特許第5792698号(P5792698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5792698
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】無停電電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-194908(P2012-194908)
(22)【出願日】2012年9月5日
(65)【公開番号】特開2014-53987(P2014-53987A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2014年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 満喜
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−228517(JP,A)
【文献】 特開2010−166654(JP,A)
【文献】 特開2011−050228(JP,A)
【文献】 特開2001−016859(JP,A)
【文献】 特開平09−285135(JP,A)
【文献】 特開平04−372529(JP,A)
【文献】 特開平09−233736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対して並列接続される複数台の無停電電源装置と、
前記複数台の無停電電源装置の負荷率に基づいて、運転効率が最大になるように無停電電源装置の運転台数を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記複数台の無停電電源装置が指令通りに動作しているか否かを判別し、
指令通りに動作している場合は前記無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、
指令通りに動作していない場合は停電が発生したか否かを検出し、停電が発生した場合は前記無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、停電が発生していない場合は待機中の全無停電電源装置に起動指令を与えた後に前記無停電電源装置の運転台数の制御を停止する、無停電電源システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
停電が発生した場合は停電時間が予め定められた時間内か否かを判別し、
停電時間が前記予め定められた時間内である場合は前記無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、
停電時間が前記予め定められた時間を超えた場合は、待機中の全無停電電源装置に起動指令を与えた後に前記無停電電源装置の運転台数の制御を一時的に停止する、請求項に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
負荷に対して並列接続される複数台の無停電電源装置と、
前記複数台の無停電電源装置の負荷率に基づいて、運転効率が最大になるように無停電電源装置の運転台数を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記複数台の無停電電源装置が指令通りに動作しているか否かを判別し、
指令通りに動作している場合は前記無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、
指令通りに動作していない場合は過負荷が発生したか否かを検出し、過負荷が発生した場合は全無停電電源装置に起動指令を与えた後に前記無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、過負荷が発生していない場合は待機中の全無停電電源装置に起動指令を与えた後に前記無停電電源装置の運転台数の制御を停止する、無停電電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列接続された複数台の無停電電源装置の運転台数制御に関し、特にシステムを安定させて運転することができる無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置は、一つの負荷に一台が接続される場合以外にも、複数台の無停電電源装置が並列に接続されて一つの負荷に電力を供給するように用いる場合がある。
【0003】
一般に一台で自立制御されるように設定されている無停電電源装置を複数台、並列に接続して用いる場合、一般的に低負荷時には運転効率が低いため、一部の無停電電源装置を停止させて、システム全体の運転効率を向上させている。
【0004】
たとえば、複数台の無停電電源装置が設置された設備において、無停電電源装置の負荷率を監視し、運転効率が最大となる運転台数を演算する。そして、この演算に基づいて不要な無停電電源装置を待機状態とし、運転台数の自動制御を実施する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−166654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先行技術文献に記載された無停電電源装置では、システムに不測の事態が発生した場合の運転台数制御の方法について考えられていない。不測の事態とは、故障、停電発生、過負荷発生等であり、実際の運用を行なう際には必ず遭遇する内容であるが、このような場合に運転台数制御を継続して実施すると、安定した運転が困難になる局面が予想される。
【0007】
それゆえに、本発明の主たる目的は、システムに不測の事態が発生した場合であっても、運転台数の制御を適切に行ない、安定させた運用を行なうことができる無停電電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる無停電電源システムは、負荷に対して並列接続される複数台の無停電電源装置と、複数台の無停電電源装置の負荷率に基づいて、運転効率が最大になるように無停電電源装置の運転台数を制御する制御装置とを備える。
【0009】
制御装置は、複数台の無停電電源装置に故障が発生したか否かを判別し、故障が発生していない場合は無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、故障が発生した場合は、待機中の全無停電電源装置に起動指令を与えた後に無停電電源装置の運転台数の制御を停止する。
【0010】
好ましくは、制御装置は、複数台の無停電電源装置が指令通りに動作しているか否かを判別し、指令通りに動作している場合は無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、指令通りに動作していない場合は停電が発生したか否かを検出し、停電が発生した場合は無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、停電が発生していない場合は待機中の全無停電電源装置に起動指令を与えた後に無停電電源装置の運転台数の制御を停止する。
【0011】
さらに好ましくは、制御装置は、停電が発生した場合は停電時間が予め定められた時間内か否かを判別し、停電時間が予め定められた時間内である場合は無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、停電時間が予め定められた時間を超えた場合は、待機中の全無停電電源装置に起動指令を与えた後に無停電電源装置の運転台数の制御を一時的に停止する。
【0012】
さらに好ましくは、制御装置は、複数台の無停電電源装置が指令通りに動作しているか否かを判別し、指令通りに動作している場合は無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、指令通りに動作していない場合は過負荷が発生したか否かを検出し、過負荷が発生した場合は全無停電電源装置に起動指令を与えた後に無停電電源装置の運転台数の制御を継続し、過負荷が発生していない場合は待機中の全無停電電源装置に起動指令を与えた後に無停電電源装置の運転台数の制御を停止する。
【発明の効果】
【0013】
この発明にかかる無停電電源システムは、制御装置によって、複数台の無停電電源装置のいずれかに故障が発生したか否かが判別される。すなわち故障が発生していない場合は無停電電源装置の運転台数の制御が継続される。
【0014】
そして、故障が発生した場合は、待機中の全無停電電源装置に起動指令が与えられた後に無停電電源装置の運転台数の制御が停止される。このため、一旦、すべての無停電電源装置が起動されて、それぞれの無停電電源装置が通常の自立運転を行ない、システムに不測の事態が発生した場合であっても、安定させた運用を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1にかかる無停電電源システムの基本的構成を示した図である。
図2図1に示した無停電電源装置の構成例を示した図である。
図3】実施の形態1の無停電電源システムの動作を説明するフローチャートである。
図4】実施の形態2の無停電電源システムの動作を説明するフローチャートである。
図5】実施の形態3の無停電電源システムの動作を説明するフローチャートである。
図6】実施の形態4の無停電電源システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
以下、本発明にかかる実施の形態1について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる無停電電源システムの基本的構成を示した図である。図1に示すこの実施の形態の無停電電源システム1は、主にLAN配線を備えるネットワーク2に、複数台の無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supplyの略称。以下、無停電電源装置をUPSと記す。)3および負荷率監視制御手段としての運転台数制御装置4が、それぞれネットワークインタフェース5を介して接続されている。
【0017】
これらの複数台のUPS3は、対応するネットワークインタフェース5とともに、UPS筺体6内にそれぞれ収容されていて、負荷7に対して並列接続されている。
【0018】
[UPSの基本構成]
図2は、図1に示したUPS3の構成例を示した図である。図2を参照して、UPS3は、制御部9と、交流電源10に接続端子11を介して接続されるコンバータ12と、平滑コンデンサ13と、インバータ14と、蓄電池15にバッテリ接続端子16を介して接続されるチョッパ回路17とを備える。
【0019】
制御部9は、インバータ14から負荷接続端子20を介して負荷7へ出力される電流値を制御する。通常状態では、コンバータ12は、接続される交流電源10から供給される交流電力を直流電力に変換して、その直流電力をインバータ14に供給する。
【0020】
コンバータ12から出力される直流電力は平滑コンデンサ13によって平滑化されている。
【0021】
また、UPS3は、電圧計18を備える。電圧計18は、交流電源10から接続端子11を介して、コンバータ12に入力される交流電圧を検出する。そして、コンバータ12に入力される電圧は、この電圧計18によって電圧検出信号に変換されて制御部9に送信される。
【0022】
制御部9では、この電圧検出信号により交流電源10が停電状態であるか否かを判断することができる。停電状態では、インバータ14への入力が、交流電源10側のコンバータ12から、蓄電池15側のチョッパ回路17に切換えられる。
【0023】
チョッパ回路17は、バッテリ接続端子16を介して蓄電池15に接続されるとともにインバータ14の直流側に接続される。チョッパ回路17は蓄電池15の電圧とインバータ14の直流電圧とを相互に変換する。通常状態では、蓄電池15は、コンバータ12によって送られてくる電流により充電される。
【0024】
また、交流電源10が停電したときには、チョッパ回路17は蓄電池15からの直流出力をインバータ14に供給する。インバータ14は、入力された直流電力を交流電力に変換して負荷7に供給する。
【0025】
電流計19は、出力される電流値を検出して、制御部9における自立制御状態でのフィードバック制御に用いられる。また、この電流値は、制御部9によって電流検出信号に変換される。
【0026】
制御部9は、ネットワークインタフェース5を介して、ネットワーク2に接続されている。そして、このネットワーク2を用いて運転台数制御装置4との間で、この電流検出信号、電圧計18で検出された電圧検出信号に基づく停電状態の判断情報を含む運転状態および負荷率を送信する。
【0027】
さらに、各UPS3のそれぞれの制御部9で行なわれている自立運転の制御に加えて、このネットワーク2を介して運転台数制御装置4から送られてくるエコ運転の起動指令、停止指令に基づき、各UPS3が個別に運転動作を待機状態または起動状態として、システム全体の動作効率を向上させたエコ運転を行なうことができる。
【0028】
[運転台数制御装置の負荷率監視機能]
また、図1に示す監視筺体8内には、ネットワーク2にネットワークインタフェース5を介して接続される運転台数制御装置4が設けられている。この運転台数制御装置4が、ネットワーク2に接続された複数台のUPS3から、それぞれ送信されてくる運転状態および負荷率などを運転台数制御装置4に送信している。
【0029】
また、運転台数制御装置4からは、各UPS3にネットワーク2を介して、起動/待機指令が送信される。そして、運転台数制御装置4では、複数台のUPS3の負荷率に基づいて、運転効率が最大になるように、UPS3の運転台数が制御されている。
【0030】
このように運転台数制御装置4によって、負荷率の監視が行なわれることにより個別に自立制御されている各UPS3がさらに、最適な運転台数となるように調整されて、不要なUPS3を停止させる省エネルギ運転(いわゆるエコ運転)が行なわれる。
【0031】
運転台数制御装置4は、ネットワーク2に接続される複数台のUPS3のうち、いずれかに故障が発生したか否かが判別するように構成されている。すなわち、運転台数制御装置4は、故障が発生していない場合はUPS3の運転台数の制御を継続する。
【0032】
また、故障が発生した場合は、待機中のすべてのUPS3に起動指令が与えられた後にUPS3の運転台数の制御が停止される。ここで故障とは、重大な故障や、しばらく修理しなくても運転を継続できる程度の軽故障などをすべて含み、たとえばUPS3自体の故障、UPS3の冷却ファンの故障、通常の想定を上回る温度上昇など、UPS3から過熱、騒音、振動が発生して動作効率を低下させて、運転停止または、運転停止に至らなくても正常に動作していない状態を含む。この場合、故障が発生したUPS3から、各故障の情報を含む信号がネットワーク2を介して負荷率制御の監視を行なっている運転台数制御装置4に出力される。
【0033】
図3は、この発明の実施の形態1のUPS3を用いた無停電電源システムの動作を説明するフローチャートである。
【0034】
まず、運転台数制御装置4によって、運転台数制御が開始されると、次のステップS1では、それぞれのUPS3から送られてくる故障の情報を含む信号に基づいて、UPS3に故障が発生しているか否かが判別される。
【0035】
ステップS1で故障が発生していると、運転台数制御装置4によって判別される(ステップS1でYES)と、ステップS8に処理が進められて、待機状態のすべてのUPS3に起動指令信号が送信されるとともに、運転台数制御が終了される。また、ステップS1でシステムに故障が発生していないと判別される(ステップS1でNO)と、次のステップS2に、運転台数制御装置4が処理を進ませる。
【0036】
ステップS2では、運転台数制御装置4によって負荷率に基づいた最適効率のUPS3の運転台数が演算により決定される。ステップS3に処理が進むと、運転台数制御装置4によって演算により決定された最適な運転台数と、実際に現在運転されている運転台数とが比較される。そして、ステップS3で、最適なUPS3の運転台数が、実際に現在運転されているUPS3の運転台数よりも多い場合には、運転台数制御装置4は、ステップS4に処理を進ませる(ステップS3でYES)。
【0037】
ステップS4では、待機状態であるいずれかのUPS3にネットワーク2を介して、起動指令が出力される。また、ステップS3で、最適なUPS3の運転台数に、実際に現在運転されているUPS3の運転台数が至ると(ステップS3でNO)、ステップS5に処理が進められる。
【0038】
ステップS5では、最適な運転台数が、実際に現在運転されている運転台数よりも少ない場合には、運転台数制御装置4は、ステップS6に処理を進ませる(ステップS5でYES)。ステップS6では、起動状態のいずれかのUPS3にネットワーク2を介して、停止指令が出力される。また、ステップS5で、最適なUPS3の運転台数に、実際に現在運転されているUPS3の運転台数が至ると、ステップS7に処理を進ませる(ステップS5でNO)。
【0039】
ステップS7に処理が進むと、運転台数制御装置4では、各UPS3から送信された運転状態および負荷率の情報などから、各UPS3の運転状態が指令通りの動作になっているか確認が行なわれる。
【0040】
運転台数制御装置4による確認で、運転状態が指令通りになっていない状態であるということは、たとえば、運転台数制御装置4から、各UPS3に送信された起動/待機指令信号が、正常に伝達されていない場合、あるいは、停電などの外乱が発生し、いずれかのUPS3が自らの判断で動作を変更した場合など、運転台数制御を継続できない状態であると予想される。
【0041】
運転台数、UPS状態が指令通りになっている、すなわち、UPS3の状態が指令通りの動作になっている場合(ステップS7でYES)、ステップS1に戻り、再び上記処理ルーチンをくり返す。また、運転台数、UPS状態が指令通りの動作になっていない場合には、ステップS8に処理を進ませて(ステップS7でNO)、待機状態のすべてのUPS3に起動指令信号が送信されるとともに、運転台数制御を終了させる。
【0042】
上述してきたように、この実施の形態1の無停電電源システム1では、それぞれのインバータ14からの交流出力を互いに並列接続して負荷7に給電するように接続された複数台のUPS3が、全体の負荷率に基づき、適正な運転台数となるように運転台数制御装置4によって、エコ運転制御されている。
【0043】
運転台数制御装置4は、図3に示すフローチャートで説明したように、複数台のUPS3のいずれかに故障が発生したかを判別して、故障発生時にエコ運転制御を停止する。この際、待機中の全UPS3に起動指令が与えられた後にUPS3の運転台数の制御が停止される。
【0044】
このため、一旦、すべてのUPS3が起動されて、それぞれのUPS3が通常の自立運転を行なう。したがって、システムに不測の事態が発生した場合であっても、安定させた運用を行なうことができる。
【0045】
[実施の形態2]
図4は、実施の形態2のUPS3の動作を説明するフローチャートである。実施の形態2の無停電電源システム1は、実施の形態1の無停電電源システム1と全体構成が同一であり、図4のフローチャートに示す動作が一部異なる。図4のフローチャートでは、図3で説明したフローチャートに示す動作のうち、ステップS1からステップS8までの処理の内容は、同様であるので説明をくり返さない。
【0046】
この実施の形態2の無停電電源システム1では、運転台数制御装置4が、複数台のUPS3が指令通りに動作しているか否かを判別する。指令通りに動作している場合は、UPS3の運転台数の制御を継続する。また、指令通りに動作していない場合は、停電が発生したか否かを検出し、停電が発生した場合はUPS3の運転台数の制御を継続する。そして、停電が発生していない場合は待機中の全UPS3に起動指令を与えた後にUPS3の運転台数の制御が停止されるように構成されている。
【0047】
すなわち、この実施の形態2の図4のフローチャートでは、ステップS7で、各UPS3の運転状態が指令通りの動作になっていない場合には、ステップS9に処理を進める。ステップS9では、各UPS3から送られてくる停電情報に基づいて停電が発生しているか否かが運転台数制御装置4によって判別される。停電が発生していると交流電源10からの給電が停止されているので、UPS3に接続されている蓄電池15により給電されている運転へと移行している可能性が高い。たとえば、図2に示す電圧計18から、電圧検出信号として制御部9に送信される交流電圧を監視することにより、停電が発生しているか否かを判別できる。
【0048】
もし、仮に停電が原因でUPS3の状態が指令通りでないとすると、各UPS3を含むシステムは、正常な動作状態であり、異常な状態ではない。このため、運転台数制御を継続することが望ましい。
【0049】
図4に示すフローチャートに戻って、ステップS9で、停電が発生していると判別された場合には(ステップS9でYES)、ステップS1に戻り、再び上記処理ルーチンをくり返す。これにより、運転台数制御装置4で行なわれている運転台数制御は継続される。
【0050】
また、ステップS9で、停電が発生していないと判別された場合には、ステップS8に処理を進ませる(ステップS9でNO)。そして、待機状態のすべてのUPS3に、運転台数制御装置4から起動指令信号が送信されて、運転台数制御を終了させることにより、各UPS3が、それぞれ自立制御される状態に移行する。
【0051】
この実施の形態2の運転台数制御装置4は、実施の形態1の作用効果に加えて、さらに停電発生時に負荷率監視制御が継続される。このため、たとえば停電が発生してバッテリ運転へと移行している状態で、システム自体は正常動作である場合は、無停電電源システム1が異常状態であるとは判断しない。よって停電などでは、通常短時間で終了して復帰することが多いため、運転台数制御を終了することなく、運転台数制御装置4によって制御されている状態で各UPS3の運転を継続させることにより、効率的に電力を供給し続けることができる。したがって、さらに安定した無停電電源システム1の運用が行なわれる。
【0052】
他の構成および作用効果については、実施の形態1と同様であるので説明をくり返さない。
【0053】
[実施の形態3]
図5は、実施の形態3のUPSを用いた無停電電源システムの動作を説明するフローチャートである。実施の形態3の無停電電源システム1は、実施の形態1の無停電電源システム1と全体構成が同一であり、動作が相違する。
【0054】
この実施の形態3の運転台数制御装置4は、実施の形態1および実施の形態2の機能に加えて、さらに、停電が発生した場合は停電時間が予め定められた時間内か否かを判別する。停電時間が予め定められた時間内である場合は、UPS3の運転台数の制御を継続し、停電時間が予め定められた時間を超えた場合は、待機中の全UPS3に起動指令を与えた後に、UPS3の運転台数の制御を一時的に停止する。そして、さらに一時的に停止された運転台数の制御を再開して、継続する機能が含まれている。
【0055】
なお、実施の形態1および実施の形態2と同様の部分については、同一符号を付して説明をくり返さない。まず、図5に示すフローチャートは、ステップS10からステップS12の部分を除き、図3で説明したフローチャートの内容と同様である。ここでは、同様である部分の説明を省略して、相違する要部のみ説明する。
【0056】
ステップS1で故障が発生していないと判断された場合、次のステップS11では、停電からの復帰を確認することも含めて、UPS5の運転台数制御を再開できる諸条件が整っているかが運転台数制御装置4で判別される。
【0057】
運転台数制御がすでに行なわれている場合や、あるいは、停電が終了して電力が復帰した場合など、運転台数制御を再開できる諸条件が整っている場合、図3で説明したフローチャートと同様に、運転台数制御装置4は、次のステップS2に処理を進ませ(ステップS11でYES)、負荷率に基づいた最適効率の運転台数が演算により決定される。
【0058】
ステップS3からステップS6で行なわれる処理で、UPS状態が最適な運転状態とならない場合、ステップS9に処理が進む(ステップS7でNO)。また、ステップS11で、運転台数制御を再開できる諸条件が整わない場合(ステップS7でNO)は、ステップS9に処理が進む。
【0059】
ステップS9では、各UPS3から送られてくる停電情報に基づいて運転台数制御装置4によって、停電が発生したか否かが判別される。ステップS9で停電が発生したと判別されると、運転台数制御装置4によってステップS10に処理が移行する。
【0060】
ステップS10では、運転台数制御装置4によって、予め定められた設定時間を、停電時間が超えたか否かが判別される。ステップS10で、予め定められた設定時間を超えることなく停電が終了した場合には(ステップS10でNO)、ステップS1に戻り、再び運転台数制御の処理ルーチンをくり返す。
【0061】
したがって、停電の中でも短い時間で生じた瞬断など、運転台数制御の機能を停止するほどの必要がない場合などでは、運転台数制御装置4による運転台数制御が継続されて、運転効率を向上させることができる。
【0062】
ステップS11で、予め定められた設定時間を停電時間が超えた場合には(ステップS11でYES)、停電の復旧まで時間がかかり、蓄電池15側への電源の切換えが必要であると運転台数制御装置4によって判別されて、ステップS12に処理が進められる。
【0063】
ステップS12では、UPS3のうち、待機しているすべてのUPS3に運転台数制御装置4からネットワーク2を介して、起動指令が出力される。また、運転台数制御装置4による運転台数制御の機能が一時的に停止される。これにより、待機状態となっているUPS3の蓄電池15が起動されて、使用可能となり、蓄電池15が電力を供給できる時間を延長することができる。
【0064】
さらに、この実施の形態3では、運転台数制御の機能を一時的に停止している間に、ステップS11で停電からの復旧が確認されて、運転台数制御が再開される条件が整ったか否かの判別が行なわれる。再開する条件が整った場合には、ステップS2に進み(ステップS11でYES)、実施の形態2と同様に運転台数制御装置4によってステップS3からステップS6に示す運転台数制御の処理ルーチンが続行される。再開条件が整わない場合(ステップS11でNO)は、運転台数制御装置4がステップS2からステップS6までの各処理を省略して、ステップS7へ処理を進めて、UPS状態が最適な運転状態となっているか判別される。
【0065】
このような処理が行なわれる実施の形態3の無停電電源システム1では、実施の形態1および実施の形態2の作用効果に加えてさらに、停電時間が長く継続する場合など、負荷率に基づく判別だけでは、再起動できない場合でも各UPS3を、運転台数制御装置4によって、自動で運転状態とすることができる。このため、UPS3に接続されていて、まだ残容量があるにも関わらず、待機状態のため使用していない蓄電池15が使用可能となり、より長い時間、負荷7に電力を供給することができる。
【0066】
他の構成および作用効果については、実施の形態1および実施の形態2と同様であるので説明をくり返さない。
【0067】
[実施の形態4]
実施の形態4の無停電電源システム1は、実施の形態1の無停電電源システム1と全体構成が同一であり、動作が相違する。
【0068】
この実施の形態4の運転台数制御装置4は、実施の形態1,実施の形態2および実施の形態3の機能に加えて、過負荷発生時に負荷率監視制御を継続する機能がさらに含まれている。
【0069】
無停電電源システム1に何らかの負荷が瞬間的に加わると一時的に過負荷となる場合がある。このような過負荷は、すぐに負荷がなくなって解消する場合がほとんどである。
【0070】
しかしながら、故障と同様に過負荷で運転台数制御を停止させていると、運転効率が低下してしまう。
【0071】
本実施の形態4の運転台数制御装置4が行なう負荷率監視制御では、運転台数制御装置4によって、複数台のUPS3が指令通りに動作しているか否かが判別される。指令通りに動作している場合はUPS3の運転台数の制御が継続され、指令通りに動作していない場合は過負荷が発生したか否かが検出されて判別される。そして、過負荷が発生している場合には、全UPS3に起動指令が与えられた後にUPS3の運転台数の制御が継続される。また、過負荷が発生していない場合は、待機中の全UPS3に起動指令が与えられた後にUPS3の運転台数の制御が停止される。
【0072】
なお、実施の形態1,実施の形態2および実施の形態3と同様の部分については、同一符号を付して説明をくり返さない。
【0073】
図6は、実施の形態4のUPSを用いた無停電電源システムの動作を説明するフローチャートである。実施の形態4の図6に示すフローチャートのうち、ステップS1からステップS7までの内容は、図3で説明したフローチャートの内容と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
ステップS7で、各UPS3の運転状態が指令通りの動作になっていない場合には、運転台数制御装置4は、ステップS10に処理を進める。ステップS10では、過負荷状態が発生しているか否かが判別される。過負荷状態が原因で、各UPS3の運転状態が指令通りの動作にならないことは、停電状態と同様に常に発生する可能性がある。
【0075】
しかしながら、過負は停電と異なり、定期的に発生したり、あるいは短時間で解消される場合がある。過負荷状態が解除されると、各UPS3は、自動で通常運転の状態に復帰する。このため、運転状態が指令通りの動作になっていない原因が過負荷の場合、無停電電源システム1は故障している状態ではないため、運転台数制御装置4による運転台数制御を継続することが望ましい。
【0076】
この実施の形態4の運転台数制御装置4では、複数台のUPS3が指令通りに動作しているか否かが判別され、指令通りに動作している場合はUPS3の運転台数の制御が継続される。UPS3が指令通りに動作していない場合は、過負荷が発生しているか否かが検出される。そして、過負荷が発生している場合は、すべてのUPS3に起動指令が与えられた後にUPS3の運転台数の制御が継続される。
【0077】
また、過負荷が発生していない場合は、運転台数制御装置4によって待機中のすべてのUPS3に起動指令が与えられた後にUPS3の運転台数の制御が停止されるように構成されている。すなわち、ステップS13で、過負荷であると判別された場合には(ステップS13でYES)、ステップS14に処理を進ませる。
【0078】
ステップS14では、待機中のすべてのUPS3の運転を継続するため、運転台数制御装置4から、ネットワーク2を介して起動指令が出力される。したがって、運転台数制御装置4で行なわれている運転台数制御は、継続されて、すべてのUPS3に接続されたそれぞれの蓄電池15を使用して負荷7への給電を継続することができる。
【0079】
過負荷が発生していないと判別された場合には(ステップS13でNO)、運転台数制御装置4は、ステップS8に処理を進ませて、待機状態のすべてのUPS3に起動指令信号が送信されて、運転台数制御が終了される。
【0080】
この実施の形態4の運転台数制御装置4は、実施の形態1、実施の形態2および実施の形態3の作用効果に加えて、さらに過負荷発生時に負荷率監視制御が継続される。
【0081】
このため、たとえば過負荷が発生しても無停電電源システム1の異常でない多くの場合、運転台数制御装置4は、運転台数制御を終了させることなく、各UPS3の運転を継続させることができる。したがって、過負荷状態から自動復帰することが多い場合でも、さらに安定した無停電電源システム1の運用が行なわれる。
【0082】
他の構成および作用効果については、実施の形態1、実施の形態2および実施の形態3と同様であるので説明をくり返さない。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1 無停電電源システム、2 ネットワーク、4 運転台数制御装置、5 ネットワークインタフェース、6 UPS筺体、7 負荷、8 監視筺体、9 制御部、10 交流電源、11 接続端子、12 コンバータ、13 平滑コンデンサ、14 インバータ、15 蓄電池、16 バッテリ接続端子、17 チョッパ回路、18 電圧計、19 電流計、20 負荷接続端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6