金属積層板1aは発泡樹脂金属積層板1となる。
【0036】
ここで、矩形の発泡性樹脂金属積層板1aにおいて、熱風が直接当たる周辺部の方が中央部に比べて発泡性樹脂シート4bの温度上昇速度が速いが、十分な加熱時間を確保することで、発泡性樹脂シート4bの発泡倍率を発泡性樹脂金属積層板1aの全面にわたって均一にすることができる。
【0037】
(冷却工程)
次に、冷却部12に発泡樹脂金属積層板1を搬送し、発泡樹脂金属積層板1を室温(20℃)まで冷却する。ここで、冷却部12は、加熱炉11に連続する均熱槽(均熱部)21と、大気中に露出した室温冷却部22とを有している。
【0038】
均熱槽21は、熱風循環式加熱炉であって、内部温度が、発泡性樹脂シート4bの発泡温度(210℃)よりも低くて室温(20℃)よりも高い均熱温度に保たれている。均熱槽21内に搬送された発泡樹脂金属積層板1は、均熱温度まで冷却されて、一旦均熱温度に保持される。
【0039】
ここで、均熱温度は、発泡性樹脂シート4b(発泡樹脂シート4a)の発泡樹脂の融点をTmとしたときに、Tm以上1.3Tm以下の範囲内に設定されている。そのため、均熱温度に保持された発泡樹脂金属積層板1においては、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aが溶融した状態となる。
【0040】
その後、大気中に露出した室温冷却部22に搬送された発泡樹脂金属積層板1は、大気中で均熱温度から室温まで冷却される。ここで、均熱槽21において溶融状態となっていた発泡樹脂シート4aは、室温冷却部22に搬送された後に、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって同じタイミングで凝固を開始する。そのため、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキが抑えられる。
【0041】
これに対して、図2(b)に示すように、均熱槽21を備えていない従来の製造装置50においては、加熱炉11から大気中に露出した室温冷却部22に搬送された発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの冷却速度にバラツキが生じる。具体的には、矩形の発泡樹脂シート4aの周辺部の方が中央部よりも速く凝固する。これにより、発泡樹脂金属積層板1に熱ひずみによる波打ち現象が生じる。
【0042】
温度変化を示す模式図である図3(a)に示すように、均熱槽21を用いて発泡樹脂金属積層板1を一旦均熱温度に保持することで、矩形の発泡樹脂金属積層板1の中央部のアルミニウム板2の表面温度と、周辺部のアルミニウム板2の表面温度との温度差は小さくなる。そのため、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキに起因する熱ひずみによる波打ち現象を抑制することができる。
【0043】
一方、図3(b)に示すように、均熱槽21を用いない従来の冷却方法では、矩形の発泡樹脂金属積層板1の中央部のアルミニウム板2の表面温度と、周辺部のアルミニウム板2の表面温度との温度差は大きくなり、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキに起因する熱ひずみによる波打ち現象が生じることとなる。
【0044】
なお、図2(a)に示すように、本実施形態では加熱炉11と均熱槽21とが別々に設けられた構成にされているが、加熱炉11が均熱槽21を兼ねた構成にされていてもよい。即ち、加熱炉11の温度を発泡温度よりも高い230℃にして発泡性樹脂シート4bを加熱発泡させた後に、加熱炉11の温度を均熱温度まで下げて、発泡樹脂金属積層板1を均熱温度に保持するようにしてもよい。
【0045】
(解析)
次に、厚さ0.15mmのアルミニウム板2と、厚さ3mmの発泡ポリプロピレン製の発泡樹脂シート4aとからなる1m角の平板(発泡樹脂金属積層板1)を対象として、非定常熱伝導解析によりアルミニウム板2と発泡樹脂シート4aの温度分布と、アルミニウム板2の熱ひずみ分布の時間変化を計算した。アルミニウム板2の物性を表1に、発泡樹脂シート4aの物性を表2に、それぞれ示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
ここで、発泡樹脂シート4aは、160℃以上で溶融状態になるため、160℃、230℃における発泡樹脂シート4aのヤング率を、140℃の値の1/10の値に仮定した。また、発泡樹脂シート4aの密度および比熱は、空気66%の場合との体積比である。また、発泡樹脂シート4aの線膨張率は、三協化成産業株式会社のホームページに記載された発泡ポリプロピレンの値を使用した。
【0049】
図4図5に示すように、解析モデルを1/4対称モデルとした。非定常熱伝導解析の計算条件として、初期条件、冷却条件、変位拘束条件、および、計算時間を次のように設定した。ここで、均熱槽21を備えていない従来のケースをCase1とし、均熱槽21を備えた本実施形態のケースをCase2とした。
【0050】
まず、Case1およびCase2の初期条件として、加熱炉11から出てきた発泡樹脂金属積層板1を初期状態とし、温度を230℃で一定にし、初期ひずみを0とした。
【0051】
次に、Case1の冷却条件として、加熱炉11から出てきた発泡樹脂金属積層板1は、大気中で自然対流と放射により冷却されるものとした。ここで、自然対流は大気温度が20℃で、表面熱伝達率が3W/mKとし、放射は大気温度が20℃で、放射率が0.02とした。
【0052】
一方、Case2の冷却条件として、加熱炉11から出てきた発泡樹脂金属積層板1は均熱槽21で均熱温度まで冷却されて均熱温度に一旦保持され、その後、大気中で自然対流と放射により冷却されるものとした。ここで、均熱槽21における自然対流は、処理時間が360sで、雰囲気温度が160℃で、表面熱伝達率が3W/mKとし、均熱槽21における放射は、処理時間が360sで、外部温度が160℃で、放射率が0.02とした。また、大気中における自然対流は、大気温度が20℃で、表面熱伝達率が3W/mKとし、大気中における放射は、大気温度が20℃で、放射率が0.02とした。
【0053】
また、Case1およびCase2の変位拘束条件はないものとし、Case1およびCase2の計算時間は代表点が約100℃以下になるまでとした。ここで、代表点は、図5に示すように、平板の中心部と周辺部とに1つずつ設けた。
【0054】
平板の中心部に設けた代表点におけるアルミニウム板2表面および発泡樹脂シート4a中央部(図5参照)の温度変化を計算した結果を図6に示す。また、平板の周辺部に設けた代表点におけるアルミニウム板2表面および発泡樹脂シート4a中央部の温度変化を計算した結果を図7に示す。また、平板の中心部と周辺部との温度差の時間変化を図8に示す。ここで、図8中の黒丸は、ポリプロピレンの融点である160℃を通過するタイミングを示している。このタイミングにおけるアルミニウム板2表面および発泡樹脂シート4a中央部の温度差をCase1とCase2とで比較すると、発泡樹脂シート4a中央部の温度差はCase2の方が1.9℃小さく、アルミニウム板2表面の温度差もCase2の方が1.5℃小さい。このことから、均熱槽21の追加により、平板の中心部と周辺部との温度差が小さくなることがわかる。
【0055】
次に、このような温度変化の結果として、発泡樹脂シート4aの温度が100℃になった時点でアルミニウム板2に生じる最大弾性主ひずみ、および、最小弾性主ひずみの解析結果を図9図10に示す。図9(a)はCase1の最大弾性主ひずみの解析結果であり、図9(b)はCase2の最大弾性主ひずみの解析結果である。また、図10(a)はCase1の最小弾性主ひずみの解析結果であり、図10(b)はCase2の最小弾性主ひずみの解析結果である。最大弾性主ひずみ、および、最小弾性主ひずみは、いずれもCase1よりCase2の方が小さく、均熱槽21の追加により熱変形が小さくなり波打ち現象が抑制されることがわかる。
【0056】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る発泡樹脂金属積層板1の製造方法および製造装置10によると、発泡樹脂金属積層板1を室温まで冷却する際に、一旦均熱温度まで冷却して均熱温度に保持した後に、室温まで冷却する。このように、発泡樹脂金属積層板1を一旦均熱温度に保持して、発泡樹脂シート4aの温度を発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって均一にした後に、室温まで冷却することで、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキを抑えることができる。これにより、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキに起因する熱ひずみによる波打ち現象を抑制することができる。
【0057】
また、発泡性樹脂シート4b(発泡樹脂シート4a)の発泡樹脂の融点をTmとしたときに、均熱温度を、Tm以上1.3Tm以下の範囲内に設定することで、発泡樹脂金属積層板1を均熱温度に保持する均熱槽21において、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aが溶融した状態に保持することができる。これにより、均熱槽21から室温冷却部22に移行した際に、発泡樹脂シート4aが凝固し始めるタイミングを発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって同じにすることができるから、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。
【0058】
また、ポリプロピレンからなる発泡性樹脂シート4bとすることで、均一な発泡性を得ることができる。また、アルミニウムからなる金属板2とすることで、発泡樹脂金属積層板1の剛性および軽量性を高めることができる。
【0059】
また、均熱槽21を熱風循環式加熱炉とすることで、遠赤外線加熱方式では熱線が反射されて上手く加熱できない金属であっても、好適に加熱することができる。
【0060】
[第2実施形態]
(発泡樹脂金属積層板の製造装置)
次に、本発明の第2実施形態に係る製造装置210について説明する。なお、上述した構成要素と同じ構成要素については、同じ参照番号を付してその説明を省略する。本実施形態の製造装置210が第1実施形態の製造装置10と異なる点は、図11に示すように、冷却部12が、均熱槽21と室温冷却部22との間に、第2均熱槽(第2均熱部)23を有している点である。
【0061】
第2均熱槽23は、熱風循環式加熱炉であって、その内部温度は、均熱槽21の内部温度である均熱温度よりも低くて室温(20℃)よりも高い第2均熱温度に保たれている。均熱槽21において均熱温度に保持された発泡樹脂金属積層板1は、その後、第2均熱槽23内に搬送され、第2均熱温度まで冷却されて第2均熱温度に一旦保持される。その後、室温冷却部22に搬送された発泡樹脂金属積層板1は、大気中で第2均熱温度から室温まで冷却されることとなる。
【0062】
このように、発泡樹脂金属積層板1を均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの温度を均一にした後に、さらに、発泡樹脂金属積層板1を第2均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの温度を均一にすることで、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキが一層抑えられる。
【0063】
なお、本実施形態においては、第2均熱槽23が1つだけ設けられているが、第2均熱槽23が2以上連続して設けられていてもよい。この場合、上流側の第2均熱槽23よりも下流側の第2均熱槽23の方が第2均熱温度が低く設定される。即ち、第2均熱槽23は、第2均熱温度が順に低くなるように2以上連続して設けられる。これにより、第2均熱槽23から室温冷却部22に向かって、発泡樹脂金属積層板1の温度は均熱温度から室温まで段階的に下がっていくことになる。
【0064】
このように、発泡樹脂金属積層板1を一旦第2均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの温度を均一にすることを、第2均熱温度を下げながら複数回行って、発泡樹脂シート4aの温度を段階的に下げていくことで、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキが一層抑えられる。
【0065】
なお、第2均熱槽23を物理的に複数設けることで、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの温度を均一にすることを複数回行う構成に限定されず、1つの第2均熱槽23において第2均熱温度を段階的に複数回下げていくことで、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの温度を均一にすることを複数回行う構成であってもよい。
【0066】
また、均熱槽21と第2均熱槽23とが別々に設けられた構成にされているが、均熱槽21が第2均熱槽23を兼ねた構成にされていてもよい。即ち、均熱槽21の温度を均熱温度にして発泡樹脂シート4aを溶融状態に保持した後に、均熱槽21の温度を第2均熱温度まで下げて、発泡樹脂金属積層板1を第2均熱温度に保持するようにしてもよい。
【0067】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る発泡樹脂金属積層板1の製造方法および製造装置210によると、発泡樹脂金属積層板1を均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの温度を均一にした後に、さらに、発泡樹脂金属積層板1を第2均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの温度を均一にすることで、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。
【0068】
また、発泡樹脂金属積層板1を一旦第2均熱温度に保持して、発泡樹脂金属積層板1の全面にわたって発泡樹脂シート4aの温度を均一にすることを、前回よりも第2均熱温度を下げて複数回行って、発泡樹脂シート4aの温度を段階的に下げていくことで、発泡樹脂シート4aの冷却速度のバラツキを一層抑えることができる。
【0069】
(本実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 発泡樹脂金属積層板
1a 発泡性樹脂金属積層板
2 アルミニウム板(金属板)
4a 発泡樹脂シート
4b 発泡性樹脂シート
10,210 製造装置
11 加熱炉(加熱部)
12 冷却部
13 コンベア
21 均熱槽(均熱部)
22 室温冷却部
23 第2均熱槽(第2均熱部)
50 製造装置
図1
図2
図3
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図6
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図5
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