特許第5792697号(P5792697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792697
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-194903(P2012-194903)
(22)【出願日】2012年9月5日
(65)【公開番号】特開2014-53986(P2014-53986A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2014年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 一正
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−060963(JP,A)
【文献】 特開2008−172864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と負荷の間に並列接続される無停電電源モジュールとバイパス回路を備え、
前記無停電電源モジュールは、
前記交流電源からの交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータまたは電力貯蔵装置からの直流電力を交流電力に変換して前記負荷に与えるインバータとを含み、
前記バイパス回路は、
前記交流電源と前記負荷の間に接続されるバイパススイッチと、
複数のバイパスモジュールとを含み、
各バイパスモジュールは、
前記交流電源と前記負荷の間に接続されるサイリスタと、
前記交流電源からの交流電力を前記負荷に与えるバイパス給電モード時は前記バイパススイッチをオンさせ、前記インバータからの交流電力を前記負荷に与えるインバータ給電モード時は前記バイパススイッチをオフさせ、前記インバータ給電モード時に前記無停電電源モジュールが故障した場合は前記サイリスタおよび前記バイパススイッチをオンさせる制御部とを含む、無停電電源装置。
【請求項2】
前記複数のバイパスモジュールのうちの選択された1つのバイパスモジュールであるマスターモジュールの前記制御部のみが前記バイパススイッチをオンまたはオフさせる、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記マスターモジュールが故障した場合は、残りの1または2以上のバイパスモジュールのうちの選択された1つのバイパスモジュールが前記マスターモジュールとなる、請求項2に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記無停電電源モジュールは複数設けられ、
複数の前記無停電電源モジュールは前記交流電源と前記負荷の間に並列接続される、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無停電電源装置に関し、特に、交流電源と負荷の間に並列接続される無停電電源モジュールとバイパス回路を備えた無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無停電電源装置は、交流電源と負荷の間に並列接続される無停電電源モジュールとバイパス回路を備えている。無停電電源モジュールは、交流電源から与えられる交流電力を直流電力に変換するコンバータと、コンバータまたは電力貯蔵装置からの直流電力を交流電力に変換して負荷に与えるインバータとを含む。バイパス回路は、交流電源と負荷の間に並列接続されるバイパススイッチとサイリスタを含む。インバータ給電モード時は、インバータから負荷に交流電力が供給される。バイパス給電モード時は、交流電源からバイパス回路を介して負荷に交流電力が供給される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−278755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の無停電電源装置では、バイパス給電モード時にバイパス回路が故障すると、負荷に対する給電が停止されてしまうという問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、負荷に対する給電の信頼性が高い無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る無停電電源装置は、交流電源と負荷の間に並列接続される無停電電源モジュールとバイパス回路を備えたものである。無停電電源モジュールは、交流電源からの交流電力を直流電力に変換するコンバータと、コンバータまたは電力貯蔵装置からの直流電力を交流電力に変換して負荷に与えるインバータとを含む。バイパス回路は、交流電源と負荷の間に接続されるバイパススイッチと、複数のバイパスモジュールとを含む。各バイパスモジュールは、交流電源と負荷の間に接続されるサイリスタと、交流電源からの交流電力を負荷に与えるバイパス給電モード時はバイパススイッチをオンさせ、インバータからの交流電力を負荷に与えるインバータ給電モード時はバイパススイッチをオフさせ、インバータ給電モード時に無停電電源モジュールが故障した場合はサイリスタおよびバイパススイッチをオンさせる制御部とを含む。
【0007】
好ましくは、複数のバイパスモジュールのうちの選択された1つのバイパスモジュールであるマスターモジュールの制御部のみがバイパススイッチをオンまたはオフさせる
【0008】
また好ましくは、マスターモジュールが故障した場合は、残りの1または2以上のバイパスモジュールのうちの選択された1つのバイパスモジュールがマスターモジュールとなる。
【0009】
また好ましくは、無停電電源モジュールは複数設けられ、複数の無停電電源モジュールは交流電源と負荷の間に並列接続される。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る無停電電源装置では、バイパス回路はバイパススイッチと複数のバイパスモジュールを含む。したがって、故障し易いバイパスモジュールを複数設けたので、バイパス回路が故障するのを防止することができ、負荷に対する給電の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施の形態による無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図2図1に示した無停電電源モジュールの構成を示す回路ブロック図である。
図3図1に示したバイパスモジュールの構成を示すブロック図である。
図4図1に示した2つのバイパスモジュールの関係を示す回路ブロック図である。
図5図4に示した信号φB,φI,φFの生成に関連する部分の構成を示すブロック図である。
図6図1に示したバイパススイッチを示すブロック図である。
図7図1図6に示した無停電電源装置における手動によるインバータ給電とバイパス給電の切換動作を示すタイムチャートである。
図8図1図6に示した無停電電源装置における故障によるインバータ給電とバイパス給電の切換動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明の一実施の形態による無停電電源装置は、図1に示すように、入力端子TI、出力端子TO、バッテリ端子TB、複数(図では3つ)の無停電電源モジュールU1〜U3、複数(図では2つ)のバイパスモジュールB1,B2、およびバイパススイッチBSとを備える。入力端子TIは、交流電源1からの商用周波数の交流電力を受ける。出力端子TOは、負荷2に接続される。バッテリ端子TBは、バッテリ3に接続される。
【0013】
複数の無停電電源モジュールU1〜U3は、入力端子TIおよび出力端子TO間に並列接続される。複数のバイパスモジュールB1,B2は、入力端子TIおよび出力端子TO間に並列接続される。バイパススイッチBSは、入力端子TIおよび出力端子TO間に接続される。複数のバイパスモジュールB1,B2とバイパススイッチBSは、バイパス回路を構成する。
【0014】
図2は、無停電電源モジュールU1の構成を示す回路ブロック図である。図2において、無停電電源モジュールU1は、入力端子T1、出力端子T2、バッテリ端子T3、スイッチS1〜S3、コンデンサC1〜C4、リアクトルL1〜L3、コンバータ5、インバータ6、および双方向チョッパ7を含む。
【0015】
端子T1〜T3は、それぞれ端子TI,TO,TBに接続される。スイッチS1およびリアクトルL1は、入力端子T1とコンバータ5の入力ノード5aとの間に直列接続される。コンデンサC1は、スイッチS1およびリアクトルL1間のノードと基準電圧のラインとの間に接続される。スイッチS1は、通常時はオンされ、たとえば無停電電源モジュールU1のメンテナンス時にオフされる。コンデンサC1およびリアクトルL1は、交流電源1からの交流電力をコンバータ5に通過させ、コンバータ5で発生するキャリア周波数の信号が交流電源1側に漏れるのを防止する交流入力フィルタ(低域通過フィルタ)を構成する。
【0016】
コンバータ5は、交流電源1からの交流電力を直流電力に変換する。コンデンサC4は、コンバータ5の出力ノード5bと基準電圧のラインとの間に接続され、コンバータ5の出力電圧を平滑化させる。コンバータ5の出力ノード5bとインバータ6の入力ノード6aと双方向チョッパ7の第1入出力ノード7aとは互いに接続される。インバータ6は、コンバータ5または双方向チョッパ7からの直流電力を商用周波数の交流電力に変換する。
【0017】
リアクトルL2およびスイッチS2は、インバータ6の出力ノード6bと出力端子T2との間に直列接続される。コンデンサC2は、リアクトルL2およびスイッチS2間のノードと基準電圧のラインとの間に接続される。リアクトルL2およびコンデンサC2は、インバータ6からの交流電力を負荷2に通過させ、インバータ6で発生するキャリア周波数の信号が負荷2側に漏れるのを防止する交流出力フィルタ(低域通過フィルタ)を構成する。
【0018】
スイッチS2は、インバータ6で生成された交流電力を負荷2に供給するインバータ給電モード時はオンされ、交流電源1からの交流電力をバイパススイッチBSを介して負荷2に供給するバイパス給電モード時はオフされる。また、スイッチS2は、無停電電源モジュールU1のメンテナンス時や故障時にオフされる。
【0019】
スイッチS3およびリアクトルL3は、バッテリ端子T3と双方向チョッパ7の第2入出力ノード7bとの間に直列接続される。コンデンサC3は、スイッチS3およびリアクトルL3間のノードと基準電圧のラインとの間に接続される。スイッチS3は、通常時はオンされ、たとえば無停電電源モジュールU1またはバッテリ3のメンテナンス時にオフされる。コンデンサC3およびリアクトルL3は、直流電力を通過させ、双方向チョッパ7で発生するキャリア周波数の信号がバッテリ3側に漏れるのを防止する低域通過フィルタを構成する。
【0020】
双方向チョッパ7は、交流電源1から交流電力が供給されている通常時は、コンバータ5で生成された直流電力をバッテリ3に供給し、交流電源3からの交流電力の供給が停止された停電時は、バッテリ3の直流電力をインバータ6に供給する。
【0021】
ここで、無停電電源モジュールU1の動作について簡単に説明する。交流電源1から交流電力が供給されている通常時は、交流電力はコンバータ5によって直流電力に変換される。直流電力は、インバータ6によって交流電力に変換されて負荷2に供給されるとともに、双方向チョッパ7によってバッテリ3に蓄えられる。
【0022】
停電が発生して交流電源1からの交流電力の供給が停止されると、コンバータ5の運転が停止され、バッテリ3の直流電力が双方向チョッパ7によってインバータ6に供給され、インバータ6によって交流電力に変換されて負荷2に供給される。したがって、停電が発生した場合でも、バッテリ3に直流電力が蓄えられている期間は、負荷2の運転を継続することができる。無停電電源モジュールU2,U3も、無停電電源モジュールU1と同じ構成である。
【0023】
なお、この無停電電源装置では、3つの無停電電源モジュールU1〜U3のうちのいずれか1つの無停電電源モジュールUが故障した場合でも、残りの2つの無停電電源モジュールUによって負荷2の運転を継続することが可能な冗長方式が採用されている。
【0024】
図3は、バイパスモジュールB1の構成を示すブロック図である。図3において、バイパスモジュールB1は、入力端子Ta、出力端子Tb、サイリスタ10、および制御部11を含む。端子Ta,Tbは、それぞれ端子TI,TOに接続される。サイリスタ10は、端子Ta,Tb間に接続され、制御部11によって制御され、オン状態またはオフ状態にされる。サイリスタ10は、インバータ給電モード時において、2つ以上の無停電電源モジュールUが故障した場合にオンされる。
【0025】
制御部11は、バイパス給電指令信号φB、インバータ給電指令信号φI、故障検出信号φF、およびアンサーバック信号BSAXに基づいて、サイリスタ10を制御するとともに、バイパススイッチ制御信号φBS1、オン指令信号φS2ON1、およびオフ指令信号φS2OFF1を出力する。
【0026】
バイパスモジュールB2は、バイパスモジュールB1と同じ構成である。バイパスモジュールB2の制御部9は、バイパス給電指令信号φB、インバータ給電指令信号φI、故障検出信号φF、およびアンサーバック信号BSAXに基づいて、サイリスタ10を制御するとともに、バイパス制御信号φBS2、オン指令信号φS2ON2、およびオフ指令信号φS2OFF2を出力する。
【0027】
図4は、バイパスモジュールB1の出力信号φBS1,φS2ON1,φS2OFF1とバイパスモジュールB2の出力信号φBS2,φS2ON2,φS2OFF2との関係を示す回路ブロック図である。図4において、無停電電源装置は、ORゲート12〜14を備える。ORゲート12は、信号φBS1,φBS2の論理和信号を信号φBSとして出力する。ORゲート13は、信号φS2ON1,φS2ON2の論理和信号を信号φS2ONとして出力する。ORゲート14は、信号φS2OFF1,φS2OFF2の論理和信号を信号φS2OFFとして出力する。
【0028】
図5は、図4に示した信号φB,φI,φFの生成に関連する部分を示すブロック図である。この無停電電源装置は、操作部15、制御部16、および故障検出部17を備える。操作部15には、バイパス給電モードとインバータ給電モードを切換えるためのボタンが設けられている。無停電電源装置のユーザは、操作部15を操作してバイパス給電モードとインバータ給電モードを手動によって切換えることが可能となっている。故障検出部17は、無停電電源モジュールU1〜U3の各々の故障の有無を検出し、検出結果を示す信号を出力する。
【0029】
制御部16は、操作部15においてバイパス給電モードが設定された場合はバイパス給電指令信号φBを出力し、インバータ給電モードが設定された場合はインバータ給電指令信号φIを出力する。また、制御部16は、故障検出部17の検出結果に基づき、インバータ給電モード時において2台以上の無停電電源モジュールUが故障した場合は、故障検出信号φFを「L」レベルから「H」レベルに立ち上げる。
【0030】
図6は、バイパススイッチBSを示すブロック図である。図6において、バイパススイッチBSは、入力端子TIと出力端子TOの間に接続され、バイパス制御信号φBSが「H」レベルにされた場合はオンし、信号φBSが「L」レベルにされた場合はオフする。また、バイパススイッチBSは、信号φBSに応答して実際にオンした場合にアンサーバック信号BSAXを「H」レベルにし、信号φBSに応答して実際にオフした場合にアンサーバック信号BSAXを「L」レベルにする。アンサーバック信号BSAXは、バイパスモジュールB1,B2の制御部11に与えられる。
【0031】
無停電電源モジュールUの制御部(図示せず)は、制御部9からのオン指令信号φS2ONに応答してスイッチS2をオンさせ、制御部9からのオフ指令信号φS2OFFに応答してスイッチS2をオフさせる。
【0032】
図7(a)〜(i)は、手動によるインバータ給電とバイパス給電の切換動作を示すタイムチャートである。初期状態では、無停電電源装置はバイパス給電モードに設定されているものとする。インバータ6は正常に運転されており、故障検出信号φFは「L」レベルにされている。バイパス制御信号φBSが「H」レベルにされてアンサーバック信号BSAXは「H」レベルにされており、バイパススイッチBSは実際にオンしている。また、サイリスタ10はオフしている。
【0033】
ある時刻に操作部15においてバイパス給電モードからインバータ給電モードへの切換えが指示されると、インバータ給電指令信号φIが所定時間だけ「H」レベルにされる。インバータ給電指令信号φIの立下りエッジに応答してオン指令信号φS2ONが所定時間だけ「H」レベルにされ、各無停電電源モジュールUのスイッチS2がオンする。
【0034】
また、オン指令信号φS2ONの立下りエッジに同期してバイパス制御信号φBSが「H」レベルから「L」レベルに立ち下げられる。バイパス制御信号φBSが「L」レベルに立ち下げられると、所定の応答時間後にバイパススイッチBSがオフし、アンサーバック信号BSAXが「H」レベルから「L」レベルに立ち下げられる(時刻t0)。これにより、バイパス給電からインバータ給電への切換えが終了する。
【0035】
次に、ある時刻t1に操作部15においてインバータ給電モードからバイパス給電モードへの切換えが指示されると、バイパス給電指令信号φBが所定時間だけ「H」レベルにされる。バイパス給電指令信号φBの立下りエッジに応答してバイパス制御信号φBSが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられる。バイパス制御信号φBSが「H」レベルに立ち上げられると、所定の応答時間後にバイパススイッチBSがオンし、アンサーバック信号BSAXが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられる。アンサーバック信号BSAXの立ち上りエッジに応答してオフ指令信号φS2OFFが所定時間だけ「H」レベルに立ち上げられ、各無停電電源モジュールUのスイッチS2がオフされる。これにより、インバータ給電からバイパス給電への切換えが終了する。
【0036】
図8(a)〜(i)は、故障によるインバータ給電からバイパス給電への切換動作を示すタイムチャートである。ある時刻t1においてインバータ給電中に2台以上の無停電電源モジュールUのインバータ6が故障して停止すると、故障検出信号φFが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられる。故障検出信号φFの立ち上りエッジに応答して2つのバイパスモジュールB1,B2のサイリスタ10がオンし、交流電源1から2つのサイリスタ10を介して負荷2に交流電力が供給される。これにより、インバータ給電からバイパス給電への切換えが無瞬断で行なわれる。
【0037】
また、故障検出信号φFの立ち上りエッジに応答してバイパス制御信号φBSが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられる。バイパス制御信号φBSが「H」レベルに立ち上げられると、所定の応答時間後にバイパススイッチBSがオンし、アンサーバック信号BSAXが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられる。アンサーバック信号BSAXの立ち上りエッジに応答してオフ指令信号φS2OFFが所定時間だけ「H」レベルに立ち上げられ、各無停電電源モジュールUのスイッチS2がオフされる。これにより、故障によるインバータ給電からバイパス給電への切換えが終了する。
【0038】
この実施の形態では、バイパス回路はバイパススイッチBSと複数のバイパスモジュールB1,B2を含む。したがって、故障し易いバイパスモジュールBを複数設けたので、1個のバイパスモジュールBが故障した場合でもバイパス給電を行なうことができ、負荷2に対する給電の信頼性の向上を図ることができる。
【0039】
なお、この実施の形態では、2つのバイパスモジュールB1,B2を同様に動作させたが、一方のバイパスモジュール(たとえばB1)をマスターモジュールとし、他方のバイパスモジュール(この場合はB2)をスレーブモジュールとしてもよい。この場合は、マスターモジュールB1が信号φBS1,φS2ON1,φS2OFF1を出力し、スレーブモジュールB2は信号φBS2,φS2ON2,φS2OFF2を出力しない。したがって、バイパススイッチBSおよびスイッチS2は、マスターモジュールB1のみによって制御される。ただし、この場合でも、2つ以上の無停電電源モジュールUが故障した場合は、2つのバイパスモジュールB1,B2のサイリスタ10がオンする。
【0040】
マスターモジュールB1が故障した場合は、バイパスモジュールB2がマスターモジュールとなる。この場合は、スレーブモジュールB2が信号φBS2,φS2ON2,φS2OFF2を出力する。したがって、バイパススイッチBSおよびスイッチS2は、マスターモジュールB2のみによって制御される。
【0041】
また、バイパスモジュールB1,B2のうちのいずれのバイパスモジュールをマスターモジュールにするかは、互いに通信回線で接続されたバイパスモジュールB1,B2間で決定するとよい。あるいは、図5の操作部15および制御部16においてマスタースレーブの選択が可能になっていても構わない。
【0042】
また、この実施の形態では、2つのバイパスモジュールB1,B2を設けたが、3つ以上(たとえば5個)のバイパスモジュールBが設けられていてもよい。この場合は、5個のバイパスモジュールBのうちの1つのバイパスモジュールがマスターモジュールBとして選択され、残りの4つのバイパスモジュールの各々がスレーブモジュールとして使用される。マスターモジュールBが故障した場合は、残りの4つのバイパスモジュールBのうちの1つのバイパスモジュールBがマスターモジュールとして選択され、残りの3つのバイパスモジュールBの各々がスレーブモジュールとして使用される。以下同様にして、最後の1つのバイパスモジュールBが故障するまで、バイパス回路が動作する。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1 交流電源、2 負荷、3 バッテリ、5 コンバータ、6 インバータ、7 双方向チョッパ、10 サイリスタ、11,16 制御部、12〜14 ORゲート、15 操作部、16 故障検出部、TI,T1,Ta 入力端子、TO,T2,Tb 出力端子、TB,T3 バッテリ端子、U1〜U3 無停電電源モジュール、B1,B2 バイパスモジュール、BS バイパススイッチ、S1〜S3 スイッチ、L1〜L3 リアクトル、C1〜C4 コンデンサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8